説明

白血球活性化ペプチド

【課題】標的細胞でのアラキドン酸の放出を活性化するペプチド、また、細胞内のカルシウム放出を誘導するペプチドを提供する。
【解決手段】好中球−類似分化HL60(dHL60)細胞でアラキドン酸放出に関与する24個のペプチドを同定し、これらペプチドはヒトの食細胞で化学走性物質として作用する。いくつかのペプチドはFPRL1(formyl peptide receptor like 1)に結合される。これらペプチドのうちのいくつかは、HL60細胞で発現される他の受容体に結合する。また、各々のペプチドは、共有された別個の細胞内信号伝達(intracellular signaling pathway)を活性化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的細胞活性化(stimulating)ペプチド、その製造方法、及び前記標的細胞活性化ペプチドを化学走性物質(chemoattractant)として用いる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
好中球(Neutrophils)は、自然(innate)免疫反応で重要な役割を果たす。多様な細胞外作用物質(agonists)は、細胞内酵素の活性を刺激することによって好中球の機能を調節する(非特許文献1,2)。最近、好中球の免疫反応でホスホリパーゼが重要な役割を果たすという多くの報告がある(非特許文献3,4,5)。これらホスホリパーゼの中で、ホスホリパーゼA(PLA)がいくつかの免疫反応で関与する重要な酵素である。PLAは、リン脂質(phospholipids)のsn−2位置で脂肪アシル基を加水分解し、付随的にリソホスホリピド(lysophospholipid)を生成する(非特許文献6,7)。PLA活性産物であるアラキドン酸(Arachidonic acid;AA)は、食細胞(phagocytic cells)でのカルシウム流入及び超酸化物(superoxide)生成のような多くの細胞反応の調節に関与する(非特許文献8,9)。
【0003】
哺乳類細胞は、PLAのいくつかのアイソザイム、つまり、サイトゾル(cytosolic)PLA(c PLA)、カルシウムに依存しないPLA、及び分泌性PLAを含む(非特許文献10,11)。PLAアイソザイムのうち、cPLAは、細胞において作用物質−誘導性AAの放出及びリソホスホリピドの調節に重要な役割を果たす(非特許文献12)。最近、Dana等は、cPLA−欠乏性マウスを開発して、エイコサノイド(eicosanoid)生成でのc PLAの役割を確認した(非特許文献13)。cPLAは、いくつかの生理学的反応に対する重要な薬学的な標的物質になれると見なされている。PLAの好中球機能に対するこの役割を考慮して、本発明者らは、PLA活性を調節する新たなリガンドを同定し、その活性メカニズムの特性を研究した。
【0004】
最近の研究結果は、多くの生物学的反応に関与する配列を同定する組合わせ(combinatorial)ペプチドライブラリーを使用すると報告している(非特許文献14,15,16)。特定の生物学的反応でペプチド配列を同定する簡単であって有力な方法は、Houghtenなどによって開発された。(非特許文献17)。この方法で、位置スキャニング合成ペプチド組合わせライブラリー(positional scanning synthetic peptide combinatoral library; PS-SPCL)が、ヒト免疫欠乏ウイルスプロテアーゼ抑制剤、インターロイキン(interleukin)−8−特異性作用物質、活性T−細胞の主要因子及びオピオイド(opioid)受容体のリガンドに対する抑制剤、並びに白血球細胞活性を調節するペプチドを同定するために使用されている(非特許文献18,19,20,21,22)。
【非特許文献1】Robson et al. J. Immunol. 2001. 167: 1028-1038
【非特許文献2】M'Rabet et al. J. Biol. Chem. 1999. 274: 21847-21852
【非特許文献3】Gijon et al. J. Leukoc. Biol. 1999. 65: 330-336
【非特許文献4】Wu et al. J. Cell Sci. 2000. 113: 2935-2940
【非特許文献5】Liscovitch et al. Biochem. J. 2000. 345: 401-415
【非特許文献6】Gijon et al. J. Leukoc. Biol. 1999. 65: 330-336
【非特許文献7】Puri et al. Int. J Biochem. Cell Biol. 1998. 30: 1107-1122
【非特許文献8】Murthy et al. J. Biol. Chem. 1998. 273: 34519-34526
【非特許文献9】Robinson et al. Biochem. J. 1998. 336: 611-617
【非特許文献10】Gijon et al. J. Leukoc. Biol. 1999. 65: 330-336
【非特許文献11】Farooqui et al. J. Neurochem. 1997. 69: 889-901
【非特許文献12】Gijon et al. J. Leukoc. Biol. 1999. 65: 330-336
【非特許文献13】Dana et al. J. Biol. Chem. 1998. 273: 441-445
【非特許文献14】Boen et al. J. Immunol. 2000. 165: 2040-2047
【非特許文献15】Wilson et al. J. Immunol. 1999. 163: 6424-6434
【非特許文献16】Hiemstra et al. J. Immunol. 1998. 161: 4078-4082
【非特許文献17】Dooley et al. Methods Mol. Biol. 1998. 87: 13-24
【非特許文献18】Owens et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1991. 181: 402-408
【非特許文献19】Hayashi et al. J. Immunol. 1995. 154: 814-824
【非特許文献20】Aramburu et al. Science. 1999. 285: 2129-2133
【非特許文献21】Dooley et al. J. Biol. Chem. 1998. 273: 18848-18856
【非特許文献22】Baek et al. J. Biol. Chem. 1996. 271: 8170-8175
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、好中球−類似分化HL60(dHL60)細胞でAA放出に関与するペプチドを同定するためにPS−SPCL方法を使用する。その結果、dHL60細胞でAA放出を活性化する24個のペプチドが発見され、これらペプチドがヒトの食細胞で化学走性物質として作用することが確認された。これらペプチドの受容体に関する論文で、本発明者等は、いくつかのペプチドがFPRL1(formyl peptide receptor like 1)に結合されたことを発見した。これらペプチドのうちのいくつかは、HL60細胞で発現される他の受容体に結合することも見出された。また、各々のペプチドは、共有された別個の細胞内信号伝達(intracellular signaling pathway)を活性化することができることが発見された。
【0006】
本発明は、アラキドン酸を放出させたり超酸化物の生成を誘導したりPLAを活性化するために移動する標的細胞を誘導する小さなポリペプチドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面(aspect)によれば、下記配列を含む群より選択されるポリペプチドを提供する:配列番号:3、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、又は配列番号:23。
【0008】
本発明の他の側面によれば、前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体を提供する。前記抗体は単クローン抗体であるのがよい。
【0009】
本発明の他の側面によれば、前記ポリペプチドを誘導する分離された(isolated)核酸を提供する。前記核酸は、前記ポリペプチドをエンコードする核酸を含む発現ベクターを含むのがよい。本発明はまた、前記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0010】
本発明の他の側面によれば、標的細胞内でアラキドン酸を誘導する方法を提供する。そ
の方法は、(a)プロモーターに連結された前記ポリペプチドをエンコードするDNA配
列を含む組換えウイルス又はプラスミドベクターを生成する段階;(b)前記組換えウイ
ルス又はプラスミドベクターを必要とする哺乳類(ヒトを除く)に投与して、前記標的細胞内でDNA配列の発現がアラキドン酸を発現させる段階;を含む。前記標的細胞は、白血球又は食細胞であるのがよい。
【0011】
本発明の他の側面によれば、前記標的細胞に前記ポリペプチドを接触させる段階を含む、標的細胞内でアラキドン酸の発現を誘導する方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)を提供する。前記標的細胞は、白血球又は食細胞であるのがよい。
【0012】
本発明の他の側面によれば、前記細胞に前記ポリペプチドを接触させる段階を含む、標的細胞内でPLAを活性化する方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)を提供する。前記PLAはcPLAであるのがよい。前記標的細胞は、白血球又は食細胞であるのがよい。
【0013】
本発明の他の側面によれば、前記細胞に前記ポリペプチドを接触させる段階を含む、前記標的細胞で超酸化物を生成させる方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)を提供する。前記標的細胞は、白血球又は食細胞であるのがよい。
【0014】
