説明

発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体、発泡体製造用樹脂組成物および発泡体の製造方法

【課題】種々の発泡体の製造方法において好適に使用できる発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体および発泡体製造用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体であって、メルトフローレートが0.1〜100g/10分であり、密度が850〜940kg/m3であり、分子量分布が2〜12であり、スウェル比が1.61以上であり、下記式(I)で定義されるg*が0.50〜0.78であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
g* = [η] / ( [η]GPC x gSCB* ) (I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体、発泡体製造用樹脂組成物および発泡体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エチレン−α−オレフィン共重合体からなる発泡体は、柔軟性、断熱性に優れるため、緩衝材や断熱材、日用雑貨、床材、遮音材、履き物用部材(アウターソール(下部底)、ミッドソール(上部底)、インソール(中敷)など)といった種々の用途に利用されている。
エチレン−α−オレフィン共重合体の一つとして、メタロセン触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体が知られている。このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は、衝撃強度や引張強度等の機械的強度に優れる。
特許文献1には、メタロセン触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体と熱分解型発泡剤とを含む樹脂組成物に電離性放射線を照射して架橋樹脂組成物を得、該架橋樹脂組成物を加熱して架橋発泡体を得る方法が記載されている。
特許文献2には、メタロセン触媒を用いてエチレンとα−オレフィンとを重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体と熱分解型発泡剤と有機過酸化物とを含む樹脂組成物を用いて得られる架橋発泡体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−1792号公報
【特許文献2】特開2005−314638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法で得られる架橋発泡体は、発泡倍率と強度のバランスにおいてさらなる向上が求められている。
また、特許文献2に記載された架橋発泡体は、軽量性と耐疲労性のバランスにおいてさらなる向上が求められている。
このように発泡体の製造方法によって、改良が求められる性能は異なっている。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、種々の発泡体の製造方法において好適に使用できる発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体および発泡体製造用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明の第一は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体であって、メルトフローレートが0.1〜100g/10分であり、密度が850〜940kg/m3であり、分子量分布が2〜12であり、スウェル比が1.61以上であり、下記式(I)で定義されるg*が0.50〜0.78であるエチレン−α−オレフィン共重合体である。
g* = [η] / ( [η]GPC x gSCB* ) (I)
[式中、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表し、下記式(I−I)によって定義される。[η]GPCは、下記式(I−II)によって定義される。gSCB*は、下記式(I−III)によって定義される。
[η] = 23.3 x log (ηrel) (I-I)
(式中、ηrelは、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度を表す。)
[η]GPC = 0.00046 x Mv0.725 (I-II)
(式中、Mvは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量を表す。)
gSCB* = (1-A)1.725 (I-III)
(式中、Aは、エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐量から求められる。)]
【0006】
本発明の第二は、発泡体製造用樹脂組成物であって、請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料100重量部と、該樹脂材料100重量部に対し、分解温度が120〜240℃である熱分解型発泡剤を1〜80重量部含有する樹脂組成物である。
【0007】
本発明の第三は、さらに有機過酸化物を樹脂材料100重量部に対し、0.02〜3重量部含有する前記樹脂組成物である。
【0008】
本発明の第四は、架橋発泡体の製造方法であって、以下の工程からなる方法である。
前記樹脂組成物に電離性放射線を照射して、架橋された中間体(i)を形成する工程、および
架橋された中間体(i)を加熱することによって、架橋された中間体(i)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【0009】
本発明の第五は、架橋発泡体の製造方法であって、以下の工程からなる方法である。
前記樹脂組成物を型内に供給する工程、
型内の樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化および架橋された中間体(ii)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(ii)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【0010】
本発明の第六は、架橋発泡体の製造方法であって、以下の工程からなる方法である。
前記樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化された中間体(iii)を形成する工程、
可塑化された中間体(iii)を型に供給し、型内の中間体(iii)を加圧および加熱することによって中間体(iii)を架橋して、可塑化および架橋された中間体(iv)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(iv)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【発明の効果】
【0011】
本発明により、種々の発泡体の製造方法において好適に使用できる発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体および発泡体製造用樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位とを含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。該α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等があげられ、これらは単独で用いられていてもよく、2種以上を併用されていてもよい。好ましいα−オレフィンは、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンである。
【0013】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位に加え、本発明の効果を損なわない範囲において、他の単量体に基づく単量体単位を有していてもよい。他の単量体としては、ブタジエンやイソプレンのような共役ジエン;1,4−ペンタジエンのような非共役ジエン;アクリル酸、メタクリル酸のような不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルのような不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニルのようなビニルエステルがあげられる。
【0014】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量を100重量%とするとき、通常50〜99.5重量%である。またα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量を100重量%とするとき、通常0.5〜50重量%である。
【0015】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体として、好ましくは、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数4〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する共重合体であり、より好ましくは、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数5〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する共重合体であり、さらに好ましくは、エチレンに基づく単量体単位及び炭素原子数6〜8のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する共重合体である。エチレンに基づく単量体単位と、炭素原子数が小さいα−オレフィンとを共重合して得られる共重合体は、密度が下がらずに、ベタツキ成分を多く含むことがある。共重合体中のベタツキ成分量は、共重合体中を冷たいキシレンに溶解させたときに、該キシレンに溶解する成分の量を測定する方法等で定量することができる。共重合体に含まれる冷キシレンに溶解する成分の量を、CXSという。
【0016】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体等があげられ、好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体である。
【0017】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(以下、「MFR」と記載することがある。)は、0.1〜100g/10分である。該メルトフローレートは、成形加工性を高める観点、特に共重合体を押出し成形するときに押出機にかかる負荷を低減する観点から、好ましくは0.2g/10分以上である。また、得られる発泡体の機械的強度を高める観点から、MFRは好ましくは50g/10分以下であり、より好ましくは25g/10分以下、更に好ましくは20g/10分以下である。該メルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される。なお、該メルトフローレートの測定では、通常、予め酸化防止剤が1000ppm程度配合されたエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる。エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、後述するエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法において、例えば、水素濃度または重合温度を調製することにより変更することができ、水素濃度または重合温度を高くすると、得られるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートが大きくなる。
【0018】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度(以下、「d」と記載することがある。)は、850〜940kg/m3であり、得られる発泡体の機械強度のうち衝撃強度を高める観点から、好ましくは930kg/m3以下である。得られる発泡体の機械強度のうち引張強度を高める観点から、好ましくは870kg/m3以上であり、より好ましくは880kg/m3以上であり、更に好ましくは890kg/m3以上であり、特に好ましくは900kg/m3以上である。なお、該密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを試料に行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って該試料を測定して得られる値である。エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、エチレン−α−オレフィン共重合体中のエチレンに基づく単量体単位の含有量を調製することにより変更することができる。
【0019】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載することがある。)と数平均分子量(以下、「Mn」と記載することがある。)との比(以下、「Mw/Mn」と記載することがある。)、すなわち平均分子量は、2〜12である。Mw/Mnが小さすぎると、共重合体を押出し成形するときに押出機にかかる負荷が高くなることがある。Mw/Mnは、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは3以上であり、更に好ましくは3.5以上であり、更により好ましくは4以上であり、もっとも好ましくは5以上である。Mw/Mnが大きすぎると、得られる発泡体の機械的強度が低くなる、あるいは発泡体のベタツキの原因の一つとなる共重合体中の低分子量成分量が多くなることがある。Mw/Mnは、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下であり、更に好ましくは6.5以下である。分子量分布は、各種重合条件を調整することで制御できる。例えば重合温度を変更することで分子量分布の制御ができる。他に、フィードガス中の水素濃度を調整して、重合開始時の系内水素濃度と重合終了時の系内水素濃度の差を調整することでも、分子量分布を制御しうる。
【0020】
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により測定される。Mw/Mnは、MwをMnで除した値である。また、GPC法での測定条件としては、例えば、次の条件をあげることができる。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折計
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0021】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、下記式(I)で定義されるg*が0.50〜0.78である。なお、g*は、以下の文献を参考に算出した:Developments in Polymer Characterisation-4,. J. V.. Dawkins,. Ed.,. Applied Science, London,. 1983, Chapter. I,. “Characterization. of. Long Chain Branching in Polymers,” Th. G. Scholte著。
g*=[η]/([η]GPC×gSCB*) (I)
[式中、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表し、下記式(I−I)によって定義される。[η]GPCは下記式(I−II)によって定義される。gSCB*は、下記式(I−III)によって定義される。
[η]=23.3×log(ηrel) (I−I)
(式中、ηrelは、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度を表す。)
[η]GPC=0.00046×Mv0.725 (I−II)
(式中、Mvは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量を表す。)
SCB*=(1−A)1.725 (I−III)
(式中、Aは、エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐量から求められる。)]
【0022】
[η]GPCは、g*を測定するエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布と同一の分子量分布であって、かつ分子鎖が直鎖状であると仮定したエチレン重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表す。
SCB*は、エチレン−α−オレフィン共重合体に短鎖分岐が存在することによって生じるg*への寄与を表す。
式(I−II)は、L. H. Tung著 Journal of Polymer Science, 36, 130 (1959) 287-294頁に記載された式を用いた。
【0023】
エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度(ηrel)は、熱劣化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)を5重量%含むテトラリン溶液100mlに、エチレン−α−オレフィン共重合体100mgを135℃で溶解してサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて測定される該サンプル溶液の降下時間と、熱劣化防止剤としてBHTを0.5重量%のみを含むテトラリン溶液からなるブランク溶液の降下時間から算出される。
【0024】
エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、下式(I−IV)

で定義される。式中、a=0.725とした。ここで分子量Mμの分子数をnμとする。
【0025】
式(I−III)中のAは、ポリマー中に占める短鎖分岐の分岐部分の重量割合を表し、例えば、短鎖分岐種が1種の場合、短鎖分岐に含まれる炭素原子数をnとし、NMRないしは赤外分光より求められる炭素原子数1000個あたりの短鎖分岐数をyとした時、
A=((12×n+2n+1)×y)/((1000−2y−2)×14+(y+2)×15+y×13)
として見積もることができる。nは、(α−オレフィンを構成する炭素原子数-2)である。例えばα−オレフィンとして1−ブテンを用いた場合はn=2、1−ヘキセンを用いた場合はn=4である。ポリマーが短鎖分岐種を複数有する場合も、各分岐の1000炭素当たりの分岐数が特定できれば、適宜算出可能である。
【0026】
g*は、溶液中での共重合体の収縮度を表す指標であり、共重合体に含まれる長鎖分岐に起因する。共重合体中の長鎖分岐量が多ければ共重合体の収縮は大きくなり、g*は小さくなる。エチレン−α−オレフィン共重合体のg*は、好ましくは0.77以下である。このような共重合体は、緩和時間が短く、かつ、加工特性、特に歪み硬化特性に優れる。また、エチレン−α−オレフィン共重合体のg*は、機械強度向上の観点から、好ましくは0.55以上である。g*が小さすぎると、結晶を形成したときの分子鎖の広がりが小さすぎるため、タイ分子の生成確率が落ち、強度が低下する。g*は、エチレン−α−オレフィンを製造するときに使用する触媒成分として、後述するような遷移金属化合物を用いた上で、重合温度を調整することで制御でき、重合温度を高くするとg*は大きな値となる傾向がある。
【0027】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のスウェル比(以下、「SR」と記載することがある。)は1.61以上であり、好ましくは1.64以上である。スウェル比が小さすぎると、発泡倍率の高い発泡体や、厚みの厚い発泡体を得にくくなる傾向がある。また、該スウェル比は、発泡体表面の平滑性を高める観点からは、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.1以下である。該スウェル比は、メルトフローレート(MFR)を測定する際に、温度190℃、荷重21.18Nの条件でオリフィスから、15〜20mm程度の長さで押出したエチレン−α−オレフィン共重合体のストランドを、空気中で冷却し、得られた固体状のストランドについて、押出し上流側先端から約5mmの位置でのストランドの直径D(単位:mm)を測定し、その直径Dをオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)である。該スウェル比は、後述するエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法において、例えば、水素濃度または電子供与性化合物濃度を調製することにより変更することができる。
【0028】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(以下、「MFRR」と記載することがある。)は、共重合体を押出し成形するときに押出機にかかる負荷をより低減する観点から、好ましくは30以上であり、より好ましくは40以上である。また、機械的強度がより優れる発泡体を得るためには、好ましくは300以下であり、より好ましくは250以下であり、さらに好ましくは200以下であり、もっとも好ましくは100以下である。該MFRRは、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重211.82N、温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(以下、「H−MFR」と記載することがある。)を、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)で除した値である。また、MFRRは、後述するエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法において、例えば、水素濃度を調製することにより変更することができ、水素濃度を高くすると、MFRRの小さいエチレン−α−オレフィン共重合体が得られる。
