説明

発電センサ素子およびセンサノード

【課題】発電素子により振動から抽出した電力で動作して、振動素子により自己の振動を検知するセンサノードを小型化する。
【解決手段】発電センサ素子11は、基板11F上に形成された薄板金属からなる発電電極11Cと、この発電電極11C上に配置された帯電体11Bと、基板11F上であって発電電極11Cの周辺位置に固定された支持部11Hと、一端が支持部11Hの上端に固定された、弾性を有するバネ11Gと、バネ11Gの他端に接続されて、帯電体11Bの上方であって、帯電体11Bと水平に対向する位置に振動可能に支持された、薄板金属からなる可動体11Aと、基板11F上で発電電極11Cの周辺位置であって、可動体11Aを挟んで互いに対向する位置に立設された薄板金属からなる2つのセンサ電極11D,11Eとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサノード技術に関し、特に振動から抽出した電力で動作して、自己の振動を検知するセンサノードの小型化に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のデータを検知するセンサに通信機能やデータ処理機能を付加して高機能なセンサノードを構成し、さらにこれらセンサノードでネットワークを構築するセンサネットワーク技術の研究が進んでいる。
このセンサネットワーク技術では、センサノードの小型化・軽量化を目的として、データを検知して受信装置へ送信するための回路構成を半導体チップで実現したセンサノードが注目されている。
【0003】
このようなセンサノードは、物や人などの様々な対象に取り付けられることで、その対象の各種状態を示すデータを検知して、無線信号により受信装置へ送信することができる。このため、受信装置で受信したこれら検知データを、インターネットなどのネットワークを介して収集することで、様々なサービスを実現することができ、いわゆるユビキタスネットワークサービスを実現することができる。例えば、装置に取り付けたセンサノードでその振動周波数や加速度を検知するとともに、受信装置でこれら検知データを収集して提供することにより、ネットワークを介して遠隔地で装置の動作状態を把握でき、有用な保守・整備サービスを広い範囲で提供することが可能となる。
【0004】
図23は、従来のセンサノードシステムの構成を示すブロック図である(例えば、特許文献1、特許文献2など参照)。センサノードシステム5は、センサノード50と受信装置60で構成される。センサノード50で検知したデータは無線電波を介して受信装置60に送信される。無線電波は、比較的微弱な無線信号であり、数十cmから数十m離れた距離を通信できる。
【0005】
センサノード50は、センサ素子部51、センサ回路部52、A/D変換部53、CPU54、メモリ部55、無線部56、および電源部57により構成され、電源部57から各ブロックへ電力が供給されている。電源部57は、例えば振動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機構や2次電池等で構成されており、長時間の動作が実現可能なように工夫されている。
【0006】
センサ素子部51から得られた差動の電圧信号は、センサ回路部52の差動増幅器AMPで増幅された後、後段のA/D変換部53でA/D変換され、CPU54によりメモリ部55へ検知データとして保存される。その後、検知データはCPU54により所定のタイミングでメモリ部55から読み出され、無線部56から無線電波により受信装置60へ送信される。
【0007】
図24は、従来のセンサ素子部およびセンサ回路部の構成を示す回路図である。センサ素子部51は、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に逆方向で並列接続された2つの振動センサ51A,51Bから構成されている(以降、振動センサは「振動素子」とも称す)。振動センサ51Aは、外部振動により互いに逆方向に容量値が変化する2つの可変容量素子CP1,CN1の直列接続からなり、振動センサ51Bは、外部振動により互いに逆方向に容量値が変化する2つの可変容量素子CP2,CN2からなる。
【0008】
図25は、従来の振動センサの構成例である(例えば、特許文献2など参照)。振動センサ51A,51Bは、MEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスによりシリコンチップ上に構成された微細な櫛歯構造からなり、可動電極51Mと2つの固定電極51P,51Nとを有している。
【0009】
これら振動センサ51A,51Bにおいて、外部振動で可動電極51Mが振動することにより、固定電極51P,51Nとの距離が変化して、可動電極51Mと固定電極51P,51Nと間の容量CP,CNの大きさが変化する。この際、固定電極51Pと固定電極51Nとの中間に可動電極51Mが配置されているため、これら容量CP,CNは差動的に変化する。
【0010】
したがって、ノードN1を介して固定電極51Pへ動作電源VDDを印加し、ノードN2を介して固定電極51Nへ接地電位GNDを印加した場合、VDDとGNDの中間電位を中心として外部振動に応じて電圧が上下に変化する電圧信号が、可動電極51MのノードN3からセンサ回路部52へ出力される。この際、振動センサ51A,51Bは、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に逆方向で並列接続されていることから、同一外部振動に対して互いに逆位相の電圧信号がセンサ回路部52へ出力される。
【0011】
また一方で、小型の素子(以降、「発電素子」と称する)に外部から与えられる振動エネルギーを電荷に蓄え、電気的なエネルギーに変換する技術については、PMPG(Piezoelectric Micro Power Generator)技術などとして近年研究が盛んになっている(非特許文献1など参照)。図26は、PMPGの従来例を示す回路部である。
図26における交流電流発生器61、すなわち発電素子に振動が与えられることによりそこで発生した交流電流は内容は、ダイオードからなる整流回路62で整流され、さらに、コンデンサ63で平滑されて直流電流となり、後段の処理回路64に供給される。
【0012】
発電素子としては、前述した図25で示すような振動センサ(振動素子)の構造を変更した上で用いることができる。すなわち、振動を検知する振動素子も、振動エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電素子も、2つの電極板が直接的または間接的にバネで繋がれ相対的に振動することにより電気容量が変化するコンデンサを有する構成を持ち、その結果、振動が交流電流(または交流電圧)に変換されるという点で、原理的には同一なのである。
なお、上記コンデンサが所定の電圧を蓄えた後に、後段の処理回路に電力を供給する技術も提案されている(例えば、特許文献3など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2004−024551号公報
【特許文献2】特開2009−302632号公報
【特許文献3】特開2009−055769号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Y.B.Jeon, et al., "MEMS power generator with transverse mode thin film PZT", ELSEVIER, Sensors and Actuators A 122 (2005) pp.16-22.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
振動を検知する振動素子と、振動エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電素子とは、原理的に同一の構成、すなわち、2つの電極板が直接的または間接的にバネで繋がれ相対的に振動することにより電気容量が変化するコンデンサを有する構成であることは、前述の通りである。
