説明

発泡剤としてハロゲン化オレフィンを含有するポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体のための非シリコーン界面活性剤

本発明は、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体、並びにそれらの製造法を提供する。より詳細には、本発明は、連続気泡ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体、及びそれらの製造法に関する。発泡体は細かい均一な気泡構造であり且つ気泡の崩壊がほとんど又はまったくないという特徴を有する。該発泡体は、ヒドロハロオレフィン発泡剤、ポリオール、非シリコーン界面活性剤を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれない界面活性剤成分、及びt−アミン触媒の組み合わせを含むポリオールプレミックス組成物を用いて製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2007年10月12日付け同時係属米国仮特許出願第60/979,477号(参照することによって本明細書中に援用されるものとする)に基づく利益を請求する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体並びにそれらの製造法に関する。より詳細には、硬質ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体並びにそれらの製造法であって、これらの発泡体は細かい均一な気泡構造であり、且つ気泡のつぶれがほとんど又はまったくないという特徴を有する。発泡体は、有機ポリイソシアネート及びポリオールプレミックス組成物で製造され、ポリオールプレミックス組成物は発泡剤(好ましくはヒドロハロオレフィン)、ポリオール、非シリコーン界面活性剤を含み、シリコーン界面活性剤を実質的に含まない界面活性剤成分、及びt−アミン触媒の組み合わせを含む。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記載
低密度硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体として知られる種類の発泡体は、屋根用システム、建築用パネル、建築用囲い断熱材、冷蔵庫及び冷凍庫を含む様々な断熱用途に有用である。硬質ポリウレタン発泡体の大規模な商業的用途において重要なファクターは、バランスよく諸性質を提供する能力であった。硬質ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体は、顕著な耐熱性、すぐれた耐火性及び適度に低い密度ですぐれた構造的性質を提供することが知られている。発泡体業界は、加工条件での使用が容易であることから、液体フルオロカーボン発泡剤を歴史的に用いてきた。フルオロカーボンは、それらの揮発性により発泡剤として作用するばかりでなく、硬質発泡体の独立気泡構造に封入され又は取り込まれ、硬質ウレタン発泡体の低い熱伝導性に大きく貢献する。フルオロカーボンを好ましい商業的な膨張剤又は発泡剤として断熱発泡体用途に用いることは、部分的には、製造される発泡体に伴って得られるk−係数に基づく。k−係数は、材料の2つの表面を垂直に横切って1℃の差がある場合の1時間で1インチ厚さの均質材料1平方フィートを伝導することによる熱エネルギー伝達速度として定義される。独立気泡ポリウレタン型発泡体の有用性は、部分的には、それらの断熱性に基づくので、より低いk−係数発泡体をもたらす材料を特定するのが好都合である。
【0004】
発泡剤、触媒、界面活性剤及び他の任意成分の存在下で、ポリイソシアネートをポリオールと反応させることによって、硬質ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体を製造することは本技術分野において公知である。発泡剤には、炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、又はCO発生物質が含まれる。ポリイソシアネートがポリオールと反応するとき熱が発生し、液体混合物に含まれる発泡剤を気化させ、それによって気泡を該混合物中に形成する。重合反応が進むにつれて、液体混合物は気泡状固体となり、発泡体の気泡中に発泡剤を封じ込める。界面活性剤が発泡組成物に用いられなければ、気泡は、発泡体を形成することなく液体混合物を単に通過するだけであるか、又は有用性のない、大きくて不規則的な気泡を有する発泡体を形成する。発泡剤は、地球温暖化係数の低いものが好ましい。これらの中では、ヒドロハロオレフィン(HFO)、なかでもトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)に特に関心がもたれており、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HFCO)、なかでも1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)に特に関心がもたれている。1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造法は米国特許第7,230,146号及び第7,189,884号に開示されている。1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造法は、米国特許第6,844,475号及び同第6,403,847号に開示されている。
【0005】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体用成分を予備ブレンド配合物の形で提供することは多くの用途において好都合である。最も一般的には、発泡体配合物は2つの成分に予備ブレンドされる。ポリイソシアネート及び任意成分としてのイソシアネート適合性原料は、一般に「A」成分と呼ばれる第1成分を構成する。ポリオール、又はポリオール、界面活性剤、触媒、発泡剤、及び他のイソシアネート反応性及び非反応性成分の混合物は、一般に「B」成分と呼ばれる第2成分を構成する。従って、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体は、A及びB副成分を、少量調製のためのハンドミックス、及び好ましくは機械混合方法のいずれかによって混合して、ブロック、スラブ、ラミネート、現場注入発泡パネル等、吹付け発泡体、泡等を形成することにより容易に製造される。他の成分、例えば難燃剤、着色剤、補助発泡剤、及び他のポリオールを混合ヘッド又は反応場に任意的に加えることができる。しかしながら、それらを全て1つのB成分へ混合するのが最も好都合である。
【0006】
2成分系、特に、HFO−1234ze及びHFCO−1233zdを含む特定のヒドロハロオレフィンを用いる系の欠点は、B副組成物の保存寿命である。通常、発泡体がA及びB成分を混合することによって製造されるとき、良好な発泡体が得られる。しかしながら、ポリイソシアネートを用いる処理の前に、ポリオールプレミックス組成物が養生されると、発泡体は低品質のものとなり、さらに発泡体の形成中に気泡がつぶれる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,230,146号
【特許文献2】米国特許第7,189,884号
【特許文献3】米国特許第6,844,475号