【0029】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は、溶融張力を高めて発泡性を高める観点、共重合体を押出し成形するときに押出機にかかる負荷をより低減する観点から、ヘキシル基以上の分岐を有していることが好ましく、NMRによって測定される長鎖分岐数(以下、「NLCB」と記載することがある。)が0.20以上であることが好ましく、0.24以上であることが好ましい。また、発泡体の機械強度を高める観点から、NLCBは1.0以下であることが好ましく、0.70以下であることがより好ましく、もっとも好ましくは0.50以下である。好ましい範囲のNLCBを有するエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレン−α−オレフィンを製造するときに使用する触媒成分として、後述するような遷移金属化合物を選択し、重合温度、重合圧、コモノマー種などの重合条件を適切に制御することで得ることができる。
【0030】
LCBは、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)法によって測定された13C−NMRスペクトルから、5〜50ppmに観測されるすべてのピークの面積の総和を1000として、炭素原子数5以上の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークの面積の割合を求めることにより得られる。炭素原子数5以上の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークは38.2ppm付近(参考:学術文献「Macromolecules」,(米国),American Chemical Society,1999年,第32巻,p.3817−3819)に観測される。この炭素原子数5以上の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークの位置は、測定装置および測定条件によりずれることがあるため、通常、測定装置および測定条件毎に、標品の測定を行って決定する。また、スペクトル解析には、窓関数として、負の指数関数を用いることが好ましい。
【0031】
エチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(以下、「Ea」と記載することがある。)は、共重合体を押出し成形するときに押出機にかかる負荷をより低減する観点から、好ましくは50kJ/mol以上であり、より好ましくは55kJ/mol以上である。また、流動の活性化エネルギーは、発泡体の機械的強度を高める観点からは、好ましくは150kJ/mol以下であり、より好ましくは130kJ/mol以下であり、更に好ましくは110kJ/mol以下であり、更により好ましくは90kJ/mol以下である。
【0032】
流動の活性化エネルギー(Ea)は、温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、190℃での溶融複素粘度(単位はPa・secである。)の角周波数(単位:rad/sec)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、以下に示す方法で求められる値である。すなわち、130℃、150℃、170℃および190℃夫々の温度(T、単位:℃)におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線(溶融複素粘度の単位はPa・sec、角周波数の単位はrad/secである。)を得る。温度−時間重ね合わせ原理に基づいて、各温度(T)での溶融複素粘度−角周波数曲線を、190℃でのエチレン−α−オレフィン共重合体の溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際に得られる各温度(T)でのシフトファクター(aT)を求め、夫々の温度(T)と、各温度(T)でのシフトファクター(aT)とから、最小自乗法により[ln(aT)]と[1/(T+273.16)]との一次近似式(下記(II)式)を算出する。次に、該一次式の傾きmと下記式(III)とからEaを求める。
ln(aT) = m(1/(T+273.16))+n (II)
Ea = |0.008314×m| (III)
T :シフトファクター
Ea:流動の活性化エネルギー(単位:kJ/mol)
T :温度(単位:℃)
上記計算には、市販の計算ソフトウェアを用いてもよく、該計算ソフトウェアとしては、Rheometrics社製 Rhios V.4.4.4などがあげられる。
なお、シフトファクター(aT)は、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線を、log(Y)=−log(X)軸方向に移動させて(但し、Y軸を溶融複素粘度、X軸を角周波数とする。)、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線に重ね合わせた際の移動量であり、該重ね合わせでは、夫々の温度(T)における溶融複素粘度−角周波数の両対数曲線は、曲線ごとに、角周波数をaT倍に、溶融複素粘度を1/aT倍に移動させる。また、130℃、150℃、170℃および190℃の4点の値から(II)式を最小自乗法で求めるときの相関係数は、通常、0.99以上である。
【0033】
溶融複素粘度−角周波数曲線の測定は、粘弾性測定装置(例えば、Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800など。)を用い、通常、ジオメトリー:パラレルプレート、プレート直径:25mm、プレート間隔:1.5〜2mm、ストレイン:5%、角周波数:0.1〜100rad/秒の条件で行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われ、また、予め酸化防止剤を適量(例えば1000ppm。)を配合された測定試料を用いることが好ましい。
【0034】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の歪硬化の強さを表す伸張粘度非線形指数kは、0.40よりも大きいことが好ましく、より好ましくは0.50よりも大きく、さらに好ましくは0.60よりも大きく、さらにより好ましくは0.70よりも大きい。kが大きいほど、発泡倍率の高い発泡体を得やすい。
【0035】
伸張粘度非線形指数kは、130℃で測定されるHencky歪における1s-1の歪速度で試料を一軸伸張したときの試料の粘度−時間曲線σ(t)を、130℃で測定されるHencky歪における0.1s-1の歪速度で試料を一軸伸張したときの試料の粘度−時間曲線σ0.1(t)で割って得られる曲線
α(t)=σ(t)/σ0.1(t) (5)
に対して、tが1.2秒から1.7秒の間のlnα(t)の傾きとして算出される値である。
【0036】
試料の粘度−時間曲線σ(t)の測定は、粘弾性測定装置(例えば、TAインスツルメント社製ARESなど。)を用いて行われる。なお、測定は窒素雰囲気下で行われる。
【0037】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、下記成分(A)、下記成分(B)、並びに下記成分(C)を接触させて形成される重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法をあげることができる。
【0038】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、下記成分(A)、下記成分(B)、並びに下記成分(C)を接触させて形成される重合触媒の存在下、エチレンとα−オレフィンとを共重合する方法をあげることができる。
【0039】
成分(A):下記式(1)で表される遷移金属化合物

[式中、R1及びRは、それぞれ独立して、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基を表し;R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し;a及びbは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、かつ、a及びbのうち少なくとも1つは1以上の整数を表し;R〜Rがそれぞれ複数ある場合は、複数のR〜Rはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく;Xは、水素原子、ハロゲン原子、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、又は炭素原子数1〜20の置換アミノ基を表し、2つのX1は互いに同じであっても異なっていてもよく;mは1〜5の整数を表し;Jは炭素原子、又はケイ素原子を表し、Jが複数ある場合は、複数のJは互いに同じであっても異なっていてもよく;Rは、水素原子、又は水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
【0040】
成分(B):下記成分(a)、下記成分(b)、下記成分(c)及び下記成分(d)を接触させて形成される固体触媒成分
成分(a):下記式(2)で表される化合物
ZnL (2)
成分(b):下記式(3)で表される化合物



成分(c):H
成分(d):SiO
[式中、Lは、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し;2つのLは互いに同じであっても異なっていてもよく;Rは、電子吸引性基又は電子吸引性基を含有する基を表し;cは1〜5の整数を表し;Rが複数ある場合は、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。]
成分(C):有機アルミニウム化合物
【0041】
式(1)のR1及びRは、それぞれ独立して、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基であり、Rが複数ある場合は、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、Rが複数ある場合は、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0042】
及びRの水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20の置換シリル基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20の置換アミノ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基などが挙げられる。
【0043】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられる。
【0044】
ハロゲン原子で置換された水素原子の一部または全てが炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、2−フロオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基などがあげられる。
【0045】
炭素原子数1〜20の置換シリル基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、トリメチルシリルフェニル基、ビス(トリメチルシリル)フェニル基などがあげられる。
【0046】
炭素原子数1〜20の置換アミノ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、ジメチルアミノフェニル基、ビス(ジメチルアミノ)フェニル基、ジフェニルアミノフェニル基などがあげられる。
【0047】
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n−プロポキシフェニル基、イソプロポキシフェニル基、n−ブトキシフェニル基、sec−ブトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、フェノキシフェニル基などがあげられる。
【0048】
及びRとして好ましくは、炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、フェニル基である。
【0049】
式(1)のR及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、Rが複数ある場合は、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよく、Rが複数ある場合は、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0050】
及びRの水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基などがあげられる。
【0051】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20の置換シリル基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20の置換アミノ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基などがあげられる。
【0052】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ノニル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などがあげられる。
【0053】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などがあげられる。
【0054】
炭素原子数1〜20の置換シリル基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、トリメチルシリルメチル基、トリメチルシリルエチル基、トリメチルシリルプロピル基、トリメチルシリルブチル基、ビス(トリメチルシリル)メチル基、ビス(トリメチルシリル)エチル基、ビス(トリメチルシリル)プロピル基、ビス(トリメチルシリル)ブチル基、トリフェニルシリルメチル基などがあげられる。
【0055】
炭素原子数1〜20の置換アミノ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジメチルアミノ)エチル基、ビス(ジメチルアミノ)プロピル基、ビス(ジメチルアミノ)ブチル基、フェニルアミノメチル基、ジフェニルアミノメチル基などがあげられる。
【0056】
炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、イソプロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、tert−ブトキシメチル基、フェノキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロポキシエチル基、イソプロポキシエチル基、n−ブトキシエチル基、sec−ブトキシエチル基、tert−ブトキシエチル基、フェノキシエチル基、メトキシ−n−プロピル基、エトキシ−n−プロピル基、n−プロポキシ−n−プロピル基、イソプロポキシ−n−プロピル基、n−ブトキシ−n−プロピル基、sec−ブトキシ−n−プロピル基、tert−ブトキシ−n−プロピル基、フェノキシ−n−プロピル基、メトキシイソプロピル基、エトキシイソプロピル基、n−プロポキシイソプロピル基、イソプロポキシイソプロピル基、n−ブトキシイソプロピル基、sec−ブトキシイソプロピル基、tert−ブトキシイソプロピル基、フェノキシイソプロピル基などがあげられる。
【0057】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素原子数7〜20のアラルキル基などがあげられる。
【0058】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基などがあげられる。
【0059】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、2−フロオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−ヨードベンジル基、3−ヨードベンジル基、4−ヨードベンジル基などがあげられる。
【0060】
置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、R及びRの水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基として例示したものと同じものをあげることができる。
【0061】
及びRとして好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくは、水素原子である。
【0062】
式(1)のa及びbは、それぞれ独立して、0〜4の整数を表し、かつ、a及びbのうち少なくとも1つは1以上の整数を表す。
【0063】
式(1)のX1は、水素原子、ハロゲン原子、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、又は炭素原子数1〜20の置換アミノ基を表し、2つのX1は互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などがあげられる。
【0065】
1の水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、R及びRの水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基として例示したものと同じものをあげることができる。
【0066】
1の水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビルオキシ基としては、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基などがあげられる。
【0067】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルコキシ基などがあげられる。
【0068】
炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコソキシ基などがあげられる。
【0069】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、フルオロメチルオキシ基、ジフルオロメチルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、クロロメチルオキシ基、ジクロロメチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、ブロモメチルオキシ基、ジブロモメチルオキシ基、トリブロモメチルオキシ基、ヨードメチルオキシ基、ジヨードメチルオキシ基、トリヨードメチルオキシ基、フルオロエチルオキシ基、ジフルオロエチルオキシ基、トリフルオロエチルオキシ基、テトラフルオロエチルオキシ基、ペンタフルオロエチルオキシ基、クロロエチルオキシ基、ジクロロエチルオキシ基、トリクロロエチルオキシ基、テトラクロロエチルオキシ基、ペンタクロロエチルオキシ基、ブロモエチルオキシ基、ジブロモエチルオキシ基、トリブロモエチルオキシ基、テトラブロモエチルオキシ基、ペンタブロモエチルオキシ基、パーフルオロプロピルオキシ基、パーフルオロブチルオキシ基、パーフルオロペンチルオキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、パーフルオロドデシルオキシ基、パーフルオロペンタデシルオキシ基、パーフルオロエイコシルオキシ基、パークロロプロピルオキシ基、パークロロブチルオキシ基、パークロロペンチルオキシ基、パークロロヘキシルオキシ基、パークロロオクチルオキシ基、パークロロドデシルオキシ基、パークロロペンタデシルオキシ基、パークロロエイコシルオキシ基、パーブロモプロピルオキシ基、パーブロモブチルオキシ基、パーブロモペンチルオキシ基、パーブロモヘキシルオキシ基、パーブロモオクチルオキシ基、パーブロモドデシルオキシ基、パーブロモペンタデシルオキシ基、パーブロモエイコシルオキシ基などがあげられる。
【0070】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基などがあげられる。
【0071】
炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などがあげられる。
【0072】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基としては、例えば、2−フロオロベンジルオキシ基、3−フルオロベンジルオキシ基、4−フルオロベンジルオキシ基、2−クロロベンジルオキシ基、3−クロロベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、2−ブロモベンジルオキシ基、3−ブロモベンジルオキシ基、4−ブロモベンジルオキシ基、2−ヨードベンジルオキシ基、3−ヨードベンジルオキシ基、4−ヨードベンジルオキシ基などがあげられる。
