説明

発熱体収納箱冷却装置及びそれを搭載した電子機器

【課題】各部品の配置および形状を変更することで騒音発生を防止し、さらに現場の状況に合わせて、騒音発生源の配置の変更を可能とすることを目的としている。
【解決手段】凝縮器2の通風方向からみた1次側には第1通風路7を設け、2次側には第2通風路8が配置され、第1通風路7内部には第1遮蔽板9、第2遮蔽板10、第2通風路8内部には第3遮蔽板23、第4遮蔽板24を、通風方向がS字となるように天面と底面側に設けており、室外送風機6は第2遮蔽板10と凝縮器2の間または第4遮蔽板24と凝縮器2に配置されている。このようは構成にすることにより、室外送風機6で発生した騒音が第1遮蔽板9、第2遮蔽板10および第3遮蔽板23、第4遮蔽板24に遮られることにより外部への騒音放出を防止する発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温媒体の熱で冷媒を沸騰蒸発させ、その後、凝縮液化させることで、高温媒体の熱を放熱させる発熱体収納箱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発熱体収納箱冷却装置は、携帯電話の基地局のような内部に発熱を伴う電子部品等を備える密閉された収納箱内の冷却に用いられる。
【0003】
近年、電子部品の高性能化と制御基板に対する電子部品の高密度化が進み、制御基板からの発熱量は飛躍的に増加しているとともに、電子部品等の収納箱の小型化も進み、冷却機器の高性能化および小型化と、電子部品等の収納箱の側面または天面のいずれにも設置できるレイアウトの自由度の向上が求められている。このため、構成部品が少なく、熱移動量が大きい冷却方式として、ヒートパイプを用いた冷却方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながらヒートパイプは、沸騰蒸発して上昇する冷媒蒸気と凝縮液化されて降下する冷媒液が同じ管内を移動するため、互いに対抗しあって冷媒循環の効率が悪くなり熱交換効率が悪いという問題がある。そこで、冷媒が沸騰蒸発する蒸発器と冷媒が凝縮液化する凝縮器とを分けて、蒸発器にて沸騰蒸発した冷媒が凝縮器へと移動するために蒸発器と凝縮器を連通させる冷媒蒸気管と、凝縮器にて凝縮液化した冷媒が蒸発器へと移動するために凝縮器と蒸発器を連通させる冷媒液管により冷媒回路を形成して冷媒を循環させることで効率良く放熱させることができる沸騰冷却装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
以下、従来の沸騰冷却装置について、図11を参照しながら説明する。
【0006】
図11に示すように、沸騰冷却装置101は、高温空気102が通風する高温部分103が下部になるように、また、低温空気104が通風する低温部分105が上部になるように仕切板106により仕切られた本体箱107内に設けられる。高温部分103には、内部に冷媒108が封入された蒸発器109が配置されている。蒸発器109は、高温空気102から受熱し、内部で冷媒108が沸騰蒸発する。低温部分105には、蒸発器109と連通した凝縮器110が配置されている。凝縮器110では、蒸発器109で沸騰蒸発した冷媒108が低温空気104へと放熱を行い凝縮液化する。蒸発器109と凝縮器110は、仕切板106を貫通した冷媒蒸気管111および冷媒液管112で連通している。また、高温部分103に高温空気102を送風する室内側送風機113と、低温部分105に低温空気104を送風する室外側送風機114を備えている。このような構成によれば、蒸発器109において沸騰蒸発した冷媒108が密度差により蒸発器109から凝縮器110へと冷媒蒸気管111を流通して移動し、凝縮器110において凝縮液化した冷媒108が密度差により凝縮器110から蒸発器109へと冷媒液管112を流通して移動する。このようにして、冷媒108が自然に循環し、高温空気102の熱を低温空気104へと放熱させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−113498号公報
【特許文献2】特開平9−326582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の発熱体収納箱冷却装置では、設置スペースが限られているため処理能力を向上させるには風量を増加する必要があるが、送風機スペースも限られているため送風機の回転数を上げることになりその結果騒音が発生するという課題があった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するものであり、風路形状を変更することで騒音を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために本発明は、発熱体収納箱の天面を仕切り板として、この仕切り板の上側に板状の凝縮器を設け、前記仕切り板の下側に板状の蒸発器を設け、前記凝縮器と前記蒸発器は、冷媒液管と蒸発管とで接続して冷媒サイクルを構成し、
凝縮器の前または後ろには室外送風機を設け、
凝縮器の前後に設けられた第1通風路内部には第1遮蔽板、第2遮蔽板を第2通風路内部には第3遮蔽板、第4遮蔽板をそれぞれ通風方向が蛇行するように通風方向と垂直方向に通風路内部に設けた発熱体収納箱冷却装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、凝縮器の一次側二次側の通風路に遮音板を設けることで室外送風機から発生する騒音を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の発熱体収納箱冷却装置側面図
【図2】同発熱体収納箱冷却装置消音材貼付説明図
【図3】同発熱体収納箱冷却装置通風路脱着部説明図
【図4】同発熱体収納箱冷却装置通遮蔽板脱着部説明図
【図5】同発熱体収納箱冷却装置ガイド板追加説明図
【図6】同発熱体収納箱冷却装置排水穴説明図
【図7】同発熱体収納箱冷却装置水切りフィルター説明図
