説明

皮下信号又は体表面信号内の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するレベル交差検出器

【課題】雑音信号及び他の生理的信号を除去しながら、皮下的に、確実に不整脈を検知し検出する改良された埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ(SubQ ICD)を提供する。
【解決手段】患者の体内への最小の外科的侵入によって皮下的に埋め込み可能であり、且つ、皮下リード線に連結されるSubQ ICDは、必要であるときに、心臓にわたってカーディオバージョン−ディフィブリレーションショック及びペーシング治療の送出するための、分散した、カーディオバージョン−ディフィブリレーションのセンス電極及び刺激電極を提供する。レベル交差検出のシステム及びプロセスが実施されて、必要に応じて治療を送出するために、皮下信号又は体表面信号内の雑音、洞調律、及び心室細動を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的に、埋め込み可能医療デバイスシステムに関し、特に、皮下ICD(埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ:SubQ ICD)並びに皮下ECG信号内の洞頻脈及び雑音から不整脈を検出する改良された検出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
悪性頻脈性不整脈、たとえば、心房又は心室細動が検出されると、比較的高いエネルギーのカーディオバージョンショック及び/又はディフィブリレーションショックを患者の心臓に送出する、多くのタイプの埋め込み可能デバイス(IMD)が、最近20年にわたって臨床的に埋め込まれてきた。カーディオバージョンショックは、通常、細動検出基準が満たされると、検出されるR波と同期して送出され、一方、ディフィブリレーションショックは、通常、細動基準が満たされ、且つ、R波が、電位図(EGM)から識別できないときに送出される。
【0003】
ICD及び埋め込み可能ペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータ(PCD)は、複数の不整脈検出基準、複数の治療処方(たとえば、心房、心室、及び二腔内ペーシング用刺激、徐脈のための心房と心室内のペーシング用刺激、心不全のための2心房及び/又は2心室内ペーシング用刺激、及び、不整脈過剰駆動又は随伴刺激(entrainment stimulation)、及び、カーディオバージョン及び/又はディフィブリレーションのためのレベルの高い刺激)、広範囲の診断能力、及び高速テレメトリシステムを含む広範囲にわたる、十分な性能のあるプログラム可能なパラメータのセットを含む。これらの十分な性能のあるICD又はPCD(以降、IMD)は、通常、重篤な心臓事象(突然死など)を患い、生き残った患者に埋め込まれる。さらに、これらのデバイスは、5年〜8年まで持続して働き、及び/又は、少なくとも200の救命治療エピソードを提供することが期待される。
【0004】
過去20年にわたってサイズ縮小において長足の進歩があっても、寿命要件を含む全てのこうした特長をIMD内に組み込むことは、デバイスが、通常、最新の当該技術分野のペースメーカよりずっと大きくなることを強いる。こうしたデバイスは、一部の患者(特に、子供及び痩せた年配の患者)に埋め込むことが難しいことが多く、リード線システムを埋め込むために、通常、1本か2本の静脈の犠牲を必要とする。IMDの埋め込みのための最新の技術は、心臓電極及びリード線ワイヤのための経静脈的手法を使用する。ディフィブリレーションキャニスタ/ハウジングは、一般に、ディフィブリレーション用のアクティブな筐体として埋め込まれ、心臓内に配置される電極は、不整脈のペーシング、検知、及び検出に使用される。
【0005】
IMD及びインプラントプロシジャは、非常に費用がかかるが、埋め込まれたほとんどの患者は、IMDによって送出されるインターベンション治療のおかげで、突然心臓死エピソードを経験し、生き残った。突然心臓死エピソードの生存者は少数派であり、また、従来の尺度では無症候性であるが、それでもなお将来の突然死エピソードのリスクがある患者を特定するための調査が継続されている。患者の母集団の最新の調査、たとえば、MADIT II調査及びSCDHeFT調査は、突然心臓死を受け易い多数の患者が任意所与の母集団内に存在すること、その患者を、ある程度確実に特定することができること、及び、その患者が、ディフィブリレータの予防的埋め込み(一次予防(primary prevention)と呼ばれることが多い)の候補であることを立証している。しかし、全てのこうした患者に現在入手可能なIMDを埋め込むことは、相当に費用がかかるであろう。さらに、コスト因子がなくなっても、訓練を受けた要員及び埋め込み用資源が不足する。
【0006】
この患者母集団について提案された1つのオプションは、これらの患者が、ショックを受け、心臓エピソードを生き延びるときに、十分な性能のあるICD及び経静脈リード線を有するインプラントを最終的に有するように、予防的皮下埋め込み可能カーディオバータ/ディフィブリレータ(SubQ ICD)を埋め込むことである。
【0007】
SubQ ICDをディフィブリレーションとして最初に埋め込むことを選択する少数の小さな集団があるが、大多数の患者は、ICDかSubQ ICDのいずれかを埋め込まれることに生理的に適する。SubQ ICDの価格が、ICDに比べて低い価格点にある可能性がある。さらに、SubQ ICD技術は、発展するにつれて、ICDよりも明確且つ著しい利点を生み出す場合がある。たとえば、SubQ ICDは、リード線が、血流内に設置されることを必要としない。したがって、心臓血管環境内に設置されるリード線から生じる合併症がなくなる。さらに、心内膜リード線設置は、機械式心臓弁インプラントを有する患者に関して可能でなく、また、一般に、小児心臓患者について推奨されない。こうした理由及び他の理由で、SubQ ICDは、ICDに比べて好ましい場合がある。