【0073】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換された炭素原子数6〜20のアリールオキシ基などがあげられる。
【0074】
炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などがあげられる。
【0075】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、2−フロオロフェニルオキシ基、3−フルオロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、4−クロロフェニルオキシ基、2−ブロモフェニルオキシ基、3−ブロモフェニルオキシ基、4−ブロモフェニルオキシ基、2−ヨードフェニルオキシ基、3−ヨードフェニルオキシ基、4−ヨードフェニルオキシ基などがあげられる。
【0076】
1の炭素原子数1〜20の置換シリル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された1置換シリル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された2置換シリル基、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された3置換シリル基などがあげられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基などがあげられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された1置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、エチルシリル基、n−プロピルシリル基、イソプロピルシリル基、n−ブチルシリル基、sec−ブチルシリル基、tert−ブチルシリル基、イソブチルシリル基、n−ペンチルシリル基、n−ヘキシルシリル基、フェニルシリル基などがあげられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された2置換シリル基としては、例えば、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジ−n−プロピルシリル基、ジイソプロピルシリル基、ジ−n−ブチルシリル基、ジ−sec−ブチルシリル基、ジ−tert−ブチルシリル基、ジイソブチルシリル基、ジフェニルシリル基などがあげられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された3置換シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリイソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などがあげられる。
【0077】
1の炭素原子数1〜20の置換アミノとしては、例えば、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたアミノ基があげられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基などがあげられる。炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されたアミノ基としては、例えば、フェニルアミノ基、ベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、フェニルエチルアミノ基、フェニルプロピルアミノ基、フェニルブチルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロイソインドリル基などがあげられる。
【0078】
1として好ましくは、塩素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェニル基、フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノキシ基、ベンジル基である。
【0079】
式(1)のmは1〜5の整数である。mとして好ましくは、1又は2である。
【0080】
式(1)のJは、炭素原子、又はケイ素原子を表し、Jが複数ある場合は、複数のJは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0081】
式(1)のRは、それぞれ独立に、水素原子、又は置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基であり、複数のRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0082】
の水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、R及びRの水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基として例示したものと同じものをあげることができる。
【0083】
式(1)の下記式(4)で表される架橋基としては、



例えば、メチレン基、エチリデン基、エチレン基、プロピリデン基、プロピレン基、ブチリデン基、ブチレン基、ペンチリデン基、ペンチレン基、ヘキシリデン基、イソプロピリデン基、メチルエチルメチレン基、メチルプロピルメチレン基、メチルブチルメチレン基、ビス(シクロヘキシル)メチレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、フェニル(メチルフェニル)メチレン基、ジ(メチルフェニル)メチレン基、ビス(ジメチルフェニル)メチレン基、ビス(トリメチルフェニル)メチレン基、フェニル(エチルフェニル)メチレン基、ジ(エチルフェニル)メチレン基、ビス(ジエチルフェニル)メチレン基、フェニル(プロピルフェニル)メチレン基、ジ(プロピルフェニル)メチレン基、ビス(ジプロピルフェニル)メチレン基、フェニル(ブチルフェニル)メチレン基、ジ(ブチルフェニル)メチレン基、フェニル(ナフチル)メチレン基、ジ(ナフチル)メチレン基、フェニル(ビフェニル)メチレン基、ジ(ビフェニル)メチレン基、フェニル(トリメチルシリルフェニル)メチレン基、ビス(トリメチルシリルフェニル)メチレン基、ビス(ペンタフルオロフェニル)メチレン基、シランジイル基、ジシランジイル基、トリシランジイル基、テトラシランジイル基、ジメチルシランジイル基、ビス(ジメチルシラン)ジイル基、ジエチルシランジイル基、ジプロピルシランジイル基、ジブチルシランジイル基、ジフェニルシランジイル基、シラシクロブタンジイル基、シラシクロヘキサンジイル基、ジビニルシランジイル基、ジアリルシランジイル基、(メチル)(ビニル)シランジイル基、(アリル)(メチル)シランジイル基等があげられる。
【0084】
式(4)で表される架橋基として好ましくは、メチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、ビス(シクロヘキシル)メチレン基、ジフェニルメチレン基、ジメチルシランジイル基、ビス(ジメチルシラン)ジイル基、ジフェニルシランジイル基であり、より好ましくは、イソプロピリデン基、ジメチルシランジイル基である。
【0085】
成分(A)の式(1)で表される遷移金属化合物としては、例えば、ジメチルシリレンビス(2−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3−ジフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,5−ジフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(3,4−ジフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,4−トリフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2,3,5−トリフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、およびジメチルシリレンビス(テトラフェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドや、これらの化合物の「ジメチルシリレン」を「メチレン」、「エチレン」、「イソプロピリデン」、「ビス(シクロヘキシル)メチレン」、「ジフェニルメチレン」、「ジメチルシランジイル」、「ビス(ジメチルシラン)ジイル」、または「ジフェニルシランジイル」に置き換えた化合物、「ジクロライド」を「ジフルオライド」、「ジブロマイド」、「ジアイオダイド」、「ジメチル、「ジエチル」、「ジイソプロピル」、「ジフェニル」、「ジベンジル」、「ジメトキシド」、「ジエトキシド」、「ジ(n−プロポキシド)」、「ジ(イソプロポキシド)」、「ジフェノキシド」、または「ジ(ペンタフルオロフェノキシド)」に置き換えた化合物、などがあげられる。
【0086】
成分(A)の式(1)で表される遷移金属化合物として好ましくは、ジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジクロライドである。
【0087】
式(2)のLは、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基を表し、2つのLは、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0088】
Lの水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基としては、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基などがあげられる。
【0089】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基などがあげられる。
【0090】
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基などがあげられる。好ましくは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基又はイソブチル基である。
【0091】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などがあげられる。
【0092】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数7〜20のアラルキル基などがあげられる。
【0093】
炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基などがあげられる。好ましくは、ベンジル基である。
【0094】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、例えば、2−フロオロベンジル基、3−フルオロベンジル基、4−フルオロベンジル基、2−クロロベンジル基、3−クロロベンジル基、4−クロロベンジル基、2−ブロモベンジル基、3−ブロモベンジル基、4−ブロモベンジル基、2−ヨードベンジル基、3−ヨードベンジル基、4−ヨードベンジル基などがあげられる。
【0095】
水素原子の一部または全てが置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で置換された炭素原子数6〜20のアリール基などがあげられる。
【0096】
炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられる。好ましくは、フェニル基である。
【0097】
ハロゲン原子で水素原子の一部または全てが置換された炭素原子数6〜20のアリール基としては、例えば、2−フロオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基などがあげられる。
【0098】
Lとして好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基または炭素原子数6〜20のアリール基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜20のアルキル基である。
【0099】
成分(a)の式(2)で表される化合物としては、例えば、ジアルキル亜鉛、ジアリール亜鉛、ジアルケニル亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛、ハロゲン化アルキル亜鉛等があげられる。ジアルキル亜鉛としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛等があげられる。ジアリール亜鉛としては、例えば、ジフェニル亜鉛、ジナフチル亜鉛、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛等があげられる。ジアルケニル亜鉛としては、例えば、ジアリル亜鉛等があげられる。ハロゲン化アルキル亜鉛としては、例えば、塩化メチル亜鉛、塩化エチル亜鉛、塩化n−プロピル亜鉛、塩化イソプロピル亜鉛、塩化n−ブチル亜鉛、塩化イソブチル亜鉛、塩化n−ヘキシル亜鉛、臭化メチル亜鉛、臭化エチル亜鉛、臭化n−プロピル亜鉛、臭化イソプロピル亜鉛、臭化n−ブチル亜鉛、臭化イソブチル亜鉛、臭化n−ヘキシル亜鉛、よう化メチル亜鉛、よう化エチル亜鉛、よう化n−プロピル亜鉛、よう化イソプロピル亜鉛、よう化n−ブチル亜鉛、よう化イソブチル亜鉛、よう化n−ヘキシル亜鉛等があげられる。
【0100】
成分(a)の式(2)で表される化合物として好ましくは、ジアルキル亜鉛であり、さらに好ましくは、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、またはジ−n−ヘキシル亜鉛であり、特に好ましくはジメチル亜鉛またはジエチル亜鉛である。
【0101】
式(3)のRは電子吸引性基または電子吸引性基を含有する基を表し、Rが複数ある場合は、複数のRは互いに同じであっても異なってもよい。電子吸引性の指標としては、ハメット則の置換基定数σ等が知られており、ハメット則の置換基定数σが正である官能基が電子吸引性基として挙げられる。
【0102】
の電子吸引性基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基、フェニル基等があげられる。Rの電子吸引性基を含有する基としてはハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、(ハロゲン化アルキル)アリール基、シアノ化アリール基、ニトロ化アリール基、エステル基(アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基やアリールオキシカルボニル基)、アシル基等が挙げられる。
【0103】
として好ましくは、ハロゲン原子であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、特に好ましくはフッ素原子である。
【0104】
式(3)のcは1〜5の整数を表す。
【0105】
成分(b)の式(3)で表される化合物としては、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ペンタフルオロフェニルフェノール、パーフルオロ−1−ナフトール、パーフルオロ−2−ナフトール、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,6−ジクロロフェノール、3,4−ジクロロフェノール、3,5−ジクロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール、2,3,5,6−テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェノール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ペンタクロロフェニルフェノール、パークロロ−1−ナフトール、パークロロ−2−ナフトール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,6−ジブロモフェノール、3,4−ジブロモフェノール、3,5−ジブロモフェノール、2,4,6−トリブロモフェノール、2,3,5,6−テトラブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェノール、2,3,5,6−テトラブロモ−4−ペンタブロモフェニルフェノール、パーブロモ−1−ナフトール、パーブロモ−2−ナフトール、2−ヨードフェノール、3−ヨードフェノール、4−ヨードフェノール、2,4−ジヨードフェノール、2,6−ジヨードフェノール、3,4−ジヨードフェノール、3,5−ジヨードフェノール、2,4,6−トリヨードフェノール、2,3,5,6−テトラヨードフェノール、ペンタヨードフェノール、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリヨードメチルフェノール、2,3,5,6−テトラヨード−4−ペンタヨードフェニルフェノール、パーヨード−1−ナフトール、パーヨード−2−ナフトール、2−(トリフルオロメチル)フェノール、3−(トリフルオロメチル)フェノール、4−(トリフルオロメチル)フェノール、2,6−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェノール、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール等が挙げられる。
【0106】
成分(b)の式(3)で表される化合物として好ましくは、3,4,5−トリフルオロフェノールである。
【0107】
成分(d)のSiOは、粒径の整ったものであることが好ましく、成分(d)のSiOの粒径の体積基準の幾何標準偏差は、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.0以下であり、更に好ましくは1.7以下である。
【0108】
SiOの平均粒子径は、通常1〜5000μmであり、好ましくは、5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmであり、更に好ましくは10〜100μmである。細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上であり、より好ましくは0.3〜10ml/gである。比表面積は、好ましくは10〜1000m2/gであり、より好ましくは100〜500m2/gである。
【0109】
また、SiOには通常、表面に水酸基が存在しているが、SiOとして、その表面にある水酸基の活性水素を種々の置換基で置換した改質SiOを使用してもよい。改質SiOとしては、例えば、トリアルキルクロロシラン、トリアリールクロロシラン、ジアルキルジクロロシラン、ジアリールジクロロシラン、アルキルトリクロロシラン、アリールトリクロロシラン、トリアルキルアルコキシシラン、トリアリールアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン、アリールトリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン、アルキルジシラザン、テトラクロロシラン、アルコール、フェノール、ジアルキルマグネシウム、アルキルリチウム等と接触されたSiOがあげられる。トリアルキルクロロシランとしては、例えば、トリメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン等があげられる。トリアリールクロロシランとしては、例えば、トリフェニルクロロシラン等があげられる。ジアルキルジクロロシランとしては、例えば、ジメチルジクロロシラン等があげられる。ジアリールジクロロシランとしては、例えば、ジフェニルジクロロシラン等があげられる。アルキルトリクロロシランとしては、例えば、メチルトリクロロシラン等があげられる。アリールトリクロロシランとしては、例えば、フェニルトリクロロシラン等があげられる。トリアルキルアルコキシシランとしては、例えば、トリメチルメトキシシラン等があげられる。トリアリールアルコキシシランとしては、例えば、トリフェニルメトキシシラン等があげられる。ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン等があげられる。ジアリールジアルコキシシランとしては、例えば、ジフェニルジメトキシシラン等があげられる。アルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。アリールトリアルコキシシランとしては、例えば、フェニルトリメトキシシラン等があげられる。テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン等があげられる。アルキルジシラザンとしては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等があげられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等があげられる。ジアルキルマグネシウムとしては、例えば、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム等があげられる。アルキルリチウムとしては、例えば、ブチルリチウム等があげられる。
【0110】
更に、SiOをトリアルキルアルミニウムと接触した後、さらにジアルキルアミン、アルコール、フェノール等と接触させたSiOを例示することができる。ジアルキルアミンとしては、例えば、ジエチルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0111】