ここで、振動を検知するセンサノードに対し、振動エネルギーを電気エネルギーとして供給する場合、振動素子用のコンデンサと、発電素子用のコンデンサは、別々に設ける必要があった。その理由は、コンデンサの設計パラメタが、振動素子用と発電素子用では異なるからである。
【0016】
一方、振動素子は、高感度・高線形性が確保できるように、発電素子用は電流・電圧・電力の高出力化が可能であるように、それぞれコンデンサの容量、電極の質量、バネ定数を設定する必要がある。ただし、現時点で、これらのパラメタの最適決定法は不明であることから、経験的に定める必要がある。
また、それぞれのコンデンサの出力特性に合わせて、振動素子用と発電素子用の処理回路を最適設計するのが、得られる信号の品質の観点から、合理的である。
【0017】
したがって、前述した従来技術によれば、振動を検知するセンサノードに対し、振動エネルギーを電気エネルギーとして供給する場合、振動エネルギーを取り出す発電素子と、人やモノの動作に対応した振動を検知する振動素子を個別に搭載する必要があり、センサノードを小型化できないという課題があった。
【0018】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、発電素子により振動から抽出した電力で動作して、振動素子により自己の振動を検知するセンサノードの小型化技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために、本発明にかかる発電センサ素子は、基板上に形成された薄板金属からなる発電電極と、この発電電極上に配置された帯電体と、基板上であって発電電極の周辺位置に固定された支持部と、一端が支持部の上端に固定された、弾性を有するバネと、バネの他端に接続されて、帯電体の上方であって、当該帯電体と水平に対向する位置に振動可能に支持された、薄板金属からなる可動体と、基板上で発電電極の周辺位置であって、可動体を挟んで互いに対向する位置に立設された薄板金属からなる2つのセンサ電極とを備え、可動体および電気センサ電極からなる振動素子が、外部から印加された振動に応じて可動体が基板面と並行したX方向に変位した際に、可動体とセンサ電極との間に生じる2つの容量が変化して、当該変位に応じて振幅が変化する、互いに逆位相の検知信号を2つのセンサ電極からそれぞれ出力し、可動体、帯電体、および発電電極からなる発電素子が、外部から印加された振動に応じて可動体が基板面と直交するZ方向に変位した際に、発電電極に誘起された電荷が変化して、当該変位に応じて振幅が変化する電圧信号を発電電極から出力する。
【0020】
この際、バネは、X方向の幅に比較して、Z方向の幅が小さくしてもよい。
また、可動体は、1つのバネにより支持してもよい。
あるいは、可動体は、基板面と並行してX方向と直交するY方向に沿って、当該可動体を挟んで接続された2つのバネにより支持してもよい。
あるいは、可動体は、基板面と並行してX方向と直交するY方向に沿って、当該可動体を挟んで2つずつ接続された4つのバネにより支持してもよい。
あるいは、可動体は、当該可動体の中心に対して平面視点対称となる位置に接続された4つのバネにより支持してもよい。
【0021】
また、バネとして、葛折り形状を用いてもよい。
また、バネは、可動体に設けられた切り欠き部に配置してもよい。
また、可動部に、当該変位の共振周波数を調整するための重りを設けてもよい。
【0022】
また、可動部に、当該上面または当該下面の周部であって、少なくともセンサ電極と対向する位置に、当該可動部の厚さより高い壁状の縁部を設け、センサ電極を、縁部と対向する位置に配置してもよい。
【0023】
また、可動部に、当該下面の周部全周にわたって、当該可動部の厚さより高い壁状の縁部を設け、センサ電極を、縁部と対向する位置に配置し、少なくとも帯電体の一部を、縁部により可動部の下面に形成された凹部の内側に配置してもよい。
【0024】
また、可動部とバネを、薄板金属を加工して一体に形成し、当該可動部のうち少なくともセンサ電極と対向する端部を曲げ加工することにより、上方または下方へ板状に突出した縁部を形成してもよい。
【0025】
また、基板としてプリント基板を用い、発電電極を基板上に形成された配線パターンで構成し、センサ電極を、薄板金属をL型に曲げ加工してプリント基板に立設し、可動部とバネを、薄板金属を加工して一体に形成して、当該可動部のうち少なくともセンサ電極と対向する端部を曲げ加工することにより、上方または下方へ板状に突出した縁部を形成してもよい。
【0026】
また、本発明にかかるセンサノードは、前述したいずれか1つの発電センサ素子と、発電センサ素子の発電電極から出力された電荷を蓄電することにより動作電源を生成する蓄電回路と、蓄電回路から供給された動作電源により起動して、発電センサ素子のセンサ電極から検知信号として出力された電荷を蓄積することによりセンサ出力信号を生成し、このセンサ出力信号をしきい値と比較した比較結果を出力信号として出力するセンサ素子信号検出回路と、出力信号に応じて蓄電回路から供給された動作電源に基づいて動作して、無線電波を送信する無線回路とを備えている。
【0027】
この際、蓄電回路に、発電電極から出力された電荷を整流する整流回路と、整流回路で整流された電荷を蓄電して動作電源を生成する容量素子と、動作電源の電圧上昇を上限しきい値までに制限する電圧制限回路と、動作電源の電圧が下限しきい値以上に上昇している期間には、第1のスイッチをオンして動作電源をセンサ素子信号検出回路へ供給する電圧検知回路と、出力信号に応じてオンすることにより、動作電源をセンサ素子信号検出回路へ供給する第2のスイッチとを備えていもよい。
【0028】
また、センサ素子信号検出回路に、第1のスイッチを介して供給された動作電源に応じて動作し、検知信号として出力された電荷を蓄積することによりセンサ出力信号を生成するセンサ回路と、第1のスイッチを介して供給された動作電源に応じて動作し、センサ出力信号をしきい値と比較した比較結果を出力信号として出力するしきい値回路とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、発電センサ素子で、人やモノの動作で生じる大きな振動で発生したX方向の変位で、振動、すなわち人やモノの動作を検出することができるとともに、床や壁に発生する比較的弱い環境振動によるZ方向の変位で、センサノードの動作に用いる電力を発電することができ、センサノードの小型化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施の形態にかかるセンサノードの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる発電センサ素子の構成を示す平面図である。
【図3A】図2のA−A断面図である。
【図3B】図2のB−B断面図である。
【図3C】バネを示す外観図である。
【図4】センサノードの蓄電回路およびセンサ素子信号検出回路を示す回路図である。
【図5】ダイオードの構成例である。
【図6】電圧制限回路の構成例である。
【図7】ゼロパワーセンサ回路の構成例である。
【図8】ゼロパワーセンサ回路の構成例である。
【図9】センサノードの動作を示す信号波形図である。
【図10】センサノードの他の動作を示す信号波形図である。
【図11】無線回路の動作を示す説明図である。
【図12】第2の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図13】第3の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図14】第4の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図15】第5の実施の形態にかかるバネを示す平面図である。
【図16A】第6の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図16B】第6の実施の形態にかかる他の発電センサ素子を示す平面図である。
【図16C】第6の実施の形態にかかる他の発電センサ素子を示す平面図である。
【図16D】第6の実施の形態にかかる他の発電センサ素子を示す平面図である。
【図17A】第7の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図17B】図17AのB−B断面図である。