【0008】
SubQ ICDの埋め込みに関連する技術的問題が存在する。たとえば、SubQ ICDは、筋肉アーチファクト、呼吸、及び他の生理的信号源の存在によって問題提起される。これは、特に、皮下系内に心臓内電極又は心外膜電極が存在しないため、SubQ ICD検知が、遠方場検知に限定されるためである。さらに、心房が、小さな筋肉質量を示し、心房信号が、経胸郭的に十分に検出可能でないために、皮下電極による心房活性化の検知が制限される。そのため、SubQ ICD検知は、心臓内、特に、心房内に電極があるという利点を有するICDより大きな問題を提示する。したがって、不整脈を検知し検出する技術的問題があると、SubQ ICDの設計は難しい命題になる。
【0009】
さらに別の問題は、患者内で、SubQ ICDを既存のペースメーカ(IPG)と組合わせることで、ある可能性がある。IPG患者がディフィブリレータを必要とする場合、これは、望ましい場合があるが、SubQ ICDとIPGの組合せインプラントは、IPGからのスパイクに基づいてペーシングするか又はショックを与えることができるSubQ ICDによって不適切な治療を引き起こす場合がある。特に、IPGが、ペーシング刺激を放出するたびに、SubQ ICDは、それを本物の心臓拍動として解釈する場合がある。その結果、心房、心室、又はその両方からの拍動を過剰計数することになる、又は、ペーシングスパイクが大きいために、不整脈信号(通常、振幅が著しく小さい)の検知が損なわれる場合がある。
【0010】
そのため、SubQ ICD要件、及びSubQ ICDが実施されると予想される環境によって提示される問題の存在下で、頑強な検出を提供することは、特別な検討を要求する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、これらの理由及び他の理由のために、雑音信号及び他の生理的信号を除去しながら、皮下的に、確実に不整脈を検知し検出する改良された方法及び装置についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
心内膜リード線又は心外膜リード線を有さない、SubQ ICDから取得されるECG信号による不整脈の改良された検出を提供する方法及び装置が述べられる。特に、本発明は、皮下信号特性に基づくしきい値信号に関する固定時間窓内の信号交差を利用すること、並びに、その後、雑音、洞調律、及び心室細動を区別するための、ヒストグラムの生成及び評価を含む。
【0013】
本発明が添付図面に関連して考えられるときに、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって本発明がよりよく理解されるにつれて、本発明のこれらの特徴及び他の特徴が認識されるであろう。図面では、同様の番号の付いた参照符号は、図面の図全体を通じて同様の部品を指定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、患者12内に埋め込まれたSubQ ICD14を示す。SubQ ICD14は、心切痕の前方で、患者12の肋骨の外側の皮下に埋め込まれる。さらに、SubQ ICD14に電気接続した皮下検知及びカーディオバージョン/ディフィブリレーション治療送出リード線28は、患者12の広背筋の一部分に隣接するロケーション内に皮下に埋められる。特に、心臓16が、SubQ ICD14とリード線28の遠位電極コイル29との間に配設されるように、リード線28は、SubQ ICD14の正中インプラントポケット(median implant pocket)から、側方及び後方に延びて患者の背面に至り、心臓の反対側のロケーションで皮下に埋められる。
【0015】
図1をさらに参照すると、ブルートゥース、WiFi、MICSなどのRF通信リンク24によって、又は、Goedeke他に対する、米国特許第5,683,432号「Adaptive Performance-Optimizing Communication System for Communicating with an Implantable Medical Device」(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されるように、プログラマ20が、SubQ ID14とテレメトリ通信する状態で示される。
【0016】
図2は、SubQ ICD14の正面図と平面図である。SubQ ICD14は、卵形であり、皮下検知及びカーディオバージョン/ディフィブリレーション治療送出リード線28を取り付けるためのコネクタ25を有するハウジングを形成する実質的に腎臓形状のプロファイルを含む。SubQ ICD14は、Andersonに対する米国特許第4,180,078号「Lead Connector for a Body Implantable Stimulator」及びHassler他に対する米国特許第5,470,345号「Implantable Medical Device with Multi-layered Ceramic Enclosure」に記載されるように、ステンレス鋼、チタン、又はセラミックで構築されてもよい。SubQ ICD14の電子部品回路機構は、ポリアミド可撓性回路、プリント回路基板(PCB)、又は、リードレスチップキャリア内にパッケージングされた集積回路及び/又はチップスケールパッケージング(CSP)を有するセラミック基板上に組み込まれてもよい。平面図は、皮下インプラントの容易さを促進する卵形構成を示す。この構造は、通常の体の動き及び胸部筋系の撓みがある間、人間工学的に患者の不快を最小にするようになっている。
【0017】