また、SiOは水酸基同士が水素結合することによりSiO自体の強度が高まっていることがある。その場合、表面の水酸基の活性水素全てについて種々の置換基で置換してしまうと、粒子強度の低下等を招く場合がある。よって、SiOの表面の水酸基の活性水素は必ずしも全て置換する必要はなく、表面の水酸基の置換率は適宜決めればよい。表面の水酸基の置換率を変化させる方法は特に限定されない。該方法としては、例えば、SiOと接触させる化合物の使用量を変化させる方法を例示することができる。
【0112】
SiOは、乾燥し実質的に水分が除去されていることが好ましく、加熱処理により乾燥させたものが好ましい。加熱処理は、通常、目視で水分を確認できないSiOについて温度100〜1,500℃で、好ましくは100〜1,000℃で、さらに好ましくは200〜800℃で実施される。加熱時間は、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。加熱乾燥の方法としては、加熱中に乾燥した不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で流通させてSiOを乾燥する方法、SiOを減圧下で加熱減圧する方法等をあげることができる。
【0113】
成分(B)は、成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を互いに接触させて形成されるものである。成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を互いに接触させる順序としては、次の順序があげられる。
<1> 成分(a)と成分(b)とを接触させ、該接触による接触物と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(d)とを接触させる。
<2> 成分(a)と成分(b)とを接触させ、該接触による接触物と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(c)とを接触させる。
<3> 成分(a)と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(b)とを接触させ、該接触による接触物と成分(d)とを接触させる。
<4> 成分(a)と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(b)とを接触させる。
<5> 成分(a)と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(b)とを接触させ、該接触による接触物と成分(c)とを接触させる。
<6> 成分(a)と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(b)とを接触させる。
<7> 成分(b)と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(a)とを接触させ、該接触による接触物と成分(d)とを接触させる。
<8> 成分(b)と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(a)とを接触させる。
<9> 成分(b)と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(a)とを接触させ、該接触による接触物と成分(c)とを接触させる。
<10> 成分(b)と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(c)とを接触させ、該接触による接触物と成分(a)とを接触させる。
<11> 成分(c)と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(a)とを接触させ、該接触による接触物と成分(b)とを接触させる。
<12> 成分(c)と成分(d)とを接触させ、該接触による接触物と成分(b)とを接触させ、該接触による接触物と成分(a)とを接触させる。
【0114】
不活性気体雰囲気下で、成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を互いに接触させることが好ましい。接触温度は、通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は、通常1分間〜200時間であり、好ましくは10分間〜100時間である。また、成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)を互いに接触させるときに溶媒を用いてもよく、溶媒を用いずにこれらの成分を互いに直接接触させてもよい。
【0115】
溶媒を用いる場合、成分(a)、成分(b)、成分(c)および成分(d)、および前記接触工程の途中で形成される接触物と反応しない溶媒を用いる。しかしながら、上述のように、順番に各成分を接触させる場合には、接触工程の途中で形成される接触物と反応する溶媒であっても、該溶媒が該接触工程の他の段階において、その段階で存在する成分と反応しない溶媒であれば、該溶媒は、該溶媒と反応しない成分が存在する段階で使用することができる。つまり、各段階における溶媒は相互に、同じかまたは異なる。該溶媒としては、例えば、非極性溶媒、極性溶媒があげられる。
【0116】
非極性溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒等があげられる。炭化水素溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒等があげられる。脂肪族炭化水素溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、シクロヘキサン等があげられる。芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等があげられる。
【0117】
極性溶媒としては、例えば、ハロゲン化物溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、フェノール系溶媒、カルボニル系溶媒、リン酸誘導体溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロ化合物溶媒、アミン系溶媒、硫黄化合物溶媒等があげられる。ハロゲン化物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジフルオロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン等があげられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチル−エーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等があげられる。アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等があげられる。フェノール系溶媒としては、例えば、フェノール、p−クレゾール等があげられる。カルボニル系溶媒としては、例えば、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等があげられる。リン酸誘導体溶媒としては、例えば、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル等があげられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル等があげられる。ニトロ化合物溶媒としては、例えば、ニトロメタン、ニトロベンゼン等があげられる。アミン系溶媒としては、例えば、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等があげられる。硫黄化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等があげられる。
【0118】
上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、成分(a)、成分(b)および成分(c)を接触させて形成される接触物(以下、「成分(e)」と記載することがある。)を製造する場合の溶媒(以下、「溶媒(s1)」と記載することがある。)として、好ましくは上記の脂肪族炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒またはエーテル系溶媒である。
【0119】
また、成分(e)および成分(d)を接触させる場合の溶媒(以下、「溶媒(s2)」と記載することがある。)として、好ましくは極性溶媒であり、より好ましくは溶媒の極性を表す指標であるETN値が、0.8≧ETN≧0.1を満足する溶媒である。ETN値の定義は、C.Reichardt,“Solvents and Solvents Effects in Organic Chemistry”, 2nd ed., VCH Verlag (1988).に記載されている。
【0120】
かかる極性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロメタンクロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン、無水酢酸、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリエチル、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどがあげられる。
【0121】
溶媒(s2)として更に好ましくは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールであり、特に好ましくは、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロヘキサノールであり、最も好ましくは、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールである。
【0122】
前記溶媒(s2)としては、炭化水素溶媒と極性溶媒との混合溶媒を用いることもできる。炭化水素溶媒としては、上記に脂肪族炭化水素溶媒として例示した化合物や芳香族炭化水素溶媒として例示した化合物が用いられる。炭化水素溶媒と極性溶媒との混合溶媒としては、例えば、ヘキサンとメタノールとの混合溶媒、ヘキサンとエタノールとの混合溶媒、ヘキサンと1−プロパノールとの混合溶媒、ヘキサンと2−プロパノールとの混合溶媒、ヘプタンとメタノールとの混合溶媒、ヘプタンとエタノールとの混合溶媒、ヘプタンと1−プロパノールとの混合溶媒、ヘプタンと2−プロパノールとの混合溶媒、トルエンとメタノールとの混合溶媒、トルエンとエタノールとの混合溶媒、トルエンと1−プロパノールとの混合溶媒、トルエンと2−プロパノールとの混合溶媒、キシレンとメタノールとの混合溶媒、キシレンとエタノールとの混合溶媒、キシレンと1−プロパノールとの混合溶媒、キシレンと2−プロパノールとの混合溶媒などをあげることができる。好ましくは、ヘキサンとメタノールとの混合溶媒、ヘキサンとエタノールとの混合溶媒、ヘプタンとメタノールとの混合溶媒、ヘプタンとエタノールとの混合溶媒、トルエンとメタノールとの混合溶媒、トルエンとエタノールとの混合溶媒、キシレンとメタノールとの混合溶媒、キシレンとエタノールとの混合溶媒である。更に好ましくは、ヘキサンとメタノールとの混合溶媒、ヘキサンとエタノールとの混合溶媒、トルエンとメタノールとの混合溶媒、トルエンとエタノールとの混合溶媒である。最も好ましくはトルエンとエタノールとの混合溶媒である。また、トルエンとエタノールとの混合溶媒における、エタノール分率の好ましい範囲は10〜50体積%であり、更に好ましくは15〜30体積%である。
【0123】
また、上記の<1>、<3>、<7>の各方法において、溶媒(s1)および溶媒(s2)として、共に炭化水素溶媒を用いる場合、成分(a)、成分(b)および成分(c)を接触させた後、得られた成分(e)と成分(d)とを接触させるまでの時間は短い方が好ましい。時間として好ましくは0〜5時間であり、更に好ましくは0〜3時間であり、最も好ましくは0〜1時間である。また、成分(e)と成分(d)とを接触させる温度は、通常−100℃〜40℃であり、好ましくは−20℃〜20℃であり、最も好ましくは−10℃〜10℃である。
【0124】
上記の<2>、<4>、<5>、<6>、<8>、<9>、<10>、<11>、<12>の各方法において溶媒を用いる場合、非極性溶媒が好ましく用いられる。
【0125】
上記成分(a)、(b)および(c)の使用量は、成分(a)、(b)、(c)のモル比率を(a):(b):(c)=1:y:zとするとき、yおよびzが下記式(IV)、(V)および(VI)を満たすようにそれらの成分を用いることが、より高分子量のオレフィン重合体が得られる観点、及び重合活性が高い観点で好ましい。
|2−y−2z|≦1 (IV)
z≧−2.5y+2.48 (V)
y<1 (VI)
[ただし、上記式(IV)〜(VI)において、yおよびzは0よりも大きな数を表す。]
yは好ましくは、0.5〜0.99であり、より好ましくは、0.55〜0.95であり、さらに好ましくは0.6〜0.9であり、最も好ましくは0.7〜0.8である。
【0126】
成分(a)および成分(b)の使用量は、成分(B)に含まれる成分(a)に由来する金属原子が、成分(B)1gあたりに含まれる金属原子のモル数として、好ましくは0.1mmol以上となる量であり、より好ましくは0.5〜20mmolとなる量である。
【0127】
各成分同士の反応をより速く進行させるため、全ての成分を接触させた後に、全ての成分を接触させて得られた接触物の温度を接触工程よりも高くしてもよい。接触物の温度を高くするため、沸点の高い溶媒を使用することが好ましい。接触物の温度を高くする前に、接触工程で用いた溶媒を他のより沸点の高い溶媒に置き換えてもよい。
【0128】
成分(B)には、原料である成分(a)、成分(b)、成分(c)及び成分(d)の少なくとも1種の成分が未反応物として残存していてもよいが、成分(B)の洗浄処理を行って未反応物を除去することが好ましい。洗浄処理を行う際の溶媒は、接触工程で用いる溶媒と同じでも異なっていてもよい。洗浄処理は不活性気体雰囲気下で実施するのが好ましい。
【0129】
また、このような接触工程で得られた接触物や洗浄処理で得られた生成物から溶媒を留去し、その後0℃以上の温度で減圧下1時間〜24時間乾燥を行うことが好ましい。乾燥条件は、より好ましくは0℃〜200℃で1時間〜24時間であり、更に好ましくは10℃〜200℃で1時間〜24時間であり、特に好ましくは10℃〜160℃で2時間〜18時間であり、最も好ましくは15℃〜160℃で4時間〜18時間である。
【0130】
成分(C)の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド、アルキル(ジアルコキシ)アルミニウム、ジアルキル(アルコキシ)アルミニウム、アルキル(ジアリールオキシ)アルミニウム、ジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0131】
トリアルキルアルミニウムとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられる。
【0132】
ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
【0133】
アルキルアルミニウムジクロライドとしては、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、n−ヘキシルアルミニウムジクロライド等が挙げられる。
【0134】
ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−プロピルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジ−n−ヘキシルアルミニウムハイドライド等が挙げられる。
【0135】
アルキル(ジアルコキシ)アルミニウムとしては、メチル(ジメトキシ)アルミニウム、メチル(ジエトキシ)アルミニウム、メチル(ジ−tert−ブトキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0136】
ジアルキル(アルコキシ)アルミニウムとしては、ジメチル(メトキシ)アルミニウム、ジメチル(エトキシ)アルミニウム、ジメチル(tert−ブトキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0137】
アルキル(ジアリールオキシ)アルミニウムとしては、メチル(ジフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0138】
ジアルキル(アリールオキシ)アルミニウムとしては、ジメチル(フェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。
【0139】
これらの有機アルミニウム化合物は、単独で用いても、二種類以上を用いてもよい。
【0140】
有機アルミニウム化合物として好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムであり、更に好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムである。
【0141】
成分(A)の1モルあたりの有機アルミニウム化合物のアルミニウム原子のモル数は、好ましくは、0.1〜1000であり、より好ましくは0.5〜500であり、更に好ましくは1〜100である。
【0142】
また、重合触媒を製造するために、成分(A)、成分(B)、および成分(C)に、電子供与性化合物(以下「成分(D)」と記載することがある。)を接触させてもよい。成分(D)の使用量は、成分(A)のモル数1モルあたりの成分(D)のモル数として、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.1〜50であり、更に好ましくは0.25〜5である。成分(D)と、他の成分とを接触させる順序は任意である。
【0143】
成分(D)としては、トリエチルアミン、トリノルマルオクチルアミンをあげることができる。
【0144】
不活性気体雰囲気下で、成分(A)、成分(B)、および成分(C)と、必要に応じて、成分(D)とを接触させることが好ましい。接触温度は通常−100〜300℃であり、好ましくは−80〜200℃である。接触時間は通常1分〜200時間であり、好ましくは30分〜100時間である。また、各成分を重合反応槽に別々に投入して、重合反応槽内で成分同士を接触させてもよい。
【0145】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法としては、気相重合法、スラリー重合法、バルク重合法などがあげられる。好ましくは、気相重合法であり、より好ましくは連続気相重合法である。該重合法に用いられる気相重合反応装置としては、通常、流動層型重合反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型重合反応槽を有する装置である。重合反応槽内に撹拌翼が設置されていてもよい。
【0146】
重合触媒を形成するために用いる各成分、または各成分を接触させて得られた重合触媒を重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で、各成分または重合触媒を溶媒に溶解した溶液の状態、あるいは各成分または重合触媒を溶媒で稀釈したスラリーの状態で供給する方法が用いられる。
【0147】
エチレンとα−オレフィンを気相重合する場合、重合温度としては、通常、生成するエチレン−α−オレフィン共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。重合反応槽には、不活性ガスを導入してもよく、分子量調節剤として水素を導入してもよい。また、成分(D)を導入してもよい。
【0148】
重合に用いる炭素原子数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセンなどがあげられる。これらは単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンである。エチレンと炭素原子数3〜20のα−オレフィンとの組み合せとしては、エチレンと1−ブテンとの組み合せ、エチレンと1−ヘキセンとの組み合せ、エチレンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合せ、エチレンと1−オクテンとの組み合せ、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの組み合せ、エチレンと1−ブテンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合せ、エチレンと1−ブテンと1−オクテンとの組み合せ、エチレンと1−ヘキセンと1−オクテンとの組み合せ等があげられ、好ましくはエチレンと1−ブテンとの組み合せ、エチレンと1−ヘキセンとの組み合せ、エチレンと4−メチル−1−ペンテンとの組み合せ、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの組み合せ、エチレンと1−ブテンと1−オクテンとの組み合せ、エチレンと1−ヘキセンと1−オクテンとの組み合せである。
【0149】
また、エチレンとα−オレフィンとを共重合するときに、本発明の効果を損なわない範囲において、他の単量体を重合反応槽に導入し、該他の単量体とエチレンとα−オレフィンとを共重合してもよい。該他の単量体としては、例えば、ジオレフィン、環状オレフィン、アルケニル芳香族炭化水素、α,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸の金属塩、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル、不飽和ジカルボン酸、ビニルエステル、不飽和カルボン酸グリシジルエステル等があげられる。
