説明

発電システム

【課題】燃料電池の劣化を招くことなく、発電された電力を効率よく補機に供給できる発電システムを提供する。
【解決手段】燃料電池装置2を備えた発電システム1において、燃料電池の補機に電力を供給する補機電源部7に発電部5からの電力を供給するにあたり、発電部5から補機電源部7に供給される電流量(供給電流量)を検出する電流センサ13を設ける。そして、燃料電池装置2の制御部8がパワーコンディショナ4の制御部19にコンバータ16の入力電流制御の制御目標値を与えるに際して、発電部5の発電電流量から上記電流センサ13で検出される供給電流量を差し引いた値を制御目標値としてパワーコンディショナ4の制御部19に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発電システムに関し、より詳細には、発電部として燃料電池を備えた発電システムにおける燃料電池の補機に対する電力供給技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、家庭用の発電システムにおいて、燃料電池による発電(燃料電池発電)と太陽電池による発電(太陽光発電)とを組み合わせて使用する発電システムが提供されている。
【0003】
この種の発電システムでは、燃料電池や太陽電池で発電される直流電力を家庭負荷(電力負荷)で使用できるようにするために、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置であるパワーコンディショナを備えているが、従来の発電システムでは、図2に示すように、太陽電池aと燃料電池bのそれぞれにパワーコンディショナcを接続していたことから(パワーコンディショナを2基使用していたことから)、これら二基のパワーコンディショナc、cにおいて、ほぼ同様の機能を有するインバータeや表示部fなどが重複して設けられるという無駄が生じていた。
【0004】
そのため、最近では、このような構成上の無駄をなくすために、図3(a)に示すように、1基のパワーコンディショナgを太陽電池aと燃料電池bとで共用するように構成した発電システムが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
すなわち、この図3(a)に示す発電システムでは、パワーコンディショナgに、太陽電池用のコンバータdaと燃料電池用のコンバータdbとを設け、これらコンバータda,dbで昇圧された直流電力を交流電力に変換するインバータとして1基のインバータeを共用し、表示部についても太陽電池発電と燃料電池発電とに共用される1基の表示部fを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−136112号公報
【特許文献2】特開2005−151662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このように太陽電池発電と燃料電池発電とでインバータを共用するという発想の下では、燃料電池bの補機(図示せず)に対する電力の供給は、たとえば、図3(a)に示すように、系統(商用電源)に接続されたコンセントiを介して行うようにすることが考えられる。この場合、燃料電池bにはAC/DCコンバータを備えた補機電源hが備えられ、この補機電源hに上記コンセントiを介して交流電力を供給することになる。すなわち、燃料電池bが発電していないときには、商用電源からの交流電力を補機電源hに与えるようにし、また、燃料電池bが発電しているときには、図3(b)に示すように、燃料電池bで発電されインバータeで交流に変換された交流電力を補機電源hに与えるようにして、いずれの場合も補機電源hのAC/DCコンバータで直流電力に変換して補機に電力を供給するように構成される。
【0008】
しかしながら、このような構成では、燃料電池bが発電している場合の補機への電力の供給は、一旦インバータeで交流に変換した電力を再び補機電源hで直流に変換して供給することになるため、直流から交流の変換によるロスで発電効率が低下するという問題がある。
【0009】
そのため、出願人はこのような変換ロスの低減を目的として、図4に示すように、補機電源hに燃料電池bの発電部kから出力される直流電力を補機用の直流電圧に変換するDC/DCコンバータを搭載し(図4(b)参照)、燃料電池bが発電していないときは、商用電源からの交流電力を補機電源hのAC/DCコンバータに与える一方、燃料電池bが発電しているときには、燃料電池bで発電された直流電力を直接補機電源hのDC/DCコンバータに与えるようにすることを考えた。