【図18A】第8の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図18B】図18AのA−A断面図である。
【図19A】第9の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図19B】図19AのA−A断面図である。
【図20A】第10の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
【図20B】図20AのA−A断面図である。
【図20C】図20AのB−B断面図である。
【図21】第11の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す断面図である。
【図22】第12の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す断面図である。
【図23】従来のセンサノードシステムの構成を示すブロック図である。
【図24】従来のセンサ素子部およびセンサ回路部の構成を示す回路図である。
【図25】従来の振動センサの構成例である
【図26】PMPGの従来例を示す回路部である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかるセンサノードについて説明する。図1は、第1の実施の形態にかかるセンサノードの構成を示すブロック図である。
【0032】
センサノード10は、物や人などの様々な対象に取り付けられることで、その対象の状態を検知して、無線電波により外部機器へ送信する。無線電波は、比較的微弱な無線信号であり、数十cmから数十m離れた距離を通信できる。このようなセンサノード10を複数用いて通信ネットワークを構成することにより、各種対象の状態を示すデータを収集するセンサノードシステムが構築される。
【0033】
本実施の形態は、振動を検出する振動素子と、振動エネルギーを抽出してセンサノード10で必要とされる発電する発電素子とを、1つの発電センサ素子11に一体化したことを特徴としている。
【0034】
[センサノード]
図1を参照して、本実施の形態にかかるセンサノード10の構成について説明する。
センサノード10には、主な機能部として、発電センサ素子11、蓄電回路12、センサ素子信号検出回路13、および無線回路14が設けられている。
【0035】
発電センサ素子11は、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System)プロセスなどの微細加工技術に基づいて、基板上に構成された振動素子11Xと発電素子11Zとを備え、発電素子でセンサノード10に加えられた振動エネルギーを電荷として抽出することにより発電する機能と、振動素子でセンサノード10に加えられた振動を検出する機能とを有している。発電センサ素子11の詳細については、後述する。
【0036】
蓄電回路12は、発電センサ素子11の発電素子11Zから出力された電荷を蓄電して動作電源VDDを生成する機能と、得られた動作電源VDDをセンサ素子信号検出回路13へ供給する機能と、センサ素子信号検出回路13からの制御信号OUTに応じて無線回路14へ動作電源VDDを供給する機能とを有している。
【0037】
センサ素子信号検出回路13は、発電センサ素子11の振動素子11Xから出力された逆位相の検知信号BP,BNを昇圧して蓄積することによりセンサ出力信号SOとして出力する機能と、センサ出力信号SOがしきい値電圧Vthへ到達した時点で制御信号OUTを蓄電回路12へ出力する機能とを有している。
この際、センサ出力信号SOは、対象の振動や加速度の大きさに応じて、その電圧上昇速度が変化する。したがって、センサ出力信号SOが初期電圧からしきい値電圧まで上昇する所要時間、すなわち制御信号OUTの出力間隔が、対象の振動や加速度の大きさに応じて変化することになる。
【0038】
無線回路14は、蓄電回路12から供給される動作電源VDDにより動作して、例えば当該センサノード10の識別情報などのデータを含む所定の無線電波を送信する機能を有している。このため、発電センサ素子11で検出した振動や加速度の大きさに応じた間隔で、無線回路14から無線電波が送信される。
この場合、無線回路14において、UWB(Ultra Wide Band)等の高周波パルスそのものを変調して送信する方式を用いてもよく、これにより低電力化無線通信が可能である。無線方式としては、UWBに限定するものではなく、これと同等またはそれ以下の低電力化が可能な無線方式を用いてもよい。
【0039】
なお、無線電波の送信期間長については、センサ素子信号検出回路13において、制御信号OUTの出力完了に応じて1つの検知期間を終了し、センサ出力信号SOを初期化するなど、次の検知期間のための初期化動作を行うようにしてもよい。あるいは、無線回路14から通知された無線電波の送信終了通知に応じて、センサ素子信号検出回路13で、上記初期化動作を行うようにしてもよい。
【0040】
[発電センサ素子]
次に、図2、図3A、図3B、および図3Cを参照して、本実施の形態にかかる発電センサ素子の構成について説明する。図2は、第1の実施の形態にかかる発電センサ素子の構成を示す平面図である。、図3Aは、図2のA−A断面図である。図3Bは、図2のB−B断面図である。図3Cは、バネを示す外観図である。
【0041】
発電センサ素子11は、基板11F上に配置された、可動体11A、帯電体11B、発電電極11C、センサ電極11D,11Eから構成されている。このうち、可動体11Aとセンサ電極11D,11Eとが振動素子11Xを構成し、可動体11Aと発電電極11Cとが発電素子11Zを構成している。発電センサ素子11に関する実際の構造例については、後述する実施の形態で説明する。
【0042】
可動体11Aおよび発電電極11Cは、平面視矩形状の同一形状をなす金属の薄板から構成されている。
発電電極11Cは、基板11F上に形成されており、この発電電極11Cの上に、帯電体11Bが形成されている。また、発電電極11C周辺の基板11F上には、支持部11Hが立設されており、この支持部11Hの上端から、基板11Fの基板面と並行する水平方向Yに突出した、弾性を有する棒状のバネ11Gの一端が固定されている。また、バネ11Gの他端は可動体11Aの側面に固定されている。これにより、可動体11Aは、このバネ11Gを介して、帯電体11Bの上方であって、帯電体11Bと水平に対向する位置に、帯電体11Bと僅かな隙間を持って振動可能に支持されている。
【0043】
センサ電極11D,11Eは、壁状をなす金属の薄板から構成されており、発電電極11C周辺の基板11F上に、可動体11Aと僅かな隙間を持って、可動体11Aと基板11Fの基板面と並行して水平方向Yと直交する水平方向Xに沿って、互いに対向するよう立設されている。図2の例では、センサ電極11D,11Eが、可動体11Aを挟んで互いに対向する位置に配置されており、可動体11Aは、これらセンサ電極11D,11Eが対向する水平方向Yに沿って、バネ11Gにより空中に支持されている。
【0044】
このような構成を有する発電センサ素子11に対して、外部から振動が印加されて、可動体11Aが水平方向Xに揺れた場合、可動体11Aとセンサ電極11Dとの距離、および可動体11Aとセンサ電極11Eとの距離が差動的に変化する。この際、バネ11Gおよび支持部11Hは金属からなり、これらバネ11Gおよび支持部11Hを介して可動体11Aは接地電位GNDに接続されている。
このため、可動体11Aとセンサ電極11Dとの間に生じる容量CP、および可動体11Aとセンサ電極11Eとの間に生じる容量CNも、接地電位GNDを中心として互いに差動的に変化する。したがって、これら可変容量CP,CNから得られる逆位相の検知信号を整流して容量素子に充電することにより、振動の大きさに応じて変化するセンサ出力信号SOを得ることができる。
【0045】
一方、可動体11Aが、基板11Fの基板面と直交する鉛直方向Zに揺れた場合、可動体11Aと帯電体11Bおよび発電電極11Cとの距離が変化する。特に、バネ11Gについては、図3Cに示すように、水平方向Xの幅Wに比較して鉛直方向Zの幅Tを小さく設定している(W>T)。これにより、水平方向Xよりも鉛直方向Zに振動しやすくなる。
