説明

皮膚の炎症を処置するためのPUFAの使用

本発明は、哺乳動物における皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のための、式(I)の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物である化合物をラセミ化合物、立体異性体、または立体異性体の混合物の形態で提供する。本発明の化合物は、代表的に、さらなる治療剤と同時投与され、それはコルチコステロイドではなく、皮膚の状態/疾患を処置することにおいて有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の炎症、特にアトピー性湿疹、接触皮膚炎、乾癬または尿毒症性そう痒(uremic pruritis)によって引き起こされる皮膚の炎症を処置する新規の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最も一般的な皮膚の障害および病訴は、多数の異なる構成要素を含む。従って、多くの皮膚の障害は、(a)過剰増殖(hyperproliferation)、(b)炎症および/または(c)脱水に関与する。過剰増殖は、異常に高い細胞分裂の状態に関与し、それは、過剰な剥落皮膚をもたらし得る。炎症は、皮膚の腫れ、および赤み、ならびに増大した熱の感覚(sensation of increased heat)、および皮膚の痛みに関与する。脱水は、皮膚からの水の損失に関与し、例えば、皮膚(表皮)の通常は防水性の上層の損傷に起因し得る。
【0003】
哺乳動物における皮膚(表皮)の炎症は、多数の異なる病因からもたらされ得る。皮膚炎は、湿疹、特にアトピー性湿疹(アトピー性皮膚炎)、播種性神経皮膚炎、屈面性湿疹、乳児湿疹、妊娠性痒疹、接触皮膚炎、(例えば、刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、および光接触皮膚炎)、乾燥性湿疹、脂漏性湿疹、発汗障害、円盤状湿疹、静脈性湿疹(venous eczema)、疱疹状皮膚炎、神経皮膚炎、および自己湿疹化により引き起こされ得る。皮膚炎はまた、放射線への曝露、特に紫外線への曝露からもたらされる皮膚の炎症により引き起こされ得る。皮膚炎の他の原因としては、尿毒症性そう痒および自己免疫疾患、特に狼瘡および乾癬が挙げられる。
【0004】
皮膚の炎症は、発疹、赤み、皮膚浮腫(腫れ)、かゆみ、水疱形成、痛みおよび/または熱の感覚を引き起こし、それは見苦しいものであり得る。炎症によって引き起こされるかゆみは、ひっかくことになり得る。何らかの方法ですでに損傷を受けた皮膚をひっかくことは、容易に表皮のバリアを破り得、出血、および病原体による二次感染をもたらし得る。そのような二次感染は、抗生物質を用いた処置を必要とし得る。
【0005】
多数の異なる構成要素、すなわち過剰増殖、炎症および/または脱水の構成要素を有する皮膚状態を処置するとき、多数の異なる処置が使用され得ることが周知である。従って、乾癬の処置において、例えば、抗過剰増殖剤(antihyperproliferative)が、疾患の過剰増殖の構成要素を処置するために使用され得、抗炎症剤(anti−inflammatory)が炎症の構成要素を処置するために使用され得、そして軟化剤が、脱水の構成要素を処置するために使用され得る。
【0006】
皮膚の炎症の処置の最も一般的な形態は、経口および/または局所ステロイドである。しかしながら、ステロイド処置に関連する不利益が存在する。ステロイドに関連する一般的な副作用としては、成長を妨げること、皮膚が薄くなること、筋肉の損失および骨粗しょう症が挙げられる。
【0007】
本発明は、哺乳動物における、皮膚の炎症、特にアトピー性湿疹、接触皮膚炎、乾癬または尿毒症性そう痒によって引き起こされる皮膚の炎症を処置する新規の方法に関する。
【0008】
エイコサ−8Z,11Z,14Z−トリエン酸(ジホモ−γ−リノレン酸、すなわちDGLA)は、市販の多不飽和脂肪酸(PUFA)である。DGLAは、下に示される構造を有する。
【0009】
【化1】

特許文献1は、止痒性リチウム塩と組み合わせたDGLAの使用を記載する。特許文献2は、抗炎症性グルココルチコイドと組み合わせたDGLAの使用を記載する。これらの出願において、リチウム塩およびグルココルチコイドを用いる処置は、リチウム塩およびグルココルチコイドの両方が、身体における内因性の貯蔵からのDGLAの放出を遮断すると考えられているので、DGLAで補われる。
【0010】
好都合なことに、現在、DGLAが単独療法として有効に使用され得ることが発見されている。
【0011】
5−ヒドロキシ−エイコサ−6E,8Z,11Z−トリエン酸(5−HETrE))は、ミード酸に由来する市販のPUFA誘導体である。5−HETrEは、下に示される構造を有する。
【0012】
【化2】

8−ヒドロキシ−エイコサ−9E,11Z,14Z−トリエン酸(8−HETrE)は、エイコサ−8Z,11Z,14Z−トリエン酸(ジホモ−γ−リノレン酸、すなわちDGLA)に由来する市販のPUFA誘導体である。8−HETrEは、下に示される構造を有する。
【0013】
【化3】

15−ヒドロキシ−エイコサ−8Z,11Z,13E−トリエン酸(15−HETrE)は、エイコサ−8Z,11Z,14Z−トリエン酸(ジホモ−γ−リノレン酸、すなわちDGLA)に由来する市販のPUFA誘導体である。15−HETrEは、下に示される構造を有する。
【0014】
【化4】

15−HETrEは、皮膚に直接適用されるとき抗過剰増殖の特色を有することが公知である(非特許文献1)。
【0015】
13−ヒドロキシ−オクタデカ−6Z,9Z,11E−γ−トリエン酸(13−HOTrE(γ))は、γ−リノレン酸(GLA)に由来する市販のPUFA誘導体である。13−HOTrE(γ)は、下に示される構造を有する。
【0016】
【化5】

驚くことに、現在、DGLA、5−HETrE、8−HETrE、15−HETrE、13−HOTrE(γ)およびそれらの誘導体が、皮膚の炎症、特にアトピー性湿疹、接触皮膚炎、乾癬または尿毒症性そう痒によって引き起こされる皮膚の炎症を哺乳動物における局所投与によって処置することにおいて、臨床的に有用であることが見出されている。本発明の特定の発見は、これらの化合物が局所的に適用されるとき、皮膚におけるCOX−2酵素のレベルを低減することである。酵素のCOX−2ファミリーは、炎症に強く関連づけられ、炎症した組織において増大した量で存在することが見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0085579号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0173478号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Xi,et al;Prostaglandins,Leukotrienes and Essential Fatty Acids(2000)62(1),13−19
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、従って、式(I)
【0020】
【化6】