本発明の他の側面によれば、前記細胞に前記ポリペプチドを接触させる段階を含む、標的細胞の移動を誘導する方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)を提供する。前記標的細胞は、FPRを発現せずにFPRL1を発現するのが好ましい。
【0015】
本発明のこれらの目的又は他の目的は、以下の発明の詳細な説明、添付した図面、及び請求範囲によってより明確に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本明細書における用語は単数又は複数を全て含む意味である。
“約”及び“実質的に(substantially)は、正確な数字より余裕をもたせたことを意味する。例えば、ポリペプチドの長さにおける“約”又は“実質的に”は、ポリペプチドが例示されたアミノ酸の数に限定されないことを示す。結合活性のような機能性活性がそのまま維持される限り、N−末端又はC−末端で追加又は控除されたいくつかのアミノ酸が含まれることができる。
【0017】
“アミノ酸”及び“アミノ酸等”は、天然的に生成されたL−α−アミノ酸を意味する。このような定義は、ノルロイシン、オルニチン、及びホモシステインを含む。
次のようなアミノ酸の単一文字又は3個の文字からなる略字が全て本明細書で使用される:A又はAla=アラニン;R又はArg=アルギニン;N又はAsn=アスパラギン;D又はAsp=アスパラギン酸;C又はCys=システイン;Q又はGln=グルタミン;E又はGlu=グルタミン酸;G又はGly=グリシン;H又はHis=ヒスチジン;I又はIle=イソロイシン;L又はLeu=ロイシン;K又はLys=リジン;M又はMet=メチオニン;F又はPhe=フェニルアラニン;P又はPro=プロリン;S又はSer=セリン;T又はThr=スレオニン;W又はTrp=トリプトファン;Y又はTyr=チロシン;andV又はVal=バリン。
【0018】
一般的に、“アミノ酸配列変種(variant)”は、天然のポリペプチドに比べていくらか異なったアミノ酸配列を有する分子を意味する。アミノ酸変形(alterations)とは、置換、挿入、削除又はあらゆる天然アミノ酸配列の所望の変更を意味する。
【0019】
置換された変種とは、天然配列より少なくとも一つのアミノ酸が除去され、または他のアミノ酸が挿入されているものである。前記置換は、分子で一つだけのアミノ酸が置換されてもよく、二つ以上の複数のアミノ酸が置換されてもよい。
【0020】
配列におけるアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属する部類で他のアミノ酸から選択されることができる。例えば、非極性(疏水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンを含む。極性の天然アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンを含む。正の電荷を帯びた(塩基性)のアミノ酸は、アルギニン、リジン、及びヒスチジンを含む。負の電荷を帯びた(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。本発明には、同一又は類似な生物学的活性を有する蛋白質又はその断片、又はその誘導体を含み、その誘導体には、翻訳(translation)中又は後に、例えば、グリコシル化(glycosylation)、蛋白質分解(proteolytic cleavage)、抗体又は他の細胞リガンドへの連結(linkage)によって変更された誘導体を含む。
【0021】
挿入変種とは、天然のアミノ酸配列の特定の位置で、アミノ酸に隣接して挿入される一つ以上のアミノ酸を有するものである。アミノ酸に隣接するということは、アミノ酸のα−カルボキシ又はα−アミノ作用のうちの一つに連結されることを意味する。
【0022】
削除変種は、天然のアミノ酸配列で一つ又はそれ以上のアミノ酸が除去されたものである。通常、削除変種は、分子の特定の領域で除去された一つ又は二つのアミノ酸を有する。
【0023】
“細胞活性化ポリペプチド”とは、細胞がアラキドン酸を生成させたり、Ca2+を増加させたり、又は化学走性物質として作用するようにするポリペプチドを意味する。
【0024】
“担体”は、使用される用量及び濃度にさらされる細胞又は哺乳類に対し、非毒性の薬学的に許容可能な担体、賦形剤を含む。前記薬学的に許容可能な担体は、水性pHバッファー溶液である。前記薬学的に許容可能な担体の例としては、リン酸、クエン酸又は他の有機酸のようなバッファー;アスコルビン酸のような抗酸化剤;低分子量(約10個以下)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのような蛋白質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン又はリジンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース又はデキストリンのような他の炭水化物;EDTAのようなキレート剤;マンニトール又はソルビトールのような糖アルコール;ナトリウムのような塩−形成カウンターイオン;及び/又はTWEEN(登録商標)、プロピレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(登録商標)のような非イオン性界面活性剤を含む。
【0025】
“化学走性物質”とは、分子の濃度勾配に感応して細胞の移動を誘発する物質を意味する。
【0026】
“有効量”とは、有益であったり好ましい治療又は生化学的結果を示すことのできる量である。有効量は1回以上投与されることができる。このために、標的細胞活性化合物の有効量は、病気を緩和、改善、安定化、回復、遅延させるのに充分な量である。本発明の好ましい実施例で、“有効量”とは、標的細胞、好ましくは、白血球がアラキドン酸を生成することができるように活性化できる量と定義する。
【0027】
“宿主細胞”とは、本発明でベクターの受容体である個々の細胞又は細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の子孫を含み、前記子孫は、天然、偶然又は突然変異及び/又は変化により、母細胞と完全に同一である必要がない(形状又は全てのDNA相補体において)。宿主細胞は、血管新生因子を誘導するポリヌクレオチドを含むベクターを利用して、生体内で形質転換又は感染された細胞を含む。
【0028】
“白血球”とは、侵入細胞を破壊し、その残がい(debris)を除去することによって免疫システムの一部として作用する核細胞を意味し、顆粒球(granulocte)、リンパ球(lymphocte)、大食細胞(macrophage)、及び単核球(monocyte)を含む。
【0029】
顆粒球又は多形核球(polymorphonuclear)白血球は、細胞質内の顆粒の有無によって表示され、関節炎と発疹のようなアレルギー性免疫反応に活性がある。顆粒球は、好塩基性細胞、好酸球、及び好中球を含む。
【0030】
好中球は、アレルギー源、バクテリアなどのような外部物質を攻撃するために、血管から感染された組織へ出る。通常、深刻なバクテリア性感染は、生体で多量の好中球が生成されるようにし、結局、正常な白血球細胞数より多くなる。好中球は、他の細胞や外部物質を捕食する食細胞作用を通じてこれらの機能を発揮する。例えば、腫れ物(膿瘍)での膿はほとんど好中球からなる。
【0031】
リンパ球は、リンパ性組織(例えば、リンパ節)に主に存在し、抗体の生成のような免疫反応に活性を有する非顆粒性白血球の一種である。
【0032】
大食細胞は、血液中で移動するが、血流から離脱して組織に入り込むことのできる大きい白血球である;他の白血球と同様に、外部細胞及び残がいを食作用によって除去して体を保護する。
【0033】
単核球は、細胞を飲み込んで残がいを砕き、細胞に侵入する円形の大きい白血球である。単核球は骨髄で生成され、円形又は腎臓模形状の核を有する。
【0034】
“リガンド”とは、ポリペプチドのような分子に特異的に共有結合したり、一時的に結合する全ての分子、薬剤、又は化合物を意味する。リガンドは抗体を含むこともできる。
また、前記“リガンド”は、強い親和力によって他の分子に結合される分子を意味することもできる。
【0035】
治療の対象となる“哺乳類”とは、ヒト、犬、猫、牛、馬、羊、豚などのような家畜、農耕用家畜、及び動物園、競走用、又は愛玩用動物を初めとする、動物に分類される全ての動物を意味する。好ましい哺乳類はヒトである。
【0036】
“食細胞”は、他のものを飲み込む全ての細胞を意味する。
【0037】
“精製した”又は“分離された”分子とは、自然環境から除去されて、自然状態で結合していた他の成分から隔離又は分離されて自在な状態にある生物学的分子を意味する。
【0038】
“サンプル”又は“生物学的サンプル”とは広い意味で使用される用語であって、実施される分析の形態によって、個体、体液、細胞株、組織、培養液及び標的細胞、好ましくは、白血球又は食細胞を含む他の供給源から得られる全ての生物学的サンプルを意味する。生物学的サンプルは、血清、リンパ液、血しょう、尿、滑液、脊髄液などを含む。哺乳類から生体検査組織及び体液を得る方法はこの分野で公知である。
【0039】
“配列同定”とは、配列を配列した後、そして配列同定性の一部として保存された置換は考慮せず、必要であれば、最大の配列同定パーセントを得るためにギャップを導入した後に、本来のポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一な候補配列でのアミノ酸残基の百分率と定義される。配列同定百分率値は、NCBI BLAST2.0ソフトウェア(Altschul et al., (1997), "Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs", Nucleic Acids Res., 25:3389-3402)によって得られる。前記パラメータはデフォルト値で定めたものであり、不一致の場合には−1とした。
【0040】
“特異的な結合”とは、二つの分子、例えば、本発明のポリペプチド及び白血球又は食細胞のような標的細胞の間で無作為結合反応でないことを意味する。
【0041】
“対象”とは、脊椎動物、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトを意味する。
【0042】
