説明

発音制御装置

【課題】本発明は、テンポまたは拍子が異なる複数の曲を繰り返し発音させた場合であっても、利用者が曲同士のテンポまたは拍子の関連性を視覚的に把握しやすい発音制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制御部は、特定の位置から放射方向に沿った特定の距離の範囲に放射状に広がる放射領域を表示する。放射領域は、放射方向に沿った位置に対応して経過する時間が規定されている。制御部は、放射領域に、発音する音を指示する発音データ画像を表示する。制御部は、放射領域における放射方向に沿った位置を、経過する時間と放射領域に設定される内容とに応じて順次特定し、特定した位置に応じた位置指定画像を放射領域に表示させる。制御部は、特定された位置と発音データ画像の表示されている位置とに応じて、発音手段から発音させる内容を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発音制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲の作成を支援する装置において、複数の曲を発音させながら編集してひとつの楽曲を作成する楽曲作成装置が知られている。特許文献1には、利用者が、縦軸に複数の曲(各楽器パート)を並べて表示したパターンマップを用いてリズムパターンを作成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−108127
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、楽曲の中には、ループを基本構成要素とする楽曲がある。このような楽曲の作成においては、利用者は、複数の曲のテンポや拍子を変化させながらこれらを発音させて、各々の関連性を確認しながら編集する場合がある。しかしながら、特許文献1に開示されている技術においては、複数の曲を示す画像が画面の左右方向に直線状に並んで表示される。このため、利用者は、曲が複数並んだ場合に曲同士のテンポまたは拍子の関連性を視覚的に把握することが難しい。そこで、本発明は、テンポまたは拍子が異なる複数の曲を繰り返し発音させた場合であっても、利用者が曲同士のテンポまたは拍子の関連性を視覚的に把握しやすい発音制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、特定の位置から特定の範囲に放射状に広がる複数の放射領域であって、放射方向に沿った位置に対応して経過する時間が各々設定される放射領域に、発音内容が設定された発音画像を表示させる第1表示制御手段と、前記放射領域における前記放射方向に沿った位置を、経過する時間と当該放射領域の設定とに応じて順次特定し、当該特定した位置に応じた位置指定画像を当該放射領域に表示させる第2表示制御手段と、前記第2表示制御手段によって特定された位置と、前記発音画像の表示されている位置とに応じて発音手段から発音させる内容を制御する発音制御手段とを具備することを特徴とする発音制御装置を提供する。
【0006】
上記発音制御装置において、前記発音制御手段は、前記放射領域において前記発音画像が配置されている周方向に沿った位置に応じて、当該発音画像に設定された発音内容を変化させてもよい。
【0007】
上記発音制御装置において、前記放射領域の各々には、発音効果に関する内容が設定され、前記発音制御手段は、さらに前記発音画像が配置されている放射領域に隣接する前記放射領域に設定された発音効果に関する内容に応じて、当該発音画像に設定された発音内容を変化させてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、テンポまたは拍子が異なる複数の曲を繰り返し発音させた場合であっても、利用者が曲同士のテンポまたは拍子の関連性を視覚的に把握しやすい発音制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】発音制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】発音制御装置の機能の構成を説明するブロック図である。
【図3】表示画面の表示例を説明する図である。
【図4】発音制御機能における表示画面の第1の表示例を説明する図である。
【図5】発音制御機能における表示画面の第2の表示例を説明する図である。
【図6】発音制御機能における表示画面の第3の表示例を説明する図である。
【図7】発音制御機能における表示画面の第4の表示例を説明する図である。
【図8】変形例1に係る放射状シーケンサ画像を説明する図である。
【図9】変形例2に係る放射状シーケンサ画像を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
[ハードウェア構成]
図1は、本実施形態に係る発音制御装置10の構成を示すブロック図である。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置およびRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶手段を備える。CPUは、ROMに記憶されている発音制御プログラムをRAMにロードして実行することにより、発音制御装置10の各部について、バスを介して制御する。CPUは、ある時点からの経過時間を計測する。CPUは、経過時間に応じて各部を制御する。CPUは、RAMをワークエリアに用いてデータを加工する。