【0150】
ジオレフィンとしては、例えば、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,5−シクロオクタジエン、5,8−エンドメチレンヘキサヒドロナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロオクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン等があげられる。
【0151】
環状オレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等があげられる。
【0152】
アルケニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレン等のアルケニルベンゼン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレン等のアルキルスチレン、ジビニルベンゼン等のビスアルケニルベンゼン、1−ビニルナフタレン等のアルケニルナフタレン等があげられる。
【0153】
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等があげられる。
【0154】
α,β−不飽和カルボン酸の金属塩としては、例えば、前記α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等があげられる。
【0155】
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等があげられる。
【0156】
不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸等があげられ、ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等があげられる。
【0157】
不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル等があげられる。
【0158】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法において、成分(A)、成分(B)、および成分(C)と、必要に応じて、成分(D)とを用いて得られる重合触媒を用いて、少量のオレフィンを重合(以下、予備重合と称する。)して得られた予備重合触媒を用いて、オレフィンを重合することもできる。
【0159】
予備重合で用いられるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどをあげることができる。これらは単独で用いても、2種類以上を用いてもよい。好ましくは、エチレンのみ、あるいはエチレンとα−オレフィンとを併用して、更に好ましくは、エチレンのみ、あるいは1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンとエチレンとを併用して用いられる。
【0160】
予備重合触媒中の予備重合された重合体の含有量は、予備重合触媒を製造するために使用した成分(B)1g当たり、好ましくは0.01〜1000gであり、より好ましくは0.05〜500gであり、更に好ましくは0.1〜200gである。
【0161】
予備重合方法としては、連続重合法でもバッチ重合法でもよく、例えば、バッチ式スラリー重合法、連続式スラリー重合法、連続気相重合法である。予備重合を行う重合反応槽に、成分(A)、成分(B)、および成分(C)と、必要に応じて、成分(D)とを投入する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で投入する方法、各成分を溶媒に溶解した溶液の状態または各成分を溶媒で稀釈したスラリーの状態で供給する方法が用いられる。
【0162】
予備重合をスラリー重合法で行う場合、溶媒としては、通常、飽和炭化水素化合物が用いられ、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等があげられる。これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いられる。飽和炭化水素化合物としては、常圧における沸点が100℃以下のものが好ましく、常圧における沸点が90℃以下のものがより好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンが更に好ましい。
【0163】
また、スラリー濃度としては、溶媒1リットル当たりの成分(B)の量が、通常0.1〜600gであり、好ましくは0.5〜300gである。予備重合温度は、通常−20〜100℃であり、好ましくは0〜80℃である。また、予備重合中の気相部でのオレフィン類の分圧は、通常0.001〜2MPaであり、好ましくは0.01〜1MPaである。予備重合時間は、通常2分間〜15時間である。
【0164】
予備重合触媒を重合反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、予備重合触媒を溶媒に溶解した状態または予備重合触媒を溶媒で稀釈したスラリー状態で供給する方法が用いられる。
【0165】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体には、必要に応じて、公知の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等があげられる。
【0166】
本発明の樹脂組成物は、必要に応じ、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体とは異なる熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを含有してもよい。熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーとしては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、スチレン・ブタジエンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレンブロック共重合体およびその水素添加物などのスチレン系重合体、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル類、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・66などのポリアミド類、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、エチレン・プロピレン共重合ゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。本発明において樹脂組成物中に含まれる重合体を、樹脂材料と称することもある。樹脂組成物が重合体として本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体のみを含む場合は、樹脂材料とはエチレン−α−オレフィン共重合体であり、樹脂組成物が本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体以外の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーを含むとき、樹脂材料とは、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体と、これら熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーとの混合物である。
【0167】
特に本発明で得られる架橋発泡体や、後述する圧縮架橋発泡体を靴底や靴底部材に用いる場合、ゴムや塩ビシート等他部材との接着が必要となることが多いため、架橋発泡体を製造するために用いる樹脂組成物は、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレン−不飽和エステル系共重合体を含むことが好ましい。本発明の樹脂組成物がエチレン−不飽和エステル系共重合体を含む場合、その含有量は、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を100重量部とするとき、該共重合体100重量部に対し、25〜900重量部であることが好ましく、40〜400重量部であることがより好ましい。
【0168】
本発明の発泡体製造用樹脂組成物は、前記発泡用エチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料と、分解温度が120〜240℃である熱分解型発泡剤とを含有する。該熱分解型発泡剤は特に限定されるものではなく、公知の熱分解型発泡剤が使用できる。また複数の熱分解型発泡剤を併用してもよい。
【0169】
熱分解型発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等の無機系発泡剤;アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、アゾビスブチロニトリル、ニトロジグアニジン、N,N’-ジニトロペンタメチレンテトラミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソテレフタルアミド、p-トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセルカルバジド、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジッド、5-フェニルテトラゾール、トリヒドラジノトリアジン、ヒドラゾジカルボンアミド等の有機系発泡剤等が挙げられる。これらの中でもアゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを用いることが経済性の観点から好ましい。成形温度範囲が広いことや、気泡が微細な架橋発泡体が得られることから、アゾジカルボンアミドおよび炭酸水素ナトリウムを含有する発泡剤を用いることが特に好ましい。
【0170】
本発明における熱分解型発泡剤は、分解温度が120〜240℃である。熱分解型発泡剤の分解温度は、JIS K0064に準拠した方法で求めることができる。分解温度が200℃より高い熱分解型発泡剤を使用する場合には、発泡助剤を併用することにより分解温度を200℃以下に下げて使用することが好ましい。発泡助剤としては、酸化亜鉛、酸化鉛などの金属酸化物;炭酸亜鉛等の金属炭酸塩;塩化亜鉛等の金属塩化物;尿素;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、二塩基性フタル酸鉛等の金属石鹸;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート等の有機錫化合物;三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛等の無機塩類をあげることができる。
【0171】
熱分解型発泡剤として、熱分解型発泡剤と発泡助剤と樹脂とから構成されるマスターバッチを用いることもできる。マスターバッチに用いられる樹脂の種類は本発明の効果が阻害されなければ特に限定はされないが、本発明の樹脂組成物に含まれるエチレン−α−オレフィン共重合体、または高圧法低密度ポリエチレンであることが好ましい。マスターバッチに含有される熱分解型発泡剤および発泡助剤の合計量は、該マスターバッチに含まれる樹脂を100重量部とするとき、通常5〜100重量部である。
【0172】
より微細な気泡を有する発泡体を得るためには、発泡剤とともに、発泡核剤を用いることが好ましい。発泡核剤としてはタルク、シリカ、マイカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、アルミノシリケート、クレー、石英粉、珪藻土類の無機充填剤;ポリメチルメタクリレートまたはポリスチレンからなる粒径100μm以下のビーズ;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属塩を例示することができ、これらを2種類以上組み合わせてもよい。
【0173】
本発明の発泡体製造用樹脂組成物は、樹脂材料100重量部と、該樹脂材料100重量部に対し、熱分解型発泡剤を1〜80重量部含有することが好ましく、10〜70重量部含有することがより好ましい。
【0174】
本発明の樹脂組成物は、樹脂材料および熱分解型発泡剤と、さらに有機過酸化物を含んでいてもよい。有機過酸化物は、樹脂組成物に含まれる樹脂材料の流動開始温度以上の温度である1分間半減期温度を有することが好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ−ターシャリーブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−ターシャリーブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−ターシャリーブチルパーオキシヘキシン、α,α−ジ−ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、ターシャリーブチルパーオキシケトン、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエートなどがあげられる。有機過酸化物の含量は、樹脂組成物に含まれる樹脂材料の総量を100重量部として、通常、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部である。
【0175】
1分間半減期温度が120〜220℃である有機過酸化物が好ましく、140〜190℃である有機過酸化物がより好ましい。
【0176】
また、ここでいう樹脂材料の流動化開始温度とは、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、試料8〜12mgをアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、40℃で2分間保持した後に5℃/分で150℃まで昇温した時に観測される融解ピークの中で最も高い温度の融解ピーク位置の温度よりも10℃低い温度、とする。
【0177】
本発明の樹脂組成物は、架橋助剤を含んでいてもよい。架橋助剤としては、分子内に二重結合を複数持つ化合物が好ましく用いられる。架橋助剤としては、例えば、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、p−キノンジオキシム、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルメタクリレート等を挙げることができる。また、これらの架橋助剤は、複数を組み合せて使用してもよい。
【0178】
樹脂組成物中の架橋助剤の量は、樹脂組成物に含まれる樹脂材料100重量部に対して、0.01〜4.0重量部であることが好ましく、0.05〜2.0重量部であることがより好ましい。
【0179】
本発明の樹脂組成物は、発泡助剤を含んでいてもよい。該発泡助剤としては、尿素を主成分とした化合物;酸化亜鉛、酸化鉛等の金属酸化物;サリチル酸、ステアリン酸等などの高級脂肪酸;該高級脂肪酸の金属化合物などがあげられる。発泡助剤の使用量は、発泡剤と発泡助剤との合計を100重量%として、好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。
【0180】
本発明の樹脂組成物は、耐熱安定剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、充填材、顔料(酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;パルプ等の繊維物質など)、難燃剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
【0181】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料と、熱分解型発泡剤とを含む樹脂組成物、ならびに、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料と、熱分解型発泡剤と、有機過酸化物とを含む樹脂組成物は、架橋発泡体を製造するための材料として好適である。まず、電離性放射線によって架橋発泡体を製造する方法を説明する。
【0182】
<電子線架橋発泡体の製造方法>
まず、前記したいずれかの樹脂組成物に電離性放射線を照射して、架橋された中間体(i)を形成する。使用する樹脂組成物は、予め各成分を混練して得られた樹脂組成物であってもよい。予め各成分を混練して得られたシート状の樹脂組成物を用いることが好ましい。各成分を混練する場合は、熱分解型発泡剤が分解しない温度であって、樹脂材料が可塑化される温度で混練すればよい。エチレン−α−オレフィン共重合体と、熱分解型発泡剤と、有機過酸化物とを予め混練した樹脂組成物を用いる場合には、各成分を混練しているときに有機過酸化物による架橋反応が進行しないように各成分を混練することが好ましい。混練工程が終了した後、有機過酸化物による架橋反応が進行してもよい。
【0183】
架橋された中間体(i)の形状は特に限定されない。例えばシートである中間体(i)を得る方法としては、カレンダーロールで樹脂組成物をシートに成形する方法、プレス成形機で樹脂組成物をシートに成形する方法、樹脂組成物をTダイまたは環状ダイから押出してシートに成形する方法などがあげられる。混練温度は、熱分解型発泡剤の分解温度より50℃以上低く、かつ樹脂材料の流動化開始温度よりも高い温度であることが好ましい。各成分を混練する温度は、100〜150℃であることが好ましく、より好ましくは110〜140℃である。
【0184】
電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線、中性子線、X線などが挙げられる。これらのうちコバルト−60のγ線、または電子線が好ましい。中間体(i)がシート状である場合、電離性放射線は該中間体(i)の少なくとも一面へ照射すればよい。
【0185】
電離性放射線の照射は、公知の電離性放射線照射装置を用いて行われ、照射量は、通常5〜300kGyであり、好ましくは30〜200kGyである。本発明の樹脂組成物を用いると、従来の発泡用樹脂組成物を用いて架橋発泡体を製造する場合に比べて、少ない放射線照射量で、発泡倍率に優れる架橋発泡体を製造することができる。
【0186】
次に、架橋された中間体(i)を加熱することによって、架橋された中間体(i)を発泡させて、架橋発泡体を形成する。
【0187】
架橋された中間体(i)を加熱して発泡させる方法としては、公知の方法を適用することができ、縦型熱風発泡法、横型熱風発泡法、横型薬液発泡法等の架橋された中間体(ii)を連続的に加熱発泡処理できる方法が好ましい。中間体(i)を加熱する温度は、熱分解型発泡剤が分解する温度以上であればよく、好ましくは、熱分解型発泡剤の分解温度から5〜50℃高い温度である。中間体(i)を加熱する温度は、好ましくは100〜150℃であり、より好ましくは110〜140℃である。また、加熱時間は、架橋された中間体(i)をオーブンで加熱する場合、通常3〜7分である。
【0188】
また、エチレン−α−オレフィン共重合体、熱分解型発泡剤および有機過酸化物を含む樹脂組成物を用いる場合、中間体(i)を加熱する温度は、有機過酸化物の1分間半減期温度±30℃の温度であることが好ましい。
【0189】
樹脂組成物に電離性放射線を照射する工程を含む方法によって得られる架橋発泡体を、電子線架橋発泡体と称することもある。
【0190】
<有機過酸化物架橋発泡体の製造方法>
次に、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料、熱分解型発泡剤および有機過酸化物を含む樹脂組成物を用いて架橋発泡体を製造する他の方法を説明する。
該方法は、以下の工程を含む。
樹脂組成物を型内に供給する工程、
型内の樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化および架橋された中間体(ii)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(ii)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【0191】
型内に供給する樹脂組成物は、予め以下の処理をして得られた樹脂組成物であることが好ましい。
まず、樹脂材料、熱分解型発泡剤および有機過酸化物の混合物を、熱分解型発泡剤の分解温度以下であって、有機過酸化物の1分間半減期温度以下であって、かつ樹脂材料の流動化開始温度以上である温度で、ミキシングロール、ニーダー、押出機等によって可塑化することが好ましい。混合物を可塑化する温度は、90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜140℃であり、さらに好ましくは105〜120℃である。可塑化した混合物を冷却して、樹脂組成物を得る。得られた樹脂組成物を、型に供給する。
【0192】
加圧プレス機等により型内の樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化および架橋された中間体(ii)を形成する。樹脂組成物を加熱する温度は、有機過酸化物の1分間半減期温度以上であって、熱分解型発泡剤の分解温度以上であって、かつ樹脂材料の融点以上の温度であることが好ましい。樹脂組成物を加熱する温度は、130〜220℃であることが好ましく、より好ましくは140〜190℃であり、さらに好ましくは150〜180℃である。ここでいう樹脂材料の融点とは、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計DSC−7型装置を用い、試料8〜12mgをアルミパンに詰めて150℃で2分間保持した後に5℃/分で40℃まで降温し、40℃で2分間保持した後に5℃/分で150℃まで昇温した時に観測される融解ピークの中で最も高い温度の融解ピーク位置の温度、とする。
