説明

皮膚容態を処置するための組成物及び方法

【課題】本発明は、炎症後色素沈着(PIH)を含む皮膚容態を処置し改善するための方法及び組成物に関する。
【解決手段】本発明は更に詳しくは、幾つかの種類の天然抽出物、サリチル酸、及び天然レチノイド又は合成レチノイドを含有する組成物に関する。該組成物はPIHを低減することが臨床的に分かった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
これは、1998年6月6日出願の同時係属米国特許出願シリアル番号09/110,409号(代理人事件整理番号JBP430)、及び2000年10月27日出願の米国特許出願シリアル番号09/698,454号(代理人事件整理番号JBP518)の一部継続出願である。これらの出願明細書の内容は、言及することによって本明細書に組み入れる。
本発明は、アクネ(acne;にきび)及び炎症後色素沈着を包む皮膚容態を処置し改善するための方法と組成物とに関する。更に詳しくは、本発明は、サリチル酸、ある種の天然抽出物、及び天然又は合成のレチノイドを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アクネは、人類の青春期において頻繁に、また、高齢者である程度規則的に生じる炎症性皮膚疾患である。アクネの容態には、毛嚢脂腺小胞(pilosebaceous follicle)の面皰(comedo)から、吹き出物、丘疹(papules)、嚢胞(cysts)及び結節(nodules)のようないっそう重症の面皰炎症性症状(comedo-inflammatory symptoms)に及ぶ皮膚障害が含まれることがある。該容態は、患者にとって不快感を感じるだけでなく、厄介であり、結果的に美観を損ない、傷跡が残ることになる。
尋常性アクネの病状は、数多くの要因を含むものと考えられる。それら要因の第一のものは、より一般的には稗粒腫(whiteheads)(閉鎖面皰)及び黒頭病(blackheads)(開放面皰)と呼ばれている面皰の形成である。これら面皰は、小胞(follicles)を塞ぐ固体の角質塊であり、脂肪(sebum)の生成が増大することに関連している。それら面皰は、固く圧縮され角質化した細胞及び脂肪でできている。面皰が、角質化細胞の連続的蓄積によって大きくなるにつれて、角質物質、脂肪及びバクテリアから成る内容物を皮膚の中に置き去りにしながら、最終的に破裂する小胞の内部の圧力は増大していく。このことによって、炎症反応が引き起こされる。破裂が、完全な破裂を有する小さくて嚢胞性の結節(cystic nodules)である場合、該炎症反応は膿疱(pustules)(吹き出物)の形態をとる。
【0003】
この疾患を改善するための多くの異なるアプローチが、従来、試みられ、幾つかの処置は、他に比べていっそう効果的であった。単純な洗浄及び清浄化から薬剤に及ぶ攻撃(attacks)が用いられてきた。アクネの処置において知られており利用されている化学薬品として、サリチル酸、レチノイド及びレチノールが挙げられる。これらの化学薬品によって、アクネはかなり改善されることがあるが、それら化学薬品の望ましくない副作用は、刺激、赤熱状態、剥皮(peeling)、痒み感(itching sensation)、及び灼熱感(burning sensation)の軽度のものから厳しいものに及ぶ。従って、望ましくない副作用が最小限に抑えられているか又は全くない状態で、アクネを予防するか又は元へ戻すことのできる単一の局所的処置を有することが望ましい。
【0004】
皮膚の老化(aging)は、幾つかの内因子及び外因子の相互作用によって生じる複雑な現象である。老化に関連する皮膚の変化はしばしば、化粧品による傷害として現われる。皮膚の老化は、それの精神的衝撃(psychological impact)に起因して、大きな社会的重要性及び関心事の問題になっている。ベビーブーム世代の人々が年を取るにつれて、化粧品によるケア、化粧品による維持及び若返り獲得の時代が、認識を高めた。皮膚の老化を防止し処置するための方法は、大いに望まれている。内因性老化は、遺伝学的にプログラム化されている避け難いプロセスである。外因性影響(風、熱、タバコの煙、化学物質、等)のうち紫外線は、皮膚の老化に関連する単独で最も重要な因子であると思われる。光による老化(photoaging)は、紫外線(UVR)への累積曝露によって誘発される。この10年間、過度の日光浴を含むレクリエーションによる日光曝露の増大;成層圏におけるオゾンの枯渇;及び、様々な皮膚疾患を処置するときの紫外線の使用;によって、光による老化の罹患率が増大している。光による損傷は、日光の回避と適切な日焼け防止とによって防ぐことができ、また、局所用レチノイドを使用することによって元に戻すことができる。該レチノイドは、刺激的であり且つ高価であろう。紫外線及び可視光線への過度の曝露もまた、日焼けを生じさせる。アスピリン及び他の非ステロイド系抗炎症薬と、冷浴と、局所用ステロイドとを使用すれば、ほんの僅かに軽減される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
炎症後色素沈着(PIH)は、黒く着色した群の治癒アクネ損傷から生じる。アクネが治癒した後、アクネ損傷によって影響を受けている領域に、色素沈着斑点が現われる。アクネを軽減し、且つ、PIHを防止するか又は改善する組成物に対する必要性が存在する。
