説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】泡質やすすぎ性が良好で、肌のつっぱり感がない皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)下記一般式(1)及び(2):
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数8〜24のアルキル基であり、EOはエチレンオキシド基、AOは炭素数3又は4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、0≦mの数である。nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、0<nの数である。Mは陽イオンである)
で表される硫酸塩型界面活性剤を、合計で5〜50質量%含有する皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌のつっぱり感がない皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄剤は、使用した際、肌に優しいことが求められる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、洗浄力が高く、起泡量が多いことから、水性洗浄剤の主界面活性剤成分として広く用いられている。しかし、このような界面活性剤は、単独で皮膚洗浄剤に使用した場合には、洗浄後に肌がかさついたり、つっぱり感が生じるという問題が生じる。
【0003】
これに対し、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩と、カチオンポリマー等を組み合わせて用いることが提案されている(特許文献1)。カチオンポリマーを用いることにより、起泡性に優れ、洗浄後にしっとり感を付与することができる。しかしながら、カチオン性ポリマーを添加すると、すすぎ時にヌルつきがあり、さっぱりとした洗い上がりが得られないという問題があった。
【特許文献1】国際公開第2008/004343号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、泡質やすすぎ性が良好で、肌のつっぱり感がない皮膚洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の硫酸塩型界面活性剤を組み合わせて用いれば、泡質及びすすぎ性が良好で、しかも、洗浄後に肌のつっぱり感がない皮膚洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、(A)下記一般式(1)及び(2):
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数8〜24のアルキル基であり、EOはエチレンオキシド基、AOは炭素数3又は4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、0≦mの数である。nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、0<nの数である。Mは陽イオンである)
で表される硫酸塩型界面活性剤を、合計で5〜50質量%含有する皮膚洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、洗浄力、泡質及びすすぎ性が良好であり、しかも、洗浄後に肌のつっぱり感がないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、成分(A)として、前記一般式(1)及び(2)で表される硫酸塩型界面活性剤を含有する。
【0009】
一般式(1)及び(2)中、R1及びR2で示されるアルキル基としては、炭素数8〜16が好ましく、より好ましくは炭素数10〜14であり、特に好ましくは炭素数12〜14のものである。さらに、起泡力、泡のキメ細かさといった性能面から、油脂原料由来の直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0010】
一般式(1)中、mはEOの平均付加モル数で、0以上の数であり、泡質及びすすぎ性の点から、好ましくは0〜3であり、より好ましくは0〜2.5、特に好ましくは0.1〜2、更に好ましくは1〜2である。
また、一般式(2)中、nはAOの平均付加モル数で、0を超える数であり、泡質及びすすぎ性の点から、好ましくは0<n≦3であり、より好ましくは0.1〜2、特に好ましくは0.2〜1.6、更に好ましくは0.5〜1である。アルキレンオキシ基としては、プロピレンオキシ基(PO)が好ましい。
【0011】
製造時における反応性、シックニング(増粘)性を総合的に考えたとき、一般式(2)及び(1)で表される化合物中、AO及びEOの平均付加モル数は、AOが0.1〜2で且つEOが0〜2.5であることが好ましく、より好ましくはAOが0.2〜1.6で且つEOが0.1〜2であり、特に好ましくはAOが0.5〜1で且つEOが1〜2である。
【0012】
また、一般式(1)及び(2)中のMは、塩を形成する陽イオンであり、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、およびトリエタノールアンモニウムイオン等のアルカノールアンモニウムイオン;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられ;アルカリ土類金属としては、カルシウム等が挙げられる。これらのうち、アンモニウム、ナトリウム、カリウムがより好ましく、アンモニウム、ナトリウムが特に好ましい。
【0013】
このような硫酸塩型界面活性剤(1)は、例えば、以下の工程(1)〜(2)を含む方法により製造することができる。
工程(1):炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール1モルにエチレンオキサイドを平均で0モルを超える範囲で付加させる工程。
工程(2):炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール又は上記工程(1)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程。
【0014】
また、硫酸塩型界面活性剤(2)は、例えば、以下の工程(1’)〜(2’)を含む方法により製造することができる。
工程(1’):炭素数8〜24のアルキル基を有するアルコール1モルにプロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドを平均で0モルを超える範囲で付加させる工程。