SubQ ICD14内で使用される電子回路機構は、検知されたECGから頻脈性不整脈を検出し、また、心臓が回復する間に必要に応じてカーディオバージョン/ディフィブリレーションショック並びにショック後ペーシングを提供する、知られている形態のうちのいずれの形態もとることができる。第1のカーディオバージョン/ディフィブリレーション電極及び第2のカーディオバージョン/ディフィブリレーション電極、また、任意選択で、第3のカーディオバージョン/ディフィブリレーション電極、並びに、以下で本明細書において述べるECG検知電極及びペーシング電極を使用するように機能するようになっているこうした回路機構の簡略化したブロック図は、図3において説明される。簡略化したブロック図は、デジタルクロック及びクロックライン、回路に電力供給し、ペーシングパルスを提供する低電圧電源及び供給ライン、又は、SubQ ICD14と外部プログラマ20との間でテレメトリ伝送するためのテレメトリ回路を含む、こうしたICDの従来のコンポーネント及び回路機構の全てを示すわけではないことが理解されるであろう。
【0018】
図3は、SubQ ICD14の密閉ハウジング内に低電圧電池と高電圧電池を含む電子回路機構を示す。低電圧電池353は、SubQ ICD14回路部、及び、当該技術分野でよく知られている方法でペーシングエネルギーを供給するペーシング出力コンデンサに電力を供給する電源(図示せず)に結合される。低電圧電池353は、1つ又は2つの従来のLiCFセル、LiMnOセル、又はLiIセルを備えることができる。高電圧電池312は、1つ又は2つの従来のLiSVOセル又はLiMnOセルを備えることができる。
【0019】
図3をさらに参照すると、SubQ ICD14の機能は、協働して、ECGを監視し、カーディオバージョン−ディフィブリレーションショック又はペーシングがいつ必要であるかを判定し、処方されたカーディオバージョン−ディフィブリレーション治療及びペーシング治療を送出する、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェアによって制御される。図3のブロック図は、Keimelに対する同一譲受人に譲渡された米国特許第5,163,427号「Apparatus for Delivering Single and Multiple Cardioversion and Defibrillation Pulses」及びKeimelに対する同一譲受人に譲渡された米国特許第5,188,105号「Apparatus and Method for Treating a Tachyarrhythmia」に記載される回路機構を組み込み、回路機構は、高電圧(HV)出力回路340のCOMMON出力332に結合するICD IPGハウジング電極、並びに、後方で且つ皮下に配設され、且つ、高電圧出力回路340のHV−1出力及びHV−2出力(それぞれ、313及び323)に結合する1つ又は2つのカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極を通常使用して、単相カーディオバージョン−ディフィブリレーションショック、同時2相カーディオバージョン−ディフィブリレーションショック、及び順次2相カーディオバージョン−ディフィブリレーションショックを選択的に送出する。本発明のSubQ ICD14の回路機構は、それぞれ、HV−1出力及びHV−2出力に結合された第1のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極313と第2のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極323との間で送出するための、1つのこうしたカーディオバージョン−ディフィブリレーションショック波形の採用によって簡略化されることができる。代替的に、第3のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極332が、図3に示すようにCOMMON出力に結合されることができ、第1のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極313及び第2のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極323は、図3に示すように、それぞれ、HV−1出力及びHV−2出力に電気結合されることができる。
【0020】
カーディオバージョン−ディフィブリレーションショックエネルギー及びコンデンサ充電電圧は、心臓に接触する少なくとも1つのカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極を有するICD、及び、皮膚に接触するカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極を有するほとんどのAED(自動体外ディフィブリレーション)によって供給されるエネルギー及び充電電圧の中間物である。最も2相性のある波形を使用するICDについて必要な典型的な最大電圧は、約750Vであり、約40ジュールの関連する最大エネルギーを有する。AEDについて必要な典型的な最大電圧は、約2000V〜5000Vであり、使用するモデル及び波形に応じて、約200ジュール〜360ジュールの関連する最大エネルギーを有する。本発明のSubQ ICD14は、約700V〜約3150Vの範囲の最大電圧を使用し、約25ジュール〜約210ジュールのエネルギーに関連する。総合高電圧静電容量は、約50マイクロファラド〜約300マイクロファラドの範囲にあることができる。ICDの当該技術分野で知られている利用可能な検出アルゴリズムのうちの1つを使用する遠方場心臓ECGの処理によって、悪性頻脈性不整脈、たとえば、心室細動が検出されるときに、こうしたカーディオバージョン−ディフィブリレーションショックが送出されるだけである。
【0021】
