説明

白蔘パウダーを含む化粧品組成物

本発明は、白蔘パウダーを含む化粧品組成物に関するもので、白蔘パウダーを含む化粧品を皮膚に塗布した場合、皮膚の血行を促進させ、優れた皮膚スクラブ効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高麗人蔘(Panax ginseng CA Meyer)は、五加皮科高麗人蔘属に属する植物で、韓国、中国、日本等において2000年以上前から使われてきた生薬で、経験的に、疾病を予防し、寿命を延ばす目的で使用されてきた。これまでに知られている高麗人蔘の効能と効果としては、抗癌作用、免疫機能調節作用、抗糖尿作用、肝機能亢進作用、心血管障害改善、抗動脈硬化作用、血圧調節作用、更年期障害改善、抗ストレス及び抗疲労作用、抗酸化活性、並びに老化抑制作用等がある(最新高麗人蔘「成分及び効能編」、韓国人蔘煙草研究院、56−112、1996)。
【0003】
また、高麗人蔘は、老化、酸化的ストレスによって損傷した皮膚を回復させ、皮膚の血行を促進して皮膚に十分な栄養と酸素を供給し、保湿効果も比較的良好であるものと知られており、化粧品の成分として利用されてきた。特に、これまでは、高麗人蔘抽出物を乾燥した後、粉末化して使用する場合が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0637924号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−0361433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、天然の白蔘構造体自体を含ませることにより、皮膚のスクラブ効果が高く、皮膚の血行を促進させ、徐放性を有する化粧品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、白蔘の粉砕物である白蔘パウダーを含む化粧品組成物を提供することである。本発明の他の一側面は、150μm〜450μmの粒度を有する白蔘パウダーを含む化粧品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一側面による白蔘パウダーを含む化粧品組成物は、天然の白蔘自体をパウダー化したものであって、セルロース等が含まれていてスクラブ効果があり、高麗人蔘固有の香りも従来の抽出物より長く維持することができ、かつ、皮膚の血行を促進させて活力をも回復させることができる。また、時間が経過した後も効果が持続する徐放性製剤として作用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】5重量%の白蔘パウダーを含む剤型を塗布した場合とこれを含まない剤型を塗布した場合、それぞれにおける剤型の使用前と使用1回目後及び5回目後とを対比して、顔面部の血行の変化を示したグラフである。
【図2】5重量%の白蔘パウダーを含む剤型を塗布した場合とこれを含まない剤型を塗布した場合、それぞれにおける剤型の使用前と使用1回目後及び5回目後とのIR撮影の結果である。
【図3】5重量%の白蔘パウダーを含む剤型を塗布した場合とこれを含まない剤型を塗布した場合、それぞれにおける剤型の使用前と使用1回目後及び5回目後とを対比して、顔面部の角質量の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一側面は、白蔘の粉砕物である白蔘パウダーを有効成分として含む化粧品組成物を提供する。
【0010】
本発明者らは、従来からの高麗人蔘抽出物の特性を生かしつつ、皮膚への応用性を広げるための研究を進めてきた。その結果、高麗人蔘抽出成分の母体とも言える白蔘自体を化粧品に取り込むと、皮膚におけるスクラブ効果を高め、皮膚の血行を促進することを見出した。さらに、高麗人蔘の外皮が除去された白蔘を用いた白蔘パウダーを化粧品に取り込むことにより、高麗人蔘の有効成分が徐々に持続的にゆっくりと放出される徐放性製剤が可能であることを見出した。また、本発明の一側面に係る化粧品組成物は、従来の人工的方法による高分子マイクロカプセル及びナノカプセル化のため、放出製剤が有していた有効成分組成物の安全性及び安定化の問題を解決することができる。
【0011】
本明細書において「白蔘」とは、水蔘(生の高麗人参)を原料として、皮を軽く剥ぎ、煮沸せず生のまま干して乾燥させたもので、水分含量が14%以下になるように加工した高麗人蔘を言う。色は、微黄色ないし白色を帯びている。2年以下の白蔘は有効成分含量が多少劣り、また7年以上栽培した場合には経済性が減少するので、3年物〜6年物の根が好ましく、4年物の白蔘が最も好ましい。
【0012】