“治療”とは、有益であり、好ましい臨床結果を得ることを意味する。有益でかつ好ましい結果は、それが発見されるか発見されないかに係わらず、症状の緩和、疾病程度の減少、安定した(つまり、悪化しない)疾病状態、疾病進行の遅延又は鈍化、疾病状態の改善又は緩和、及び軽減(部分的又は全体的な)を意味する。“治療”とはまた、治療を受けないとすれば予想される生存率に比べ、生存率が伸びることを意味することもできる。
“治療”は、治療、予防又は防止措置全てを意味する。治療が必要な対象は、疾病を有していたり疾病にかかり得る対象を全て意味する。“疾病緩和”とは、治療を受けない状態に比べ、好ましくない疾病状態の臨床的な徴候が減少したり、又は疾病進展の時間が遅れたり永くなることを意味する。
【0043】
“ベクター”、“ポリヌクレオチドベクター”、“構造体”、及び"ポリヌクレオチド構造体”とは相互互換して使用される。いくつかの形態のポリヌクレオチドベクターは、RNA、DNA、レトロウイルスコートにカプセル化されたRNA、アデノウイルスコートにカプセル化されたDNA、また他のウイルス又はウイルス類似形態にパッキングされた(herpes simplex及びadeno-associated virus (AAV))DNA、リポソームにカプセル化されたDNA、分子を免疫学的にマスキングしたり、半減期を増加させるためにポリリジンと複合化されたDNA、合成ポリカチオン性分子と複合化されたDNA、ポリエチレングリコール(PEG)のような化合物と複合化されたDNA、又は非−ウイルス性蛋白質に共役されたDNAを含むことができるが、これに限られるわけではない。好ましくは、ポリヌクレオチドとしてDNAがある。“DNA”とは、A、T、C、及びG塩基を含むだけでなく、その類似体又はメチル化されたヌクレオチド、電荷を帯びない結合やチオカルボン酸塩のようなインターヌクレオチド変形、糖類似体の使用及びポリアミドのような変形されたまたは他の骨格構造のような変形された形態を含む。
【0044】
[標的細胞活性化を誘発するペプチドのスクリーニング]
本発明者は、組合わせペプチドライブラリー、好ましくは、ヘキサペプチドをスクリーニングした。4700万個を超える互いに異なるペプチド配列を含むライブラリーをスクリーニングしてdHL60細胞にAA放出を活性化させることのできる24個のヘキサペプチドを同定した。これらの生理学的役割の観点より、前記ペプチドは、超酸化物生成及び食細胞の化学走性移動を増加させることが確認された。前記ペプチドの受容体特異性又はシグナル伝達特異性に関する実験を通じて、前記ペプチドが白血球内で共通の受容体であるFPRL1、又は同定されない受容体を通じて、重なったり互いに区別される細胞間信号を誘発することができることが確認された。
【0045】
前記ペプチドの受容体特異性を調査することにより、4個のペプチドがFPRL1−発現RBL−2H3細胞内だけでなく、FPR−発現RBL−2H3細胞内で[Ca2+の増加を活性化することができることがわかった(図7)。4個のペプチドのうちの2個は、未分化のHL60細胞を活性化した(図8)。未分化のHL60細胞はFPRL1を発現しないので、これら2個のペプチド(P18及びP24)に対する標的受容体はFPRL1でない。ペプチド−誘導された[Ca2+の増加に対するPTXの効果に関する実験で、dHL60細胞にPTXで前処理すると、ペプチド−誘導されたカルシウムの増加を完全に阻害させることが確認された。しかし、PTXは、未分化のHL60細胞内で、P18又はP24によって活性化したカルシウムシグナル伝達を部分的に阻害した(データは示していない)。このような結果は、dHL60細胞内でペプチドの受容体がPTX−感受性G−蛋白質と結合するということと、前記未分化のHL60細胞内でペプチド受容体がPTX−非感受性G−蛋白質と結合するということを暗示する例である。このような結果は、前記未分化のHL60細胞内でペプチド受容体がdHL60内のペプチド受容体と同一でないということを示す。
【0046】
本発明のペプチドによる細胞内信号経路を研究した結果、P14は、PI3K及びPKCを通じてERK活性化を誘導し、P18はPKCを通じてERK活性化を誘導することが確認された(図9)。MEKの役割面で、P18を除いた3個のペプチドは、MEKに依存した方法でERK活性化を誘導した(図9)。図7は、4個のペプチドがFPRL1−発現RBL−2H3細胞内で[Ca2+の増加を活性化することを示す。dHL60細胞はまたFPRL1を発現させ、dHL60細胞内で4個のペプチドがFPRL1に結合することができる。しかし、P18誘導されたERKがPI3K−又はMEK−依存性を見せるという事実は、P18−媒介されたシグナル伝達に他の受容体が関与するという事実を提示する。P18及びP24は、未分化のHL60細胞内で[Ca2+の増加を活性化することが確認された(図8)。このような結果は、P14及びP21がFPRL1のような受容体に結合し、P18及びP24が、白血球細胞内でFPRL1を初めとする少なくとも2個の受容体に結合するということを示す。P18、P24、P14又はP21−誘導されたERK活性化の分化性調節の観点から見れば、互いに異なる範囲のペプチドに対する受容体によって誘導されることができる。
【0047】
化学走性物質は重要な免疫調節者であり、多様な化学走性物質(chemokinessなど)が同定されているが、ヒトの白血球に作用する短いいくつかのペプチドは今回で初めて同定された。fMLFは短い化学走性ペプチドであり、食細胞活性の研究で有用に使用されている(Pan et al. J. Immunol. 2000. 164: 404-411; He et al. J. Immunol. 2000. 165: 4598-4605)。本発明のペプチドは、好中球及び単核球のようなヒトの食細胞を活性化するので、これらペプチドは食細胞機能に対する研究に道具として使用されることができる。未分化された骨髄腫細胞の活性及びシグナル伝達の分野において、未分化された骨髄腫細胞に作用する小さいペプチドについてはまだ報文がない。本発明のペプチドは、[Ca2+の増加誘導を初めとして未分化のHL60細胞を活性化するので、未分化された骨髄腫細胞の活性化に有用な道具になることができる。
【0048】
[標的細胞を活性化するペプチド]
本発明の一つの側面によれば、本発明は、白血球及び食細胞のような標的細胞と相互作用したり活性化することができるペプチドに関する。特に、前記ペプチドはアラキドン酸を誘導し、カルシウムの細胞内放出を誘導し、前記標的細胞の移動を誘導する。
本発明のペプチドは、白血球又は食細胞のような標的細胞を多くの生物学的又は酵素学的メカニズムによって活性化することができる。標的細胞を活性化するポリペプチドは、配列番号:1〜配列番号:35に例示されたペプチドを含むが、これに限られるわけではない。
【0049】
[標的細胞を活性化するポリペプチドをエンコードする核酸]
“分離された”ポリヌクレオチド配列には、天然環境から除去された核酸分子、DNA又はRNAが含まれる。これは、本発明のポリペプチドをエンコードするDNA断片を含み、ベクター配列又は他の外来DNAのような異種配列も含むことを意味する。例えば、ベクターに含まれた組換えDNA分子は、部分的又は実質的に精製できるものに分離されたものと見なされることができる。
【0050】
また、本発明の分離された核酸分子には、遺伝子コードの重畳性及び他の多様性により、本発明のポリペプチドをエンコードしても、前記のものと実質的に相異した配列を含むDNA分子を含まれる。したがって、特定の宿主に対してコドン(codon)発現又は一般的な機能を最適化するために前記記載された変種を生成させることは、この分野においては通常のことである。
【0051】
[変種及び突然変異ポリヌクレオチド]
本発明はまた、標的細胞活性化ポリペプチドの蛋白質、類似体又は誘導体を誘導する核酸分子の変種に関する。このような核酸変種は、核酸置換、削除又は添加によって生成できる。このような置換、削除又は添加は、一つ以上のヌクレオチドを含むことができる。アミノ酸配列の変形は、保存性又は非保存性アミノ酸置換、削除及び添加を生成させることができる。特に、ポリペプチド又はこれらの一部分の特性及び活性を変えない沈黙性置換、添加及び削除が好ましい。これに関連しては、保存性置換が好ましい。
【0052】
本発明は発現ベクターに使用されることもでき、原核細胞又は真核細胞の宿主細胞、又は細胞株を形質転換するために使用されることもできる。本発明は、発現ベクターから発現されるポリペプチドの精製にも用いることができる。前記発現ベクターは、精製を容易に行うために、様々な分子タグ(tag)を含むことができる。また、得られた発現構造体を選択された宿主細胞に形質転換させることができる。前記宿主細胞で得られる細胞溶解物は、この分野において公知の確立された方法によって分離される。
【0053】
[変種及び突然変異ポリペプチド]
ポリペプチドを活性化する特性を改善したり変化させるために、アミノ酸エンジニアリングを用いることができる。この分野でよく知られている組換えDNA技術は、単一又は多重アミノ酸置換、削除、添加を含む新たな突然変異ポリペプチドや融合蛋白質を生成するのに用いることができる。このような変形されたポリペプチドは、増加/減少した活性及び安定性を示すことができる。また、これらは高収率で精製でき、特定の精製及び保存条件下で対応する天然ポリペプチドに比べてさらに優れた溶解性を示す。
【0054】
電荷を帯びたアミノ酸を、他の電荷を帯びさせたり中性のアミノ酸に置換すれば、非常に好ましい改善された特性、例えば、生成されたポリペプチドのさらに少ない凝集性を有する蛋白質が生成できる。凝集性は活性を減少させるだけでなく、凝集体は免疫性を有することができるので、薬剤を製造する場合にも問題を起こすことがある。
【0055】
[抗体]
本発明の一実施例は、多様な検出方法を利用して、標的細胞に結合された活性因子ポリペプチドを検出するものである。前記標的細胞に対して活性化したポリペプチドが結合することを検出する一つの方法は、この分野においてよく知られており、活性因子ポリペプチドを直接標識し、標識法(labeling)及び分離技術を利用して分析する方法である。他の方法は、活性因子ポリペプチド又は活性因子ポリペプチド/標的細胞複合体のうちのいずれか一つに特異的に結合する標識されたリガンドを使用する方法である。このようなリガンドとしては抗体を使用することができる。
【0056】