【0010】
しかし、このような構成にした場合には、図4(b)に示すように、燃料電池bの発電部kで発電された電流の一部が補機電源hに流れることになるから、燃料電池用のコンバータdbに入力電流制御を行うコンバータを採用すると、補機電源hに流れる電流分だけ余分に電流が消費されることとなり、パワーコンディショナgと補機電源hとで消費される電流量(消費電流量)が発電部kで発電される発電電流量を超えることになってしまう。つまり、発電電流<消費電流となってしまい、燃料電池bの発電部kを劣化させる要因となってしまう。
【0011】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、燃料電池の劣化を招くことなく、発電された電力を効率よく補機に供給できる発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発電システムは、発電部として燃料電池を有する燃料電池装置と、上記発電部で発電された電力を系統に連系可能な交流電力に変換するパワーコンディショナとを備えた発電システムであって、上記燃料電池装置は補機に電力を供給する補機電源部を備えるとともに、この補機電源部が上記発電部の発電出力から直接電力供給を受けられるように構成されたものにおいて、上記発電部から補機電源部への供給電流量を検出する電流検出手段を備え、制御部が、上記発電部の発電電流量と、上記電流検出手段によって検出される上記補機電源部への供給電流量との差を演算し、その演算結果を入力電流制御値としてパワーコンディショナの入力電流制御を行うことを特徴とする。
【0013】
この請求項1に係る発電システムでは、燃料電池装置の補機電源部に対して、燃料電池装置の発電部から直接電力を供給できるようにするにあたり、発電部から補機電源部に供給される電流量(供給電流量)を検出する電流検出手段を設けて、燃料電池装置の発電部が発電しているときに補機電源部に流れる電流量を検出する。そして、パワーコンディショナにおけるコンバータの入力電流制御を行う際に、制御部は、発電部で発電される電流量(発電電流量)とこの供給電流量との差を求めて燃料電池装置からパワーコンディショナに供給される電流量を求め、この電流量をコンバータの入力電流制御の制御目標値(入力電流制御値)として用いる。そのため、この請求項1に係る発電システムでは、燃料電池装置の発電部で発電された発電電流の一部を補機電源部に供給するように構成しても、パワーコンディショナで消費される消費電流量が発電電流量を超えることが回避され、燃料電池装置の発電部の劣化が防止される。つまり、発電部の劣化を招くことなく、発電された電力を効率よく補機に供給することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の発電システムは、請求項1に係る発電システムにおいて、上記制御部が、燃料電池装置の制御部とパワーコンディショナの制御部とで構成されており、上記燃料電池の制御部は、上記入力電流制御値を演算してその結果をパワーコンディショナの制御部に送信し、上記パワーコンディショナの制御部は、受信した上記入力電流制御値に基づいてパワーコンディショナを制御するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
この請求項2に係る発電システムでは、発電システムの制御部として、燃料電池装置の制御部とパワーコンディショナの制御部とを用いる。そして、上述したパワーコンディショナで行う入力電流制御の制御目標値(入力電流制御値)の演算を燃料電池装置側の制御部で行い、パワーコンディショナの制御部にはその演算結果を送信するようにしている。そのため、パワーコンディショナの制御部には、発電部の発電電流量から補機電源部に流れる供給電流量分が差し引かれた値が入力電流制御の制御目標値として与えられることになり、パワーコンディショナ側の構成に何らの変更を加えることなく、発電部で発電された電力を補機電源部に供給する構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発電システムが燃料電池装置の発電部から補機電源部への供給電流量を検出する電流検出手段が備え、制御部が燃料電池装置の発電部の発電電流量と電流検出手段によって検出される補機電源部への供給電流量との差を演算し、その演算結果をパワーコンディショナにおける入力電流制御の制御値としてパワーコンディショナを制御するので、燃料電池装置の発電部で発電された発電電流の一部を補機電源部に供給するように構成しても、パワーコンディショナでの消費電流量が発電部での発電電流量を超えることがなく、燃料電池装置の発電部の劣化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る発電システムの概略構成の一例を示しており、図1(a)は同発電システムの回路ブロック図を、図1(b)は同発電システムにおける補機電源部およびパワーコンディショナに対する電力供給経路を示す説明図である。
