発電兼ヒートポンプ複合システム
【課題】ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることにより運転効率の向上を図れる。
【解決手段】ランキンサイクル運転の状態においては、循環経路を流れる冷媒の仕事を回収して発電し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から供給された電力を用いて冷媒を圧縮する、圧縮機兼膨張機11と、循環経路を流れる冷媒の総量を調節する貯液タンク15とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、貯液タンク15は、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べて少なくする。
【解決手段】ランキンサイクル運転の状態においては、循環経路を流れる冷媒の仕事を回収して発電し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から供給された電力を用いて冷媒を圧縮する、圧縮機兼膨張機11と、循環経路を流れる冷媒の総量を調節する貯液タンク15とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、貯液タンク15は、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べて少なくする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電兼ヒートポンプ複合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を開示した先行文献として、特開平4−254168号公報(特許文献1)がある。特開平4−254168号公報(特許文献1)に記載された発電兼ヒートポンプ複合システムにおいては、誘導発電機が結合されたスクリュー型圧縮機、同圧縮機の第1の出入口から第2の出入口間に順次接続される低温熱源と熱交換する第1の熱交換器、第1切換弁を持つポンプ、および高温熱源と熱交換する第2の熱交換器が設けられる。
【0003】
さらに、第1切換弁を持つポンプと並列に第2切換弁を持つ膨張弁が接続される。第1および第2切換弁を切り替えることにより、発電サイクルとヒートポンプサイクルとを切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−254168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13は、ランキンサイクルおよびヒートポンプサイクルにおける状態図である。図13においては、縦軸に圧力、横軸に比エンタルピを示している。また、ランキンサイクルを実線、ヒートポンプサイクルを点線で示している。
【0006】
図13に示すように、ヒートポンプサイクルにおいては、凝縮器により液化されて図中のA点の状態にある冷媒は、膨張弁で減圧されて図中のB点の状態となり、蒸発器入口では気液混合の状態となっている。
【0007】
ランキンサイクルにおいては、凝縮器により液化されて図中のC点の状態にある冷媒は、ポンプで加圧されて図中のD点の状態となり、蒸発器入口では過冷却された液相の状態となっている。
【0008】
このように、ランキンサイクルはヒートポンプサイクルと比較して過冷却度が大きいサイクルである。そのため、ランキンサイクル運転の状態においては、凝縮器で十分な量の相変態を起させるために多くの冷媒が必要となる。
【0009】
一方、ランキンサイクル運転の状態に合わせて冷媒の総量を多くした場合、ヒートポンプサイクル運転の状態において圧縮機への入力が過大となる。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることにより運転効率の向上を図れる発電兼ヒートポンプ複合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に基づく発電兼ヒートポンプ複合システムは、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを選択的に切り替え可能な発電兼ヒートポンプ複合システムである。発電兼ヒートポンプ複合システムは、ランキンサイクル運転の状態においては、循環経路を流れる冷媒の仕事を回収して発電し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から供給された電力を用いて冷媒を圧縮する、圧縮機兼膨張機と、循環経路を流れる冷媒の総量を調節する総量調節手段とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、総量調節手段は、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べて少なくする。
【0012】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含む。ヒートポンプサイクル運転の状態において、バイパス経路を冷媒が通流することにより貯液部に冷媒の一部が貯溜される。
【0013】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成される。ヒートポンプサイクル運転の状態において、バイパス経路を冷媒が通流して冷媒の一部が貯溜される。
【0014】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時に、貯溜されていた冷媒を循環経路に放流することにより循環経路を流れる冷媒の総量を多くする。
【0015】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含む。ランキンサイクル運転の状態においてバイパス経路を冷媒が通流する。
【0016】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成される。ランキンサイクル運転の状態においてバイパス経路を冷媒が通流する。
【0017】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時に、バイパス経路に冷媒を流入させて冷媒の一部を貯溜することにより循環経路を流れる冷媒の総量を少なくする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることにより運転効率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。
【図2】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図3】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。
【図4】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。
【図6】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図7】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。
【図8】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。
【図10】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図11】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。
【図12】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図13】ランキンサイクルおよびヒートポンプサイクルにおける状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システムについて説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。図2は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。図3は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。図4は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システム1においては、ポンプ14と、第1開閉弁31と、高温熱源60の一部と連結された第1熱交換器21と、圧縮機兼膨張機11と、低温熱源70の一部と連結された第2熱交換器22とが配管で接続されて循環経路を構成している。
【0023】
圧縮機兼膨張機11には、発電機兼発動機12が連結されている。第2熱交換器22には、中間部に第1温度検知手段51、ポンプ14側の端部近傍に第2温度検知手段52が設けられている。
【0024】
発電兼ヒートポンプ複合システム1においては、第1開閉弁31と第1熱交換器21との間と、ポンプ14と第2熱交換器22との間とを繋ぐバイパス経路41が設けられている。バイパス経路41においては、第2開閉弁32と貯液部である貯液タンク15と膨張弁13と第3開閉弁33とが配管で接続されている。本実施形態においては、貯液タンク15が循環経路を流れる冷媒の総量を調節する総量調節手段として機能する。
【0025】
第1熱交換器21において、発電兼ヒートポンプ複合システム1内を循環する冷媒(作動媒体)と高温熱源60との間で熱交換が行なわれる。第2熱交換器22において、発電兼ヒートポンプ複合システム1内を循環する冷媒と低温熱源70との間で熱交換が行なわれる。
【0026】
冷媒としては、たとえば、R134aなどのいわゆるフロンガスを用いることができる。ポンプ14は、冷媒に圧力をかけて流動させる機能を有する。膨張弁13は、冷媒を減圧させる機能を有する。
【0027】
圧縮機兼膨張機11は、冷媒を選択的に圧縮または膨張させる。後述するように、ランキンサイクル運転の状態においては、圧縮機兼膨張機11は膨張機として駆動され、冷媒の圧力により発電機兼発動機12を回転させ、発電機兼発動機12は発電機として機能する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて発電機兼発動機12が発動機として駆動され、圧縮機兼膨張機11は圧縮機として機能する。
【0028】
本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム1は、ランキンサイクル運転の状態とヒートポンプサイクル運転の状態とを選択的に切り替えることができる。