【0193】
型の型締め圧力は50〜300kgf/cm2であることが好ましく、保圧時間は10〜60分程度が好ましい。
次いで、型を開くと中間体(ii)が発泡し、架橋発泡体を得ることができる。
【0194】
次に、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料、熱分解型発泡剤および有機過酸化物を含む樹脂組成物を用いて架橋発泡体を製造する他の方法を説明する。
該方法は、以下の工程を含む。
樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化された中間体(iii)を形成する工程、
可塑化された中間体(iii)を型に供給し、型内の中間体(iii)を加圧および加熱することによって中間体(iii)を架橋して、可塑化および架橋された中間体(iv)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(iv)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【0195】
可塑化された中間体(iii)を形成する工程は、射出成形機のシリンダー内で行うことができる。樹脂組成物を加熱する温度は、樹脂材料の流動開始温度以上であって、熱分解型発泡剤の分解温度以下であって、かつ有機過酸化物の1分間半減期温度以下であることが好ましい。樹脂組成物を加熱する温度は、90〜150℃であることが好ましく、より好ましくは100〜140℃であり、さらに好ましくは105〜120℃である。
【0196】
中間体(iii)を型に供給し、型内の中間体(iii)を加圧および加熱することによって中間体(iii)を架橋して、可塑化および架橋された中間体(iv)を形成する。型の温度は、樹脂材料の融点以上であり、有機過酸化物の1分間半減期温度以上であり、かつ熱分解型発泡剤の分解温度以上であることが好ましい。型の温度は、130〜220℃であることが好ましく、より好ましくは140〜210℃であり、さらに好ましくは150〜200℃である。型の型締め圧力は50〜300kgf/cm2であることが好ましく、保圧時間は10〜60分程度が好ましい。
【0197】
最後に型を開くことによって中間体(iv)を発泡させて、架橋発泡体を得る。
【0198】
樹脂材料、熱分解型発泡剤および有機過酸化物を含む樹脂組成物を用いて、前記したいずれかの方法で得られる架橋発泡体を、有機過酸化物架橋発泡体と称することもある。有機過酸化物架橋発泡体を更に圧縮して、圧縮架橋発泡体を得ることができる。通常130〜200℃で、5〜60分間、30〜200kg/cmの荷重を有機過酸化物架橋発泡体に印加することで、圧縮架橋発泡体が得られる。履物用部材の一種であるミッドソールには、本発明の圧縮架橋発泡体がより好適である。
【0199】
本発明の有機過酸化物架橋発泡体や圧縮架橋発泡体は、所望の形状に裁断して使用してもよく、バフかけ加工して使用してもよい。
【0200】
本発明の有機過酸化物架橋発泡体や圧縮架橋発泡体は、他の層と積層して多層積層体としてもよい。他の層を構成する材料としては、塩化ビニル樹脂材料、スチレン系共重合体ゴム材料、オレフィン系共重合体ゴム材料(エチレン系共重合体ゴム材料、プロピレン系共重合体ゴム材料など)、天然皮革材料、人工皮革材料、布材料などがあげられ、これらの材料は、少なくとも1種の材料が用いられる。
【0201】
これら多層積層体の製造方法としては、例えば、有機過酸化物架橋発泡体または圧縮架橋発泡体と、別途成形した他の層とを、熱貼合あるいは化学接着剤などによる貼合する方法などがあげられる。該化学接着剤としては公知のものが使用できる。その中でも特にウレタン系化学接着剤やクロロプレン系化学接着剤などが好ましい。またこれら化学接着剤による貼合の際に、プライマーと呼ばれる下塗り剤を、他の層および/または架橋発泡体に事前に塗布してもよい。
【0202】
本発明の方法で得られる有機過酸化物架橋発泡体および圧縮架橋発泡体は良好な耐疲労性を示す。そのため、有機過酸化物架橋発泡体および圧縮架橋発泡体からなる層、または前記層と他の層とが積層された多層の成形体は、靴、サンダルなどの履き物の部材などとして好適に用いることができる。履き物用部材としては、ミッドソール、アウターソール、インソールなどがあげられる。また有機過酸化物架橋発泡体および圧縮架橋発泡体は、断熱材、緩衝材などの建築資材などにも用いられる。
【0203】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体と物理発泡剤とを材料として用いて、該材料を押出成形や射出成形することによって、無架橋発泡体を得ることができる。
【0204】
物理発泡剤としては、メタノール、エタノール、プロパン、ブタン、ペンタンなどの低沸点有機溶剤の蒸気;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、フロン、三フッ化窒素などのハロゲン系不活性溶剤の蒸気;二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、アスタチンなどの不活性ガスが挙げられる。
【0205】
また、エチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料と熱分解型発泡剤とを含む本発明の樹脂組成物を押出成形や射出成形、プレス成形することによって、無架橋発泡体を得ることができる。
【0206】
エチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料と熱分解型発泡剤とを含む本発明の樹脂組成物と、物理発泡剤とを材料として用いて、該材料を押出成形や射出成形、プレス成形することによって、無架橋発泡体を得ることができる。この場合、樹脂組成物に含まれる熱分解型発泡剤の量は、樹脂材料100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好ましい。
【0207】
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む材料を用いて得られる無架橋発泡体および電離性放射線架橋発泡体は、緩衝材、断熱材、遮音材、保温保冷材等に好適に用いられる。
【実施例】
【0208】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例での物性は、次の方法に従って測定した。
【0209】
(1)密度(d、単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
【0210】
(2)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
【0211】
(3)メルトフローレート比(MFRR)
JIS K7210−1995に規定された方法において、試験荷重211.82N、測定温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(H−MFR)と、JIS K7210−1995に規定された方法において、荷重21.18Nおよび温度190℃の条件で測定されるメルトフローレート(MFR)とを測定し、H−MFRをMFRで除した値を求めた。
【0212】
(4)スウェル比(SR)
(2)のメルトフローレートの測定において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、オリフィスから15〜20mm程度の長さで押出したエチレン−α−オレフィン共重合体のストランドを、空気中で冷却し、固体状のストランドを得た。次に、該ストランドの押出し上流側先端から約5mmの位置でのストランドの直径D(単位:mm)を測定し、その直径Dをオリフィス径2.095mm(D0)で除した値(D/D0)を算出し、スウェル比とした。
【0213】
(5)分子量分布(Mw/Mn)
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件(1)〜(8)により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが最初に出現する時点よりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが最後に観測された時点よりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
(1)装置:Waters製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH6−HT
(3)測定温度:140℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(7)検出器:示差屈折計
(8)分子量標準物質:標準ポリスチレン
【0214】
(6)長鎖分岐数(NLCB、単位:1/1000C)
カーボン核磁気共鳴法によって、次の測定条件により、カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定し、下記算出方法より求めた。
<測定条件>
装置 :Bruker社製 AVANCE600
測定溶媒:1,2−ジクロロベンゼン/1,2−ジクロロベンゼン−d4
=75/25(容積比)の混合液
測定温度:130℃
測定方法:プロトンデカップリング法
パルス幅:45度
パルス繰り返し時間:4秒
測定基準:トリメチルシラン
窓関数 :負の指数関数
<算出方法>
5〜50ppmに観測されるすべてのピークの面積の総和を1000として、38.22〜38.27ppm付近にピークトップを有するピークのピーク面積を求めた。当該ピークのピーク面積は、前記範囲にある最も高磁場側にあるピークと、該ピークよりも高磁場側で該ピークと隣接するピークとの谷のケミカルシフトから、前記範囲にある最も低磁場側にあるピークと、該ピークよりも低磁場側で該ピークと隣接するピークとの谷のケミカルシフトまでの範囲でのシグナルの面積とした。なお、本条件によるエチレン−α−オレフィン共重合体の測定では、炭素原子数5の分岐が結合したメチン炭素に由来するピークのピークトップの位置は、38.21ppmであった。
【0215】
(7)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置(Rheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800)を用いて、下記測定条件で130℃、150℃、170℃および190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線を測定し、次に、得られた溶融複素粘度−角周波数曲線から、Rheometrics社製計算ソフトウェア Rhios V.4.4.4を用いて、190℃での溶融複素粘度−角周波数曲線のマスターカーブを作成し、活性化エネルギー(Ea)を求めた。
<測定条件>
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:25mm
プレート間隔:1.5〜2mm
ストレイン :5%
角周波数 :0.1〜100rad/秒
測定雰囲気 :窒素
【0216】
(8)g*
以下の式(I)によってg*を求めた。
g*=[η]/([η]GPC×gSCB*) (I)
[式中、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表し、下記式(I−I)によって定義される。[η]GPCは下記式(I−II)によって定義される。gSCB*は、下記式(I−III)によって定義される。
[η]=23.3×log(ηrel) (I−I)
(式中、ηrelは、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度を表す。)
[η]GPC=0.00046×Mv0.725 (I−II)
(式中、Mvは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量を表す。)
SCB*=(1−A)1.725 (I−III)
(式中、Aは、エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐量から求められる。)]
[η]GPCは、g*を測定するエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布と同一の分子量分布であって、かつ分子鎖が直鎖状であると仮定したエチレン重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表す。
SCB*は、エチレン−α−オレフィン共重合体に短鎖分岐が存在することによって生じるg*への寄与を表す。
式(I−II)は、L. H. Tung著 Journal of Polymer Science, 36, 130 (1959) 287-294頁に記載された式を用いた。
エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度(ηrel)は、熱劣化防止剤としてブチルヒドロキシトルエン(BHT)を5重量%含むテトラリン溶液100mlに、エチレン−α−オレフィン共重合体100mgを135℃で溶解してサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて測定される該サンプル溶液の降下時間と、熱劣化防止剤としてBHTを0.5重量%のみを含むテトラリン溶液からなるブランク溶液の降下時間から算出した。
エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、下式(I−IV)

で定義される。式中、α=0.725とした。ここで分子量Mμの分子数をnμとする。
式(I−III)中のAについては、短鎖分岐に含まれる炭素原子数をnとし、NMRないしは赤外分光より求められる炭素原子数1000個あたりの短鎖分岐数をyとした時、
A=((12×n+2n+1)×y)/((1000−2y−2)×14+(y+2)×15+y×13)
として見積もった。
エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐数は、赤外吸収スペクトルから求めた。尚、測定ならびに計算は、文献(Die Makromoleculare Chemie, 177, 449 (1976) McRae, M. A., Madams, W. F. )記載の方法に従い、α−オレフィン由来の特性吸収を利用して実施した。エチレン−α−オレフィン共重合体の赤外吸収スペクトルは、赤外分光光度計(日本分光工業社製FT−IR7300)を用いて測定した。
【0217】
(9)伸張粘度
試料をプレス成形して得た18mm×10mm、厚さ0.7mmのシ一トを試験片に用いた。
【0218】
伸張粘度測定装置(TAインスツルメント社製ARES)を用いて、0.1s−1と1s−1のHencky速度で、130℃での試験片の伸張粘度−時間曲線を測定した。測定は窒素雰囲気下で行った。
130℃で測定されるHencky歪における1s-1の歪速度で試料を一軸伸張したときの試料の伸張粘度−時間曲線σ(t)を、130℃で測定されるHencky歪における0.1s-1の歪速度で試料を一軸伸張したときの試料の伸長粘度−時間曲線σ0.1(t)で割って得られる曲線
α(t)=σ(t)/σ0.1(t) (5)
に対して、tが1.2秒から1.7秒の間のlnα(t)の傾きを、伸張粘度非線形指数kとした。
【0219】
(10)メルトテンション(MT、単位:cN)
東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、190℃の温度および0.32g/分の押出速度で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからエチレン−α−オレフィン共重合体を溶融押出し、該押出された溶融したエチレン−α−オレフィン共重合体を引取ロールにより6.3(m/分)/分の引取上昇速度でフィラメント状に引取り、張力を測定した。引取開始からフィラメント状のエチレン−α−オレフィン共重合体が切断するまでの間の最大張力をメルトテンションとした。
【0220】
(11)電子線架橋発泡体の密度(d、単位:Kg/m3
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、発泡体試料にはアニーリングは行わなかった。
【0221】
(12)電子線架橋発泡体の発泡倍率(単位:倍)
上記の(1)密度の方法で求めた樹脂の密度と(11)で求めた発泡体密度から、下記式により算出した。
発泡倍率=樹脂の密度/発泡体の密度
【0222】
(13)電子線架橋発泡体の引張衝撃強度(単位:kJ/m2
ASTM D1822−61T記載のS型ダンベル形状で試験片を打抜き、引張試験機(株式会社エー・アンド・ディ社製 CIT−150T−20)にチャック間距離が20mmとなるように試験片を固定し、所定の速度(ハンマー角度150°)で、試験を行った。測定データよりx軸を歪量、y軸を応力として、応力−歪量曲線を作成し、得られた応力−歪量曲線を用い、応力−歪量曲線の終点(破断時の点)を通りy軸(歪量が0の直線)に平行な直線と、x軸(応力が0の直線)と、応力−歪量曲線とに囲まれる部分の面積から、破断エネルギー(単位:kJ)を求めた。また試験前の試験片における最も幅の狭い部分の断面積(単位:m)を求め、該断面積と破断エネルギーから、引張破断強度(単位kJ/m)を求めた。試験は23℃で行った。
【0223】
(14)有機過酸化物架橋発泡体の密度(単位:Kg/m3
ASTM−D297に従って測定した。この値が小さいほど、軽量性に優れる。
【0224】
(15)有機過酸化物架橋発泡体のスキンオフ硬度(単位:なし)
食品用スライサー(株式会社なんつね製、HBC−2型)を用いて、架橋発泡体の表面(スキンオン面)から2mm分のスキンを剥離した。スキンを剥離することによって表面となった面を、スキンオフ面と称することもある。スキンオフ面について、ASTM−D2240に従って、C法硬度計にて測定した。
【0225】
(16)有機過酸化物架橋発泡体の圧縮永久歪(単位:%)
架橋発泡体を裁断して、2.5cm×2.5cm×1.0cmのサンプルを得た。該サンプルの厚みを1.0cmから5mmに圧縮し、その状態を維持したまま、50℃に調整したオーブン中で6時間放置した。脱圧後、サンプルを室温にて30分間放置した。その後、サンプルの厚みt[mm]を測定し、下式に従い圧縮永久歪を求めた。4つのサンプルを測定し、4つの値の平均値を測定値とした。この値が小さいほど、耐疲労性に優れる。
圧縮永久歪(%)={(10−t)/(10−5)}×100
【0226】
[重合例1]
(1)固体触媒成分(B)の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、反応器を5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、反応器内の成分を5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、洗浄した固体生成物にトルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
【0227】
反応器中の上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)1.73kgとヘキサン1.02kgとを投入し、撹拌し、混合物を得た。その後、混合物を5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.78kgとトルエン1.44kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、反応器内の成分を5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、反応器内の成分を22℃に冷却し、H2O0.11kgを反応器の温度を22℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、反応器内の成分を22℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌し、スラリーを得た。室温にて、スラリーの量が16Lとなるまでスラリーの上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌し、スラリーを得た。室温にて、スラリーから上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、洗浄した固体生成物を乾燥することにより、固体触媒成分(B)を得た。
【0228】
(2)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.001MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを30g、重合溶媒としてブタンを720g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.035mol%、1−ブテン=3.38mol%であった。これに、濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウム(C)のヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度2μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 0.25mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分(B)5.1mgを投入した。オートクレーブ内の全圧が一定となるようにエチレンガスをフィードしながら70℃で、1時間、エチレンと1−ブテンとを共重合した。その結果、エチレン−1−ブテン共重合体35gが得られた。得られた共重合体は全て均一になるようにロールで混練し、物性の評価を行なった。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0229】