精製された活性因子ポリペプチド又は活性因子ポリペプチド/標的細胞複合体は、単一クローン抗体又はポリクローン抗体を生成させるのに用いることができる。得られた単一クローン又はポリクローン抗体は、細胞、組織、及び血清、血しょう及び尿のような体液を含む多様なサンプルで、活性因子ポリペプチドが標的細胞に結合したか否かを決定するのに用いられることができる。活性因子ポリペプチド又はポリペプチド/標的細胞複合体は、原位置混成化(in situ hybridization)、免疫沈殿法(immunoprecipitation)、免疫蛍光染色(immunofluorescence staining)、ウェスタンブロット分析法(Western blot analysis)などのような多様な分子生物学的方法を使用して分析することができる。活性因子ポリペプチド又はポリペプチド/標的細胞複合体に対する単クローン抗体を使用することにより、ELISA分析を実施することもできる。
【0057】
本発明で抗体は、ポリクローン、単クローン、多重特異性、ヒト、ヒト類似又はキメラ抗体、単一鎖抗体、Fab断片、F(ab´)断片、Fab発現ライブラリーによって生成される断片、抗イディオタイプ抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗イディオタイプ抗体)、及び前記記載されたもののうちのいずれか一つのエピトープ−結合(epitope-binding)断片を含むが、これらに限られるわけではない。前記“抗体”とは、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン分子中の免疫学的に活性のある部分、つまり、抗原に免疫−特異的に結合する抗原結合位置を含む分子を意味する。免疫グロブリン分子には、いずれのタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、いずれのクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)又は免疫グロブリン分子のサブクラスも含む。
【0058】
[標識(Label)]
好適な酵素標識は基質と反応し、過酸化水素を生成させる触媒作用をするオキシダーゼ作用基を含む。グルコースオキシダーゼは特に安定性が優れており、基質を容易に購入できるので好ましい。オキシダーゼ標識の活性は、酵素−標識抗体/基質反応によって形成された過酸化水素の濃度を測定して分析することができる。酵素以外に、他の好適な標識は、ヨード(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、三重水素(H)、インジウム(112In)、及びテクネチウム(99mTc)のような放射性標識、蛍光物質及びローダミンのような蛍光標識、及びビオチンを含む。
【0059】
好適な酵素標識は、マレイン酸塩デヒドロゲナーゼ、δ−5−ステロイドイソメラーゼ、イースト−アルコールデヒドロゲナーゼ、α−グリセリンリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、ブドウ糖−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼを含む。
【0060】
好適な放射性標識は、H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pdなどを含む。生体内映像が使用される場合、111Inは、肝臓によって125I又は131I−標識されたポリペプチドが脱ハロゲン化される問題を解決することができるので、好ましい同位元素である。また、放射性ヌクレオチドが映像化にガンマ放出エネルギーを有するので好ましい。例えば、1−(P−イソチオシアナトベンジル)−DPTAのように単クローン性抗体に連結された111Inは非-腫瘍組織で、特に肝臓でほぼ吸収されず、腫瘍位置特異性が増強される。
【0061】
好適な非放射性同位元素標識は、157Gd、55Mn、162Dy、52Tr、及び56Feを含む。
【0062】
蛍光標識の好適な例としては、152Eu標識、蛍光標識、イソチオシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、o−フタアルデヒド標識、及びフルオレスカミン標識などがある。
【0063】
好適な毒素標識としては、シュードモナス毒素、ジフテリア毒素、リシン、及びコレラ毒素がある。
【0064】
化学発光標識の例としては、ルミナール標識、イソルミナール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾル標識、アクリジニウム塩標識、蓚酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、及びエクオリン標識などがある。
【0065】
核磁気共鳴照影剤は、Gd、Mn、及び鉄のような重金属核を含む。また、重水素も使用することができる。その他の照影剤は、本願技術分野において公知のEPR、PET又はその他の映像技術に使用されることができる。
【0066】
ポリペプチドに前記標識を結合する典型的な技術は、Kennedyなどにより提供されている。((1976) Clin. Chim. Acta 70:1-31, and Schurs et al. (1977) Clin. Chim. Acta 81:1-40)。連結技術はグルタルアルデヒド方法、過ヨウ素酸塩方法、ジマレイミド方法、及びm−マレイミドベンジル−N−ヒドロキシ−コハク酸イミドエステル方法などを含み、このような方法は本明細書に参考文献として記載されている。
【0067】
[遺伝子治療]
本発明の具体的な実施例によれば、本発明のペプチドを誘導する配列を含む核酸を投与して、白血球又は食細胞のような標的細胞を活性化し、バクテリア又は他の外部物質に対する免疫反応を増加させるようにする遺伝子治療に使用することができる。遺伝子治療は、発現された又は発現可能な核酸を対象として投与することにより実施できる。本発明の具体的な実施例において、前記核酸は、治療効果を示す誘導された蛋白質を生成させる。
【0068】
従来から使用されている遺伝子治療の方法のうち、いずれのものも本発明に用いることができる。下記方法は例示的な方法である。
【0069】
遺伝子治療法は、一般的には下記資料を参照することができる:Goldspiel et al., Clinical Pharmacy 12:488-505 (1993); Wu and Wu, Biotherapy 3:87-95 (1991); Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596 (1993); Mulligan, Science 26
0:926-932 (1993); and Morgan and Anderson, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217 (1993); May, TIBTECH 11(5):155-215 (1993).組換えDNA技術分野によく知られている方法は、Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley
& Sons, NY (1993); and Kriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990)に記載されている。
【0070】
[治療組成物]
本発明の一実施例で、本発明は、充分な標的細胞活性のない多様な疾病を治療することに関する。この方法により、本発明の治療用化合物は、標的細胞を活性化する化合物を提供することにより、疾病中の患者又は疾病もしくは疾患にかかる虞のある患者に投与できる。好ましくは、前記標的細胞は白血球又は食細胞であることができる。特に、前記疾病又は疾患は、ウイルス又はバクテリアのような感染性病源体による感染と関連がある。特に、本発明は、後天性免疫不全症候群又は癌のような正常な免疫反応の希薄化と関連した感染性疾病の治療に関する。
【0071】
治療用化合物の製剤はこの分野でよく知られているので、容易に製造できる(Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., USA)。例えば、体重1kg当り一日約0.05μg〜約20mgの用量で投与することができる。投与量の体系は最適の治療反応を提供するために調整することができる。その例として、数回に分けられた服用量は毎日投与されたり、治療状態の緊急性が示すところに従って、それに応じて減少させることができる。活性化合物は一般的な方法、例えば、経口で、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内、又は座薬式又は移植(例:腹膜内経路による緩開放型分子を利用したり、又は細胞、例えば、生体外で感受化され、受容体に採択的に転移された単核球又は樹枝状結晶細胞を利用として)で投与することができる。投与経路によって、ペプチドは酵素、酸及び前記成分を不活性化させることができるその他の自然条件から保護するために材料内にコーティングされるように要求することができる。
【0072】
例えば、低い脂質親和性のペプチドは胃腸管でペプチド結合を断裂することができる酵素によって破壊されたり、胃で酸加水分解によって破壊されることがある。非経口投与以外の方法でペプチドを投与するために、その不活性化を防止する物質でコーティングされたり同時投与される。例えば、ペプチドは補強剤中で投与されたり、酵素阻害剤と同時投与又はリポソーム内に含有させて投与することができる。本発明の補強剤はレゾルシノール、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル及びn-ヘキサデシルポリエチレンエーテルを含む。酵素阻害剤は膵臓のトリプシン阻害剤、ジイソプロピルフルオロホスフェート(DEP)、及びトラジロールを含む。リポソームはwater-in-oil-in-water CGF乳剤と通常のリポソームを含む。活性化合物はまた、非経口又は腹膜内に投与することができる。分散剤はグリセロール液体ポリエチレングリコール、これらの混合物及びオイル相で調剤することができる。一般的な保管及び使用条件下で、このような調剤は微生物の成長を防止することができる防腐剤を含む。
【0073】