【特許文献4】米国特許第6,403,847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
問題の発端は、発泡剤の部分的な分解を引き起こす特定のアミン触媒とHFO−1234ze及びHFCO−1233zdを含む特定のヒドロハロオレフィンとの反応であることを今般見出した。発泡剤の分解後に、通常のシリコーン界面活性剤の分子量が害を生じるように変化して、劣悪な発泡体構造をもたらすことが見出された。
【0009】
発泡剤、界面活性剤及び触媒を分離することによって、例えば発泡剤、アミン触媒又は界面活性剤をポリイソシアネート(「A」成分)に加えることによって、あるいは発泡剤、アミン触媒又は界面活性剤を「A」又は「B」成分とは別の流れ(a separate stream)を用いて導入することによって問題を解消することは可能であるが、その一方で、好ましい解決法は、発泡体が製造される途中での再配合又は変更を必要としない方法である。今般、非シリコーン界面活性剤を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれない界面活性剤成分が、発泡剤、例えばトランスHFO−1234ze及びHFCO−1233zdを含むヒドロハロオレフィンによって害が生じるように変化せず、そのことによってポリオールブレンドが養生されても良質な発泡体を製造できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の記載
本発明は、発泡剤、ポリオール、非シリコーン界面活性剤を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれない界面活性剤成分、及び第3アミン触媒の組み合わせを含むポリオールプレミックス組成物であって、発泡剤がヒドロハロオレフィン、及び、任意的に炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、CO発生物質、又はそれらの組み合わせを含む組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、発泡剤、ポリオール、非シリコーン界面活性剤を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれない界面活性剤成分、及び第3アミン触媒の組み合わせを含むポリオールプレミックス組成物の形成方法であって、発泡剤がヒドロハロオレフィン、及び、任意的に炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、CO発生物質、又はそれらの組み合わせを含む方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、有機ポリイソシアネートをポリオールプレミックス組成物と反応させることを含むポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体の製造法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発泡剤成分は、好ましくはHFO−1234ze及びHFCO−1233zdの少なくとも1つを含む、ヒドロハロオレフィン、及び任意的に炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、エーテル、フッ素化エステル、エステル、アルデヒド、ケトン、CO発生物質、又はそれらの組み合わせを含む。
【0014】
ヒドロハロオレフィンは、3〜4個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むフルオロアルケン又はクロロアルケンのような少なくとも1種のハロアルケンを含んでなることが好ましい。好ましいヒドロハロオレフィンには、限定されないが、トリフルオロプロペン、HPF−1234のようなテトラフルオロプロペン、HFO−1225のようなペンタフルオロプロペン、HFO−1233のようなクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、及びそれらの組み合わせが含まれる。本発明の化合物は、不飽和末端炭素が2つ以上のF又はCl置換基を持たないテトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン及びクロロトリフルオロプロペン化合物であるのがより好ましい。例えば、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze);1,1,3,3−テトラフルオロプロペン;1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye);1,1,1−トリフルオロプロペン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225zc);1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロブト−2−エン、及び1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye);1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yez);1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd);1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン、又はこれらの組み合わせ、並びにこれらのいずれかの及び全ての構造異性体、幾何学的異性体、もしくは立体異性体である。
【0015】
好ましいヒドロハロオレフィンは、好ましくは150以下、より好ましくは100以下、さらにより好ましくは75以下の地球温暖化係数(GWP)を有する。本明細書中に使用される「GWP」は、「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の世界的オゾン調査及び監視プロジェクトの報告」(参照することによって本明細書中に記載されたものとする)中に規定されているように、二酸化炭素の地球温暖化係数に対して、及び100年の対象期間にわたって測定される。好ましいヒドロハロオレフィンのオゾン破壊係数(ODP)は、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.02以下、さらにより好ましくはほぼゼロである。本明細書中に使用される「ODP」は、「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の世界的オゾン調査及び監視プロジェクトの報告」(参照することによってここに記載されたものとする)中に規定されているとおりである。
【0016】