の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物である化合物を提供し、ここで、
−Alk−は、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−または−CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり;
は、水素原子であるか;あるいは
は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか;あるいは
は、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、それぞれ独立して水素原子、または−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;あるいは
は、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、1〜200の整数であり;
は、水素原子であるか;あるいは
は、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか、あるいはRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;あるいは
は、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、1〜200の整数であり;
そして、ここで、
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および脂肪族基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個、2個もしくは3個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニルオキシ基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルケニル基、C〜Cハロアルコキシ基、C〜Cハロアルケニルオキシ基、ヒドロキシル基、−SR’基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表し;
上記アリール基、ヘテロアリール基、炭素環式基、および複素環式基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個、2個、3個もしくは4個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルケニルオキシ基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルケニル基、C〜Cハロアルコキシ基、C〜Cハロアルケニルオキシ基、ヒドロキシル基、C〜Cヒドロキシアルキル基、−SR’基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’はそれぞれ、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表し;
そして、ここで、上記PUFA誘導体は、ラセミ化合物、立体異性体、または立体異性体の混合物の形態であって、この化合物は、哺乳動物における皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ジアミノベンジジンを用いた染色後0〜6時間の、エクスビボでブタの耳の皮膚に存在するCOX−2酵素の量を決定するための免疫組織化学アッセイの結果を示す。
【図2】図2は、ジアミノベンジジンを用いた染色後0〜6時間の、エクスビボでブタの耳の皮膚に存在するCOX−2酵素の量を決定するための免疫組織化学アッセイの結果を示しており、この皮膚は魚油におけるケトプロフェンを用いて処置された。
【図3】図3は、ジアミノベンジジンを用いた染色後0〜6時間の、エクスビボでブタの耳の皮膚に存在するCOX−2酵素の量を決定するための免疫組織化学アッセイの結果を示しており、この皮膚は、本発明の代表化合物であるDGLAを用いて処置された。
【図4】図4は、ジアミノベンジジンを用いた染色後0〜6時間の、エクスビボでブタの耳の皮膚に存在するCOX−2酵素の量を決定するための免疫組織化学アッセイの結果を示しており、この皮膚は、本発明の代表化合物である15−HETrEを用いて処置された。
【図5】図5は、水(最初の棒)と比較した、DGLA(2番目の棒)および15−HETrE(3番目の棒)のブタの皮膚におけるCOX−2発現への影響を決定するためのウエスタンブロット分析の結果を示す。対照におけるレベルには、100%の値を割り当てた。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましくは、上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および脂肪族基は、非置換か、または1個、2個もしくは3個、好ましくは1個もしくは2個、より好ましくは1個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cハロアルキルオキシ、および−NR’R’’から選択され、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素またはC〜Cアルキルを表す。より好ましい置換基は、ハロゲン基、C〜Cアルコキシ基、ヒドロキシル基、および−NR’R’’基であって、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表す。特に好ましい置換基としては、ヒドロキシル基および−NR’R’’基であって、ここでR’およびR’’は、同じであり、および水素を表す。
【0023】
上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および脂肪族基が2個または3個の置換基によって置換されるとき、2個以下の置換基がヒドロキシルから選択されることが好ましい。より好ましくは、1個以下の置換基がヒドロキシルから選択される。
【0024】
より好ましくは、上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、非置換である。
【0025】
本明細書中で用いられる場合、C〜Cアルキル基は、1個〜6個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキル基であり、例えば、1個〜4個の炭素原子を含むC〜Cアルキル基、好ましくは、1個〜2個の炭素原子を含むC〜Cアルキル基である。C〜Cアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、およびt−ブチルが挙げられる。不確かさを回避するために、本発明の化合物において2個のアルキル基が存在する場合、このアルキル基は同じか異なり得る。
【0026】
本明細書中で用いられる場合、C〜Cアルケニル基は、適用可能な場合、シス配置かまたはトランス配置のいずれかうちの少なくとも1つの二重結合を有する直鎖または分枝のアルケニル基であって、2個〜6個の炭素原子を含み、例えば、2個〜4個の炭素原子を含むC〜Cアルケニル基(例えば、−CH=CHまたは−CH−CH=CH、−CH−CH−CH=CH、−CH−CH=CH−CH、−CH=C(CH)−CHおよび−CH−C(CH)=CH)、より好ましくは、2個の炭素原子を有するCアルケニル基である。不確かさを回避するために、本発明の化合物において2個のアルケニル基が存在する場合、それらは同じかまたは異なり得る。
【0027】
本明細書中で用いられる場合、C〜Cアルキニル基は、2個〜6個の炭素原子を含む直鎖または分枝のアルキニル基であって、例えば、2個〜4個の炭素原子を含むC〜Cアルキニル基、好ましくは、2個の炭素原子を含むCアルキニル基である。例示的なアルキニル基としては、−C≡CHまたは−CH−C≡CH、ならびに1−ブチニル、および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルおよび5−ヘキシニルが挙げられる。不確かさを回避するために、本発明の化合物において2個のアルキニル基が存在する場合、それらは同じかまたは異なり得る。
【0028】
好ましくは、上記C〜Cアルキル基は、C〜Cアルキル基であり、上記C〜Cアルケニル基は、Cアルケニル基であり、および上記C〜Cアルキニル基は、Cアルキニル基である。
【0029】
本明細書中で用いられる場合、ハロゲン原子は、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素である。
【0030】
本明細書中で用いられる場合、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cアルケニルオキシ基は、代表的にそれぞれ、酸素原子に結合する、上記C〜Cアルキル(例えば、C〜Cアルキル)基、または上記C〜Cアルケニル(例えば、C〜Cアルケニル)基である。
【0031】
ハロアルキル基、ハロアルケニル基、ハロアルコキシ基、またはハロアルケニルオキシ基は、代表的にそれぞれ、1個またはそれより多くの上記ハロゲン原子によって置換される、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、またはアルケニルオキシ基である。代表的に、それは1個、2個、または3個の上記ハロゲン原子によって置換される。好ましいハロアルキル基、およびハロアルコキシ基としては、過ハロアルキル基、および過ハロアルコキシ基(例えば、−CXおよび−OCX、ここでXは上記ハロゲン原子(例えば、塩素またはフッ素))が挙げられる。
【0032】
本明細書中で用いられる場合、C〜Cアルキルチオ基、またはC〜Cアルケニルチオ基は、代表的にそれぞれ、硫黄原子に結合する、上記C〜Cアルキル基、またはC〜Cアルケニル基である(例えば、−S−CH)。
【0033】
本明細書中で用いられる場合、C〜Cヒドロキシアルキル基は、1個またはそれより多くのヒドロキシ基によって置換されるC〜Cアルキル基である。代表的に、それは1個、2個、または3個のヒドロキシ基によって置換される。好ましくは、それは、単一のヒドロキシ基によって置換される。
【0034】
本明細書中で用いられる場合、C〜C10アリール基は、単環式または多環式、好ましくは、6個〜10個の炭素原子を含む単環式芳香族環、例えば、6個の炭素原子を含むCアリール基である。そのようなアリール基の例としては、フェニル、ナフタレン、およびアズレンが挙げられる。フェニルが好ましい。
【0035】
本明細書中で用いられる場合、5員〜10員のヘテロアリール基は、単環式または多環式、好ましくは単環式の、5員〜10員の芳香族環(例えば、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、SおよびNから選択される1個、2個、3個、または4個のヘテロ原子)を含む5員または6員の環)である。環が4個のヘテロ原子を含むとき、これらは、好ましくは全て窒素原子である。例としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、およびテトラゾリル基が挙げられる。チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、およびピラジニル基が好ましく、例えば、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、およびピラジニル基である。より好ましい基は、チエニル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基、およびトリアジニル基、例えば、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピロリル基およびトリアジニル基であり、最も好ましくはピリジニル基である。
【0036】
本明細書中で用いられる場合、5員〜10員の複素環式基は、非芳香族の、飽和または不飽和の単環式または多環式、好ましくは、単環式の、C5〜10炭素環式環であって、ここで、1個またはそれより多くの、例えば、1個、2個、3個、または4個の炭素原子は、N、O、S、S(O)、およびS(O)から選択される部分で置き換えられ、およびここで1個またはそれより多くの残りの炭素原子は必要に応じて、基−C(O)−または−C(S)−によって置き換えられる。1個またはそれより多くの残りの炭素原子が、基−C(O)−または−C(S)−によって置き換えられるとき、好ましくは、1個または2個のみ(より好ましくは2個)のそのような炭素原子が置き換えられる。代表的に上記5員〜10員の複素環式環は、5員環〜6員環である。
【0037】
適切な複素環式基としては、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ジチオラニル、ジオキソラニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、チオモルホリニル、S−オキソ−チオモルホリニル、S,S−ジオキソ−チオモルホリニル、モルホリニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキソラニル、トリオキソラニル、トリチアニル、イミダゾリニル、ピラニル、ピラゾリニル、チオキソラニル、チオキソチアゾリジニル、1H−ピラゾール−5−(4H)−オンイル(1H−pyrazol−5−(4H)−onyl)、1,3,4−チアジアゾール−2(3H)−チオニル、オキソピロリジニル、オキソチアゾリジニル、オキソピラゾリジニル、スクシンイミド、およびマレイミド基および部分が挙げられる。好ましい複素環式基は、ピロリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ジチオラニル、ジオキソラニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、チオモルホリニルおよびモルホリニル基および部分である。
【0038】
不確かさを回避するために、ヘテロアリール基および複素環式基の上記の定義は、環に存在し得る「N」部分を指すが、熟練の化学者に明らかなように、N原子は、単結合を介して各隣接する環原子に結合される場合、プロトン化される(または下記に定義される置換基を有する)。
【0039】
本明細書中で用いられる場合、C〜C炭素環式基は、3個〜7個の炭素原子を有する、非芳香族の、飽和または不飽和の炭化水素環である。好ましくは、3個〜7個の炭素原子を有する、より好ましくは3個〜6個の炭素原子を有する、飽和または一不飽和の炭化水素環(すなわち、シクロアルキル部分またはシクロアルケニル部分)である。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル、ならびにそれらの一不飽和改変体、より具体的にはシクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。C〜C炭素環式基としてはまた、上に記載されるC〜C炭素環式基が挙げられるが、ここで、1個またはそれより多くの環炭素原子は、基−C(O)−によって置き換えられる。より好ましくは、0個、1個、または2個の環炭素原子(最も好ましくは0個)は、−C(O)−によって置き換えられる。最も好ましくは、上記C〜C炭素環式基は、シクロヘキシルである。
【0040】
代表的に、RおよびRにおける上記アリール基、ヘテロアリール基、複素環式基、および炭素環式基は、非置換か、または1個、2個、3個もしくは4個の非置換の置換基によって置換されており、例えば、1個、2個もしくは3個の非置換の置換基によって置換されている。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニルオキシ基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルケニル基、C〜Cハロアルコキシ基、C〜Cハロアルケニルオキシ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、C〜Cヒドロキシアルキル基、C〜Cヒドロキシアルケニル基、C〜Cアルキルチオ基、C〜Cアルケニルチオ基、および−NR’R’’基が挙げられ、ここでR’およびR’’はそれぞれ、同じかまたは異なっており、および水素またはC〜Cアルキルを表す。より好ましい置換基としては、ハロゲン原子、非置換の、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ヒドロキシル基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルコキシ基、C〜Cヒドロキシアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−SR’基、および−NR’R’’基が挙げられ、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表す。より好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C〜Cアルキル基およびC〜Cアルコキシ基が挙げられる。
【0041】
最も好ましくは、上記アリール基、ヘテロアリール基、複素環式基、および炭素環式基は、非置換である。
【0042】
およびRにおける上記アリール基、ヘテロアリール基、複素環式基、および炭素環式基が、2個、3個または4個の置換基によって置換されるとき、2個以下の置換基がヒドロキシル、シアノ、およびニトロから選択されることが好ましい。より好ましくは、1個以下の置換基がヒドロキシル、シアノ、およびニトロから選択される。
【0043】
本明細書中で用いられる場合、薬学的に受容可能な塩は、薬学的に受容可能な酸または塩基を有する塩である。薬学的に受容可能な酸としては、無機酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、または硝酸)、および有機酸(例えば、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp−トルエンスルホン酸)の両方が挙げられる。薬学的に受容可能な塩基としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、またはカリウム)およびアルカリ土類金属(例えば、カルシウム、またはマグネシウム)の水酸化物、ならびに有機塩基(例えば、アルキルアミン、アラルキルアミン、および複素環式アミン)が挙げられる。
【0044】
用語「溶媒和物」は、溶質(すなわち本発明の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩)の1個またはそれより多くの分子、および溶媒の1個またはそれより多くの分子によって形成される錯体または凝集体を指す。そのような溶媒和物は、代表的に、溶質と溶媒の実質的に固定されたモル比を有する結晶性の固体である。代表的な溶媒としては、例として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および酢酸などが挙げられる。溶媒が水のとき、形成される溶媒和物は、水和物である。
【0045】
本発明の化合物は、キラル中心を含み得る。従って、それらはラセミ混合物、鏡像異性体、または1個もしくはそれより多くの立体異性体において濃縮される混合物の形態で使用され得る。記載および特許請求されるような本発明の範囲は、本発明の化合物のラセミ形態、ならびに個々の鏡像異性体、および立体異性体濃縮混合物を包含する。
【0046】
用語「またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物」は、塩および溶媒和物の全ての組み合わせ(例えば、本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩の溶媒和物)を含むことを意図することが正しく理解される。
【0047】
およびRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であり得る。代表的に、脂肪族基は環式ではない。脂肪族基は、代表的に直鎖または分枝であり、好ましくは直鎖である。代表的に、脂肪族基は7個〜25個の炭素原子を有し、より好ましくは11個〜25個の炭素原子を有する。脂肪族基は、代表的に非置換か、または1個のヒドロキシル基で置換される。脂肪族基は、好ましくは非置換である。
【0048】
脂肪族基は、飽和、一不飽和、または多不飽和であり得る。飽和脂肪族基が好ましい。
【0049】
代表的に、飽和脂肪族基は、7個〜25個の炭素原子を有し、好ましくは11個〜17個の炭素原子を有する。
【0050】
一不飽和脂肪族基は、代表的に単一のC=C二重結合を含む。二重結合は、シス配置またはトランス配置を有する。単一の二重結合は、脂肪族基における任意の場所に存在し得るが、代表的に、脂肪族基が結合する(C=O)基に対して遠位である脂肪族基の末端から7つ目または9つ目の炭素原子である。代表的に、一不飽和脂肪族基は、7個〜25個の炭素原子、好ましくは15個〜23個の炭素原子を有する。
【0051】
多不飽和脂肪族基は、代表的に、2個またはそれより多くのC=C二重結合、例えば、2個、3個、4個、5個または6個のC=C二重結合を含む。各二重結合は、シス配置またはトランス配置を有し得る。二重結合は、脂肪族鎖における任意の場所に存在し得るが、代表的に、脂肪族基が結合する(C=O)基から最も遠いC=C二重結合は、脂肪族基が結合する(C=O)基に対して遠位である脂肪族基の末端から3つ目、6つ目または9つ目の炭素原子である。代表的に多不飽和脂肪族基は、7個〜25個の炭素原子、好ましくは15個〜23個の炭素原子を有する。
【0052】
代表的に、上記脂肪族基は、基Rであって、ここで、R−COHは脂肪酸である。好ましくは、上記脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸 パルミトレイン酸、シス−バクセン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサトリエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸、リノール酸、γ−リノレン酸、エイコサジエン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、ドコサジエン酸、アドレン酸、ドコサペンタエン酸、またはミード酸である。より好ましくは、上記脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはステアリン酸である。
【0053】
1つの実施形態において、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基は、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体の脂肪族基、すなわち式−(CH−Alk−(CHCHの脂肪族基であって、ここで、−Alk−は本明細書中で定義される通りである。
【0054】
好ましい実施形態において、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基は、ジホモ−γ−リノレン酸、または15−ヒドロキシエイコサトリエン酸の脂肪酸基、すなわち、この脂肪族基は、−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CHCH(ここで、全てのC=C二重結合はシス配置である)か、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OH)−(CHCHである。好ましくは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基は、15−ヒドロキシエイコサトリエン酸の脂肪酸基、すなわち、この脂肪族基は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OH)−(CHCHである。
【0055】
より好ましい実施形態において、式(I)のPUFA誘導体は、式R’(C=O)O−CH−CH(O(C=O)R’)−CH−O(C=O)R’であって、ここで、R’はそれぞれ、15−ヒドロキシエイコサトリエン酸の脂肪族基、すなわち、R’は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OH)−(CHCHである。従って、式(I)のPUFA誘導体は、好ましくは、
【0056】
【化7】