従来、アクネ;光による損傷;及び、他の皮膚容態;に対する様々なアプローチが、試みられてきた。それらアプローチには、(「トレチノイン」としても知られている)ビタミンA酸;及び、(「レチノール」としても知られている)ビタミンAアルコールのような天然レチノイド又はレチノイド前駆体;を用いる処置が含まれる(例えば、米国特許第4,877,805号及び同第4,355,028号明細書を参照されたい)。しかし、レチノイドを用いた局所的処置は、皮膚に対して非常に刺激的であり、患者にとって不快であることがある。レチノイドは、赤熱状態を引き起こすことがあり、このことは、患者、とりわけ、十代でアクネに悩んでいる人々にとって厄介であることがある。レチノイドの経口処置は、催奇形作用を有することが分かった。従って、アクネ及びPIH(炎症後色素沈着)のための局所的処置を見出だすことは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づき、我々は、アクネ及び炎症後色素沈着を処置し改善するための組成物及び方法であって、サリチル酸と、豆科植物抽出物及び植物抽出物を包含する、トリプシン抑制活性を有する非変性植物抽出物と、少なくとも1種の天然レチノイド、合成レチノイド又はレチノール化合物とを含有する組成物及び方法を見出だした。
【発明の効果】
【0007】
結果
臨床的格付けに基づく評点を平均し、基準時点からの正味改善(net improvements)として記載した。本発明の組成物によると、第4週、並びに、引き続いての第8週、第12週及び第16週において、基準時点と比べて、暗さ、荒さ及び紅斑が著しく減少し、しかも、暗さの減少は第1週もの早い段階で認められた。臨床専門家による写真に関する格付けによって、本組成物は、PIH(炎症後色素沈着)寸法の平均%改善を、第4週で41%、第8週で68%、第12週で82%、及び第16週で92%示すことが分かった。このことは、第4週、第8週、第12週及び第16週におけるプラシーボ組成物と比べて、統計的に著しくいっそう効果的であった。本組成物は、第4週では被検者の91%で有効であり、また、第8週、第12週及び第16週では被検者の100%で有効であった。
【0008】
専門家による臨床的格付けによると、PIHの暗さの平均%改善は、第4週で41%、第8週で63%、第12週で80%、及び第16週で92%を示した。このことは、第8週及び第12週におけるプラシーボ組成物と比べて、統計的に著しくいっそう効果的であった。本組成物は、第4週では被検者の95%で有効であり、また、第8週、第12週及び第16週では被検者の100%で有効であった。
それらデータの更なる統計的解析によると、該活性組成物は、PIH斑点の寸法及び暗さを減少させる場合、プラシーボと比べて、いっそう速く作用することが分かった。
【0009】
第1週で、対象となるアクネ損傷は、紅斑と隆起(elevation)の両方が、基準時点と比べて、著しい減少を示した。
顔面皮膚の色調、テキスチャー、及びアクネの全体的評価に関しても、基準時点と比べて著しい改善が観察された。
ディジタル画像の、変量「L」としての定量化によると、第4週、第8週及び第12週での、本組成物に関する平均(mean)は、プラシーボと比べていっそう容易に認識できる程度に減少し、また、この活性組成物が有利となる傾向があることが分かった。更に、該活性組成物に対する基準時点からの、変量「a」としての減少は、プラシーボによる処置(6.63%の増大)と比べて、活性処置(active treatment)による%変化(27.46%の減少)は、第12週で統計的に著しかった。
【0010】
DRS(拡散反射分光計)によるデータに基づくと、本発明の組成物は、各々の週で、基準時点からの減少を実証し、また、プラシーボ群は、各々の週で、基準時点と同等であったか、又は基準時点から増大した。試験対象患者基準(inclusion criterion)としての基準時点でのメラニン含有量に基づく、母集団の部分集合(subset)からの後続の解析によると、本発明の組成物(0.07の減少)は、第4週において、プラシーボ(0.01の減少)と比べて統計的に著しい減少を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の組成物は、サリチル酸を含有している。サリチル酸の量は、該組成物の全重量に基づき約0.5重量%から約2重量%に及ぶことがある。サリチル酸の量は、十分に大きくてアクネ疾患と闘うのに効果的であるものの、患者の皮膚を刺激する投与量より大きくないのが望ましい。
本発明の組成物は、セリンプロテアーゼインヒビターのような、トリプシンを抑制する化合物を含有する、非変性の豆科植物又は植物の抽出物を含有するのが好ましい。とりわけ、非変性豆科植物の抽出物は、本発明の方法においても有用である。更に好ましくは、非変性大豆、非変性アオイマメ及び非変性黒豆の抽出物、並びにこれら豆類から作られる他の天然産物(例えば、大豆乳、大豆ペースト、等であるが、それらに限定されない)もまた、このメカニズムによって色素沈着を減少させるのに役立つ。植物又は豆科植物から分離されたセリンプロテアーゼインヒビター[例えば、大豆由来タンパク質の大豆トリプシンインヒビター(STI)、及びボウマン・バークインヒビター(Bowman-Birk Inhibitor)(BBI)であるが、それらに限定されない]もまた、本発明において有用である。
【0012】
本発明の新規組成物は、流体(例えば、大豆乳)又は固体(例えば、大豆粉末又は大豆乳粉末)の形態である場合がある豆科植物製品、より好ましくは大豆製品を含有するのが好ましい。「大豆製品(Soy Product)」の意味するものは、大豆中に天然に見出だされる複数の成分を、豆類中に見出だされる相対濃度で含有している大豆由来物質である。大豆製品は、大豆の一部分(例えば、脂質が減少した大豆粉末若しくは濾過済み大豆乳のような大豆抽出物)のみを含有することもあり、又は、完全な大豆(例えば、豆科植物の粉砕粉)を含有することもある。大豆製品は、流体(例えば、大豆乳)又は固体(例えば、大豆粉末又は大豆乳粉末)の形態である場合がある。流体の形態である場合、用語「大豆製品」は、大豆由来である、流体の複数の固体成分をいう。