このため、発電電極11Cに電荷が誘起されて、可動体11Aと発電電極11Cとの間に生じる電圧信号BVも変化する。したがって、この接地電位GNDを中心とした交流の電圧信号BVを整流して容量素子に蓄電することにより、振動に応じて増大する動作電源VDDを得ることができ、振動エネルギーから電力を発電することができる。
【0046】
本実施の形態にかかる発電センサ素子11によれば、比較的大きなサイズが必要となる可動体11Aを、振動素子11Xと発電素子11Zで兼用するようにしたので、発電センサ素子11を小型化することができる。
これにより、1つの素子で、人やモノの動作で生じる大きな振動で発生した水平方向Xの変位で、振動、すなわち人やモノの動作を検出することができるとともに、床や壁に発生する比較的弱い環境振動による鉛直方向Zの変位で、センサノードの動作に用いる電力を発電することができる。
【0047】
[蓄電回路]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードの蓄電回路について詳細に説明する。図4は、センサノードの蓄電回路およびセンサ素子信号検出回路を示す回路図である。
蓄電回路12には、主な回路として、整流回路12A、容量素子CV、電圧制限回路12B、電圧検知回路12C、スイッチSW1(第1のスイッチ),スイッチSW2(第2のスイッチ)が設けられている。
【0048】
整流回路12Aは、順方向で直列接続されたダイオードD1,D2からなり、ダイオードD1のアノード端子とダイオードD2のカソード端子との接続点が、発電センサ素子11の発電電極11Cに接続され、ダイオードD2のアノード端子が接地電位GNDに接続されている。これにより、発電電極11Cに発生した電圧信号BVがダイオードD1,D2で整流され、ダイオードD1のカソード端子から出力される。
【0049】
図5は、ダイオードの構成例である。ここでは、nMOSトランジスタのソース端子をpMOSトランジスタのソース端子に接続し、nMOSトランジスタのゲート端子をpMOSトランジスタのドレイン端子に接続し、pMOSトランジスタのゲート端子をnMOSトランジスタのドレイン端子に接続することにより、nMOSトランジスタのドレイン端子をカソード端子とし、pMOSトランジスタのドレイン端子をアノード端子とするダイオードが構成されている。ダイオードD1,D2としてこのような構成を用いることにより、ダイオードD1,D2でのリーク電流を低減できる。
【0050】
容量素子CVは、ダイオードD1のカソード端子と接地電位GNDとの間に接続されたコンデンサからなり、ダイオードD1で整流された電圧信号BVが、この容量素子CVに動作電源VDDとして蓄電される。
【0051】
電圧制限回路12Bは、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続されて、動作電源VDDの電圧上昇を制限する回路である。図6は、電圧制限回路の構成例である。ここでは、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続された電圧検知回路CMPが、動作電源VDDを監視し、各回路へ動作電源として供給可能な電位を示す上限しきい値VHまで上昇している場合にスイッチSWをオンする。これにより、抵抗素子Rが動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続されて、動作電源VDDが、容量素子Cと抵抗素子Rの時定数により常時放電されて、電圧上昇が制限される。
【0052】
電圧検知回路12Cは、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続されて、動作電源VDDがセンサ素子信号検出回路13へ動作電源として供給可能な電位に達しているか否かを検知する回路である。これにより、動作電源VDDが、センサ素子信号検出回路13へ動作電源として供給可能な電位を示す下限しきい値VL以上に上昇している場合、電圧検知回路12Cの出力に応じてスイッチSW1がオンし、動作電源VDDがスイッチSW1を介してセンサ素子信号検出回路13へ供給される。
【0053】
スイッチSW2は、センサ素子信号検出回路13からの制御信号OUTに応じて、無線回路14に対する動作電源VDDの供給を制御するスイッチ素子である。これにより、発電センサ素子11のセンサ電極11D,11Eから出力された逆位相の検知信号BP,BNに基づいて、センサ素子信号検出回路13で振動が検出された場合、この振動検出に応じて出力された制御信号OUTに応じてスイッチSW2がオンし、動作電源VDDがスイッチSW2を介して無線回路14へ供給される。
【0054】
[センサ素子信号検出回路]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードのセンサ素子信号検出回路について詳細に説明する。
センサ素子信号検出回路13には、主な回路として、ゼロパワーセンサ回路13Aとゼロパワーしきい値回路13Bが設けられている。
【0055】
ゼロパワーセンサ回路13Aは、発電センサ素子11のセンサ電極11D,11Eで得られた検知信号BP,BNの電荷を容量素子CSで蓄積することにより、対象の振動や加速度に応じた電圧を有するセンサ出力信号SOを出力する回路である。
【0056】
図7は、ゼロパワーセンサ回路の構成例である。ここでは、順方向で直列接続されたダイオードD11〜D13の接続点に検知信号BP,BNが入力されており、ダイオードD13のカソード端子から出力された電圧信号がセンサ出力信号SOとして容量素子CSに充電される。図7の例では、MOSトランジスタでダイオードを構成しているが、PNダイオードを用いてもよい。なお、このゼロパワーセンサ回路13Aの構成は、特許文献2に開示されているものと同等である。
【0057】
ゼロパワーしきい値回路13Bは、センサ出力信号SOが振動ありを示す電位であるしきい値Vthに達しているか否かを検知する回路である。図8は、ゼロパワーセンサ回路の構成例である。ここでは、PMOSトランジスタからなるトランジスタQ1のソース端子が動作電源VDDに接続され、トランジスタQ1のドレイン端子がNMOSトランジスタからなるトランジスタQ2のドレイン端子に接続され、トランジスタQ2のソース端子が接地電位GNDに接続され、トランジスタQ2のドレイン端子とソース端子との間に容量素子COが接続されている。
【0058】
また、トランジスタQ1のゲート端子に、ゼロパワーセンサ回路13Aからのセンサ出力信号SOが入力され、トランジスタQ2のゲート端子に、動作電源VDDと接地電位GNDとの間に接続された抵抗素子R11,R12の分圧回路で生成されたしきい値Vthが入力されている。また、容量素子COの両端電圧がインバータINVに入力され、その反転論理が制御信号OUTとして出力されている。
【0059】
したがって、時刻T0において、センサ出力信号SOが、初期電圧である接地電位GNDの場合、トランジスタQ1はオン状態にあり、トランジスタQ1のソース・ドレイン間電流がトランジスタQ2のそれよりも大きくなる。このため、動作電源VDDからの電荷が容量素子CVに充電され、Lowレベルの制御信号OUTが出力される。
この後、振動が継続して、センサ出力信号SOの電圧が上昇し、ゼロパワーしきい値回路13BのトランジスタQ1のゲート端子電圧が上昇すると、トランジスタQ1はオフ状態に近付いてくる。
【0060】
一方、トランジスタQ2のドレイン・ソース間電流はサブマイクロアンペア程度に設定されているため、センサ出力信号SOの電圧、すなわちトランジスタQ1のゲート端子電圧がしきい値Vthまで到達したところで、トランジスタQ1のソース・ドレイン間電流がトランジスタQ2のそれよりも小さくなり、容量素子CVに充電された電荷がトランジスタQ2へ流れ始める。
これにより、容量素子CVの両端電圧は低下し、容量素子CVの容量値とトランジスタQ2のドレイン・ソース間電流値で決まる放電時間の後、接地電位GNDとなり、インバータINVから出力されている制御信号OUTがHighレベルに反転する。
【0061】