工程(2’):上記工程(1’)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程。
【0015】
工程(1)において、アルコール1モルに対するエチレンオキサイドの使用量は、0モルを超える量であるが、好ましくは0〜2.5モルであり、より好ましくは0.1〜2モルであり、特に好ましくは1〜2である。
【0016】
工程(1’)において、アルコール1モルに対するプロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドの使用量は、0モルを超える量であるが、好ましくは0.1〜2モルであり、より好ましくは0.2〜1.6モルであり、特に好ましくは0.5〜1である。
【0017】
工程(1)及び(1’)は、従来公知の方法により行うことができる。すなわち、オートクレーブにアルコールとアルコールに対して0.5〜1モル%の水酸化カリウム等を触媒として仕込み、昇温・脱水し、110〜160℃の温度で、所定量のアルキレンオキサイドを付加反応させる。使用するオートクレーブは、攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えているのが好ましい。
【0018】
工程(2)及び(2’)において、硫酸化の方法としては、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられる。特に、廃硫酸及び廃塩酸等の発生を防止する観点から、三酸化硫黄をアルコキシレートと同時にガス状又は液状で連続的に供給する方法が好ましい。
【0019】
硫酸化物の中和方法としては、特に制限されないが、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・攪拌しながら中和を行うバッチ式、硫酸化物と中和剤を配管内に連続的に供給し、攪拌混合機にて中和を行う連続式などが挙げられる。ここで使用される中和剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物水溶液、アンモニア水、トリエタノールアミン等が挙げられ、更には、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液が好ましく、特にアンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
【0020】
成分(A)は、一般式(1)で表される硫酸塩型界面活性剤と一般式(2)で表される硫酸塩型界面活性剤を組合せ、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に、合計で5〜50質量%含有され、好ましくは7〜25質量%、特に好ましくは、10〜20質量%含有される。この範囲内であれば、泡質やすすぎ性、肌のつっぱり感がなさの観点から好ましい。
【0021】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ち及び泡質向上のため、更に成分(B)として、硫酸塩型界面活性剤以外のアニオン界面活性剤を含有することができる。
硫酸塩型界面活性剤以外のアニオン界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、α−スルホ脂肪酸エステル又はその塩、モノアルキルリン酸エステル又はその塩、アシルグルタミン酸又はその塩等のアミノ酸系界面活性剤、ココイルイセチオン酸又はその塩、スルホコハク酸モノエステル又はその塩、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩等が挙げられる。
これらのうち、泡立ち及び泡質の点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩が好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸又はその塩としては、次の一般式(2)で表されるものが好ましい。
【0022】
【化1】

【0023】
(式中、R1は炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは平均で0.5〜10の数を示し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを示す)
【0024】
一般式(2)中、R1としては、特に炭素数12〜16のアルキル基が好ましい。また、エチレンオキシドの平均付加モル数pは0.5〜10であり、特に1〜6であるのが好ましい。
また、Xとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンなどが挙げられる。
【0025】
成分(B)の硫酸塩型界面活性剤以外のアニオン界面活性剤は、1種以上を用いることができ、泡立ち及び泡質の点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に、1〜30質量%、更に1〜20質量%、特に3〜13質量%含有するのが好ましい。
【0026】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ち、泡質及び肌のつっぱり感のなさを向上させるため、更に、(C)高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含有することができる。
高級脂肪酸としては、炭素数10〜22のものが好ましく、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等が挙げられる。
また、高級アルコールとしては、炭素数10〜22のものが好ましく、例えば、セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
これらのうち、ラウリン酸とミリスチルアルコールが特に好ましい。
【0027】
これらは、1種単独で又は2種以上を併用することもでき、泡立ち及び泡質向上の観点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に0.1〜10質量%、更に0.2〜5質量%、特に0.3〜3質量%含有するのが好ましい。
【0028】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、低温安定性及び保湿感向上のため、更に(D)ポリオールを含有することができる。
ポリオールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
【0029】
成分(D)のポリオールは、1種以上を用いることができ、低温安定性及び保湿感向上の観点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に、0.1〜50質量%、更に0.5〜40質量%、特に1〜35質量%含有するのが好ましい。