大豆製品は、大豆粉末である場合がある。大豆粉末は、乾燥大豆を粉砕することによって作ることができる。大豆粉末は、凍結乾燥することができる。大豆乳及び大豆乳粉末はまた、有用な大豆製品である。大豆乳は、大豆由来の固形分と水との組み合せであり、それの混合物は、濾過された不溶性成分の一部又は全てを含有している。大豆乳粉末は、乾燥済み大豆乳であり、それは1つの態様において、凍結乾燥された形態又は吹き付け乾燥された形態である。
【0013】
大豆乳を製造するための方法には、次の3つの方法が包含されるが、それらに限定されない。第1に、大豆乳は、大豆を水の中に入れて、それら大豆が水を吸収するようにすることによって製造することができる。次いで、膨潤した豆はすり潰し、次いで、追加の水を添加する。次いで、その混合物は濾過して、あらゆる不溶性残渣を除去する。第2に、大豆乳は、大豆粉末から調製することもできる。大豆粉末は水と完全に(例えば、少なくとも1時間の間)混合し、次いで、それを濾過工程にかけて、不溶性残渣を除去することができる。第3に、大豆乳は、大豆乳粉末から、水を添加することによって、元に戻すこともできる。該大豆乳は、大豆由来の固形分を約1重量%〜約50重量%(例えば、約5重量%〜約20重量%)含有することがある。
豆科植物の実の表面には、しばしば、高レベルの微生物が含まれている。従って、豆科植物の製品は、ヒトが使用する前、処理して、そのような微生物を減少させるか又は除去する必要がある。
【0014】
本発明において利用される豆科植物製品は、1g当り約10,000コロニー形成単位(cfu)未満の全微生物含有量を有することがある。本発明で利用される大豆製品は、該豆科植物製品1g当り約1,000cfu未満(例えば、1g当り約100cfu未満)の全微生物含有量を有するのが好ましい。
本発明において利用される該豆科植物製品は、1g当り300cfu未満、例えば、1g当り150cfu未満の全悪玉微生物含有量(total objectionable microbial content)を有することがある。本発明で利用される該豆科植物製品は、豆科植物製品の少なくとも1g(例えば、少なくとも10g)に対して、検知不能な量のあらゆる悪玉微生物を有するのが好ましい。
【0015】
豆科植物製品は、γ線照射にさらすことができる。豆科植物製品は、約2〜約30kGyの間のγ線照射(例えば、約5〜約10kGyの間のγ線照射)にさらすことができる。そのような処理を行えば、該豆科植物製品の微生物含有量は減少し、同時に、それの生物的活性(例えば、セリンプロテアーゼインヒビター活性)は保持される。γ線照射で豆科植物製品を処理すれば、該豆科植物製品の審美的気品は保持され(例えば、天然色は保持され)、悪臭はあまり生じない。豆科植物製品のプロテアーゼインヒビター活性をも保持する他の抗微生物プロセスであって、単独で又はγ線照射と組合せて実施することのできる抗微生物プロセスは、X線、高エネルギー電子線又は高エネルギー陽子線、紫外線、静水圧に当てること、抗微生物活性を有する化学薬品を添加すること、及びそれらの組合せを包含するが、それらに限定されない。
【0016】
大豆製品は、1つの態様において、非変性大豆製品である。「変性(denaturation)」は、バンタム医学辞典(Bantam Medical Dictionary)(1990年版)で「熱、X線又は化学薬品によって引き起こされる、タンパク質の物理的及び生理学的特性の変化。これらの変化として、(酵素の場合の)活性度の損失、及び(抗原の場合の)抗原性の損失(又は変化)が挙げられる。」と定義されている。「非変性植物抽出物(non-natured plant extract)」の意味するものは、植物から抽出されたか又は取り出された生成物であって、そのような植物抽出物を取り出すための処理(例えば、温度、抽出媒体)によって、該植物のプロテアーゼインヒビター活性が排除されなかった生成物である。そのようなプロテアーゼの1つは、トリプシンである。1つの態様において、本発明に係る大豆製品の非変性状態は、無傷の大豆トリプシンインヒビター(STI)タンパク質の存在によるか、又はそれのトリプシンインヒビター活性によって測定される。
本発明の組成物は更に、少なくとも1種のレチノイド(即ち、あらゆる種類のレチノイド受容体類に結合する化合物)、又はレチノールのようなレチノイド前駆体を含有し、例えば、トレチノイン、レチノール、トレチノイン及び/又はレチノールのエステル、合成レチノイド(例えば米国特許第4,877,805号明細書に開示されているもの)等を含有している。本発明の組成物に含有されるレチノイドの量は、該組成物の全重量に基づき、約0.01重量%〜約1重量%、好ましくは約0.01重量%〜約0.5重量%の範囲に及ぶことがある(商業的配合物は、レチノール0.04%を含有している)。
【0017】
本発明の組成物は、セリンプロテアーゼインヒビターの追加的源を含有することがある。セリンプロテアーゼインヒビターの追加的源は、次の植物類に属する種から抽出することができる:イネ科(例えば、イネ、ソバ、モロコシ、小麦、大麦、オート麦、等)、ウリ科(例えば、キュウリ、カボチャ、ヒョウタン、ヘチマ、等)、及び、好ましくは豆科(例えば、大豆、エンドウ豆、ヒラマメ、等)。イソフラボンのような大豆中の諸成分も、大豆トリプシンインヒビターも、非変性大豆も、レチノイドで誘発される刺激(irritation;炎症)又は赤熱状態(redness)を低減する目的では、以前知られていなかったか又は利用されていなかった。我々は意外にも、そのような諸成分を含有する組成物は、レチノイド活性に影響を与えることなく、レチノイドで誘発される刺激又は赤熱状態を低減し得ることを見出だした。