【0029】
ランキンサイクル運転の状態とは、第1熱交換器21において高温熱源60から冷媒に発電機兼発動機12による発電に必要な熱量以上の熱量を吸熱させることができる場合に、冷媒に吸熱させた熱を電力に変換するための運転状態である。たとえば、夜間電力を利用して高温蓄熱タンクに蓄えていた温水を高温熱源60として、昼間にランキンサイクル運転を行なって発電する。
【0030】
ヒートポンプサイクル運転の状態とは、第2熱交換器22において低温熱源70から冷媒に吸熱させた熱量を第1熱交換器21において高温熱源60に蓄熱するための運転状態である。たとえば、夜間電力を利用してヒートポンプサイクル運転を行なって、低温熱源70として低温蓄熱タンクに蓄えていた水を冷却し、高温熱源60として高温蓄熱タンクに蓄えていた温水を加熱する。
【0031】
以下、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム1において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、冷媒の流動経路および冷媒の流動中の状態について説明する。
【0032】
図2に示すように、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は閉じ、第2開閉弁32は開き、第3開閉弁33は開いている。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が循環する。
【0033】
まず、冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60に熱を与えて凝縮して液化する。液化した液状冷媒は、バイパス経路41内を通流して、貯液タンク15にその一部が貯溜される。
【0034】
貯液タンク15を通過した液状冷媒は、膨張弁13で減圧された後、第2熱交換器22で低温熱源70から熱を奪い蒸発して気化する。気化した冷媒は、圧縮機兼膨張機11により再び圧縮されて高圧になる。このように冷媒が循環することにより、高温熱源60は加熱され、低温熱源70は冷却される。
【0035】
図3に示すように、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時は、第2開閉弁32を閉じる。その後、膨張弁13の開度を大きくする。このようにすることにより、貯液タンク15内の圧力が低下する。その結果、貯液タンク15内の冷媒が蒸発することにより液状冷媒10が貯液タンク15内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。
【0036】
その状態で所定時間経過後、第3開閉弁33を閉じる。その後、発電機兼発動機12の駆動を停止する。このようにすることにより、ヒートポンプサイクル運転の状態において貯液タンク15内に貯溜されていた液状冷媒10を、循環経路に放流することができる。その結果、循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。
【0037】
図4に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は開き、第2開閉弁32は閉じ、第3開閉弁33は閉じている。冷媒はポンプ14で加圧されて送液されることにより図中の矢印で示す方向に循環する。
【0038】
まず、ポンプ14により加圧された液状冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60から熱を奪い蒸発して気化する。高圧気相状態の冷媒が圧縮機兼膨張機11で膨張する際に、発電機兼発動機12を発電機として駆動させることにより発電が行なわれる。
【0039】
圧縮機兼膨張機11を通過した低圧気相状態の冷媒は、第2熱交換器22で低温熱源70に熱を与えて凝縮して液化する。低圧液相状態の液状冷媒は、再びポンプ14により加圧されて送液される。このように、冷媒が循環することにより、高温熱源60は冷却され、低温熱源70は加熱され、発電が行なわれる。
【0040】
なお、バイパス経路41においては、第2開閉弁32と第3開閉弁33とを閉じられているため、バイパス経路41内に閉じ込められた冷媒は流動しない。言い換えると、ランキンサイクル運転の状態においては貯液タンク15には冷媒が通流しない。
【0041】
貯液タンク15を含むバイパス経路41を設けることにより、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べてヒートポンプサイクル運転の状態において少なくすることができる。
【0042】
本実施形態においては、第1温度検知手段51により冷媒の凝縮温度を計測し、第2温度検知手段52により液状冷媒が第2熱交換器22から流出する際の流出温度を計測する。計測した凝縮温度と流出温度との差を冷媒の過冷却度とする。
【0043】
ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が小さくなり、発電効率が低下する。
【0044】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、第2開閉弁32を開く。第2開閉弁32を開くと、循環経路からバイパス経路41内に冷媒が流入する。貯液タンク15内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を貯液タンク15内に貯溜して循環経路を流れる冷媒の総量を減少させることができる。
【0045】
このようにして、第1熱交換器21において気化して発電機兼発動機12で膨張する冷媒量を増やすことができるため、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が大きくなり、発電効率が向上する。
【0046】
一方、ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2熱交換器22において液化する冷媒量が減少する。その結果、液状冷媒の一部が気化して気液混合の状態でポンプ14に冷媒が流入する。この場合、ポンプ14の冷媒を送液する能力が低下する。
【0047】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第3開閉弁33を開く。第3開閉弁33を開くと、貯液タンク15内の液状冷媒10が蒸発することにより液状冷媒10が貯液タンク15内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。その結果、貯液タンク15内に貯溜されていた液状冷媒10の一部を循環経路に放流することにより循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。
【0048】
このようにして、第2熱交換器22において液化する冷媒量を増やすことができるため、ポンプ14に気液混合の状態で冷媒が流入することを抑制できる。
【0049】
上記の構成により、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることができ、発電効率および運転効率の向上を図れる。
【0050】
また、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において冷媒が通流しない独立した経路を設けて冷媒の総量調節を行なう場合と比較して、本実施形態の発電兼ヒートポンプ複合システム1においては簡易な構成とすることができるため、装置コストを低減することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、貯液タンク15を総量調節手段として設けたが、バイパス経路41を構成する配管の管径を大きくすることにより十分な量の冷媒をバイパス経路41内に貯溜できる場合には、貯液タンク15が設けられていないバイパス経路41を総量調節手段として用いてもよい。
【0052】
以下、本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システム2について説明する。
【0053】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。図6は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。図7は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。図8は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【0054】
図5に示すように、本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システム2においては、ポンプ14と、第1開閉弁31と、エンジンの排熱などを熱源とする高温熱源60の一部と連結された第1熱交換器21と、圧縮機兼膨張機11と、三方切換弁36と、第2熱交換器22とが配管で接続されて循環経路を構成している。
【0055】
圧縮機兼膨張機11には、発電機兼発動機12が連結されている。第2熱交換器22には、中間部に第1温度検知手段51、ポンプ14側の端部近傍に第2温度検知手段52が設けられている。第2熱交換器22の近傍に、第1送風機24が設けられている。
【0056】
第2熱交換器22とポンプ14との間と、圧縮機兼膨張機11と三方切換弁36との間とを繋ぐバイパス経路41が設けられている。バイパス経路41においては、第2開閉弁32と、膨張弁13と、第3熱交換器23と、第3開閉弁33とが配管で接続されている。第3熱交換器23の近傍に、第2送風機25が設けられている。
【0057】
また、発電兼ヒートポンプ複合システム2においては、第1開閉弁31と第1熱交換器21との間と三方切換弁36とを繋ぐバイパス経路43が設けられている。
【0058】
第1熱交換器21において、発電兼ヒートポンプ複合システム2内を循環する冷媒(作動媒体)と高温熱源60との間で熱交換が行なわれる。第2熱交換器22において、発電兼ヒートポンプ複合システム2内を循環する冷媒と室外空気との間で熱交換が行なわれる。第3熱交換器23において、発電兼ヒートポンプ複合システム2内を循環する冷媒と室内空気との間で熱交換が行なわれる。
【0059】
以下、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム2において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、冷媒の流動経路および冷媒の流動中の状態について説明する。