である。
【0057】
−Alk−部分の左側は、−COOR部分を有する不飽和炭素鎖に結合し、−Alk−基の右側は、飽和炭素鎖に結合することが理解されるべきである。
【0058】
代表的に、−Alk−は、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−である。好ましくは、−Alk−は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−である。
【0059】
代表的に、Rは、水素原子であるか;あるいはRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、Cアリール基、5員〜6員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜6員の複素環式基であるか;あるいはRは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、本明細書中で定義される通りであるか;あるいはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、本明細書中で定義される通りであり;ここで、上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個もしくは2個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、C〜Cアルコキシ基、ヒドロキシル基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表し;ならびに上記アリール基、ヘテロアリール基、炭素環式基、および複素環式基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個、2個もしくは3個の非置換の置換基によって置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’はそれぞれ、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキル基を表す。
【0060】
好ましくは、Rは、水素原子であるか;またはRは、非置換のC〜Cアルキル基であるか;または、Rは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、本明細書中で定義される通りであるか;またはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、本明細書中で定義される通りである。
【0061】
より好ましくは、Rは、水素原子であるか;またはRは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、本明細書中で定義される通りであり、ならびにここで、RまたはRのうちの少なくとも1つは、−(C=O)−Rであって、ここでRは、本明細書中で定義される通りである。
【0062】
最も好ましくは、Rは、水素原子である。
【0063】
mは、代表的に5〜150、好ましくは10〜50の整数である。
【0064】
は、代表的に−(C=O)−Rであって、ここでRは、本明細書中で定義される通りである。
【0065】
は、代表的に−(C=O)−Rであって、ここでRは、本明細書中で定義される通りである。
【0066】
好ましくは、RおよびRの両方は、−(C=O)−Rであって、ここでRはそれぞれ、同じかまたは異なっていてもよく、本明細書中で定義される通りである。
【0067】
代表的に、RおよびRが、両方とも−(C=O)−Rであるとき、Rは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基ではない。
【0068】
は、本明細書中で定義されるように3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基である。代表的に、上記脂肪族基は、飽和である。代表的に、Rは、7個〜25個の炭素原子、好ましくは11個〜17個の炭素原子を有する脂肪族基である。好ましくは、Rは基Rであって、ここでR−COHは、金酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはステアリン酸である。
【0069】
代表的に、Rは、水素原子であるか;あるいはRは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、Cアリール基、5員〜6員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜6員の複素環式基であるか;あるいはRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;あるいはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、本明細書中で定義される通りであり、ここで、上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個もしくは2個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、C〜Cアルコキシ基、ヒドロキシル基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表し;ならびに上記アリール基、ヘテロアリール基、炭素環式基、および複素環式基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個、2個もしくは3個の非置換の置換基によって置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’はそれぞれ、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキル基を表す。
【0070】
好ましくは、Rは、水素原子であるか;またはRは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、非置換のC〜Cアルキル基であるか;またはRは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;またはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、本明細書中で定義される通りである。
【0071】
より好ましくは、Rは、水素原子であるか;またはRは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;またはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、本明細書中で定義される通りである。
【0072】
最も好ましくは、Rは水素原子である。
【0073】
nは、代表的に5〜150、好ましくは10〜50の整数である。
【0074】
が、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるとき、上記脂肪族基は、本明細書中で定義される通りである。代表的に、上記脂肪族基は飽和である。代表的に、Rは、7個〜25個の炭素原子、好ましくは11個〜17個の炭素原子を有する脂肪族基である。好ましくは、Rは、基Rであって、ここでR−COHは、金酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはステアリン酸である。
【0075】
1つの実施形態において、式(I)のPUFA誘導体は、R鏡像異性体およびS鏡像異性体のラセミ混合物として存在する。
【0076】
別の実施形態において、式(I)のPUFA誘導体は、R鏡像異性体として存在する。
【0077】
別の実施形態において、式(I)のPUFA誘導体は、S鏡像異性体として存在する。
【0078】
代表的に、哺乳動物はヒトである。
【0079】
好ましい実施形態において、−Alk−は、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり;Rは、水素原子、非置換のC〜Cアルキル基、または式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または−(C=O)−Rであって、ここでRは、11個〜25個の炭素原子を有する直鎖の脂肪族基であって、この脂肪族基は、非置換か、または1個のヒドロキシル基で置換されているか、あるいはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、5〜150の整数であり;そしてRは、水素原子、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、非置換のC〜Cアルキルであるか、または基−(C=O)−Rであって、ここでRは、11個〜25個の炭素原子を有する直鎖の脂肪族基であって、この脂肪族基は、非置換か、もしくは1個のヒドロキシル基で置換されているか;またはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、5〜150の整数である。
【0080】
より好ましい実施形態において、−Alk−は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり;Rは、水素原子、非置換のC〜Cアルキル基、または式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または−(C=O)−Rであって、ここでRは、11個〜25個の炭素原子を有する直鎖の脂肪族基であって、この脂肪族基は、非置換か、もしくは1個のヒドロキシル基で置換されているか、あるいはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、5〜150の整数であり;そしてRは、水素原子、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、非置換のC〜Cアルキルであるか、または基−(C=O)−Rであって、ここでRは、11個〜25個の炭素原子を有する直鎖の脂肪族基であって、この脂肪族基は、非置換か、もしくは1個のヒドロキシル基で置換されているか;またはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、5〜150の整数である。
【0081】
最も好ましい実施形態において、−Alk−は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり;Rは、水素原子、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または−(C=O)−Rであって、ここでRは、11個〜17個の炭素原子を有する非置換の直鎖の飽和脂肪族基であり、ここでRおよびRのうちの少なくとも1つは、−(C=O)−Rであり;そしてRは、水素原子、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、11個〜17個の炭素原子を有する非置換の直鎖の飽和脂肪族基であるか、またはRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、10〜50の整数である。
【0082】
代表的に、本発明の化合物(上述される好ましい実施形態が挙げられる)において、(a)Rは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または−(C=O)−Rを表し、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する飽和脂肪族基であり、ここでRまたはRのうちの少なくとも1つは、−(C=O)−Rである;あるいは
(b)Rは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、本明細書中で定義される通りである;そして/あるいは
(c)Rは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する飽和脂肪族基である;あるいは
(d)Rは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、本明細書中で定義される通りである。そのような化合物は、特に親油性であり、このことは、いくつかの例において、好都合である。
【0083】
この好ましい実施形態において、好ましくは、(a)Rは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する飽和脂肪族基であり、ここでRまたはRのうちの少なくとも1つは、−(C=O)−Rであり;および/または(c)Rは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する飽和脂肪族基である。
【0084】
より好ましい実施形態において、RおよびRの両方は、水素原子である。
【0085】
特に好ましい実施形態において、−Alk−は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−、ならびにRおよびRは、両方とも水素原子である。この実施形態において、式(I)のPUFA誘導体は、15−HETrEであり、式
【0086】
【化8】