図3では、ペーサタイミング/センス増幅器回路378は、上述のように、電極332、313、任意選択で、存在する場合、電極323のうちの選択された対によって規定される特定のECGセンスベクトルにわたって生じる遠方界ECGのSENSE信号を処理する。検知電極対の選択は、突然死をもたらす心室細動のリスクがあると考えられる患者についてはR波である、対象となるEGM信号の最も信頼性の高い検知を提供するように、スイッチマトリクス/マルチプレクサ(MUX)390を通じて行われる。遠方界ECG信号は、スイッチマトリクス/マルチプレクサ390を通じて、ペーサタイミング/センス増幅器回路378内のセンス増幅器の入力に渡される。徐脈は、通常、ペーサタイミング/センス増幅器回路378又はタイミング及び制御回路344内の補充間隔タイマ、並びに、連続するR波間の間隔が補充間隔を越えるときに、ペーシングパルス発生器392に印加されるPACE TRIGGER信号を生成するペーシングパルスによって判定される。心臓が正常機能に回復するために、心臓をゆっくり拍動させることができるカーディオバージョン−ディフィブリレーションショックの送出後に、心拍出量を維持するために、徐脈ペーシングが、一時的に提供されることが多い。
【0022】
悪性頻脈性不整脈の検出は、ペーサタイミング/センス増幅器回路378からタイミング及び制御回路344へ出力されるR波センス事象信号間の間隔の関数として、タイミング及び制御回路344内で判定される。本発明は、間隔ベースの信号解析方法を利用するだけでなく、以下で述べるヒストグラム信号処理方法及び装置も利用することが留意されるべきである。
【0023】
検出アルゴリズムを実施するいくつかのステップは、マイクロプロセッサ、RAMとROM、関連する回路機構、及び、当該技術分野で通例であるように、テレメトリインタフェース(図示せず)を介してRAMにプログラム入力することができる記憶式検出基準を含むマイクロコンピュータ342において協働して実施される。データ及びコマンドは、マイクロコンピュータ342と、タイミング及び制御回路344と、ペーサタイミング/センス増幅器回路378と、高電圧出力回路340との間で、双方向データ/制御バス346を介して交換される。ペーサタイミング/センス増幅器回路378及びタイミング及び制御回路344は、遅いクロックレートでクロック駆動される。マイクロコンピュータ342は、通常、スリープ状態にあるが、各R波センス事象によって生成される割り込みによる速いクロックによるか、ダウンリンクテレメトリプログラミング命令の受信時か、又は、心臓ペーシングパルスの送出時に、目覚めると共に動作して、任意の必要な計算を実施し、頻脈及び細動の検出プロシジャを実施し、、ペーサタイミング/センス増幅器回路378内のタイマによって監視され制御される時間間隔を更新する。
【0024】
頻脈性不整脈の検出において使用され、実行される、マイクロコンピュータ342並びにタイミング及び制御回路344のアルゴリズム及び機能は、たとえば、Keimelに対する同一譲受人に譲渡された米国特許第5,354,316号「Method and Apparatus for Detection and Treatment of Tachycardia and Fibrillation」、Olson他に対する同一譲受人に譲渡された米国特許第5,545,186号「Prioritized Rule Based Method and Apparatus for Diagnosis and Treatment of Arrhythmias」、Olson他に対する同一譲受人に譲渡された米国特許第5,855,593号「Prioritized Rule Based Method and Apparatus for Diagnosis and Treatment of Arrhythmias」、及びBardy他に対する同一譲受人に譲渡された米国特許第5,193,535号「Method and Apparatus for Discrimination of Ventricular Tachycardia from Ventricular Fibrillation and Treatment Thereof」(すべて、参照によりその全体が本明細書に援用される)に述べられる。心室細動及び悪性心室頻脈の検出のための特定のアルゴリズムは、米国特許第5,354,316号、米国特許第5,545,186号、米国特許第5,855,593号、及び米国特許第5,193,535号に述べられる、心房頻脈性不整脈と心室頻脈性不整脈を互いに区別すると共に、心房頻脈性不整脈及び心室頻脈性不整脈を高レート洞調律から区別するための包括的なアルゴリズムの中から選択することができる。
【0025】
検出アルゴリズムは、生命にかかわる心室不整脈、たとえば、心室頻脈(V−TACH)及び心室細動(V−FIB)が存在すること又は存在しないことについて感度が高く且つ特異性がある。本発明の別の任意選択の態様は、Olson, W.他著「Onset And Stability For Ventricular Tachyarrhythmia Detection in an Implantable Cardioverter and Defibrillator」(Computers in Cardiology (1986) pp.167-170)に記載されるように、作動回路部(operational circuitry)が、心房細動(A−FIB)の存在を検出することができることである。検出は、R−R周期長不安定性検出アルゴリズムによって行うことができる。A−FIBが検出されると、作動回路部は、心室カーディオバージョン/ディフィブリレーションについて使用したのと同じショックエネルギーと波形とを使用して、QRS同期した心房カーディオバージョン/ディフィブリレーションを提供するであろう。
【0026】