【0011】
記憶部120は、不揮発性メモリなどの記憶手段である。記憶部120は、発音される音の発音内容を示す発音データを記憶する。この例においては、発音データは、予め決められた時間長(例えば、数百ミリ秒)の楽音の波形信号を示すデータである。また、記憶部120は、表示される画像を示す画像データと音の発音や画像の表示に関する設定を示す設定データとを記憶する。設定データは、例えば、音の発音に関しては発音のテンポを示すデータである。また、設定データは、画像の表示に関しては、画像を表示する位置、画像を表示する向き、画像の形状または画像の大きさを示すデータである。記憶部120は、上述した発音制御プログラムをROMの代わりに記憶していてもよい。なお、記憶部120は、外付けの不揮発性メモリなどの記憶手段を、接続インターフェースを介して接続したものであってもよい。操作部130は、利用者が発音制御装置10に対して各種操作を行うマウス、キーボードまたはタッチセンサなどの操作手段である。操作部130は、操作内容を示す情報を制御部110に出力する。
【0012】
表示部140は、制御部110の制御により画像を表示する表示画面141を有する液晶ディスプレイなどの表示手段である。表示画面141は、表面部分にタッチセンサが設けられてタッチパネルとして機能する。発音部150は、制御部110による制御に応じて発音を行うDSP(Digital Signal Processor)、スピーカなどを有する発音手段である。インターフェース160は、例えば、外部装置と有線接続する接続端子、無線接続する無線接続手段、基地局やネットワークなどを介して接続する通信手段などであって、接続した外部装置と各種データの送受信を行う。
【0013】
[発音制御機能の構成]
次に、制御部110が発音制御プログラムを実行することによって実現される発音制御機能について図2を用いて説明する。なお、以下に説明する分類機能を実現する各構成については、その一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。
【0014】
図2は、発音制御機能の構成を説明するブロック図である。制御部110は、発音制御プログラムを実行することにより、第1表示制御部111、第2表示制御部112および発音制御部113を構成して発音制御機能を実現する。
第1表示制御部111は、画像の表示に関する設定データを記憶部120から取得する。第1表示制御部111は、発音データの再生に用いられるシーケンサを示す画像(以下「シーケンサ画像」という。)の画像データを、記憶部120から取得する。第1表示制御部111は、取得した画像データおよび設定データを用いてシーケンサ画像を表示画面141に表示させるように表示部140を制御する(以下、単に「画像を表示させる」という。)。
【0015】
第1表示制御部111は、同様に、発音データに対応する画像(以下「発音データ画像」という。)と操作に供する画像(以下「操作画像」という。)とを表示させる。本実施形態においては、発音データ画像は、発音データの名称、発音データの特徴などに応じた画像である。また、発音データ画像は、対応する発音データが示す発音内容が設定された画像である。本実施形態においては、発音データ画像が、本発明における「発音画像」に相当する。また、操作画像は、発音データの再生、停止などに用いられる画像である。第1表示制御部111は、操作部130からの指示に基づいて、発音データ画像をシーケンサ画像に重ねて表示させる。例えば、第1表示制御部111は、操作部130への操作によって指定されたシーケンサ画像上の位置に発音データ画像を表示させる。第1表示制御部111は、発音データ画像を表示させたシーケンサ画像上の位置の情報を、第2表示制御部112へ出力する。
【0016】
第2表示制御部112は、操作部130から出力される動作開始の指示を受け付けると、この指示に応じたタイミングからの経過した時間を示す時間情報を生成する。この例においては、第2表示制御部112は、指示を受け付けると直ちに時間情報を生成する。なお、第2表示制御部112は、操作部130以外の各部から動作開始の指示を受けてもよい。第2表示制御部112は、生成した時間情報に基づき、経過する時間に応じてシーケンサ画像上の位置を順次特定する。第2表示制御部112は、特定した位置を示すための画像(以下「位置指定画像」という。)を特定した位置に表示させる。具体的には、第2表示制御部112は、時間情報の示す時間に対応してあらかじめ決められたシーケンサ画像上の位置に位置指定画像を表示させる。
【0017】
第2表示制御部112は、第1表示制御部111から入力された発音データ画像の位置の情報と特定した位置とに基づいて、この発音データ画像に対応する発音データの情報を発音制御部113へ出力する。例えば、第2表示制御部112は、発音データ画像の位置と位置指定画像の位置とが一致したときに発音データの情報を出力してもよいし、これらの放射方向D1に沿った位置があらかじめ決められた距離となったときに発音データの情報を出力してもよい。このように、第2表示制御部112は、表示させている位置指定画像と第1表示制御手段によって表示されている発音データ画像との位置関係に応じて、発音制御部113に対して発音制御に必要な情報を出力する。
