説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】各種官能特性に優れている上、保存安定性の高い皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤20〜30質量%
(B)水0.1〜2質量%
(C)常温で液状の油70〜80質量%
からなり、(C)成分中には炭化水素油を皮膚洗浄剤組成物全組成の1〜5質量%含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イオン界面活性剤と水と油からなる、各種官能特性に優れている上、保存安定性及び耐水性にも優れた皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液状の油をベースとしたクレンジングオイルは、油を含む汚れに対し相溶性に優れ、クレンジング効果が高いが、その反面界面活性剤を含有しない為に、水で洗い流すことができないという欠点を有している。又、特定の非イオン界面活性剤と液体油とを必須成分として含有する非水クレンジング料が開示され(例えば、特許文献1参照。)、水での洗い流しに関しては改善されているものの、保存安定性については未だ不十分である。さらに、近年ではクレンジング料に耐水性が求められることが多く特定の非イオン界面活性剤と液体油と水とを必須成分として含有するクレンジング料(例えば、特許文献2参照。)では、保存安定性及び官能特性に関しては改善されているものの、耐水性については不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−108806号公報
【特許文献2】特許2977568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記背景を鑑みて本発明は、各種官能特性に優れている上、保存安定性及び耐水性の高い皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は下記の構成を備える。すなわち、本発明は、
(A)常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤20〜30質量%
(B)水0.1〜2質量%
(C)常温で液状の油70〜80質量%
からなり、(C)成分中には炭化水素油を全組成の1〜5質量%含有する皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、各種官能特性に優れている上、保存安定性及び耐水性の高い皮膚洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に用いられる(A)非イオン界面活性剤は、常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤を1種又は2種以上を組合せて用いる。個々の非イオン界面活性剤のHLB値は、特に制約されることはなく、非イオン界面活性剤全体として7〜14になる様に調整できるものであれば良い。
【0008】
上記個々の非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0009】
これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、透明性及び保存安定性に優れ、また優れた洗浄力を有することから、特に好ましい。具体的には、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、トリカプリル酸ポリグリセリル(6)、トリオレイン酸ポリグリセリル(5)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(10)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(6)、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート(40)ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(5)、ポリオキシエチレンヒマシ油(20)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(6)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(8)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(10)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルポリオキシエチレン(12)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(8)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)硬化ヒマシ油等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
(A)非イオン界面活性剤全体としてのHLB値は7〜14である。HLB値が7未満では皮膚洗浄剤組成物を水で洗い流しにくくなり、14を超えると液体油との相溶性が悪くなり保存安定性も低下する。(A)非イオン界面活性剤の含有量は、皮膚洗浄剤組成物全体を100質量%として20〜30質量%である。20質量%未満では皮膚洗浄剤組成物の耐水性が低下し、20質量%以上では耐水性も良好な皮膚洗浄剤組成物を得られる。しかしながら、30質量%を超えると組成物中の油性成分量が減少するため、クレンジング力が低下し、保存安定性も低下し易くなる。
【0011】
本発明に用いられる(B)水は、イオン交換樹脂で処理した脱イオン精製水又は、蒸留水等の精製水が、一般に用いられる。水の含有量は、皮膚洗浄剤組成物全体を100質量%として0.1〜2質量%である。
【0012】
(C)常温で液状の油は、例えば液状の合成エステル油(イソプロピルミリステート,イソプロピルパルミテート,トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン等),液状の植物油(オリーブ油,サフラワー油等),液状の合成エステル油等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの液状の油は単独または2種以上を組合せて使用することができる。その含有量は、皮膚洗浄剤組成物全体を100質量%として70〜80質量%である。
【0013】
また、(C)成分は炭化水素油、例えば、流動パラフィン、水添ポリイソブテン、流動イ
ソパラフィン、スクワラン等を皮膚洗浄剤組成物全体を100質量%として1〜5質量%配合することによって、(A)成分が20質量%以上であっても保存安定性を得ることができる。1質量%未満では良好な耐水性は得られるが、保存安定性が低下し、5質量%を超えると保存安定性は得られるが、耐水性が低下し易くなる。
【0014】
本発明の皮膚洗浄剤組成物には、上記成分のほかに、多価アルコール,香料,色素,防腐剤,殺菌剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,パール剤,油性ゲル化剤,皮膚栄養剤など、通常化粧料に用いられる原料を本発明の目的を達成する範囲で適宜配合することができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例にて本発明を説明する。実施例に記載の配合量は質量%である。実施例に記載の保存安定性試験,官能特性試験、耐水性試験は下記の方法にて実施した。
【0016】
(1)保存安定性試験
試料を0℃及び45℃の恒温槽に入れ、2週間後の状態を観察した。
【0017】
(2)官能特性試験
女性パネラー20名の顔面に市販の油性ファンデーションを塗布し、さらに、まつげに市販の耐水性マスカラを塗布して30分放置後、実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物約3gを用い、1分間、一定の力および速さで顔面を手でマッサージし、その後水で洗い流した。その際の塗布時ののび、(使用中の)肌感触、クレンジング力、すすぎの早さ、すすぎ後のさっぱり感の各項目を5段階評価し、更にその平均点から下記基準により判定した。
【0018】
<5段階評価>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:やや悪い
1点:悪い
【0019】
<判定>
◎:平均点が4.5点以上
○:3.5以上、4.5点未満
△:2.5以上、3.5点未満
×:平均点が2.5点未満
【0020】
(3)耐水性試験
実施例及び比較例の皮膚洗浄剤組成物約5gを用い、水を皮膚洗浄剤組成物の30質量%添加して、均一に混合溶解するまで攪拌したときの透明度を目視により3段階で判定した。
【0021】
<判定>
○:透明
△:半透明
×:白濁
【0022】
実施例1〜7,比較例1〜6(液状透明クレンジング化粧料)
表1〜表2の上段に示した組成により、実施例1〜7及び比較例1〜6の皮膚洗浄剤組成物を下記方法で調製し、前記諸試験を実施した。その結果を表1〜表2の下段に示した。
【0023】
(調製方法)
組成中の(A)成分及び(C)成分を必要に応じて加温しながら均一に混合溶解した後、常温状態で(B)成分を添加し、皮膚洗浄剤組成物を得た。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
表1〜表2から明らかなように、本発明の各実施例はいずれの特性においても各比較例より優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)常温で液状ないしペースト状の非イオン界面活性剤の1種又は2種以上からなる、HLB値7〜14の非イオン界面活性剤20〜30質量%
(B)水0.1〜2質量%
(C)常温で液状の油70〜80質量%
からなり、(C)成分中には炭化水素油を皮膚洗浄剤組成物全組成の1〜5質量%含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2011−37783(P2011−37783A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187678(P2009−187678)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】