白金族金属を含まない触媒
本発明は、触媒を含み白金族金属を含まない触媒系にリッチ排気を晒すことによって、窒素酸化物の低減性能を向上することに関する。本発明はまた、排気の一部を第1触媒系及び第2触媒系に晒す際、中間工程として、排気の一部に空気を導入することによって、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させることにも関する。本発明はまた、(1)1.0を超えるR値を有するリッチ排気を、触媒を含み白金族触媒を含まない第1触媒系に晒すこと、並びに(2)第1触媒系と白金族金属を含まない第2触媒系に晒す際、中間工程として、排気の一部に空気を導入することによって、窒素酸化物、一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させることにも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白金族金属を含まない触媒にリッチ排気を晒すことによって、排気中の窒素酸化物の低減を向上することに関する。本発明はまた、第1触媒系と第2触媒系に晒す間の工程として、排気の一部に空気を導入することによって、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させることにも関する。本発明はまた、(1)R値が1.0を超えるリッチ排気を、触媒を含み白金族触媒を含まない第1触媒系に晒すこと、並びに(2)第1触媒系及び白金族金属を含まない第2触媒系に晒す間の工程として、排気の一部に空気を導入することによって、窒素酸化物、一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させることにも関する。
【背景技術】
【0002】
触媒コンバータにおける触媒は、例えば、自動車、用役設備、処理及び製造プラント、航空機、電車、全地形対応車、船、鉱山設備、並びに他のエンジン搭載機械などの種々の発生源から排出される汚染を減少するために使用されてきた。このように使用される一般的な触媒は、三元触媒「TWC」である。TWCは、一酸化炭素と炭化水素と窒素酸化物を、より害の少ない化合物又は汚染物質に変換する機能を果たす。具体的には、TWCは、窒素酸化物から窒素及び酸素への還元、一酸化炭素から害のより少ない二酸化炭素への酸化、未燃焼炭化水素から二酸化炭素及び水への酸化を、同時に行うよう機能する。従来技術において、TWCは、少なくとも数種類の白金族金属を用いて作製される。白金族金属とは、別途記載しない限り、本願において、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、及びロジウムを意味する、と本明細書において定義する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排出物として許容されるための規定はより厳しくなっており、排気から汚染物質を除去する際における白金族金属の効率に起因して、白金族金属に対する需要は増え続けている。しかし、この需要は、白金族金属に対する他の需要と相まって白金族金属の供給に負担をかけ、ついには白金族金属の費用を押し上げ、これにより触媒及び触媒コンバータの費用も押し上げる。それゆえ、白金族金属を必要とせず、かつ従来技術の触媒と同様又はそれに勝る効率を有する触媒が必要とされている。
【0004】
加えて、白金族金属を用いたTWCに関するエンジンは、化学量論条件又は、ほぼ同様の条件で機能する。しかし、驚くべきことに、本発明の触媒は、リッチ作動条件下で窒素酸化物低減性能の大幅な向上を示す。さらに、本発明は、第1触媒系及び第2触媒系に晒す間の工程として、空気を導入することによって排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、窒素酸化物の排出を低減する方法であって、リッチ排気を触媒に晒す工程を含む方法に関する。リッチ排気のR値は1.0を超え、触媒は白金族金属を実質的に含まない。触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、又は混合金属酸化物触媒であってよい。一実施形態によれば、触媒系は、白金族金属を全く含まない。一実施形態において、リッチ排気はエンジンに由来する。
【0006】
本発明の別の実施形態は、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上する方法であって、排気を第1触媒系に晒す工程と、排気の少なくとも一部を連続する第2触媒系に晒す工程と、第2触媒系に晒す前に、排気の一部(好ましくは、制限なく全て)に空気対燃料比が約14.7を超える空気を導入する工程と、を含む方法に関する。第1触媒系は第1触媒を含み、白金族金属を含まない。第2触媒系は第2触媒を含み、白金族金属を実質的に含まない。一実施形態において、第1触媒系に晒した後、空気の導入の前に追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気の導入の後に追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気の導入の前後において、排気の一部は第2触媒系に晒す工程を回避(bypass)してもよい。一実施形態において、第1触媒及び/又は第2触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、又は混合金属酸化物触媒を含んでよい。
【0007】
第1及び第2触媒系は、同じであっても異なっていてもよい。別の実施形態において、第1及び/又は第2触媒系は、白金族金属を全く含まない。別の実施形態において、第2触媒系は、少なくとも1種の白金族金属を含む。別の実施形態において、空気は、酸素を任意の量で含む。
【0008】
本発明の別の実施形態は、排気中の炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物の低減を向上する方法であって、R値が1.0を超える排気を、第1触媒を含み白金族金属を含まない第1触媒系に晒す工程を含む方法に関する。次いで、排気の一部を、第2触媒を含み白金族金属を含まない第2触媒系に晒す工程を含み、第1触媒系及び第2触媒系は連続している(in series)。最後に、第1触媒系に晒した後、空気を導入する工程を含み、空気導入後の排気の一部は約14.7を超える空気対燃料比である。
【0009】
[定義]
以下の定義は、本発明を明確にするために提供される。
用語「触媒系」は、図1、2、3に、それぞれ、構造1、構造2、構造3として示されるように、基材と、ウォッシュコートと、任意選択的にオーバーコートを意味すると本明細書において定義される。
【0010】
用語「基材」は、触媒を担時するための、当該技術分野において公知で任意の材料を意味すると本明細書において定義される。限定されないが、ハニカム、ペレット、又はビーズを含め、ウォッシュコート及び/又はオーバーコートの堆積に十分な表面積を与える任意の形状又は構成を有し得る。
用語「ウォッシュコート」は、基材と一体となる、1つ又は複数の酸化物固体を含むコーティングを意味すると本明細書において定義される。
用語「オーバーコート」は、基材及びウォッシュコートと一体となる、1つ又は複数の酸化物固体を含むコーティングを意味すると本明細書において定義される。
【0011】
用語「酸化物固体」は、担体材料酸化物、触媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を意味すると本明細書において定義される。
【0012】
用語「担体材料酸化物」は、少なくとも1種の触媒に表面を提供するために使用される材料を意味すると本明細書において定義され、酸素貯蔵材料、酸化アルミニウム、ドープ酸化アルミニウム、スピネル、デラフォサイト、ライオンザイト、ガーネット、ペロブスカイト、パイロクロア、ドープセリア、ホタル石、酸化ジルコニウム、ドープジルコニア、酸化チタン、酸化スズ、二酸化ケイ素、ゼオライト、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を含む。
用語「酸素貯蔵材料」は、酸素リッチな供給流から酸素を取り出し、酸素欠乏供給流に酸素を放出することができる材料を意味すると本明細書において定義される。酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、ランタニド、アクチニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の酸化物を含む。
【0013】
用語「触媒」は、窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素、及び/又は硫黄の量を減少させるための、白金族金属を含まない、好ましくは白金族金属を全く含まない触媒を意味すると本明細書において定義される。
【0014】
用語「ZPGM遷移金属触媒」は、1つ又は複数の遷移金属を含む触媒を意味すると本明細書において定義される。
用語「混合金属酸化物触媒」は、少なくとも1種の遷移金属及び少なくとも1種の他の金属を含む触媒を意味すると本明細書において定義される。
用語「ゼオライト触媒」は、少なくとも1種のゼオライト及び少なくとも1種の遷移金属を含む触媒を意味すると本明細書において定義される。
【0015】
用語「遷移金属」は、白金族金属を除いた周期表の遷移金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、ウンウンビウム、及びガリウムを意味すると本明細書において定義される。
用語「銅」は、銅、銅錯体、銅原子、又は当該技術分野で公知の他のいずれの銅化合物も意味すると本明細書において定義される。
【0016】
用語「含まない」は、実質的に含まない又は完全に含まないことを意味すると本明細書において定義される。
用語「含浸成分」は、触媒を含むウォッシュコート及び/又はオーバーコートを与えるために、ウォッシュコート及び/又はオーバーコートに添加される1つ又は複数の成分を意味すると本明細書において定義される。含浸成分は、遷移金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、セリウム、ランタン、イットリウム、ランタニド、アクチニド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を含む。
【0017】
用語「堆積させる」、「堆積した」又は「堆積」は、限定されないが、取り付け(placing)、付着、硬化、コーティング(例えば真空コーティング)、噴霧、浸漬、塗装、及び基材に膜を塗布する任意の公知の方法を含むと本明細書において定義される。
用語「処理する」、「処理された」、又は「処理」は、限定されないが、析出、乾燥、焼成、加熱、蒸発、か焼、又はこれらの組合せを含むと本明細書において定義される。
【0018】
用語「白金族金属」は、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、及びロジウムを意味すると本明細書において定義される。
【0019】
用語「一体となる」は、ウォッシュコート及び/又はオーバーコートが、基材と、又は互いに関わり合って、互いに直接接触し得るようにするか、あるいは互いに付随し得るようにすることを意味する。それらの各々の間には、何かが存在し得る。例えば、オーバーコートは基材と一体となり得るが、基材とオーバーコートとの間にウォッシュコートが存在し得る、と本明細書において定義される。
【0020】
用語「R値」は、還元体のモル数を酸化体のモル数で除した値を意味すると本明細書において定義される。
【0021】
用語「排気」は、炭化水素、窒素酸化物、及び/又は一酸化炭素を含めたプロセスによって生成され、その終わりに放出されるガス、蒸気、及び噴煙の放出を意味すると本明細書において定義される。
【0022】
用語「空気対燃料(A/F)比」は、排気中に存在する空気対燃料の質量比を意味すると本明細書において定義される。
【0023】
用語「導入」は、注入、挿入、吹き込み、添加、滴下、又はこれらの組合せを意味すると本明細書において定義される。
【0024】
用語「空気」は、100%以下の酸素を含めて、任意の量で酸素を含む任意のガスを意味すると本明細書において定義される。
【0025】
用語「転化」は、有害な化合物(例えば、限定されないが、炭化水素、一酸化炭素、硫黄、及び窒素酸化物)から、害の少ない及び/又は無害の化合物(例えば、限定されないが、水、二酸化炭素、及び窒素)への変化を意味すると本明細書において定義される。
【0026】
用語「低減」は、量の減少、低下又は軽減を意味すると本明細書において定義される。
【0027】
触媒系の例は、「ZPGM」と数字、例えば「ZPGM−1」と表示される。触媒の例は、「タイプ」と文字、例えば「タイプA」と表示される。
【0028】
本明細書において議論される全てのパーセンテージは、別途示さない限り質量パーセントである。本明細書において議論される全ての比は、別途示さない限り質量比である。
【0029】
[詳細な説明]
本発明の触媒系は、白金族金属を含まず、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素、及び硫黄排出物の少なくとも1種の量を減少させ、1つ又は複数の触媒を含む。
【0030】
基材
本発明の基材は、限定されないが、屈折性材料、セラミック基材、ハニカム構造体、金属基材、セラミック発泡体、金属発泡体、網状発泡体、又は好適な組合せであってよい。基材は、複数のチャネル及び少なくとも必要な気孔率を有する。気孔率は、当該技術分野で公知のように基材依存性である。さらに、チャネルの数は、当該技術分野で公知のように、使用される基材に依って変動し得る。以下、モノリス基材において見出されるチャネルについて、詳細に記載する。好適な基材のタイプ及び形状は、当業者に明らかであろう。好ましくは、全ての基材は、金属又はセラミックのいずれであっても、三次元支持構造体を付与する。
【0031】
一実施形態において、基材はビーズ又はペレットの形態であってよい。ビーズ又はペレットは、限定されないが、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ、チタニア、これらの混合物、又は任意の好適な材料から形成されたものでよい。別の実施形態において、基材は、限定されないが、ハニカム基材であってよい。ハニカム基材は、セラミックハニカム基材又は金属ハニカム基材であってよい。セラミックハニカム基材は、例えば、限定されないが、シリマナイト、ジルコニア、ペタル石、リチア輝石(リチウムアルミニウムシリケート)、ケイ酸マグネシウム、ムライト、アルミナ、コーディエライト(例えば、Mg2A14Si5O18)、他のアルミノケイ酸材料、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、又はこれらの組合せから形成されていてよい。他のセラミック基材は、当業者に明らかであろう。
【0032】
基材が金属ハニカム基材であるとき、金属は、限定されないが、耐熱性卑金属合金であってよい。特に、鉄が実質的又は主成分である合金であってよい。金属基材の表面を、約1000℃を超える高温で酸化し、合金の表面に酸化物層を形成することによって、合金の耐食性を改善することができる。この合金の表面上の酸化物層は、モノリス基材の表面に対するウォッシュコートの付着性を高めることもできる。
【0033】
一実施形態において、基材は、モノリスが伸長した、複数の精密な並行流路を有するモノリス担体であってよい。当該流路は、任意の好適な断面形状及び/又はサイズを有することができる。当該流路は、例えば、限定されないが、台形、長方形、正方形、正弦曲線状、六角形、だ円形、又は円形とすることができ、その他の好適な形状としてもよい。モノリスは、断面1平方インチ当たり約9〜1200以上のガス入口開口部又は経路を含み得るが、より少ない経路を用いてよい。
【0034】
基材は、粒状物のフィルタとして好適な任意のものでもよい。基材のいくつかの好適な形態として、限定されないが、織布フィルタ、特に織布セラミック繊維フィルタ、金網、ディスクフィルタ、セラミックハニカムモノリス、セラミック又は金属発泡体、壁流フィルタ、及び他の好適なフィルタを挙げることができる。壁流フィルタは、自動車排気ガス触媒用のハニカム基材に類似する。壁流フィルタのチャネルは、排気ガスが壁流フィルタの入口から出口を移動しながら壁流フィルタの多孔壁を通って強制的に流れるよう、入口及び出口において交互に塞がれ得るという点において、通常の自動車排気ガス触媒を形成するために使用され得るハニカム基材とは異なり得る。
【0035】
ウォッシュコート
実施形態によれば、本発明の触媒の少なくとも一部をウォッシュコートの形態の基材に配置してよい。ウォッシュコート中の酸化物固体は、1つ又は複数の担体材料酸化物、1つ又は複数の触媒、又は担体材料酸化物(複数可)及び触媒(複数可)の混合物であってよい。担体材料酸化物は、高温(>1000℃)で、かつ酸化還元条件の範囲において通常安定である。好ましい酸素貯蔵材料は、セリア及びジルコニアの混合物であり、より好ましくは、(1)セリア、ジルコニア、及びランタンの混合物、又は(2)セリア、ジルコニア、ネオジム、及びプラセオジムの混合物である。
【0036】
一実施形態によれば、本発明の触媒が少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含む場合、触媒は、約10〜90質量%、好ましくは約20〜80質量%、より好ましくは約40〜75質量%の酸素貯蔵材料を含んでよい。酸素貯蔵材料の質量%は、酸化物を基準とする。
【0037】
本発明のいずれかのウォッシュコートを、種々の量、好ましくは基材の表面積の殆ど又は全部を覆う量で、基材と一体にすることができる。一実施形態において、約80〜250g/Lのウォッシュコートを基材と一体にすることができる。
【0038】
一実施形態において、ウォッシュコートは、酸化物固体を水に懸濁させて水性スラリーを形成すること、及び水性スラリーを基材にウォッシュコートとして堆積させることによって基材に形成することができる。
【0039】
水性スラリーには、他の成分を任意選択的に添加してよい。他の成分、例えば酸もしくは塩基溶液又は種々の塩もしくは有機化合物を水性スラリーに添加してスラリーのレオロジーを調整し、及び/又はウォッシュコートの基材への結合を高めてよい。レオロジーを調整するために使用され得る化合物のいくつかの例として、限定されないが、水酸化アンモニウム、水酸化アルミニウム、酢酸、クエン酸、テトラエチル水酸化アンモニウム、他のテトラアルキルアンモニウム塩、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリセロール、市販のポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及び他の好適なポリマーが挙げられる。
【0040】
スラリーを任意の好適な方法で基材に配置してよい。例えば、限定されないが、基材をスラリー中に浸漬してもよく、又はスラリーを基材に噴霧してもよい。当業者に知られている、スラリーを基材上に堆積させる他の方法を、代替の実施形態において使用してよい。基材が並行な流路を有するモノリス担体である場合、ウォッシュコートは経路の壁に形成されていてよい。流路を通って流れるガスは、経路の壁におけるウォッシュコート並びに当該ウォッシュコートに支持されている材料と接触することができる。
【0041】
酸素貯蔵材料は、ウォッシュコートスラリーのレオロジーを改善できると考えられる。そのような改善は、触媒系のプロセス制御及び/又は製造においてみられる。酸素貯蔵材料の存在によるウォッシュコートスラリーの高いレオロジーは、ウォッシュコートスラリーの基材に対する付着力を高めることができる。
【0042】
触媒系の構造
本発明の触媒系は、以下の3つの構造のうち1つを有し得る。一実施形態において、触媒系は、基材(1)及びウォッシュコート(2)を含んでよく、ウォッシュコートは、少なくとも1種の触媒を含む。図1(構造1)を参照のこと。別の実施形態において、触媒系は、基材(1)、ウォッシュコート(2)、及びオーバーコート(3)を含んでよく、ウォッシュコート(2)及びオーバーコート(3)は、それぞれ、少なくとも1種の触媒を含む。図2(構造2)を参照のこと。別の実施形態において、触媒系は、基材(1)、ウォッシュコート(2)、及びオーバーコート(3)を含んでよく、オーバーコート(3)は少なくとも1種の触媒を含むが、ウォッシュコート(2)は触媒を含まず、好ましくは完全に含まない。図3(構造3)を参照のこと。第3触媒系の構造のウォッシュコート(2)は、担体材料酸化物又はこれらの混合物を含む。当業者に知られている他の成分が含まれていてもよい。
【0043】
図1〜3に示す構造は、層がどのような順序で適用されるかを示すが、最終生成物は、限定されないが、層間で起こり得る反応に起因して、示されているような層を有さなくてもよい。
【0044】
触媒を含むウォッシュコート(2)又はオーバーコート(3)が必要とされる事象において、ウォッシュコート(2)は、3つの異なる方法で堆積されてもよい。初めに、全ての所望の成分を一工程で堆積させる。あるいは、第2に、触媒を含まない成分を堆積させ、次いで少なくとも1種の含浸成分を別々に堆積させ、加熱する(この別々の堆積は、含浸工程とも称される)。含浸成分は、限定されないが、遷移金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、セリウム、ランタン、イットリウム、ランタニド、アクチニド、又はこれらの混合物を含む。含浸工程では、金属塩を、触媒を含むウォッシュコート(2)を生成する金属酸化物に転化する。第3に、金属塩を含めた全ての所望の成分を一度に堆積させ、次いで加熱して金属塩を金属酸化物に転化する。
【0045】
オーバーコート(3)は、ウォッシュコート(2)の処理後に典型的には適用されるが、全ての実施形態においてオーバーコート(3)の適用前に処理が必要というわけではない。好ましくは、オーバーコート(3)は、ウォッシュコート(2)の後に適用される。
【0046】
一実施形態によれば、触媒系は、基材(1)、並びにZPGM遷移金属触媒、混合金属酸化物触媒、及びゼオライト触媒からなる群から選択される1つ又は複数の触媒を含む。
【0047】
ZPGM遷移金属触媒
一実施形態によれば、本発明の触媒系は、ZPGM遷移金属触媒を含む。ZPGM遷移金属触媒は、1つ又は複数の遷移金属を含む。好ましくは、遷移金属は、銅、ニッケル、鉄、マンガン、銀、コバルト、タングステン、ニオブ、モリブデン、又はクロムである。より好ましくは銅、ニッケル、鉄、又はマンガンである。最も好ましくは銅、ニッケル、又はコバルトである。
【0048】
一実施形態によれば、ZPGM遷移金属触媒は、1つ又は複数の担体材料酸化物を任意選択的に含む。好ましくは、触媒は、ペロブスカイト、スピネル、ライオンザイト、酸素貯蔵材料、アルミナ、又はこれらの混合物を含む。より好ましくはスピネル、酸素貯蔵材料、アルミナ、又はこれらの混合物を含む。最も好ましくは少なくとも1種のスピネル及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料、又はアルミナ及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含む。
【0049】
本発明の触媒が少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含む場合、触媒は、約10〜90質量%、好ましくは約20〜80質量%、より好ましくは約40〜75質量%の酸素貯蔵材料を含んでよい。酸素貯蔵材料の質量%は、酸化物を基準とする。
【0050】
本明細書に記載されているいずれの触媒系についても、触媒は、1つ又は複数の遷移金属、アルカリ土類金属、セリア、及びこれらの混合物を任意選択的にさらに含んでよい。好ましくは、遷移金属は、鉄、マンガン、又はこれらの混合物である。好ましくは、アルカリ土類金属は、マグネシウム、バリウム、又はこれらの混合物である。
【0051】
一実施形態によれば、「タイプH」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、ニオブ、モリブデン、及びタングステンを含めた遷移金属の混合物であってよい。好ましい遷移金属は、銅、ニッケル及びコバルトである。遷移金属(複数可)の総量は、総触媒質量の約5〜50質量%で存在し、遷移金属の任意の比で存在してよい。
【0052】
一実施形態によれば、「タイプD」と称される触媒は、銅及び1つ又は複数の担体材料酸化物を含む。任意選択的に、さらなる遷移金属が含まれていてよい。本明細書において議論されているように、銅が含浸によって付けられてもよい。銅は約5〜50質量%、好ましくは約5〜30%、より好ましくは約15質量%で触媒に存在していてよい。
【0053】