【0060】
図6に示すように、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は閉じ、第2開閉弁32は開き、第3開閉弁33は開いている。三方切換弁36は、第1熱交換器21から第2熱交換器22に冷媒が流れるように経路を構成している。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が循環する。
【0061】
まず、冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第1熱交換器21で熱交換せずに通過したのち、第2熱交換器22で室外空気に熱を与えて凝縮して液化する。
【0062】
液化した液状冷媒は、膨張弁13で減圧されて気液混合の状態で第3熱交換器23内に流入する。第3熱交換器23内に流入した冷媒は、室内空気から熱を奪い蒸発して気化する。気化した冷媒は、圧縮機兼膨張機11により再び圧縮されて高圧になる。このように冷媒が循環することにより、室内空気を冷却することができる。
【0063】
図7に示すように、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時は、第2開閉弁32を閉じる。その後、膨張弁13の開度を大きくする。このようにすることにより、第3熱交換器23内の圧力が低下する。その結果、第3熱交換器23内の冷媒が蒸発して圧縮機兼膨張機11内に流入する。
【0064】
その状態で所定時間経過後、第3開閉弁33を閉じる。その後、発電機兼発動機12の駆動を停止する。このようにすることにより、ヒートポンプサイクル運転の状態において第3熱交換器23内に貯溜されていた冷媒を、循環経路に放流することができる。その結果、循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。本実施形態においては、第3熱交換器23が貯液部となる。
【0065】
図8に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は開き、第2開閉弁32は閉じ、第3開閉弁33は閉じている。三方切換弁36は圧縮機兼膨張機11から第2熱交換器22に冷媒が流れるように経路を構成している。冷媒はポンプ14で加圧されて送液されることにより図中の矢印で示す方向に循環する。
【0066】
まず、ポンプ14により加圧された液状冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60から熱を奪い蒸発して気化する。高圧気相状態の冷媒が圧縮機兼膨張機11で膨張する際に、発電機兼発動機12を発電機として駆動させることにより発電が行なわれる。
【0067】
圧縮機兼膨張機11を通過した低圧気相状態の冷媒は、第2熱交換器22で室外空気に熱を与えて凝縮して液化する。低圧液相状態の液状冷媒は、再びポンプ14により加圧されて送液される。このように、冷媒が循環することにより、高温熱源60の熱を利用した発電が行なわれる。
【0068】
なお、バイパス経路41においては、第2開閉弁32と第3開閉弁33とを閉じられているため、バイパス経路41内に閉じ込められた冷媒は流動しない。言い換えると、ランキンサイクル運転の状態においてはバイパス経路41には冷媒が通流しない。
【0069】
また、バイパス経路43においては、三方切換弁36により一方端が閉鎖されているため、バイパス経路43内の冷媒は流動しない。言い換えると、ランキンサイクル運転の状態においてはバイパス経路43には冷媒が通流しない。
【0070】
第3熱交換器23を含むバイパス経路41を設けることにより、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べてヒートポンプサイクル運転の状態において少なくすることができる。
【0071】
本実施形態においては、第1温度検知手段51により冷媒の凝縮温度を計測し、第2温度検知手段52により液状冷媒が第2熱交換器22から流出する際の流出温度を計測する。計測した凝縮温度と流出温度との差を冷媒の過冷却度とする。
【0072】
ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が小さくなり、発電効率が低下する。
【0073】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、第3開閉弁33を開く。第3開閉弁33を開くと、循環経路からバイパス経路41内に冷媒が流入する。第3熱交換器23内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を第3熱交換器23内に貯溜して循環経路を流れる冷媒の総量を減少させることができる。
【0074】
このようにして、第1熱交換器21において気化して発電機兼発動機12で膨張する冷媒量を増やすことができるため、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が大きくなり、発電効率が向上する。
【0075】
一方、ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2熱交換器22において液化する冷媒量が減少する。その結果、液状冷媒の一部が気化して気液混合の状態でポンプ14に冷媒が流入する。この場合、ポンプ14の冷媒を送液する能力が低下する。
【0076】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2開閉弁32と第3開閉弁33とを開く。第3開閉弁33を開くと、第3熱交換器23内に気相状態の冷媒が流入する。第2開閉弁32が開いているため、第3熱交換器23内に流入した気相状態の冷媒により第3熱交換器23内から押し出された液状冷媒10はポンプ14へ向けて流出する。
【0077】
その結果、第3熱交換器23内に貯溜されていた液状冷媒10の一部を循環経路に放流することにより循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。このようにして、第2熱交換器22において液化する冷媒量を増やすことができるため、ポンプ14に気液混合の状態で冷媒が流入することを抑制できる。
【0078】
上記の構成により、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることができ、発電効率および運転効率の向上を図れる。
【0079】
以下、本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システム3について説明する。
【0080】
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。図10は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。図11は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。図12は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【0081】
図9に示すように、本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システム3においては、圧縮機兼膨張機11と、第2熱交換器22と、第4開閉弁34と、膨張弁13と、第3熱交換器23と、第3開閉弁33とが配管で接続されて循環経路42を構成している。
【0082】
圧縮機兼膨張機11には、発電機兼発動機12が連結されている。第2熱交換器22には、中間部に第1温度検知手段51、ポンプ14側の端部近傍に第2温度検知手段52が設けられている。第2熱交換器22の近傍に、第1送風機24が設けられている。第3熱交換器23の中間部に第3温度検知手段53が設けられている。第3熱交換器23の近傍に、第2送風機25が設けられている。第2送風機25の第3熱交換器23側とは反対側に第4温度検知手段54が設けられている。
【0083】
第2熱交換器22と第4開閉弁34との間と、圧縮機兼膨張機11と第3開閉弁33との間とを繋ぐバイパス経路41が設けられている。バイパス経路41においては、第2開閉弁32と、ポンプ14と、エンジンの排熱などを熱源とする高温熱源60の一部と連結された第1熱交換器21と、第1開閉弁31とが配管で接続されている。
【0084】
また、発電兼ヒートポンプ複合システム3においては、ポンプ14と第1熱交換器21との間と、第2開閉弁32と第2熱交換器22との間とを繋ぐバイパス経路43が設けられている。バイパス経路43には、第5開閉弁35が設けられている。
【0085】
第1熱交換器21において、発電兼ヒートポンプ複合システム3内を循環する冷媒(作動媒体)と高温熱源60との間で熱交換が行なわれる。第2熱交換器22において、発電兼ヒートポンプ複合システム3内を循環する冷媒と室内空気との間で熱交換が行なわれる。第3熱交換器23において、発電兼ヒートポンプ複合システム3内を循環する冷媒と室外空気との間で熱交換が行なわれる。本実施形態においては、第1熱交換器21が貯液部である。
【0086】
以下、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム3において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、冷媒の流動経路および冷媒の流動中の状態について説明する。
【0087】
図10に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は開き、第2開閉弁32は開き、第3開閉弁33は閉じ、第4開閉弁34は閉じ、第5開閉弁35は閉じている。冷媒はポンプ14で加圧されて送液されることにより図中の矢印で示す方向に循環する。すなわち、ランキンサイクル運転の状態においてバイパス経路41を冷媒が通流する。
【0088】
まず、ポンプ14により加圧された液状冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60から熱を奪い蒸発して気化する。高圧気相状態の冷媒が圧縮機兼膨張機11で膨張する際に、発電機兼発動機12を発電機として駆動させることにより発電が行なわれる。
【0089】
圧縮機兼膨張機11を通過した低圧気相状態の冷媒は、第2熱交換器22で室内空気に熱を与えて凝縮して液化する。低圧液相状態の液状冷媒は、再びポンプ14により加圧されて送液される。このように、冷媒が循環することにより、高温熱源60の熱を利用して、室内を暖房しつつ発電することができる。