好ましい任意成分である発泡剤には、限定されないが、例えば水、ギ酸、イソシアネートと反応するときCOを生じる有機酸;炭化水素;エーテル、ハロゲン化エーテル;ペンタフルオロブタン;ペンタフルオロプロパン;ヘキサフルオロプロパン;ヘプタフルオロプロパン;トランス−1,2−ジクロロエチレン;ギ酸メチル;1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン;1,1,1,2−テトラフルオロエタン;1,1,2,2−テトラフルオロエタン;1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,3、−ヘプタフルオロプロパン;トリクロロフルオロメタン;ジクロロジフルオロメタン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン;ジフルオロメタン;ジフルオロエタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン;1,1−ジフルオロエタン;イソブタン;n−ペンタン;イソペンタン;シクロペンタン、又はそれらの組み合わせが含まれる。発泡剤成分は、ポリオールプレミックス組成物の約1〜約30重量%、好ましくは約3〜約25重量%、より好ましくは約5〜約25重量%の量でポリオールプレミックス組成物中に通常存在する。ヒドロハロオレフィン及び任意成分の発泡剤の両方が存在するとき、ヒドロハロオレフィン成分は発泡剤成分の約5〜約90重量%、好ましくは約7〜約80重量%、より好ましくは約10〜約70重量%の量で発泡剤成分中に通常存在し;そして任意の発泡剤成分は発泡剤成分の約95〜約10重量%、好ましくは約93〜約20重量%、より好ましくは約90〜約30重量%の量で発泡剤成分中に通常存在する。
【0017】
ポリオールの混合物を含むポリオール成分は、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体の製造時にイソシアネートと公知の方法で反応するポリオールのいずれでもよい。有用なポリオールは、1種以上のショ糖含有ポリオール;フェノール、フェノールホルムアルデヒド含有ポリオール;グルコース含有ポリオール;ソルビトール含有ポリオール;メチルグルコシド含有ポリオール;芳香族ポリエステルポリオール;グリセロール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリエーテルポリオールのビニルポリマーとのグラフトコポリマー;ポリエーテルポリオールのポリ尿素とのコポリマー;1種以上の(b)と縮合した1種以上の(a):
(a)グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ペンタエリトリトール、大豆油、レシチン、トール油、パーム油、ヒマシ油;
(b)エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物、又はそれらの組み合わせ
を含む。ポリオール成分はポリオールプレミックス組成物の約60〜約95重量%、好ましくは約65〜約95重量%、より好ましくは約70〜約90重量%の量でポリオールプレミックス組成物中に通常存在する。
【0018】
ポリオールプレミックス組成物は、次に、非シリコーン界面活性剤を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれていない界面活性剤成分を含有する。好ましい態様では、界面活性剤成分中のシリコーン界面活性剤は0%である。好ましい態様では、界面活性剤成分中の非シリコーン界面活性剤は100%である。界面活性剤は、混合物から発泡体を形成するために、また、望ましい気泡構造の発泡体が得られるように発泡体の気泡の大きさを調節するために用いられる。好ましくは、均一な大きさの小さい気泡を有する発泡体は、圧縮強さ及び熱伝導性のような最も望ましい物理的性質を有するので望ましい。また、発泡前又又は泡の膨張時につぶれない安定な気泡を有する発泡体を得ることも重要である。有用な非シリコーン界面活性剤には、非イオン非シリコーン界面活性剤、陰イオン非シリコーン界面活性剤、陽イオン非シリコーン界面活性剤、両性非シリコーン界面活性剤、半極性非シリコーン界面活性剤、双極性非シリコーン界面活性剤、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0019】
有用な陰イオン界面活性剤には、約8〜約22個の炭素原子を含むアルキル基及びスルホン酸もしくは硫酸エステル基、又はそれらの組み合わせを分子構造中に有する有機硫黄反応生成物が含まれる。例は、アルキルスルフェート、特に牛脂油又はココナッツ油のグリコールセリドから製造される炭素原子数8〜18の高級アルコールを硫酸化することによって得られるもの;アルキル基が約9〜約14個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖状のアルキルベンゼンスルホネート、アルキル基の平均が約13個の炭素原子である直鎖アルキルベンゼンスルホネート、C11−14分枝鎖アルキルベンゼンスルホネートである。本発明に使用される他の陰イオン界面活性剤化合物としては、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、特に牛脂油及びココナッツ油から誘導される高級アルコールのこれらのエーテル;ココナッツ油脂肪酸モノグリセリドスルホネート及びスルフェート;並びに分子当たり約1〜約10単位のエチレンオキシドを含み、かつアルキル基が約8〜約12個の炭素原子を含むアルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェートが挙げられる。本発明に使用される他の有用な陰イオン界面活性剤としては、エステル基に約6〜20個の炭素原子を含むα−スルホン化脂肪酸のエステル;約2〜9個の炭素原子をアシル基に含み、且つ約9〜約23個の炭素原子をアルカン部分に含む2−アシルオキシアルカン−1−スルホン酸;約10〜20個の炭素原子をアルキル基に含み、且つ約1〜30モルのエチレンオキシドを含むアルキルエーテルスルフェート;約12〜24個の炭素原子を含むオレフィンスルホネート;並びに約1〜3個の炭素原子をアルキル基に含みそして約8〜20個の炭素原子をアルカン部分に含むβ−アルキルオキシアルカンスルホネートが挙げられる。約8〜約24個、好ましくは約10〜約20個の炭素原子を含む高級脂肪酸系並びにココナッツ石鹸及び牛脂石鹸系の陰イオン界面活性剤も本発明に用いることができる。有用な水溶性陰イオン有機界面活性剤には、約10〜18個の炭素原子をアルキル基に含む線状アルキルベンゼンスルホネート;約10〜18個の炭素原子をアルキル基に含む分枝鎖アルキルベンゼンスルホネート;牛脂レンジ(tallow range)のアルキルスルフェート;ココナッツレンジ(coconut range)のアルキルグリセリルスルフォネート;アルキル部分が約12〜18個の炭素原子を含み、かつ平均エトキシル化度が1〜12、特に3〜9であるアルキルエーテル(エトキシル化)スルフェート;約3〜12、特に6〜9モルのエチレンオキシドを有する牛脂アルコールの硫酸化縮合生成物;並びに約14〜16個の炭素原子を含むオレフィンスルホネートが含まれる。本発明に用いるのに好ましい陰イオン界面活性剤には、線状C10−14アルキルベンゼンスルホネート;分枝鎖C10−14アルキルベンゼンスルホネート;牛脂アルキルスルフェート、ココナッツアルキルグリセリルエーテルスルホネート;約1〜約14モルのエチレンオキシドを有する混合C10−18牛脂アルコールの硫酸化縮合生成物;並びに10〜18個の炭素原子を含む高級脂肪酸の混合物が含まれる。上記陰イオン界面活性剤はいずれも本発明では別々に又は混合物として用いることができる。C10−14アルカリールスルホネートはアルキルベンゼンスルホネート、アルキルトルエンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート及びアルキルポリ−ベンゼノイドスルホネートを含んでなることが可能である。
【0020】