このようにして、ゼロパワーしきい値回路13Bにおいて、上記差分電圧Vdを論理閾値とした閾値処理の動作が行われる。したがって、センサ出力信号SOの電圧が差分電圧Vdを越えた時点で、制御信号OUTがLowレベルからHighレベルに反転して、蓄電回路12のスイッチSW2がオン状態となり、動作電源VDDが無線回路14へ供給される。
【0062】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかるセンサノードの動作について説明する。図9は、センサノードの動作を示す信号波形図である。
【0063】
センサノード10に印加された外部振動により、発電センサ素子11の可動体11Aが鉛直方向Zに変位した場合、発電電極11Cに電荷が誘起され、発生した電圧信号BVが蓄電回路12へ出力される。
【0064】
電圧信号BVは、蓄電回路12の整流回路12Aで整流されて容量素子CVへ動作電源VDDとして充電される。したがって、振動が継続して、動作電源VDDが下限しきい値VLまで上昇した場合、電圧検知回路12CによりスイッチSW1がオンして、動作電源VDDがセンサ素子信号検出回路13へ供給される。また、動作電源VDDが上限しきい値VHまで上昇した場合、電圧制限回路12Bにより動作電源VDDが上限しきい値VHに制限され、高電圧から回路が保護される。
【0065】
一方、センサノード10に印加された外部振動により、発電センサ素子11の可動体11Aが水平方向Xに変位した場合、センサ電極11D,11Eに逆位相の検知信号BP,BNが発生する。
【0066】
図9に示すように、検知期間の開始時点である時刻T0において、容量素子CSの電圧は接地電位GNDと等しいものとする。その後、一定周波数の外部振動をセンサノード10に与えた場合、この外部振動に応じて発電センサ素子11から出力される検知信号BP,BNの電圧が変化する。この際、1回の振動で発電センサ素子11の可変容量素子CP,CNに充電される電荷は一定であることから、電荷Q=容量C×電圧Vの関係に基づき、容量Cと電圧Vとが反比例する。
【0067】
このため、1回の振動で可動体11Aとセンサ電極11Dとの距離が大きくなって可変容量素子CPの容量Cが小さくなると検知信号BPの電圧が高くなり、上記距離が小さくなって可変容量素子CPの容量Cが大きくなると検知信号BPの電圧が低くなる。また、このことは、可動体11Aとセンサ電極11Eとから構成される可変容量素子CNと検知信号BNとの関係についても同様である。
【0068】
この際、可変容量素子CP,CNは対象構造をなすことから、検知信号BP,BNは、図9に示すように逆位相の信号となる。なお、検出信号BP,BNの波形については、実際には外部振動の状態に応じて曲線となるが、回路動作の説明を容易とするため、図9では、検出信号BP,BNを矩形波形で示してある。
【0069】
このようにして発生した検知信号BP,BNは、発電センサ素子11からセンサ素子信号検出回路13へ出力され、ゼロパワーセンサ回路13Aへ入力される。
ゼロパワーセンサ回路13AのダイオードD11〜D13は、それぞれの両端電圧差がしきい値電圧Vt以上になった時点で導通状態となる。このため、検知信号BPの電圧が動作電源VDDよりVt以上低下した時点でダイオードD11が導通し、検知信号BNの電圧が検知信号BPの電圧よりVt以上低下した時点でダイオードD12が導通し、検知信号BNの電圧が固定容量素子CSの電圧、すなわちセンサ出力信号SOの電圧よりVt以上上昇した時点でダイオードD13が導通する。
【0070】
このため、外部振動の繰り返しに応じて、ダイオードD11,D13とダイオードD12とが交互に導通することから、動作電源VDDからの電荷がダイオードD11〜D13を介して容量素子CSまで順に伝達されて充電される。
したがって、時刻T0から時刻T1までの期間ΔT1では、センサ出力信号SOの電圧がゼロパワーしきい値回路13Bのしきい値電圧Vthに達していないため、ゼロパワーしきい値回路13BからスイッチSW2のオフ状態を示す制御信号OUTが出力される。
【0071】
一方、時刻T1に、センサ出力信号SOの電圧がゼロパワーしきい値回路13Bのしきい値電圧Vthに達した時点で、ゼロパワーしきい値回路13BからスイッチSW2のオン状態を示す制御信号OUTが出力される。これにより、時刻T0の動作開始から期間ΔT1経過後に、スイッチSW2を介して無線回路14へ動作電源VDDの供給が開始されて、無線回路14が起動し、無線電波15が送信されることになる。
【0072】
また、センサ出力信号SOの電圧は、検知信号BP,BNの繰り返し回数に依存する。このため、検知信号BP,BNの繰り返し速度、すなわち外部振動の周波数や加速度の大きさに応じて、センサ出力信号SOの電圧が上昇する速度が変化する。
【0073】
図10は、センサノードの他の動作を示す信号波形図である。図10では、図9より低い周波数の外部振動をセンサノード10へ与えた場合が例として示されている。この場合には、図9より外部振動の周波数が低いため、センサ出力信号SOの電圧が上昇する速度は遅くなり、センサ出力信号SOの電圧がしきい値Vthに達するまでに、期間ΔT1より長い期間ΔT2を要している。
【0074】
この結果、外部振動の周波数あるいは加速度の大きさに応じた間隔で、蓄電回路12からスイッチSW2を介して動作電源VDDが無線回路14へ供給され、上記間隔に応じて無線電波15が送信されることになる。
図11は、無線回路の動作を示す説明図である。前述した図9および図10の動作で得られた期間ΔT1,ΔT2をパルス間隔として、無線電波15が間欠的に送信される。
【0075】
無線電波15の1回あたりの送信期間長は、例えば1ms以下であることが望ましい。これによりさらなるμWより小さいnW(ナノワット)レベルまで低電力化が可能である。この際、ゼロパワーしきい値回路13Bから出力する制御信号OUTを無線電波15の送信期間長だけ出力することにより、無線電波15の送信期間長を制御してもよい。
【0076】
また、ゼロパワーしきい値回路13Bにおいて、制御信号OUTの出力完了に応じて1つの検知期間を終了し、ゼロパワーセンサ回路13Aの容量素子CSに充電されているセンサ出力電圧SOやゼロパワーしきい値回路13Bの容量素子CVに充電されている制御信号OUTを、接地電位GNDへ初期化するなど、次の検知期間のための初期化動作を行うようにしてもよい。なお、無線電波15の送信期間長は、無線回路14において制御してもよく、この場合には、無線回路14からの無線電波15の送信終了の通知に応じてゼロパワーしきい値回路13Bで、上記初期化動作を行えばよい。
【0077】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、比較的大きなサイズが必要となる可動体11Aを、振動素子11Xと発電素子11Zで兼用することにより、1つの発電センサ素子11に一体化したので、発電センサ素子11を小型化することができる。これにより、発電センサ素子11で、人やモノの動作で生じる大きな振動で発生した水平方向Xの変位で、振動、すなわち人やモノの動作を検出することができるとともに、床や壁に発生する比較的弱い環境振動による鉛直方向Zの変位で、センサノードの動作に用いる電力を発電することができ、センサノード10の小型化を実現することが可能となる。
【0078】
また、可動体11Aを支持する棒状のバネ11Gについて、鉛直方向Zに沿った高さHを水平方向Xに沿った幅Wより小さくしたので、鉛直方向Zに沿った可動体11Aの揺れを大きくすることができる。これにより、床や壁の環境振動が生じる比較的弱い振動からでも発電素子11Zで発電することができる。また、人やモノの動きで生じる大きな振動が加えられても、可動体11Aの揺れをある程度抑制でき、振動を正確を検知できる。
【0079】
[第2の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図12は、第2の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
第1の実施の形態では、可動体11Aの側面のうち、センサ電極11D,11Eと対向していない、いずれか一方の側面にバネ11Gの一端を接続し、このバネ11Gの他端を支持部11Hに固定することにより可動体11Aを支持する場合を例として説明した。