【0090】
本実施形態においては、第1温度検知手段51により冷媒の凝縮温度を計測し、第2温度検知手段52により液状冷媒が第2熱交換器22から流出する際の流出温度を計測する。計測した凝縮温度と流出温度との差を冷媒の過冷却度とする。
【0091】
ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が小さくなり、発電効率が低下する。
【0092】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、第3開閉弁33を開く。第3開閉弁33を開くと、バイパス経路41から循環経路42内に冷媒が流入する。第3熱交換器23内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を第3熱交換器23内に貯溜してバイパス経路41を流れる冷媒の総量を減少させることができる。
【0093】
このようにして、第1熱交換器21において気化して発電機兼発動機12で膨張する冷媒量を増やすことができるため、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が大きくなり、発電効率が向上する。
【0094】
一方、ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2熱交換器22において液化する冷媒量が減少する。その結果、気液混合の状態でポンプ14に冷媒が流入する。この場合、ポンプ14の冷媒を送液する能力が低下する。
【0095】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第4開閉弁34を開く。第4開閉弁34を開くと、第3熱交換器23内の液状冷媒10が蒸発することにより液状冷媒10が第3熱交換器23内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。その結果、第3熱交換器23内に貯溜されていた液状冷媒10の一部をバイパス経路41に放流することによりバイパス経路41を流れる冷媒の総量を多くすることができる。
【0096】
このようにして、第2熱交換器22において液化する冷媒量を増やすことができるため、ポンプ14に気液混合の状態で冷媒が流入することを抑制できる。
【0097】
図11に示すように、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時は、高温熱源60からの熱の供給を停止し、ポンプ14も停止し、第2開閉弁32を閉じる。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が流動する。
【0098】
冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第1熱交換器21内で凝縮して液化する。液化した液状冷媒は、バイパス経路41内において第1熱交換器21内に貯溜される。
【0099】
その状態で所定時間経過後、第1開閉弁31を閉じる。このようにすることにより、バイパス経路41に冷媒を流入させて第1熱交換器21内に冷媒の一部を貯溜することにより、ヒートポンプサイクル運転の状態において循環経路42を流れる冷媒の総量を少なくすることができる。
【0100】
図12に示すように、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は閉じ、第2開閉弁32は閉じ、第3開閉弁33は開き、第4開閉弁34は開き、第5開閉弁35は閉じている。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が循環する。
【0101】
まず、冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第3熱交換器23で室外空気に熱を与えて凝縮して液化する。
【0102】
液化した液状冷媒は、膨張弁13で減圧されて気液混合の状態で第2熱交換器22内に流入する。第2熱交換器22内に流入した冷媒は、室内空気から熱を奪い蒸発して気化する。気化した冷媒は、圧縮機兼膨張機11により再び圧縮されて高圧になる。このように冷媒が循環することにより、室内空気を冷却することができる。
【0103】
なお、バイパス経路41においては、第1開閉弁31と第2開閉弁32と第5開閉弁35とを閉じられているため、バイパス経路41内に閉じ込められた冷媒は流動しない。言い換えると、ヒートポンプサイクル運転の状態においてはバイパス経路41には冷媒が通流しない。
【0104】
本実施形態においては、第3温度検知手段53により第3熱交換器23における冷媒の凝縮温度を計測し、第4温度検知手段54により外気温度を計測する。
【0105】
ヒートポンプサイクル運転の状態において、凝縮温度と外気温度との差が外気温度から予め設定した設定値より小さい場合は凝縮圧力不足で、第3熱交換器23内で冷媒が完全に液化しない。その結果、第2熱交換器22において気化する液状冷媒が少なくなるため室内空気を十分に冷却することができなくなる。
【0106】
そのため、凝縮温度と外気温度との予め設定した設定値より小さい場合、第5開閉弁35を開く。第5開閉弁35を開くと、第1熱交換器21内に貯溜されていた液状冷媒10が蒸発することにより液状冷媒10が第1熱交換器21内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。その結果、第1熱交換器21内に貯溜されていた液状冷媒10の一部を循環経路42に放流することにより循環経路42を流れる冷媒の総量を多くすることができ、凝縮圧力を高くすることができる。
【0107】
このようにして、第3熱交換器23において液化する冷媒量を増やすことができるため、第2熱交換器22で室内空気を十分冷却することができる。
【0108】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態において、凝縮温度と外気温度との差が予め設定した設定値より大きい場合、第3熱交換器23内の凝縮圧力が高すぎて、圧縮機兼膨張機11で消費する電力が過大となる。
【0109】
そのため、凝縮温度と外気温度との差が予め設定した設定値より大きい場合、第1開閉弁31を開く。第1開閉弁31を開くと、循環経路42からバイパス経路41内に冷媒が流入する。第1熱交換器21内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を第1熱交換器21内に貯溜して循環経路42を流れる冷媒の総量を減少させることができ、凝縮圧力を低くすることができる。
【0110】
このようにして、第2熱交換器22において気化する冷媒量を減らすことができるため、圧縮機兼膨張機11で過大な電力量が消費されることを抑制できる。なお、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時に、第1熱交換器21に貯溜されていた冷媒の一部は循環経路42に放流される。
【0111】
上記の構成により、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることができ、発電効率および運転効率の向上を図れる。
【0112】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1,2,3 発電兼ヒートポンプ複合システム、10 液状冷媒、11 圧縮機兼膨張機、12 発電機兼発動機、13 膨張弁、14 ポンプ、15 貯液タンク、21 第1熱交換器、22 第2熱交換器、23 第3熱交換器、24 第1送風機、25 第2送風機、31 第1開閉弁、32 第2開閉弁、33 第3開閉弁、34 第4開閉弁、35 第5開閉弁、36 三方切換弁、41,43 バイパス経路、42 循環経路、51 第1温度検知手段、52 第2温度検知手段、53 第3温度検知手段、54 第4温度検知手段、60 高温熱源、70 低温熱源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電兼ヒートポンプ複合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を開示した先行文献として、特開平4−254168号公報(特許文献1)がある。特開平4−254168号公報(特許文献1)に記載された発電兼ヒートポンプ複合システムにおいては、誘導発電機が結合されたスクリュー型圧縮機、同圧縮機の第1の出入口から第2の出入口間に順次接続される低温熱源と熱交換する第1の熱交換器、第1切換弁を持つポンプ、および高温熱源と熱交換する第2の熱交換器が設けられる。
【0003】
さらに、第1切換弁を持つポンプと並列に第2切換弁を持つ膨張弁が接続される。第1および第2切換弁を切り替えることにより、発電サイクルとヒートポンプサイクルとを切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−254168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図13は、ランキンサイクルおよびヒートポンプサイクルにおける状態図である。図13においては、縦軸に圧力、横軸に比エンタルピを示している。また、ランキンサイクルを実線、ヒートポンプサイクルを点線で示している。
【0006】
図13に示すように、ヒートポンプサイクルにおいては、凝縮器により液化されて図中のA点の状態にある冷媒は、膨張弁で減圧されて図中のB点の状態となり、蒸発器入口では気液混合の状態となっている。
【0007】
ランキンサイクルにおいては、凝縮器により液化されて図中のC点の状態にある冷媒は、ポンプで加圧されて図中のD点の状態となり、蒸発器入口では過冷却された液相の状態となっている。
【0008】
このように、ランキンサイクルはヒートポンプサイクルと比較して過冷却度が大きいサイクルである。そのため、ランキンサイクル運転の状態においては、凝縮器で十分な量の相変態を起させるために多くの冷媒が必要となる。
【0009】