一実施形態によれば、「ZPGM−6」と称される触媒系は、基材、ウォッシュコート、及びオーバーコートを含む。基材は、コーディエライトを含む。ウォッシュコートは、スピネル及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料はセリウム、ジルコニウム、及びランタンの混合物である。この実施形態におけるスピネルは酸化アルミニウムマグネシウムを含む。さらに、酸素貯蔵材料及びスピネルは、40:約60の質量比でウォッシュコート中に存在していてよい。含浸工程が必要である場合、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを添加及び加熱することで、金属塩を、触媒を含むウォッシュコートを生成する金属酸化物に転化してよい。オーバーコートは、酸化銅、スピネル、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。この実施形態におけるスピネルは酸化アルミニウムマグネシウムを含む。オーバーコートのスピネル及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でオーバーコート中に存在していてよい。銅は、約5〜50%、好ましくは約10〜16質量%でオーバーコート中に存在していてよい。
【0054】
一実施形態によれば、「ZPGM−5」と称される触媒系は、基材、ウォッシュコート、及びオーバーコートを含む。基材はコーディエライトを含む。ウォッシュコートは、ランタン−ドープ酸化アルミニウム及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。さらに、酸素貯蔵材料及びランタン−ドープ酸化アルミニウムは、約40:約60の比でウォッシュコート中に存在していてよい。任意選択的な含浸成分は、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを含む。オーバーコートは、酸化銅、ランタン−安定化酸化アルミニウム、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。オーバーコートの酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約75:約25の比でオーバーコート中に存在していてよい。銅は約5〜50%、好ましくは約15質量%でオーバーコート中に存在していてよい。
【0055】
一実施形態によれば、「ZPGM−4」と称される触媒系は、基材、ウォッシュコート、及びオーバーコートを含む。ウォッシュコートは、スズ酸化アルミニウム及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。スズ酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約25:75〜約75:25の比で、好ましくは約60:約40の比でウォッシュコート中に存在していてよい。任意選択的な含浸成分は、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを含む。オーバーコートは、アルミニウム、銅、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、及びランタンの混合物を含む。酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でオーバーコート中に存在していてよい。一実施形態によれば、オーバーコート中に、約5〜30質量%、好ましくは約10〜20質量%、より好ましくは約12質量%の銅が存在する。
【0056】
一実施形態によれば、「ZPGM−3」と称される触媒系は、基材及びウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、銅、スズ酸化アルミニウム、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。スズ酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でウォッシュコート中に存在していてよい。含浸工程が用いられるとき、含浸成分は、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを含む。セリウム、ジルコニウム、及びランタンは、約60:約30:約10の比でウォッシュコート中に存在していてよい。ウォッシュコートは、さらなる遷移金属を含んでよい。一実施形態によれば、約5〜30質量%の銅、好ましくは約10〜20%、より好ましくは約12%がウォッシュコート中に存在する。
【0057】
一実施形態によれば、「ZPGM−2」と称される触媒系は、基材及びウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、限定されないが、銅、酸化アルミニウム、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含んでよく、好ましくは、酸素貯蔵材料はセリウム、ジルコニウム、及びランタンの混合物である。酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でウォッシュコート中に存在していてよい。ウォッシュコート中の銅は、約5〜20質量%、好ましくは約8%であってよい。ウォッシュコートコートは、さらなる遷移金属及び/又はセリアを任意選択的に含んでよい。
【0058】
一実施形態によれば、「ZPGM−1」と称される触媒系は、基材及びウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、少なくとも1種の担体材料酸化物及びペロブスカイトを含む。好ましくは、担体材料酸化物は、酸素貯蔵材料を含み、より好ましくは、セリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を含む。ペロブスカイトは、好ましくは、特定の式Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4O3を有する、セリウム、ランタン、マンガン及び銅の混合物である。
【0059】
一実施形態によれば、「タイプA」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属、少なくとも1種のアルカリ土類金属、セリウム、及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属、アルカリ土類金属及びセリウムは、3成分の任意の比において約5〜50質量%で存在する。好ましくは、アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、及びストロンチウムからなる群から選択される1つ又は複数を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、及びタングステンを含めた遷移金属の混合物であってよい。
【0060】
一実施形態によれば、「タイプC」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属、少なくとも1種のアルカリ土類金属、及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀を含めた遷移金属の混合物であってよい。アルカリ土類金属は、限定されないが、マグネシウム、カルシウム、バリウム又はストロンチウムであってよい。好ましい遷移金属は、銅、ニッケル、及びコバルトであり、好ましいアルカリ土類金属は、バリウム及びストロンチウムである。アルカリ土類金属及び遷移金属は、約1:10〜1:1のモル比において、触媒の約2〜50質量%存在してよい。
【0061】
一実施形態によれば、「タイプE」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び式ABO3を有するペロブスカイトを含む。遷移金属は、限定されないが、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀であってよい。好ましくは、遷移金属は、銅、ニッケル、及び/又はコバルトである。「A」は、ランタン、セリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ランタニド、アクチニド、又はこれらの混合物を含む。「B」は、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルト、セリウム、又はこれらの混合物を含む。遷移金属(複数可)は、約2〜30質量%存在する。
【0062】
一実施形態によれば、タイプE触媒は、ペロブスカイト(ABO3)、少なくとも1種の遷移金属、及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、銀、又はこれらの混合物を含めた遷移金属の混合物であってよい。ペロブスカイト及び遷移金属は、約5〜50質量%存在する。
【0063】
実施形態によれば、「タイプG」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び式AB2O4を有するスピネルを含む。遷移金属は、限定されないが、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀であってよい。好ましい遷移金属として、銅、ニッケル、及びコバルトが挙げられる。より好ましくは銅が挙げられる。「A」及び「B」は、それぞれ、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ガリウム、ニッケル、銅、コバルト、鉄、クロム、ニオブ、チタン、スズ、又はこれらの混合物を含む。好ましいスピネルは、MgAl2O4である。遷移金属(複数可)は、約2〜30質量%存在する。
【0064】
一実施形態によれば、タイプG触媒は、スピネル(AB2O4)、遷移金属、及び担体材料酸化物である。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び/又は銀を含めた遷移金属の混合物であってよい。好ましいスピネルは、MgAl2O4である。スピネル及び遷移金属(複数可)は、約5〜約50質量%存在する。
【0065】
混合金属酸化物触媒
一実施形態によれば、触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び少なくとも1種の他の金属を含む混合金属酸化物触媒であってよい。混合金属酸化物の他の金属として、限定されないが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、ランタニド、又はアクチニドを挙げることができる。例えば、混合金属酸化物は、スピネル、ペロブスカイト、デラフォサイト、ライオンザイト、ガーネット、又はパイロクロアであってよい。
【0066】
一実施形態によれば、「タイプB」と称される触媒は、式ABO3を有するペロブスカイト又は一般式Aa−xBxMObを有する関連構造体を含み、「a」は1又は2であり、「a」が1のとき「b」は3であり、「a」が2のとき「b」は4であり、「x」は0.1≦x<0.7で定義される数である。「A」は、ランタン、ランタニド、アクチニド、セリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、又はこれらの混合物を含む。「B」は、単一の遷移金属、もしくは、限定されないが、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルト、及びセリウムを含む遷移金属の混合物、又はこれらの混合物を含む。一実施形態によれば、触媒は、式AMn1−xCuxO3を有してよく、「A」は、ランタン、セリウム、バリウム、ストロンチウム、ランタニド、又はアクチニドであり、「x」は0〜1である。
【0067】
別の実施形態によれば、タイプB触媒は、式ACe1−xCuxO3を有してよく、「A」は、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムであり、「x」は、0〜1である。一実施形態によれば、約10〜180g/Lの式ABO3が基材と一体になっていてよい。
【0068】
一実施形態によれば、タイプB触媒は、ペロブスカイト(ABO3)又は関連構造体(一般式Aa−xBxMObを含む)及び1つもしくは複数の担体材料酸化物を含む。ペロブスカイト又は関連構造体は、約5〜50質量%存在する。
【0069】
一実施形態によれば、「タイプF」と称される触媒は、式AB2O4を有するスピネルを含む。当該式の「A」及び「B」は、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ガリウム、ニッケル、銅、コバルト、鉄、クロム、チタン、スズ、又はこれらの混合物である。
【0070】
一実施形態によれば、タイプF触媒は、スピネル及び担体材料酸化物を含む。スピネルは、約5〜50質量%存在する。
【0071】
ゼオライト触媒
一実施形態によれば、触媒は、ゼオライト又はゼオライト及び少なくとも1種の遷移金属の混合物とを含むゼオライト触媒であってよい。ゼオライトは、規則的な内部連結細孔を有するアルミノケイ酸と混合される。ゼオライトとしては、限定されないが、ZSM5、輝沸石、菱沸石、又はこれらの混合物、好ましくはZSM5が挙げられる。一実施形態によれば、「タイプI」と称される触媒は、ゼオライトに含浸させた少なくとも1種の遷移金属又はゼオライトの混合物を含む。遷移金属(複数可)は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、ガリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀を含めた遷移金属の混合物であってよい。好ましくは、遷移金属は、銅、ニッケル、ガリウム、コバルト、及びこれらの混合物からなる群から選択される。遷移金属は、遷移金属の比において約3〜25質量%存在していてよい。
【0072】
一実施形態によれば、本発明の触媒は、排気から放出される汚染物質を低減させることができる。これは、触媒系に実質的に排気を通過させることによってなされ、流れる排気が汚染物質を低減させる。排気として、限定されないが、自動車、車両、工場、電車、航空機、ビル、及び研究所からの排気が挙げられる。汚染物質は、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、及び硫黄を含めた、水、空気、陸地、及び環境の他のいずれかの部分に被害を与える任意の化合物、物質、ガス、又は廃棄物である。
【0073】
窒素酸化物排出物の量を減少させるための本発明の触媒。
例えば:NO+1/2O2→NO2
及び6NO2+8NH3→7N2+12H2O
触媒はまた、未燃焼炭化水素及び一酸化炭素の量を、これらを酸化することによって減少させる。
例えば:2CxHy+(2x+y/2)O2→2xCO2+yH2O
又は2CO+O2→2CO2
触媒はまた、硫黄排出量も減少させる。
【0074】
一実施形態によれば、触媒系は、第1触媒系及び第2触媒系を含む。第1触媒系は、本明細書に記載されている任意の触媒であってよい。第2触媒系は、少なくとも1種の白金族金属を含む触媒を含み、当該触媒は、限定されないが、白金族金属及び担体材料酸化物の混合物を含めた、当該技術分野で知られている任意の白金族金属を含んでよい。第1触媒系及び第2触媒系は、ガス流が第1触媒系、その後に第2触媒系を順番に通過する、又はその逆の順番で通過することができるような順序であってよい。また、触媒系は、第1及び第2触媒系だけでなく、例えば第3触媒系を含んでよい。
【0075】
含浸による、白金族金属を含まない触媒の調製
本明細書において議論されている特性を有するウォッシュコートは、当該技術分野で周知の方法によって調製することができる。ウォッシュコートは、本明細書に記載されている任意の触媒及び/又はさらなる成分を含んでよい。ウォッシュコートを基材に堆積させ、処理する。処理は、300〜700℃の間の温度、好ましくは約550℃で行う。処理は、約2〜6時間、好ましくは約4時間続けてよい。ウォッシュコート及び基材を処理した後、これらを室温程度まで冷却する。ウォッシュコート及び基材を冷却した後、ウォッシュコートを少なくとも1種の含浸成分に含浸させる。含浸成分として、限定されないが、水に溶解させた遷移金属塩又は塩が挙げられ、ウォッシュコート上に含浸した。含浸工程に続いて、含浸成分を含むウォッシュコートを処理する。処理は、約300〜700℃、好ましくは約550℃で実施してよい。処理は、約2〜6時間、好ましくは約4時間続けてよい。
【0076】
一実施形態によれば、基材、ウォッシュコート、及び含浸成分を処理して、ウォッシュコート及び/もしくは含浸成分を基材に添加する前又は後に触媒組成物を形成することができる。一実施形態において、ウォッシュコート及び含浸成分は、コーティングの前に処理してよい。
【0077】
この含浸方法は、オーバーコート上に実施してよい。オーバーコートを堆積させた後、オーバーコートを少なくとも1種の含浸成分に含浸させる。含浸成分として、限定されないが、水に溶解させた遷移金属塩又は塩が挙げられ、オーバーコート上に含浸した。含浸工程に続いて、含浸成分を含むオーバーコートを処理する。処理は、約300〜700℃、好ましくは約550℃で実施してよい。処理は、約2〜6時間、好ましくは約4時間続けてよい。
【0078】
析出による、白金族金属を含まない触媒の調製
析出方法は、遷移金属塩又は塩をウォッシュコートに析出させる工程を含む。遷移金属塩又は塩は、限定されないが、NH4OH、(NH4)2CO3、テトラエチル水酸化アンモニウム、他のテトラアルキルアンモニウム塩、酢酸アンモニウム、又はクエン酸アンモニウムと共に析出させてよい。ウォッシュコートは、本明細書に記載されている任意のウォッシュコートであってよい。次いで、析出した遷移金属塩又は塩及びウォッシュコートを処理する。処理は、約2〜24時間であってよい。次いで、析出した遷移金属塩又は塩及びウォッシュコートを基材に堆積させた後、約300〜700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間処理する。任意選択的に、処理後、処理された析出した遷移金属塩又は塩及びウォッシュコートにオーバーコートを堆積させ、再び処理してよい。オーバーコートは、約300〜700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間処理してよい。
【0079】
共粉砕による、白金族金属を含まない触媒の調製
触媒及び担体材料酸化物を共に粉砕する。触媒を、任意の化学技術、例えば、限定されないが固相合成、析出、又は当該技術分野で知られている任意の他の技術によって合成することができる。粉砕された触媒及び担体材料酸化物を基材にウォッシュコートの形態で堆積させ、次いで処理する。処理は、約300〜700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間であってよい。任意選択的に、オーバーコートを、室温程度まで冷却後、処理された触媒に堆積させてよい。オーバーコート、ウォッシュコート及び基材を、300〜約700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間処理する。
【0080】
リッチ条件下における窒素酸化物低減の向上
一実施形態によれば、リッチ排気を本明細書に記載の触媒系に晒すことにより、窒素酸化物低減性能が大幅に向上する。白金族金属を含む触媒は、排気流がリッチになるに伴い、窒素酸化物低減性能を少し向上させるであろうと予期される。しかし、本明細書に記載の白金族金属を実質的に有さない触媒系では、燃料−リッチ条件下で、窒素酸化物低減性能の予期されない向上が観測できた。
【0081】
排気は、限定されないが、エンジン、バーナー、ボイラー、及び用役設備を含めた、排気が生成される任意の供給源に由来するものでよい。燃料−リッチ条件として、R値が1.0を超える、好ましくはR値が1.1を超える排気が挙げられる。
【0082】
一実施形態において、触媒系は白金族金属を含まず、好ましくは白金族金属を全く含まない。
【0083】
排気を複数の触媒系に晒す間の工程において、空気を注入することによる一酸化炭素及び炭化水素の低減の向上
【0084】
一実施形態によれば、排気を第1触媒系に晒す工程と第2触媒系に晒す工程の間において、流れる排気の少なくとも一部に空気を導入し、排気中の空気対燃料(A/F)比を増大させることにより、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上することができる。図38を参照のこと。一実施形態において、空気対燃料比は約14.7以上に増大する。一実施形態において、第1触媒系及び/又は第2触媒系は、白金族金属を含まず、好ましくは白金族金属を全く含まない。
【0085】
触媒系は、排気を第1触媒系に晒す工程と第2触媒系に晒す工程の間に、排気の少なくとも一部(好ましくは全て)に空気を導入(好ましくは注入)して、R値を低下させる(A/F比を増大させる)ように設計される。図38を参照のこと。一実施形態において、排気を第1触媒系に晒した後及び空気導入の前に、追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気の導入の後に、追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気導入の前後において、排気の一部は、第2触媒系に晒す工程を回避してよい。空気の追加により、利用可能な酸素の量を増大させて、触媒系による一酸化炭素及び炭化水素の酸化還元を向上する。空気は酸素を任意の量で含む。
【0086】
第1触媒系及び第2触媒系は本明細書に記載されている、いずれであることもできる。また、第2触媒系は白金族金属を含んでよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、2つを超える触媒系を用いることができる。排気を第1触媒系に晒す工程と第2触媒系に晒す工程の間、第2触媒系に晒す工程と第3触媒系に晒す工程の間、又は任意の2つの触媒系に晒す工程の間において、空気を導入する(並びに、複数の触媒系のペアにおいて、触媒系に晒す工程の間に導入してよい)。
【0088】
一実施形態によれば、排気中の炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物の低減は、(1)白金族金属を含まない触媒を含む第1触媒系を、リッチ条件を有する排気に晒す工程、並びに(2)排気を第1触媒系に晒す工程と、白金族金属を含まない触媒を含む第2触媒系に晒す工程との間において、排気の一部に空気を導入して、A/F比を約14.7以上に増大させる工程と、を組み合わせることによって向上することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の触媒系の構造1の概略図である。
【図2】本発明の触媒系の構造2の概略図である。
【図3】本発明の触媒系の構造3の概略図である。
【図4】フレッシュ触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の細孔容積の結果を示すグラフである。
【図5】劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の細孔容積の結果を示すグラフである。
【図6】フレッシュ及び劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の表面積概要を示すグラフである。
【図7】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4Ox粉末)のX線回折分析を示すグラフである。
【図8】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図9】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図10】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)X線回折分析を示すグラフである。
【図11】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図12】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図13】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図14】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図15】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図16】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図17】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図18】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図19】タイプDのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図20】タイプD/タイプHのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図21】タイプD/タイプHのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図22】タイプFの混合金属酸化物触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図23】タイプFの混合金属酸化物触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図24】タイプFの混合金属酸化物触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図25】タイプGのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図26】タイプGのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図27】タイプG/タイプDのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図28】タイプG/タイプDのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図29】タイプDのZPGM遷移金属触媒の例のランプ着火試験の結果を示すグラフである。