本発明の一側面において、前記白蔘パウダーは、150μm〜450μmの粒度を有することができる。それ以上であれば異物感が感じられて使い心地が低下し、それ以下だとスクラブ効果が十分でないためである。
【0013】
本発明の一側面において、前記白蔘パウダーは、組成物全体の総重量に対して0.1重量%〜20重量%含めることができる。0.1重量%未満であると本発明が意図する効果が微々たるものとなり、20重量%以上だと組成物の安定性が低下するためである。
【0014】
本発明の一側面は、白蔘パウダーを有効成分として含む化粧品組成物を提供する。前記化粧品組成物は、化粧品学又は皮膚科学的に許容可能な媒質又は基剤を含む。これは、局所適用に適するあらゆる剤型、たとえば、溶液、ゲル、固体、無水ペースト、水中油滴型(O/W型)エマルジョン、油中水滴型(W/O型)エマルジョン、マルチエマルジョン、懸濁液、マイクロエマルジョン、マイクロカプセル、イオン型(リポソーム)及び非イオン型小嚢分散剤、泡沫(foam)又はパッチ形態としても使用することができる。これらの組成物は、当該分野における通常の方法によって製造することができる。
【0015】
前記化粧品組成物は、前記物質以外に、主効果を損なわない範囲内において、好ましくは、主効果に相乗効果を与え得る他の成分を含有してもよく、本発明の有効成分以外に、他の成分を、その他化粧品組成物の剤型又は使用目的に応じて、当業者が困難なく適宜選定して配合することができる。
【0016】
たとえば、前記化粧品組成物は、その効果を増加させるために皮膚吸収促進物質を含有することができる。また、本発明の化粧品組成物は、水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、高分子ペプチド、高分子多糖、スフィンゴ脂質及び海藻エキスからなる群より選択された物質を含むことができる。また、本発明の化粧品組成物は、前記有効成分とともに、必要に応じて、通常の化粧品組成物に配合される他の成分を含むことができ、その例として、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水等を挙げることができる。前記化粧品組成物に含まれ得るその他の配合成分は、これらに限定されるものではなく、また、前記成分の配合量は、本発明の目的及び効果を損なわない範囲内において可能である。
【0017】
前記化粧品組成物は、剤型は特に限定されず、目的とするところに応じて剤型を適切に選ぶことができる。たとえば、トナー、エマルジョン、エッセンス、クレンジングクリーム、マッサージクリーム又は栄養クリームを含む各種クリーム、メークアップベース、パウダー、ツインケーキ、ファンデーション又はBBクリームを含むベースメークアップ製品、アイメイク又はリップメイク等のためのポイントメークアップ製品、及びパック等より選択される一又は複数の剤型に製造することができるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
以下、製造例、実施例及び試験例を挙げて、本発明の構成及び効果について、より具体的に説明する。しかし、これら製造例、実施例及び試験例は、本発明の理解を助けるために例示の目的のみに提供されたものであるに過ぎず、本発明のカテゴリ及び範囲が下記製造例、実施例及び試験例によって制限されるものではない。
【0019】
[製造例1]白蔘パウダーの製造
乾燥した4年物の白蔘根を用いて粉砕を施した。使用された粉砕機は、粉砕効率に優れるpin millを利用した。Pin millの回転速度を4000rpm〜6000rpmに維持し、一次粉砕物を450μmの目開きを有する篩(sieve)(40メッシュ)に通過させた。これを通過した白蔘パウダーをさらに150μmの目開きを有する篩(100メッシュ)に通過させた。このとき、150μmよりも小さい白蔘パウダーは、100メッシュの篩を通過することになる。本発明に適する白蔘パウダーは、100メッシュを通過できない大きさを有するものである。すなわち、本実施例の白蔘パウダーは、150μm〜450μmの粒度を有することになる。
[比較製造例1]
前記製造例1において450μmを通過できなかった白蔘パウダーを回収した。
[比較製造例2]
前記製造例1において150μmを通過した白蔘パウダーを回収した。
[実施例1]白蔘パウダーを含む剤型の製造
製造例1において製造された白蔘パウダー及び他の成分を、以下の表1の重量比で混和して剤型化した。
[比較実施例1]
比較製造例1において回収した白蔘パウダー及び他の成分を、表1の重量比で混和して剤型化した。
[比較実施例2]
比較製造例2において回収した白蔘パウダー及び他の成分を、表1の重量比で混和して剤型化した。