【0018】
発音制御部113は、第2表示制御部112から取得した情報が示す発音データを記憶部120から取得する。発音制御部113は、発音部150を制御して、取得した発音データの示す音を発音部150に発音させる。
【0019】
[発音制御機能における表示画面構成]
図3は、発音制御装置10が備える表示画面141の表示例を説明する図である。表示画面141には、放射状シーケンサ画像20、操作ボタン画像群30および発音データ画像群40が表示されている。発音データ画像群40は、表示画面141の左右方向に並んで表示される複数の発音データ画像によって構成される。本実施形態においては、発音データ画像群40は、発音データ画像400A,400B,400C・・・,400P(以下、区別しない場合は「発音データ画像400」という。)で構成されている。発音データ画像400A,400B,400C・・・,400Pは、それぞれ発音データA,B,C・・・,Pと対応している。
【0020】
放射状シーケンサ画像20は、中心点201から特定の範囲に放射状に広がる領域(以下「放射領域」という。)で構成される。特定の範囲とは、中心点201から放射方向D1に沿った特定の距離の範囲と、中心点201を中心とした特定の角度の範囲である。ここにおいて、放射方向とは、一点を中心に四方八方に広がり出る方向のことであり、放射状とは、一点を中心に四方八方に広がり出た形状のことである。図3の例では、放射領域210A,210B,210C,210D,210E(以下、区別しない場合は「放射領域210」という。)が表示されている。放射領域210の範囲は、互いに重複しない。放射領域210A,210B,210C,210D,210Eは、中心点201側にそれぞれ開始線221A,221B,221C,221D,221E(以下、区別しない場合は「開始線221」という。)を、開始線221の反対側にそれぞれ終了線222A,222B,222C,222D,222E(以下、区別しない場合は「終了線222」という。)を有する。図3の例では、放射領域210における放射方向D1に沿った特定の距離とは、開始線221から終了線222までの放射方向D1に沿った距離である。
【0021】
放射領域210は、周方向D2に沿った拍線202によって拍領域に分割されている。図3の例では、放射領域210Dは6つの拍領域、それ以外の放射領域210は4つの拍領域に分割されている。なお、拍線202および拍領域は、これに限らず、設定によって数が変更される。ここで、放射領域210は、放射方向D1に沿った位置に対応して経過する時間が各々設定されているものとする(以下、この設定されている内容を「時間設定」という。)。拍線202は、等間隔で配置され、等しい時間間隔で訪れる基本的なリズムである拍節を示している。拍領域は、放射方向D1に沿った距離が拍の長さを示している。また、開始線221から終了線222までの放射方向D1に沿った距離は、周期的に繰り返される拍子を示している。すなわち、開始線221は拍子の開始する位置を、終了線222は拍子の終了する位置を示している。放射領域210は、表示する画像の形状や大きさを示す設定データに基づいて第1表示制御部111により表示される。この設定データとは、具体的には、放射領域210における、放射方向D1に沿った距離と周方向D2の角度と拍領域の数とを放射領域毎に示すデータである。
【0022】
発音データ画像400は、放射領域210に表示されている。図3の例では、例えば、発音データ画像400D、400Aがそれぞれ放射領域210Aにおける開始線221Aから2番目、4番目の拍領域に表示されている。発音データ画像400は、対応する発音データの発音されるタイミングを表示されている位置によって示している。例えば、放射領域210Aにおいては、発音データDが拍子の開始から2拍目、発音データAが拍子の開始から4拍目に発音されることを示している。他の放射領域210においても、各々に表示されている発音データ画像400が、対応する発音データの発音されるタイミングを表示されている位置によって示している。このように、放射領域210Aおよび発音データ画像400は、ひとつの曲を示している。
【0023】
放射領域210上には、周方向D2に沿った弧状の位置指定画像が表示されている。図3の例では、放射領域210A,210B,210C,210D,210E上には、それぞれ位置指定画像230A,230B,230C,230D,230E(以下、区別しない場合は「位置指定画像230」という。)が表示されている。位置指定画像230は、放射領域210の周方向D2に沿って一方の端部から他方の端部まで表示されている。隣り合う放射領域210における位置指定画像230の開始線221からの距離が異なる場合は、各位置指定画像230の近い側の端部同士を結ぶ線分状の画像が表示される。図3の例では、位置指定画像230Dと位置指定画像230C、230Eとの間で線分状の画像が表示されている。
【0024】