注射するのに適した調剤の形態は滅菌水溶液(水溶性である場合)又は分散剤及び滅菌注射液又は分散剤の即席調剤用滅菌粉末を含む。全ての場合、その形態は殺菌されたものでなければならず、容易に注射することができる程度に流動性がなければならない。調剤及び保管条件で安定でなければならず、バクテリア又は真菌のような微生物の汚染作用から保護されるべきである。運搬体は溶媒又は、例えば水、エタノール、ポリオル(例、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール水溶液及びそれらの類似物質)を含む分散培地、これらの適当な混合物及び植物性オイルであり得る。適切な流動性が維持できる、例えばレシチンのようなコーティング剤の使用によって、分散時に一定の粒径を維持することにより、及び界面活性剤の使用で維持することができる。微生物作用の防止は様々な殺菌剤及び抗真菌剤を利用して実施することができ、その例として、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チオメルサル、及びそれらの類似物がある。ほとんど、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むのが好ましい。注射可能組成物の長期間吸収は吸収遅延剤、例えば、アルミニウムモノステアレイト、及びゼラチンのような製剤の使用によって行うことができる。
【0074】
滅菌の注射可能溶液は一定量の活性化合物を前記で列挙した様々な他の成分と共に適切な溶媒に混合して製造し、必要に応じてろ過滅菌を実施する。通常、分散剤は多様な活性成分を滅菌媒介体に混合して製造される。前記媒介体というのは塩基性分散培地及び一定量の他の成分を含む。注射可能な滅菌液の調剤用滅菌粉末の場合、好ましい調剤方法は真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、それによって予め滅菌-ろ過した溶液から活性成分と、その他に添加された所望の成分の粉末が収得される。
【0075】
ペプチドが前記したように適切に保護される場合、活性化合物は、例えば不活性希釈剤又は吸収することができる食用運搬体のように経口投与することができたり、硬い又は柔らかい皮のゼラチンカプセル内に封入されたり、また、圧着して錠剤にしたり、規定食に直接混合することができる。経口投与時、活性化合物は賦形剤と混合することができ、摂取可能な錠剤、口腔錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハーなどの形態で使用することができる。このような組成物及び調剤品は活性化合物を少なくとも1重量%以上含む。組成物及び調剤品の比率は多様であり、約5〜80重量%であり得る。このような治療学的に有用な組成物の活性化合物含量は、適宜の投与量が得られる水準である。本発明による好ましい組成物又は調剤品としては、経口投与単位は約0.1μg〜2000mgの活性化合物を含むものにする。
【0076】
錠剤、丸剤及びカプセル剤などは、次のものも含むことができる、結合剤、例えば、トラガカントゴム、アカシア、とうもろこし澱粉又はゼラチン;形態剤、例えば、ジカルシウムホスフェート;崩壊剤、例えば、とうもろこし澱粉、ジャガイモ澱粉、アルギン酸など;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;及び甘味剤、例えば、蔗糖、乳糖、又はサッカリンを添加することができたり、香料、例えば、ペパーミント、冬緑油又はチェリー香を含むことができる。投薬単位形態がカプセルである場合、前記物質と共に液体の伝達体を含むことができる。多様なその他の物質はコーティング剤であったり、投薬単位の物質的形態を変化させることができる。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤はシェラック、糖又はその両方でコーティングすることができる。シロップ剤又はエリキシル剤は活性化合物、甘味剤として蔗糖、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、着色料及び香料としてチェリー又はオレンジ香料を含むことができる。また、投与単位形態製造に用いられる全ての物質は薬剤的に純粋であり、使用時に実質的には無毒性であるべきである。また、活性化合物は持続された-放出調剤及び形態で作ることができる。
【0077】
ここで、“薬剤学的に許容可能な伝達体及び/又は希釈剤”とは全ての種類の溶媒、分散培地、コーティング剤、抗菌剤、抗眞菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を含む。このような媒体と薬剤学的に活性のある物質の使用は公知のことである。既存の媒体又は薬剤が活性成分と両立できない場合を除いては、治療組成物でこれらの使用を予想することができる。補助的な活性成分もやはり組成物に混合することができる。
【0078】
非経口組成物は投与容易性及び投与量均一性を考慮して投与単位形態で製造することが良い。ここで例示する投与単位形態とは、治療対象である哺乳類に対する単一投与に適した物質的に分離された単位と、薬剤学的伝達体と連係して所望の治療効果が得られるための予め決定された活性物質の量を含む各々の単位を意味する。本発明の投与単位形態に対する説明は下記により規定され、直接的に左右される。即ち、(a)活性物質の独特の特徴と得られる特定治療効果、及び(b)身体的健康が損傷された疾患状態の生存者に疾患治療用活性物質を調剤する技術に内在する限界に直接的に左右され、これにより規定される。
【0079】
主な活性成分は便利で効果的な投与ができるように、有効含量を使用して薬剤学的に許容可能な適した伝達体と共に投与単位形態で調剤される。1単位の投与形態は、例えば、主な活性化合物を0.5μg〜2000mg含むことができる。
【0080】
比率で示せば、活性化合物は通常伝達体の約0.5μg/mlで存在する。追加的な活性成分を含む組成物の場合、投与は参考文献によって一般的な量と前記成分の投与方法で決定される。
【0081】
[伝達システム]
多様な伝達システムが公知されており、本発明の化合物を投与するために使用することができ、例えば、リポソーム内カプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、前記化合物の発現性の組換え細胞、受容体−媒介細胞内移入、レトロウイルス又はその他のベクターの一部としての核酸構造体などがある。導入方法は真皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下内、鼻腔内、硬膜外、及び口腔経路を含むが、これらに限定されない。化合物又は組成物は都合のいい経路を通って、例えば、注入液又はボーラス注射、上皮又は粘膜皮膚内層(例、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通じる吸収によって投与することができ、その他の生物学的活性製剤と共に投与することができる。投与は全身又は局所であってもよい。また、本発明の薬学的化合物又は組成物を適切な経路を通じて中枢神経系に導入することが好ましいこともあり、前記適切な経路は脳室内注射及びくも膜内注射を含み、脳室内注射は、例えば、保存所に接触した脳室内挿入管、例えば、Ommaya保存所を利用して容易に行うことができる。肺投与は、例えば、吸入器又は噴霧器を使用して実施することができ、噴霧化剤を利用した処方箋を利用することもできる。
【0082】
ある実施例においては、本発明の薬学的化合物又は組成物は治療が要求される部位に局所的に投与するのが好ましい;これは、例えば、外科的局所注入、局所処置、例えば、手術後、傷の治療剤と共に挿入管を利用した手段で、座薬を利用した手段で、又は移植物を利用した手段で行うことができ、その移植物とは、多孔性、非多孔性又はゼラチン性物質、つまり、シアラスチック膜のような膜、又は繊維を利用した手段であるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、蛋白質、つまり、本発明の抗体又はペプチドを投与する場合、処置は前記蛋白質が吸収されない物質を利用して実施されるべきである。他の実施例では、化合物又は組成物は運搬体、特にリポソームの形で伝達できる。他の実施例では、化合物又は組成物は調節された放出システムで伝達できる。ある実施例では、ポンプを使用することができる。他の実施例で重合性物質を使用することができる。さらに他の実施例では調節された放出システムを治療目標物、例えば脳の近くに位置させることができ、したがって、体系的な投与の小部分のみが要求される。
【0083】
組成物の投与が受容動物で許容されたり又は動物への投与が適している場合、組成物は“薬剤学的に又は生理学的に許容可能である”という。投与含量が生理学的な有意性がある場合、前記薬剤は”治療学上に有効含量”で投与されると言う。薬剤の存在が受容患者の生理的に確認可能な変化を招く場合、薬剤は生理学的有意性がある。
【0084】
本発明は以下で記載した具体的な実施例によって権利範囲が限られるわけではない。また、本発明の記載した内容と、本発明の多様な変形は前述した説明と図面から本発明の属する技術分野の当業者には明白なものである。このような変形は特許請求の範囲内に該当する。下記の実施例は本発明の説明するため提供するものに過ぎず、本発明を限定するわけではない。
【実施例1】
【0085】
[実施例1−物質及び方法]
Fmocアミノ酸はMillipore (Bedford, MA)から入手し、Rapidamide樹脂はDupont (Boston, MA)から入手し、末梢血液単核細胞(PBMC)分離培地(Histopaque-1077), cytochrome c、及びfMLFはSigma (St. Louis, MO)から入手し、fura−2ペンタアセトキシメチルエステル(fura-2/AM)は、Molecular Probes (Eugene, OR)から入手し、RPMI 1640はLife Technologies (Grand Island, NY)から入手し、透析された牛胎児の血清及び懸濁された牛の血清は、Hyclone Laboratories Inc.で得られ(Logen, UT)、百日咳毒素(PTX)、GF109203X、及びPD98059はCalBiochem (San Diego, CA)から入手し、LY294002はBIOMOL Research Laboratories, Inc. (Polymouth Meeting, PA)から入手した。
【0086】