一方、ランキンサイクル運転の状態に合わせて冷媒の総量を多くした場合、ヒートポンプサイクル運転の状態において圧縮機への入力が過大となる。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることにより運転効率の向上を図れる発電兼ヒートポンプ複合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に基づく発電兼ヒートポンプ複合システムは、ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを選択的に切り替え可能な発電兼ヒートポンプ複合システムである。発電兼ヒートポンプ複合システムは、ランキンサイクル運転の状態においては、循環経路を流れる冷媒の仕事を回収して発電し、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から供給された電力を用いて冷媒を圧縮する、圧縮機兼膨張機と、循環経路を流れる冷媒の総量を調節する総量調節手段とを備える。ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、総量調節手段は、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べて少なくする。
【0012】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含む。ヒートポンプサイクル運転の状態において、バイパス経路を冷媒が通流することにより貯液部に冷媒の一部が貯溜される。
【0013】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成される。ヒートポンプサイクル運転の状態において、バイパス経路を冷媒が通流して冷媒の一部が貯溜される。
【0014】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時に、貯溜されていた冷媒を循環経路に放流することにより循環経路を流れる冷媒の総量を多くする。
【0015】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含む。ランキンサイクル運転の状態においてバイパス経路を冷媒が通流する。
【0016】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、循環経路と接続されてヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成される。ランキンサイクル運転の状態においてバイパス経路を冷媒が通流する。
【0017】
本発明の一形態においては、総量調節手段は、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時に、バイパス経路に冷媒を流入させて冷媒の一部を貯溜することにより循環経路を流れる冷媒の総量を少なくする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることにより運転効率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。
【図2】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図3】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。
【図4】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。
【図6】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図7】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。
【図8】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。
【図10】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図11】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。
【図12】同実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【図13】ランキンサイクルおよびヒートポンプサイクルにおける状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システムについて説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。図2は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。図3は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。図4は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【0022】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る発電兼ヒートポンプ複合システム1においては、ポンプ14と、第1開閉弁31と、高温熱源60の一部と連結された第1熱交換器21と、圧縮機兼膨張機11と、低温熱源70の一部と連結された第2熱交換器22とが配管で接続されて循環経路を構成している。
【0023】
圧縮機兼膨張機11には、発電機兼発動機12が連結されている。第2熱交換器22には、中間部に第1温度検知手段51、ポンプ14側の端部近傍に第2温度検知手段52が設けられている。
【0024】
発電兼ヒートポンプ複合システム1においては、第1開閉弁31と第1熱交換器21との間と、ポンプ14と第2熱交換器22との間とを繋ぐバイパス経路41が設けられている。バイパス経路41においては、第2開閉弁32と貯液部である貯液タンク15と膨張弁13と第3開閉弁33とが配管で接続されている。本実施形態においては、貯液タンク15が循環経路を流れる冷媒の総量を調節する総量調節手段として機能する。
【0025】
第1熱交換器21において、発電兼ヒートポンプ複合システム1内を循環する冷媒(作動媒体)と高温熱源60との間で熱交換が行なわれる。第2熱交換器22において、発電兼ヒートポンプ複合システム1内を循環する冷媒と低温熱源70との間で熱交換が行なわれる。
【0026】
冷媒としては、たとえば、R134aなどのいわゆるフロンガスを用いることができる。ポンプ14は、冷媒に圧力をかけて流動させる機能を有する。膨張弁13は、冷媒を減圧させる機能を有する。
【0027】
圧縮機兼膨張機11は、冷媒を選択的に圧縮または膨張させる。後述するように、ランキンサイクル運転の状態においては、圧縮機兼膨張機11は膨張機として駆動され、冷媒の圧力により発電機兼発動機12を回転させ、発電機兼発動機12は発電機として機能する。ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から電力が供給されて発電機兼発動機12が発動機として駆動され、圧縮機兼膨張機11は圧縮機として機能する。
【0028】
本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム1は、ランキンサイクル運転の状態とヒートポンプサイクル運転の状態とを選択的に切り替えることができる。
【0029】
ランキンサイクル運転の状態とは、第1熱交換器21において高温熱源60から冷媒に発電機兼発動機12による発電に必要な熱量以上の熱量を吸熱させることができる場合に、冷媒に吸熱させた熱を電力に変換するための運転状態である。たとえば、夜間電力を利用して高温蓄熱タンクに蓄えていた温水を高温熱源60として、昼間にランキンサイクル運転を行なって発電する。
【0030】
ヒートポンプサイクル運転の状態とは、第2熱交換器22において低温熱源70から冷媒に吸熱させた熱量を第1熱交換器21において高温熱源60に蓄熱するための運転状態である。たとえば、夜間電力を利用してヒートポンプサイクル運転を行なって、低温熱源70として低温蓄熱タンクに蓄えていた水を冷却し、高温熱源60として高温蓄熱タンクに蓄えていた温水を加熱する。
【0031】
以下、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム1において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、冷媒の流動経路および冷媒の流動中の状態について説明する。
【0032】
図2に示すように、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は閉じ、第2開閉弁32は開き、第3開閉弁33は開いている。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が循環する。
【0033】
まず、冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60に熱を与えて凝縮して液化する。液化した液状冷媒は、バイパス経路41内を通流して、貯液タンク15にその一部が貯溜される。
【0034】
貯液タンク15を通過した液状冷媒は、膨張弁13で減圧された後、第2熱交換器22で低温熱源70から熱を奪い蒸発して気化する。気化した冷媒は、圧縮機兼膨張機11により再び圧縮されて高圧になる。このように冷媒が循環することにより、高温熱源60は加熱され、低温熱源70は冷却される。
【0035】
図3に示すように、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時は、第2開閉弁32を閉じる。その後、膨張弁13の開度を大きくする。このようにすることにより、貯液タンク15内の圧力が低下する。その結果、貯液タンク15内の冷媒が蒸発することにより液状冷媒10が貯液タンク15内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。
【0036】
その状態で所定時間経過後、第3開閉弁33を閉じる。その後、発電機兼発動機12の駆動を停止する。このようにすることにより、ヒートポンプサイクル運転の状態において貯液タンク15内に貯溜されていた液状冷媒10を、循環経路に放流することができる。その結果、循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。
【0037】
図4に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は開き、第2開閉弁32は閉じ、第3開閉弁33は閉じている。冷媒はポンプ14で加圧されて送液されることにより図中の矢印で示す方向に循環する。
【0038】
まず、ポンプ14により加圧された液状冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60から熱を奪い蒸発して気化する。高圧気相状態の冷媒が圧縮機兼膨張機11で膨張する際に、発電機兼発動機12を発電機として駆動させることにより発電が行なわれる。