【図2】従来の発電システムの一例の概略構成を示すブロック図である。
【図3】従来の発電システムの他の一例の概略構成を示しており、図3(a)は同発電システムの回路ブロック図を、図3(b)は同発電システムにおいて燃料電池の発電時における補機電源部に対する電力供給経路を示す説明図である。
【図4】図3に示す発電システムの改変例を示しており、図4(a)は同発電システムの回路ブロック図を、図4(b)は同発電システムにおける補機電源部およびパワーコンディショナに対する電力供給経路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用した発電システムの概略構成を示している。この発電システム1は、発電部として燃料電池と太陽電池とを有する家庭用の発電システムであって、図1に示すように、燃料電池装置2と、太陽電池パネル3と、パワーコンディショナ4とを主要部として備えている。
【0019】
燃料電池装置2は、天然ガスなどの水素を含む燃料ガスと、空気などの酸素を含む酸化剤ガスとを供給し、水素と酸素を化学反応させて直流電力を得る発電部(燃料電池)5を有する発電設備であって、この発電部5の周辺機器からなる補機6(図1(b)参照)と、補機6に電力を供給する補機電源部7と、燃料電池装置2の各部を制御する制御部(以下、「FC制御部」と称する)8とを主要部として備えている。
【0020】
ここで、上記発電部5としては、たとえば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)や固体高分子形燃料電池(PEFC)などの公知の構成を備えた燃料電池が使用される。また、補機は、燃料電池装置2の筐体(図示せず)内に上記発電部5などとともに収容されており、発電部5の起動準備時や発電運転時に電力を消費するブロワやポンプなどの電力負荷で構成されている。
【0021】
上記補機電源部7は、商用電源などの系統Aから供給される交流電力または上記発電部5からパワーコンディショナ4を介することなく直接供給される直流電力から補機6に供給する直流電力を生成するための電源装置であって、交流電力を所望の電圧(たとえば、DC24V)の直流電力に変換するAC/DCコンバータ9と、直流電力を所望の電圧(たとえば、DC24V)の直流電力に変換するDC/DCコンバータ10とを備えている(図1(b)参照)。
【0022】
この補機電源部7のAC/DCコンバータ9は、図1(b)に示すように、その入力側が系統A(具体的には系統Aから交流電力の供給を受ける図示しない配電盤など)と電源線11を介して接続されている。また、補機電源部7のDC/DCコンバータ10は、その入力側が上記発電部5と電源線12を介して接続されており、発電部5で発電される直流電力の一部がこのDC/DCコンバータ10に供給されるように構成されている。
【0023】
そして、本発明では、この電源線12に電流センサ(電流検出手段)13が備えられており、発電部5から補機電源部7に供給される電流量(供給電流量)を検出できるように構成されている。
【0024】
上記FC制御部8は、燃料電池装置2の各部の動作を制御する制御装置であって、図示しないマイコンをその制御中枢として備えている。このFC制御部8は、燃料電池装置2の各部に設けられる各種センサ類(たとえば、上記電流センサ13)と電気的に接続され、これらセンサ類で得られる情報を取得するとともに、後述するパワーコンディショナ4の制御部19と通信接続されており、パワーコンディショナ4の制御部19と制御情報をやり取りしながら、発電部5の発電制御や補機電源部7の電源切替制御などの各種制御を行うように構成されている。なお、図1において、符号14は電流センサ13との接続のための電装線を、また、符号15はパワーコンディショナ4の制御部19との通信線をそれぞれ示している。
【0025】