非イオン界面活性剤は本技術分野で周知の様々な方法によって製造することができる。一般には、そのような非イオン界面活性剤は、酸性又は塩基性触媒の条件下、エチレンオキシドと−OH含有ヒドロカルビル部分(例えばアルコール又はアルキルフェノール)との縮合によって一般に製造される。本発明に用いるための非イオン界面活性剤は、洗浄力技術分野で周知の一般的な非イオン界面活性剤を含む。そのような物質は、簡潔には、アルキレンオキシド(親水性)、特にエチレンオキシド(EO)と有機疎水性化合物(通常、脂肪族又はアルキル芳香族である)との縮合生成物として説明することができる。個々の疎水性化合物と縮合される親水性(すなわち、ポリオキシアルキレン)部分の長さは、親水性と親油性との間のバランス(すなわち、「HLB」)を望ましいレベルで有する水溶性化合物を生じるように容易に調整することができる。本発明に用いられるエトキシル化非イオン界面活性剤のHLBは周知の方法で実験的に測定することができ、あるいはDeckerのEMULSIONS THEORY AND PRACTICE, Reinhold 1965,pp.233及び248に示される方法で計算することができる。例えば、本発明における非イオン界面活性剤のHLBはHLB=E/5(Eは分子中のエチレンオキシド含有量の重量%である)で簡単に概算することができる。もちろん、HLBは、一定のヒドロカルビル含有量の場合、エチレンオキシドの量によって変化する。本発明の組成物及び方法で用いるための好ましい非イオン界面活性剤は、HLBが9〜20、最も好ましくは10〜14の範囲であることを特徴とする。
【0021】
好適な水溶性非イオン界面活性剤の非限定的な例は、アルキルフェノールのエチレンオキシド縮合物である。これらの化合物には、直鎖又は分枝鎖いずれかの形態の約6〜18個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルフェノールとEOとの縮合生成物が含まれ、このEOはアルキルフェノールのモル当たり約3〜約25モルの量で存在する。そのような化合物中のアルキル置換基は、例えば、重合プロピレン、ジイソブチレン、オクテン又はノネンから誘導することができる。この種の化合物の例は、ノニルフェノールのモル当たり約9.5モルのEOと縮合したノニルフェノール;フェノールのモル当たり約12モルのEOと縮合したドデシルフェノール;フェノールのモル当たり約15モルのEOと縮合したジノニルフェノール;及びフェノールのモル当たり約15モルのEOと縮合したイソオクチルフェノールである。脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物は本発明に用いられる別の種類の非イオン界面活性剤である。脂肪族アルコールのアルキル鎖は直鎖でも分枝鎖でもよく、約8〜約22個、好ましくは9〜16個の炭素原子を一般に含む。アルコールは第1でも、第2でも、第3でもよい。そのようなエトキシル化アルコールの例は、約6モルのEOと1モルのトリデカノールとの縮合生成物;ミリスチルアルコールのモル当たり約10モルのEOと縮合したミリスチルアルコール;EOとココナッツ脂肪アルコールとの縮合生成物(ココナッツアルコールは主に、アルキル鎖の長さが炭素原子数10〜約14個の脂肪アルコールの混合物であり、そして縮合物は全アルコールのモル当たり約6モルのEOを含む);並びに約9モルのEOと上記ココナッツアルコールとの縮合生成物である。牛脂アルコールエトキシレート(EO)乃至(EO)11は本発明において同様に有用である。エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成される疎水性塩基との縮合生成物は別の種類の非イオン界面活性剤を構成する。これらの化合物の疎水性部分は約1500〜18000の分子量を有し、もちろん水に不溶性である。ポリ−EOのこの疎水性部分への付加は、全体として分子の水溶性を高める傾向があり、生成物の液体特性は、EO含有率が縮合生成物の全重量の約50%である時点まで保持される。エチレンオキシドと、プロピレンオキシド及びエチレンジアミンの反応から生じる生成物との縮合生成物は本発明では有用な別の種類の非イオン界面活性剤である。これらの縮合生成物の疎水性「塩基」は、エチレンジアミン及び過剰のプロピレンオキシドの反応生成物からなり、この塩基は約2500〜約3000の分子量を有する。この塩基化合物はその後、縮合生成物が約40〜約80重量%のポリ−EOを含み、かつ約5,000〜11,0000の分子量を有するまで、EOと縮合させる。本発明における非イオン界面活性剤は、C乃至C18第1及び第2アルコールのEO乃至(EO)20縮合物を含み、第1アルコールの縮合物が最も好ましい。この種の非イオン界面活性剤の非限定的な具体例は、以下のとおりである(非イオン界面活性剤に用いる略号、例えばC14(EO)はそのような物質に標準的なものであり、分子の親油性部分の炭素含有量及び親水性部分のエチレンオキシド含有量を説明する):n−C1429(EO);n−C1429(EO);n−C1429(EO);n−C1429(EO)10;n−C1531(EO);n−C1531(EO);2−C1531(EO);n−C1531(EO);2−C1531(EO);n−C1531(EO);2−C1531(EO);n−C1633(EO);及び2−C1633(EO)。前記非イオン界面活性剤の混合物も本発明では有用である。ここに挙げた非イオン界面活性剤のエトキシル化度は平均的なエトキシル化分率が生じる限りいくらか変化してもよい。
【0022】
特に有用な非イオン界面活性剤には、スルホン酸の塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアンモニウム塩、例えばオレイン酸、ステアリン酸、ドデシルベンゼンジスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、リシノール酸、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、硫酸化油、落花生油、パラフィン及び脂肪アルコール、並びにそれらの組み合わせが含まれる。ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体の製造に用いるのに有用な非シリコーン界面活性剤は、本技術分野における当業者に公知の多くの登録商標名で入手可能である。そのような物質は広い範囲の配合物に適用することができ、均一な気泡形成及び最大ガス取り込みによって非常に低密度の発泡体構造を得ることが可能となることが分った。好ましい非シリコーン非イオン界面活性剤は、エアー・プロダクツ社から商業的に入手しうるLK−443である。
【0023】
有用な陽イオン界面活性剤は、第4アンモニウムハロゲン化物及び類似のホスホニウム化合物である。通常、塩化物及び臭化物が最も効果的である。そのような第4アンモニウムハロゲン化物のいくつかの代表例は、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルトリメチルアンモニウムである。
【0024】