によって表される。
【0087】
代表的に、本発明の化合物は、1日当たり1回またはそれより多くの処置、好ましくは1日当たり1回〜4回の処置、より好ましくは1日当たり1回〜2回の処置として投与される。
【0088】
代表的に、本発明の化合物は、0.1mg/m/日〜1kg/m/日、好ましくは1mg/m/日〜100g/m/日、より好ましくは10mg/m/日〜10g/m/日、最も好ましくは100mg/m/日〜1g/m/日の1日量で投与される。
【0089】
皮膚の炎症としては、発疹、蕁麻疹、水疱、および/または膨疹が挙げられ、湿疹、放射線への曝露、自己免疫疾患、および/または尿毒症性そう痒により引き起こされ得る。
【0090】
好ましい実施形態において、上記皮膚の炎症は、アトピー性湿疹、接触皮膚炎、乾癬、または尿毒症性そう痒により引き起こされる。
【0091】
さらなる好ましい実施形態において、上記皮膚の炎症は、電磁放射線への皮膚の曝露により引き起こされる。これには、例えば、太陽光、熱、X線、または放射性物質への曝露が挙げられる。従って、この実施形態において、本発明の化合物は、代表的に、日焼けを処置するために使用される。
【0092】
用語 湿疹は、多様な病因を有する幅広い皮膚の状態に適用される。一般に湿疹は、表皮の炎症によって分類される。湿疹に関連する一般的な症状としては、乾燥、繰り返し発症する皮膚の発疹、赤み、皮膚浮腫(腫れ)、かゆみ、乾燥、かさぶた形成(crusting)、剥落、水疱形成、亀裂、滲出、および出血が挙げられる。湿疹としては、アトピー性湿疹(アトピー性皮膚炎)、接触皮膚炎、乾燥性湿疹、脂漏性皮膚炎、発汗障害、円盤状湿疹、静脈性湿疹、疱疹性皮膚炎、神経皮膚炎、および自己湿疹化が挙げられる。湿疹は、代表的に、アトピー性湿疹または接触皮膚炎である。
【0093】
アトピー性湿疹は、主として、アレルゲンの接触または取り込みによりさらに悪化し、このアレルゲンとしては、動物の毛およびふけ、食物アレルゲン(例えば、木の実もしくは貝・甲殻類)、または薬物(例えば、ペニシリン)が挙げられる。
【0094】
接触皮膚炎としては、アレルギー性接触皮膚炎、刺激性接触皮膚炎、および光接触皮膚炎が挙げられる。
【0095】
電磁放射線としては、電波、マイクロ波、テラヘルツ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線およびガンマ線が挙げられる。電磁放射線は、好ましくは、赤外線、可視光線、紫外線、X線およびガンマ線、より好ましくは、紫外線、X線およびガンマ線である。
【0096】
自己免疫疾患は、皮膚に対する自己免疫応答に関与し得る。そのような自己免疫疾患の例としては、狼瘡および乾癬である。
【0097】
尿毒症性そう痒は、慢性腎不全に関連する皮膚の障害である。それはまた、透析処置を受けている患者に頻繁に影響する。
【0098】
代表的に、本発明の化合物は、コルチコステロイドと同時投与される。
【0099】
本発明の化合物との同時投与のために使用される適切なコルチコステロイドは、クロベタゾールジプロピオネート(diproprionate)、ベタメタゾンジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート(halbetasol proprionate)、ジフロラゾンジアセテート、フルオシノニド、ハルシノニド、アムシノニド、デスオキシメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、モメタゾンフロエート、フルチカゾンプロピオネート(proprionate)、フルオシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンバレレート、ヒドロコルチゾンブチレート、トリアムシナロン(triamcinalone)アセトニド、デソニド、プレドニカルベート、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ナフロコート、デフラザコート、ハロプレドンアセテート、ブデソニド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ヒドロコルチゾン、クロコルトロンピバレート、メチルプレドニゾロンアセポネート、デキサメタゾンパルミテート(palmitoate)、チプレダン(tipredane)、ヒドロコルチゾンアセポネート、アルクロメタゾンジプロピオネート、ハロメタゾン、メチルプレドニゾロンスレプタネート(suleptanate)、リメキソロン、プレドニゾロンファルネシレート(farnesylate)、シクレソニド、デプロドンプロピオネートロテプレドノールエタボネート(deprodone propionateloteprednol etabonate)、ベタメタゾンブチレートプロピオネート、フルニソリド、プレドニゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、トリアムシノロン、ベタメタゾン17−バレレート、ベタメタゾン、ベタメタゾンジプロピオネート、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、およびヒドロコルチゾンプロブテート(probutate)である。
【0100】
本発明の化合物との同時投与のために使用される好ましいコルチコステロイドは、クロベタゾールジプロピオネート、ベタメタゾンジプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾンジアセテート、フルオシノニド、ハルシノニド、アムシノニド、デスオキシメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、モメタゾンフロエート、フルチカゾンプロピオネート、フルオシノロンアセトニド、ヒドロコルチゾンバレレート、ヒドロコルチゾンブチレート、トリアムシナロンアセトニド、デソニド、およびプレドニカルベートである。
【0101】
本発明の範囲におけるコルチコステロイドへの任意の参照としては、それらの塩または誘導体への参照が挙げられ、それらは、コルチコステロイドから形成され得る。可能な塩または誘導体の例としては:ナトリウム塩、スルホベンゾエート、ホスフェート、イソニコチネート、アセテート、プロピオネート、二水素ホスフェート、パルミテート、ピバレート(pivaiate)、ファルネシレート、アセポネート、スレプタネート、プレドニカルベート、フロエート、またはアセトニドが挙げられる。いくつかの場合、上記コルチコステロイドはまた、それらの水和物の形態で起こり得る。
【0102】
本発明の化合物のコルチコステロイドとの同時投与が、処置の効力を低減することなく投与されるコルチコステロイドの量を低減させることを可能にするということが本発明の特定の発見である。従って、好ましい実施形態において、本発明の化合物は、コルチコステロイドと同時投与され、ここで、このコルチコステロイドは、上記哺乳動物において、上記コルチコステロイドの推奨される1日量の、50%またはそれより少ない1日量、好ましくは25%またはそれより少ない1日量、より好ましくは10%またはそれより少ない1日量、最も好ましくは5%またはそれより少ない1日量で投与される。
【0103】
当業者は、哺乳動物におけるコルチコステロイドの推奨される1日量を十分承知している。例えば、ヒトにおけるヒドロコルチゾンの推奨される1日量は、約0.35g/m/日である。ヒトにおけるクロベタゾールプロピオネートの推奨される1日量は、0.009g〜0.018g/m/日である。
【0104】
従って、本発明の化合物は、代表的にヒドロコルチゾンと同時投与され、ここで、ヒドロコルチゾン(hydroxortisone)の1日量は、0.175g/m/日またはそれより少ない、好ましくは0.0875g/m/日またはそれより少ない、より好ましくは0.035g/m/日、最も好ましくは0.0175g/m/日またはそれより少ない。本発明の化合物は、代表的にクロベタゾールプロピオネートと同時投与され、ここで、クロベタゾールプロピオネートの1日量は、0.009g/m/日またはそれより少ない、好ましくは0.0045g/m/日またはそれより少ない、より好ましくは0.0018g/m/日またはそれより少ない、最も好ましくは0.0009g/m/日またはそれより少ない。
【0105】
本発明の化合物は、代表的に、さらなる治療剤と同時投与され、それはコルチコステロイドではなく、皮膚の状態/疾患を処置することにおいて有効である。そのような治療剤は、当業者に周知であり、免疫調節因子、抗生物質、免疫抑制薬、およびかゆみを抑制する薬物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の化合物は、代表的に市販されているか、または公知の方法に類似するものによって調製され得る。従って、例えば、DGLAおよび15−HETrEの両方は、市販されている。これらの入手可能な脂肪酸は、公知の方法によって式(I)のPUFA誘導体を得るために容易に誘導化され得る。
【0107】
例えば、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体(ここでRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか;あるいはRは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、本明細書中で定義される通りであるか;あるいは、Rは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、本明細書中で定義される通りである)は、式の化合物
【0108】
【化9】