【0030】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ち、泡質及びすすぎ性の向上、粘度調整のため、更に(E)ポリマーを含有することができる。ポリマーとしては、カチオンポリマー、アニオンポリマー、ノニオンポリマーのいずれでも用いることができる。
【0031】
カチオンポリマーとしては、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、カチオン化キサンタンガム、ジアリルジアルキル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社,カルタレチン)、特開昭53-139734号公報、特開昭60-36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられ、特にカチオン化セルロース、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム、ジアリルジアルキル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物が好ましい。
【0032】
これらのうち、カチオン電荷密度が4.5meq/g以上のものが好ましく、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(マーコート100;オンデオナルコ社製:電荷密度6.2meq/g)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の共重合体(マーコート295;オンデオナルコ社製:電荷密度6.0meq/g)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドとアクリル酸の共重合体(マーコート280;オンデオナルコ社製:電荷密度5.0meq/g)、ポリ塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(花王社製:電荷密度4.8meq/g)等が挙げられる。
【0033】
アニオンポリマーは、アニオン基を有しているものであればいずれでも良く、例えば、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基等を有するポリマーが挙げられる。また、主鎖には、ポリ(メタ)アクリル酸又はその誘導体、多糖類又はその誘導体を有するものが挙げられる。
【0034】
主鎖に(メタ)アクリル酸又はその誘導体を有するものとしては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルを構成単位に有するものが挙げられ、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸、カーボマー、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体(INCI:ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE COPOLYMER)、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル共重合体(INCI:ACRYLATES/LAURETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER)、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテル共重合体(INCI:ACRYLATES/BEHENETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(INCI:ACRYLATES/C10-30 ALKYL ACRYLATE CROSSPOLYMER)、アクリル酸・ネオデカン酸ビニル共重合体(INCI:ACRYLATES/VINYL NEODECANOATE CROSSPOLYMER)、(アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド)コポリマー(INCI:ACRYLATES/OCTYLACRYLAMIDE COPOLYMER)、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー(INCI:ACRYLATES/STEARETH-20 ITACONATE COPOLYMER)、(アクリレーツ/イタコン酸セテス-20)コポリマー(INCI:ACRYLATES/CETETH-20 ITACONATE COPOLYMER)、(アクリレーツ/アミノアクリレート/C10-30アクリルPEG-20イタコン酸)コポリマー(INCI:ACRYLATES/AMINOACRYLATES/C10-30ALKYL PEG-20 ITACONATE COPOLYMER)等が挙げられる。
【0035】
これらの重合体としては、アキュリン88、アキュリン22、アキュリン28、アキュリン38(以上、ローム・アンド・ハース・ジャパン社製)、カーボポール980、カーボポール981、カーボポールETD2020、カーボポールUltrez 21、カーボポールUltrez 20、カーボポールUltrez 10、カーボポールAqua SF-1、PEMULEN TR-1、PEMULEN TR-2(以上、Lubrizol社製)、STRUCTURE 2001、STRUCTURE 3001、STRUCTURE PLUS、DERMACRYL 79(以上、日本エヌエスシー社製)等の市販品を使用することができる。
【0036】
また、多糖類又はその誘導体を有するものとしては、例えば、特開平11−12119号公報に記載の方法によりアニオン基と疎水基を同時に導入された変性多糖誘導体や、特開平3−12401号公報の実施例1〜3に記載されている変性セルロースエーテル、米国特許第4228277号公報に記載されている非イオン長鎖アルキル化セルロースエーテル;市販品としてはNATROSOL PLUS 330、NATROSOL PLUS CS D−67(以上、アクアロン・カンパニー社製)等のアルキル変性ヒドロキシエチルセルロースにアニオン基を導入したものなどが挙げられる。例えば、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na(INCI:SODIUM STEAROXY PG-HYDROXYETHYLCELLULOSE SULFONATE)(ポイズ310(花王社製))等の市販品を使用することもできる。
【0037】
ノニオンポリマーとしては、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキル変性澱粉、ポリビニルアルコール及びその誘導体等が挙げられる。
