説明

皮膚化粧料

【課題】清涼感がありながらも皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、使用感が良好であるとともに、美白効果に優れた皮膚化粧料の提供。
【解決手段】吸水した多孔質粉体を含有し、当該多孔質粉体の表面が粘結剤で被覆されている皮膚化粧料であって、美白剤を含有する皮膚化粧料。特に、多孔質粉体は、例えば、板状多孔質シリカ、球状多孔質シリカ、シリコーン処理微粒子酸化亜鉛、メタクリル酸メチルクロスポリマー、不定形微粒子無水ケイ酸等であり、粘結剤は、油剤成分を含み、さらに架橋型オルガノポリシロキサンを含む油剤成分であり、全粉体の吸水能が50〜150ml/100gである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼感がありながらも皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、使用感が良好であるとともに、美白効果に優れた皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
白く美しい肌を実現するために種々の美白剤が開発されている。従来、このような美白剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸誘導体、ハイドロキノングルコシド等のハイドロキノン類の配糖体、トラネキサム酸、トラネキサム酸エステル等のトラネキサム酸類、フェルラ酸、イソフェルラ酸、コウジ酸等のフェノール性化合物類などが知られている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
しかしながら、これらの美白剤を、乳液、クリーム、化粧水等の化粧料に配合しても、その効果を十分得ることはではなかった。
【特許文献1】特開2004−115381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、清涼感がありながらも皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、使用感が良好であるとともに、美白効果に優れた皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、多孔質粉体に吸水させ、その表面を粘結剤で被覆した皮膚化粧料に、美白剤を含有させれば、上記課題が解決することを見出した。
【0006】
本発明は、吸水した多孔質粉体を含有し、当該多孔質粉体の表面が粘結剤で被覆されている皮膚化粧料であって、美白剤を含有する皮膚化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚化粧料は、清涼感がありながらも皮脂によるべたつきを持続的に抑制し、脂性肌の不快感を緩和することができ、使用感が良好であるとともに、美白効果に優れたものである。美白化粧料として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる多孔質粉体の具体例としては、ポリアミドやポリアクリレート、ポリメタクリレート、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、セルロース等の有機多孔質粉体;ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム等のケイ酸金属塩;炭酸カルシウム、炭酸コバルト等の炭酸金属塩;タングステン酸カルシウム等のタングステン酸金属塩;酸化コバルト、α−酸化鉄等の金属酸化物;水和酸化鉄等の金属酸化物などのほか、シリカ(シリカゲルを含む)、ハイドロキシアパタイト、ラノリンパウダー等が挙げられる。
これらの多孔質粉体は、平均粒径3〜20μm、更には、5〜15μm、特に10〜15μmであることが好ましい。多孔質粉体は、小さすぎると皮膚化粧料ののびが悪くなり、大きすぎるときしみ感を感じるようになる。多孔質粉体としては、1個の粉体粒子中に有している細孔の平均細孔径が50Å以上であるのが好ましい。
【0009】
これらのうち、多孔質シリカで吸水能が50〜200mL/100gのものが好ましい。多孔質シリカは球状であっても板状であっても良い。特に、その両方を組み合わせて用いるのが好ましい。
ここで、吸水能は、機械法(JIS K6221-1982)の2枚羽根混合方式に従って測定した値で、吸油量測定器S−410(フロンテックス社製)を用いて測定される。測定方法は、粉体に水を4mL/minで滴下したときの混合トルクに応じたトーションバーのねじれ角からトルクを算出し、最大トルクの70%トルクの滴下量を吸水能とする。
【0010】
多孔質粉体(粉体は吸水前である)は、皮膚化粧料全組成中に5〜40質量%、特に10〜30質量%含有するのが、ざらつきもなく、使用感が良好なので好ましい。
【0011】
本発明においては、多孔質粉体以外の粉体を含有することができる。多孔質粉体以外の粉体としては、球状、板状、不定形のいずれであっても良い。これらは平均粒径が0.001〜30μmであることが好ましい。