位置指定画像230は、時間情報に対応する時間の経過に伴い開始線221から終了線222まで順次位置を変えながら表示される。位置指定画像230は、表示される位置に応じた形状で表示されている。具体的には、位置指定画像230は、開始線221から終了線222にかけて弧の長さが長くなるように表示されていく。位置指定画像230は、終了線222まで到達すると、再び開始線221に戻って表示される。位置指定画像230は、利用者によって見かけ上表示画面141上を移動しているように認識される。以下、説明の便宜上、「位置指定画像230が移動している」と表現する。
【0025】
位置指定画像230は、放射領域210ごとにそれぞれ一定の速さで移動する。位置指定画像230の移動の速さは、設定データに設定された発音する曲のテンポ、放射領域210の有する拍領域の数および開始線221から終了線222までの放射方向D1に沿った距離に応じて設定される。例えば、テンポがBPM(Beat Per Minute)=120と設定された場合、位置指定画像230は、1分間に120の拍領域を通過する速さで移動する。拍領域の放射方向D1に沿った距離は、開始線221から終了線222までの放射方向D1に沿った距離と放射領域210の有する拍領域の数とによって決まる。図3の例では、各放射領域210における位置指定画像230は、同時に開始線221から移動を開始している。また、位置指定画像230A,230B,230C,230Eは同じ速さで移動している。これに対して、位置指定画像230Dは、他の位置指定画像230が1拍移動する間に2拍移動する速さで移動している。このとき、第2表示制御部112は、放射領域210における放射方向D1に沿った位置を、経過する時間と放射領域210の時間設定とに応じて順次特定し、特定した位置に応じた位置指定画像230を放射領域210に表示させる。
【0026】
位置指定画像230と発音データ画像400とが接触すると、発音部150は、発音データ画像400に対応する発音データの音を発音する。なお、この音は、位置指定画像230と発音データ画像400とが重なる期間のいずれかのタイミングで発音されるようにしてもよい。この例における場合には、利用者は、位置指定画像230が発音データ画像400に接触した瞬間に対応する発音データが発音されるように認識することができる。
【0027】
操作ボタン画像群30は、再生ボタン画像301、停止ボタン画像302、録音ボタン画像303、削除ボタン画像304、分割ボタン画像305および変更ボタン画像306によって構成される。第1表示制御部111、第2表示制御部112および発音制御部113は、これらのボタン画像が利用者の操作により選択される(以下、単に「選択される」という。)と、選択されたボタン画像に応じて動作する。再生ボタン画像301が選択されると、第2表示制御部112は、位置指定画像230を表示させる。発音制御部113は、第2表示制御部112から入力される情報によって示される音を発音させる。停止ボタン画像302が選択されると、第2表示制御部112は、位置指定画像230の表示と情報の出力とを停止する。また、発音制御部113は、発音部150に発音させる動作を停止する。このように、再生ボタン画像301が選択されると、発音データの再生が開始され、停止ボタン画像302が選択されると、発音データの再生が停止する。
【0028】
録音ボタン画像303が選択されると、第2表示制御部112は、選択されている放射領域210に位置指定画像230を表示させる。この状態で操作により発音データ画像群40から発音データ画像400が選択されると、第1表示制御部111は、選択された発音データ画像400を位置指定画像230の表示されている位置に表示させる。この状態は、停止ボタン画像302が選択されることによって終了する。削除ボタン画像304が選択されると、第1表示制御部111は、続けて選択された発音データ画像400または放射領域210の表示を終了させる。
【0029】
分割ボタン画像305が選択されると、第1表示制御部111は、続けて選択された放射領域210を放射方向D1に沿って伸びる直線で2つの放射領域210に分割して表示させる。変更ボタン画像306が選択されると、第1表示制御部111は、続けて選択された放射領域210に対する設定データの変更用ポップアップ画面を表示させる。第1表示制御部111は、操作によりこのポップアップ画面上で入力された情報に基づき、設定データを変更する。第1表示制御部111は、変更された設定データに基づき、放射領域210を表示する。
以上が、発音制御機能を実現する各構成についての説明である。次に、上述した表示制御部111によって表示画面141に表示される内容の例を説明する。
【0030】
[発音制御機能における表示例]
図4、図5、図6、図7は、発音制御機能における表示画面141の第1、第2、第3、第4の表示例を説明する図である。まず、発音制御機能を開始すると、第1表示制御部111は、表示画面141に図4に示す内容の表示を行う。第1表示制御部111は、放射領域210、操作ボタン画像群30および発音データ画像群40を表示画面141に表示させる。第1表示制御部111は、設定データに基づいて、放射領域210および拍線202を表示させる。図4の例では、第1表示制御部111は、図3の例と同じ放射領域210および拍線202を表示させている。
【0031】