(ここで−Alk−は、本明細書中で定義される通り、およびXは脱離基であって、例えば、ハロゲン原子、トシレート基またはメシレート基である)を式R’−OHのアルコール(ここでR’は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか;あるいはR’は、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、本明細書中で定義される通りであるか;あるいはR’は、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、本明細書中で定義される通りである)でエステル化することによって調製され得、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体が得られ得る。代替的にXは、ヒドロキシル基であり得る。その場合、反応は、好ましくは酸性状態下か、または適切な触媒(例えば、ピリジン)の存在下で実施される。式R’−OHの化合物は、代表的に市販されているか、または公知の方法に類似するものによって調製され得る。
【0109】
−Alk−が、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−のとき、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体(ここでRは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか、あるいはRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基である)は、本明細書中で定義されるよう式(I)の化合物(ここで−Alk−は、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり、Rは、水素原子である)をカルボン酸誘導体Y−(C=O)−R’(ここでR’は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか、あるいはR’は、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であり、Yは脱離基であって、例えば、ハロゲン原子、トシレート基またはメシレート基である)で処理することによって調製され得る。式Y−(C=O)−R’の化合物は、代表的に市販されているか、または公知の方法に類似するものによって調製され得る。
【0110】
−Alk−が、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−のとき、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体(ここでRは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、本明細書中で定義される通りである)は、本明細書中で定義されるような式(I)の化合物(ここで−Alk−は、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり、Rは、水素原子である)を式Z−(CHOCHOHの化合物(ここでnは、本明細書中で定義される通りであり、Zは良好な脱離基であって、例えば、ハロゲン原子、トシレート基またはメシレート基である)で処理することによって調製され得る。式Z−(CHOCHOHの化合物は、代表的に市販されているか、または公知の方法に類似するものによって調製され得る。
【0111】
本発明はまた、本明細書中で定義されるような哺乳動物において、本明細書中で定義されるような皮膚の炎症を処置することにおける使用のための、本明細書中で定義されるようなPUFA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物、および薬学的に受容可能な希釈剤またはキャリアを含む局所投与に適した薬学的組成物を提供する。
【0112】
好ましい薬学的組成物は、滅菌状態であるか、または発熱物質を含まない。
【0113】
薬学的組成物は、代表的にゲル、軟膏、乳剤、またはローション剤の形態である。
【0114】
上記薬学的組成物がゲルであるとき、それは、代表的に親水性ポリマー(例えば、架橋したポリエチレングリコール、架橋したデンプンまたはポリビニルピロリドン)を含む。
【0115】
軟膏、乳剤、またはローション剤は、代表的に、混合剤に水相および油脂相(oleaginous phase)を含む。
【0116】
上記薬学的組成物は、特にそれが乳剤、またはローション剤のとき、追加的に1つまたはそれより多くの軟化剤、乳化剤、増粘剤、および/または保存剤を含み得る。
【0117】
本発明の乳剤、または軟膏における含有物に適した軟化剤は、代表的に長鎖のアルコールであって、例えば、C8〜C22アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびセテアリルアルコール)、炭化水素(例えば、ペトロラタムおよび軽油)、またはアセチル化ラノリンである。上記薬学的組成物における軟化剤の総量は、上記薬学的組成物の総重量に基づいて、好ましくは約5重量%〜約30重量%、およびより好ましくは約5重量%〜約10重量%である。
【0118】
乳化剤は、代表的に非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート60(ICI Americasから入手可能)、モノステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ポリグリセリル−4、およびポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル)である。一般に、乳化剤の総量は、上記薬学的組成物の総重量に基づく重量で約2重量%〜約14重量%、およびより好ましくは約2重量%〜約6重量%である。
【0119】
薬学的に受容可能な増粘剤(例えば、Veegum.TM.K(R.T.Vanderbilt Company,Inc.から入手可能))、および長鎖のアルコール(すなわち、C8〜C22アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびセテアリルアルコール))が使用され得る。存在する増粘剤の総量は、上記薬学的組成物の総重量に基づいて、好ましくは約3重量%〜約12重量%である。
【0120】
保存剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコール)は、上記薬学的組成物において存在し得る。そのような保存剤(複数可)の適切な量は、当業者に公知である。上記薬学的組成物はまた、レシチンの存在下で脂溶性の抗酸化剤(例えば、パルミチン酸アスコルビル、トコフェロール、および/またはアスコルビン酸)を含み得る。
【0121】
必要に応じて、追加の可溶化剤(例えば、ベンジルアルコール、乳酸、酢酸、ステアリン酸、または塩酸)が、上記薬学的組成物に含まれ得る。追加の可溶化剤が使用される場合、存在する量は、上記薬学的組成物の総重量に基づいて、好ましくは約1重量%〜約12重量%である。
【0122】
必要に応じて、上記薬学的組成物は、湿潤剤(例えば、グリセリン)、および皮膚浸透促進剤(例えば、ステアリン酸ブチル、尿素、およびDMSO)を含み得る。
【0123】
乳剤において単一の成分が1つより多くの機能を果たし得る(すなわち、セチルアルコールが軟化剤、および増粘剤の両方として働き得る)ことが当業者に公知である。
【0124】
1つの実施形態において、上記薬学的組成物は乳剤の形態である。上記乳剤は、代表的に、エマルジョンを形成するために一緒に混合される油相および水相からなる。好ましくは、上記乳剤は水中油型エマルジョンを含む。好ましくは、本発明の乳剤に存在する水の量は、上記乳剤の総重量に基づいて、約45重量%〜約85重量%である。
【0125】
上記薬学的組成物が軟膏の形態の場合、それは代表的に薬学的に受容可能な軟膏基剤(例えば、ポリエチレングリコール3350(Union Carbideから入手可能)と組み合わせた、ペトロラタムまたはポリエチレングリコール400(Union Carbideから入手可能))を含む。本発明の軟膏において存在する軟膏基剤の量は、上記軟膏の総重量に基づいて、好ましくは約60重量%〜約95重量%である。
【0126】
本発明の薬学的組成物において、式(I)のPUFA誘導体の量は、上記薬学的組成物の総重量に基づいて、代表的に、0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%、例えば約5重量%である。
【0127】
本発明の化合物/組成物は局所投与のために処方され、それは処置されている領域の1m当たり、0.00001g〜10g、好ましくは0.0001g〜1gの活性成分が、送達され得るような量で患者に投与され得る。
【0128】
本発明の薬学的組成物は、本明細書中で定義されるような1つまたはそれより多くのコルチコステロイドを追加的に含み得る。本発明の薬学的組成物に存在するコルチコステロイドの量は、代表的に、市販の処方物における上記コルチコステロイドの推奨される量の、50%またはそれより少ない、好ましくは25%またはそれより少ない、より好ましくは10%またはそれより少ない、最も好ましくは5%またはそれより少ない。当業者は、種々の局所処方物に存在するコルチコステロイドの量を十分承知している。例えば、ほとんどの市販の処方物に存在するヒドロコルチゾンの量は、代表的に1%w/wである。ほとんどの市販の処方物に存在するクロベタゾールプロピオネートの量は、代表的に0.0525%w/wである。
【0129】
従って、本発明の薬学的組成物は、代表的に、0.5%w/wまたはそれより少ない量、好ましくは0.025%w/wまたはそれより少ない量、より好ましくは0.01%w/wまたはそれより少ない量、最も好ましくは0.005%w/wまたはそれより少ない量でヒドロコルチゾンを含む。本発明の薬学的組成物は、代表的に、0.026%w/wまたはそれより少ない量、好ましくは0.013%w/wまたはそれより少ない量、より好ましくは0.0053%w/wまたはそれより少ない量、最も好ましくは0.0026%w/wまたはそれより少ない量でクロベタゾールプロピオネートを含む。
【0130】
本発明の薬学的組成物は、代表的に、本明細書中で定義されるような1つまたはそれより多くのさらなる治療剤を含み、この治療剤は、コルチコステロイドではない。コルチコステロイドではない、上記組成物に存在する上記1つまたはそれより多くのさらなる治療剤の量は、当業者に明らかである。
【0131】
本発明の薬学的組成物は、適切な様式で、ただ単に成分を混ぜることにより調製され得る。
【0132】
本発明はまた、本明細書中で定義されるような哺乳動物において、本明細書中で定義されるような皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のための医薬の製造における、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物である化合物の使用を提供する。
【0133】
本発明はまた、本明細書中で定義されるような哺乳動物において、本明細書中で定義されるような皮膚の炎症を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書中で定義されるような式(I)のPUFA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物である化合物の治療上有効な量を上記哺乳動物の皮膚に投与する工程を含む。
【0134】
本発明はまた、式(II)
【0135】
【化10】