【0039】
圧縮機兼膨張機11を通過した低圧気相状態の冷媒は、第2熱交換器22で低温熱源70に熱を与えて凝縮して液化する。低圧液相状態の液状冷媒は、再びポンプ14により加圧されて送液される。このように、冷媒が循環することにより、高温熱源60は冷却され、低温熱源70は加熱され、発電が行なわれる。
【0040】
なお、バイパス経路41においては、第2開閉弁32と第3開閉弁33とを閉じられているため、バイパス経路41内に閉じ込められた冷媒は流動しない。言い換えると、ランキンサイクル運転の状態においては貯液タンク15には冷媒が通流しない。
【0041】
貯液タンク15を含むバイパス経路41を設けることにより、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べてヒートポンプサイクル運転の状態において少なくすることができる。
【0042】
本実施形態においては、第1温度検知手段51により冷媒の凝縮温度を計測し、第2温度検知手段52により液状冷媒が第2熱交換器22から流出する際の流出温度を計測する。計測した凝縮温度と流出温度との差を冷媒の過冷却度とする。
【0043】
ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が小さくなり、発電効率が低下する。
【0044】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、第2開閉弁32を開く。第2開閉弁32を開くと、循環経路からバイパス経路41内に冷媒が流入する。貯液タンク15内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を貯液タンク15内に貯溜して循環経路を流れる冷媒の総量を減少させることができる。
【0045】
このようにして、第1熱交換器21において気化して発電機兼発動機12で膨張する冷媒量を増やすことができるため、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が大きくなり、発電効率が向上する。
【0046】
一方、ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2熱交換器22において液化する冷媒量が減少する。その結果、液状冷媒の一部が気化して気液混合の状態でポンプ14に冷媒が流入する。この場合、ポンプ14の冷媒を送液する能力が低下する。
【0047】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第3開閉弁33を開く。第3開閉弁33を開くと、貯液タンク15内の液状冷媒10が蒸発することにより液状冷媒10が貯液タンク15内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。その結果、貯液タンク15内に貯溜されていた液状冷媒10の一部を循環経路に放流することにより循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。
【0048】
このようにして、第2熱交換器22において液化する冷媒量を増やすことができるため、ポンプ14に気液混合の状態で冷媒が流入することを抑制できる。
【0049】
上記の構成により、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることができ、発電効率および運転効率の向上を図れる。
【0050】
また、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において冷媒が通流しない独立した経路を設けて冷媒の総量調節を行なう場合と比較して、本実施形態の発電兼ヒートポンプ複合システム1においては簡易な構成とすることができるため、装置コストを低減することができる。
【0051】
なお、本実施形態においては、貯液タンク15を総量調節手段として設けたが、バイパス経路41を構成する配管の管径を大きくすることにより十分な量の冷媒をバイパス経路41内に貯溜できる場合には、貯液タンク15が設けられていないバイパス経路41を総量調節手段として用いてもよい。
【0052】
以下、本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システム2について説明する。
【0053】
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。図6は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。図7は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。図8は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【0054】
図5に示すように、本発明の実施形態2に係る発電兼ヒートポンプ複合システム2においては、ポンプ14と、第1開閉弁31と、エンジンの排熱などを熱源とする高温熱源60の一部と連結された第1熱交換器21と、圧縮機兼膨張機11と、三方切換弁36と、第2熱交換器22とが配管で接続されて循環経路を構成している。
【0055】
圧縮機兼膨張機11には、発電機兼発動機12が連結されている。第2熱交換器22には、中間部に第1温度検知手段51、ポンプ14側の端部近傍に第2温度検知手段52が設けられている。第2熱交換器22の近傍に、第1送風機24が設けられている。
【0056】
第2熱交換器22とポンプ14との間と、圧縮機兼膨張機11と三方切換弁36との間とを繋ぐバイパス経路41が設けられている。バイパス経路41においては、第2開閉弁32と、膨張弁13と、第3熱交換器23と、第3開閉弁33とが配管で接続されている。第3熱交換器23の近傍に、第2送風機25が設けられている。
【0057】
また、発電兼ヒートポンプ複合システム2においては、第1開閉弁31と第1熱交換器21との間と三方切換弁36とを繋ぐバイパス経路43が設けられている。
【0058】
第1熱交換器21において、発電兼ヒートポンプ複合システム2内を循環する冷媒(作動媒体)と高温熱源60との間で熱交換が行なわれる。第2熱交換器22において、発電兼ヒートポンプ複合システム2内を循環する冷媒と室外空気との間で熱交換が行なわれる。第3熱交換器23において、発電兼ヒートポンプ複合システム2内を循環する冷媒と室内空気との間で熱交換が行なわれる。
【0059】
以下、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム2において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、冷媒の流動経路および冷媒の流動中の状態について説明する。
【0060】
図6に示すように、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は閉じ、第2開閉弁32は開き、第3開閉弁33は開いている。三方切換弁36は、第1熱交換器21から第2熱交換器22に冷媒が流れるように経路を構成している。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が循環する。
【0061】
まず、冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第1熱交換器21で熱交換せずに通過したのち、第2熱交換器22で室外空気に熱を与えて凝縮して液化する。
【0062】
液化した液状冷媒は、膨張弁13で減圧されて気液混合の状態で第3熱交換器23内に流入する。第3熱交換器23内に流入した冷媒は、室内空気から熱を奪い蒸発して気化する。気化した冷媒は、圧縮機兼膨張機11により再び圧縮されて高圧になる。このように冷媒が循環することにより、室内空気を冷却することができる。
【0063】
図7に示すように、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時は、第2開閉弁32を閉じる。その後、膨張弁13の開度を大きくする。このようにすることにより、第3熱交換器23内の圧力が低下する。その結果、第3熱交換器23内の冷媒が蒸発して圧縮機兼膨張機11内に流入する。
【0064】
その状態で所定時間経過後、第3開閉弁33を閉じる。その後、発電機兼発動機12の駆動を停止する。このようにすることにより、ヒートポンプサイクル運転の状態において第3熱交換器23内に貯溜されていた冷媒を、循環経路に放流することができる。その結果、循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。本実施形態においては、第3熱交換器23が貯液部となる。
【0065】
図8に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は開き、第2開閉弁32は閉じ、第3開閉弁33は閉じている。三方切換弁36は圧縮機兼膨張機11から第2熱交換器22に冷媒が流れるように経路を構成している。冷媒はポンプ14で加圧されて送液されることにより図中の矢印で示す方向に循環する。
【0066】
まず、ポンプ14により加圧された液状冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60から熱を奪い蒸発して気化する。高圧気相状態の冷媒が圧縮機兼膨張機11で膨張する際に、発電機兼発動機12を発電機として駆動させることにより発電が行なわれる。
【0067】
圧縮機兼膨張機11を通過した低圧気相状態の冷媒は、第2熱交換器22で室外空気に熱を与えて凝縮して液化する。低圧液相状態の液状冷媒は、再びポンプ14により加圧されて送液される。このように、冷媒が循環することにより、高温熱源60の熱を利用した発電が行なわれる。
【0068】
なお、バイパス経路41においては、第2開閉弁32と第3開閉弁33とを閉じられているため、バイパス経路41内に閉じ込められた冷媒は流動しない。言い換えると、ランキンサイクル運転の状態においてはバイパス経路41には冷媒が通流しない。
【0069】
また、バイパス経路43においては、三方切換弁36により一方端が閉鎖されているため、バイパス経路43内の冷媒は流動しない。言い換えると、ランキンサイクル運転の状態においてはバイパス経路43には冷媒が通流しない。
【0070】
第3熱交換器23を含むバイパス経路41を設けることにより、循環経路を流れる冷媒の総量をランキンサイクル運転の状態に比べてヒートポンプサイクル運転の状態において少なくすることができる。
【0071】