ここで、このFC制御部8による発電部5の発電制御は、パワーコンディショナ4の制御部19から与えられる系統Aからの購入電力に関する情報に基づいて行われる。すなわち、この発電制御では、FC制御部8は、系統Aからの購入電力を少なくし、かつ、発電部5で発電された電力が無駄なくパワーコンディショナ4で消費されるように発電部5の発電量を制御するようになっている。
【0026】
具体的には、FC制御部8は、系統Aからの購入電力が増えて購入電力が所定の閾値を超えると(購入電力>閾値になると)、発電部5での発電電力を上昇させる。そして、発電部5での発電電力の上昇に伴って購入電力が少なくなり(購入電力≒0となり)、かつ、パワーコンディショナ4の入力電流制御の制御値と実際の入力電流が近似したときには(入力電流制御値≒入力電流値となっているときには)、発電部5での発電電力をそのまま維持する一方、購入電力が少ない状態で(購入電力≒0となり)、かつ、パワーコンディショナ4の入力電流制御の制御値が実際の入力電流よりも大きくなったときには(入力電流制御値>入力電流値となったときには)、発電部5での発電電力を低下させる。なお、このような発電電力の制御は、発電部5に供給する燃料ガスと酸化剤ガスの供給量をFC制御部8が制御することによって行うようになっている。
【0027】
また、この発電制御に関連して、FC制御部8は、発電部5での発電電流に基づいてパワーコンディショナ4に対して、コンバータ16の入力電流制御を行うための制御目標値(入力電流制御値)を送信するようになっている(詳細は後述する)。
【0028】
一方、上記太陽電池パネル3は、周知のごとく、複数の太陽電池セルをパネル状に接続配列してなる発電設備であって、太陽光のエネルギを直流電力に変換するように構成されている。
【0029】
パワーコンディショナ4は、上記燃料電池装置2および太陽電池パネル3で発電される直流電力を系統Aに連系可能な交流電力に変換するインバータ装置であって、図1に示すように、燃料電池装置2用のコンバータ16と、太陽電池パネル3用のコンバータ17と、これらコンバータ16,17に共用されるインバータ18と、パワーコンディショナ4の各部を制御する制御部(以下、「PC制御部」と称する)19とを主要部として備えている。
【0030】
上記コンバータ16,17は、上記インバータ18において系統Aに連系可能な電圧(たとえば、AC200V)の交流電力を生成できるように、燃料電池装置2の発電部5や太陽電池パネル3から供給される直流電力を昇圧するDC−DCコンバータで構成されている。各コンバータ16,17の具体的な構成・制御については、各コンバータ16,17に接続される発電設備の特性に応じて決定されており、本実施形態では、燃料電池装置2の発電部(燃料電池)5が接続されるコンバータ16には絶縁型で、かつ、入力電流制御されるコンバータが用いられている。一方、太陽電池パネル3が接続されるコンバータ17には非絶縁型または絶縁型で、かつ、最大電力点追従制御(MPPT制御)のコンバータが用いられている。
【0031】
これらコンバータ16,17は、それぞれ昇圧した直流電力がインバータ18に供給されるように、各コンバータ16,17の出力が接続点20で接続され、この接続点20がインバータ18のDCリンク部(図示せず)に接続されている。
【0032】
上記インバータ18は、上記コンバータ16,17で昇圧された直流電力を系統Aに連系可能な電圧・周波数の交流電力(たとえば、単相三線式200V)に変換するDC−ACインバータで構成されており、このインバータ18は上記DCリンク部の電圧が一定になるように制御される。
【0033】
上記PC制御部19は、パワーコンディショナ4の各部の動作を制御する制御装置であって、図示しないマイコンを制御中枢として備えている。そして、このPC制御部19は、パワーコンディショナ4の各部に備えられる各種センサ類で得られる情報や上記FC制御部8から得られる制御情報などに基づいて、コンバータ16,17やインバータ18などの制御を行うように構成されている。
【0034】
具体的には、たとえば、このPC制御部19は、上記コンバータ16の制御に関して、上記FC制御部8から与えられる入力電流制御値(制御目標値)に基づいて、コンバータ16の入力電流制御を行う。また、上記FC制御部8での発電制御に関連して、各種センサ類から得られる情報に基づいて系統Aからの購入電力を算出し、その結果をFC制御部8に対して送信する。
【0035】