[実施例2−細胞培養及びHL60細胞分化]
U937 (human histiocytic lymphoma cells), HL60 (human promyelocytic leukemia cells), Raw 264.7 (mouse macrophage), Jurkat (human acute T cell leukemia), PC12 (rat adrenal pheochromocytoma cells), 3Y1 (Rat embryonic fibroblasts), 3T3L1 (preadipocytes),及び NCI-H292 (human mucoepidermoid pulmonary carcinoma cells) を、American Type Culture Collection (Rockville, MD)から入手した。FPR−又はFPRL1発現RBL−2H3細胞を、He et al. J. Immunol. 2000. 165: 4598-4605に記載されたように培養した。細胞は、標準培養条件(humidified atmosphere, 95% air, 5% CO2, at 37℃)で約1×10cells/mlに維持されるようにした。HL60細胞は、ジメチルスルホキシド(DMSO)(最終濃度1.25%、v/v)を培養培地に4日間添加することによって、顆粒球表現型に分化されるように誘導した(Itoh et al. Blood. 1998. 92: 1432-1441)。
【0087】
[実施例3−白血球分離]
末梢血白血球濃縮液を、Ulsan Red Cross Blood Center (Ulsan, Korea)から提供を受けた。PBMCsは、Histopaque-1077濃度勾配で分離された。Ca2+及びMg2+を含有しないHBSSで二回洗浄した後、PBMCsをRPMIを含有する10%FBSに懸濁されるようにし、37℃で60分間培養して、単核球が培養皿に付着するようにした。細胞を5回暖かいRPMI培地で洗浄してリンパ球を除去し、付着した単核球を収集した(Bae et al. J. Leukoc. Biol. 1999. 65: 241-248)。ヒト好中球は次のような標準方法によって分離された;デキストラン沈降法、赤血球の低浸透圧性溶出、及び培地リンパ球分離勾配を利用する方法(Seo et al. J. Immunol. 1997. 158: 1895-1901)。分離されたヒト白血球は直ちに使用された。
【0088】
[実施例4−ペプチドライブラリーの製造及びペプチドの合成及び分析]
ヘキサペプチドライブラリーを、Peptide Library Support Facility of Pohang University of Science and Technologyで製造した(Baek et al., J. Biol. Chem. 1996. 271: 8170-8175、前記文献は本明細書にて参照として引用される)。最後に、114ペプチドプール(Cysはライブラリー製造から除外される)を各々水に溶解して、最終濃度がペプチド当り27nMになるようにした。前記ペプチドを固体相法によって合成した(Baek et al. J. Biol. Chem. 1996. 271: 8170-8175)。簡単に説明すれば、ペプチドをRapidamide支持体樹脂上で合成し、標準Fmoc/t-butyl技術で酸−分解性リンカー上に組立てられるようにした。前記ペプチド組成物は、アミノ酸分析法によって確認した(Baek et al. J. Biol. Chem. 1996. 271: 8170-8175)。
【0089】
[実施例5−PS−SPCLの初期スクリーニング及びAA放出の測定]
PS−SPCLsを初期にスクリーニングするために、各ペプチドプールのAA放出の活性化特性を測定した。95%の空気と5%のCOが供給される加湿培養器において、10%のFBSを含むRPMI 1640培地内の0.5μCi/mlの(H)−AAにより、37℃で90分間培養されたdHL60細胞(10cells/ml)を予め標識化した(Bae et al. J. Immunol. 2000. 164: 4089-4096)。標識された細胞を無血清RPMI 1640で二回洗浄し、脂肪酸を含有しない0.1%のBSAを含有するRPMI 1640培地で37℃で15分間培養した。培地を除去した後、前記細胞を多様な濃度のペプチドで一定の時間の間活性化させた。培地内の、及び収集された細胞の放射性は、液体閃光計数器で測定した。阻害剤の効果の測定時には、活性化の前に細胞を一定の濃度の各々の阻害剤又はビークルと共に15分間予め培養した。
【0090】
[実施例6−[Ca2+の測定]
[Ca2+の水準を、fura−2/AMを利用するGrynkiewicz方法を利用して測定した(Grynkiewicz et al. J. Biol. Chem. 1985. 260: 3440-3550)。簡単に説明すれば、製造された細胞を無血清RPMI 1640培地で継続して攪拌しながら、37℃で50分間、3μMのfura−2/AMと共に培養した。2×10の細胞を、Ca2+のないLocke溶液(154 mM NaCl, 5.6 mM KCl, 1.2 mM MgCl2, 5 mM HEPES, pH 7.3, 10 mM glucose, and 0.2 mM EGTA)に入れ、この細胞の蛍光変化を340nm及び380nmの二重励起波長で測定し、計算された蛍光比率で[Ca2+に換算した。
【0091】
[実施例7−生成された超酸化物の測定]
マイクロタイター(microtiter)96−ウエルプレートELISA判読機(Bio-Tekinstruments, EL312e, Winooski, VT)を利用し、シトクロムc還元を測定することによって超酸化物陰イオン生成を測定した(Bae et al. Blood. 2001. 97: 2854-2862)。ヒト好中球(96−ウエルプレートの各ウエル当り1×10細胞/100μlのRPMI 1640培地)を50μMのシトクロムcと37℃で1分間予め培養し、一定の濃度のペプチドを加えて培養した。超酸化物生成は、1分間隔で5分間、550nmで光吸収の変化から決定した。
【0092】
[実施例8−化学走性分析]
化学走性分析は多重ウエルチャンバー(Neuroprobe Inc., Gaithersburg, MD)を利用して実施した(Bae et al. Blood. 2001. 97: 2854-2862)。簡単に説明すれば、製造された単核球を1×10細胞/mlの濃度でRPMIに懸濁した。その後、25μlの懸濁液を5μMのポリヒドロカーボンフィルター(必要に応じて好中球である場合には、ポリビニルピロリドンがコーティングされていない3μMの気孔大きさを有するもの)によって、下部ウエルのペプチド又はN−ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(fMLF)から分離されたチャンバーの上部ウエルに位置させた。2時間(好中球である場合90分)37℃で培養した後、移動しない細胞をスクレーピングして除去し、フィルターを通過して移動した細胞を脱水し、固定した後、ヘマトキシリン(Sigma, St. Louis, MO)で染色した。染色された細胞を、5個の無作為に選択された高出力電界(HPF)(400X)で計数した(Bae et al. Blood. 2001. 97: 2854-2862)。
【0093】
[実施例9−結果]
[実施例9.1−dHL60細胞内でAA放出を活性化するペプチドの同定]
dHL60細胞内でAA放出を活性化するペプチドを同定するために、ヘキサペプチドPS−SPCLsから114ペプチドプール(約4700万個の互いに異なるペプチド)をスクリーニングした。図1は、初期スクリーニングの結果を示す。ヘキサペプチドの互いに異なる位置にあるアミノ酸は互いに異なる水準のAA放出活性を誘導した。大部分の活性ペプチド/位置の組合わせはXKXXXM(配列番号:1)であることが確認された。ここで、第1位置はLys(K)、Met(M)、又はArg(R)であり、第2位置はLys(K)であり、3番目位置はHis(H)、Lys(K)、又はTyr(Y)であり、第4位置はHis(H)、Lys(K)、又はTyr(Y)であり、第5位置はLys(K)、Pro(P)、Arg(R)、Val(V)、又はTyr(Y)であり、第6位置はMetである。
【0094】
ペプチドライブラリーの第1スクリーニング結果により、1×1×1×3×5×1=15又は3×1×3×1×1×1=9の各々のヘキサペプチドを含む反復的な合成ペプチドプールのdHL60細胞内でのAA放出活性効果を測定した(図2A及び2B)。第2スクリーニングの後、KKHXXX(配列番号:2)、KKYXXX(配列番号:3)、RKYXXX(配列番号:4)、MKYXXX(配列番号:5)、XXXHKM(配列番号:6)、XXXHVM(配列番号:7)、XXXYKM(配列番号:8)、XXXYPM(配列番号:9)、XXXYVM(配列番号:10)、又はXXXYYM(配列番号:11)が最も活性があることが確認された(図2A及び2B)。最後に、24個の互いに異なる合成ペプチドを表Iに記載し、dHL60細胞内でAA放出に与える効果を測定した。これら全ての24個のペプチドは、10μMの濃度でAA放出を活性化し(表I)、(K/R/M)KYY(P/V/Y)M(P10、P11、P12、P16、P17、P18、P22、P23、及びP24)、(R/M)KYHVM(P14、P20)、及びMKYYKM(P21)が最も強力な効果を見せることが確認された(表I)。
【0095】
表I 分化されたHL60細胞内で、本発明のペプチドがアラキドン酸の放出に与える効果
【表1】

アラキドン酸の放出は、10μMのペプチドで活性化した[H]アラキドン酸標識された細胞で測定した。
【0096】
[実施例9.2−ペプチド活性化したAA放出に与えるPLAのアイソザイム特異性阻害剤の効果]