【0038】
成分(E)のポリマーとしては、特にカチオンポリマーが、起泡性や、すすぎ時の感触の点から好ましい。
これらのポリマーは、1種以上を用いることができ、泡立ち、泡質及びすすぎ性向上の観点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に0.01〜10質量%、更に0.05〜5質量%、特に0.075〜2質量%含有するのが好ましい。
【0039】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、更に、粘度調整剤を含有することができる。粘度調整剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、塩類(塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム等)などが挙げられる。これらのうち、特に、エタノール、ポリプロピレングリコール、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムが好ましい。
【0040】
粘度調整剤は1種以上を用いることができ、泡量、泡質の点から、本発明の皮膚洗浄剤組成物中に0.01〜5質量%、更に0.05〜4質量%、特に0.1〜3質量%含有するのが好ましい。
【0041】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、上記成分のほか、通常の皮膚洗浄剤に用いられる成分を目的に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば、ビタミン類、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0042】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、通常の方法に従って製造することができる。その形態は、特に制限されず、液状、ゲル状等適宜選択することができるが、溶剤として水又は低級アルコール、特に水を用いた液状のものが好ましい。
【0043】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、pH3〜11、更にpH4〜7、特にpH4.5〜6.5であるのが、皮膚への刺激が少なく、優れた洗浄力が損なわれることなく洗浄時の泡立ちが良好となり、すすぎ時のストップフィーリング性(使用する際のすすぎ時の感触であって、摩擦抵抗のある感触)、使用感に優れるので好ましい。本発明において、pHは、各洗浄剤組成物を、イオン交換水で20倍に希釈して5質量%水溶液を得た後、25℃でpHメーター(堀場製作所製、型番F−22)を用いて測定される。
【0044】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、30℃における粘度が、10〜100000mPa・s、特に100〜60000mPa・sであるのが好ましい。本発明において、粘度は、各洗浄剤組成物について、B8F型粘度計(東機産業製、ローター T-B、5rpm、60min)を用い、30℃において測定される。
【実施例】
【0045】
製造例1(硫酸塩型界面活性剤1(PO0.4モル付加物)の製造)
炭素数12の直鎖アルコール(花王社製、製品名:カルコール2098)3447g、及び水酸化カリウム5.2gを、攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを430g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPaで未反応のプロピレンオキサイドを除去した。その後、5.6gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、平均PO付加モル数が0.4モルであるアルコキシレートを得た。
得られたアルコキシレートを、SO3ガスを用いて下降薄膜式反応機にて硫酸化した。得られた硫酸化物を、水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、硫酸塩型界面活性剤1を得た(有効成分26.4%水溶液)。
【0046】
製造例2(硫酸塩型界面活性剤2(EO0.4モル付加物)の製造)
炭素数12の直鎖アルコール(花王社製、製品名:カルコール2098)3447g、及び水酸化カリウム5.2gを、攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、エチレンオキサイドを326g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPaで未反応のエチレンオキサイドを除去した。その後、5.6gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、平均EO付加モル数が0.4モルであるアルコキシレートを得た。
得られたアルコキシレートを、SO3ガスを用いて下降薄膜式反応機にて硫酸化した。得られた硫酸化物を、水酸化ナトリウム水溶液にて中和し、硫酸塩型界面活性剤2を得た(有効成分24.5%水溶液)。
【0047】
実施例1〜5及び比較例1〜2
表1に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、pH及び粘度を測定するとともに、肌のつっぱり感のなさ、泡質及びすすぎ性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0048】
(製造方法)
表1に示す成分を秤量してイオン交換水中に添加し、50℃で十分攪拌して、皮膚洗浄剤組成物を得た。水酸化ナトリウムを適量添加して、20倍希釈液のpHが5.8になるように調整した。
【0049】
(評価方法)
(1)pH:
各洗浄剤組成物を、イオン交換水で20倍に希釈して5質量%水溶液を得た後、25℃でpHメーター(堀場製作所製、型番F−22)を用いて測定した。
【0050】
(2)粘度:
各洗浄剤組成物について、B8F型粘度計(東機産業製、ローター T-B、5rpm、60min)を用い、30℃における粘度を測定した。
【0051】
(3)肌のつっぱり感のなさ:
専門パネラー5名により、各洗浄剤組成物1.0gを用いて洗顔し、タオルドライした後の肌のつっぱり感のなさについて下記基準で官能評価し、5人の合計点を求めた。
つっぱり感を感じない ; 5点。
つっぱり感をやや感じる; 3点。
つっぱり感を感じる ; 1点。
【0052】
(4)泡質:
専門パネラー5名により、各洗浄剤組成物1.0gを片手にとり、水道水を用いて希釈し泡立てたときの泡質を下記基準で官能評価し、5名の合計点で示した。