【図30】タイプIの例のランプ着火試験の結果を示すグラフである。
【図31】構造3の着火試験結果を示すグラフである。
【図32】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図33】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図34】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図35】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図36】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図37】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図38】本発明の触媒系の設計1の概略図を示す。
【図39】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図40】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図41】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図42】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図43】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図44】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図45】10%Cu/CuLa0.04Al1.96O4の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプG触媒のスイープ試験結果を示す。
【図46】12.4%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2+Al2O3、75:25の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。
【図47】16%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。
【図48】10%Cu+12%Ce/La−Al2O3の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。
【図49】20%CuO/MgLa0.04Al1.96O4のフレッシュ及び劣化タイプD触媒の組成を有するスイープ試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下の実施例は、本発明の範囲を非限定的に説明することを意図している。当業者に知られている他の手順を代替的に用いてよいことが理解されるべきである。
【実施例1】
【0091】
白金族金属を含まない触媒の細孔容積及び表面積測定
図4は、フレッシュ(fresh)触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5について測定された細孔容積を示し、図5は、劣化(aged)触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5について測定された細孔容積を示す。劣化触媒系は、10%のH2O及び空気によって950℃で16時間劣化させた。図4の右側にあるy軸は、ZPGM−1の細孔容積(cm3/g)のみに関する。
【0092】
細孔容積は、Micromeritics(登録商標)(Norcross、Ga.)TriStar3000ガス吸着分析器を用いて77Kで測定した。細孔容積は、Barrett−Joiner−Halenda(BJH)法(E.P.Barrett、L.G.Joyner、P.P.Halenda、「The determination of pore volume and area distributions in porous substances.I.Computations from notrogen isotherms」J.Am.Chem.Soc.(1951)、73、373〜380頁)を用いて窒素吸着等温線から得た。
【0093】
図4及び5の結果は、劣化により、全ての触媒系(ZPGM−1〜ZPGM−5)の細孔容積が減少することを示した。フレッシュZPGM−1の平均細孔容積は、0.106cm3/gから劣化触媒の0.017cm3/gまで減少した。同様に、フレッシュZPGM−2の平均細孔容積は、0.173cm3/gから劣化触媒の0.116cm3/gまで減少した。また、フレッシュZPGM−3の平均細孔容積は、0.107cm3/gから劣化触媒の0.010cm3/gまで減少した。フレッシュZPGM−4の平均細孔容積は、0.190cm3/gから劣化触媒の0.142cm3/gまで減少した。フレッシュZPGM−5の平均細孔容積は、0.213cm3/gから劣化触媒の0.122cm3/gまで減少した。
【実施例2】
【0094】
フレッシュ及び劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の表面積分析
フレッシュ及び劣化ZPGM触媒系の表面積を図6に示す。劣化触媒系は、10%のH2O及び空気によって950℃で16時間劣化させた。
【0095】
表面積は、Micromeritics(登録商標)(Norcross、Ga.)TriStar3000ガス吸着分析器を用いて77Kで測定した。表面積は、BET(Brunauer、Emmitt及びTeller)法(S.Brunauer、P.H.Emmett及びE.Teller、J.Am.Chem.Soc.、1938、60、309頁)を用いて計算した。
【0096】
図6の結果は、劣化により全ての触媒系(ZPGM−1〜ZPGM−5)について、表面積が減少することを示す。表面積は、フレッシュZPGM−1が18.72m2/gから劣化触媒の2.76m2/gまで減少する。同様に、フレッシュZPGM−2の表面積は、38.60m2/gから劣化触媒の15.48m2/gまで減少する。フレッシュZPGM−3の表面積は、30.78m2/gから劣化触媒の16.71m2/gまで減少する。フレッシュZPGM−4の表面積は、46.95m2/gから劣化触媒の22.06m2/gまで減少する。フレッシュZPGM−5の表面積は、53.45m2/gから劣化触媒の24.02m2/gまで減少する。
【実施例3】
【0097】
ZPGM遷移金属触媒のX線回折分析
図7〜12は、フレッシュ及び劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のX線回折(XRD)パターンを示す。劣化触媒系は、10%のH2O及び空気によって950℃で16時間劣化した。
【0098】
XRD分析を行って触媒系ごとに存在する結晶相を決定した。XRDパターンを、Rigaku(登録商標)粉末回折計(MiniFlex(商標))においてCuKα線を用いて、20〜70°の2θ範囲において0.05°の刻み幅かつ2秒の滞留時間で測定した。管電圧は40kV、電流は30mAに、それぞれ設定した。得られた回折パターンをInternational Centre for Diffraction Data(ICDD)データベースを用いて分析した。
【0099】
図7は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系、Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4O3のXRDスペクトルを示し、ペロブスカイト型(○)及びホタル石型(■)構造の存在を示す。劣化したサンプルは、ピークがより鋭いことから明らかなように、より多くホタル石型及びペロブスカイト型構造を有する。
【0100】
図8は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系、8%Cuを含浸させたAl2O3+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(Al2O3:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比 60:40)(160g/ml)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−2触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(□)、アルミナ(A)及びCuO(●)の存在を示す。劣化したZPGM−2触媒系は、ホタル石(□)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化したサンプルは、ピークがより鋭いことから明らかなように、より多くホタル石型構造を有する。
【0101】
図9は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系、8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)(200g/L)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−3触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(○)、ZrO2(□)、アルミナ(A)及びCuO(■)の存在を示す。劣化したZPGM−3触媒系は、ホタル石(○)、ZrO2(□)、SnO2(●)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化したサンプルにおけるコーディエライトのピークは、基材からのものである。劣化の間、CuはAl2O3と反応してCuAl2O4を形成する。
【0102】
図10は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系(12%Cu含浸Ce0.6Zr0.21La0.15O2+Al2O3(Ce0.6Zr0.21La0.15O2:Al2O3の質量比 60:40)を含むオーバーコート及び8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)を含むウォッシュコートから構成されている)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−4触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(●)、CeO2(□)、アルミナ(A)及びCuO(■)の存在を示す。劣化したZPGM−4触媒系は、ホタル石(●)、CeO2(□)、SnO2(○)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化の間、酸化スズはアルミナから解離し、CuはAl2O3と反応してCuAl2O4を形成する。
【0103】
図11は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系(12.4%CuO含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 25:75)(65g/L)を含むオーバーコート及び8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)(180g/L)を含むウォッシュコートから構成されている)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−5触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(●)及びアルミナ(A)を示す。劣化したZPGM−5触媒系は、ホタル石(●)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化の間、酸化スズはアルミナから解離し、CuはAl2O3と反応してCuAl2O4を形成する。
【0104】
図12は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系(10%Cu+12%Ce含浸MgAl2O4+16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Ce含浸MgAl2O4:16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)(65g/L)を含むオーバーコート及び4%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸MgAl2O4+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(MgAl2O4:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比 60:40)(180g/L)を含むウォッシュコートから構成されている)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−6触媒系のXRDスペクトルは、2つのホタル石型構造(●及び○)、並びにMgAl2O4(◇)を示す。劣化したZPGM−6触媒系は、2つのホタル石型構造(●及び○)、MgAl2O4(◇)、CuAl2O4(◆)、及びCuO(■)の存在を示す。劣化の間、CZL及びCuOはより結晶性になり、いくらかのCuAl2O4が形成された。
【実施例4】
【0105】
触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のスイープ試験
図13〜18は、(実施例1〜3において記載した)触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6についてのスイープ試験結果をそれぞれ示す。スイープ試験を入口温度600℃、空気/燃料スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験により触媒性能を種々のR値(還元体のモル数/酸化体のモル数)で示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す、なぜなら、それは、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、1050℃において10時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環する)で劣化した。
【0106】
図13は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。CO、炭化水素及びNOの触媒特性は劣化後に減少し、NO転化率は試験されるR値全範囲にわたって<5%である。劣化ZPGM−1のCO転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−1のHC転化率は、R値0.95〜1.05において最も良好である。
【0107】
図14は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−2のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−2触媒系に関するNO転化率は、R=0.85で最大である。
【0108】
図15は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−3のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−3に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。
【0109】
図16は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−4のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−4に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。
【0110】
図17は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−5のCO及びHC転化率は、R値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−5に関するNO転化率は、R値>1.05で増大する。
【0111】
図18は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−6のCO及びHC転化率は、R値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−6に関するNO転化率は、R値>0.975で増大する。
【実施例5】
【0112】
タイプD又はタイプHのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図19〜21は、例えばタイプD又はタイプHのZPGM遷移金属触媒の着火試験結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類され、例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒において実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率であると、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度であると、より効果的な触媒であることを意味する。
【0113】
図19は、16%Cu/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2の組成を有するタイプD/H触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類され、例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が267℃、HCのT50が525℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約2%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50をそれぞれ323℃及び595℃に減少させることを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 494℃と示される。
【0114】
図20は、12%Cu/Ce0.6Zr0.3La0.1O2の組成を有するタイプD/H触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が237℃、HCのT50が543℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約4%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50をそれぞれ329℃及び611℃に減少させることを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 515℃と示される。
【0115】
図21は、10%Cu+12%Ce/La−Al2O3の組成を有するタイプD/H触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が298℃、HCのT50が546℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約3%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50をそれぞれ325℃及び598℃に減少させることを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 461℃と示される。
【実施例6】
【0116】
タイプFのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図22〜24は、例えばタイプF触媒の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒において実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度が、より効果的な触媒であることを意味する。
【0117】
図22は、CuLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプF触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が334℃であることを示している。NO及びHCの最大転化率は640℃において、それぞれ約6%及び38%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCOのT50が約453℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 521℃と示されている。一方で、HCの最大転化率は、640℃で約16%である。
【0118】
図23は、Cu0.5Fe0.5La0.04Al1.96O4の組成を有するタイプF触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が346℃、HCのT50が535℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約1%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50が、それぞれ368℃及び588℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 491℃と示されている。
【0119】
図24は、CuLa0.04Al1.47Mn0.49O4の組成を有するタイプF触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が371℃であることを示している。NO及びHCの最大転化率は640℃でそれぞれ約2%及び27%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、COのT50が約479℃に減少することを示している。一方で、NO及びHCの最大転化率はそれぞれ640℃で約16%である。
【実施例7】
【0120】
タイプGのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図25〜28は、例えばタイプG/タイプD触媒の着火試験結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒にて実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0121】
図25は、10%Ag/Cu0.5Fe0.5La0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が383℃であることを示している。NO及びHCの最大転化率は640℃でそれぞれ約1%及び33%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、COのT50が約394℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が485℃であると示している。一方で、HCの最大転化率は640℃で約16%である。
【0122】
図26は、10%Cu/CuLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が272℃、HCのT50が464℃であることを示している。NO転化率は640℃まで測定されない。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ375℃及び565℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が500℃であると示している。