【0080】
本実施の形態では、図12のように、可動体11Aの側面のうち、センサ電極11D,11Eと対向していない2つの側面に、バネ11Gの一端をそれぞれ接続し、これらバネ11Gの他端を支持部11Hに固定することにより可動体11Aを支持している。
これにより、可動体11Aは、可動体11Aを挟んで対向する位置に設けられた2組の支持部11Hおよびバネ11Gにより、水平方向Yに沿って両側から支持されるため、可動体11Aの水平方向Xに沿った変位を安定化することができる。
【0081】
[第3の実施の形態]
次に、図13を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図13は、第3の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
本実施の形態では、図13のように、可動体11Aの側面のうち、センサ電極11D,11Eと対向していない2つの側面のそれぞれに、2組のバネ11Gの一端を、距離を置いてそれぞれ接続し、これらバネ11Gの他端をそれぞれの支持部11Hに固定することにより可動体11Aを支持している。
これにより、可動体11Aは、可動体11Aを挟んで対向する位置に設けられた4組の支持部11Hおよびバネ11Gにより、水平方向Yに沿って両側から支持されるため、可動体11Aの水平方向Xに沿った変位をさらに安定化することができる。
【0082】
[第4の実施の形態]
次に、図14を参照して、本発明の第4の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図14は、第4の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。
本実施の形態では、図14のように、可動体11Aの4つの側面のそれぞれに、当該側面の中央から離れたいずれか一方の脇であって、可動体11Aの中心に対して平面視点対称となる位置にバネ11Gの一端をそれぞれ接続し、これらバネ11Gの他端をそれぞれの支持部11Hに固定することにより可動体11Aを支持している。
【0083】
また、可動体11Aの各側面のうち、バネ11Gが接続されていない部分に対向する位置に、2組のセンサ電極11D、11Eが可動体11Aを挟んでそれぞれ配置されている。なお、これら合わせて4つのセンサ電極11D,11Eは、逆位相の検出信号を出力しない2つのセンサ電極が、センサ素子信号検出回路20に対して並列的に接続される。
これにより、可動体11Aの変位を、水平方向Xだけでなく水平方向Yについても検知することができ、人やモノの動きを正確に検知することができる。
【0084】
[第5の実施の形態]
次に、図15を参照して、本発明の第5の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図15は、第5の実施の形態にかかるバネを示す平面図である。
第1の実施の形態では、可動体11Aを支持するバネ11Gとして、棒状のバネを用いた場合を例として説明した。
本実施の形態では、図15のように、水平方向Xに沿って折れ曲がった葛折り状のバネ11Gを用いる。ここでは、葛折り状の具体例として、矩形波状に折れ曲がった形状が例として示されているが、湾曲波状や三角波状に折れ曲がっていてもよい。
これにより、小さいサイズで必要な弾性を得ることができ、バネ11G、さらには発電センサ素子11を小型化することができる。
【0085】
[第6の実施の形態]
次に、図16A〜図16Dを参照して、本発明の第6の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図16Aは、第6の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。図16Bは、第6の実施の形態にかかる他の発電センサ素子を示す平面図である。図16Cは、第6の実施の形態にかかる他の発電センサ素子を示す平面図である。図16Dは、第6の実施の形態にかかる他の発電センサ素子を示す平面図である。
【0086】
第1の実施の形態では、可動体11Aの側面に、棒状のバネ11Gの一端を接続し、バネ11Gの他端を支持部11Hに固定することにより可動体11Aを支持する場合を例として説明した。
本実施の形態では、図16A〜図16Dに示すように、可動体11Aの側面を切り欠いて設けた切り欠き部11Iに葛折り状のバネ11Gを配置し、このバネ11Gにより可動体11Aを支持している。これにより、バネ11G、さらには発電センサ素子11を小型化することができる。バネ11Gを固定する支持部11Hについては、例えば、可動体11Aの外側を囲む壁状に形成してもよく、バネ11Gの固定位置にのみ立設した柱状のものであってもよい。
【0087】
例えば、図16Aの場合には、可動体11Aの1つの側面から中央部を矩形状に切り欠いて平面視コの字形状とし、これにより形成された切り欠き部11Iにバネ11Gを配置し、このバネ11Gを、可動体11Aのうち切り欠き部11Iの内側面と可動体11Aの外側に配置された支持部11Hとの間に接続している。また、可動体11Aのうち切り欠きのない2つの側面と対向する位置に、可動体11Aを挟んでセンサ電極11D、11Eが配置されている。これにより、可動体11Aの変位を大きくすることができ、発電性能および振動検出性能を高めることができる。
【0088】
また、図16Bの場合には、可動体11Aの対向する2つの側面からそれぞれ矩形状に切り欠いて平面視H字形状とし、これにより形成された2つの切り欠き部11Iのそれぞれにバネ11Gを配置し、このバネ11Gを、可動体11Aのうち切り欠き部11Iの内側面と可動体11Aの外側に配置された支持部11Hとの間に接続している。また、可動体11Aのうち切り欠きのない2つの側面と対向する位置に、可動体11Aを挟んでセンサ電極11D、11Eが配置されている。これにより、可動体11Aの変位を大きくすることができ、発電性能および振動検出性能を高めることができるとともに、2つのバネ11Gで可動体11Aの水平方向Xに沿った変位を安定化することができる。
【0089】
また、図16Cの場合には、可動体11Aの対向する2つの側面から4箇所を矩形状に切り欠いて平面視王字形状とし、これにより形成された4つの切り欠き部11Iのそれぞれにバネ11Gを配置し、このバネ11Gを、可動体11Aのうち切り欠き部11Iの内側面と可動体11Aの外側に配置された支持部11Hとの間に接続している。また、可動体11Aのうち切り欠きのない2つの側面と対向する位置に、可動体11Aを挟んでセンサ電極11D、11Eが配置されている。これにより、可動体11Aの変位を大きくすることができ、発電性能および振動検出性能を高めることができるとともに、4つのバネ11Gで可動体11Aの水平方向Xに沿った変位をさらに安定化することができる。
【0090】
また、図16Dの場合には、可動体11Aの4隅を矩形状に切り欠いて平面視略十字形状とし、これにより形成された4つの切り欠き部11Iのそれぞれにバネ11Gを、可動体11Aを中心として点対称で配置し、このバネ11Gを、可動体11Aのうち切り欠き部11Iの内側面と可動体11Aの外側に配置された支持部11Hとの間に接続している。また、可動体11Aのうち切り欠きのない2つの側面と対向する位置に、可動体11Aを挟んでセンサ電極11D、11Eが配置されている。これにより、可動体11Aの変位を大きくすることができ、発電性能および振動検出性能を高めることができるとともに、可動体11Aの変位を、水平方向Xだけでなく水平方向Yについても検知することができ、人やモノの動きを正確に検知することができる。
【0091】
[第7の実施の形態]
次に、図17A、図17Bを参照して、本発明の第7の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図17Aは、第7の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。図17Bは、図17AのB−B断面図である。
【0092】
第1の実施の形態では、可動体11Aの側面に、棒状のバネ11Gの一端を接続し、バネ11Gの他端を支持部11Hに固定することにより可動体11Aを支持する場合を例として説明した。