泡質が良い ;5点。
泡質がやや良い;3点。
泡質が悪い ;1点。
【0053】
(5)すすぎ性:
専門パネラー5名により、各洗浄剤組成物を泡立てた後、片腕を洗浄し、水道水ですすいだ。その際に、洗浄した腕とは逆の腕の手のひらを洗浄した腕と擦り合わせながらすすぎを行い、ストップフィーリングを感じるまでの回数を下記基準で官能評価し、5名の合計点で示した。
擦り合わせ回数が10回未満 ;5点。
擦り合わせ回数が10回以上15回未満;3点。
擦り合わせ回数が15回以上 ;1点。
【0054】
【表1】

【0055】
実施例6
以下に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を、実施例1〜5と同様にして製造した。
(成分) (質量%)
硫酸塩型界面活性剤1(製造例1) 1.0
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリル硫酸ナトリウム
(花王社製、エマール227) 14.0
ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテルカルボン酸 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5.0
ラウリン酸 0.5
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 バランス
合計 100
(上記記載の数値(含有量)は有効分として記載)
【0056】
実施例7
以下に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を、実施例1〜5と同様にして製造した。
(成分) (質量%)
硫酸塩型界面活性剤1(製造例1) 1.0
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリル硫酸ナトリウム
(花王社製、エマール227) 14.0
ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテルカルボン酸 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5.0
プロピレングリコール 5.0
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 バランス
合計 100
(上記記載の数値(含有量)は有効分として記載)
【0057】
実施例8
以下に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を、実施例1〜5と同様にして製造した。
(成分) (質量%)
硫酸塩型界面活性剤1(製造例1) 1.0
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリル硫酸ナトリウム
(花王社製、エマール227) 14.0
ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテルカルボン酸 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5.0
アクリル酸・メタクリル酸アルキル(C10-C30)共重合体
(Lubrizol社製、カーボポールETD2020) 0.5
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 バランス
合計 100
(上記記載の数値(含有量)は有効分として記載)
【0058】
実施例9
以下に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を、実施例1〜5と同様にして製造した。
(成分) (質量%)
硫酸塩型界面活性剤1(製造例1) 1.0
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリル硫酸ナトリウム
(花王社製、エマール227) 14.0
ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテルカルボン酸 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 5.0
カチオン基含有ポリマー
(オンデオナルコ社製、マーコート550、ポリマー有効分8.5%) 1.0
水酸化ナトリウム 適量
イオン交換水 バランス
合計 100
(上記記載の数値(含有量)は有効分として記載)
【0059】
実施例6〜9で得られた皮膚洗浄剤組成物はいずれも、泡質及びすすぎ性が良好で、しかも、洗浄後に肌のつっぱり感のなさに優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)及び(2):
1O−(EO)mSO3M (1)
2O−(AO)nSO3M (2)
(式中、R1及びR2は同一又は異なって、炭素数8〜24のアルキル基であり、EOはエチレンオキシド基、AOは炭素数3又は4のアルキレンオキシ基である。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、0≦mの数である。nはアルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、0<nの数である。Mは陽イオンである)
で表される硫酸塩型界面活性剤を、合計で5〜50質量%含有する皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に、(B)硫酸塩型界面活性剤以外のアニオン界面活性剤を含有する請求項1記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(B)が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩である請求項2記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に、(C)高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(D)ポリオールを含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、(E)ポリマーを含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−275012(P2009−275012A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129230(P2008−129230)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】