【図8】従来の発熱体収納箱冷却装置の説明図(a)側断面図(b)正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の発熱体収納箱冷却装置は、発熱体収納箱の天面を仕切り板として、この仕切り板の上側に板状の凝縮器を設け、前記仕切り板の下側に板状の蒸発器を設け、前記凝縮器と前記蒸発器は、冷媒液管と蒸発管とで接続して冷媒サイクルを構成し、
凝縮器の前または後ろには室外送風機を設け、
凝縮器の前後に設けられた第1通風路内部には第1遮蔽板、第2遮蔽板を第2通風路内部には第3遮蔽板、第4遮蔽板をそれぞれ通風方向が蛇行するように通風方向と垂直方向に通風路内部に設けることで室外送風機から発生する騒音を低減させた発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0014】
また、前記第1通風路および第2通風路内部壁面に消音材を貼り付けたものであり室外送風機から発生する騒音をさらに低減させる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0015】
また、前記第1通風路および第2通風路が脱着可能なものであり、送風機および通風路内のメンテナンスが容易となる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0016】
また、前記第1通風路に設けた第1遮蔽板、第2遮蔽板と第2通風路内部に設けた第3遮蔽板、第4遮蔽板が脱着可能なものであり、騒音低減の必要のない現場においての能力
向上および送風機消費電力低減となる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0017】
また、前記第1通風路および第2通風路の風路曲がり部の角部に角部を塞ぐように配置したガイド板を設けたものであり、通風路抵抗低減により、送風機の回転数低減が可能となる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0018】
また、前記第1通風路および第2通風路の前記仕切り板の上側に位置する底部に排水穴および排水経路を設けた、ものであり通風路内に水が溜まらない発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0019】
また、前記第1通風路および第2通風路において、遮蔽板の端部を接続するように通風部に水きりフィルターを設けたものであり水の浸入を防止できる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1に本実施の形態1の発熱体収容箱冷却装置の側面図を示す。
【0022】
図1に示すように、発熱体収容箱冷却装置は例えば携帯基地局のような内部に発熱を伴う電子部品等を備える密閉された発熱体収容箱の天面に設置され、室内送風機15および室外送風機6により高温空気と低温空気が対向するように送風されている。
【0023】
図1に示すように、発熱体収容箱冷却装置は高温空気が通風する機能動作部14を収納している高温部分11が下部に、低温空気が通風する冷却部収納室等の低温部分12が上部になるように仕切り板1により仕切られた本体ケース13内に配置される。蒸発器3は、高温部分11に配置され、この蒸発器3は、通風方向に対して後傾(または前傾)して配置され、内部には冷媒(例えばR134a)が封入されて、高温空気から受熱し沸騰蒸発する。凝縮器2は、低温部分12に配置され、この凝縮器2は、蒸発器3と連通し、蒸発器3と同方向に傾斜して配置し、沸騰蒸発した冷媒の蒸気が低温空気へ放熱を行い凝縮液化させるものである。液管4は、仕切り板1を貫通し蒸発器3と凝縮器2とを連通している。また、蒸気管5は、蒸発器3と凝縮器2に仕切り板1を貫通し接続されている。
【0024】
また、通風方向からみて凝縮器2の上流側には第1通風路7を設け、下流側には第2通風路8が配置される。この第1通風路7内部には第1遮蔽板9、第2遮蔽板10、第2通風路8内部には第3遮蔽板23、第4遮蔽板24を通風方向がS字となるように天面と底面側に設けており、室外送風機6は第2遮蔽板10と凝縮器2の間または第4遮蔽板24と凝縮器2の間に配置されている。
【0025】
このような構成にすることにより、図1に示すように、室外送風機6で発生した騒音が第1遮蔽板9、第2遮蔽板10および第3遮蔽板23、第4遮蔽板24に遮られることにより外部への騒音放出を防止する発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0026】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0027】
図2に本実施の形態2の発熱体収納箱冷却装置の側断面概略図を示す。
【0028】
図2に示すように、第1通風路7および第2通風路8の風路内壁にグラスウール等の消
音材16を貼り付けることで室外送風機6で発生した騒音が消音材16に吸音されることにより外部への騒音放出を低減する発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0029】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0030】
図3に本実施の形態3の発熱体収納箱冷却装置の側断面概略図を示す。
【0031】
図3に示すように、第1通風路7および第2通風路8がそれぞれユニット化されておりそれぞれが第1ネジ27などの取り外し可能な締結方法で固定されており、第1通風路7が液管4と室外送風機6の間に設けられた第1分割ライン25で分割され第2通風路8が蒸気管5と第4遮蔽板24の間に設けられた第2分割ライン26で分割される構成であることで、発熱体収納箱冷却装置本体を外すことなく室外送風機6および第1通風路7、第2通風路8のメンテナンスを容易とする発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0032】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0033】