【0123】
図27は、20%CuO/MgLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が305℃、HCのT50が513℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約1%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ412℃及び587℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が478℃であると示している。
【0124】
図28は、10%Cu+12%Ce/MgLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類され、例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が302℃、HCのT50が506℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約2%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50がそれぞれ338℃及び585℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が461℃であると示している。
【実施例8】
【0125】
タイプDのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図29は、例えばタイプD触媒の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒にて実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0126】
図29は、12%CuO/(Ce0.6Zr0.3La0.1O2+MgLa0.04Al1.96O4(40:60))の組成を有するタイプD触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が258℃、HCのT50が381℃、NOのT50が519℃であることを示している。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ316℃及び464℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が375℃であると示している。
【実施例9】
【0127】
タイプIのゼオライト触媒の着火試験
図30は、例えばタイプIのゼオライト触媒の着火試験結果を示す。着火試験は本発明のフレッシュ触媒にて実施した。R値=1.05において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0128】
図30は、5%Ga+8%Cu/(ZSM−5)の組成を有するタイプI触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が376℃、HCのT50が319℃、NOのT50が343℃であることを示している。
【実施例10】
【0129】
基材とウォッシュコートとオーバーコートとを含み、オーバーコートは少なくとも1種の触媒を含むが、ウォッシュコートは触媒を含まない構造タイプ3の着火試験
図31は、例えば構造タイプ3(基材とウォッシュコートとオーバーコートとを含み、オーバーコートは少なくとも1種の触媒を含むが、ウォッシュコートは触媒を含まない。ウォッシュコートは、La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2を60:40で100g/l含み、オーバーコートは、12%Cu担持Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2を150g/L含む。)の触媒の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒において実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0130】
R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が314℃、HCのT50が464℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約6%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、HCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ316℃及び566℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が453℃であると示している。
【実施例11】
【0131】
触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6(フレッシュ及び劣化)の着火試験
図32〜37は、ZPGM−1〜ZPGM−6の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(1050℃で10時間、56秒の科学量論(A/F=14.6)区間及び4秒のリーン(A/F=28.0)区間の間で循環)触媒にて実施した。R値=1.05において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。図のプロットされた温度は、触媒の中央で測定した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0132】
図32は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系(Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4O3)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO及びHCのT50が、それぞれ288℃及び503℃であることを示している。NOの最大転化率は600℃で約19%である。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒では、COのT50が約600℃である。HC及びNOの最大転化率は、600℃でそれぞれ19%及び2%である。
【0133】
図33は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系(8%Cu含浸Al2O3+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(Al2O3:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比 60:40))のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO及びHCのT50が、それぞれ205℃及び389℃であることを示している。NOの最大転化率は600℃で約22%である。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。CO、HC及びNOの最大転化率は、600℃でそれぞれ約27%、24%及び3%である。
【0134】
図34は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系(8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40))のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ202℃、389℃及び651℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒は、CO及びHCのT50が、それぞれ約599℃及び651℃である。NOの最大転化率は、700℃で約5%である。
【0135】
図35は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系(オーバーコートが12%Cu含浸Ce0.64Zr0.21La0.15O2+Al2O3(Ce0.64Zr0.21La0.15O2:Al2O3の質量比が60:40)を含み、ウォッシュコートが8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が60:40)を含む)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ254℃、442℃及び636℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒は、CO及びHCのT50が、それぞれ約462℃及び604℃である。NOの最大転化率は、770℃で約30%である。
【0136】
図36は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系(オーバーコートが12.4%CuO含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が25:75)を含み、ウォッシュコートが8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が60:40)を含む)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ262℃、449℃及び608℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒におけるCO及びHCのT50は、それぞれ約571℃及び654℃である。NOの最大転化率は、700℃で約1%である。
【0137】
図37は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系(オーバーコートが10%Cu+12%Ce含浸MgAl2O4+16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Ce含浸MgAl2O4:16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が60:40)(65g/L)を含み、ウォッシュコートが4%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸MgAl2O4+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(MgAl2O4:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比が60:40)を含む)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ262℃、463℃及び622℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒におけるCO及びHCのT50は、それぞれ約425℃及び613℃である。NOの最大転化率は、730℃で約23%である。
【実施例12】
【0138】
触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のスイープ試験
図39〜44は、触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のスイープ試験結果をそれぞれ示す。スイープ試験は、入口温度600℃、空気/燃料比スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたって高い転化率であることが望ましい。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、1050℃において10時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0139】
図39は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。NO転化率はR=1.0において約32%であり、R=1.03において約58%まで向上し、R=2.0において100%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少し、NO転化率は試験されるR値全範囲にわたって<5%である。劣化ZPGM−1のCO転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−1のHC転化率は、0.95と1.05との間のR値について最も良好である。
【0140】
図40は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。NO転化率はR=1.0において約32%であるが、R=1.03において約42%まで向上する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−2のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−2触媒系に関するNO転化率は、R=0.85で最大である。
【0141】
図41は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率はR=1.0において約60%であり、R=1.03において約76%まで向上し、R=1.2において100%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−3のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−3触媒系に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。劣化ZPGM−3は、R=2.0で約26%の最大NO転化率に到達する。
【0142】
図42は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約89%であり、R=1.03において約92%に向上し、R=2.0において100%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−4のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−4触媒系に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。劣化ZPGM−4は、R=1.0において約16%のNO転化率を示し、R=1.03において約24%に向上し、R=2.0において89%の転化率に到達する。
【0143】
図43は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約83%であり、R=1.03において約90%に向上し、R=2.0において99%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNO転化率についての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−5のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−5触媒系に関するNO転化率は、R値>1.05で増大する。劣化ZPGM−5は、R=1.0においてNO転化率を示さず、R=1.03において9%の転化率を示し、R=2.0において54%の転化率に到達する。
【0144】
図44は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約91%であり、R=1.03において約97%に向上し、R=1.05において>99%の転化率である。CO、炭化水素及びNO転化率についての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−6のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−6触媒系に関するNO転化率は、R値>0.975で増大する。劣化ZPGM−6は、R=1.0において約17%、R=1.03において31%のNO転化率を示し、R=2.0において98%の転化率に到達する。
【実施例13】
【0145】
タイプGの遷移金属触媒のスイープ試験
図45は、タイプG触媒の例についてのスイープ試験結果を示す。スイープ試験は、入口温度600℃、空気/燃料比スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、1050℃において10時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0146】
図45は、10%Cu/CuLa0.04Al1.96O4を含むフレッシュ及び劣化タイプG触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.0で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約90%であり、R=1.03において約94%に向上し、R=1.2において98%の転化率である。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化触媒についてはNO転化率を全く測定しなかった。
【実施例14】
【0147】
タイプDの遷移金属触媒のスイープ試験
図46〜48は、タイプD触媒の例についてのスイープ試験結果を示す。スイープ試験は、入口温度450℃、空気/燃料スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、800℃において16時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0148】
図46は、12.4%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2+Al2O3、75:25を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。R値が1.15を超えると、NO転化率が増大する。NO転化率は、R=1.15において約6%であり、R=1.5において約42%に向上する。
【0149】
図47は、16%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.05において約7%であり、R=1.5において約38%に向上する。
【0150】
図48は、10%Cu+12%Ce/La−Al2O3を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率は、R値が1.05を超えて増大すると増大する。NO転化率は、R=1.05において約3%であり、R=1.5において約59%に向上する。
【実施例15】
【0151】
タイプGの遷移金属触媒のスイープ試験
図49は、タイプG触媒の例についてのスイープ試験結果を示す。スイープ試験は、入口温度450℃、空気/燃料スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値(酸化体のモル数で除した還元体のモル数)における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、800℃において16時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0152】
図49は、20%CuO/MgLa0.04Al1.96O4を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、R値の増大と共に炭化水素(HC)転化率が減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増加する。NO転化率は、R=1.05において約9%であり、R=1.5において約88%に向上する。
【0153】
本発明について、特定の実施形態を記載したが、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を逸脱することなく、変更及び改変できる。本明細書において引用されている全ての参考文献は、本明細書において引用されているいずれの参考文献も含めて、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、白金族金属を含まない触媒にリッチ排気を晒すことによって、排気中の窒素酸化物の低減を向上することに関する。本発明はまた、第1触媒系と第2触媒系に晒す間の工程として、排気の一部に空気を導入することによって、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させることにも関する。本発明はまた、(1)R値が1.0を超えるリッチ排気を、触媒を含み白金族触媒を含まない第1触媒系に晒すこと、並びに(2)第1触媒系及び白金族金属を含まない第2触媒系に晒す間の工程として、排気の一部に空気を導入することによって、窒素酸化物、一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させることにも関する。
【背景技術】
【0002】
触媒コンバータにおける触媒は、例えば、自動車、用役設備、処理及び製造プラント、航空機、電車、全地形対応車、船、鉱山設備、並びに他のエンジン搭載機械などの種々の発生源から排出される汚染を減少するために使用されてきた。このように使用される一般的な触媒は、三元触媒「TWC」である。TWCは、一酸化炭素と炭化水素と窒素酸化物を、より害の少ない化合物又は汚染物質に変換する機能を果たす。具体的には、TWCは、窒素酸化物から窒素及び酸素への還元、一酸化炭素から害のより少ない二酸化炭素への酸化、未燃焼炭化水素から二酸化炭素及び水への酸化を、同時に行うよう機能する。従来技術において、TWCは、少なくとも数種類の白金族金属を用いて作製される。白金族金属とは、別途記載しない限り、本願において、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、及びロジウムを意味する、と本明細書において定義する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
排出物として許容されるための規定はより厳しくなっており、排気から汚染物質を除去する際における白金族金属の効率に起因して、白金族金属に対する需要は増え続けている。しかし、この需要は、白金族金属に対する他の需要と相まって白金族金属の供給に負担をかけ、ついには白金族金属の費用を押し上げ、これにより触媒及び触媒コンバータの費用も押し上げる。それゆえ、白金族金属を必要とせず、かつ従来技術の触媒と同様又はそれに勝る効率を有する触媒が必要とされている。
【0004】
加えて、白金族金属を用いたTWCに関するエンジンは、化学量論条件又は、ほぼ同様の条件で機能する。しかし、驚くべきことに、本発明の触媒は、リッチ作動条件下で窒素酸化物低減性能の大幅な向上を示す。さらに、本発明は、第1触媒系及び第2触媒系に晒す間の工程として、空気を導入することによって排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、窒素酸化物の排出を低減する方法であって、リッチ排気を触媒に晒す工程を含む方法に関する。リッチ排気のR値は1.0を超え、触媒は白金族金属を実質的に含まない。触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、又は混合金属酸化物触媒であってよい。一実施形態によれば、触媒系は、白金族金属を全く含まない。一実施形態において、リッチ排気はエンジンに由来する。
【0006】
本発明の別の実施形態は、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上する方法であって、排気を第1触媒系に晒す工程と、排気の少なくとも一部を連続する第2触媒系に晒す工程と、第2触媒系に晒す前に、排気の一部(好ましくは、制限なく全て)に空気対燃料比が約14.7を超える空気を導入する工程と、を含む方法に関する。第1触媒系は第1触媒を含み、白金族金属を含まない。第2触媒系は第2触媒を含み、白金族金属を実質的に含まない。一実施形態において、第1触媒系に晒した後、空気の導入の前に追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気の導入の後に追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気の導入の前後において、排気の一部は第2触媒系に晒す工程を回避(bypass)してもよい。一実施形態において、第1触媒及び/又は第2触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、又は混合金属酸化物触媒を含んでよい。
【0007】