本実施の形態では、可動体11Aの上面に、重り11Jが配置されている。これにより、重り11Jの重さにより可動体11Aの共振周波数を調整することができ、発電の効率や検出したい振動の周波数に適した振動検出の感度に調整することができる。
【0093】
[第8の実施の形態]
次に、図18A、図18Bを参照して、本発明の第8の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図18Aは、第8の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。図18Bは、図18AのA−A断面図である。
【0094】
第1の実施の形態では、可動体11Aとして板状の直方体形状の可動体11Aを用いる場合を例として説明した。
本実施の形態では、可動体11Aの上面周部に、可動体11Aの厚さより高い壁状の縁部11Kが設けられている。この縁部11Kは、可動体11Aの上面周部の全周にわたって設けてもよく、少なくともセンサ電極11D、11Eと対向する位置にのみ設けてもよい。これにより、可動体11Aの側面について、センサ電極11D、11Eと対向する面積が大きくなって、可変容量CP,CNの容量を増やすことができ、振動検出感度を大きくすることができる。
【0095】
[第9の実施の形態]
次に、図19A、図19Bを参照して、本発明の第9の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図19Aは、第9の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。図19Bは、図19AのA−A断面図である。
【0096】
本実施の形態では、可動体11Aの下面周部に、可動体11Aの厚さより高い壁状の縁部11Kが設けられている。この縁部11Kは、可動体11Aの下面周部の全周にわたって設けてもよく、少なくともセンサ電極11D、11Eと対向する位置にのみ設けてもよい。これにより、可動体11Aの側面について、センサ電極11D、11Eと対向する面積が大きくなって、可変容量CP,CNの容量を増やすことができ、振動検出感度を大きくすることができる。また、発電センサ素子11の高さを図18より低くすることができ、センサノード10の小型化を実現できる。また、縁部11Kにより可動体11Aの下面に形成された凹部の内側に、帯電体11Bを配置してもよい。これにより、発電効率を高めることができる。
【0097】
[第10の実施の形態]
次に、図20A〜図20Cを参照して、本発明の第10の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図20Aは、第10の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す平面図である。図20Bは、図20AのA−A断面図である。図20Cは、図20AのB−B断面図である。
【0098】
本実施の形態は、前述した第1〜第9の実施の形態の実現例として、プリント基板11L上に発電センサ素子11を形成したものである。
プリント基板11Lに配線パターンで形成された発電電極11Cの上に、帯電体11Bとして、ガラス、テフロン(登録商標)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)フィルム、アセテートフィルム(商品名:メンディングテープなど)、ポリプロピレン(OPP)フィルム(商品名:ダイアハロテープなど)などの誘電体を配置して、静電気帯電装置により高電圧を印加する。
【0099】
また、センサ電極11D,11Eは、薄板金属をL型に曲げ加工してプリント基板11L上に固定され、半田付けなどにより配線パターン11Mに接続されている。可動体11Aとバネ11Gは、薄板金属を材料としてエッチング加工や打ち抜き加工して一体に形成した後、可動体11Aの端部のうち、少なくともセンサ電極11D,11Eと対向する端部を曲げ加工することにより、下方へ壁状に突出した縁部11Kを形成する。
【0100】
また、支持部11Hは、金属柱をプリント基板11L上に立設して配線パターン11Mに接続し、その上端にバネ11Gの一端を半田付けなどにより固定する。この際、支持部11Hについては、周囲に接地電位が露出している、例えば薄型電池などの回路部品を用いてもよい。また、バネ11Gは、前述した第5の実施の形態のように、水平方向Xに沿って折れ曲がった葛折り状に形成してもよい。また、前述した第2〜第4の実施の形態のように、複数のバネ11Gとを可動体11Aと一体に形成して、可動体11Aを支持してもよい。さらには、前述した第6の実施の形態のように、可動体11Aに切り欠き部11Iを設け、この切り欠き部11Iにバネ11Gを形成してもよい。
【0101】
このように、本実施の形態では、薄板金属を加工して形成した各構成部品を、プリント基板11L上に配置することにより、発電センサ素子11を組み立てるようにしたので、微細加工と比較して極めて安価に発電センサ素子11を構成することができる。
【0102】
[第11の実施の形態]
次に、図21を参照して、本発明の第11の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図21は、第11の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す断面図である。
本実施の形態は、前述した第1〜第9の実施の形態の実現例として、ICチップの基板11U上に発電センサ素子11を形成したものである。
【0103】
金属メッキ膜を積層することで、可動体11A、バネ11G(図示せず)、支持部11H(図示せず)、センサ電極11D,11E、発電電極11Cを形成している。帯電体11Bは、二酸化ケイ素やテフロンをスピンコート法などで形成し、エッチングした後、静電気帯電装置により高電圧を印加することで、絶縁膜11Nを挟んで基板11U上に形成できる。また、センサ電極11D,11Eおよび発電電極11Cには、絶縁膜11Nを貫通するビア11Oを用いた配線が接続されている。これにより、発電センサ素子11をICチップの基板11U上に形成できるため、プリント基板11Lに比べてセンサノードを大幅に小型化できる。
【0104】
[第12の実施の形態]
次に、図22を参照して、本発明の第12の実施の形態にかかる発電センサ素子について説明する。図22は、第12の実施の形態にかかる発電センサ素子を示す断面図である。
本実施の形態は、前述した第1〜第9の実施の形態の実現例として、ICチップの支持基板11P上に発電センサ素子11を形成したものである。
【0105】
ICチップの基板11Uとは別の支持基板11Pを設け、支持基板11P上に帯電体11Bを形成している。この際、絶縁膜11Nを挟んで基板11Uに形成した金属メッキ膜の積層構造からなる支持部11Rと、絶縁膜11Qを挟んで支持基板11P上に形成した支持部11Sとを、導電性接着剤11Tで接続している。
第11の実施の形態では、金属メッキ膜の形成過程で帯電体11Bを形成する必要があるため、帯電体11Bの材料によっては、帯電量が劣化してしまう課題があった。本実施の形態によれば、金属メッキ膜の積層構造と独立して、帯電体11Bを形成できるため、帯電量が劣化せず、発電量を増大させることができる。
【0106】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。特に、第2〜第13の実施の形態で説明した発電センサ素子11の構成については、任意に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0107】