【0018】
本発明の組成物及び方法において活性である化合物は、当業者に知られている如何なる手段によっても、局所に運搬することができる。そのように、局所的に活性な薬剤又は化粧品剤の運搬パラメータ(delivery parameters)が必要である場合、本発明の局所的に活性な組成物は、医薬品として又は化粧品として容認可能なビヒクルであって、局所的に活性な薬を皮膚の中に浸透させることのできる運搬手段として機能することのできるビヒクルを更に含有していることが好ましいことがある。
【0019】
本発明の組成物の幾つかを局所に運搬するのに容認することのできる1つのビヒクル、とりわけ、トリプシン及びSTI(大豆トリプシンインヒビター)のようなタンパク質は、リポソーム(liposomes)を含有していることがある。該リポソームは、非イオン性であるのがより好ましく、a)(好ましくは、約5重量%〜約70重量%の間の量の)グリセロールジラウレートと、b)(好ましくは、約5重量%〜約45重量%の間の量の、)コレステロール中に見出だされるステロイド骨格を有する化合物と、c)(好ましくは、約5重量%〜約70重量%の間の量の、)約12個〜約18個の炭素原子を有する1種以上の脂肪酸エーテルとを含有しており、しかも、該リポソームのそれら構成化合物は、約37.5:12.5:5.33:16.7の比で存在しているのが好ましい。グリセロールジラウレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル/ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテルで構成されるリポソーム(GDLリポソーム)が最も好ましい。該リポソームは、該組成物の全容量に基づき約10mg/ml〜約100mg/mlの量で、更に好ましくは約20mg/ml〜約50mg/mlの量で存在するのが好ましい。約37.5:12.5:5.33:16.7の比が最も好ましい。適切なリポソームは好ましくは、親出願米国シリアル番号09/110,409号明細書の実施例1に開示されるプロトコルに従って製造することができる。とは言え、当該技術分野で一般に用いられる他の方法も容認できる。上述の組成物は、適切な容器で所望の諸成分を混ぜ合わせ、次いで、周囲条件の下、非イオン性リポソームを製造するために当該技術分野で周知の従来のいずれかの高剪断混合手段[例えば、ニエミエツ (Niemiec)等:「毛嚢脂腺単位の中へのペプチド薬の局所的運搬に及ぼす非イオン性リポソーム組成物の影響:ハムスター耳モデルを用いた生体内調査(Influence of Nonionic Liposomal Composition On Topical Delivery of Peptide Drugs Into Pilosebacious Units: An In Vivo Study Using the Hamster Ear Model)」,12 Phar.Res.第1184頁〜1188頁(1995)(ニエミエツ)に開示されている手段]で、それら成分を混合することによって製造することができる。その文献の内容は、言及することによってそっくりそのまま本明細書に組み入れる。本発明の組成物中にこれらリポソームが存在すれば、本発明の組成物の幾つかの治療能力が高まることを、我々は見出だした。
【0020】
他の適切な配合物(formulations)には、例えば、大豆乳、又は豆科植物若しくは他の適切な植物から直接取り出される他の液体配合物が包含されることがある。そのような配合物は、例えば、多くの割合の大豆乳;該大豆乳の物理安定度を維持する乳化剤;並びに、任意的にキレート化剤、防腐剤、皮膚軟化薬、湿潤剤及び/又は増粘剤若しくはゲル化剤;を含有することがある。
当業者に知られている乳剤、溶剤ベース配合物、及び水性ゲルもまた、本発明の組成物を運搬するためのビヒクルとして利用することができる。
【0021】
本発明において有用な局所用組成物は、皮膚に局所的に施用するのに適した配合物を含んでいる。該組成物は、大豆製品と、化粧品として容認可能な局所用キャリヤとを含有することがある。その化粧品として容認可能な局所用キャリヤは、該組成物の約50重量%〜約99.99重量%(例えば、約80重量%〜約95重量%)を占める。
それら組成物は、ローション、クリーム、ゲル、棒状物、噴霧、ひげそり用クリーム、軟膏、洗浄用液体洗剤及び固形棒、シャンプー、ペースト、粉末、ムース(mousses;泡立てたクリーム)、粘着性ストリップ、並びに拭き取る物(wipes)のような固体組成物及び液体組成物を包含する(が、それらに限定されない)様々な製品種に製造することができる。これらの製品種は、溶液、エマルション(例えば、マイクロエマルション及びナノエマルション)、ゲル、固体、並びにリポソームを包含する(が、それらに限定されない)、化粧品として容認可能な幾つかのタイプの局所用キャリヤを含有することができる。下記のものは、そのようなキャリヤの非限定的例である。当業者は、他の諸キャリヤを配合することができる。
【0022】
本発明において有用な局所用組成物は、溶液として配合することができる。溶液は典型的には、水性溶媒を(例えば、化粧品として容認可能な水性溶媒を約50%〜約99.9%、又は約90%〜約99%)含有する。