第1及び第2触媒系は、同じであっても異なっていてもよい。別の実施形態において、第1及び/又は第2触媒系は、白金族金属を全く含まない。別の実施形態において、第2触媒系は、少なくとも1種の白金族金属を含む。別の実施形態において、空気は、酸素を任意の量で含む。
【0008】
本発明の別の実施形態は、排気中の炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物の低減を向上する方法であって、R値が1.0を超える排気を、第1触媒を含み白金族金属を含まない第1触媒系に晒す工程を含む方法に関する。次いで、排気の一部を、第2触媒を含み白金族金属を含まない第2触媒系に晒す工程を含み、第1触媒系及び第2触媒系は連続している(in series)。最後に、第1触媒系に晒した後、空気を導入する工程を含み、空気導入後の排気の一部は約14.7を超える空気対燃料比である。
【0009】
[定義]
以下の定義は、本発明を明確にするために提供される。
用語「触媒系」は、図1、2、3に、それぞれ、構造1、構造2、構造3として示されるように、基材と、ウォッシュコートと、任意選択的にオーバーコートを意味すると本明細書において定義される。
【0010】
用語「基材」は、触媒を担時するための、当該技術分野において公知で任意の材料を意味すると本明細書において定義される。限定されないが、ハニカム、ペレット、又はビーズを含め、ウォッシュコート及び/又はオーバーコートの堆積に十分な表面積を与える任意の形状又は構成を有し得る。
用語「ウォッシュコート」は、基材と一体となる、1つ又は複数の酸化物固体を含むコーティングを意味すると本明細書において定義される。
用語「オーバーコート」は、基材及びウォッシュコートと一体となる、1つ又は複数の酸化物固体を含むコーティングを意味すると本明細書において定義される。
【0011】
用語「酸化物固体」は、担体材料酸化物、触媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を意味すると本明細書において定義される。
【0012】
用語「担体材料酸化物」は、少なくとも1種の触媒に表面を提供するために使用される材料を意味すると本明細書において定義され、酸素貯蔵材料、酸化アルミニウム、ドープ酸化アルミニウム、スピネル、デラフォサイト、ライオンザイト、ガーネット、ペロブスカイト、パイロクロア、ドープセリア、ホタル石、酸化ジルコニウム、ドープジルコニア、酸化チタン、酸化スズ、二酸化ケイ素、ゼオライト、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を含む。
用語「酸素貯蔵材料」は、酸素リッチな供給流から酸素を取り出し、酸素欠乏供給流に酸素を放出することができる材料を意味すると本明細書において定義される。酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、ランタニド、アクチニド、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数の酸化物を含む。
【0013】
用語「触媒」は、窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素、及び/又は硫黄の量を減少させるための、白金族金属を含まない、好ましくは白金族金属を全く含まない触媒を意味すると本明細書において定義される。
【0014】
用語「ZPGM遷移金属触媒」は、1つ又は複数の遷移金属を含む触媒を意味すると本明細書において定義される。
用語「混合金属酸化物触媒」は、少なくとも1種の遷移金属及び少なくとも1種の他の金属を含む触媒を意味すると本明細書において定義される。
用語「ゼオライト触媒」は、少なくとも1種のゼオライト及び少なくとも1種の遷移金属を含む触媒を意味すると本明細書において定義される。
【0015】
用語「遷移金属」は、白金族金属を除いた周期表の遷移金属、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハシウム、マイトネリウム、ウンウンニリウム、ウンウンウニウム、ウンウンビウム、及びガリウムを意味すると本明細書において定義される。
用語「銅」は、銅、銅錯体、銅原子、又は当該技術分野で公知の他のいずれの銅化合物も意味すると本明細書において定義される。
【0016】
用語「含まない」は、実質的に含まない又は完全に含まないことを意味すると本明細書において定義される。
用語「含浸成分」は、触媒を含むウォッシュコート及び/又はオーバーコートを与えるために、ウォッシュコート及び/又はオーバーコートに添加される1つ又は複数の成分を意味すると本明細書において定義される。含浸成分は、遷移金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、セリウム、ランタン、イットリウム、ランタニド、アクチニド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を含む。
【0017】
用語「堆積させる」、「堆積した」又は「堆積」は、限定されないが、取り付け(placing)、付着、硬化、コーティング(例えば真空コーティング)、噴霧、浸漬、塗装、及び基材に膜を塗布する任意の公知の方法を含むと本明細書において定義される。
用語「処理する」、「処理された」、又は「処理」は、限定されないが、析出、乾燥、焼成、加熱、蒸発、か焼、又はこれらの組合せを含むと本明細書において定義される。
【0018】
用語「白金族金属」は、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、及びロジウムを意味すると本明細書において定義される。
【0019】
用語「一体となる」は、ウォッシュコート及び/又はオーバーコートが、基材と、又は互いに関わり合って、互いに直接接触し得るようにするか、あるいは互いに付随し得るようにすることを意味する。それらの各々の間には、何かが存在し得る。例えば、オーバーコートは基材と一体となり得るが、基材とオーバーコートとの間にウォッシュコートが存在し得る、と本明細書において定義される。
【0020】
用語「R値」は、還元体のモル数を酸化体のモル数で除した値を意味すると本明細書において定義される。
【0021】
用語「排気」は、炭化水素、窒素酸化物、及び/又は一酸化炭素を含めたプロセスによって生成され、その終わりに放出されるガス、蒸気、及び噴煙の放出を意味すると本明細書において定義される。
【0022】
用語「空気対燃料(A/F)比」は、排気中に存在する空気対燃料の質量比を意味すると本明細書において定義される。
【0023】
用語「導入」は、注入、挿入、吹き込み、添加、滴下、又はこれらの組合せを意味すると本明細書において定義される。
【0024】
用語「空気」は、100%以下の酸素を含めて、任意の量で酸素を含む任意のガスを意味すると本明細書において定義される。
【0025】
用語「転化」は、有害な化合物(例えば、限定されないが、炭化水素、一酸化炭素、硫黄、及び窒素酸化物)から、害の少ない及び/又は無害の化合物(例えば、限定されないが、水、二酸化炭素、及び窒素)への変化を意味すると本明細書において定義される。
【0026】
用語「低減」は、量の減少、低下又は軽減を意味すると本明細書において定義される。
【0027】
触媒系の例は、「ZPGM」と数字、例えば「ZPGM−1」と表示される。触媒の例は、「タイプ」と文字、例えば「タイプA」と表示される。
【0028】
本明細書において議論される全てのパーセンテージは、別途示さない限り質量パーセントである。本明細書において議論される全ての比は、別途示さない限り質量比である。
【0029】
[詳細な説明]
本発明の触媒系は、白金族金属を含まず、一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素、及び硫黄排出物の少なくとも1種の量を減少させ、1つ又は複数の触媒を含む。
【0030】
基材
本発明の基材は、限定されないが、屈折性材料、セラミック基材、ハニカム構造体、金属基材、セラミック発泡体、金属発泡体、網状発泡体、又は好適な組合せであってよい。基材は、複数のチャネル及び少なくとも必要な気孔率を有する。気孔率は、当該技術分野で公知のように基材依存性である。さらに、チャネルの数は、当該技術分野で公知のように、使用される基材に依って変動し得る。以下、モノリス基材において見出されるチャネルについて、詳細に記載する。好適な基材のタイプ及び形状は、当業者に明らかであろう。好ましくは、全ての基材は、金属又はセラミックのいずれであっても、三次元支持構造体を付与する。
【0031】
一実施形態において、基材はビーズ又はペレットの形態であってよい。ビーズ又はペレットは、限定されないが、アルミナ、シリカアルミナ、シリカ、チタニア、これらの混合物、又は任意の好適な材料から形成されたものでよい。別の実施形態において、基材は、限定されないが、ハニカム基材であってよい。ハニカム基材は、セラミックハニカム基材又は金属ハニカム基材であってよい。セラミックハニカム基材は、例えば、限定されないが、シリマナイト、ジルコニア、ペタル石、リチア輝石(リチウムアルミニウムシリケート)、ケイ酸マグネシウム、ムライト、アルミナ、コーディエライト(例えば、Mg2A14Si5O18)、他のアルミノケイ酸材料、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、又はこれらの組合せから形成されていてよい。他のセラミック基材は、当業者に明らかであろう。
【0032】
基材が金属ハニカム基材であるとき、金属は、限定されないが、耐熱性卑金属合金であってよい。特に、鉄が実質的又は主成分である合金であってよい。金属基材の表面を、約1000℃を超える高温で酸化し、合金の表面に酸化物層を形成することによって、合金の耐食性を改善することができる。この合金の表面上の酸化物層は、モノリス基材の表面に対するウォッシュコートの付着性を高めることもできる。
【0033】
一実施形態において、基材は、モノリスが伸長した、複数の精密な並行流路を有するモノリス担体であってよい。当該流路は、任意の好適な断面形状及び/又はサイズを有することができる。当該流路は、例えば、限定されないが、台形、長方形、正方形、正弦曲線状、六角形、だ円形、又は円形とすることができ、その他の好適な形状としてもよい。モノリスは、断面1平方インチ当たり約9〜1200以上のガス入口開口部又は経路を含み得るが、より少ない経路を用いてよい。
【0034】
基材は、粒状物のフィルタとして好適な任意のものでもよい。基材のいくつかの好適な形態として、限定されないが、織布フィルタ、特に織布セラミック繊維フィルタ、金網、ディスクフィルタ、セラミックハニカムモノリス、セラミック又は金属発泡体、壁流フィルタ、及び他の好適なフィルタを挙げることができる。壁流フィルタは、自動車排気ガス触媒用のハニカム基材に類似する。壁流フィルタのチャネルは、排気ガスが壁流フィルタの入口から出口を移動しながら壁流フィルタの多孔壁を通って強制的に流れるよう、入口及び出口において交互に塞がれ得るという点において、通常の自動車排気ガス触媒を形成するために使用され得るハニカム基材とは異なり得る。
【0035】
ウォッシュコート
実施形態によれば、本発明の触媒の少なくとも一部をウォッシュコートの形態の基材に配置してよい。ウォッシュコート中の酸化物固体は、1つ又は複数の担体材料酸化物、1つ又は複数の触媒、又は担体材料酸化物(複数可)及び触媒(複数可)の混合物であってよい。担体材料酸化物は、高温(>1000℃)で、かつ酸化還元条件の範囲において通常安定である。好ましい酸素貯蔵材料は、セリア及びジルコニアの混合物であり、より好ましくは、(1)セリア、ジルコニア、及びランタンの混合物、又は(2)セリア、ジルコニア、ネオジム、及びプラセオジムの混合物である。
【0036】
一実施形態によれば、本発明の触媒が少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含む場合、触媒は、約10〜90質量%、好ましくは約20〜80質量%、より好ましくは約40〜75質量%の酸素貯蔵材料を含んでよい。酸素貯蔵材料の質量%は、酸化物を基準とする。
【0037】
本発明のいずれかのウォッシュコートを、種々の量、好ましくは基材の表面積の殆ど又は全部を覆う量で、基材と一体にすることができる。一実施形態において、約80〜250g/Lのウォッシュコートを基材と一体にすることができる。
【0038】
一実施形態において、ウォッシュコートは、酸化物固体を水に懸濁させて水性スラリーを形成すること、及び水性スラリーを基材にウォッシュコートとして堆積させることによって基材に形成することができる。
【0039】
水性スラリーには、他の成分を任意選択的に添加してよい。他の成分、例えば酸もしくは塩基溶液又は種々の塩もしくは有機化合物を水性スラリーに添加してスラリーのレオロジーを調整し、及び/又はウォッシュコートの基材への結合を高めてよい。レオロジーを調整するために使用され得る化合物のいくつかの例として、限定されないが、水酸化アンモニウム、水酸化アルミニウム、酢酸、クエン酸、テトラエチル水酸化アンモニウム、他のテトラアルキルアンモニウム塩、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリセロール、市販のポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及び他の好適なポリマーが挙げられる。
【0040】
スラリーを任意の好適な方法で基材に配置してよい。例えば、限定されないが、基材をスラリー中に浸漬してもよく、又はスラリーを基材に噴霧してもよい。当業者に知られている、スラリーを基材上に堆積させる他の方法を、代替の実施形態において使用してよい。基材が並行な流路を有するモノリス担体である場合、ウォッシュコートは経路の壁に形成されていてよい。流路を通って流れるガスは、経路の壁におけるウォッシュコート並びに当該ウォッシュコートに支持されている材料と接触することができる。
【0041】
酸素貯蔵材料は、ウォッシュコートスラリーのレオロジーを改善できると考えられる。そのような改善は、触媒系のプロセス制御及び/又は製造においてみられる。酸素貯蔵材料の存在によるウォッシュコートスラリーの高いレオロジーは、ウォッシュコートスラリーの基材に対する付着力を高めることができる。
【0042】
触媒系の構造
本発明の触媒系は、以下の3つの構造のうち1つを有し得る。一実施形態において、触媒系は、基材(1)及びウォッシュコート(2)を含んでよく、ウォッシュコートは、少なくとも1種の触媒を含む。図1(構造1)を参照のこと。別の実施形態において、触媒系は、基材(1)、ウォッシュコート(2)、及びオーバーコート(3)を含んでよく、ウォッシュコート(2)及びオーバーコート(3)は、それぞれ、少なくとも1種の触媒を含む。図2(構造2)を参照のこと。別の実施形態において、触媒系は、基材(1)、ウォッシュコート(2)、及びオーバーコート(3)を含んでよく、オーバーコート(3)は少なくとも1種の触媒を含むが、ウォッシュコート(2)は触媒を含まず、好ましくは完全に含まない。図3(構造3)を参照のこと。第3触媒系の構造のウォッシュコート(2)は、担体材料酸化物又はこれらの混合物を含む。当業者に知られている他の成分が含まれていてもよい。
【0043】
図1〜3に示す構造は、層がどのような順序で適用されるかを示すが、最終生成物は、限定されないが、層間で起こり得る反応に起因して、示されているような層を有さなくてもよい。
【0044】
触媒を含むウォッシュコート(2)又はオーバーコート(3)が必要とされる事象において、ウォッシュコート(2)は、3つの異なる方法で堆積されてもよい。初めに、全ての所望の成分を一工程で堆積させる。あるいは、第2に、触媒を含まない成分を堆積させ、次いで少なくとも1種の含浸成分を別々に堆積させ、加熱する(この別々の堆積は、含浸工程とも称される)。含浸成分は、限定されないが、遷移金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、セリウム、ランタン、イットリウム、ランタニド、アクチニド、又はこれらの混合物を含む。含浸工程では、金属塩を、触媒を含むウォッシュコート(2)を生成する金属酸化物に転化する。第3に、金属塩を含めた全ての所望の成分を一度に堆積させ、次いで加熱して金属塩を金属酸化物に転化する。
【0045】
オーバーコート(3)は、ウォッシュコート(2)の処理後に典型的には適用されるが、全ての実施形態においてオーバーコート(3)の適用前に処理が必要というわけではない。好ましくは、オーバーコート(3)は、ウォッシュコート(2)の後に適用される。
【0046】
一実施形態によれば、触媒系は、基材(1)、並びにZPGM遷移金属触媒、混合金属酸化物触媒、及びゼオライト触媒からなる群から選択される1つ又は複数の触媒を含む。
【0047】
ZPGM遷移金属触媒
一実施形態によれば、本発明の触媒系は、ZPGM遷移金属触媒を含む。ZPGM遷移金属触媒は、1つ又は複数の遷移金属を含む。好ましくは、遷移金属は、銅、ニッケル、鉄、マンガン、銀、コバルト、タングステン、ニオブ、モリブデン、又はクロムである。より好ましくは銅、ニッケル、鉄、又はマンガンである。最も好ましくは銅、ニッケル、又はコバルトである。
【0048】
一実施形態によれば、ZPGM遷移金属触媒は、1つ又は複数の担体材料酸化物を任意選択的に含む。好ましくは、触媒は、ペロブスカイト、スピネル、ライオンザイト、酸素貯蔵材料、アルミナ、又はこれらの混合物を含む。より好ましくはスピネル、酸素貯蔵材料、アルミナ、又はこれらの混合物を含む。最も好ましくは少なくとも1種のスピネル及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料、又はアルミナ及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含む。
【0049】
本発明の触媒が少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含む場合、触媒は、約10〜90質量%、好ましくは約20〜80質量%、より好ましくは約40〜75質量%の酸素貯蔵材料を含んでよい。酸素貯蔵材料の質量%は、酸化物を基準とする。
【0050】
本明細書に記載されているいずれの触媒系についても、触媒は、1つ又は複数の遷移金属、アルカリ土類金属、セリア、及びこれらの混合物を任意選択的にさらに含んでよい。好ましくは、遷移金属は、鉄、マンガン、又はこれらの混合物である。好ましくは、アルカリ土類金属は、マグネシウム、バリウム、又はこれらの混合物である。
【0051】
一実施形態によれば、「タイプH」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、ニオブ、モリブデン、及びタングステンを含めた遷移金属の混合物であってよい。好ましい遷移金属は、銅、ニッケル及びコバルトである。遷移金属(複数可)の総量は、総触媒質量の約5〜50質量%で存在し、遷移金属の任意の比で存在してよい。
【0052】
一実施形態によれば、「タイプD」と称される触媒は、銅及び1つ又は複数の担体材料酸化物を含む。任意選択的に、さらなる遷移金属が含まれていてよい。本明細書において議論されているように、銅が含浸によって付けられてもよい。銅は約5〜50質量%、好ましくは約5〜30%、より好ましくは約15質量%で触媒に存在していてよい。
【0053】
一実施形態によれば、「ZPGM−6」と称される触媒系は、基材、ウォッシュコート、及びオーバーコートを含む。基材は、コーディエライトを含む。ウォッシュコートは、スピネル及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料はセリウム、ジルコニウム、及びランタンの混合物である。この実施形態におけるスピネルは酸化アルミニウムマグネシウムを含む。さらに、酸素貯蔵材料及びスピネルは、40:約60の質量比でウォッシュコート中に存在していてよい。含浸工程が必要である場合、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを添加及び加熱することで、金属塩を、触媒を含むウォッシュコートを生成する金属酸化物に転化してよい。オーバーコートは、酸化銅、スピネル、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。この実施形態におけるスピネルは酸化アルミニウムマグネシウムを含む。オーバーコートのスピネル及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でオーバーコート中に存在していてよい。銅は、約5〜50%、好ましくは約10〜16質量%でオーバーコート中に存在していてよい。
【0054】
一実施形態によれば、「ZPGM−5」と称される触媒系は、基材、ウォッシュコート、及びオーバーコートを含む。基材はコーディエライトを含む。ウォッシュコートは、ランタン−ドープ酸化アルミニウム及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。さらに、酸素貯蔵材料及びランタン−ドープ酸化アルミニウムは、約40:約60の比でウォッシュコート中に存在していてよい。任意選択的な含浸成分は、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを含む。オーバーコートは、酸化銅、ランタン−安定化酸化アルミニウム、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。オーバーコートの酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約75:約25の比でオーバーコート中に存在していてよい。銅は約5〜50%、好ましくは約15質量%でオーバーコート中に存在していてよい。
【0055】
一実施形態によれば、「ZPGM−4」と称される触媒系は、基材、ウォッシュコート、及びオーバーコートを含む。ウォッシュコートは、スズ酸化アルミニウム及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。スズ酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約25:75〜約75:25の比で、好ましくは約60:約40の比でウォッシュコート中に存在していてよい。任意選択的な含浸成分は、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを含む。オーバーコートは、アルミニウム、銅、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、及びランタンの混合物を含む。酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でオーバーコート中に存在していてよい。一実施形態によれば、オーバーコート中に、約5〜30質量%、好ましくは約10〜20質量%、より好ましくは約12質量%の銅が存在する。
【0056】
一実施形態によれば、「ZPGM−3」と称される触媒系は、基材及びウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、銅、スズ酸化アルミニウム、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含み、好ましくは、酸素貯蔵材料は、セリウム、ジルコニウム、ネオジム、及びプラセオジムの混合物を含む。スズ酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でウォッシュコート中に存在していてよい。含浸工程が用いられるとき、含浸成分は、銅、セリウム、ジルコニウム、及びランタンを含む。セリウム、ジルコニウム、及びランタンは、約60:約30:約10の比でウォッシュコート中に存在していてよい。ウォッシュコートは、さらなる遷移金属を含んでよい。一実施形態によれば、約5〜30質量%の銅、好ましくは約10〜20%、より好ましくは約12%がウォッシュコート中に存在する。
【0057】
一実施形態によれば、「ZPGM−2」と称される触媒系は、基材及びウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、限定されないが、銅、酸化アルミニウム、及び少なくとも1種の酸素貯蔵材料を含んでよく、好ましくは、酸素貯蔵材料はセリウム、ジルコニウム、及びランタンの混合物である。酸化アルミニウム及び酸素貯蔵材料は、約60:約40の比でウォッシュコート中に存在していてよい。ウォッシュコート中の銅は、約5〜20質量%、好ましくは約8%であってよい。ウォッシュコートコートは、さらなる遷移金属及び/又はセリアを任意選択的に含んでよい。
【0058】
一実施形態によれば、「ZPGM−1」と称される触媒系は、基材及びウォッシュコートを含む。ウォッシュコートは、少なくとも1種の担体材料酸化物及びペロブスカイトを含む。好ましくは、担体材料酸化物は、酸素貯蔵材料を含み、より好ましくは、セリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、プラセオジム、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ又は複数を含む。ペロブスカイトは、好ましくは、特定の式Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4O3を有する、セリウム、ランタン、マンガン及び銅の混合物である。