PLAのイソ形態がペプチド誘導されたAA放出に関与することを調べるために、いくつかのPLAのイソ形態−特異的阻害剤をいくつかの代表的なペプチドと共に添加した。1μM濃度である場合、dHL60細胞内でAA放出を活性化することが確認された(図3)。cPLA−特異的阻害剤、AACOCF及びMAFPでこれら細胞を予め処理すれば、4個のペプチド、P14、P18、P21、及びP24によってAA誘導を遮断することが確認された(図3)。10μMのMAFP又はAACOCFは、ほぼ4個のペプチドによって誘導された通りにAA放出をほぼ完全に遮断したが、他のPLA阻害剤、BELは、iPLAに特異的ものと知られているが、これはペプチド−誘導されたAA放出を阻害しないことが確認された(図3)。これらペプチドによるAA活性化した放出はまた、細胞内のCa2+とBAPTA/AMのキレート形成によって阻害される。これは、cPLA活性化の特性を維持するものとなることである(データは示していない)。このような結果は、4個のペプチドがdHL60細胞内で、iPLAでないcPLAを活性化することによってAA放出を誘導することを示す。
【0097】
[実施例9.3−dHL60細胞内で[Ca2+の増加に与えるペプチドの効果]
細胞内カルシウムの増加はcPLAの活性化に必須ということはよく知られている(Gijon et al. J. Leukoc. Biol. 1999. 65: 330-336)。dHL60細胞をcPLA阻害剤、MAFPと共に予め培養することによってペプチド−活性化されたAA放出が阻害されるという事実より、前記ペプチドが[Ca2+の増加に影響を与えるか否かについて調査した。表IIに記載されたように、P1及びP7のようないくつかのペプチドは[Ca2+の増加に影響を与えなかったが、多くのペプチドが、dHL60細胞内で1μMで活性化させれば[Ca2+の増加を誘発することが確認された(表II)。ペプチド−誘導された[Ca2+の増加の濃度依存性を調査した。P3、P4、P5、及びP6は、20μMを超える濃度で最大活性を示した(データは示していない)、P10、P11、P12、P16、P17、P18、P22、P23、及びP24は、約3μMで最大活性を示した(データは示していない)。多くの細胞外リガンドは、ヒト白血球細胞でPTX−感受性G−蛋白質を通じて細胞活性を調節するという多くの報告がある(Sano et al. J. Immunol. 2000. 165: 2156-2164; Badolato et al. J. Immunol. 1995. 155: 4004-4010)。ペプチド−誘導された[Ca2+の増加にPTX−感受性G−蛋白質が関与するという可能性を調査するために、各々の24個のペプチドを添加する前に、dHL60細胞をPTX(150ng/ml)で20時間の間処理した。図4に示されているように、各々の活性ペプチド−誘導された[Ca2+の増加は、PTXによってほとんど完全に阻害された。PTX−感受性G−蛋白質−結合された受容体に作用しないリガンドであるATPは、dHL60細胞内で[Ca2+の増加を活性化し、この[Ca2+の増加はPTXによって阻害されなかった(図4)。このような結果は、前記ペプチドがdHL60細胞内でPTX−感受性G−蛋白質を通じて[Ca2+放出を活性化することを示している。
【0098】
表II 分化されたHL60細胞内で細胞内カルシウムの増加に対する本発明のペプチドの効果
【表2】

細胞内カルシウムの増加は、1μMのペプチドで活性化したfura−2ロードされた細胞で調査した。
【0099】
[実施例9.4−ペプチドのセル特異性]
合成されたペプチドが好中球−類似dHL60細胞を活性化させるので、白血球の一種である好中球に与える効果を調査した。ペプチドの一種であるP24で好中球を活性化させれば、[Ca2+が増加することが確認された(図5)。単核球及びU937細胞をP24によって活性化した(図5)。しかし、Raw264.7及びJurkat細胞はP24によって活性化しなかった(図5)。その後、いくつかの非−白血球細胞株で[Ca2+の増加に与えるP24の効果を測定した。しかし、3Y1、PC12、NCI−H292、及びHUVEC細胞株は、[Ca2+の増加の側面からはP24に対して反応しなかった(図5、データは示していない)。このような結果は、前記ペプチド効果が好中球及び単核球に対して特異性を有することを示す。他の活性ペプチドは、白血球−特異性面で類似な結果を示した(データは示していない)。
【0100】
[実施例9.5−超酸化物生成に与えるペプチドの影響]
超酸化物生成は、食細胞による宿主の防御メカニズムにおける重要な段階のうちの一つである(Lambeth et al. J. Bioenerg. Biomembr. 1988. 20: 709-733)。4個の代表的なペプチド(P14、P17、P21、及びP24)がヒト好中球での超酸化物生成に与える効果を実験した。これら4個のペプチドは、ヒト好中球で濃度依存的な方法で超酸化物生成を活性化させることが確認された(データは示していない)。さらに、1μMの各々のペプチドでヒト好中球を活性化させると、超酸化物生成の際に激しい変化を誘発することが確認された(表III)。P24は、ヒト好中球で超酸化物の生成が最も強力であった(表III)。
【0101】
表III ヒト好中球で超酸化物の生成に与えるペプチドの効果
【表3】

1μMのペプチドで活性化させることによって誘発されるシトクロムcの還元量を調査して超酸化物生成を測定した。
【0102】
[実施例9.6−白血球に与えるペプチドの化学走性効果]
4個のペプチド(P14、P18、P21、及びP24)は超酸化物生成を活性化させ、ヒト食細胞で[Ca2+が増加した。これらペプチド−誘導された食細胞活性化現象は、化学走性−誘導される現象と類似している。したがって、前記ペプチドがヒト単核球又は好中球に与える化学走性活性を示すかどうかを調査した。4個の活性ペプチドは、1−10μMの濃度範囲を越える場合に、ヒト好中球の移動を誘導した(図6A)。前記ペプチドによって調節される最大細胞移動−誘導活性は、1μMのfMLFによって誘導される活性に比べて200%以上高かった(図6A)。前記4個のペプチド(P14、P18、P21、及びP24)はまた、ヒト単核球で細胞化学走性を誘導した(図6B)。さらに、前記4個のペプチドは、0.01〜10μMで単核球化学走性を誘導した(図6B)。不活性対照部ペプチドであるLFMYHP(配列番号:36)は、10μMより低い濃度において好中球又は単核球で細胞化学走性を誘導しなかった(図6A及び図6B)。互いに独立的に調製された白血球を利用した4個の実験で、前記4個のペプチドは類似な細胞移動−誘導活性を示した。
【0103】
[実施例9.7−ペプチドの受容体特異性:FPRL1に与える効果]
ペプチド誘導された食細胞活性化は、化学走性物質によって誘導されるのと非常に類似していることが確認された。ホルミルペプチド受容体、FPR、及びFPRL1は、好中球で化学走性受容体としてよく知られている(Le et al. Immunol. Rev. 2000. 177: 185-194; Le et al. Cytokine Growth Factor Rev. 2001. 12: 91-105)。前記ペプチドがFPR又はFPRL1に結合したかどうかを調査するために、FPR−又はFPRL1−発現RBL−2H3細胞で[Ca2+の増加に与えるペプチドの効果を調査した。いかなるペプチドも、FPR−発現RBL−2H3細胞で[Ca2+に影響を与えないことが確認された(データは示していない)。しかし、前記4個のペプチド(P14、P18、P21、及びP24)を含むいくつかのペプチドは、FPRL1−発現RBL−2H3細胞でカルシウム増加を誘導した(図7、データは示していない)。不活性対照部ペプチド(LFMYHP(配列番号:36))は、FPRL1細胞でカルシウム増加を誘導できないことが確認された(図7)。活性ペプチドの中で、カルシウム増加活性効果は各々のペプチドに対して互いに異なることが確認された。これらの結果は、前記4個のペプチド(P14、P18、P21、及びP24)を含むいくつかのペプチドが、FPRでないFPRL1に対するリガンドであることを示す。
【0104】
[実施例9.8−HL60細胞内で前記4個のペプチドの分化状態特異性]
図5は、前記ペプチドが白血球細胞には作用するが、非−白血球細胞には作用しないことを示す。多くの細胞内リガンドは細胞分化状態特異性を見せることが報告されている(Rabin et al. J. Immunol. 1999. 162: 3840-3850; Berardi et al. Blood. 1995. 86: 2123-2129)。分化されていないHL60細胞及び分化されたHL60細胞内で前記ペプチドが[Ca2+の増加に与える効果を調査することにより、前記ペプチドが骨髄球でこのような分化状態特異性を見せるかどうかを調査した。表IIに記載されたように、前記4個のペプチドは、dHL60細胞内で[Ca2+の増加を活性化させた。未分化のHL60細胞を前記4個のペプチドで活性化させた場合、[Ca2+がP18及びP24によって急激に誘導されることが確認された(図8)。他の2個のペプチド、P14及びP21は、HL60細胞内で[Ca2+の増加に影響を与えなかった(図8)。好中球又はdHL60細胞とは異なって、未分化のHL60細胞は、細胞表面でFPR又はFPRL1を発現しなかった(Prossnitz et al. J. Immunol. 1993. 151: 5704-5715)。また、fMLF(FPR−特異なリガンド)又はリポキシン(lipoxinA4)(FPRL1−特異的なリガンド)は、HL60細胞内で[Ca2+の増加に影響を与えなかった。これは、HL60細胞はFPR又はFPRL1を発現させないということを示す。このような結果は、FPRL1を除いた受容体は、ペプチドP18及びP24によって活性化されるということを提示する。しかも、P14及びP21は、dHL60細胞及びFPRL1−発現RBL−2H3細胞を活性化させた。これは2個のペプチドが分化状態特異性を示すということを意味する。
【0105】
[実施例9.9−前記4個のペプチドによる細胞内シグナル伝達の比較]