[重合例2]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.002MPaになるように加え、1−ヘキセンを100ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.09mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度を1μmol/mlに調整したジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分8.3mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.07mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体65gを得た。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0230】
[重合例3]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧がおよそ0.004MPaになるように加え、1−ヘキセンを100ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.17mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分15.3mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.04mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体113gを得た。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0231】
[重合例4]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧がおよそ0.004MPaになるように加え、1−ヘキセンを100ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.24mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分6.2mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.09mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。重合終了後の系内のガス組成は、水素=0.28mol%であった。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体33gを得た。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0232】
[重合例5]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧がおよそ0.007MPaになるように加え、1−ヘキセンを100ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.31mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分7.0mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.07mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体48gを得た。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0233】
[重合例6]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧がおよそ0.009MPaになるように加え、1−ヘキセンを100ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.42mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分10.3mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.07mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体54gを得た。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0234】
[重合例7]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.001MPaになるように加え、1−ヘキセンを60ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が0.8MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.06mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分13mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.05mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体37gを得た。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表1に示した。
【0235】
[重合例8]
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.002MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.032mol%、1−ブテン=2.74mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、遷移金属化合物(A)として、濃度を2μmol/mlに調整したジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)のトルエン溶液 0.75mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分(B)15.2mgを投入した。オートクレーブ内の全圧が一定となるようにエチレンガスをフィードしながら70℃で、1時間エチレンと1−ブテンとを共重合した。その結果、エチレン−1−ブテン共重合体119gが得られた。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表2に示した。
【0236】
[重合例9]
(1)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.002MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを55g、重合溶媒としてブタンを695g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.096mol%、1−ブテン=2.90mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、遷移金属化合物(A)として、濃度2μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)のトルエン溶液 0.75mlを投入した。続いて、電子供与性化合物(D)として濃度0.1mol/lのトリエチルアミンのトルエン溶液0.9mlを投入し、その後、上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分(B)9.0mgを投入した。オートクレーブ内の全圧が一定となるようにエチレンガスをフィードしながら70℃で、1時間エチレンと1−ブテンとを共重合した。その結果、エチレン−1−ブテン共重合体40gが得られた。得られた共重合体は重合例1と同様にロール混練を行った。ロール混練後、得られた共重合体の物性評価の結果を表2に示した。
【0237】
[比較重合例1]
(1)固体触媒成分の調製
窒素置換した攪拌機付きの反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948)9.68kgを入れた。トルエンを100リットル加えた後、反応器を2℃に冷却した。反応器の温度を2℃に保ちながら、メチルアルモキサンのトルエン溶液(2.9M)26.3リットルを一時間かけて滴下した。5℃にて反応器内の成分を30分間攪拌した後、90分間かけて反応器を95℃まで加熱し、さらに95℃で4時間攪拌を行った。その後反応器を40℃へ冷却した後、40分間静置し、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた。固体成分に、トルエン100リットルを加え、10分間攪拌した後、攪拌を停止して静置し固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除く洗浄操作を行った。以上の洗浄操作を計3回行った。さらに、トルエン100リットルを加え、攪拌を行った後、攪拌を止めると同時に反応器内の成分をろ過した。この操作をもう1回行い、固体成分を得た。固体成分にヘキサン110リットルを加え、攪拌を行った後、攪拌を止めると同時に反応器内の成分をろ過した。この操作をもう一度行い、固体成分を得た。その後、窒素流通下70℃で7時間固体成分を乾燥して、固体触媒成分12.6kgを得た。固体触媒成分を元素分析した結果、Al=4.4mmol/gであった。
【0238】
(2)固体重合触媒の調製
窒素置換した内容積200ミリリットルの攪拌機付きの四つ口フラスコに、比較重合例1(1)で得た固体触媒成分 7.7g、トルエン 50mlを加えてスラリーを形成した。濃度5.3μmol/mlのラセミ−ジメチルシリレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを38ml、濃度2.5μmol/mlのメソ−ジメチルシリレンビス(2−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを2.6mlスラリーに加え(ラセミ/メソ比=96.9/3.1)、室温で1時間攪拌を行った。得られたスラリーを減圧下50℃で9時間乾燥を行うことにより、固体重合触媒7.8gを得た。
【0239】
(3)重合
減圧乾燥後、アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内に、140℃で6時間減圧乾燥処理をしたNaClを32.6g投入した後、内部を真空にし、水素をその分圧が0.017MPaになるように加え、コモノマーとして1−ブテンを6g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、モノマーとしてエチレンを、オートクレーブ内部の圧力が2.0MPaになるように加え、系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.80mol%、1−ブテン=4.75mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度を1mol/lに調整したトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.3mlを投入した。次に、比較例3(2)で調整した固体重合触媒を42.7mg投入した。重合中はオートクレーブ内の全圧、およびガス中の水素、1−ブテン濃度が一定となるように、エチレン、水素および1−ブテンの混合ガス(水素=0.50mol%、1−ブテン=5.0mol%)を連続的に供給しながら70℃で、2時間エチレンと1−ブテンとを共重合した。その結果、エチレン−1−ブテン共重合体56gが得られた。得られた共重合体は製造例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表2に示した。
【0240】
[比較重合例2]
(1)固体触媒成分の調製
窒素置換した攪拌機付きの反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948)9.68kgを入れた。トルエンを100リットル加えた後、反応器を2℃に冷却した。反応器の温度を2℃に保ちながら、メチルアルモキサンのトルエン溶液(2.9M)26.3リットルを一時間かけて滴下した。反応器内の成分を5℃にて30分間攪拌した後、90分間かけて95℃まで加熱し、さらに95℃で4時間攪拌を行った。その後反応器を40℃へ冷却した後、40分間静置し、固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除いた。得られた固体成分に、トルエン100リットルを加え、10分間攪拌した後、攪拌を停止して静置し固体成分を沈降させ、上層のスラリー部分を取り除く洗浄操作を行った。以上の洗浄操作を計3回行った。さらに、トルエン100リットルを加え、攪拌を行った後、攪拌を止めると同時に反応器内の成分をろ過した。この操作をもう1回行い、固体成分を得た。固体成分にヘキサン110リットルを加え、攪拌を行った後、攪拌を止めると同時に反応器内の成分をろ過した。この操作をもう一度行い、固体成分を得た。その後、窒素流通下70℃で7時間固体成分を乾燥して、固体触媒成分12.6kgを得た。固体触媒成分を元素分析した結果、Al=4.4mmol/gであった。
【0241】
(2)スラリー状触媒成分の調製
窒素置換した100mlのガラス製フラスコに濃度2μmol/mlのジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液 12.5mlと、濃度2μmol/mlのジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液 1mlを投入し、その後、上記(1)で調製した固体触媒成分を200mg加え、室温で5分間フラスコ内の成分同士を反応させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除いた後、残留物をヘキサンで2回洗浄し、洗浄後の残留物にヘキサンを加えて6mlのヘキサンスラリーとした。
【0242】
(3)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ヘキセンを180ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.33mol%)を、混合ガスの分圧が1.6MPaになるように加え、系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.15mol%であった。オートクレーブに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、上記(2)で調製したスラリー状触媒成分を6ml投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.33mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体71gを得た。得られた共重合体は製造例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体の物性評価の結果を表2に示した。
【0243】
【表1】

-*:未測定
【0244】
【表2】

-*:未測定
【0245】
[実施例1]
(1)固体触媒成分(B)の調製
窒素置換した撹拌機を備えた反応器に、窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)2.8kgとトルエン24kgとを入れて、撹拌した。その後、反応器を5℃に冷却した後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン0.9kgとトルエン1.4kgとの混合溶液を反応器の温度を5℃に保ちながら30分間で滴下した。滴下終了後、反応器内の成分を5℃で1時間撹拌し、次に95℃に昇温し、95℃で3時間撹拌し、ろ過した。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで6回、洗浄を行った。その後、洗浄した固体生成物にトルエン7.1kgを加えスラリーとし、一晩静置した。
【0246】
上記で得られたスラリーに、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(ジエチル亜鉛濃度:50重量%)1.73kgとヘキサン1.02kgとを投入し、撹拌し、混合物を得た。その後、混合物を5℃に冷却した後、3,4,5−トリフルオロフェノール0.78kgとトルエン1.44kgとの混合溶液を、反応器の温度を5℃に保ちながら60分間で滴下した。滴下終了後、反応器内の成分を5℃で1時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で1時間撹拌した。その後、反応器内の成分を22℃に冷却し、H2O0.11kgを反応器の温度を22℃に保ちながら1.5時間で滴下した。滴下終了後、反応器内の成分を22℃で1.5時間撹拌し、次に40℃に昇温し、40℃で2時間撹拌し、更に80℃に昇温し、80℃で2時間撹拌し、スラリーを得た。室温にて、スラリーの量が16Lとなるまでスラリーの上澄み液を抜き出し、トルエン11.6kgを投入し、次に、95℃に昇温し、4時間撹拌し、スラリーを得た。室温にて、スラリーから上澄み液を抜き出し、固体生成物を得た。得られた固体生成物をトルエン20.8kgで4回、ヘキサン24リットルで3回、洗浄を行った。その後、洗浄した固体成分を乾燥することにより、固体触媒成分(B)を得た。
【0247】
(2)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.003MPaになるように加え、1−ヘキセンを120ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.08mol%であった。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分15.8mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.05mol%)を連続的に供給しながら、70℃で80分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体192gを得た。得られた共重合体は全て均一になるようにロールで混練し、物性の評価を行なった。混練して得られた共重合体(以下PE(1))の物性評価の結果を表3に示した。
【0248】
(3)架橋発泡体の成形
上記PE(1)100重量部と、該PE(1)ペレット100重量部に対して、熱分解型発泡剤であるアゾジカルボンアミド<ADCA>(三協化成(株)製 商品名 セルマイクCE;分解温度208℃)20重量部、ステアリン酸亜鉛1.5重量部、およびヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバジャパン(株)製 商品名IRGANOX1010)0.5重量部を約120℃に設定したブラベンダーで回転数25rpmで混練し、混練物を得た。混練物を130℃のプレス上の金型に投入し、15分熱した後、熱した混練物を130℃で約5MPaで加圧し、次いで加熱加圧した混練物を冷却して厚み2mmの未架橋かつ未発泡のシートを得た。次に、該シートに電子線加速器により800kvで照射量が30kGyとなるように電離性放射線を照射し、未発泡の架橋シートを得た。該架橋シートを220℃のオーブンにて加熱し、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性を表4に示す。
【0249】
[実施例2]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、水素をその分圧が0.001MPaになるように加え、1−ヘキセンを60ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。ガスクロマトグラフィー分析の結果、系内のガス組成は、水素=0.06mol%であった。オートクレーブに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分13.0mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.05mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体37gを得た。得られた共重合体は実施例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体(以下PE(2))の物性評価の結果を表3に示した。
【0250】
(2)架橋発泡体の成形
PE(1)の代わりにPE(2)を用いた以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性を表4に示す。
【0251】
[実施例3]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ヘキセンを140ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を65℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。オートクレーブに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分36mgを投入した。重合中は、エチレンガスを連続的に供給しながら、65℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレンをパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体193gを得た。得られた共重合体は実施例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体(以下PE(3))の物性評価の結果を表3に示した。