検出アルゴリズムの作動モード及びパラメータは、プログラム可能であり、アルゴリズムは、V−FIB及び高レートV−TACH(>180bpm)の検出に的を絞られている。本発明のSubQ ICD14は、実際の突然死事象についてあまり使用されないが、設計及び実施の簡単さにより、SubQ ICD14が、リスクが比較的少ないか、又は、リスクが全く無い患者の大きな母集団において、適度の価格で、電気生理学者以外の医療関係者によって使用されることが可能になる。その結果、本発明のSubQ ICD14は、最も悪性である調律障害の自動検出及び治療を含む。子供に対する検出アルゴリズムの適用性の一部として、高速上室性頻脈及びより高速のV−FIBを有することがわかっている子供において使用するために、上方レート範囲を上方にプログラム可能である。
【0027】
悪性頻脈が検出されると、高電圧コンデンサ356、358、360、及び362が、高電圧充電回路364によって事前にプログラムされた電圧レベルまで充電される。高電圧出力コンデンサ356、358、360、362上に一定電荷を維持することは効率的でないと、一般に考えられる。代わりに、制御回路344が、高電圧(HV)充電回路364に対してライン345上に送出される高電圧充電コマンドHVCHGを出すときに、充電が始動され、充電は、双方向制御/データバス366及びHV出力回路340からのフィードバック信号VCAPによって制御される。高電圧出力コンデンサ356、358、360、及び362は、フィルム構成、アルミニウム電解構成、又は湿潤タンタル構成であり得る。
【0028】
高電圧電池312の負端子は、システムアースに直接結合される。スイッチ回路314は、ノーマルオープンであり、それにより、高電圧電池312の正端子は、高電圧充電回路364の正電力入力から切り離される。高電圧充電コマンドHVCHGはまた、導体349を介してスイッチ回路314の制御入力に伝導され、スイッチ回路314は、高電圧充電回路364の正電力入力に正高電圧電池電圧EXT B+を接続するのに応答して閉じる。スイッチ回路314は、たとえば、電解効果トランジスタ(FET)であってもよく、そのソース−ドレイン経路が、EXT B+導体318を遮断し、そのゲートが、導体345上のHVCHG信号を受信する。それにより、高電圧充電回路364は、高電圧電池312からの充電電流によって、高電圧出力コンデンサ356、358、360、及び362を充電し始める準備ができている。
【0029】
高電圧出力コンデンサ356、358、360、及び362は、第1の皮下カーディオバージョン−ディフィブリレーション電極313、第2の皮下カーディオバージョン−ディフィブリレーション電極323、また、任意選択で、第3の皮下カーディオバージョン−ディフィブリレーション電極332の中で選択された電極対間で、体及び心臓を通じて放電される、非常に高い電圧、たとえば、700〜3150Vに充電されてもよい。電圧充電回路部の詳細は、本発明を実施することに関して重要であると思われず、本発明の目的に適すると思われる1つの高電圧充電回路が開示される。高電圧出力コンデンサ356、358、360、及び362は、Wielders他に対する同一譲受人に譲渡された米国特許第4,548,209号「Energy Converter for Implantable Cardioverter」に詳細に記載されるように、高電圧充電回路364及び高周波数高電圧変圧器368によって充電される。高電圧変圧器368の出力巻き線とコンデンサ356、358、360、及び362を相互接続するダイオード370、372、374、及び376によって、適切な充電極性が維持される。上述のように、コンデンサ充電の状態は、タイミング及び制御回路344に対して、VCAP及び電圧を示すフィードバック信号を提供する高電圧出力回路340内の回路機構によって監視される。タイミング及び制御回路344は、VCAP信号が、プログラムされたコンデンサ出力電圧、すなわち、カーディオバージョン−ディフィブリレーションピークショック電圧に一致すると、高電圧充電コマンドHVCHGを終了させる。
【0030】
タイミング及び制御回路344は、その後、それぞれ、第1の制御信号NPULSE1及び第2の制御信号NPULSE2を生成し、NPULSE1及びNPULSE2は、カーディオバージョンショック又はディフィブリレーションショックの送出をトリガするために、高電圧出力回路340に印加される。特に、NPULSE1信号は、コンデンサ356及び358を備える第1のコンデンサバンクの放電をトリガする。NPULSE2信号は、コンデンサ360及び362を備える第2のコンデンサバンクの放電をトリガする。単に、NPULSE1信号及びNPULSE2信号のアサーションの数及び時間順序を変更することによって、複数の出力パルス療法(regime)の間で選択することが可能である。NPULSE1信号及びNPULSE2信号は、順次に、同時に、又は別個に提供されてもよい。こうして、タイミング及び制御回路344は、図3に示すように、HV−1出力、HV−2出力、また、任意選択で、COMMON出力に結合された、第1のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極313、第2のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極323、また、任意選択で、第3のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極332のうちの選択された1つ又は複数の対間で、高エネルギーカーディオバージョン−ディフィブリレーションショックを送出する高電圧出力回路340の動作を制御するのに役立つ。
【0031】