図4の状態から、放射領域210Aに2つの発音データ画像400を反映させると図5の表示となる。利用者は、操作により発音データ画像400のいずれかを選択し、続けて放射領域210A上の特定の位置を指定する。第1表示制御部111は、選択された発音データ画像400を、指定された位置に表示させる。図5の例では、利用者は、発音データ画像400D,400Aを選択して、続けてそれぞれ放射領域210Aの開始線221Aから2番目の拍領域、4番目の拍領域を指定した。第1表示制御部111は、これらの拍領域にそれぞれ発音データ画像400D,400Aを表示させる。
【0032】
この状態で、利用者が操作により再生ボタン画像301を選択して曲の再生を指示すると、第2表示制御部112は、時間の経過に伴って位置指定画像230Aを移動させて表示する。発音制御部113は、第2表示制御部112から入力される情報によって示される音を発音させる。利用者は、再生される発音データの音を聞きながら、発音データ画像400の追加、削除または位置の変更等により放射領域210Aおよび発音データ画像400によって示される曲を編集する。
【0033】
図5の状態から、操作により放射領域210B,210C,210D,210Eのそれぞれに、発音データ画像400および位置指定画像230を表示させると図6の表示となる。利用者は、操作により選択した発音データ画像400に続けて放射領域210B,210C,210D,210Eの位置を指定する。第1表示制御部111は、指定されたそれぞれの位置に選択された発音データ画像400を表示させる。利用者が操作により曲の再生を指示すると、第2表示制御部112は、位置指定画像230を移動させて表示する。このとき、第2表示制御部112は、位置指定画像230を、例えば、開始線221または最後に再生が停止されたときに位置指定画像230の表示されていた位置に表示し、時間の経過に伴って位置指定画像230を移動させる。発音制御部113は、位置指定画像230の表示されている位置と発音データ画像400の表示位置との関係、および発音データ画像400に対応する発音データに基づいて発音させる。
【0034】
利用者は、操作により放射領域210上に表示されている発音データ画像400を選択し、表示されている位置とは異なる位置を指定する。第1表示制御部111は、選択された発音データ画像400を、操作により指定された位置に表示させる。図6の例では、第1表示制御部111は、利用者の操作により、放射領域210上に表示されている発音データ画像400Dを、破線で示した元の位置から放射領域210A内の異なる位置に変更して表示させている。なお、第1表示制御部111は、発音データ画像400を表示させる位置を、異なる放射領域210上に変更してもよい。これにより、利用者は、発音データ画像400を表示させる位置を自由に変更させながら曲を編集することができる。
【0035】
図6の状態から、放射領域210を削除、分割および変更すると図7の状態となる。利用者は、図6の状態から、操作により放射領域210Bを選択した状態で削除ボタン画像304を選択する。第1表示制御部111は、選択された放射領域210Bの表示を終了させる。利用者は、操作により放射領域210Cを選択した状態で分割ボタン画像305を選択する。第1表示制御部111は、選択された放射領域210Cを放射領域210F、210Gに分割して表示させる。利用者は、操作により放射領域210Gを選択した状態で変更ボタン画像306を選択する。利用者は、操作により放射領域210Gの表示に関する設定データを変更する。第1表示制御部111は、操作により変更された設定データ(この例では、放射領域の放射方向D1に沿った距離および拍領域の数)に基づき、放射領域210Gを表示する。図7の例では、第1表示制御部111は、放射領域210Fに比べて放射方向D1に沿って4分の5倍の距離を有し、拍領域の数を5つに変更した放射領域210Gを表示させている。
【0036】
利用者は、操作により放射領域210Eを選択した状態で変更ボタン画像306を選択する。利用者は、操作により放射領域210Eの表示に関する設定データを変更する。第1表示制御部111は、操作により変更された設定データに基づき、放射領域210Eを表示する。図7の例では、第1表示制御部111は、放射領域210Eと放射方向D1に沿って同じ距離を有し、拍領域の数を5つに変更した放射領域210Eを表示させている。
【0037】
利用者は、操作により、再生ボタン画像301を選択する。第2表示制御部112は、位置指定画像230を各放射領域210に表示させる。図7の例では、位置指定画像230は、同時に開始線221から移動を開始している。第2表示制御部112は、放射領域210の表示されていない領域においては、開始線221の表示される円周上に位置指定画像230を表示させる。第2表示制御部112は、放射領域210A,210C1,210C2,210E上においては、同じ経過時間における通過する拍線202の数が同じとなるように位置指定画像230を表示させる。第2表示制御部112は、放射領域210Dにおいては、他の位置指定画像230が1つの拍線202を通過する間に2つの拍線202を通過するように位置指定画像230を表示させる。
【0038】