【0020】
【表1】

[試験例1]白蔘パウダーの粒度による剤形におけるスクラブ官能評価比較
実施例1と比較実施例1、2において製造された白蔘パウダー5重量%を含む剤型を使用して、顔面におけるスクラブ効果を比較した。
【0021】
20代〜30代の女性20人を対象に官能評価を7点尺度で実施し、その結果を下記表2に示した。表2において、実施例1は白蔘パウダーの粒度が150μm〜450μmのもの、比較実施例1は白蔘パウダーの粒度が450μm以上のもの、比較実施例2は白蔘パウダーの粒度が150μm以下のものである。また、パック時の使い心地を1、3、5、7点で点数を付けさせた。点数が高いほど使い心地が優れていることを意味する。
【0022】
【表2】

表2から分かるように、実施例1がパック時の使い心地に最も優れているため、本発明は、異物感のないスクラブ効果を示すためには150〜450μmの粒度を有する白蔘パウダーが適していることが分かる。
[試験例2]血行促進効能評価
白蔘パウダーの血行促進効能を試験するために、被験者20人を2つのグループに分けた後、白蔘パウダーを含まない剤型を対照群として試験を行った。試験群の場合、実施例1の剤型を皮膚に塗布した。図1は、対照群と試験群それぞれの、剤型使用前と使用1回目後及び5回目後とを対比して、顔面部の血行変化を示したグラフである。そして、使用前と使用1回目の後及び5回目の後、IRカメラを用いて皮膚の温度変化を測定した。図2は、白蔘パウダーを含む剤型と含まない剤型を塗布した場合の皮膚温度をIRカメラで撮影した結果である。
【0023】
図1及び図2から分かるように、白蔘パウダーを含まない剤型を塗布した場合に比べ、白蔘パウダーを含む剤型を塗布した場合において、額、頬、あご等、顔全体的に皮膚の血行変化及び皮膚の温度上昇幅が大きかった。図2のIR撮影写真は、被験者の皮膚温度が高い部分ほど明るく表示されるのであるが、白蔘パウダーを含む剤型を塗布した場合の方が、含まない剤型を塗布した場合に比べて明るい部分が広く(特に、5回使用後において)表示され、顔全体的に皮膚温度が高くなったことが分かる。すなわち、使用前と対比して、1回使用後及び5回使用後の皮膚温度の変化を分析した結果、白蔘パウダーを含む群は、対照群に比べ、顔全体において皮膚温度が有意に上昇した。結果的に、本発明の白蔘パウダーを含む剤型は、皮膚の血行を促進させて皮膚の温度が上昇することと思料する。
[試験例3]顔面部の角質量減少効能評価
白蔘パウダーによる顔面部の角質量減少効能を試みるために、被験者20人を2つのグループに分けた後、白蔘パウダーを含まない剤型を対照群にして試験を行った。試験群の方は、実施例1の剤型を皮膚に塗布した。
【0024】
図3から分かるように、対照群に対しての、白蔘パウダーを含むマッサージゲルの優れた角質減少効能を、5回使用後の結果から明かに確認することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白蔘の粉砕物である白蔘パウダーを有効成分として含む化粧品組成物。
【請求項2】
前記白蔘パウダーは、150μm〜450μmの粒度を有することを特徴とする、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記白蔘は、3年物〜6年物の白蔘根であることを特徴とする、請求項1記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記白蔘パウダーは、組成物全体の総重量に対して0.1重量%〜20重量%含まれることを特徴とする、請求項1記載の化粧品組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524776(P2012−524776A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507143(P2012−507143)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【国際出願番号】PCT/KR2010/002442
【国際公開番号】WO2010/123246
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(506213681)株式会社アモーレパシフィック (24)
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】181,2−ga,Hangang−ro,Yongsan−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】