【0012】
球状粉体の形状は、真球状、及び球に類似する形状である。球状粉体としては、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、無水珪酸等の無機粉体;結晶セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(メチル、エチルエステル)、ナイロンパウダー、ポリビニルピロリドン等の有機粉体;シロキサン結合が三次元的に伸びた網状構造をなし、ケイ素原子1個にメチル基が結合した無機と有機との中間的構造を有するポリメチルシルセスキオキサン粉末等が挙げられる。球状粉体は、平均粒径0.1〜30μm、特に1〜20μmであるのが好ましい。球状粉体は、1種以上を用いることができ、サラサラした感触が得られるので好ましい。
【0013】
板状粉体としては、タルク、雲母、カオリン、セリサイト、パール顔料等が挙げられる。板状粉体は、平均粒径0.1〜30μm、特に1〜20μmであるのが好ましい。板状粉体は、1種以上を用いることができ、化粧料の取り易さ、伸ばしやすさの点から好ましい。
【0014】
更に、不定形微粒子としては、不定形微粒子無水珪酸が好ましく、平均粒径0.001〜0.01μm、特に0.001〜0.02μmのものが、きしみが生じることのない良好な使用感と、油分が分離することのない良好な安定性が得られ、好ましい。この不定形微粒子無水珪酸の粒子径は透過型電子顕微鏡によって測定される。
不定形微粒子無水珪酸としては、例えば、通常の四塩化珪素を水素・酸素炎中で加水分解して得られた、前記範囲の粒子径を有する親水性の不定形微粒子無水珪酸、前記親水性の不定形微粒子無水珪酸の表面を疎水化処理した不定形微粒子無水珪酸が挙げられる。不定形微粒子無水珪酸は、親水性であっても疎水性であってもよいが、親水性であるのが好ましい。
【0015】
不定形微粒子無水珪酸としては、例えば、アエロジル200、アエロジル300、アエロジルR972、アエロジルR974、アエロジルR202、アエロジルRY200(以上、日本アエロジル社製)、タラノックス500(タルコ社製)等の市販品を用いることができる。
不定形微粒子無水珪酸は、皮膚化粧料全組成中に0.1〜5質量%、特に0.1〜1質量%含有するのが、特にきしみが生じることのない良好な使用感と、油分が分離することのない良好な安定性が得られ、良好な化粧持続効果が得られるので好ましい。
【0016】
本発明においては、これら粉体表面が親水性及び疎水性のいずれであってもよい。疎水化処理の方法としては、トリメチルシリルクロライド、ヘキサメチルジシラザン等によるトリメチルシロキシ化処理;ジメチルジクロロシランによるメチル化処理;メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理;ジメチルポリシロキサン、金属石鹸等によるコーティングなどが挙げられる。
なお、本発明に用いられる粉体の平均粒径は体積平均粒径(D4)(体積分率で計算した平均粒径)を示す。測定は、レーザー回折式の粒度分布計で容易に再現性良く測定することができる。
【0017】
多孔質粉体以外の粉体量は1種以上用いることができ、皮膚化粧料全組成中に1〜30質量%、特に4〜20質量%含有するのが、使用感、凹凸ぼかし効果の点から好ましい。
また、多孔質粉体以外の粉体と多孔質粉体の含有割合(質量比、双方の粉体の質量は、吸水前の質量である)は、皮脂除去性と使用感の両立の観点から、2:5〜3:4であるのが好ましい。
【0018】
本発明においては、前記多孔質粉体に吸水させる。吸水方法は特に制限されず、多孔質粉体と、水又はその他成分を含む水とを混合し吸水させることができる。あるいは、多孔質粉体と粘結剤と混合した後、水又はその他成分を含む水とを混合し、吸水させることができる。
【0019】
本発明においては、多孔質粉体を含む全粉体(全粉体は吸水前である)の吸水能が50〜150mL/100g、特に70〜130mL/100gであるのが、水分離を起こさず安定に製造できるので好ましい。吸水能は、前記と同様に測定される。
【0020】
本発明において、多孔質粉体の表面を被覆する粘結剤は、粉体表面を被覆したときに、粉体粒子間を粘結するものであればいかなるものでも良いが、具体的には25℃で液状の油剤成分を含むことが好ましい。
【0021】
粘結剤中に含有される油剤成分としては、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、エーテル油、フッ素油等が挙げられる。
【0022】
シリコーン油としては、例えば一般式(1)で表わされる低分子量の直鎖状ポリオルガノシロキサン、一般式(2)で表わされる低分子量の環状ポリシロキサン等が挙げられる。
【0023】
【化1】

【0024】
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を示し、全てのR1は同一であっても相違していても良い。mは0〜100000の数を示す)
【0025】
【化2】

【0026】
