説明

発電装置

【課題】起動時の起動負荷を低減させることが可能である。
【解決手段】多相交流発電機と、この多相交流発電機から負荷へ出力する発電装置において、多相交流発電機の各相の発電コイル13の出力端と、負荷90との間に、多相交流発電機の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路14〜16を設けた。また、多相交流発電機の各相の発電コイルをブロックに分割してブロック単位の出力端と、負荷90との間に、多相交流発電機の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路14〜16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風力発電や小型水車による発電に好適な発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、小型風車発電には小型発電機として交流発電機が使われ、交流発電機は、回転と同時に全発電コイルに電力が発生する回路構成になっている。したがって、交流発電機の回転に対する負荷は発電コイルに電力が発生し、この電力を例えば充電回路に流し込んだり、電力安定回路に流しこんだりした時の電力が発電コイルに逆起電力を発生させる。このエネルギーが交流発電機の回転力に対して負荷抵抗として作用し、初期動作に必要な力が大きい。
【0003】
特許文献1には、テレビなどのリモコンに発電装置を搭載して、電池不要のリモコン装置を提供するものであり、この発電のためには、発電装置を使用者が手動で回すための動力伝達機構としてはずみ車が使われている。
【特許文献1】特開平11−18162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように発電装置においては、初期動作に必要な力が大きいため、特に風力発電や小型水車による発電では、この負荷が起動時の風の力や水の力を大きく要求し、風が弱いと発電機が負荷に負けて回転しないなどの問題がある。
【0005】
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたもので、起動時の起動負荷を低減させることが可能な発電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0007】
請求項1に記載の発明は、
多相交流発電機と、この多相交流発電機から負荷へ出力する発電装置において、
前記多相交流発電機の各相の発電コイルの出力端と、前記負荷との間に、
前記多相交流発電機の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路を設けたことを特徴とする発電装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
前記負荷軽減回路は、起動時所定時間後に前記負荷へ接続することを特徴とする請求項1に記載の発電装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、
前記負荷軽減回路は、前記多相交流発電機の起動時の回転速度が所定回転速度以上又は出力電力が所定出力電力以上で負荷に接続することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発電装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
前記多相交流発電機の起動時の出力により駆動し、前記負荷軽減回路に電源を供給する制御回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発電装置である。
【発明の効果】
【0011】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0012】
請求項1に記載の発明では、多相交流発電機の各相の発電コイルの出力端と、負荷との間に、多相交流発電機の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路を設けたことで、多相交流発電機が回転して、発電コイルに起電力が発生しても、この起電力を取り出さないので発電コイルには逆起電力は発生しないため、負荷抵抗なしの状態が継続されていることになり、起動時の負荷を低減させることが可能であり、例えば風力発電や小型水車による発電を円滑に起動することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、負荷軽減回路は、起動時所定時間後に負荷へ接続することで、簡単な回路構成で起動時の負荷を低減させることが可能である。
【0014】
請求項3に記載の発明では、負荷軽減回路は、多相交流発電機の起動時の回転速度が所定回転速度以上又は出力電力が所定出力電力以上で負荷に接続することで、例えば風力発電や小型水車の発電軸が円滑に回転して起動することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、多相交流発電機の起動時の出力により駆動し、負荷軽減回路に電源を供給する制御回路を備えたことで、負荷軽減回路の電源を別に必要としないため簡単な装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の発電装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1は発電装置の第1の実施の形態の構成を示す概略構成図である。この発電装置10は、風力発電や小型水車による発電に用いられる。この発電装置10には、3相交流発電機11を用いており、この3相交流発電機11の発電軸12が風車や水車50に接続される。多相交流発電機11の3相の発電コイル13から負荷90へ出力する。負荷90として、例えば電力安定回路、変圧回路、充電回路が用いられる。
【0018】
この3相交流発電機11の各相の発電コイル13の出力端と、負荷90との間に、3相交流発電機11の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路14〜16を並列に設けている。この負荷軽減回路14〜16は、リレー回路で構成され、3相交流発電機11の起動時は開状態にある。
【0019】
また、3相交流発電機11の各相の発電コイル13の出力端には、制御回路15が接続され、この制御回路15は3相交流発電機11の起動時の出力により駆動し、負荷軽減回路14〜16に電源を供給する。
【0020】