以上のとおり各部が動作することで、利用者は、複数の放射領域210における拍子とテンポと位置指定画像230の見かけ上の速さとを自由に変化させながら曲を編集することができる。このとき、利用者は、異なる放射領域210に配置されている発音データ画像400同士であっても、各発音データ画像400と中心点201との距離によって各々の発音タイミングの間隔を視覚的に認識しやすい。このため、利用者は、発音タイミングを変化させながら複数の曲を繰り返し発音させる場合にも、発音データ同士の発音タイミングの間隔を好適に調整しながらループ曲を作成することができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は他の形態でも実施可能である。
<変形例1>
発音制御部113は、発音データ画像400が配置されている放射領域210における周方向D2に沿った位置に応じて、発音データ画像に設定された発音内容を変化させて発音させてもよい。例えば、発音制御部113は、この周方向D2に沿った位置が放射領域210のいずれかの端部に近いほど音が小さく、遠いほど音が大きくなるように制御するといった具合である。また、発音制御部113は、この周方向D2に沿った位置に応じて、音の高さ、音色、発音される時間またはエフェクトのかかり具合等を変化させて音を発音させてもよい。
【0040】
図8は、変形例1に係る放射状シーケンサ画像20を説明する図である。第1表示制御部111は、放射領域210H,210J,210K,210Lを表示させている。第1表示制御部111は、放射領域210J上の開始線221Jからそれぞれ3、3、4番目の拍領域に発音データ画像400H,400N,400Mを配置して表示させている。ここで、発音データ画像400H,400N,400Mの中心と中心点201を通る直線をそれぞれ直線L1,L2,L5とする。また、放射領域210Jの周方向D2における端部と中心点201を通る直線をそれぞれL3,L4とする。図8の例では、直線L5は、放射領域210Jの周方向D2における中心を通る直線である。また、直線L1,L2,L3,L4は、直線L5とそれぞれ角度A1,A2,A3,A4をなしている。
【0041】
この場合、発音制御部113は、放射領域210の端部から最も離れた位置に配置されている発音データ画像400Mに対応する音については、あらかじめ設定された基準となる音量で発音させる。また、発音制御部113は、発音データ画像400Hに対応する音については、角度A3に対する角度A1の大きさの割合だけ基準となる音量よりも小さな音で発音させる。例えば、角度A1,A3がそれぞれ20度、45度であれば、発音制御部113は、発音データ画像400Mに対応する音の大きさに対して、発音データ画像400Hに対応する音を45分の(45−20)の大きさで発音させるといった具合である。同様に、角度A2,A4がそれぞれ40度、45度であれば、発音制御部113は、発音データ画像400Mに対応する音の大きさに対して、発音データ画像400Nに対応する音を45分の(45−40)の大きさで発音させる。なお、発音制御部113は、この割合をそのまま用いるだけでなく、あらかじめ決められた係数を乗じて用いてもよい。また、この例では、直線L3,L4上に中心が来るように配置されている発音データ画像400に対応する音の大きさが0となるが、これには限らない。例えば、発音制御部113は、この場合に音の大きさが発音データ画像400Mの半分の大きさなど、あらかじめ定められた割合になるように発音させてもよい。
【0042】
<変形例2>
上述した変形例1では、発音制御部113は、発音データ画像の周方向D2に沿った位置に応じて発音させる音を変化させたが、さらに隣接する放射領域210に設定されている発音効果に関する内容に応じて、発音データ画像に設定された発音内容を変化させてもよい。発音効果に関する内容とは、例えば、音の高さ、音色、音量、発音される時間またはエフェクトのかかり具合等である。この場合、第1表示制御部111は、発音タイミングを示す画像(以下「発音タイミング画像」という。)を配置して表示する。本変形例においては、発音タイミング画像が、本発明における「発音画像」に相当する。そして、発音制御部113は、発音タイミング画像の配置される位置と、隣接する放射領域210に設定されている発音効果に関する内容とに応じて音を発音させる。すなわち、発音タイミング画像は、配置される位置に応じた音を発音させるための画像である。
【0043】
例えば、放射領域210ごとに基準となる音色(以下「基準音色」という。)が設定されていて、発音タイミング画像の配置される位置が放射領域210の周方向D2における中央に近いほど、発音制御部113は、基準音色に近い音を発音させるといった具合である。また、発音タイミング画像の配置される位置が放射領域210の周方向D2における端部に近づくと、発音制御部113は、放射領域210の基準音色とその端部側に隣接する放射領域210の基準音色とを合成した音を発音させる。この場合、発音タイミング画像の配置されている位置と両放射領域210の中央との周方向D2に沿った距離の比率によって、発音制御部113は、両基準音色を合成する割合を決めてもよい。
【0044】