こうして、SubQ ICD14は、患者の心臓状態を監視し、カーディオバージョン−ディフィブリレーションを必要とする頻脈性不整脈の検出に応答して、第1のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極313、第2のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極323、及び第3のカーディオバージョン−ディフィブリレーション電極332のうちの選択された1つ又は複数の対を通じて、カーディオバージョン−ディフィブリレーションショックの送出を始動する。高いHVCHG信号によって、高電圧電池312が、スイッチ回路314を通じて、高電圧充電回路364に接続され、また、出力コンデンサ356、358、360、及び362の充電が始まる。充電は、プログラムされた充電電圧が、VCAP信号によって反映されるまで継続し、その時点で、タイミング及び制御回路344は、HVCHG信号をローに設定し、充電を終了させ、スイッチ回路314をオープンにする。通常、充電周期は、15秒〜20秒だけかかり、非常にまれに起こる。SubQ ICD14は、検出されるR波に時間同期して、上述した方法で心臓にカーディオバージョンショックを送出するように試みるようにプログラムされることができるか、又は、検出されるR波に送出を同期させるように試みることなく、上述した方法で心臓にディフィブリレーションショックを送出するように、プログラムされるか、又は、製造されることができる。頻脈性不整脈の検出及びカーディオバージョン−ディフィブリレーションショックの送出に関連するエピソードデータは、患者の心臓状態の診断を容易にするために、当該技術分野でよく知られる外部プログラマへアップリンクテレメトリ伝送するために、RAMに記憶されることができる。予防ベースでICD14を受ける患者は、患者の状態のさらなる評価、及び、より精巧で且つ長く働くICDの埋め込みについての必要性のさらなる判断のために、担当医師にそれぞれのこうしたエピソードを報告するように命令されるであろう。
【0032】
SubQ ICD14は、2方向テレメトリリンク24(図1に示す)を介して外部プログラマ20によってプログラムされることが可能であるように、望ましくは、テレメトリ回路(図3に示さず)を含む。アップリンクテレメトリは、患者の医師が再検討するために、デバイスステータス及び診断/事象のデータが、外部プログラマ20に送出されることを可能にする。ダウンリンクテレメトリにより、医師の制御を介して、外部プログラマが、デバイス機能のプログラミングと、検出の最適化と、特定の患者についての治療とを可能にするようになる。本発明を実施するときに使用するのに適したプログラマ及びテレメトリシステムは、長年にわたってよく知られてきた。既知のプログラマは、通常、双方向無線周波数テレメトリリンクを介して埋め込み式デバイスと通信し、それにより、プログラマは、埋め込み式デバイスによって受信される制御コマンド及び作動パラメータ値を送信することができ、また、埋め込み式デバイスは、診断データ及び作動データをプログラマに通信することができる。本発明を実施する目的に適すると思われるプログラマは、Medtronic, Inc.(ミネソタ州ミネアポリス)から市販されるモデル9790及びCareLink(登録商標)プログラマを含む。外部プログラミングユニットと埋め込み式デバイスとの間に必要な通信チャネルを提供する種々のテレメトリシステムが開発され、当該技術分野でよく知られている。本発明を実施する目的に適すると思われるテレメトリシステムは、たとえば、以下の米国特許、「Telemetry Format for Implanted Medical Device」という名称の、Wyborny他に対する米国特許第5,127,404号、「Marker Channel Telemetry System for a Medical Device」という名称の、Markowitzに対する米国特許第4,374,382号、「Telemetry System for a Medical Device」という名称の、Thompson他に対する米国特許第4,556,063号に開示されている。米国特許第5,127,404号(Wyborny他)、米国特許第4,374,382号(Markowitz)、及び米国特許第4,556,063号(Thompson他)は、本発明の譲受人に同じく譲渡されており、それぞれが、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0033】
図4は、本発明の信号処理態様に関連するブロック図400を示す。皮下リード線28の遠位電極29及びSubQ ICD14上の電極からのECG信号401は、図3のペーサタイミング/増幅器回路378内に位置する増幅器(バンドパスフィルタ)402によって、増幅され、バンドパスフィルタリングされる(0.67Hz〜30Hz)。狭帯域増幅器/フィルタ402は、望ましくは、有限インパルス応答フィルタ(FIR)である。整流ブロック404は、バンドパスフィルタ402からの増幅された信号に関して全波整流を実施する。処理ブロック406において、狭帯域信号から、レベル波形が導出される。参照によりその全体が本明細書に援用される、Keimel他に対する米国特許第5,117,824号「Apparatus for Monitoring Electrical Physiologic Signals」に記載されるように、プログラム可能な固定しきい値、移動平均、又は、代替的に、自動調整しきい値が生成される。比較器406は、レベルブロック408からの、選択され生成されたしきい値から信号交差を判定する。マイクロプロセッサ342、タイミング及び制御回路344、及びRAM/ROMに位置するプログラムは、たとえば、ブロック410において、隣接する2秒窓内の信号交差の10ミリ秒のビンを有するヒストグラムを生成する。隣接する窓からの単一又はいくつかのヒストグラムは、評価されて、正常洞調律、生理的雑音信号、洞頻脈、心室頻脈、及び/又は心室細動の検出が可能になる。図示する例は、2秒窓であるが、他の窓サイズが使用されてもよい。2秒〜10秒の窓サイズが、最良の性能を提供することになり、所望の窓サイズは3秒である。プログラム可能なmの中のn(すなわち、3の中の2)基準を使用して、生命にかかわらない信号に対して、VF又はVTの最終判定が行われる。