の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物を含む薬学的組成物を提供し、ここで
−Alk−は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−であり;そして
は、本明細書中で定義される通りであり;
この組成物は、哺乳動物における皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のためのものであり、リチウム塩およびグルココルチコイドを実質的に含まない。
【0136】
当業者が正しく理解するように、この実施形態において、上記式(II)のPUFA誘導体の薬学的に受容可能な塩は、リチウム塩ではない。
【0137】
代表的に、式(II)の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体を含む薬学的組成物は、単一の活性成分として、上記式(II)のPUFA誘導体を含む。
【0138】
好ましくは、式(II)の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体を含む上記薬学的組成物は、本明細書中で定義されるような、式(II)のPUFA誘導体、および薬学的に受容可能な希釈剤またはキャリアからなる。
【0139】
好ましくは、上記式(II)のPUFA誘導体は、式R’’(C=O)O−CH−CH(O(C=O)R’’)−CH−O(C=O)R’’のものであって、ここで各R’’は、同じであり、ジホモ−γ−リノレン酸の脂肪族基である、すなわちR’’は、−(CH−CH=CH−CH−CH=CH−CH−CH=CH−(CHCHであって、ここで全てのC=C二重結合は、シス配置を有する。従って、式(II)のPUFA誘導体は、好ましくは、
【0140】
【化11】