【0252】
(2)架橋発泡体の成形
PE(1)の代わりにPE(3)を用いた以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性を表4に示す。
【0253】
[比較例1]
(1)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付き反応器に、常温下でブタン80リットルを投入し、次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド32.4mmolを投入した。その後、反応器内の温度を50℃まで上昇させ、2時間攪拌した。反応器内の温度を30℃まで降温し、エチレンを0.1kg、水素を常温常圧換算したときに0.1Lとなる量を投入した。次に、実施例1(1)に記載の方法と同様にして調製した、固体触媒成分697gを投入した。その後、トルエン300mlに溶解したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド2.59mmolを投入した。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム140mmolを投入してエチレンの重合を開始した。
【0254】
まず、反応器内の重合温度30℃で0.5時間エチレンを重合し、その後30分かけて反応器内の温度を50℃まで昇温して、50℃でエチレンを重合した。最初の0.5時間は、エチレンを0.6kg/hrで供給し、水素を常温常圧換算したときに0.7リットル/hrとなる速度で供給し、重合開始後0.5時間からは、エチレンを3.2kg/hr、水素を常温常圧として9.6リットル/hrの速度で供給し、合計6時間の予備重合を実施した。重合終了後、反応器内圧力を0.6MPaGまでパージし、得られたスラリー状予備重合触媒成分を乾燥器に移送して、窒素流通下で乾燥して、予備重合触媒成分を得た。該予備重合触媒成分中のエチレン重合体の予備重合量は、固体触媒成分1g当り21.3gであり、予備重合触媒成分の嵩密度は461kg/m3であった。
【0255】
(2)気相重合
連続式流動床気相重合装置を用い、重合温度:86℃、圧力:2.0MPaG、ホールドアップ量:80kg、ガス組成:エチレン85.9mol%、水素1.11mol%、1−ヘキセン1.39mol%、窒素11.5mol%、循環ガス線速度:0.34m/s、上記(1)で得た予備重合触媒成分の供給量:96.1g/hr、トリイソブチルアルミニウムの供給量:20mmol/hrの条件で、エチレンと1−ヘキセンとの共重合を行い、19.6kg/hrの生成速度でエチレン−1−ヘキセン共重合体の粒子を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体の粒子を押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体(以下PE(4))を得た。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体を用いた物性評価の結果を表3に示した。
【0256】
(3)架橋発泡体の成形
PE(1)の代わりにPE(4)を用いた以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性を表4に示す。
【0257】
[比較例2]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ヘキセンを180ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が1.6MPaになるように加え系内を安定させた。オートクレーブに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度2μmol/mlのジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液 3mlと、濃度1μmol/mlのジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライドのトルエン溶液 0.1mlを投入し、続いて上記実施例1(1)で得られた固体触媒成分62.4mgを投入した。重合中は、エチレンと水素との混合ガス(水素=0.0758mol%)を連続的に供給しながら、70℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを共重合した。その後、ブタン、エチレン、水素をパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。得られた共重合体は実施例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体(以下PE(5))の物性評価の結果を表3に示した。
【0258】
(2)架橋発泡体の成形
PE(1)の代わりにPE(5)を用いた以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性を表4に示す。
【0259】
[比較例3]
(1)気相重合
上記比較例1(1)で得た予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ブテン、1−ヘキセンを共重合し、共重合体パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を81.4℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を1.82%、エチレンと1−ブテンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ブテンモル比を2.46%、1−ヘキセンモル比をそれぞれ0.76%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量を80kgに維持した。平均重合時間4hrであった。得られた共重合体パウダーを押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン−1−ブテン共重合体(以下PE(6))を得た。得られた共重合体の物性評価の結果を表3に示した。
【0260】
(2)架橋発泡体の成形
PE(1)の代わりにPE(6)を用いた以外は実施例1と同様にして、架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性を表4に示す。
【0261】
【表3】

【0262】
【表4】

-*:未測定
【0263】
エチレン−α−オレフィン共重合体および熱分解型発泡剤を含む本発明の樹脂組成物に電離性放射線を照射し、加熱することによって得られる架橋発泡体は、発泡倍率および強度に優れる。
【0264】
[実施例4]
(1)重合
減圧乾燥後アルゴンで置換した内容積3リットルの撹拌機付きオートクレーブ内を真空にし、1−ヘキセンを160ml、重合溶媒としてブタンを650g仕込み、オートクレーブ内の温度を70℃まで昇温した。その後、エチレンを、その分圧が2.0MPaになるように加え系内を安定させた。これに、有機アルミニウム化合物(C)として濃度1mol/lのトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液 0.9mlを投入した。次に、濃度1μmol/mlのジメチルシリレンビス(3−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(ラセミ/メソ比=49.2/50.8)(A)のトルエン溶液 1mlを投入し、続いて上記重合例1(1)で得られた固体触媒成分15.3mgを投入した。重合中は、エチレンガスを連続的に供給しながら、65℃で60分間エチレンと1−ヘキセンとを重合した。その後、ブタン、エチレンをパージして、エチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。同様の重合操作を5回繰り返し、合計466gのエチレン−1−ヘキセン共重合体を得た。5回の重合で得られた共重合体は均一になるように、重合例1と同様にロール混練を行った。混練して得られた共重合体(以下PE(7))の物性評価の結果を表5に示した。
【0265】
【表5】

−は測定未実施。
【0266】
(2)発泡成形
実施例4の重合で得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体PE(7)60重量部とエチレン−酢酸ビニル共重合体(ザ・ポリオレフィン・カンパニー社製 コスモセン H2181[MFR=2g/10分、密度=940kg/m3、酢酸ビニル単位量=18重量%];以下、EVA(1)と称する。)40重量部と、PE(7)およびEVA(1)の合計100重量部に対し重質炭酸カルシウム10重量部と、ステアリン酸1.0重量部と、酸化亜鉛1.0重量部と、熱分解型発泡剤(三協化成株式会社製 セルマイクCE)4.9重量部と、ジクミルパーオキサイド0.7重量部とを、ロール混練機を用いて、ロール温度120℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を15cm×15cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で該樹脂組成物を発泡成形させることにより架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表6に示す。
【0267】
[比較例4]
(1)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付き反応器に、常温下でブタン80リットルを投入し、次に、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド32.4mmolを投入した。その後、反応器内の温度を50℃まで上昇させ、反応器内の成分を2時間攪拌した。反応器内の温度を30℃まで降温し、エチレンを0.1kg、水素を常温常圧換算で0.1Lとなる量を投入した。次に、特開2009-79182号公報の実施例1(1)および(2)に記載の方法と同様にして調製した、粒子状固体触媒成分697gを投入した。その後、トルエン300mlに溶解したジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド2.59mmolを投入した。系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム140mmolを投入して、エチレンの重合を開始した。
【0268】
エチレンの重合開始後、反応器内の温度を30℃で0.5時間運転を行い、その後30分かけて50℃まで昇温して、その後は50℃でエチレンを重合した。最初の0.5時間は、エチレンを0.6kg/hrで供給し、水素を常温常圧換算で0.7リットル/hrとなる速度で供給し、重合開始後0.5時間からは、エチレンを3.2kg/hr、水素を常温常圧として9.6リットル/hrの速度で供給し、合計6時間、エチレンを予備重合した。重合終了後、反応器内圧力を0.6MPaGまでパージし、スラリー状予備重合触媒成分を乾燥器に移送して、窒素流通下で乾燥して、予備重合触媒成分を得た。該予備重合触媒成分中のエチレン重合体の予備重合量は、粒子状固体触媒成分1g当り21.3gであり、予備重合触媒成分の嵩密度は461kg/m3であった。
【0269】
(2)気相重合
上記予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンとを共重合して、共重合体パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を80℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を0.46%、エチレンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ヘキセンモル比を1.9%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量を80kgに維持した。平均重合時間4hrであった。得られたエチレン−1−ヘキセン共重合体の粒子を押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体(PE(8))を得た。得られた共重合体の物性を表5に示した。
【0270】
(3)発泡成形
比較例4の重合で得られたエチレン−α−オレフィン共重合体PE(8)60重量部とEVA(1)40重量部と、PE(8)およびEVA(1)の合計100重量部に対し重質炭酸カルシウム10重量部と、ステアリン酸1.0重量部と、酸化亜鉛1.0重量部と、熱分解型発泡剤(三協化成株式会社製 セルマイクCE)3.6重量部と、ジクミルパーオキサイド0.7重量部とを、ロール混練機を用いて、ロール温度120℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を15cm×15cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で該樹脂組成物を発泡成形させることにより架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表6に示す。
【0271】
[比較例5]
(1)予備重合触媒成分の調製
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブに、ブタン80リットルを投入した後、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド109mmolを投入し、オートクレーブを50℃まで昇温してオートクレーブ内の成分を2時間撹拌した。次にオートクレーブを30℃まで降温して系内が安定した後、エチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.03MPa分仕込み、実施例1に記載の固体触媒成分(B)0.7kgを投入し、続いてトリイソブチルアルミニウム158mmolを投入してエチレンの重合を開始した。エチレンを0.7kg/Hrで連続供給しながら30分経過した後、オートクレーブの温度を50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素をそれぞれ3.5kg/Hrと10.2リットル(常温常圧体積)/Hrで連続供給することによって合計4時間、エチレンを重合した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスなどをパージして残った固体を室温にて真空乾燥し、上記固体触媒成分(B)1g当り15gのポリエチレンが予備重合された予備重合触媒成分を得た。
【0272】
(2)エチレン−α−オレフィン共重合体の製造
上記予備重合触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンとを共重合して、共重合体パウダーを得た。重合条件としては、重合温度を80℃、重合圧力を2MPa、エチレンに対する水素モル比を0.4%、エチレンと1−ヘキセンとの合計に対する1−ヘキセンモル比を1.6%とした。重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、1−ヘキセン、水素を連続的に供給した。また、上記予備重合触媒成分とトリイソブチルアルミニウムを連続的に供給し、流動床の総パウダー重量を80kgに維持した。平均重合時間4hrであった。得られた共重合体パウダーを押出機(神戸製鋼所社製 LCM50)を用いて、フィード速度50kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度50%、サクション圧力0.1MPa、樹脂温度200〜230℃の条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体(PE(9))を得た。得られた共重合体の物性を表5に示した。
【0273】
(3)発泡成形
比較例5の重合で得られたエチレン−α−オレフィン共重合体PE(9)60重量部とEVA(1)40重量部と、PE(9)およびEVA(1)の合計100重量部に対し、重質炭酸カルシウム10重量部と、ステアリン酸1.0重量部と、酸化亜鉛1.0重量部と、熱分解型発泡剤(三協化成株式会社製 セルマイクCE)3.3重量部と、ジクミルパーオキサイド0.7重量部とを、ロール混練機を用いて、ロール温度120℃、混練時間5分間の条件で混練を行い、樹脂組成物を得た。該樹脂組成物を15cm×15cm×2.0cmの金型に充填し、温度165℃、時間30分間、圧力150kg/cm2の条件で該樹脂組成物を発泡成形させることにより架橋発泡体を得た。得られた架橋発泡体の物性評価結果を表6に示す。
【0274】
【表6】

【0275】
有機過酸化物によって重合体を架橋して得られる架橋発泡体は、履き物の部材として好適である。架橋発泡体を履き物の部材として使用する場合、硬度が30〜60程度であり、製品においては硬度をあわせることが必要であり、その条件を満たしたうえで、密度が小さく、かつ圧縮永久歪みが小さい架橋発泡体が求められる。エチレン−α−オレフィン共重合体、熱分解型発泡剤および有機過酸化物を含む本発明の樹脂組成物を架橋発泡させて得られる有機過酸化物架橋発泡体は、硬度が同程度である比較例の架橋発泡体と比べて、密度が小さく、圧縮永久歪も小さい。有機過酸化物を含む本発明の樹脂組成物を架橋発泡させて得られる有機過酸化物架橋発泡体は、履き物部材として好適である。
【産業上の利用可能性】
【0276】
本発明により、種々の発泡体の製造方法において好適に使用できる発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体および発泡体製造用樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンに基づく単量体単位と炭素原子数3〜20のα−オレフィンに基づく単量体単位を有する発泡体製造用エチレン−α−オレフィン共重合体であって、メルトフローレートが0.1〜100g/10分であり、密度が850〜940kg/m3であり、分子量分布が2〜12であり、スウェル比が1.61以上であり、下記式(I)で定義されるg*が0.50〜0.78であるエチレン−α−オレフィン共重合体。
g* = [η] / ( [η]GPC x gSCB* ) (I)
[式中、[η]は、エチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度(単位:dl/g)を表し、下記式(I−I)によって定義される。[η]GPCは、下記式(I−II)によって定義される。gSCB*は、下記式(I−III)によって定義される。
[η] = 23.3 x log (ηrel) (I-I)
(式中、ηrelは、エチレン−α−オレフィン共重合体の相対粘度を表す。)
[η]GPC = 0.00046 x Mv0.725 (I-II)
(式中、Mvは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粘度平均分子量を表す。)
gSCB* = (1-A)1.725 (I-III)
(式中、Aは、エチレン−α−オレフィン共重合体中の短鎖分岐量から求められる。)]
【請求項2】
発泡体製造用樹脂組成物であって、請求項1に記載のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む樹脂材料100重量部と、該樹脂材料100重量部に対し、分解温度が120〜240℃である熱分解型発泡剤を1〜80重量部含有する樹脂組成物。
【請求項3】
さらに有機過酸化物を樹脂材料100重量部に対し、0.02〜3重量部含有する請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
架橋発泡体の製造方法であって、以下の工程からなる方法。
請求項2または3に記載の樹脂組成物に電離性放射線を照射して、架橋された中間体(i)を形成する工程、および
架橋された中間体(i)を加熱することによって、架橋された中間体(i)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【請求項5】
架橋発泡体の製造方法であって、以下の工程からなる方法。
請求項3に記載の樹脂組成物を型内に供給する工程、
型内の樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化および架橋された中間体(ii)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(ii)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程
【請求項6】
架橋発泡体の製造方法であって、以下の工程からなる方法。
請求項3に記載の樹脂組成物を加圧および加熱して、可塑化された中間体(iii)を形成する工程、
可塑化された中間体(iii)を型に供給し、型内の中間体(iii)を加圧および加熱することによって中間体(iii)を架橋して、可塑化および架橋された中間体(iv)を形成する工程、および
型を開くことによって中間体(iv)を発泡させて、架橋発泡体を形成する工程

【公開番号】特開2011−241389(P2011−241389A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92732(P2011−92732)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】