主題発明の有用な局所用組成物は、皮膚軟化薬を含有する溶液として配合することができる。そのような組成物は、1種又は複数種の皮膚軟化薬を約2%〜約50%含有するのが好ましい。本明細書で用いる「皮膚軟化薬(emollients)」とは、乾燥を防止するか又は軽減するためだけでなく、皮膚を保護するためにも使用される材料をいう。様々な適切な皮膚軟化薬が知られており、本発明で使用することができる。国際化粧品成分辞典及びハンドブック(International Ingredient Dictionary and Handbook),編集:ウェニンガー(Wenninger)及びマキューエン(McEwen),pp.1656〜1661,1626,及び1654〜1655(The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Assoc., ワシントン,D.C.,第7版,1997年)(以下、「INCIハンドブック」)を参照されたい。そこには、適切な材料の多くの例が記載されている。
【0023】
そのような溶液からローションを調製することができる。ローションは典型的には、皮膚軟化薬を約1%〜約20%(例えば、約5%〜約10%)、及び水を約50%〜約90%(例えば、約60%〜約80%)含有する。
溶液から配合することのできるもう1つのタイプの生成物は、クリームである。クリームは典型的には、皮膚軟化薬を約5%〜約50%(例えば、約10%〜約20%)、及び水を約45%〜約85%(例えば、約50%〜約75%)含有する。
【0024】
溶液から配合することのできる更にもう1つのタイプの生成物は、軟膏である。軟膏は、動物油若しくは植物油又は半固体炭化水素の単純ベースを含有することがある。軟膏は、皮膚軟化薬約2重量%〜約10重量%と共に、1種以上の増粘剤約0.1重量%〜約2重量%を含有することがある。本発明で有用な増粘剤又は粘度上昇剤のより完全な開示は、INCIハンドブック,pp.1693〜1697に見出だすことができる。
本発明において有用な局所用組成物は、エマルションとして配合することができる。キャリヤがエマルションである場合、該キャリヤの約1%〜約10%(例えば、約2%〜約5%)は、1種以上の乳化剤で占められる。乳化剤は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性であることがある。適切な乳化剤は、例えば、INCIハンドブック,pp.1673〜1686に開示されている。
【0025】
ローション及びクリームは、エマルションとして配合することができる。そのようなローションは典型的には、1種以上の乳化剤を約0.5%〜約5%含有する。そのようなクリームは典型的には、1種以上の皮膚軟化薬を約1%〜約20%(例えば、約5%〜約10%)、水を約20%〜約80%(例えば、約30%〜約70%)、及び1種以上の乳化剤を約1%〜約10%(例えば、約2%〜約5%)含有する。
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームのような単分散エマルション(single emulsion)のスキンケア用製剤は、化粧品技術分野では周知であり、主題発明において有用である。水中油中水型のような、複相エマルション組成物もまた、主題発明において有用である。そのような単分散エマルション又は複相エマルションは、必須成分として水、皮膚軟化薬、及び乳化剤を含有する。
【0026】
本発明の局所用組成物はまた、ゲル(例えば、1種以上の適切なゲル化剤を用いた水性ゲル)として配合することができる。水性ゲルを得るための適切なゲル化剤として、天然ゴム、アクリル酸系及びアクリル酸塩系のポリマー、アクリル酸系及びアクリル酸塩系のコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられるが、それらに限定されない。油(例えば、鉱油)のための適切なゲル化剤として、水素化ブチレン/エチレン/スチレンのコポリマー、及び水素化エチレン/プロピレン/スチレンのコポリマーが挙げられるが、それらに限定されない。そのようなゲルは典型的には、そのようなゲル化剤を約0.1重量%〜5重量%含有する。
本発明の局所用組成物はまた、配合して固体製剤[例えば、ワックスベース棒、棒状石鹸組成物、粉末、又は粉末を含有する拭き取る物(wipe)]にすることができる。
【0027】
主題発明において有用な局所用組成物は、前述の諸成分の他に、皮膚、毛髪及び爪に用いるための組成物において従来使用された様々な追加的油溶性物質及び/又は水溶性物質を、それら物質の技術分野で確立されているレベルで含有することができる。
配合すべき活性化合物の源は通常、該化合物の特定の形態によって決まる。小さい有機分子及びペプチジルフラグメント(peptidyl fragments)は、化学的に合成し、医薬として/化粧品として用いるのに適した純粋な形態で提供することができる。天然抽出物の生成物は、当該技術分野で知られている技術に従って精製することができる。当業者は、化合物の組換え型源(recombinant sources)もまた利用することができる。
【0028】
代わりの態様において、局所的に活性な医薬品組成物又は化粧品組成物は任意的に、他の諸成分、例えば、保湿剤、化粧品用アジュバント(adjuvants)、酸化防止剤、漂白剤、チロシナーゼインヒビター、及び他の既知の色素脱失剤、表面活性剤、起泡剤、コンディショナー(conditioners)、湿潤剤、芳香剤(fragrances)、増粘剤(viscosifiers)、緩衝剤、防腐剤、日焼け止め剤等と組合せることができる。
レチン酸含有生成物を利用する多くの人々が遭遇する問題の1つは、刺激(irritation)によって生じる紅斑が増大することであり、それはレチノイドを使用することによる一般的副作用である。我々は、意外にも、トレチノインと、トリプシン抑制活性生成物を含有する大豆抽出物(例えば、非変性大豆乳粉末)との組み合せは、レチン酸と組合せるか又はレチン酸と同時に施用された場合、結果的に皮膚の赤熱状態を減少させるを見出だした。該大豆生成物は、大豆粉末又は大豆乳粉末を約0.01〜約50%、より好ましくは大豆粉末又は大豆乳粉末を約0.05〜約20%、最も好ましくは大豆粉末又は大豆乳粉末を約0.5〜約5%含有する局所用組成物において利用するのが好ましい。