本実施形態においては、第1温度検知手段51により冷媒の凝縮温度を計測し、第2温度検知手段52により液状冷媒が第2熱交換器22から流出する際の流出温度を計測する。計測した凝縮温度と流出温度との差を冷媒の過冷却度とする。
【0072】
ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が小さくなり、発電効率が低下する。
【0073】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、第3開閉弁33を開く。第3開閉弁33を開くと、循環経路からバイパス経路41内に冷媒が流入する。第3熱交換器23内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を第3熱交換器23内に貯溜して循環経路を流れる冷媒の総量を減少させることができる。
【0074】
このようにして、第1熱交換器21において気化して発電機兼発動機12で膨張する冷媒量を増やすことができるため、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が大きくなり、発電効率が向上する。
【0075】
一方、ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2熱交換器22において液化する冷媒量が減少する。その結果、液状冷媒の一部が気化して気液混合の状態でポンプ14に冷媒が流入する。この場合、ポンプ14の冷媒を送液する能力が低下する。
【0076】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2開閉弁32と第3開閉弁33とを開く。第3開閉弁33を開くと、第3熱交換器23内に気相状態の冷媒が流入する。第2開閉弁32が開いているため、第3熱交換器23内に流入した気相状態の冷媒により第3熱交換器23内から押し出された液状冷媒10はポンプ14へ向けて流出する。
【0077】
その結果、第3熱交換器23内に貯溜されていた液状冷媒10の一部を循環経路に放流することにより循環経路を流れる冷媒の総量を多くすることができる。このようにして、第2熱交換器22において液化する冷媒量を増やすことができるため、ポンプ14に気液混合の状態で冷媒が流入することを抑制できる。
【0078】
上記の構成により、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることができ、発電効率および運転効率の向上を図れる。
【0079】
以下、本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システム3について説明する。
【0080】
(実施形態3)
図9は、本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システムの構成を示す系統図である。図10は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。図11は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時の冷媒の流れを示す図である。図12は、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システムにおいて、ヒートポンプサイクル運転の状態での冷媒の流れを示す図である。
【0081】
図9に示すように、本発明の実施形態3に係る発電兼ヒートポンプ複合システム3においては、圧縮機兼膨張機11と、第2熱交換器22と、第4開閉弁34と、膨張弁13と、第3熱交換器23と、第3開閉弁33とが配管で接続されて循環経路42を構成している。
【0082】
圧縮機兼膨張機11には、発電機兼発動機12が連結されている。第2熱交換器22には、中間部に第1温度検知手段51、ポンプ14側の端部近傍に第2温度検知手段52が設けられている。第2熱交換器22の近傍に、第1送風機24が設けられている。第3熱交換器23の中間部に第3温度検知手段53が設けられている。第3熱交換器23の近傍に、第2送風機25が設けられている。第2送風機25の第3熱交換器23側とは反対側に第4温度検知手段54が設けられている。
【0083】
第2熱交換器22と第4開閉弁34との間と、圧縮機兼膨張機11と第3開閉弁33との間とを繋ぐバイパス経路41が設けられている。バイパス経路41においては、第2開閉弁32と、ポンプ14と、エンジンの排熱などを熱源とする高温熱源60の一部と連結された第1熱交換器21と、第1開閉弁31とが配管で接続されている。
【0084】
また、発電兼ヒートポンプ複合システム3においては、ポンプ14と第1熱交換器21との間と、第2開閉弁32と第2熱交換器22との間とを繋ぐバイパス経路43が設けられている。バイパス経路43には、第5開閉弁35が設けられている。
【0085】
第1熱交換器21において、発電兼ヒートポンプ複合システム3内を循環する冷媒(作動媒体)と高温熱源60との間で熱交換が行なわれる。第2熱交換器22において、発電兼ヒートポンプ複合システム3内を循環する冷媒と室内空気との間で熱交換が行なわれる。第3熱交換器23において、発電兼ヒートポンプ複合システム3内を循環する冷媒と室外空気との間で熱交換が行なわれる。本実施形態においては、第1熱交換器21が貯液部である。
【0086】
以下、本実施形態に係る発電兼ヒートポンプ複合システム3において、ランキンサイクル運転の状態およびヒートポンプサイクル運転の状態における、冷媒の流動経路および冷媒の流動中の状態について説明する。
【0087】
図10に示すように、ランキンサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は開き、第2開閉弁32は開き、第3開閉弁33は閉じ、第4開閉弁34は閉じ、第5開閉弁35は閉じている。冷媒はポンプ14で加圧されて送液されることにより図中の矢印で示す方向に循環する。すなわち、ランキンサイクル運転の状態においてバイパス経路41を冷媒が通流する。
【0088】
まず、ポンプ14により加圧された液状冷媒は、第1熱交換器21で高温熱源60から熱を奪い蒸発して気化する。高圧気相状態の冷媒が圧縮機兼膨張機11で膨張する際に、発電機兼発動機12を発電機として駆動させることにより発電が行なわれる。
【0089】
圧縮機兼膨張機11を通過した低圧気相状態の冷媒は、第2熱交換器22で室内空気に熱を与えて凝縮して液化する。低圧液相状態の液状冷媒は、再びポンプ14により加圧されて送液される。このように、冷媒が循環することにより、高温熱源60の熱を利用して、室内を暖房しつつ発電することができる。
【0090】
本実施形態においては、第1温度検知手段51により冷媒の凝縮温度を計測し、第2温度検知手段52により液状冷媒が第2熱交換器22から流出する際の流出温度を計測する。計測した凝縮温度と流出温度との差を冷媒の過冷却度とする。
【0091】
ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が小さくなり、発電効率が低下する。
【0092】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より大きい場合、第3開閉弁33を開く。第3開閉弁33を開くと、バイパス経路41から循環経路42内に冷媒が流入する。第3熱交換器23内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を第3熱交換器23内に貯溜してバイパス経路41を流れる冷媒の総量を減少させることができる。
【0093】
このようにして、第1熱交換器21において気化して発電機兼発動機12で膨張する冷媒量を増やすことができるため、圧縮機兼膨張機11の前後における冷媒の圧力差が大きくなり、発電効率が向上する。
【0094】
一方、ランキンサイクル運転の状態において、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第2熱交換器22において液化する冷媒量が減少する。その結果、気液混合の状態でポンプ14に冷媒が流入する。この場合、ポンプ14の冷媒を送液する能力が低下する。
【0095】
そのため、冷媒の過冷却度が予め設定した設定値より小さい場合、第4開閉弁34を開く。第4開閉弁34を開くと、第3熱交換器23内の液状冷媒10が蒸発することにより液状冷媒10が第3熱交換器23内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。その結果、第3熱交換器23内に貯溜されていた液状冷媒10の一部をバイパス経路41に放流することによりバイパス経路41を流れる冷媒の総量を多くすることができる。
【0096】
このようにして、第2熱交換器22において液化する冷媒量を増やすことができるため、ポンプ14に気液混合の状態で冷媒が流入することを抑制できる。
【0097】
図11に示すように、ランキンサイクル運転からヒートポンプサイクル運転に切り替える時は、高温熱源60からの熱の供給を停止し、ポンプ14も停止し、第2開閉弁32を閉じる。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が流動する。
【0098】
冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第1熱交換器21内で凝縮して液化する。液化した液状冷媒は、バイパス経路41内において第1熱交換器21内に貯溜される。
【0099】
その状態で所定時間経過後、第1開閉弁31を閉じる。このようにすることにより、バイパス経路41に冷媒を流入させて第1熱交換器21内に冷媒の一部を貯溜することにより、ヒートポンプサイクル運転の状態において循環経路42を流れる冷媒の総量を少なくすることができる。
【0100】
図12に示すように、ヒートポンプサイクル運転の状態においては、第1開閉弁31は閉じ、第2開閉弁32は閉じ、第3開閉弁33は開き、第4開閉弁34は開き、第5開閉弁35は閉じている。外部から供給された電力により発電機兼発動機12を発動機として駆動させることにより、図中の矢印で示す方向に冷媒が循環する。
【0101】
まず、冷媒は圧縮機兼膨張機11により圧縮されて高圧になる。圧縮された高圧気相状態の冷媒は、第3熱交換器23で室外空気に熱を与えて凝縮して液化する。
【0102】
液化した液状冷媒は、膨張弁13で減圧されて気液混合の状態で第2熱交換器22内に流入する。第2熱交換器22内に流入した冷媒は、室内空気から熱を奪い蒸発して気化する。気化した冷媒は、圧縮機兼膨張機11により再び圧縮されて高圧になる。このように冷媒が循環することにより、室内空気を冷却することができる。