本発明の組成物及び方法は、本技術分野で公知の半極性、両性及び双極性界面活性剤のような他の界面活性剤を採用することができる。本発明において有用な半極性界面活性剤には、炭素原子数約10〜28の1つのアルキル部分と炭素原子数約1〜3のアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分よりなる群から選択される2つの部分とを含む水溶性アミンオキシド;炭素原子数約10〜28の1つのアルキル部分と炭素原子数約1〜3のアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分よりなる群から選択される2つの部分とを含む水溶性ホスフィンオキシド;並びに炭素原子数約10〜28の1つのアルキル部分と炭素原子数約1〜3のアルキル部分及びヒドロキシアルキル部分よりなる群から選択される部分とを含む水溶性スルホキシドが含まれる。両性界面活性剤には、脂肪族部分が直鎖でも分枝鎖でもよく、脂肪族置換基の1つが約8〜18個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1つの脂肪族置換基が非イオン性の水可溶化基を含む、複素環式第2及び第3アミンの脂肪族又は脂肪族誘導体の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤には、脂肪族部分が直鎖でも分枝鎖でもよく、脂肪族置換基の1つが約8〜18個の炭素原子を含み、且つ脂肪族置換基の1つが非イオン性の水可溶化基を含む、脂肪族第4アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。非シリコーンはポリオールプレミックス組成物中に、ポリオールプレミックス組成物の約0.5〜約5.0重量%、好ましくは約1.0〜約4.0重量%、より好ましくは約1.5〜約3.0重量%の量で通常存在する。
【0025】
本発明のポリオールプレミックス組成物は次にアミン触媒を含有する。1つの態様では、アミンは、式RN−[A−NRを有し、式中、R、R、R及びRは独立して、H、C1−8アルキル基、C1−8アルケニル基、C1−8アルコール基、又はC1−8エーテル基であるか、あるいはR及びRは一緒になってC5−7環状アルキル基、C5−7環状アルケニル基、C5−7複素環式アルキル基、又はC5−7複素環式アルケニル基を形成し;AはC1−5アルキル基、C1−5アルケニル基又はエーテルであり;nは0、1、2又は3である。
【0026】
有用なアミンには、第1アミン、第2アミン又は第3アミンが挙げられる。有用な第3アミン触媒には、ジシクロヘキシルメチルアミン;エチルジイソプロピルアミン;ジメチルシクロヘキシルアミン;ジメチルイソプロピルアミン;メチルイソプロピルベンジルアミン;メチルシクロペンチルベンジルアミン;イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン;ジエチル−(α−フェニルエチル)アミン;トリ−n−プロピルアミン;又はそれらの組み合わせが挙げられるが、以上のものに限定されない。有用な第2アミン触媒には、ジシクロヘキシルアミン;t−ブチルイソプロピルアミン;ジ−t−ブチルアミン;シクロヘキシル−t−ブチルアミン;ジ−sec−ブチルアミン;ジシクロペンチルアミン;ジ−(α−トリフルオロメチルエチル)アミン;ジ−(α−フェニルエチル)アミン;又はそれらの組み合わせが挙げられるが、以上のものに限定されない。有用な第1アミン触媒には、トリフェニルメチルアミン及び1,1−ジエチル−n−プロピルアミンが挙げられるが、以上のものに限定されない。
【0027】
他の有用なアミンには、モルホリン、イミダゾール、エーテル含有化合物等が挙げられる。これらの例を以下に示す:
ジモルホリノジエチルエーテル
N−エチルモルホリン
N−メチルモルホリン
ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル
イミダゾール
n−メチルイミダゾール
1,2−ジメチルイミダゾール
ジモルホリノジメチルエーテル
N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン
N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタエチルジエチレントリアミン
N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタエチルジプロピレントリアミン
ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル
ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテル。
【0028】
第3アミンが好ましい。有用な第3アミンには、ジシクロヘキシルメチルアミン;エチルジイソプロピルアミン;ジメチルシクロヘキシルアミン;ジメチルイソプロピルアミン;メチルイソプロピルベンジルアミン;メチルシクロペンチルベンジルアミン;イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン;ジエチル−(α−フェニルエチル)アミン;トリ−n−プロピルアミン;又はそれらの組み合わせが挙げられるが、以上のものに限定されない。
【0029】
好ましいアミンには、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、及びトリエチルアミンが挙げられるが、以上のものに限定されない。
【0030】
アミン触媒は、ポリオールプレミックス組成物中に、ポリオールプレミックス組成物の約0.1〜約3.5重量%、好ましくは約0.2〜約3.0重量%、より好ましくは約0.5〜約2.5重量%の量で通常存在する。
【0031】
ポリオールプレミックス組成物は、非アミン触媒をさらに任意的に含んでいてもよい。好適な非アミン触媒は、ビスマス、鉛、スズ、チタン、アンチモン、ウラニウム、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、ナトリウム、カリウム、又はそれらの組み合わせを含有する有機金属化合物を含んでなることが可能である。これらの非アミン触媒としては、硝酸ビスマス、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、塩化第2鉄、三塩化アンチモン、グリコール酸アンチモン、カルボン酸の第1スズ塩、カルボン酸の亜鉛塩、カルボン酸のジアルキルスズ塩、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、2−エチルへキサン酸カリウム、グリシン塩、第4アンモニウムカルボキシレート、アルカリ金属カルボン酸塩、及びN−(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェノール)メチル−N−メチルグリシネート、2−エチルヘキサン酸スズ(II)、ジラウリン酸ジブチルスズ、又はそれらの組み合わせが挙げられる。任意成分として非アミン触媒を用いるとき、それはポリオールプレミックス組成物中に、ポリオールプレミックス組成物の約0.01〜約2.5重量%、好ましくは約0.05〜約2.25重量%、より好ましくは約0.10〜約2.00重量%の量で通常存在する。これらは通常の量であるが、金属触媒の量は広く変えることができ、適量は本技術分野における当業者であれば容易に決定することができる。
【0032】