(式中、R1は、前記と同じ意味を示し、nは4〜6の数を示す)
【0027】
直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、炭素数が1〜5のアルキル基を有する直鎖状アルキルポリシロキサン、炭素数が1〜5のアルキル基及び炭素数が6〜10のアリール基を有する直鎖状アルキルアリールポリシロキサン等が挙げられ、具体的には、直鎖状ジメチルポリシロキサン、直鎖状メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。これら直鎖状オルガノポリシロキサンのうち、mが0〜100(粘度100mm2/s以下)のもの、特に、mが2〜50のものが、感触の点から好ましい。
環状ポリシロキサンとしては、炭素数が1〜5のアルキル基を置換基として有する4〜6員環の環状シロキサンが挙げられ、具体的には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0028】
炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリブテン等が挙げられる。
【0029】
また、エステル油としては、例えば、サフラワー油、大豆油、ブドウ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、アボガド油、オリブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油等の植物性油;ミンク油、タートル油、液状ラノリン等の動物性油;ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等の低級アルコールの脂肪酸エステル;イソノナン酸2−エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル等の高級アルコールの脂肪酸エステル;リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸セチル等の高級アルコールのオキシ酸エステル;トリカプリル酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジイソステアリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の多価アルコールの脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0030】
エーテル油としては、ドデシルジメチルブチルエーテル、セチルジメチルブチルエーテル等が挙げられ、フッ素油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカーボン等が挙げられる。
【0031】
これらの油剤成分は、1種以上を用いることができ、全組成中に35〜60質量%、特に40〜55質量%含有するのが好ましい。
【0032】
更に粘結剤には、架橋型オルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。架橋型オルガノポリシロキサンとしては、例えば架橋型アルキルアリールポリシロキサン、架橋型アルキルポリシロキサンが挙げられる。架橋型アルキルアリールポリシロキサンとしては、例えば炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基を有する架橋型オルガノポリシロキサンが挙げられ、具体的には、例えば架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。架橋型アルキルポリシロキサンとしては、例えば炭素数1〜5のアルキル基を有する架橋型ジアルキルポリシロキサンが挙げられ、具体的には、例えば架橋型ジメチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0033】
また、架橋型オルガノポリシロキサンとして、例えば、デカメチルシクロペンタシロキサンと架橋型オルガノポリシロキサンとの混合物であるペースト状のKSG15、低粘度ジメチルポリシロキサンと架橋型オルガノポリシロキサンとの混合物であるペースト状のKSG16、メチルフェニルポリシロキサンと架橋型オルガノポリシロキサンとの混合物であるペースト状のKSG18(以上、信越化学工業社製)等の市販品を使用することもできる。
【0034】
架橋型オルガノポリシロキサンは、油をゲル化する能力に優れ、皮膚を乾燥させることなく、好ましい化粧品特性を付与することができる。この架橋型オルガノポリシロキサンによって得られる組成物は、用いて心地よく、ソフトであり、触ってもべたつかない。ソフトなのは、一つは架橋型オルガノポリシロキサンの組織構造によるものであり、もう一つは、オイルを閉じこめるマイクロスポンジに匹敵する特性によるものである。
【0035】
架橋型オルガノポリシロキサンは、皮膚化粧料全組成中に0.6〜9質量%、特に0.9〜6.3質量%含有するのがべたつきのない使用感の点から好ましい。