である。
【0141】
特に好ましい実施形態において、Rは、水素原子である。この実施形態において、式(II)のPUFA誘導体は、DGLAであり、式
【0142】
【化12】

によって表される。
【0143】
本発明はまた、本明細書中で定義されるような哺乳動物において、本明細書中で定義されるような皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のための医薬の製造における、本明細書中で定義されるような式(II)の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体を含む薬学的組成物の使用を提供し、ここで上記組成物は、リチウム塩およびグルココルチコイドを実質的に含まない。
【0144】
本発明はまた、本明細書中で定義されるような哺乳動物において、本明細書中で定義されるような皮膚の炎症を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書中で定義されるような式(II)の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体を含む薬学的組成物の治療上有効な量を上記哺乳動物の皮膚に投与する工程を含み、ここで、この組成物は、リチウム塩およびグルココルチコイドを実質的に含まない。
【実施例】
【0145】
免疫組織化学分析を実施し、エクスビボでブタの耳の皮膚におけるCOX−2酵素の発現の程度を測定した。酵素のCOX−2ファミリーは、炎症に強く関連づけられ、炎症した組織において増大した量で存在することが見出されている。従って、皮膚におけるCOX−2のレベルの減少は、皮膚の炎症の低減に対応する。
【0146】
(実施例1)
新鮮に切除されたブタの耳を、屠殺場から研究所まで移動するために冷やしたハンクスバッファーに浸した。到着すると、上記ブタの耳をまず流水で洗い、メスを用いて下にある軟骨から全層皮膚をブラントジセクション(blunt dissection)によって剥離し、毛を電気かみそりを用いて取り除いた。その皮膚を屠殺の2時間以内に使用した。全層皮膚を約2cm×2cmに切り出し、ハンクス平衡塩溶液中に置き、皮膚の生存力を維持した。
【0147】
2mm細片の皮膚を外科用メスを用いて取得し、その皮膚細片を次に40%のホルムアルデヒド溶液を用いて固定し、脱水し、融解した蝋にセットした。Shandon Finesseミクロトーム(Thermo Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、切片を5μmの厚さに切り、2.5cm×7.5cm×1mmの前もって清潔にしたマイクロスライドの上に置いた。皮膚の切片をCOX−2酵素に結合するジアミノベンジジンを用いて染色し、そのスライドを画像キャプチャ装置を備える光学顕微鏡上で可視化した。
【0148】
皮膚の膜を、レセプター相としてハンクスバッファーを用いて、フランツ型拡散セルに取り付けた。水をドナー相として使用した。6時間後、フランツセル機器から上記皮膚を取り除き、過剰なドナー相を取り除き、上記皮膚を清潔なティッシュペーパーできれいにふき取った。拡散領域を次に、外科用メスを用いて約2mm細片に切り、その皮膚細片を次に40%のホルムアルデヒド溶液を用いて脱水し、融解した蝋にセットした。Shandon Finesseミクロトーム(Thermo Scientific,Waltham,MA,USA)を用いて、切片を5μmの厚さに切り、2.5cm×7.5cm×1mmの前もって清潔にしたマイクロスライドの上に置いた。皮膚の切片をCOX−2酵素に結合するジアミノベンジジンを用いて染色し、そのスライドを画像キャプチャ装置を備える光学顕微鏡上で可視化した。
【0149】
この実験の結果を図1として示す。0時間後および6時間後の両方のサンプルにおいて濃い染色が存在し、これは皮膚におけるCOX−2の連続した存在を示す。このことは、水が抗炎症活性を有さないことを示す。
【0150】
(実施例2)
ドナー相が、魚油中の、COX−2インヒビターとして公知のケトプロフェンを含むことを除いて、実施例1において記載するように実験を実施した。
【0151】
この実験の結果を図2として示す。6時間後、濃い染色の量が低減し、これは生存表皮へのケトプロフェンの浸透、および皮膚におけるCOX−2発現に対する活性を示す。
【0152】
(実施例3)
ドナー相が、本発明の代表化合物であるDGLAを含むことを除いて、実施例1において記載するように実験を実施した。
【0153】
この実験の結果を図3として示す。6時間後、濃い染色の量が低減し、これは生存表皮へのDGLAの浸透、および皮膚におけるCOX−2発現に対する活性を示す。
【0154】
(実施例4)
ドナー相が、本発明の代表化合物である15−HETrEを含むことを除いて、実施例1において記載するように実験を実施した。
【0155】
この実験の結果を図4として示す。6時間後、濃い染色の量が低減し、これは生存表皮への15−HETrEの浸透、および皮膚におけるCOX−2発現に対する活性を示す。
【0156】
(実施例5)
ウエスタンブロット実験を実施し、局所的に適用される本発明の代表化合物であるDGLAおよび15−HETrEの、ブタの皮膚におけるCOX−2発現への影響を決定した。対照として水を使用した。
【0157】
ブタの皮膚の膜(実施例1において記載されるような)をRIPA溶解バッファー[50mM Tris−HCl(pH 7.4)、150mM NaCl、1mM PMSF、1mM EDTA、5μg mL−1アプロチニン、5μg mL−1ロイペプチン、1% Triton X−100、1% デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS]において均質化(Silverson,Chesham,UK)する前に脱イオン水でやさしく清潔にした。15分間の氷上インキュベーション後、溶解産物を14000×gで2×15分間の遠心分離によって清澄化し、その上清を、続くタンパク質分析のために−80℃で保存した。
【0158】
30μgの全タンパク質の一部分をSDS−PAGEによって分離し、Trans−Blot electrophoretic Transfer Cellを用いてニトロセルロース膜へと移動し、Ponceau Sで少しの間染色し、有効な移動を確かめた。免疫ブロットを、ブロッキング溶液[5%(w/v)の市販のスキムミルク粉(Marvel)を含有するトリス緩衝化食塩水(TBS)−Tween 20]において、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、上記膜を、溶液(TBS tweenでそれぞれの体積にされた1:20および1:100のウエスタンブロッキング試薬およびアジ化ナトリウム溶液)において、1:1000のCOX−2抗体、1:1000の5−LOX、および1:500のiNOSで、4℃で一晩プローブした。膜を次に1:10000のHRP結合 抗ウサギで1時間インキュベートした。β−アクチンについて、膜を抗アクチンおよび抗マウスで、それぞれ1時間、室温で1:10000でプローブした。TBS Tweenにおいて3×10分間の洗浄後、最終的に、オートラジオグラフィを行う前に、化学発光のために新鮮に調製されたDura Substrateにそれらを適切な時間、曝した。
【0159】
この実験の結果を図5として示す。対照と比較して、DGLAおよび15−HETrEの投薬後のCOX−2発現の顕著な低減が見られることが分かり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化13】