本明細書中に記載の組成物を用いるポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体の製造には、本技術分野で周知の方法いずれも用いることができる。例えば、Saunderts及びFisch,第I及びII巻Polyurethanes Chemistry and technology,1962,ジョン・ウィリーレイ・アンド・サンズ,ニューヨーク州ニューヨーク又はGum,Reese,Ulrich,Reaction Polymers,1992,オックスフォード大学出版,ニューヨーク州ニューヨーク又はKlempner及びSendijarevic,Polymer Foams and Foam Technology,2004,ハンサー・ガードナー出版、オハイオ州シンシナティ参照。一般的に、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体は、イソシアネート、ポリオールプレミックス組成物、及び他の材料、例えば任意の難燃剤、着色剤もしくは他の添加剤を化合させることによって製造される。これらの発泡体は硬質、軟質又は半硬質であり、独立気泡構造、連続気泡、又はこれらの組み合わせを有する。
【0033】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体用の成分をプレミックス組成物の形で提供することは多くの用途において好都合である。発泡体配合物を2つの成分に予備ブレンドするのが最も一般的である。イソシアネート、及び、任意成分である、原料と混和性の他のイソシアネートは第1成分を構成し、「A」成分と一般に呼ばれる。界面活性剤、触媒、発泡剤及び任意成分である他の成分を含むポリオール混合物組成物は第2成分を構成し、「B」成分と一般に呼ばれる。いずれの用途においても、「B」成分は上記成分を全て含有しなくてよく、例えばいくつかの配合物では、難燃性が発泡体の性質に必要でなければ難燃剤は省略する。従って、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体は、A及びB副成分を少量調製のためのハンドミックス、及び好ましくは機械混合方法のいずれかによって混合して、ブロック、スラブ、ラミネート、現場注入発泡パネル等、吹付け発泡体、泡等を形成することによって容易に製造することができる。任意的に、他の成分、例えば難燃剤、着色剤、補助発泡剤、水及び他のポリオールを混合ヘッド又は反応場への流れ(stream)として加えてもよい。しかしながら、それらを全て1つのB成分に混合するのが最も好都合である。
【0034】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体の形成に適した発泡性組成物は、有機ポリイソシアネート及び上記ポリオールプレミックス組成物を反応させることによって形成することができる。脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートを含めた有機ポリイソシアネートのいずれもポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体合成に用いることができる。好適な有機ポリイソシアネートには、ポリウレタン化学の分野で周知の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、及び複素環式イソシアネートが含まれる。これらは、例えば、米国特許第4,868,224号;第3,401,190号;第3,454,606号;第3,277,138号;第3,492,330号;第3,001,973号;第3,394,164号;第3,124,605号;及び第3,201,372号に記載されている。好ましい種類は芳香族ポリイソシアネートである。
【0035】
代表的な有機ポリイソシアネートは、下式:
R(NCO)
(式中、Rは、脂肪族、アラルキル、芳香族又はそれらの組み合わせのいずれかである多価有機基、zはRの原子価に相当する整数であり、少なくとも2である)
の化合物に相当する。ここで考えられる有機ポリイソシアネートの代表例は、芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネートの混合物、粗トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネート等:芳香族トリイソシアネート、例えば4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,6−トルエントリイソシアネート;芳香族テトライソシアネート、例えば4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等;アリールアルキルポリイソシアネート、例えばキシレンジイソシアネート;脂肪族ポリイソシアネート、例えばヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リシンジイソシアネートメチルエステル等;及びそれらの組み合わせである。他の有機ポリイソシアネートには、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化メチレンジフェニルイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、及び3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートが含まれる。一般的な脂肪族ポリイソシアネートは、アルキレンジイソシアネート、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネート、イソホレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等である。一般的な芳香族ポリイソシアネートには、m−及びp−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトリレンイソシアネート、ナフチレン1,4−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートフェニル)メテン、ビス(2−メチル−4−イソシアネートフェニル)メタン等が含まれる。好ましいポリイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、特に約30〜約85重量%のメチレンビス(フェニルイソシアネート)を含み、残りは官能価が2より上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの混合物である。これらのポリイソシアネートは本技術分野で公知の一般的な方法によって製造される。本発明では、ポリイソシアネート及びポリオールは、約0.9〜約5.0のNCO/HO化学量論比となる量で用いられる。本発明では、NCO/HO当量比は、好ましくは約1.0〜約3.0であり、理想的な範囲は約1.1〜約2.5である。特に適した有機ポリイソシアネートには、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0036】
ポリイソシアヌレート発泡体の製造では、過剰のA成分とのブレンドをポリイソシアヌレート−ポリウレタン発泡体へ変換するために三量体化触媒が用いられる。用いられる三量体化触媒は本技術分野で公知の触媒のいずれでもよく、例えば、グリシン塩、t−アミン三量体化触媒、第4アンモニウムカルボキシレート、及びアルカリ金属カルボン酸塩並びに各種触媒混合物である。これらの中で好ましいのは、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、及びN−(2−ヒドロキシ−5−ノニルフェノール)メチル−N−メチルグリシネートである(ただし、以上のものに限定されるわけではない)。
【0037】