【0036】
本発明においては、粘結剤として、架橋型オルガノポリシロキサンと油剤、特に揮発性シリコーン及び/又は不揮発性液状油を用いることにより、より優れた効果を得ることができる。
【0037】
また、多孔質粉体を含む全粉体(全粉体は吸水前の質量である)と、全粘結剤の含有割合(質量比)は、使用感の観点から、1:1〜3:5であるのが好ましい。
【0038】
本発明で用いる美白剤としては、通常の化粧料分野において知られているものであれば、特に制限されず、使用することができる。
例えば、特開2004-51610号公報に記載されている油溶性カミツレ抽出物が挙げられる。かかる油溶性カミツレ抽出物は、キク科植物であるカミツレ〔Matricaria chamomilla L.(Compositae)〕の花を、親油性有機溶剤で抽出することにより得られる。用いられる溶剤としては、溶解度パラメータ(SP値)が15〜21の範囲にある油剤が好ましく、例えばミリスチン酸イソプロピル(SP値17.0)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(SP値17.7)、流動パラフィン(SP値16.4)、スクワラン(SP値16.2)等が挙げられ、これらの混合溶剤を用いても良い。また、ヒマシ油、パーシック油、大豆油、ヒマワリ油等も用いることができる。ここで、SP値とは物質間の相溶性の尺度をいい、特許第3113844号に記載の方法により、Hansenの3次元溶解度パラメーターを計算することにより求められる。
【0039】
抽出方法は、粉砕した乾燥カミツレ花に、カミツレ花に対して1〜100質量倍の溶剤を加え、10〜90℃で1〜96時間攪拌抽出を行う。温度は、油剤の種類により適宜設定する。
【0040】
一般に、抽出に用いる溶剤によって、得られる抽出物に含まれる成分の種類と量が異なる。本発明においては、スクワランを用いた抽出物が、特に優れた美白効果を与えるので好ましい。
かかる油溶性カミツレ抽出物には、カマズレン、ウンベリフェロン、7−メトキシクマリン、マトリシン、マトリカリン、タラキサステロール、ウペオール、アピイン、下記式(3)で表されるスピロエーテル化合物等が含まれている。
【0041】
【化3】

【0042】
これら各種成分のうち、特にスピロエーテル化合物の含有量が、美白効果に影響を与えると考えられる。本発明においては、油溶性カミツレ抽出物中のスピロエーテル化合物量が、10〜500ppmであるのが好ましい。また、油溶性カミツレ抽出物は、1種以上を用いることができるが、その場合に全抽出物中のスピロエーテル化合物の総量は、10〜500ppmであるのが好ましい。
【0043】
油溶性カミツレ抽出物は、皮膚化粧料全組成中に、当該抽出物として0.0001〜50質量%、特に0.001〜30質量%、更に0.005〜20質量%であるのが、十分な美白効果が得られ好ましい。この含有量は、抽出物の乾燥固形分としては0.00001〜5質量%程度に相当する。また、化粧料中のスピロエーテル化合物の含有量は、0.1〜50ppmであるのが好ましい。
【0044】
また、前記以外の美白剤としては、アルブチン;アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸誘導体;ハイドロキノングルコシド等のハイドロキノン類の配糖体;トラネキサム酸、トラネキサム酸エステル等のトラネキサム酸類;フェルラ酸、イソフェルラ酸、コウジ酸等のフェノール性化合物類及び生理的に許容されるそれらの塩などが挙げられる。ここで、生理的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩;リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
さらに、生薬又はそのエキスとして、ローヤルゼリー、桑白皮、クジン、白樺、ユキノシタ、イブキジャコウソウ、イブキトラノオ等が挙げられる。
【0045】
これらのうち、特に、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド、ハイドロキノングルコシド、トラネキサム酸、トラネキサム酸エステル、フェルラ酸、イソフェルラ酸、コウジ酸及び生理的に許容されるその塩が、優れた美白作用や高い安全性などの点で好ましい。
【0046】
これらの美白剤は、1種以上を用いることができ、皮膚化粧料全組成中に0.01〜10質量%、特に0.1〜7質量%含有するのが好ましい。
【0047】
本発明においては、前記のように、美白剤として、水溶性のもの及び油溶性のもののいずれでも用いることができるが、美白剤が水溶性の場合には、水に溶解して多孔質粉体を含む全粉体中に含有され、美白剤が油溶性の場合には、粘結剤中に含有される傾向にある。
本発明の皮膚化粧料は、粉体と粘結剤から構成されており、適度な粘度を有しているので、美白剤が不必要に広がることなく皮膚上に固定されるので、美白剤を効率良く肌に浸透させることができ、高い美白効果が得られる。更に、架橋型オルガノポリシロキサンを含むことによりその効果を高めることができる。特に、美白剤が多孔質粉体中に含有される場合には、集中的に美白効果を発揮させることができる。