この制御回路15は、負荷軽減回路14〜16を制御し、負荷軽減回路14〜16を起動時所定時間後に負荷90へ接続する。したがって、風車や水車50の起動によって3相交流発電機11の発電軸12が回転して、発電コイル13に起電力が発生しても、3相交流発電機11の起動時は開状態にあるため、この起電力を取り出さないので発電コイル13には逆起電力は発生しないため、負荷抵抗なしの状態が継続されていることになり、起動時の負荷を低減させることが可能であり、例えば風力発電や小型水車による発電を円滑に起動することができる。この実施の形態では、負荷軽減回路14〜16は、起動時所定時間後に負荷へ接続することで、簡単な回路構成で起動時の負荷を低減させることが可能である。
【0021】
また、制御回路15は、負荷軽減回路14〜16を制御し、負荷軽減回路14〜16毎に、負荷90への接続タイミングを遅延させることができる。たとえば、1秒、2秒、3秒と異なるものとすることで、3相交流発電機11に対する初動負荷を軽減することができる。このように、なめらかに回し始めるには、t秒、2t秒、3t秒と違うこととするのが望ましく、発電が可能にするために、5秒、10秒、15秒の遅延時間とするのが適切である。この実施の形態では、負荷軽減回路14〜16は、負荷14への接続タイミングを各相毎に遅延させることで、各相の数分だけ起動時の負荷を低減させることが可能である。
【0022】
また、回転速度検出手段60を備え、この回転速度検出手段60は3相交流発電機11の発電軸12が回転する回転速度を検出し、この回転速度情報を制御回路15へ送る。
制御回路15は、回転速度情報に基づき負荷軽減回路14〜16を制御し、負荷軽減回路14〜16は、3相交流発電機11の起動時の回転速度が所定回転速度以上であるときに負荷90に接続する。この実施の形態では、負荷軽減回路14〜16は、3相交流発電機11の起動時の回転速度が所定回転速度以上で負荷に接続することで、例えば風力発電や小型水車の発電軸が円滑に回転して起動することができ、回転速度が所定回転速度以上になるとフル発電に至る。
【0023】
また、回転速度検出手段60に代えて出力電力検出手段を設けてもよく、この場合は出力電力検出手段が3相交流発電機11の起動時の出力電力を検出し、この出力電力情報を制御回路15へ送る。制御回路15は、出力電力情報に基づき負荷軽減回路14〜16を制御し、負荷軽減回路14〜16は、負荷軽減回路14〜16は、3相交流発電機11の起動時の出力電力が所定出力電力以上であるときに負荷90に接続する。
【0024】
この実施の形態では、3相交流発電機11の各相の発電コイル13の出力端を接続して負荷90に接続し、各相の発電コイル13の出力端に負荷軽減回路14〜16を並列に接続しているが、各相の発電コイル13の出力端をそれぞれ負荷90に接続する場合には、各相の発電コイル13の出力端と、負荷90との間に負荷軽減回路を直列に接続する。
【0025】
[第2の実施の形態]
図2は発電装置の第2の実施の形態の構成を示す概略構成図である。この発電装置10は、第1の実施の形態と同様に、風力発電や小型水車による発電に用いられる。この発電装置10には、3相交流発電機11を用いており、この3相交流発電機11の発電軸12が風車や水車50に接続され、3相の発電コイル13から負荷90へ出力する。
【0026】
この3相交流発電機11の各相の発電コイル13をブロックに分割してブロック単位の出力端と、負荷90との間に、3相交流発電機11の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路14〜16を並列に設けている。この負荷軽減回路14〜16は、リレー回路で構成され、3相交流発電機11の起動時は開状態にある。
【0027】
この実施の形態では、3相交流発電機11の各相の発電コイル13をブロックa1、a2,a3・・・anと、ブロックb1、b2,b3・・・bnと、ブロックc1、c2,c3・・・cnとに分割してブロック単位の出力端と、負荷12との間に、3相交流発電機11の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路14〜16を並列に設けており、この負荷軽減回路14〜16および制御回路15は第1の実施の形態と同様に構成される。
【0028】
したがって、3相交流発電機11が回転して、発電コイル13に起電力が発生しても、この起電力を取り出さないので発電コイル13には逆起電力は発生しないため、負荷抵抗なしの状態が継続されていることになり、起動時の負荷を低減させることが可能であり、例えば風力発電や小型水車の発電軸が円滑に回転して起動することができ、フル発電に至る。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、風力発電や小型水車による発電に好適な発電装置に適用可能であり、起動時の起動負荷を低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】発電装置の第1の実施の形態の構成を示す概略構成図である。
【図2】発電装置の第2の実施の形態の構成を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0031】
10 発電装置
11 3相交流発電機
12 発電軸
13 発電コイル
14〜16 負荷軽減回路
15 制御回路
60 回転速度検出手段
90 負荷



【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相交流発電機と、この多相交流発電機から負荷へ出力する発電装置において、
前記多相交流発電機の各相の発電コイルの出力端と、前記負荷との間に、
前記多相交流発電機の起動時の負荷を軽減する負荷軽減回路を設けたことを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記負荷軽減回路は、起動時所定時間後に前記負荷へ接続することを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記負荷軽減回路は、前記多相交流発電機の起動時の回転速度が所定回転速度以上又は出力電力が所定出力電力以上で負荷に接続することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記多相交流発電機の起動時の出力により駆動し、前記負荷軽減回路に電源を供給する制御回路を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発電装置。

【図1】
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【図2】
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