【0034】
図5Aは、整流されると共にフィルタリングされた皮下正常洞調律信号502を有する2秒窓500を示す。自動調整しきい値波形も、504に示される。皮下信号と自動調整しきい値との間の立ち上がりエッジ交差も、506に示される。信号交差のヒストグラムは、510において、2秒窓について示される。正常洞調律が、連続する2秒窓内で規則正しい一定ピーク512を生成することに留意されたい(簡単にするために、図面は、1つの窓だけを示す)。
【0035】
図5Bは、整流されると共にフィルタリングされた皮下心室細動信号522を有する2秒窓520を示す。自動調整しきい値波形も、524に示される。皮下信号と自動調整しきい値との間の立ち上がりエッジ交差が、526に示される。信号交差のヒストグラムは、530において、2秒窓について示される。心室細動が、連続する2秒窓内で100ミリ秒を中心とするガウス(すなわち、ベル形状)分布532を生成することに留意されたい。
【0036】
図5Cは、整流されると共にフィルタリングされた生理的雑音信号(すなわち、筋電位)542を有する2秒窓540を示す。自動調整しきい値波形も、544に示される。皮下信号と自動調整しきい値との間の立ち上がりエッジ交差が、546に示される。信号交差のヒストグラムは、550において、2秒窓について示される。雑音信号が、連続する2秒窓内で、短い間隔の交差(15ミリ秒〜75ミリ秒の範囲)の高周波発生552を生成することに留意されたい。
【0037】
図6は、本発明による不整脈の検出プロセスを示す簡略化したフロー図600である。ステップ602にて、リード線28及びキャニスタ14からの、又は、キャニスタ周辺上の2極電極からの皮下(SubQ)信号は、バンドパスフィルタリングされ(0.67Hz〜30Hz)、ステップ604にて、全波整流される。ステップ606にて、しきい値信号が生成される。このしきい値は、一定値(ピーク値のパーセンテージ)、移動平均、及び自動調整しきい値からプログラム/選択されてもよい。ステップ610にて、2秒タイマが評価される。このタイマの継続時間が、所望の窓サイズに相当し、この例の場合、2秒に設定される。上述のように、2秒〜10秒の窓サイズが望ましい。2秒タイマが、そのタイムアウトを完了しない場合、フロー図は、引き続き、しきい値信号/レベルに対して、整流された信号を評価/比較する(ステップ608)。ステップ610にて、2秒タイマが完了する場合、ステップ612にて、2秒ヒストグラムが生成される。ヒストグラムは、ステップ614にて評価され、提示された皮下信号が、正常洞調律(長い間隔の規則正しい一定のピーク)であるか、心室細動(100ミリ秒付近のベル形状ガウス曲線)であるか、又は、雑音(15ミリ秒〜75ミリ秒などの短い間隔の高周波発生)であるかについての判定が行われる。ステップ616にて、いくつかの隣接するヒストグラムを考慮し、また、プログラム可能な基準、m個の隣接するヒストグラムの中のn個の類似の診断(すなわち、3の中の2)と比較することによって、診断の再確認が行われる。診断が、基準に基づいて確認されない場合(No)、フロー図は、ステップ602に戻り、上述したように、信号評価プロセスを繰り返す。ステップ616にて、mの中のn試験が、肯定的に確認される場合(Yes)、事前プログラムされた治療が、必要に応じて、ステップ618にて送出される。ステップ618にて、治療が送出された後、フロー図は、ステップ602に戻る。
【0038】
本発明の特定の実施形態が、説明されると共に述べられたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができることが上記から明らかであろう。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲による以外は、制限されることが意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】患者内に埋め込まれたSubQ ICDを示す図である。
【図2】SubQ ICD及びSubQ ICDに関連する電気リード線本体の正面図と平面図である。
【図3】本発明による、SubQ ICDの回路機構の一実施形態の回路図である。
【図4】本発明による、SubQ ICDの検知回路部を示すブロック図である。
【図5A】皮下ECG信号から導出される正常洞調律についての信号を示す図である。
【図5B】皮下ECG信号から導出される心室細動についての信号を示す図である。
【図5C】皮下ECG信号から導出される雑音信号を示す図である。
【図6】本発明による、SubQ ICDによる不整脈の検出方法を示す簡略化したフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レベル交差検出器を含む皮下検知及び検出システムを形成する少なくとも1つの皮下電極に電気的に結合する皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ(SubQ ICD)であって、前記検出器は、
皮下信号又は体表面信号を検出する手段と、
ペーシング治療、カーディオバージョン治療、及びディフィブリレーション治療のうちの少なくとも1つを経胸郭的に送出するために、前記体表面信号に基づいて信号のタイプを判定する手段と
を備える、皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項2】
前記判定する手段は、前記皮下電極を介して収集されるECG信号から、洞調律と心室細動とを区別する手段をさらに備える、請求項1に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項3】
前記判定する手段は、バンドパスフィルタ及び整流器を備える、請求項1に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項4】
皮下電極と、