一般的な難燃剤も、好ましくは反応体の約20重量%以下の量で混合することができる。任意成分である難燃剤には、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(2−クロロイソプロピル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリ(2,2−ジクロロイソプロピル)ホスフェート、ジエチルN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、及びテトラキス−(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート、トリエチルホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、各種ハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、塩化ポリビニル、メラミン等が含まれる。その他の任意成分は0〜約7%の水であり、これはイソシアネートと化学反応して二酸化炭素を生じる。この二酸化炭素は補助発泡剤として作用する。ギ酸もイソシアネートとの反応によって二酸化炭素を発生させるために用いられ、「B」成分に任意的に加えられる。上記成分の他に、他の成分、例えば染料、充填材、顔料等が発泡体の製造に加えることができる。分散剤及び気泡安定剤を本発明のブレンドへ混合してもよい。本発明に用いるための一般的な充填材は、例えば珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ガラス繊維、カーボンブラック及びシリカである。充填材を用いるならば、充填材はポリオール100部当たり約5〜100部の重量範囲の量で通常存在する。本発明に用いることができる顔料は、一般的な顔料、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、クロムグリーン、クロムイエロー、紺青シェナー、モリブデンオレンジ及び有機顔料、例えばパラレッド、ベンジジンイエロー、トルイジンレッド、トーナー及びフタロシアニンである。
【0038】
製造されるポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体の密度は、約0.5〜約60ポンド/立方フィート、好ましくは約1.0〜約20.0ポンド/立方フィート、最も好ましくは約1.5〜約6.0ポンド/立方フィートの範囲を変動し得る。得られる密度は、本発明で開示される発泡剤又は発泡剤混合物の量プラス補助発泡剤の量に応じで変動し、水又は他の補助発泡剤はA及び/又はB成分に存在するか、あるいは発泡体が製造される時に加えられる。これらの発泡体は硬質、軟質又は半硬質であり、独立気泡構造、連続気泡構造、又はこれらの組み合わせを有する。これらの発泡体は様々な周知の用途、例えば、限定されないが、断熱、クッション、浮き、梱包、接着剤、空隙充填、クラフト及び装飾、並びに衝撃吸収に用いられる。
【0039】
次の実施例は制限するための実施例ではなく、本発明を説明するためのものである。
【実施例】
【0040】
実施例1
ポリオール(B成分)配合物を、100重量部のポリオールブレンド、1.5重量部のLK−443(エアー・プロダクツ社から商業的に入手しうる非イオン界面活性剤)、3重量部の水、8重量部のトリエチルホスフェート難燃剤、0.7重量部のN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(エアー・プロダクツ社がPolycat8として販売)触媒、及び8重量部のトランス−HFO−1234ze発泡剤で製造する。B成分組成物全体を、新たに製造し、217.3重量部のLupranate M20S高分子量イソシアネートと混合化合させると、細かく規則的な気泡構造を有する良質な発泡体が生じる。発泡体反応性はゆっくり反応する現場注入発泡発泡体に一般的なものである。B副組成物全体(119.7重量部)を次に120°Fで62時間養生し、その後、217.3重量部のM20S Isoポリイソシアネートと化合させて発泡体を製造する。発泡体は見たところ正常で、気泡のつぶれはない。養生中、変色は見られない。この試験から、養生後も良好な発泡体が非シリコーン界面活性剤で得られることが立証される。
【0041】
実施例2
ポリオール(B成分)配合物を、100重量部のポリオールブレンド、1.5重量部のLK−443(エアー・プロダクツ社から商業的に入手しうる非イオン界面活性剤)、1.5重量部の水、8.0重量部のジイソプロピルエチルアミン触媒、及び8重量部のトランス−HFO−1234ze発泡剤で製造する。B成分組成物全体を、新たに製造し、120.0重量部のLupranate M20S高分子量イソシアネートと化合すると、細かく規則的な気泡構造を有する良質な発泡体を生じる。発泡体反応性は現場注入発泡発泡体に一般的なものである。B副組成物全体(119.0重量部)を次に120°Fで62時間養生させ、その後、120.0部のM20S Isoポリイソシアネートと混ぜ合わせて発泡体を製造する。発泡体は外観上は正常であり、気泡の崩壊はない。養生中、変色は見られない。
【0042】
これらの実施例は、非シリコーン界面活性剤を用いると、気泡の融合及び気泡の崩壊がないことからも明らかなように、長時間にわたって安定なポリオールプレミックスが得られることを示している。シリコーン界面活性剤の代わりに非シリコーン界面活性剤を用いる場合、及び新鮮なポリオールプレミックス及び養生されたポリオールプレミックス(「B」成分)の両方を使用することにより、不安定性は観察されず、良質な発泡体が製造される。
【0043】
好ましい態様を参照しつつ本発明を具体的に示しかつ説明してきたが、本技術分野における当業者であれば本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができることは容易に理解されるはずである。請求の範囲は、開示された態様、以上に議論された代替物、及びそれらと均等のもの全てに及ぶと解釈されるべきであると考える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤、ポリオール、非シリコーン界面活性剤成分を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれない界面活性剤成分、及びアミン触媒の組み合わせを含むポリオールプレミックス組成物であって、発泡剤は、ヒドロハロオレフィン、及び、任意的に炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、CO発生物質、又はそれらの組み合わせを含む、ポリオールプレミックス組成物。
【請求項2】
アミンが、式RN−[A−NRを有し、式中、R、R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、C1−8アルキル基、C1−8アルケニル基、C1−8アルコール基、又はC1−8エーテル基であるか、あるいはR及びRは一緒になってC5−7環状アルキル基、C5−7環状アルケニル基、C5−7複素環式アルキル基、又はC5−7複素環式アルケニル基を形成し;AはC1−5アルキル基、C1−5アルケニル基又はエーテルであり;nは0、1、2又は3である、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項3】
アミンが第3アミンを含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項4】