【0059】
一実施形態によれば、「タイプA」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属、少なくとも1種のアルカリ土類金属、セリウム、及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属、アルカリ土類金属及びセリウムは、3成分の任意の比において約5〜50質量%で存在する。好ましくは、アルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、バリウム、及びストロンチウムからなる群から選択される1つ又は複数を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、及びタングステンを含めた遷移金属の混合物であってよい。
【0060】
一実施形態によれば、「タイプC」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属、少なくとも1種のアルカリ土類金属、及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀を含めた遷移金属の混合物であってよい。アルカリ土類金属は、限定されないが、マグネシウム、カルシウム、バリウム又はストロンチウムであってよい。好ましい遷移金属は、銅、ニッケル、及びコバルトであり、好ましいアルカリ土類金属は、バリウム及びストロンチウムである。アルカリ土類金属及び遷移金属は、約1:10〜1:1のモル比において、触媒の約2〜50質量%存在してよい。
【0061】
一実施形態によれば、「タイプE」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び式ABO3を有するペロブスカイトを含む。遷移金属は、限定されないが、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀であってよい。好ましくは、遷移金属は、銅、ニッケル、及び/又はコバルトである。「A」は、ランタン、セリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ランタニド、アクチニド、又はこれらの混合物を含む。「B」は、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルト、セリウム、又はこれらの混合物を含む。遷移金属(複数可)は、約2〜30質量%存在する。
【0062】
一実施形態によれば、タイプE触媒は、ペロブスカイト(ABO3)、少なくとも1種の遷移金属、及び少なくとも1種の担体材料酸化物を含む。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、銀、又はこれらの混合物を含めた遷移金属の混合物であってよい。ペロブスカイト及び遷移金属は、約5〜50質量%存在する。
【0063】
実施形態によれば、「タイプG」と称される触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び式AB2O4を有するスピネルを含む。遷移金属は、限定されないが、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀であってよい。好ましい遷移金属として、銅、ニッケル、及びコバルトが挙げられる。より好ましくは銅が挙げられる。「A」及び「B」は、それぞれ、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ガリウム、ニッケル、銅、コバルト、鉄、クロム、ニオブ、チタン、スズ、又はこれらの混合物を含む。好ましいスピネルは、MgAl2O4である。遷移金属(複数可)は、約2〜30質量%存在する。
【0064】
一実施形態によれば、タイプG触媒は、スピネル(AB2O4)、遷移金属、及び担体材料酸化物である。遷移金属は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び/又は銀を含めた遷移金属の混合物であってよい。好ましいスピネルは、MgAl2O4である。スピネル及び遷移金属(複数可)は、約5〜約50質量%存在する。
【0065】
混合金属酸化物触媒
一実施形態によれば、触媒は、少なくとも1種の遷移金属及び少なくとも1種の他の金属を含む混合金属酸化物触媒であってよい。混合金属酸化物の他の金属として、限定されないが、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、ランタニド、又はアクチニドを挙げることができる。例えば、混合金属酸化物は、スピネル、ペロブスカイト、デラフォサイト、ライオンザイト、ガーネット、又はパイロクロアであってよい。
【0066】
一実施形態によれば、「タイプB」と称される触媒は、式ABO3を有するペロブスカイト又は一般式Aa−xBxMObを有する関連構造体を含み、「a」は1又は2であり、「a」が1のとき「b」は3であり、「a」が2のとき「b」は4であり、「x」は0.1≦x<0.7で定義される数である。「A」は、ランタン、ランタニド、アクチニド、セリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、又はこれらの混合物を含む。「B」は、単一の遷移金属、もしくは、限定されないが、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルト、及びセリウムを含む遷移金属の混合物、又はこれらの混合物を含む。一実施形態によれば、触媒は、式AMn1−xCuxO3を有してよく、「A」は、ランタン、セリウム、バリウム、ストロンチウム、ランタニド、又はアクチニドであり、「x」は0〜1である。
【0067】
別の実施形態によれば、タイプB触媒は、式ACe1−xCuxO3を有してよく、「A」は、バリウム、ストロンチウム、又はカルシウムであり、「x」は、0〜1である。一実施形態によれば、約10〜180g/Lの式ABO3が基材と一体になっていてよい。
【0068】
一実施形態によれば、タイプB触媒は、ペロブスカイト(ABO3)又は関連構造体(一般式Aa−xBxMObを含む)及び1つもしくは複数の担体材料酸化物を含む。ペロブスカイト又は関連構造体は、約5〜50質量%存在する。
【0069】
一実施形態によれば、「タイプF」と称される触媒は、式AB2O4を有するスピネルを含む。当該式の「A」及び「B」は、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、ガリウム、ニッケル、銅、コバルト、鉄、クロム、チタン、スズ、又はこれらの混合物である。
【0070】
一実施形態によれば、タイプF触媒は、スピネル及び担体材料酸化物を含む。スピネルは、約5〜50質量%存在する。
【0071】
ゼオライト触媒
一実施形態によれば、触媒は、ゼオライト又はゼオライト及び少なくとも1種の遷移金属の混合物とを含むゼオライト触媒であってよい。ゼオライトは、規則的な内部連結細孔を有するアルミノケイ酸と混合される。ゼオライトとしては、限定されないが、ZSM5、輝沸石、菱沸石、又はこれらの混合物、好ましくはZSM5が挙げられる。一実施形態によれば、「タイプI」と称される触媒は、ゼオライトに含浸させた少なくとも1種の遷移金属又はゼオライトの混合物を含む。遷移金属(複数可)は、単一の遷移金属、又は、限定されないが、クロム、ガリウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、タングステン、及び銀を含めた遷移金属の混合物であってよい。好ましくは、遷移金属は、銅、ニッケル、ガリウム、コバルト、及びこれらの混合物からなる群から選択される。遷移金属は、遷移金属の比において約3〜25質量%存在していてよい。
【0072】
一実施形態によれば、本発明の触媒は、排気から放出される汚染物質を低減させることができる。これは、触媒系に実質的に排気を通過させることによってなされ、流れる排気が汚染物質を低減させる。排気として、限定されないが、自動車、車両、工場、電車、航空機、ビル、及び研究所からの排気が挙げられる。汚染物質は、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物、及び硫黄を含めた、水、空気、陸地、及び環境の他のいずれかの部分に被害を与える任意の化合物、物質、ガス、又は廃棄物である。
【0073】
窒素酸化物排出物の量を減少させるための本発明の触媒。
例えば:NO+1/2O2→NO2
及び6NO2+8NH3→7N2+12H2O
触媒はまた、未燃焼炭化水素及び一酸化炭素の量を、これらを酸化することによって減少させる。
例えば:2CxHy+(2x+y/2)O2→2xCO2+yH2O
又は2CO+O2→2CO2
触媒はまた、硫黄排出量も減少させる。
【0074】
一実施形態によれば、触媒系は、第1触媒系及び第2触媒系を含む。第1触媒系は、本明細書に記載されている任意の触媒であってよい。第2触媒系は、少なくとも1種の白金族金属を含む触媒を含み、当該触媒は、限定されないが、白金族金属及び担体材料酸化物の混合物を含めた、当該技術分野で知られている任意の白金族金属を含んでよい。第1触媒系及び第2触媒系は、ガス流が第1触媒系、その後に第2触媒系を順番に通過する、又はその逆の順番で通過することができるような順序であってよい。また、触媒系は、第1及び第2触媒系だけでなく、例えば第3触媒系を含んでよい。
【0075】
含浸による、白金族金属を含まない触媒の調製
本明細書において議論されている特性を有するウォッシュコートは、当該技術分野で周知の方法によって調製することができる。ウォッシュコートは、本明細書に記載されている任意の触媒及び/又はさらなる成分を含んでよい。ウォッシュコートを基材に堆積させ、処理する。処理は、300〜700℃の間の温度、好ましくは約550℃で行う。処理は、約2〜6時間、好ましくは約4時間続けてよい。ウォッシュコート及び基材を処理した後、これらを室温程度まで冷却する。ウォッシュコート及び基材を冷却した後、ウォッシュコートを少なくとも1種の含浸成分に含浸させる。含浸成分として、限定されないが、水に溶解させた遷移金属塩又は塩が挙げられ、ウォッシュコート上に含浸した。含浸工程に続いて、含浸成分を含むウォッシュコートを処理する。処理は、約300〜700℃、好ましくは約550℃で実施してよい。処理は、約2〜6時間、好ましくは約4時間続けてよい。
【0076】
一実施形態によれば、基材、ウォッシュコート、及び含浸成分を処理して、ウォッシュコート及び/もしくは含浸成分を基材に添加する前又は後に触媒組成物を形成することができる。一実施形態において、ウォッシュコート及び含浸成分は、コーティングの前に処理してよい。
【0077】
この含浸方法は、オーバーコート上に実施してよい。オーバーコートを堆積させた後、オーバーコートを少なくとも1種の含浸成分に含浸させる。含浸成分として、限定されないが、水に溶解させた遷移金属塩又は塩が挙げられ、オーバーコート上に含浸した。含浸工程に続いて、含浸成分を含むオーバーコートを処理する。処理は、約300〜700℃、好ましくは約550℃で実施してよい。処理は、約2〜6時間、好ましくは約4時間続けてよい。
【0078】
析出による、白金族金属を含まない触媒の調製
析出方法は、遷移金属塩又は塩をウォッシュコートに析出させる工程を含む。遷移金属塩又は塩は、限定されないが、NH4OH、(NH4)2CO3、テトラエチル水酸化アンモニウム、他のテトラアルキルアンモニウム塩、酢酸アンモニウム、又はクエン酸アンモニウムと共に析出させてよい。ウォッシュコートは、本明細書に記載されている任意のウォッシュコートであってよい。次いで、析出した遷移金属塩又は塩及びウォッシュコートを処理する。処理は、約2〜24時間であってよい。次いで、析出した遷移金属塩又は塩及びウォッシュコートを基材に堆積させた後、約300〜700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間処理する。任意選択的に、処理後、処理された析出した遷移金属塩又は塩及びウォッシュコートにオーバーコートを堆積させ、再び処理してよい。オーバーコートは、約300〜700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間処理してよい。
【0079】
共粉砕による、白金族金属を含まない触媒の調製
触媒及び担体材料酸化物を共に粉砕する。触媒を、任意の化学技術、例えば、限定されないが固相合成、析出、又は当該技術分野で知られている任意の他の技術によって合成することができる。粉砕された触媒及び担体材料酸化物を基材にウォッシュコートの形態で堆積させ、次いで処理する。処理は、約300〜700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間であってよい。任意選択的に、オーバーコートを、室温程度まで冷却後、処理された触媒に堆積させてよい。オーバーコート、ウォッシュコート及び基材を、300〜約700℃、好ましくは約550℃の温度で約2〜6時間、好ましくは約4時間処理する。
【0080】
リッチ条件下における窒素酸化物低減の向上
一実施形態によれば、リッチ排気を本明細書に記載の触媒系に晒すことにより、窒素酸化物低減性能が大幅に向上する。白金族金属を含む触媒は、排気流がリッチになるに伴い、窒素酸化物低減性能を少し向上させるであろうと予期される。しかし、本明細書に記載の白金族金属を実質的に有さない触媒系では、燃料−リッチ条件下で、窒素酸化物低減性能の予期されない向上が観測できた。
【0081】
排気は、限定されないが、エンジン、バーナー、ボイラー、及び用役設備を含めた、排気が生成される任意の供給源に由来するものでよい。燃料−リッチ条件として、R値が1.0を超える、好ましくはR値が1.1を超える排気が挙げられる。
【0082】
一実施形態において、触媒系は白金族金属を含まず、好ましくは白金族金属を全く含まない。
【0083】
排気を複数の触媒系に晒す間の工程において、空気を注入することによる一酸化炭素及び炭化水素の低減の向上
【0084】
一実施形態によれば、排気を第1触媒系に晒す工程と第2触媒系に晒す工程の間において、流れる排気の少なくとも一部に空気を導入し、排気中の空気対燃料(A/F)比を増大させることにより、排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上することができる。図38を参照のこと。一実施形態において、空気対燃料比は約14.7以上に増大する。一実施形態において、第1触媒系及び/又は第2触媒系は、白金族金属を含まず、好ましくは白金族金属を全く含まない。
【0085】
触媒系は、排気を第1触媒系に晒す工程と第2触媒系に晒す工程の間に、排気の少なくとも一部(好ましくは全て)に空気を導入(好ましくは注入)して、R値を低下させる(A/F比を増大させる)ように設計される。図38を参照のこと。一実施形態において、排気を第1触媒系に晒した後及び空気導入の前に、追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気の導入の後に、追加の排気を添加することができる。別の実施形態において、空気導入の前後において、排気の一部は、第2触媒系に晒す工程を回避してよい。空気の追加により、利用可能な酸素の量を増大させて、触媒系による一酸化炭素及び炭化水素の酸化還元を向上する。空気は酸素を任意の量で含む。
【0086】
第1触媒系及び第2触媒系は本明細書に記載されている、いずれであることもできる。また、第2触媒系は白金族金属を含んでよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、2つを超える触媒系を用いることができる。排気を第1触媒系に晒す工程と第2触媒系に晒す工程の間、第2触媒系に晒す工程と第3触媒系に晒す工程の間、又は任意の2つの触媒系に晒す工程の間において、空気を導入する(並びに、複数の触媒系のペアにおいて、触媒系に晒す工程の間に導入してよい)。
【0088】
一実施形態によれば、排気中の炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物の低減は、(1)白金族金属を含まない触媒を含む第1触媒系を、リッチ条件を有する排気に晒す工程、並びに(2)排気を第1触媒系に晒す工程と、白金族金属を含まない触媒を含む第2触媒系に晒す工程との間において、排気の一部に空気を導入して、A/F比を約14.7以上に増大させる工程と、を組み合わせることによって向上することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の触媒系の構造1の概略図である。
【図2】本発明の触媒系の構造2の概略図である。
【図3】本発明の触媒系の構造3の概略図である。
【図4】フレッシュ触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の細孔容積の結果を示すグラフである。
【図5】劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の細孔容積の結果を示すグラフである。
【図6】フレッシュ及び劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の表面積概要を示すグラフである。
【図7】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4Ox粉末)のX線回折分析を示すグラフである。
【図8】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図9】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図10】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)X線回折分析を示すグラフである。
【図11】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図12】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)のX線回折分析を示すグラフである。
【図13】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図14】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図15】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図16】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図17】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図18】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示すグラフである。
【図19】タイプDのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図20】タイプD/タイプHのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図21】タイプD/タイプHのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図22】タイプFの混合金属酸化物触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図23】タイプFの混合金属酸化物触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図24】タイプFの混合金属酸化物触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図25】タイプGのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図26】タイプGのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図27】タイプG/タイプDのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図28】タイプG/タイプDのZPGM遷移金属触媒の例の着火試験の結果を示すグラフである。
【図29】タイプDのZPGM遷移金属触媒の例のランプ着火試験の結果を示すグラフである。
【図30】タイプIの例のランプ着火試験の結果を示すグラフである。
【図31】構造3の着火試験結果を示すグラフである。
【図32】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図33】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図34】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図35】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図36】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図37】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)の着火試験の結果を示すグラフである。
【図38】本発明の触媒系の設計1の概略図を示す。
【図39】ZPGM−1触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図40】ZPGM−2触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図41】ZPGM−3触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図42】ZPGM−4触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図43】ZPGM−5触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図44】ZPGM−6触媒系(フレッシュ及び劣化)のスイープ試験結果を示す。
【図45】10%Cu/CuLa0.04Al1.96O4の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプG触媒のスイープ試験結果を示す。
【図46】12.4%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2+Al2O3、75:25の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。
【図47】16%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。
【図48】10%Cu+12%Ce/La−Al2O3の組成を有するフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。
【図49】20%CuO/MgLa0.04Al1.96O4のフレッシュ及び劣化タイプD触媒の組成を有するスイープ試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
以下の実施例は、本発明の範囲を非限定的に説明することを意図している。当業者に知られている他の手順を代替的に用いてよいことが理解されるべきである。
【実施例1】
【0091】
白金族金属を含まない触媒の細孔容積及び表面積測定
図4は、フレッシュ(fresh)触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5について測定された細孔容積を示し、図5は、劣化(aged)触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5について測定された細孔容積を示す。劣化触媒系は、10%のH2O及び空気によって950℃で16時間劣化させた。図4の右側にあるy軸は、ZPGM−1の細孔容積(cm3/g)のみに関する。
【0092】
細孔容積は、Micromeritics(登録商標)(Norcross、Ga.)TriStar3000ガス吸着分析器を用いて77Kで測定した。細孔容積は、Barrett−Joiner−Halenda(BJH)法(E.P.Barrett、L.G.Joyner、P.P.Halenda、「The determination of pore volume and area distributions in porous substances.I.Computations from notrogen isotherms」J.Am.Chem.Soc.(1951)、73、373〜380頁)を用いて窒素吸着等温線から得た。
【0093】