【0029】
局所的に活性な医薬組成物又は化粧品組成物は、レチノイドにより誘発された哺乳動物の刺激(irritation;炎症)を軽減するのに有効な量で施用するのが望ましい。本明細書及び特許請求の範囲において用いる「有効な量(amount effective;有効量)」は、皮膚表面の領域を覆うのに十分な量を意味するものとする。刺激又は赤熱状態(redness;赤み)を減少させることが望ましいとき、局所的に活性な薬剤が、皮膚表面1cm2に基づき約2μl/cm2〜約200μl/cm2存在するようなやり方で、該組成物を皮膚表面に多量に施用することが好ましい。
植物又は植物性源から直接作られる天然抽出物は、約1〜約99%の濃度(w/v)で本発明の組成物に用いることができる。天然抽出物の留分(fractions)と、STI(大豆トリプシンインヒビター)又はBBI(ボウマン・バークインヒビター)のような天然由来プロテアーゼインヒビターとは、該組成物の約0.01%〜約20%、より好ましくは約0.5%〜約10%、最も好ましくは約0.1%〜約2.5%の異なる好ましい範囲を有することができる。もちろん、本発明に係る複数の活性剤の混合物は、組合せて、同一の製剤の中で、又は異なる製剤の一連の施用の中で一緒に使用することができる。
【0030】
我々は意外にも、局部的に活性な薬剤が動物の皮膚に局部的に施用されるとき、皮膚容態の有意な変化が達成されることを見出だした。本発明に係る活性剤は、比較的高い濃度及び投与量[天然レチノイド、合成レチノイド及び関連化合物のような高い治療指数(therapeutic indices)を有する化合物については約0.005%〜約1%;植物材料の抽出物及び液体誘導体については約20%〜約99%;並びに、天然抽出物の留分若しくは乾燥抽出物、及びSTI(大豆トリプシンインヒビター)のような天然由来プロテアーゼインヒビター、又はそれらの混合物については約0.1%〜約20%]で哺乳動物の皮膚に、皮膚が皮膚容態の変化をはっきり表わすまで一定期間の間、毎日1〜2回、施用するのが好ましい。その後、一旦皮膚容態の変化が達成されれば、活性成分のより低い濃度及び投与量(天然レチノイド、合成レチノイド及び関連化合物のような高い治療指数を有する化合物については約0.00001%〜約0.005%;植物材料の抽出物及び液体誘導体については約10%〜約90%;並びに、天然抽出物の留分、及びSTIのような天然由来プロテアーゼインヒビター、又はそれらの混合物については、約0.01%〜約5%)を、より少ない頻度予定表(例えば、約1回/日〜約2回/週)で施用することができる。本発明に係る活性成分の効果は可逆的であり、従って、これらの効果を維持するためには、連続的な施用又は投与を行うことが望ましい。本明細書に、説明に役立つように適切に開示されている本発明は、本明細書及び特許請求の範囲に具体的には開示されていないいずれかの要素、成分、又は工程の不存在下で実施することができる。
【0031】
以下に幾つかの実施例を開示し、本発明の特質とそれを実施する方法とを更に例示するが、本発明の方法と組成物との範囲を限定することを意図している訳ではない。
【実施例1】
【0032】
下の表1に記載される諸成分を組み合わせることにより、表1の下に記述する方法によって、本発明の組成物を製造した。
【0033】
【表1】

【0034】
脱イオン水12gをガラスビーカーに添加することによって、大豆プレミックス(soy premix)1を調製した。ツルマメ(glycine soja)(大豆)の種子抽出物(2g)と、エチレン/アクリル酸コポリマー(0.5g)とを添加し、添加している間、撹拌した。
ガラスビーカー中で、ツルマメ(大豆)の種子抽出物(0.025g)をベンジルアルコール0.5gと混ぜ合わせ、次いで、30分間撹拌することによって、大豆プレミックス2を調製した。
【0035】
エスコ・ベッセル(ESCO VESSEL)中で、水相を調製した。該容器に水51.588gを添加した。混合を開始し、次いで、次の諸物質:メチルグルセス(Methyl Gluceth)20 2g、EDTA二ナトリウム0.1g、グリセリン1g、及び水酸化アンモニウム0.46gを添加した。その溶液は、70〜75℃に加熱した。
ガラスビーカー中で、次の諸成分:C12〜C15アルキルベンゾエート7g、イソセテス(Isoceteth)20 1.375g、PPG10セチルエーテル(Cetyl Ether)2.2g、サリチル酸1g、ジメチコーン(DIMETHICONE)2.75g、フェニルトリメチコーン0.75g、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)0.1g、アラキジルアルコール(Arachidyl Alcohol)(及び)ベヘニルアルコール(Behenyl Alcohol)(及び)アラキジルグルコシド(Arachidylglucoside)を3.85g、セテアリルアルコール(Cetearyl Alcohol)(及び)セテアリルグルコシド4.4g、並びにセテアリルアルコール1.4gを混ぜ合わせ、75〜80℃で混合することによって油相を調製した。その溶液は、5分間混合し、次いで、連続的に混合することによって70〜75℃まで冷却した。
【0036】