しかして、このように構成された発電システム1においては、燃料電池装置2の発電部5または太陽電池パネル3の少なくともいずれか一方が発電を開始した場合には、上記PC制御部19は、発電を開始した発電設備が接続されているコンバータ16,17を運転させるとともに、インバータ18を動作させて、コンバータ16,17から出力される直流電力をインバータ18で交流電力に変換し、系統Aに連系させるようになっている。
【0036】
そこで、次に、本発明に係る発電システム1の特徴的な動作について説明する。
A:補機電源部7の電源切替制御
上述したように、本発明に係る発電システム1では、補機電源部7には、系統Aから交流電力の供給を受けるAC/DCコンバータ9と、燃料電池装置2の発電部5から直流電力の供給を受けるDC/DCコンバータ10とが備えられているが、補機6に対する電力供給は、これらAC/DCコンバータ9およびDC/DCコンバータ10のいずれか一方により行われるようになっており、その切替制御(電源切替制御)を上記FC制御部8が行うように構成されている。
【0037】
具体的には、上記FC制御部8は、発電部5が発電停止状態(発電部5が正常に発電を開始するに至るまでの起動準備中を含む)にあるときには、補機電源部7のAC/DCコンバータ9を動作(このとき、DC/DCコンバータ10の動作は停止)させて、系統Aから供給される交流電力をAC/DCコンバータ9で所望の電圧の直流電力に変換して補機6に電力を供給する。すなわち、発電部5が発電を行っていない状態では補機6に対して発電部5から電力を供給できないので、この場合には系統Aから供給される電力を用いて、補機6を動作可能な状態にしておく。
【0038】
そして、発電部5が発電状態にあるとき(発電部5が正常に発電を行っているとき)には、上記FC制御部8は、上記DC/DCコンバータ10を動作させるとともに、AC/DCコンバータ9の動作を停止させて、発電部5で発電された直流電力をDC/DCコンバータ10で所望の電圧の直流出力に変換して補機6に供給する。つまり、発電部5が発電を開始した後は、発電部5で発電された直流電力を用いて補機6を動作させる。
【0039】
このように、本発明の発電システム1では、燃料電池装置2の発電部5が発電しているときには、補機6を動作させる電力として発電部5で発電された電力を用いるので、系統Aからの購入電力を抑制することができる。しかも、このときに補機6に供給される電力は、発電部5で発電した電力を一旦パワーコンディショナ4で交流電力に変換することなく発電部5から直接補機電源部7に供給されるので、直流から交流に変換することによる変換ロスがなく、発電効率の低下を招くことなく補機6に電力を供給することができる。
【0040】
B:コンバータ16の入力電流制御値(制御目標値)の演算
上述したように、燃料電池装置2が接続されるコンバータ16は、FC制御部8から送信される入力電流制御値に基づいて入力電流制御が行われるようになっているが、ここで発電部5の発電電流値をそのまま入力電流制御値(制御目標値)としてPC制御部19に与えるようにすると、発電部5が発電中は補機電源部7に発電電流の一部を供給するようになっている本発明の発電システム1では、パワーコンディショナ4と補機電源部7とで消費される電流量(消費電流量)が発電部5で発電される発電電流量を超えて発電部5の劣化を招くおそれがある。
【0041】
そのため、本発明に係る発電システム1では、そのような事態が起きないように、コンバータ16の入力電流制御値を決定するFC制御部8において、発電部5の発電電流量から上記電流センサ13で検出される補機電源部7への供給電流量を減算して(発電電流量と補機電源部7への供給電流量の差を演算して)、その結果をコンバータ16の入力電流制御値としてパワーコンディショナ4に送信するように構成されている。
【0042】
このように、本発明の発電システム1では、コンバータ16の入力電流制御の制御目標値の設定にあたり、発電部5の発電電流量と補機電源部7への供給電流量との差を求めることによって、パワーコンディショナ4に実際に供給される電流値を制御目標値とすることができるので、パワーコンディショナ4および補機6で消費される消費電流量が発電部5の発電電流量を超えることが回避され、発電部5の劣化が防止される。したがって、本発明の発電システムでは、上述した補機電源部7の電源切替制御とあいまって、発電部5の劣化を防止しつつ、発電された電力を効率よく補機6に供給できる発電システムが提供することができるようになる。
【0043】