10…センサノード、11…発電センサ素子、11A…可動体、11B…帯電体、11C…発電電極、11D,11E…センサ電極、11F…基板、11G…バネ、11H…支持部、11I…切り欠き部、11J…重り、11K…縁部、11L…プリント基板、11M…配線パターン、11N…絶縁膜、11O…ビア、11P…支持基板、11Q…絶縁膜、11R…支持部、11S…支持部、11T…導電性接着剤、11U…基板、11X…振動素子、11Z…発電素子、12…蓄電回路、12A…整流回路、12B…電圧制限回路、12C…電圧検知回路、13…センサ素子信号検出回路、13A…ゼロパワーセンサ回路、13B…ゼロパワーしきい値回路、14…無線回路、15…無線電波、CV,CP,CN…可変容量、D1,D2,D11,D12,D13…ダイオード、CV,CS,CO…容量素子、SW,SW1,SW2…スイッチ、R,R1,R2…抵抗素子、Q1…トランジスタ(PMOS),Q2…トランジスタ(NMOS)、BV…電圧信号、BP,BN…検知信号、VDD…動作電源、SO…センサ出力信号、OUT…制御信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された薄板金属からなる発電電極と、
この発電電極上に配置された帯電体と、
前記基板上であって前記発電電極の周辺位置に固定された支持部と、
一端が前記支持部の上端に固定された、弾性を有するバネと、
前記バネの他端に接続されて、前記帯電体の上方であって、当該帯電体と水平に対向する位置に振動可能に支持された、薄板金属からなる可動体と、
前記基板上で前記発電電極の周辺位置であって、前記可動体を挟んで互いに対向する位置に立設された薄板金属からなる2つのセンサ電極と
を備え、
前記可動体および前記電気センサ電極からなる振動素子が、外部から印加された振動に応じて前記可動体が基板面と並行したX方向に変位した際に、前記可動体と前記センサ電極との間に生じる2つの容量が変化して、当該変位に応じて振幅が変化する、互いに逆位相の検知信号を前記2つのセンサ電極からそれぞれ出力し、
前記可動体、前記帯電体、および前記発電電極からなる発電素子が、外部から印加された振動に応じて前記可動体が前記基板面と直交するZ方向に変位した際に、前記発電電極に誘起された電荷が変化して、当該変位に応じて振幅が変化する電圧信号を前記発電電極から出力する
ことを特徴とする発電センサ素子。
【請求項2】
請求項1に記載の発電センサ素子において、
前記バネは、前記X方向の幅に比較して、前記Z方向の幅が小さいことを特徴とする発電センサ素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発電センサ素子において、
前記可動体は、1つの前記バネにより支持されていることを特徴とする発電センサ素子。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の発電センサ素子において、
前記可動体は、前記基板面と並行して前記X方向と直交するY方向に沿って、当該可動体を挟んで接続された2つの前記バネにより支持されていることを特徴とする発電センサ素子。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の発電センサ素子において、
前記可動体は、前記基板面と並行して前記X方向と直交するY方向に沿って、当該可動体を挟んで2つずつ接続された4つの前記バネにより支持されていることを特徴とする発電センサ素子。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の発電センサ素子において、
前記可動体は、当該可動体の中心に対して平面視点対称となる位置に接続された4つの前記バネにより支持されていることを特徴とする発電センサ素子。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の発電センサ素子において、
前記バネは、葛折り形状からなることを特徴とする発電センサ素子。
【請求項8】
請求項7に記載の発電センサ素子において、
前記バネは、前記可動体に設けられた切り欠き部に配置されていることを特徴とする発電センサ素子。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の発電センサ素子において、
前記可動部は、当該変位の共振周波数を調整するための重りを有することを特徴とする発電センサ素子。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の発電センサ素子において、
前記可動部は、当該上面または当該下面の周部であって、少なくとも前記センサ電極と対向する位置に、当該可動部の厚さより高い壁状の縁部を有し、
前記センサ電極は、前記縁部と対向する位置に配置されている
ことを特徴とする発電センサ素子。
【請求項11】
請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の発電センサ素子において、
前記可動部は、当該下面の周部全周にわたって、当該可動部の厚さより高い壁状の縁部を有し、
前記センサ電極は、前記縁部と対向する位置に配置されており、
少なくとも前記帯電体の一部は、前記縁部により前記可動部の下面に形成された凹部の内側に配置されている
ことを特徴とする発電センサ素子。
【請求項12】
請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の発電センサ素子において、
前記可動部と前記バネは、薄板金属を加工して一体に形成されており、当該可動部のうち少なくとも前記センサ電極と対向する端部を曲げ加工することにより、上方または下方へ板状に突出した縁部が形成されている
ことを特徴とする発電センサ素子。
【請求項13】
請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の発電センサ素子において、
前記基板は、プリント基板からなり、
前記発電電極は、前記基板上に形成された配線パターンからなり、
前記センサ電極は、薄板金属をL型に曲げ加工して前記プリント基板に立設されており、
前記可動部と前記バネは、薄板金属を加工して一体に形成されており、当該可動部のうち少なくとも前記センサ電極と対向する端部を曲げ加工することにより、上方または下方へ板状に突出した縁部が形成されている
ことを特徴とする発電センサ素子。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれか1つに記載の発電センサ素子と、
前記発電センサ素子の前記発電電極から出力された電荷を蓄電することにより動作電源を生成する蓄電回路と、
前記蓄電回路から供給された前記動作電源により起動して、前記発電センサ素子の前記センサ電極から前記検知信号として出力された電荷を蓄積することによりセンサ出力信号を生成し、このセンサ出力信号をしきい値と比較した比較結果を出力信号として出力するセンサ素子信号検出回路と、
前記出力信号に応じて前記蓄電回路から供給された前記動作電源に基づいて動作して、無線電波を送信する無線回路と
を備えることを特徴とするセンサノード。
【請求項15】
請求項14に記載のセンサノードにおいて、
前記蓄電回路は、
前記発電電極から出力された電荷を整流する整流回路と、
前記整流回路で整流された電荷を蓄電して前記動作電源を生成する容量素子と、
前記動作電源の電圧上昇を上限しきい値までに制限する電圧制限回路と、
前記動作電源の電圧が下限しきい値以上に上昇している期間には、第1のスイッチをオンして前記動作電源を前記センサ素子信号検出回路へ供給する電圧検知回路と、
前記出力信号に応じてオンすることにより、前記動作電源を前記センサ素子信号検出回路へ供給する第2のスイッチと
を備えることを特徴とするセンサノード。
【請求項16】
請求項14に記載のセンサノードにおいて、
前記センサ素子信号検出回路は、
前記第1のスイッチを介して供給された前記動作電源に応じて動作し、前記検知信号として出力された電荷を蓄積することにより前記センサ出力信号を生成するセンサ回路と、
前記第1のスイッチを介して供給された前記動作電源に応じて動作し、前記センサ出力信号をしきい値と比較した比較結果を出力信号として出力するしきい値回路と
を備えることを特徴とするセンサノード。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−160612(P2011−160612A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21934(P2010−21934)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】