該水相に該油相を徐々に添加し、70℃で徐々に適度の羽根混合(sweep mixing)を行った。その溶液に、ポリアクリルアミド(及び)C13~14イソパラフィン(及び)ラウレス(Laureth)−7(2.7g)を添加した。該溶液は、45℃に冷却し、撹拌しながら、大豆プレミックス1及び大豆プレミックス2を添加した。それら大豆プレミックスの容器は、水0.8gで洗浄し、その水は、前記溶液に添加した。その溶液は、10分間混合した。該溶液に、塩化ベンザルコニウム、防腐剤及び芳香剤を添加し、添加している間、10分間撹拌した。該溶液にレチノール(LETINOL)(0.092g)を添加し、10分間撹拌した。
【実施例2】
【0037】
大豆誘導体、レチノール及びサリチル酸を用いることなく、表1の諸成分をベースとして、第2の試料を作ることによって、プラシーボ(placebo;偽薬)対照を調製した。
【0038】
臨床調査
フィッツパトリック皮膚型(Fitzpatrick Skin Type)III〜Vを有する、アジア人、アフリカ系アメリカ人、及びラテンアメリカ系の男女の被検者における、アクネの出現、及び後アクネ(post acne)のPIH(炎症後色素沈着)の出現に関する、本発明の局所用製剤の効果を評価するため、プラシーボの二重盲式ランダム化比較調査を行った。
皮膚型III〜Vを有し、軽度の尋常性アクネ(10〜50個の全顔面アクネ損傷)を有する、12〜45才の41人のアジア人、アフリカ系アメリカ人、及びラテンアメリカ系の男女の被検者によって、プラシーボの二重盲式ランダム化比較による全顔面の4ヶ月長期調査をやり遂げた。被検者は、物理的に異なる、新しい、顔面のPIHアクネ斑点を有した。除外基準は、調査に参加する前30日以内に全身薬物又は14日以内に局所薬物を使用している被検者と、調査の結果を妨げるかも知れない皮膚容態を示す人々とを含んだ。
【0039】
ランダム化スキーム(scheme)に基づいて、本発明の組成物又はそれのプラシーボを複数の被検者に与えた。被検者等には、顔面に試験製剤を2回(1回目は朝、そして2回目は夜)塗布するように頼んだ。被検者等には、該調査を通して、与えられた洗剤と、SPF15顔面湿潤剤とを用いるように指示した。
専門の臨床採点者は、顔面全体のアクネ損傷及び対象となる炎症性損傷だけでなく、顔面皮膚の色調(tone)及びテキスチャー(texture;表面組織)をも評価した。特定のPIH斑点を、暗さ(darkness)、荒さ(roughness)及び紅斑(erythema)について評価した。該調査全体を通して基準時点及び種々の時点において、評価を行った。PIH斑点の色は、−1=周囲の皮膚の色素と比べて僅かに明るい、0=周囲の皮膚の色素と同等、1=周囲の皮膚の色素と比べて僅かに暗い、2=周囲の皮膚の色素と比べて中程度に暗い、及び、3=周囲の皮膚の色素と比べて著しく暗い、の尺度で採点した。調査後の、写真(顔面全体及び対象となるPIH斑点)の臨床的格付けを実施してPIHの暗さ、紅斑及び寸法の変化を評価した。更に、それら斑点の相対寸法をも格付けした。各々の斑点には、基準時点で4の評点を与えて、次の尺度:0=PIH斑点を容易に認識することはできない、1=PIH斑点は、基準時点における斑点の寸法の25%である;2=PIH斑点は、基準時点における斑点の寸法の50%である;3=PIH斑点は、基準時点における斑点の寸法の75%である;及び、4=PIH斑点は、基準時点における斑点の寸法の100%である;を用い、次の診察で格付けを行った。
【0040】
被検者等には、該調査を通して基準時点及び種々の時点において、種々の皮膚特性(skin attributes)を評価するように頼んだ。
メラニン濃度を監視するのに適した波長で、可視ディジタル写真撮影及び拡散反射分光計(DRS)による測定値を得た。測定値は、該調査を通して基準時点及び種々の時点で得た。監視すべき斑点は3回走査した。正常皮膚も3回走査した。それらスペクトルは、重ね合わせ、次いで、減じた。変量「L」及び「a」を定量化するために、ディジタル画像定量化を実施した。変量「L」は、明度(luminosity)を表わし、測定された皮膚の明るさによって示される。変量「a」は、測定された皮膚の赤熱状態(redness)の程度を示す。
【0041】
本発明の具体的な実施態様は以下の通りである。
(1)炎症後色素沈着を処置する方法において、処置が必要な哺乳動物に、(a)サリチル酸と、(b)合成レチノイド、天然レチノイド、及びレチノールから成る群から選ばれる1種の化合物と、(c)トリプシン抑制活性を有する非変性植物抽出物とを含有する組成物の有効量を局部的に投与することを含む、処置方法。
(2)前記レチノイドは、合成レチノイド、レチノイン酸、レチノイン酸のエステル、及びレチノールから成る群から選ぶ、上記実施態様1記載の方法。
(3)前記レチノイド化合物はレチノイン酸である、上記実施態様2記載の方法。
(4)前記レチノイド化合物はレチノールである、上記実施態様2記載の方法。
(5)前記非変性植物抽出物は、植物系の豆科、ナス科、イネ科、ウリ科、及びそれらの混合物から成る群から選ぶ、上記実施態様1記載の方法。
【0042】
(6)前記植物系は、豆科である、上記実施態様5記載の方法。
(7)前記豆科植物は、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、及びそれらの混合物から成る群から選ぶ、上記実施態様6記載の方法。
(8)前記抽出物は、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、及びそれらの混合物の諸留分から成る群から選ぶ、上記実施態様7記載の方法。
(9)前記抽出物は、非変性大豆乳、非変性アオイマメ乳、非変性黒豆乳、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、非変性大豆ペースト、非変性アオイマメペースト、非変性黒豆ペースト、及びそれらの混合物から成る群から選ぶ、上記実施態様8記載の方法。