図4に本実施の形態4の発熱体収納箱冷却装置の側断面概略図を示す。
【0034】
図4に示すように、第1通風路7内部に設けられた第1遮蔽板9、第2遮蔽板10および第2通風路8内部に設けた第3遮蔽板23、第4遮蔽板24を第2ネジ28など取り外し可能な締結方法で固定とすることで脱着可能な構成であり、騒音低減の必要のない現場において風量増加により能力向上させるか、能力現状維持で送風機消費電力低減を可能とする発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0035】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0036】
図5に本実施の形態7の発熱体収納箱冷却装置の側断面概略図を示す。
【0037】
図5に示すように第1通風路7および第2通風路8の風路曲がり部の角部に角部を塞ぐように配置したガイド板17を設けたものであり、通風路抵抗低減により、送風機の回転数低減が可能となる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0038】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0039】
図6に本実施の形態6の発熱体収納箱冷却装置の側断面概略図を示す。
【0040】
図6に示すように、第1通風路7および第2通風路8の前記仕切り板1の上側に位置する底部に排水穴18および排水経路22を設けたものであり通風路内に水が溜まらない発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。
【0041】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態は、実施の形態1と同一部分については同一符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0042】
図7に本実施の形態7の発熱体収納箱冷却装置の側断面概略図を示す。
【0043】
図7に示すように、第1通風路7および第2通風路8において、第1遮蔽板9と第2遮蔽板10および第3遮蔽板23と第4遮蔽板24の端部を接続するように通風部に水切りフィルター19を設けたものであり水の浸入を防止できる発熱体収納箱冷却装置を得ることができる。なお、水切りフィルター19を斜めに傾けて取り付けることで水切りフィルター19への水溜りを低減することで水の浸入効果を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の発熱体収容箱冷却装置は、熱交換能力向上を目的とした風量の増加による騒音発生の防止をさせる発熱体収容箱冷却装置として有用である。
【符号の説明】
【0045】
1 仕切り板
2 凝縮器
3 蒸発器
4 液管
5 蒸気管
6 室外送風機
7 第1通風路
8 第2通風路
9 第1遮蔽板
10 第2遮蔽板
11 高温部分
12 低温部分
13 本体ケース
14 機能動作部
15 室内送風機
16 消音材
17 ガイド板
18 排水穴
19 水切りフィルター
22 排水経路
23 第3遮蔽板
24 第4遮蔽板
25 第1分割ライン
26 第2分割ライン
27 第1ネジ
28 第2ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体収納箱の天面を仕切り板として、
この仕切り板の上側に板状の凝縮器を設け、
前記仕切り板の下側に板状の蒸発器を設け、
凝縮器と蒸発器は、冷媒液管と蒸発管とで接続して冷媒サイクルを構成し、
凝縮器の前または後ろには送風機を設け、
凝縮器の上流側に形成される第1通風路と凝縮器の下流側に形成される第2通風路には、それぞれの通風路が上下に蛇行するS字状となるように複数の遮蔽板を設けた発熱体収納箱冷却装置。
【請求項2】
前記第1通風路および第2通風路内部壁面に消音材を貼り付けた請求項1記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項3】
前記第1通風路および第2通風路が脱着可能な請求項1および2記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項4】
前記第1通風路および第2通風路内部に設けた複数の遮蔽板が脱着可能な請求項1〜3記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項5】
前記第1通風路および第2通風路の風路曲がり部の角部に角部を塞ぐように配置したガイド板を設けた請求項1〜4記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項6】
前記第1通風路および第2通風路の前記仕切り板の上方に位置する底部に排水穴および排水経路を設けた、請求項1〜5記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項7】
前記第1通風路および第2通風路において、遮蔽板の端部を接続するように通風部に水きりフィルターを少なくとも流入側に設けた請求項1〜6記載の発熱体収納箱冷却装置。
【請求項8】
機能動作部収納室と冷却部収納室を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記機能動作部収納室内に収納された機能動作部、および室内送風機と、前記本体ケース内の前記冷却部収納室内に収納された室外送風機とを備え、前記冷却部収納室内に請求項1から7のいずれか一つに記載の冷却装置を配置した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230940(P2012−230940A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96809(P2011−96809)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】