ヒドロハロオレフィンが、3〜4個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、フルオロアルケン及び又はクロロアルケンの少なくとも1種を含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項5】
ヒドロハロオレフィンが、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、クロロテトラフルオロプロペン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項6】
ヒドロハロオレフィンが、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン;2,3,3,3−テトラフルオロプロペン;1,1,3,3−テトラフルオロプロペン;1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン;1,1,1−トリフルオロプロペン;3,3,3−トリフルオロプロペン;1,1,1,3,−テトラフルオロプロペン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン;1,1,2,3,3−ペンタフルオロプロペン;1,1,1,2−テトラフルオロプロペン;1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン;1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン;1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブト−2−エン、又はこれらの構造異性体、幾何学的異性体、もしくは立体異性体、あるいはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項7】
発泡剤が、水、ギ酸、イソシアネートと反応するときCOを発生させる有機酸;炭化水素;エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、ハロゲン化エーテル;ペンタフルオロブタン;ペンタフルオロプロパン;ヘキサフルオロプロパン;ヘプタフルオロプロパン;トランス−1,2−ジクロロエチレン;ギ酸メチル;1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン;1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン;1,1,1,2−テトラフルオロエタン;1,1,1,2−テトラフルオロエタン;1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン;1,1,1,2,3,3,3、−ヘプタフルオロプロパン;トリクロロフルオロメタン;ジクロロジフルオロメタン;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン;1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン;ジフルオロメタン;ジフルオロエタン;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン;1,1−ジフルオロエタン;イソブタン;n−ペンタン;イソペンタン;シクロペンタン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項8】
非シリコーン界面活性剤が非イオン非シリコーン界面活性剤を含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項9】
非シリコーン界面活性剤が、スルホン酸の塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、ドデシルベンゼンジスルホン酸、ジナフチルメタンジスルホン酸、リシノール酸、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪アルコール、パラフィンオイル、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、硫酸化油、落花生油、パラフィン、脂肪アルコール、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項10】
アミンが、ジシクロヘキシルメチルアミン;エチルジイソプロピルアミン;ジメチルシクロヘキシルアミン;ジメチルイソプロピルアミン;メチルイソプロピルベンジルアミン;メチルシクロペンチルベンジルアミン;イソプロピル−sec−ブチル−トリフルオロエチルアミン;ジエチル−(α−フェニルエチル)アミン;トリ−n−プロピルアミン;又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項11】
ビスマス、鉛、スズ、チタン、アンチモン、ウラニウム、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、カリウム、ナトリウム、又はそれらの組み合わせを含有する有機金属化合物を含む触媒をさらに含む、請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物。
【請求項12】
発泡剤、ポリオール、非シリコーン界面活性剤成分を含み且つシリコーン界面活性剤が実質的に含まれない界面活性剤成分、及びアミン触媒を組み合わせることを含むポリオールプレミックス組成物の製造方法であって、発泡剤がヒドロハロオレフィン、及び、任意的に炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハロゲン化炭化水素、CO発生物質、又はそれらの組み合わせを含む方法。
【請求項13】
アミン触媒が、式RN−[A−NRを有し、式中、R、R、R及びRのそれぞれは、独立して、H、C1−8アルキル基、C1−8アルケニル基、C1−8アルコール基、又はC1−8エーテル基であるか、あるいはR及びRは一緒になってC5−7環状アルキル基、C5−7環状アルケニル基、C5−7複素環式アルキル基、又はC5−7複素環式アルケニル基を形成し;AはC1−5アルキル基、C1−5アルケニル基又はエーテルであり;nは0、1、2又は3である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有機ポリイソシアネート、及び請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物の混合物を含む、発泡性組成物。
【請求項15】
有機ポリイソシアネートを請求項1に記載のポリオールプレミックス組成物と反応させることを含む、ポリウレタン又はポリイソシアヌレート発泡体を製造する方法。

【公表番号】特表2011−500891(P2011−500891A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528954(P2010−528954)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/078698
【国際公開番号】WO2009/048802
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】