の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物である化合物であって、ここで、
−Alk−は、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−、または−CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−であり;
は、水素原子であるか;あるいは
は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか;あるいは
は、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRは、それぞれ独立して水素原子、または−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;あるいは
は、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、1〜200の整数であり;
は、水素原子であるか;あるいは
は、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、C〜C10アリール基、5員〜10員のヘテロアリール基、C〜C炭素環式基、または5員〜10員の複素環式基であるか、あるいはRは、3個〜29個の炭素原子を有する脂肪族基であるか;あるいは
は、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、1〜200の整数であり;
そして、ここで、
該アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および脂肪族基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個、2個もしくは3個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニルオキシ基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルケニル基、C〜Cハロアルコキシ基、C〜Cハロアルケニルオキシ基、ヒドロキシル基、−SR’基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’は、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表し;
該アリール基、ヘテロアリール基、炭素環式基、および複素環式基は、同じかまたは異なっており、およびそれぞれ非置換か、または1個、2個、3個もしくは4個の非置換の置換基で置換されており、この置換基は、同じかまたは異なっており、ならびにハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルケニルオキシ基、C〜Cハロアルキル基、C〜Cハロアルケニル基、C〜Cハロアルコキシ基、C〜Cハロアルケニルオキシ基、ヒドロキシル基、C〜Cヒドロキシアルキル基、−SR’基、および−NR’R’’基から選択され、ここでR’およびR’’はそれぞれ、同じかまたは異なっており、および水素または非置換のC〜Cアルキルを表し;
そして、ここで、該PUFA誘導体は、ラセミ化合物、立体異性体、または立体異性体の混合物の形態であって、
該化合物は、哺乳動物における皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のためのものである、
化合物。
【請求項2】
が水素原子である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
−Alk−が、−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−C−、−(CH−CH(OR)−[トランス]CH=CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−、または−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
−Alk−が、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−[トランス]CH=CH−CH(OR)−である、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
が水素原子である、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記PUFA誘導体がR鏡像異性体として存在する、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記PUFA誘導体がS鏡像異性体として存在する、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記哺乳動物がヒトである、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記皮膚の炎症が、アトピー性湿疹、接触皮膚炎、乾癬または尿毒症性そう痒によって引き起こされる、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1、3、4、6、および7のいずれか1項に記載の化合物であって、ここで:(a)Rは、式−CH−CH(OR)−CH−(OR)の基であって、ここでRおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または−(C=O)−Rを表し、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する飽和脂肪族基であり、ここでRまたはRのうちの少なくとも1つは、−(C=O)−Rである;あるいは
(b)Rは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでmは、請求項1に定義される通りである;そして/あるいは
(c)Rは、基−(C=O)−Rであって、ここでRは、3個〜29個の炭素原子を有する飽和脂肪族基である;あるいは
(d)Rは、式−(CHOCHOHの基であって、ここでnは、請求項1に定義される通りである、
化合物。
【請求項11】
コルチコステロイドと同時投与される、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記皮膚の炎症が、電磁放射線への皮膚の曝露により引き起こされる、請求項1〜8、10および11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
局所投与に適した薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、請求項1または8に定義されるような哺乳動物において、請求項1、9および12のいずれか1項に定義されるような皮膚の炎症を処置することにおける使用のためのものであり、請求項1〜7および10のいずれか1項に定義されるようなPUFA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物、および薬学的に受容可能な希釈剤またはキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項14】
ゲル、軟膏、乳剤、またはローション剤の形態である、請求項13に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1または8に定義されるような哺乳動物において、請求項1、9および12のいずれか1項に定義されるような皮膚の炎症を処置する方法であって、該方法は、請求項1〜7および10のいずれか1項に定義されるような式(I)のPUFA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物である化合物の治療上有効な量を該哺乳動物の皮膚に投与する工程を含む、方法。
【請求項16】
式(II)
【化14】

の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩、またはそれらの溶媒和物を含む薬学的組成物であって、ここで
−Alk−は、−(CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−CH−[シス]CH=CH−であり;そして
は、請求項1、2および10のいずれか1項に定義される通りであり;
該組成物は、哺乳動物における皮膚の炎症を局所投与により処置することにおける使用のためのものであり、リチウム塩およびグルココルチコイドを実質的に含まない、薬学的組成物。
【請求項17】
単一の活性成分として、前記式(II)の多不飽和脂肪酸(PUFA)誘導体を含む、請求項16に記載の薬学的組成物。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−525363(P2012−525363A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507810(P2012−507810)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000844
【国際公開番号】WO2010/125340
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(511261293)エクエイテック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】