しかも、本発明の発電システム1では、パワーコンディショナ4で行うコンバータ16の入力電流制御の制御目標値(入力電流制御値)の演算が燃料電池装置2側のFC制御部8で行われ、パワーコンディショナ4のPC制御部19にはその演算結果が送信されるので、パワーコンディショナ4側の構成に何らの変更を加えることなく、発電部5で発電された電力を補機電源部7に供給する本願発明を適用することができる。つまり、燃料電池装置2を交換するだけで既設の発電システムにも本発明を適用することができる。
【0044】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0045】
たとえば、上述した実施形態では、パワーコンディショナ4に接続される発電設備として燃料電池装置2と太陽電池パネル3を用いた場合を示したが、本発明に係る発電システム1は、発電部5から直接電力供給を受けることができる補機電源部6を備えた燃料電池装置2を発電設備として備えている発電システムに適用されるものであることから、燃料電池装置2に他の発電設備が併設されていなくてもよい。また、太陽電池パネル3に代えて他の直流の発電設備を併設する構成であってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、コンバータ16の入力電流制御値(制御目標値)の演算を燃料電池装置2側のFC制御部8で行うように構成した場合を示したが、発電部5の発電電流量と電流センサ13で検出される補機電源部7への供給電流量とをパワーコンディショナ4のPC制御部19に送信し、PC制御部19でこれらに基づいてコンバータ16の入力電流制御値を演算するように構成することも可能である。また、電流センサ13の検出結果をFC制御部8を介さずにPC制御部19に送信するように構成し、FC制御部8からは発電電流量を送信し、これらに基づいてPC制御部19で上述した入力電流制御の制御目標値(入力電流制御値)の演算を行うように構成することも可能である。
【0047】
さらに、上述した実施形態では、発電システム1の制御部が、燃料電池装置2のFC制御部8と、パワーコンディショナ4のPC制御部19とで構成される場合を示したが、たとえば、これら制御部8,19を一体にした制御部を燃料電池装置2またはパワーコンディショナ4に設けるか、もしくはこれらとは独立した制御装置を設けるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 発電システム
2 燃料電池装置
3 太陽電池パネル
4 パワーコンディショナ
5 発電部(燃料電池)
6 補機
7 補機電源部
8 FC制御部(燃料電池装置の制御部)
9 AC/DCコンバータ
10 DC/DCコンバータ
13 電流センサ(電流検出手段)
16,17 コンバータ
18 インバータ
19 PC制御部(パワーコンディショナの制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部として燃料電池を有する燃料電池装置と、前記発電部で発電された電力を系統に連系可能な交流電力に変換するパワーコンディショナとを備えた発電システムであって、前記燃料電池装置は補機に電力を供給する補機電源部を備えるとともに、この補機電源部が前記発電部の発電出力から直接電力供給を受けられるように構成されたものにおいて、
前記発電部から補機電源部への供給電流量を検出する電流検出手段を備え、
制御部が、前記発電部の発電電流量と、前記電流検出手段によって検出される前記補機電源部への供給電流量との差を演算し、その演算結果を入力電流制御値としてパワーコンディショナの入力電流制御を行うことを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記制御部は、燃料電池装置の制御部とパワーコンディショナの制御部とで構成されており、
前記燃料電池の制御部は、前記入力電流制御値を演算してその結果をパワーコンディショナの制御部に送信し、前記パワーコンディショナの制御部は、受信した前記入力電流制御値に基づいてパワーコンディショナを制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−249486(P2012−249486A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121284(P2011−121284)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】