図4及び5の結果は、劣化により、全ての触媒系(ZPGM−1〜ZPGM−5)の細孔容積が減少することを示した。フレッシュZPGM−1の平均細孔容積は、0.106cm3/gから劣化触媒の0.017cm3/gまで減少した。同様に、フレッシュZPGM−2の平均細孔容積は、0.173cm3/gから劣化触媒の0.116cm3/gまで減少した。また、フレッシュZPGM−3の平均細孔容積は、0.107cm3/gから劣化触媒の0.010cm3/gまで減少した。フレッシュZPGM−4の平均細孔容積は、0.190cm3/gから劣化触媒の0.142cm3/gまで減少した。フレッシュZPGM−5の平均細孔容積は、0.213cm3/gから劣化触媒の0.122cm3/gまで減少した。
【実施例2】
【0094】
フレッシュ及び劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−5の表面積分析
フレッシュ及び劣化ZPGM触媒系の表面積を図6に示す。劣化触媒系は、10%のH2O及び空気によって950℃で16時間劣化させた。
【0095】
表面積は、Micromeritics(登録商標)(Norcross、Ga.)TriStar3000ガス吸着分析器を用いて77Kで測定した。表面積は、BET(Brunauer、Emmitt及びTeller)法(S.Brunauer、P.H.Emmett及びE.Teller、J.Am.Chem.Soc.、1938、60、309頁)を用いて計算した。
【0096】
図6の結果は、劣化により全ての触媒系(ZPGM−1〜ZPGM−5)について、表面積が減少することを示す。表面積は、フレッシュZPGM−1が18.72m2/gから劣化触媒の2.76m2/gまで減少する。同様に、フレッシュZPGM−2の表面積は、38.60m2/gから劣化触媒の15.48m2/gまで減少する。フレッシュZPGM−3の表面積は、30.78m2/gから劣化触媒の16.71m2/gまで減少する。フレッシュZPGM−4の表面積は、46.95m2/gから劣化触媒の22.06m2/gまで減少する。フレッシュZPGM−5の表面積は、53.45m2/gから劣化触媒の24.02m2/gまで減少する。
【実施例3】
【0097】
ZPGM遷移金属触媒のX線回折分析
図7〜12は、フレッシュ及び劣化触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のX線回折(XRD)パターンを示す。劣化触媒系は、10%のH2O及び空気によって950℃で16時間劣化した。
【0098】
XRD分析を行って触媒系ごとに存在する結晶相を決定した。XRDパターンを、Rigaku(登録商標)粉末回折計(MiniFlex(商標))においてCuKα線を用いて、20〜70°の2θ範囲において0.05°の刻み幅かつ2秒の滞留時間で測定した。管電圧は40kV、電流は30mAに、それぞれ設定した。得られた回折パターンをInternational Centre for Diffraction Data(ICDD)データベースを用いて分析した。
【0099】
図7は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系、Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4O3のXRDスペクトルを示し、ペロブスカイト型(○)及びホタル石型(■)構造の存在を示す。劣化したサンプルは、ピークがより鋭いことから明らかなように、より多くホタル石型及びペロブスカイト型構造を有する。
【0100】
図8は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系、8%Cuを含浸させたAl2O3+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(Al2O3:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比 60:40)(160g/ml)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−2触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(□)、アルミナ(A)及びCuO(●)の存在を示す。劣化したZPGM−2触媒系は、ホタル石(□)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化したサンプルは、ピークがより鋭いことから明らかなように、より多くホタル石型構造を有する。
【0101】
図9は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系、8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)(200g/L)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−3触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(○)、ZrO2(□)、アルミナ(A)及びCuO(■)の存在を示す。劣化したZPGM−3触媒系は、ホタル石(○)、ZrO2(□)、SnO2(●)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化したサンプルにおけるコーディエライトのピークは、基材からのものである。劣化の間、CuはAl2O3と反応してCuAl2O4を形成する。
【0102】
図10は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系(12%Cu含浸Ce0.6Zr0.21La0.15O2+Al2O3(Ce0.6Zr0.21La0.15O2:Al2O3の質量比 60:40)を含むオーバーコート及び8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)を含むウォッシュコートから構成されている)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−4触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(●)、CeO2(□)、アルミナ(A)及びCuO(■)の存在を示す。劣化したZPGM−4触媒系は、ホタル石(●)、CeO2(□)、SnO2(○)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化の間、酸化スズはアルミナから解離し、CuはAl2O3と反応してCuAl2O4を形成する。
【0103】
図11は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系(12.4%CuO含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 25:75)(65g/L)を含むオーバーコート及び8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)(180g/L)を含むウォッシュコートから構成されている)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−5触媒系のXRDスペクトルは、ホタル石型構造(●)及びアルミナ(A)を示す。劣化したZPGM−5触媒系は、ホタル石(●)、CuAl2O4(◆)及びアルミナ(A)を示す。劣化の間、酸化スズはアルミナから解離し、CuはAl2O3と反応してCuAl2O4を形成する。
【0104】
図12は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系(10%Cu+12%Ce含浸MgAl2O4+16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Ce含浸MgAl2O4:16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40)(65g/L)を含むオーバーコート及び4%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸MgAl2O4+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(MgAl2O4:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比 60:40)(180g/L)を含むウォッシュコートから構成されている)のXRDパターンを示す。フレッシュZPGM−6触媒系のXRDスペクトルは、2つのホタル石型構造(●及び○)、並びにMgAl2O4(◇)を示す。劣化したZPGM−6触媒系は、2つのホタル石型構造(●及び○)、MgAl2O4(◇)、CuAl2O4(◆)、及びCuO(■)の存在を示す。劣化の間、CZL及びCuOはより結晶性になり、いくらかのCuAl2O4が形成された。
【実施例4】
【0105】
触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のスイープ試験
図13〜18は、(実施例1〜3において記載した)触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6についてのスイープ試験結果をそれぞれ示す。スイープ試験を入口温度600℃、空気/燃料スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験により触媒性能を種々のR値(還元体のモル数/酸化体のモル数)で示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す、なぜなら、それは、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、1050℃において10時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環する)で劣化した。
【0106】
図13は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。CO、炭化水素及びNOの触媒特性は劣化後に減少し、NO転化率は試験されるR値全範囲にわたって<5%である。劣化ZPGM−1のCO転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−1のHC転化率は、R値0.95〜1.05において最も良好である。
【0107】
図14は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−2のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−2触媒系に関するNO転化率は、R=0.85で最大である。
【0108】
図15は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−3のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−3に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。
【0109】
図16は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−4のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−4に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。
【0110】
図17は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−5のCO及びHC転化率は、R値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−5に関するNO転化率は、R値>1.05で増大する。
【0111】
図18は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。劣化後に、CO、炭化水素及びNOの触媒特性は減少する。劣化ZPGM−6のCO及びHC転化率は、R値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−6に関するNO転化率は、R値>0.975で増大する。
【実施例5】
【0112】
タイプD又はタイプHのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図19〜21は、例えばタイプD又はタイプHのZPGM遷移金属触媒の着火試験結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類され、例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒において実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率であると、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度であると、より効果的な触媒であることを意味する。
【0113】
図19は、16%Cu/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2の組成を有するタイプD/H触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類され、例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が267℃、HCのT50が525℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約2%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50をそれぞれ323℃及び595℃に減少させることを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 494℃と示される。
【0114】
図20は、12%Cu/Ce0.6Zr0.3La0.1O2の組成を有するタイプD/H触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が237℃、HCのT50が543℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約4%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50をそれぞれ329℃及び611℃に減少させることを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 515℃と示される。
【0115】
図21は、10%Cu+12%Ce/La−Al2O3の組成を有するタイプD/H触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプD及びタイプHの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が298℃、HCのT50が546℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約3%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50をそれぞれ325℃及び598℃に減少させることを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 461℃と示される。
【実施例6】
【0116】
タイプFのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図22〜24は、例えばタイプF触媒の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒において実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度が、より効果的な触媒であることを意味する。
【0117】
図22は、CuLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプF触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が334℃であることを示している。NO及びHCの最大転化率は640℃において、それぞれ約6%及び38%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCOのT50が約453℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 521℃と示されている。一方で、HCの最大転化率は、640℃で約16%である。
【0118】
図23は、Cu0.5Fe0.5La0.04Al1.96O4の組成を有するタイプF触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が346℃、HCのT50が535℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約1%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50が、それぞれ368℃及び588℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50 491℃と示されている。
【0119】
図24は、CuLa0.04Al1.47Mn0.49O4の組成を有するタイプF触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が371℃であることを示している。NO及びHCの最大転化率は640℃でそれぞれ約2%及び27%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、COのT50が約479℃に減少することを示している。一方で、NO及びHCの最大転化率はそれぞれ640℃で約16%である。
【実施例7】
【0120】
タイプGのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図25〜28は、例えばタイプG/タイプD触媒の着火試験結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒にて実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0121】
図25は、10%Ag/Cu0.5Fe0.5La0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が383℃であることを示している。NO及びHCの最大転化率は640℃でそれぞれ約1%及び33%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、COのT50が約394℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が485℃であると示している。一方で、HCの最大転化率は640℃で約16%である。
【0122】
図26は、10%Cu/CuLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が272℃、HCのT50が464℃であることを示している。NO転化率は640℃まで測定されない。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ375℃及び565℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が500℃であると示している。
【0123】
図27は、20%CuO/MgLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類される。例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が305℃、HCのT50が513℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約1%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ412℃及び587℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が478℃であると示している。
【0124】
図28は、10%Cu+12%Ce/MgLa0.04Al1.96O4の組成を有するタイプG/タイプD触媒の結果を示す。なお、触媒は1つ又は複数のタイプに分類され、例えばここでは、触媒がタイプG及びタイプDの両方であることに注目されたい。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が302℃、HCのT50が506℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約2%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒がCO及びHCのT50がそれぞれ338℃及び585℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が461℃であると示している。
【実施例8】
【0125】
タイプDのZPGM遷移金属触媒の着火試験
図29は、例えばタイプD触媒の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒にて実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0126】
図29は、12%CuO/(Ce0.6Zr0.3La0.1O2+MgLa0.04Al1.96O4(40:60))の組成を有するタイプD触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が258℃、HCのT50が381℃、NOのT50が519℃であることを示している。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、CO及びHCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ316℃及び464℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が375℃であると示している。
【実施例9】
【0127】
タイプIのゼオライト触媒の着火試験
図30は、例えばタイプIのゼオライト触媒の着火試験結果を示す。着火試験は本発明のフレッシュ触媒にて実施した。R値=1.05において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0128】
図30は、5%Ga+8%Cu/(ZSM−5)の組成を有するタイプI触媒の結果を示す。R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が376℃、HCのT50が319℃、NOのT50が343℃であることを示している。
【実施例10】
【0129】
基材とウォッシュコートとオーバーコートとを含み、オーバーコートは少なくとも1種の触媒を含むが、ウォッシュコートは触媒を含まない構造タイプ3の着火試験
図31は、例えば構造タイプ3(基材とウォッシュコートとオーバーコートとを含み、オーバーコートは少なくとも1種の触媒を含むが、ウォッシュコートは触媒を含まない。ウォッシュコートは、La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2を60:40で100g/l含み、オーバーコートは、12%Cu担持Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2を150g/L含む。)の触媒の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(800℃で16時間、56秒のリッチ区間及び4秒のリーン区間から構成される)触媒において実施した。R値=1.05及びR値=1.5において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0130】
R=1.05での着火試験は、触媒について、COのT50が314℃、HCのT50が464℃であることを示している。NOの最大転化率は640℃で約6%である。R値を1.5に増大させるとNO転化率が改善されるが、HCの性能は劣化する。R=1.5での着火試験は、触媒について、CO及びHCのT50がそれぞれ316℃及び566℃に減少することを示している。R=1.5でのNO着火は、T50が453℃であると示している。
【実施例11】
【0131】
触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6(フレッシュ及び劣化)の着火試験