【0103】
なお、バイパス経路41においては、第1開閉弁31と第2開閉弁32と第5開閉弁35とを閉じられているため、バイパス経路41内に閉じ込められた冷媒は流動しない。言い換えると、ヒートポンプサイクル運転の状態においてはバイパス経路41には冷媒が通流しない。
【0104】
本実施形態においては、第3温度検知手段53により第3熱交換器23における冷媒の凝縮温度を計測し、第4温度検知手段54により外気温度を計測する。
【0105】
ヒートポンプサイクル運転の状態において、凝縮温度と外気温度との差が外気温度から予め設定した設定値より小さい場合は凝縮圧力不足で、第3熱交換器23内で冷媒が完全に液化しない。その結果、第2熱交換器22において気化する液状冷媒が少なくなるため室内空気を十分に冷却することができなくなる。
【0106】
そのため、凝縮温度と外気温度との予め設定した設定値より小さい場合、第5開閉弁35を開く。第5開閉弁35を開くと、第1熱交換器21内に貯溜されていた液状冷媒10が蒸発することにより液状冷媒10が第1熱交換器21内から押し出されて第2熱交換部22内に流入する。その結果、第1熱交換器21内に貯溜されていた液状冷媒10の一部を循環経路42に放流することにより循環経路42を流れる冷媒の総量を多くすることができ、凝縮圧力を高くすることができる。
【0107】
このようにして、第3熱交換器23において液化する冷媒量を増やすことができるため、第2熱交換器22で室内空気を十分冷却することができる。
【0108】
一方、ヒートポンプサイクル運転の状態において、凝縮温度と外気温度との差が予め設定した設定値より大きい場合、第3熱交換器23内の凝縮圧力が高すぎて、圧縮機兼膨張機11で消費する電力が過大となる。
【0109】
そのため、凝縮温度と外気温度との差が予め設定した設定値より大きい場合、第1開閉弁31を開く。第1開閉弁31を開くと、循環経路42からバイパス経路41内に冷媒が流入する。第1熱交換器21内に流入した冷媒は、凝縮して液化する。その結果、液状冷媒の一部を第1熱交換器21内に貯溜して循環経路42を流れる冷媒の総量を減少させることができ、凝縮圧力を低くすることができる。
【0110】
このようにして、第2熱交換器22において気化する冷媒量を減らすことができるため、圧縮機兼膨張機11で過大な電力量が消費されることを抑制できる。なお、ヒートポンプサイクル運転からランキンサイクル運転に切り替える時に、第1熱交換器21に貯溜されていた冷媒の一部は循環経路42に放流される。
【0111】
上記の構成により、ランキンサイクル運転およびヒートポンプサイクル運転の両方において適正量の冷媒を循環させることができ、発電効率および運転効率の向上を図れる。
【0112】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1,2,3 発電兼ヒートポンプ複合システム、10 液状冷媒、11 圧縮機兼膨張機、12 発電機兼発動機、13 膨張弁、14 ポンプ、15 貯液タンク、21 第1熱交換器、22 第2熱交換器、23 第3熱交換器、24 第1送風機、25 第2送風機、31 第1開閉弁、32 第2開閉弁、33 第3開閉弁、34 第4開閉弁、35 第5開閉弁、36 三方切換弁、41,43 バイパス経路、42 循環経路、51 第1温度検知手段、52 第2温度検知手段、53 第3温度検知手段、54 第4温度検知手段、60 高温熱源、70 低温熱源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを選択的に切り替え可能な発電兼ヒートポンプ複合システムであって、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、循環経路を流れる冷媒の仕事を回収して発電し、前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から供給された電力を用いて冷媒を圧縮する、圧縮機兼膨張機と、
前記循環経路を流れる冷媒の総量を調節する総量調節手段と
を備え、
前記ランキンサイクル運転から前記ヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、前記総量調節手段は、前記循環経路を流れる冷媒の総量を前記ランキンサイクル運転の状態に比べて少なくする、発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項2】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含み、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態において、前記バイパス経路を冷媒が通流することにより前記貯液部に冷媒の一部が貯溜される、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項3】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成され、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態において、前記バイパス経路を冷媒が通流して冷媒の一部が貯溜される、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項4】
前記総量調節手段は、前記ヒートポンプサイクル運転から前記ランキンサイクル運転に切り替える時に、貯溜されていた冷媒を前記循環経路に放流することにより前記循環経路を流れる冷媒の総量を多くする、請求項2または3に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項5】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含み、
前記ランキンサイクル運転の状態において前記バイパス経路を冷媒が通流する、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項6】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成され、
前記ランキンサイクル運転の状態において前記バイパス経路を冷媒が通流する、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項7】
前記総量調節手段は、前記ランキンサイクル運転から前記ヒートポンプサイクル運転に切り替える時に、前記バイパス経路に冷媒を流入させて冷媒の一部を貯溜することにより前記循環経路を流れる冷媒の総量を少なくする、請求項5または6に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項1】
ランキンサイクル運転とヒートポンプサイクル運転とを選択的に切り替え可能な発電兼ヒートポンプ複合システムであって、
前記ランキンサイクル運転の状態においては、循環経路を流れる冷媒の仕事を回収して発電し、前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては、外部から供給された電力を用いて冷媒を圧縮する、圧縮機兼膨張機と、
前記循環経路を流れる冷媒の総量を調節する総量調節手段と
を備え、
前記ランキンサイクル運転から前記ヒートポンプサイクル運転に切り替えた状態において、前記総量調節手段は、前記循環経路を流れる冷媒の総量を前記ランキンサイクル運転の状態に比べて少なくする、発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項2】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含み、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態において、前記バイパス経路を冷媒が通流することにより前記貯液部に冷媒の一部が貯溜される、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項3】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ランキンサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成され、
前記ヒートポンプサイクル運転の状態において、前記バイパス経路を冷媒が通流して冷媒の一部が貯溜される、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項4】
前記総量調節手段は、前記ヒートポンプサイクル運転から前記ランキンサイクル運転に切り替える時に、貯溜されていた冷媒を前記循環経路に放流することにより前記循環経路を流れる冷媒の総量を多くする、請求項2または3に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項5】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路に設けられた貯液部を含み、
前記ランキンサイクル運転の状態において前記バイパス経路を冷媒が通流する、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項6】
前記総量調節手段は、前記循環経路と接続されて前記ヒートポンプサイクル運転の状態においては冷媒が通流しないバイパス経路で構成され、
前記ランキンサイクル運転の状態において前記バイパス経路を冷媒が通流する、請求項1に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【請求項7】
前記総量調節手段は、前記ランキンサイクル運転から前記ヒートポンプサイクル運転に切り替える時に、前記バイパス経路に冷媒を流入させて冷媒の一部を貯溜することにより前記循環経路を流れる冷媒の総量を少なくする、請求項5または6に記載の発電兼ヒートポンプ複合システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−247081(P2012−247081A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116944(P2011−116944)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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