(10)炎症後色素沈着を処置するための組成物において、(a)合成レチノイド、天然レチノイド、及びレチノールから成る群から選ばれた1種の化合物と、(b)サリチル酸と、(c)トリプシン抑制活性を有する非変性植物抽出物とを含有する局所組成物の有効量を含有している、組成物。
【0043】
(11)前記レチノイドは、合成レチノイド、レチノイン酸、及びレチノイン酸のエステル、又はレチノール類から成る群から選ばれている、上記実施態様10記載の組成物。
(12)前記レチノイド化合物はレチノイン酸である、上記実施態様11記載の組成物。
(13)前記レチノイド化合物はレチノールである、上記実施態様12記載の組成物。
(14)前記非変性植物抽出物は、植物系の豆科、ナス科、イネ科、ウリ科、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている、上記実施態様10記載の組成物。
(15)前記植物系は、豆科である、上記実施態様14記載の組成物。
【0044】
(16)前記豆科植物は、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている、上記実施態様15記載の組成物。
(17)前記化合物は、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、及びそれらの混合物の諸留分から成る群から選ばれている、上記実施態様16記載の組成物。
(18)前記化合物は、非変性大豆乳、非変性アオイマメ乳、非変性黒豆乳、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、非変性大豆ペースト、非変性アオイマメペースト、非変性黒豆ペースト、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている、上記実施態様17記載の組成物。
(19)皮膚上の炎症後色素沈着跡の暗さを減少させる方法であって、上記実施態様10記載の組成物を該皮膚に塗布することを含む、方法。
(20)皮膚上の炎症後色素沈着跡の荒れを減少させる方法であって、上記実施態様10記載の組成物を該皮膚に塗布することを含む、方法。
【0045】
(21)皮膚上の炎症後色素沈着跡の紅斑を減少させる方法であって、上記実施態様10記載の組成物を該皮膚に塗布することを含む、方法。
(22)皮膚上の炎症後色素沈着跡の大きさを減少させる方法であって、上記実施態様10記載の組成物を該皮膚に塗布することを含む、方法。
(23)皮膚上の炎症後色素沈着跡のアクネを処置する方法であって、上記実施態様10記載の組成物を該皮膚に塗布することを含む、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症後色素沈着を処置する方法において、処置が必要な哺乳動物に、(a)サリチル酸と、(b)合成レチノイド、天然レチノイド、及びレチノールから成る群から選ばれる1種の化合物と、(c)トリプシン抑制活性を有する非変性植物抽出物とを含有する組成物の有効量を局部的に投与することを含む、処置方法。
【請求項2】
炎症後色素沈着を処置するための組成物において、(a)合成レチノイド、天然レチノイド、及びレチノールから成る群から選ばれた1種の化合物と、(b)サリチル酸と、(c)トリプシン抑制活性を有する非変性植物抽出物とを含有する局所組成物の有効量を含有している、組成物。
【請求項3】
前記レチノイドは、合成レチノイド、レチノイン酸、及びレチノイン酸のエステル、又はレチノール類から成る群から選ばれている、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記レチノイド化合物はレチノイン酸である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記レチノイド化合物はレチノールである、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記非変性植物抽出物は、植物系の豆科、ナス科、イネ科、ウリ科、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている、請求項2記載の組成物。
【請求項7】
前記植物系は、豆科である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記豆科植物は、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記化合物は、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、及びそれらの混合物の諸留分から成る群から選ばれている、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記化合物は、非変性大豆乳、非変性アオイマメ乳、非変性黒豆乳、非変性大豆抽出物、非変性アオイマメ抽出物、非変性黒豆抽出物、非変性大豆ペースト、非変性アオイマメペースト、非変性黒豆ペースト、及びそれらの混合物から成る群から選ばれている、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
皮膚上の炎症後色素沈着跡の暗さを減少させる方法であって、請求項2記載の組成物を該皮膚に塗布することを含む、方法。

【公開番号】特開2006−45229(P2006−45229A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−221191(P2005−221191)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】