図32〜37は、ZPGM−1〜ZPGM−6の着火試験結果を示す。着火試験を本発明の劣化(1050℃で10時間、56秒の科学量論(A/F=14.6)区間及び4秒のリーン(A/F=28.0)区間の間で循環)触媒にて実施した。R値=1.05において温度を約100℃〜640℃に上げることによって試験を実施した。図のプロットされた温度は、触媒の中央で測定した。着火試験は、窒素酸化物、一酸化炭素、及び炭化水素の転化率を、触媒系の温度の関数として測定する。ある特定の温度において、より高い転化率は、より効率的な触媒であることを意味する。これに対し、ある特定の転化率において、より低い温度は、より効果的な触媒であることを意味する。
【0132】
図32は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系(Ce0.6La0.4Mn0.6Cu0.4O3)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO及びHCのT50が、それぞれ288℃及び503℃であることを示している。NOの最大転化率は600℃で約19%である。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒では、COのT50が約600℃である。HC及びNOの最大転化率は、600℃でそれぞれ19%及び2%である。
【0133】
図33は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系(8%Cu含浸Al2O3+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(Al2O3:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比 60:40))のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO及びHCのT50が、それぞれ205℃及び389℃であることを示している。NOの最大転化率は600℃で約22%である。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。CO、HC及びNOの最大転化率は、600℃でそれぞれ約27%、24%及び3%である。
【0134】
図34は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系(8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比 60:40))のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ202℃、389℃及び651℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒は、CO及びHCのT50が、それぞれ約599℃及び651℃である。NOの最大転化率は、700℃で約5%である。
【0135】
図35は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系(オーバーコートが12%Cu含浸Ce0.64Zr0.21La0.15O2+Al2O3(Ce0.64Zr0.21La0.15O2:Al2O3の質量比が60:40)を含み、ウォッシュコートが8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸15%Sn−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Sn−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が60:40)を含む)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ254℃、442℃及び636℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒は、CO及びHCのT50が、それぞれ約462℃及び604℃である。NOの最大転化率は、770℃で約30%である。
【0136】
図36は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系(オーバーコートが12.4%CuO含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が25:75)を含み、ウォッシュコートが8%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸La−Al2O3+Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(La−Al2O3:Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が60:40)を含む)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ262℃、449℃及び608℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒におけるCO及びHCのT50は、それぞれ約571℃及び654℃である。NOの最大転化率は、700℃で約1%である。
【0137】
図37は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系(オーバーコートが10%Cu+12%Ce含浸MgAl2O4+16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2(Ce含浸MgAl2O4:16%Cu含浸Ce0.6Zr0.3Nd0.05Pr0.05O2の質量比が60:40)(65g/L)を含み、ウォッシュコートが4%Cu+6.1%Ce+2.4%Zr+1.5%La含浸MgAl2O4+Ce0.64Zr0.21La0.15O2(MgAl2O4:Ce0.64Zr0.21La0.15O2の質量比が60:40)を含む)のR=1.05での着火結果を示す。フレッシュ触媒系の着火試験は、CO、HC及びNOのT50が、それぞれ262℃、463℃及び622℃であることを示している。劣化後、触媒性能は、CO、HC及びNOについて減少する。劣化触媒におけるCO及びHCのT50は、それぞれ約425℃及び613℃である。NOの最大転化率は、730℃で約23%である。
【実施例12】
【0138】
触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のスイープ試験
図39〜44は、触媒系ZPGM−1〜ZPGM−6のスイープ試験結果をそれぞれ示す。スイープ試験は、入口温度600℃、空気/燃料比スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたって高い転化率であることが望ましい。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、1050℃において10時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0139】
図39は、フレッシュ及び劣化ZPGM−1触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。NO転化率はR=1.0において約32%であり、R=1.03において約58%まで向上し、R=2.0において100%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少し、NO転化率は試験されるR値全範囲にわたって<5%である。劣化ZPGM−1のCO転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−1のHC転化率は、0.95と1.05との間のR値について最も良好である。
【0140】
図40は、フレッシュ及び劣化ZPGM−2触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値>0.85で増大する。NO転化率はR=1.0において約32%であるが、R=1.03において約42%まで向上する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−2のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−2触媒系に関するNO転化率は、R=0.85で最大である。
【0141】
図41は、フレッシュ及び劣化ZPGM−3触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率はR=1.0において約60%であり、R=1.03において約76%まで向上し、R=1.2において100%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−3のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−3触媒系に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。劣化ZPGM−3は、R=2.0で約26%の最大NO転化率に到達する。
【0142】
図42は、フレッシュ及び劣化ZPGM−4触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約89%であり、R=1.03において約92%に向上し、R=2.0において100%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−4のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−4触媒系に関するNO転化率は、R値>0.95で増大する。劣化ZPGM−4は、R=1.0において約16%のNO転化率を示し、R=1.03において約24%に向上し、R=2.0において89%の転化率に到達する。
【0143】
図43は、フレッシュ及び劣化ZPGM−5触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約83%であり、R=1.03において約90%に向上し、R=2.0において99%の転化率に到達する。CO、炭化水素及びNO転化率についての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−5のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−5触媒系に関するNO転化率は、R値>1.05で増大する。劣化ZPGM−5は、R=1.0においてNO転化率を示さず、R=1.03において9%の転化率を示し、R=2.0において54%の転化率に到達する。
【0144】
図44は、フレッシュ及び劣化ZPGM−6触媒系のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>0.975で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約91%であり、R=1.03において約97%に向上し、R=1.05において>99%の転化率である。CO、炭化水素及びNO転化率についての触媒特性は劣化後に減少する。劣化ZPGM−6のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化ZPGM−6触媒系に関するNO転化率は、R値>0.975で増大する。劣化ZPGM−6は、R=1.0において約17%、R=1.03において31%のNO転化率を示し、R=2.0において98%の転化率に到達する。
【実施例13】
【0145】
タイプGの遷移金属触媒のスイープ試験
図45は、タイプG触媒の例についてのスイープ試験結果を示す。スイープ試験は、入口温度600℃、空気/燃料比スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、1050℃において10時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0146】
図45は、10%Cu/CuLa0.04Al1.96O4を含むフレッシュ及び劣化タイプG触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.0で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.0において約90%であり、R=1.03において約94%に向上し、R=1.2において98%の転化率である。CO、炭化水素及びNOについての触媒特性は劣化後に減少する。劣化のCO及びHC転化率はR値の増大と共に減少する。劣化触媒についてはNO転化率を全く測定しなかった。
【実施例14】
【0147】
タイプDの遷移金属触媒のスイープ試験
図46〜48は、タイプD触媒の例についてのスイープ試験結果を示す。スイープ試験は、入口温度450℃、空気/燃料スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、800℃において16時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0148】
図46は、12.4%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2+Al2O3、75:25を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。R値が1.15を超えると、NO転化率が増大する。NO転化率は、R=1.15において約6%であり、R=1.5において約42%に向上する。
【0149】
図47は、16%CuO/Ce0.3Zr0.6Nd0.05Pr0.05O2を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増大する。NO転化率は、R=1.05において約7%であり、R=1.5において約38%に向上する。
【0150】
図48は、10%Cu+12%Ce/La−Al2O3を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、CO転化率がR値>1.05で減少し、炭化水素(HC)転化率がR値の増大と共に減少することを示している。NO転化率は、R値が1.05を超えて増大すると増大する。NO転化率は、R=1.05において約3%であり、R=1.5において約59%に向上する。
【実施例15】
【0151】
タイプGの遷移金属触媒のスイープ試験
図49は、タイプG触媒の例についてのスイープ試験結果を示す。スイープ試験は、入口温度450℃、空気/燃料スパン±0.2及びサイクル周波数1Hzで実施した。スイープ試験は、種々のR値(酸化体のモル数で除した還元体のモル数)における触媒性能を示す。広範囲のR値にわたる高い転化率は、有望な触媒であることを示す。なぜなら、リッチ(R値>1)及びリーン(R値<1)エンジン条件においてうまく機能することができるためである。劣化触媒系は、800℃において16時間(56秒のリッチ区間と4秒のリーン区間との間で循環させる)で劣化した。
【0152】
図49は、20%CuO/MgLa0.04Al1.96O4を含むフレッシュ及び劣化タイプD触媒のスイープ試験結果を示す。フレッシュ触媒のスイープ結果は、R値の増大と共に炭化水素(HC)転化率が減少することを示している。NO転化率はR値の増大と共に増加する。NO転化率は、R=1.05において約9%であり、R=1.5において約88%に向上する。
【0153】
本発明について、特定の実施形態を記載したが、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を逸脱することなく、変更及び改変できる。本明細書において引用されている全ての参考文献は、本明細書において引用されているいずれの参考文献も含めて、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素酸化物の排出を低減する方法であって、
排気を触媒に晒す工程を含み、
排気のR値は1.0を超え、
触媒は白金族金属を実質的に含まない方法。
【請求項2】
触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される1つ又は複数である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒は白金族金属を全く含まない請求項1に記載の方法。
【請求項4】
排気は、エンジン、ボイラー、用役設備、処理プラント、及び製造プラントからなる群から選択される1つ又は複数に由来する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上する方法であって、
排気を第1触媒系に晒す工程と、排気の一部を第2触媒系に晒す工程と、を含み、
第1触媒系と第2触媒系は連続しており、第2触媒系に晒す前に、排気の一部に酸素を含む空気を導入するものであり、
第1触媒系は第1触媒を含み、白金族金属を実質的に含まず、
第2触媒系は第2触媒を含み、白金族金属を実質的に含まず、
排気の一部は14.7を超える空気対燃料比となる方法。
【請求項6】
排気の一部は、排気の100%である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
導入は、注入を含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第1触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される1つ又は複数である請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第2触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される1つ又は複数である請求項5に記載の方法。
【請求項10】
第1触媒系は白金族金属を全く含まない請求項5に記載の方法。
【請求項11】
第2触媒系は白金族金属を全く含まない請求項5に記載の方法。
【請求項12】
第2触媒系は少なくとも1種の白金族金属を含む請求項5に記載の方法。
【請求項13】
空気は酸素からなる請求項5に記載の方法。
【請求項14】
排気は、エンジン、ボイラー、用役設備、処理プラント、及び製造プラントからなる群から選択される1つ又は複数に由来する請求項5に記載の方法。
【請求項15】
第1触媒系に晒した後、空気を導入する前に、第2排気を排気の一部に添加する工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項16】
第1触媒系に晒した後、空気を導入した後に、第2排気を排気の一部に添加する工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項17】
排気は、一部及び回避(bypass)を含む請求項5に記載の方法。
【請求項18】
回避は、第2触媒系に晒さない請求項5に記載の方法。
【請求項19】
排気中の炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物の低減を向上する方法であって、
R値が1.0を超える排気を、第1触媒を含み白金族金属を実質的に含まない第1触媒系に晒す工程と、
排気の一部を、第2触媒を含み白金族金属を実質的に含まない第2触媒系に晒す工程と、を含み、
第1触媒系及び第2触媒系は連続しており、第1触媒系に晒した後、第2触媒系に晒す前に、空気対燃料比が14.7を超える排気の一部に酸素を含む空気を導入する方法。
【請求項20】
第1触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
第1触媒は白金族金属を全く含まない請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第2触媒は白金族金属を全く含まない請求項19に記載の方法。
【請求項24】
空気は酸素からなる請求項19に記載の方法。
【請求項1】
窒素酸化物の排出を低減する方法であって、
排気を触媒に晒す工程を含み、
排気のR値は1.0を超え、
触媒は白金族金属を実質的に含まない方法。
【請求項2】
触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される1つ又は複数である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒は白金族金属を全く含まない請求項1に記載の方法。
【請求項4】
排気は、エンジン、ボイラー、用役設備、処理プラント、及び製造プラントからなる群から選択される1つ又は複数に由来する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
排気中の一酸化炭素及び炭化水素の低減を向上する方法であって、
排気を第1触媒系に晒す工程と、排気の一部を第2触媒系に晒す工程と、を含み、
第1触媒系と第2触媒系は連続しており、第2触媒系に晒す前に、排気の一部に酸素を含む空気を導入するものであり、
第1触媒系は第1触媒を含み、白金族金属を実質的に含まず、
第2触媒系は第2触媒を含み、白金族金属を実質的に含まず、
排気の一部は14.7を超える空気対燃料比となる方法。
【請求項6】
排気の一部は、排気の100%である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
導入は、注入を含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第1触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される1つ又は複数である請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第2触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される1つ又は複数である請求項5に記載の方法。
【請求項10】
第1触媒系は白金族金属を全く含まない請求項5に記載の方法。
【請求項11】
第2触媒系は白金族金属を全く含まない請求項5に記載の方法。
【請求項12】
第2触媒系は少なくとも1種の白金族金属を含む請求項5に記載の方法。
【請求項13】
空気は酸素からなる請求項5に記載の方法。
【請求項14】
排気は、エンジン、ボイラー、用役設備、処理プラント、及び製造プラントからなる群から選択される1つ又は複数に由来する請求項5に記載の方法。
【請求項15】
第1触媒系に晒した後、空気を導入する前に、第2排気を排気の一部に添加する工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項16】
第1触媒系に晒した後、空気を導入した後に、第2排気を排気の一部に添加する工程をさらに含む請求項5に記載の方法。
【請求項17】
排気は、一部及び回避(bypass)を含む請求項5に記載の方法。
【請求項18】
回避は、第2触媒系に晒さない請求項5に記載の方法。
【請求項19】
排気中の炭化水素と一酸化炭素と窒素酸化物の低減を向上する方法であって、
R値が1.0を超える排気を、第1触媒を含み白金族金属を実質的に含まない第1触媒系に晒す工程と、
排気の一部を、第2触媒を含み白金族金属を実質的に含まない第2触媒系に晒す工程と、を含み、
第1触媒系及び第2触媒系は連続しており、第1触媒系に晒した後、第2触媒系に晒す前に、空気対燃料比が14.7を超える排気の一部に酸素を含む空気を導入する方法。
【請求項20】
第1触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2触媒は、ZPGM遷移金属触媒、ゼオライト触媒、及び混合金属酸化物触媒からなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
第1触媒は白金族金属を全く含まない請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第2触媒は白金族金属を全く含まない請求項19に記載の方法。
【請求項24】
空気は酸素からなる請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【公表番号】特表2011−525855(P2011−525855A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516309(P2011−516309)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/003799
【国際公開番号】WO2009/158008
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(509352945)田中貴金属工業株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/003799
【国際公開番号】WO2009/158008
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(509352945)田中貴金属工業株式会社 (99)
【Fターム(参考)】
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