【0048】
本発明の皮膚化粧料は、前記成分のほか、使用目的等により、半固形状の炭化水素類、エステル類、動植物油脂、高級脂肪酸類、高級アルコール類、各種高分子樹脂類、多価アルコール、保湿剤、紫外線吸収剤、色素、パール剤、体質顔料、増粘剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤、細胞間脂質、ビタミン類、抗炎症剤、香料、その他の薬剤等を含有することができる。
【0049】
本発明の皮膚化粧料は、皮膚に塗布したときの感触及び多孔質粉体の吸水能の点から、水を全組成中に10〜20質量%、特に12〜18質量%含有するのが好ましい。水を加えることにより、さっぱり感及び清涼感を得ることができる。
【0050】
本発明の皮膚化粧料は、例えば、多孔質粉体を含む全粉体を混合し、一定量又は全量の水を含浸させた後、粘結剤を添加して混練し、必要に応じて更に水を添加して混練することにより、製造することができる。なお、粘結剤中には、水を含まないのが好ましい。
【0051】
本発明の皮膚化粧料は、粉体粒子同士が粘結剤で粘結され、適度な粘度を有し、且つ、一定の形状を保つことができるものである。
【0052】
本発明の皮膚化粧料は、25℃において、B8R型粘度計で5rpmにて測定したときの粘度が100〜4000Pa・s、特に300〜3000Pa・s、更に500〜2000Pa・sであるのが好ましい。
【実施例】
【0053】
実施例1
表2に示す組成の皮膚化粧料を、下記方法にて製造し、各化粧料を使用したときののび、つき、べたつきのなさ、きしみ及び美白効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0054】
(化粧料の製造方法)
粉体を攪拌しながら水相成分を添加する。粉体が水相成分を全て吸水し、テスターで通電しないことを確認した後、この混合粉体に粘結剤を添加して混練し、皮膚化粧料を得た。なお、得られた皮膚化粧料もテスターで通電しないことを確認した。
【0055】
(評価方法)
(1)のび、つき、べたつきのなさ及びきしみ:
専門パネラー10名により、各化粧料を使用したときののび、つき(均一に伸びてむらづきにならない)、べたつきのなさ及びきしみについて、1点から5点の5段階の官能評価を行い、その平均点を求め、以下の基準で判定した。
◎:平均点が4.5〜5.0。
〇:平均点が3.5〜4.4。
△:平均点が2.5〜3.4。
×:平均点が1.5〜2.4。
××:平均点が1.0〜1.4。
【0056】
(2)美白効果:
健常男子被験者20名の上腕内側部に、東芝社製FS−20SEランプを用い、最小紅斑量の2倍量(2MED)のUV−B領域の紫外線を1日1回2日間にわたり照射した。その後、1日2回、1ヶ月間被験部位に化粧料を連続塗布した。色差計により測定を行い、得られたマンセル値からL*値を算出し、化粧料塗布部のL*値の変化量から化粧料無塗布部の変化量を差し引いたΔΔL*値を次式により求め、美白効果の指標とした。結果は、表1に示す評価点で、被験者20名の平均値で示した。
【0057】
(数1)
ΔΔL* = (L*1−L*0)−(L*1’−L*0’)
*0:化粧料塗布部位の初期値。
*0’:化粧料無塗布部位の初期値。
*1:化粧料塗布部位の1ヶ月後の測定値。
*1’:化粧料無塗布部位1ヶ月後の測定値。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
【化4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水した多孔質粉体を含有し、当該多孔質粉体の表面が粘結剤で被覆されている皮膚化粧料であって、美白剤を含有する皮膚化粧料。
【請求項2】
粘結剤が、油剤成分を含むものである請求項1記載の皮膚化粧料。
【請求項3】
粘結剤が、架橋型オルガノポリシロキサンを含む油剤成分を含むものである請求項2記載の皮膚化粧料。
【請求項4】
多孔質粉体を含む全粉体(全粉体は、吸水前の質量である)と全粘結剤の質量比が、1:1〜3:5である請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚化粧料。
【請求項5】
多孔質粉体を含む全粉体(全粉体は吸水前である)の吸水能が50〜150mL/100gである請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚化粧料。
【請求項6】
美白化粧料である請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚化粧料。

【公開番号】特開2006−219423(P2006−219423A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34596(P2005−34596)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】