図9は、変形例2に係る放射状シーケンサ画像20を説明する図である。第1表示制御部111は、放射領域210H,210J,210K,210Lおよびそれぞれの周方向D2における中央と中心点201とを通る直線LH,LJ,LK,LLを表示させている。第1表示制御部111は、放射領域210J上に発音タイミング画像430A,430B,430Cを配置して表示させている。ここで、発音タイミング画像430A,430B,430Cの中心と中心点201とを通る直線をそれぞれ直線L1,L2,L3とする。直線L1は、直線LJと重なって表示されている。直線L3は、放射領域210Jと放射領域210Hとの境界線と重なって表示されている。また、直線LHおよびL2は角度A1、直線L2およびLJは角度A2をなすものとする。
【0045】
発音制御部113は、発音タイミング画像430Aと位置指定画像230とが重なって表示されると、放射領域210Jの基準音色を発音させる。発音制御部113は、発音タイミング画像430Bと位置指定画像230とが重なって表示されると、放射領域210Jの基準音色と放射領域210Hの基準音色とを、角度A2および角度A1の大きさの割合で合成した音を発音させる。発音制御部113は、発音タイミング画像430Cと位置指定画像230とが重なって表示されると、放射領域210Jの基準音色と放射領域210Hの基準音色とを1対1の割合で合成した音を発音させる。
【0046】
<変形例3>
第1表示制御部111は、放射領域210上に表示される発音データ画像400の特徴または表示される位置の特徴等に応じて自動的に放射領域210の周方向D2に沿った幅、放射方向D1に沿った距離または色等を決めて表示させてもよい。例えば、第1表示制御部111は、発音データ画像400が多く表示されている放射領域210ほど周方向D2に沿った幅を大きくして表示するといった具合である。また、第1表示制御部111は、発音される音の高さの平均が高いほど赤く、低いほど青く放射領域210を表示させてもよい。このように、第1表示制御部111が放射領域210を変化させて表示させることで、利用者は、放射領域210の大きさ、形状または色等を比較することで、各放射領域210の示す曲同士の関係を把握することができる。なお、放射領域210の表示を変化させる条件は、テンポ、拍子、音色、平均音量などであってもよい。
【0047】
<変形例4>
上述した実施形態においては、発音データ画像400は、対応する音の波形データを有していたが、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)等の音の特徴量を数値化した特徴量データを有してもよい。この場合、制御部110は、この特徴量データを音の波形データに変換してから発音部150に対して発音するように制御する。なお、制御部110は、インターフェース160経由で接続する外部装置に特徴量データの波形データへの変換をさせるよう制御してから発音部150に発音させてもよい。
【0048】
<変形例5>
上述した実施形態においては、利用者は、放射状シーケンサ画像20上に直接発音データ画像400を表示させながら曲の作成および編集をしたが、これとは異なるシーケンサ画像を用いて曲の作成および編集をしてもよい。例えば、矩形状の拍領域が直線状に並んだ画像(以下「直線状シーケンサ画像」という。)である。この場合、第1表示制御部111は、操作により、直線状シーケンサ画像上に発音データ画像400を表示させる。第1表示制御部111は、操作により、直線状シーケンサ画像に表わされる曲に対応する放射領域210および発音データ画像400を、放射状シーケンサ画像20上に表示させる。
【0049】
第1表示制御部111は、直線状シーケンサ画像を放射状シーケンサ画像20とは異なる領域に表示させてもよいし、同じ領域に表示させてもよい。また、第1表示制御部111は、操作により、放射状シーケンサ画像20および直線状シーケンサ画像を交互に表示させてもよい。第1表示制御部111は、放射状シーケンサ画像20および直線状シーケンサ画像を重ねて表示させてもよい。この場合、第1表示制御部111は、操作するほうのシーケンサ画像を手前に濃い色合いで表示させ、操作しないほうのシーケンサを後に薄い色合いで表示させてもよい。これにより、利用者は、操作するシーケンサ画像を視認しやすくなる。
【0050】
<変形例6>
第2表示制御部112は、放射領域210ごとに放射方向D1に沿った位置として特定した位置から中心点201までの距離が、複数の放射領域210において特定の関係となったときに位置指定画像230の表示の態様を変化させてもよい。例えば、全てまたは複数の放射領域210の位置指定画像230と中心点201との距離が同じとなったときに、位置指定画像230を表示する色や太さを変化させるといった具合である。これにより、利用者は、位置指定画像230が円周上に並ぶなどの特定のタイミングを認識しやすくなる。
【0051】
<変形例7>
上述した実施形態における発音制御プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、発音制御装置10は、発音制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
【0052】
<変形例8>