細胞内で信号調節された蛋白質キナーゼ(ERK)は、多様な細胞内反応に関与するよく知られた細胞内酵素である(Sugden et al. Cell Signal. 1997. 9: 337-351)。化学走性物質はERK活性を活性化させ、これは白血球細胞の調節でいくつかの重要な段階になることができるという多くの報告がある(Woo et al. J. Biol. Chem. 2002. 277: 8572-8578; Brill et al. J. Immunol. 2001. 166: 7121-7127)。最近の研究で本発明者等は、dHL60細胞を4個のペプチド(P14、P18、P21、及びP24)で活性化させればERKのリン酸化水準が急激に増加するを見出した(図9)。しかも、これらペプチド誘導されたERK活性化は時間依存的であり、活性化後の5分になった時点で最大活性を示した(データは示していない)。これら4個のペプチドに係った細胞内シグナル伝達を比較するために、dHL60細胞をLY294002(50μM)、GF109203X(5μM)、又はPD98059(50μM)で予め処理したり、対照部として未処理のままの状態にした。一定の期間の間(LY294002及びGF109203Xに対して15分、PD98059に対し60分)培養した後、細胞を5分間各々のPEBPEIDE1μMで活性化した。図9に示されているように、P14−誘導されたERKリン酸化は、LY294002、GF109203X、又はPD98059によって遮断され、これは、ペプチド−誘導されたERK活性化は、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ(PI−3K)、蛋白質キナーゼC(PKC)、又はMEK−依存的ということを示しているものである。P18−誘導されたERKリン酸化はGF109203Xによって完全に遮断されるが、LY294002によっては遮断されない(図9)。PD98059は、P18−誘導されたERKリン酸化を部分的に遮断した(図9)。P21はまた、PI3K及びMEK−依存性を見せるERKリン酸化を誘発させた(図9)。P24−誘導されたERKリン酸化は部分的にLY294002によって遮断されたが、GF109203Xによっては遮断されなかった(図9)。このような結果は、4個のペプチドが重なったり重ならない細胞内信号経路を活性化させて、結果的にdHL60細胞内でERK活性化させるということを暗示する。
【0106】
本明細書の全ての文献は本発明の明細書に参考として引用された。
【0107】
この分野における通常の知識を有する者は、通常の実験を通じて本明細書に具体的に記載された実施例に対する多くの均等物を認識したり確認することができる。このような均等物が本発明の範囲に含まれることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】dHL60細胞内でAA放出を活性化するペプチドに対する、PS−SPCLsの初期スクリーニング結果を示したものである。各パネルは、ヘキサペプチドの6個の位置各々での公知のアミノ酸を含むペプチドプール(pool)を利用して得た結果である。前記6個の位置(O1、O2 etc.)は、各々19L−アミノ酸のうちの一つと定義されている。残りの5個の位置は、19L−アミノ酸(システイン以外)の混合物(X)で構成されている。(H)AA−標識された分化HL60細胞(1×10cells/100μl)は各分析に使用された。AA放出は、実施例に記載された方法で測定した。その結果は、4回反復実験して得たものである。
【図2】dHL60細胞において、AA放出に関するPS−SPCLsのスクリーニング結果に基づいて合成されたいくつかのペプチド候補物質を示したものである。(H)AA−標識分化されたHL60細胞を、1μM濃度のペプチド又は1μMのfMLFで活性化して、AA放出を測定した。その結果は、3回の独立的な実験の平均±S.E.で示した。*ビークル処理に比べてP<0.01であった。
【図3】c PLA活性化から誘導されるペプチド−誘導性AA放出を示した図である。dHL60細胞は0.1%脂肪酸のないBSAを含有するHBSSに懸濁し、10μMのMAFP、AACOCF、及びBELがあるか又はない条件で37℃で15分間培養し、1μMの各ペプチド又は対照部としてビークルで30分間活性化した。(H)−アラキドン酸の細胞外への放出は、液体閃光計数器で測定した。その結果は、全体の細胞放射性量に対する百分率で示した(平均値±S.E.(n=6))。
【図4】dHL60細胞内でペプチド−誘導性[Ca2+の増加に与えるPTXの効果を示した図である。dHL60細胞は、PTX(150ng/ml)があるか又はない条件で20時間培養し、細胞をfura−2にロードした。fura−2−ロードされたdHL60細胞を、1μMの各ペプチド又は500μMのATPで活性化した。340/380nmの変化を観察した。その結果は4個の独立的な実験結果であり、データは、4個実験の平均値±S.E.で示したものである。
【図5】多様な起源(origins)の細胞で[Ca2+の増加に与えるP24の効果を示した図である。各々の細胞は、50分間fura−2と共にロードした。細胞を10μMで活性化し、[Ca2+の増加を観察した。データは、3個の独立的な実験の平均値±S.E.で示した。
【図6】ペプチドの化学走性効果を示した図である。分析は、実施例に記載されたmodified Boyden chamber assayを使用して実施した。分離されたヒトの好中球(A)又は単核白血球(B)(1×10cells/ml in serum free RPMI)を96−ウエル化学走性チャンバーの上部ウエルに添加し、37℃で2時間の間培養した後、3μMの気孔大きさを有するポリカーボネート膜を通過して移動することを観察した。移動した細胞の数を、高出力電界(400X)で計数して決定した。結果は、3回の独立的な実験を各々二回ずつ実施して、平均値±S.E.で示したものである。
【図7】FPRL1−発現 RBL−2H3細胞内で[Ca2+]iの増加に与えるペプチドの効果を示した図である。Fura−2にロードされたFPRL1−発現RBL−2H3細胞を10μMの各ペプチドで活性化し、[Ca2+]iの増加を観察した。図面は、少なくとも3回の独立的な実験のうちの一つの代表的な実験の結果を示したものである。
【図8】HL60細胞内で[Ca2+]iの増加に与えるペプチドの効果を示した図である。Fura−2にロードされたHL60細胞は10μMの各ペプチドで活性化し、[Ca2+]iの増加を観察した。図面は、少なくとも3回の独立的な実験のうちの一つの代表的な実験の結果を示したものである。
【図9】dHL60細胞内で、ペプチド−活性化されたERKリン酸化の調節を示した図である。dHL60細胞を10μMの各ペプチド又はビークル単独で2分間処理する前に、ビークル又は10μMのLY294002、5μMのGFX、又は50μMのPD98059と共に15分間事前に培養した。各ペプチド(30μgの蛋白質)を8%のSDS−PAGEで処理し、リン酸化されたERKを抗−ホスホ−ERK抗体で、免疫ブロット分析(immunoblot analysis)によって定量した。図面は、少なくとも3回の独立的な実験のうちの一つの代表的な実験の結果を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号:3、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22、又は配列番号:23を含む群より選択されるポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項3】
単クローン抗体である、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
請求項1に記載のポリペプチドをエンコードする、分離された核酸。
【請求項5】
請求項4に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項6】
請求項5に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項7】
標的細胞でアラキドン酸の発現を誘導するアラキドン酸発現誘導方法であって、
(a)プロモーターに連結された請求項1に記載のポリペプチドをエンコードするDNA配列を含む、組換えウイルス又はプラスミドベクターを生成する段階;
(b)前記組換えウイルス又はプラスミドベクターを必要とする哺乳類(ヒトを除く)に投与して、前記標的細胞での前記DNA配列の発現がアラキドン酸を発現させる段階;
を含むアラキドン酸発現誘導方法。
【請求項8】
前記標的細胞は白血球又は食細胞である、請求項7に記載のアラキドン酸発現誘導方法。
【請求項9】
請求項1に記載のポリペプチドと標的細胞を接触させる段階を含む、前記標的細胞でアラキドン酸の発現を誘導するアラキドン酸発現誘導方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)。
【請求項10】
前記標的細胞は白血球又は食細胞である、請求項9に記載のアラキドン酸発現誘導方法。
【請求項11】
請求項1に記載のポリペプチドと標的細胞を接触させる段階を含む、前記標的細胞でPLA2を活性化するPLA活性化方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)。
【請求項12】
前記PLAはc PLAである、請求項11に記載のPLA活性化方法。
【請求項13】
前記標的細胞は白血球又は食細胞である、請求項11に記載のPLA活性化方法。
【請求項14】
請求項1に記載のポリペプチドと標的細胞を接触させる段階を含む、前記標的細胞で超酸化物を生成させる超酸化物生成方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)。
【請求項15】
前記標的細胞は白血球又は食細胞である、請求項14に記載の超酸化物生成方法。
【請求項16】
請求項1に記載のポリペプチドと標的細胞を接触させる段階を含む、前記標的細胞の移動を誘導する標的細胞移動誘導方法(ヒト生体内で処理を行うことを除く)。
【請求項17】
前記標的細胞はFPRL1を発現させるものである、請求項16に記載の標的細胞移動誘導方法。
【請求項18】
前記標的細胞はFPRを発現させないものである、請求項17に記載の標的細胞移動誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−261412(P2009−261412A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160485(P2009−160485)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【分割の表示】特願2006−502701(P2006−502701)の分割
【原出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【出願人】(502258417)ポスコ (73)
【出願人】(503367099)ポステック ファンデーション (15)
【Fターム(参考)】