湾曲表面を有するハウジングと、
前記ハウジング内に位置すると共に前記電極との電気接続を有するカーディオバージョン/ディフィブリレーション回路と
を備える、皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項5】
前記電極は、皮下体表面信号を検出する手段を備える、請求項4に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項6】
前記ハウジングは、皮下体表面信号を検出する手段を備える、請求項4に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項7】
前記回路は、ペーシング治療、カーディオバージョン治療、及びディフィブリレーション治療のうちの少なくとも1つを経胸郭的に送出するために、体表面信号に基づいて信号のタイプを判定する手段を備える、請求項4に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項8】
前記回路は、
前記ハウジング上の電極及び前記電極からの信号を増幅すると共にフィルタリングする手段と、
前記信号の増幅後に該信号を整流する手段と、
狭帯域信号からレベル波形を導出する手段と
を備える、請求項4に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項9】
コンピュータが、選択され且つ生成されたしきい値から信号交差を判定する、請求項8に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項10】
前記皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ内で実施されるマイクロプロセッサ、制御回路、及びソフトウェアプログラムが、協働して10ミリ秒のビンを有するヒストグラムを生成する、請求項4に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項11】
隣接する窓からの1つ又は複数のヒストグラムが評価されて、正常洞調律、生理的雑音信号、洞頻脈、心室頻脈、及び心室細動のうちの少なくとも1つ又はそれらの組合せを検出する、請求項10に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項12】
前記窓のサイズが、約2秒〜10秒である、請求項11に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項13】
プログラム可能なmの中のn(3の中の2)基準を実施して、生命にかかわらない信号に対して、VF又はVTの判定を行う、請求項11に記載の皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータ。
【請求項14】
皮下埋め込み可能カーディオバータ−ディフィブリレータに関連する皮下電極から収集される信号に基づいて、雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステムであって、
検出回路と、
前記検出回路と動作可能に通信する、コンピュータ実施式ソフトウェアシステムと
を備える、雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。
【請求項15】
前記回路は、
前記皮下電極から収集される信号をフィルタリングするフィルタと、
前記信号を整流する整流器と、
しきい値に対して整流された信号を比較する比較器と、
時間制限を設定するタイマと、
前記設定された時間制限に基づいてヒストグラムを生成する発生器と、
信号タイプを特定する決定要素と
を備える、請求項14に記載の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。
【請求項16】
前記決定要素が前記信号タイプを特定することに続いて、前記mの中のn基準が前記ソフトウェアシステムによって実施される、請求項15に記載の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。
【請求項17】
前記mの中のn基準が実施されることに続いて、治療が送出される、請求項16に記載の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。
【請求項18】
バンドパスフィルタリングされた範囲が、約0.67Hz〜30Hzである、請求項14に記載の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。
【請求項19】
前記コンピュータ実施式ソフトウェアシステムは、しきい値交差に対して信号を処理すると共に、VT/VF、正常洞調律、及び雑音を識別する、請求項14に記載の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。
【請求項20】
前記正常洞調律は、広い間隔の規則的な一定ピークを示し、VFガウス分布が、75ミリ秒〜150ミリ秒付近の周期長を中心とし、前記雑音は、少数の交差及び短い間隔を示すと共に15ミリ秒〜75ミリ秒付近の周期長を中心とする、請求項19に記載の雑音、洞調律、及び心室細動を検出するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−538989(P2008−538989A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508897(P2008−508897)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013599
【国際公開番号】WO2006/115778
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】