上述した変形例2において、第1表示制御部111は、発音タイミング画像の代わりに発音データ画像を表示させてもよい。例えば、発音制御部113は、発音データ画像の表示される位置、隣接する放射領域210に設定されている発音に関する内容および発音データ画像に対応する発音データに応じて音を発音させるといった具合である。この場合、放射領域に設定された発音に関する内容は、発音データ画像に対応する発音データで規定される内容以外となる。例えば、設定される内容は、音量、発音される時間またはエフェクトのかかり具合等である。
【0053】
<変形例9>
第1表示制御部110は、発音データ画像400を表示させる際、クオンタイズ処理を行ってもよい。例えば、第1表示制御部111は、指定された位置に近い開始線221、終了線222または拍線202に端部が接するように発音データ画像400を表示させるといった具合である。また、第1表示制御部111は、開始線221、終了線222または拍線202が発音データ画像400の中心を通るように表示してもよい。これらに限らず、第1表示制御部111は、拍における所定のタイミングに発音がされるように、発音データ画像400を表示させればよい。第1表示制御部110がこのように発音データ画像400を表示することで、利用者は、発音データ画像400を拍における所定のタイミングに表示させることが容易になる。
【0054】
また、第1表示制御部111は、位置を指定する操作が終了した後、指定された位置から表示させる位置まで発音データ画像400を移動させながら表示してもよい。第1表示制御部110がこのように発音データ画像400を表示することで、利用者は、表示させた発音データ画像400の表示されている位置を容易に把握することができる。
【0055】
<変形例10>
第1表示制御部110は、放射領域210を重ねて表示させてもよい。この場合、第1表示制御部110は、放射領域210が重なっている領域を他の領域とは色を変えて表示させるのが望ましい。このように第1表示制御部110が放射領域210を表示させることで、利用者は、放射領域210が重なっている領域を認識しやすくなる。また、発音制御部113は、放射領域210が重なっている領域における発音データ画像に対応する音を変化させて発音させてもよい。
【0056】
<変形例11>
第2表示制御部112は、上述した実施形態では、開始線221(内側)から終了線222(外側)に向けて時間の経過に伴い移動しているように位置指定画像230を表示させたが、終了線222(外側)から開始線221(内側)に向けて時間の経過に伴い移動しているように位置指定画像230を表示させてもよい。
【0057】
<変形例12>
第2表示制御部112は、上述した実施形態では、生成した時間情報基づき経過する時間に応じて順次特定した位置に位置指定画像230を表示させたが、特定した位置が開始線221、終了線222又は拍線202の位置と一致した場合のみ位置指定画像230を表示させてもよい。この場合、位置指定画像230は、これらの線の位置を非連続的に移動しているように利用者によって認識される。
【0058】
<変形例13>
上述した実施形態では、操作部130におけるタッチセンサは、表示画面141の表面部分に設けられていたが、これとは別の部分に設けられ、タッチパッドとして構成されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…発音制御装置、20…放射状シーケンサ画像、30…操作ボタン画像群、40…発音データ画像群、110…制御部、120…記憶部、130…操作部、140…表示部、141…表示画面、150…発音部、160…インターフェース、201…中心点、202…拍線、210…放射領域、221…開始線、222…終了線、230…位置指定画像、301…再生ボタン画像、302…停止ボタン画像、303…録音ボタン画像、304…削除ボタン画像、305…分割ボタン画像、306…変更ボタン画像、400…発音データ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の位置から特定の範囲に放射状に広がる複数の放射領域であって、放射方向に沿った位置に対応して経過する時間が各々設定される放射領域に、発音内容が設定された発音画像を表示させる第1表示制御手段と、
前記放射領域における前記放射方向に沿った位置を、経過する時間と当該放射領域の設定とに応じて順次特定し、当該特定した位置に応じた位置指定画像を当該放射領域に表示させる第2表示制御手段と、
前記第2表示制御手段によって特定された位置と、前記発音画像の表示されている位置とに応じて発音手段から発音させる内容を制御する発音制御手段と
を具備することを特徴とする発音制御装置。
【請求項2】
前記発音制御手段は、前記放射領域において前記発音画像が配置されている周方向に沿った位置に応じて、当該発音画像に設定された発音内容を変化させる
ことを特徴とする請求項1に記載の発音制御装置。
【請求項3】
前記放射領域の各々には、発音効果に関する内容が設定され、
前記発音制御手段は、さらに前記発音画像が配置されている放射領域に隣接する前記放射領域に設定された発音効果に関する内容に応じて、当該発音画像に設定された発音内容を変化させる
ことを特徴とする請求項2に記載の発音制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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