説明

皮膚洗浄料組成物

【課題】洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後のしっとり感及びなめらか感の改善された皮膚洗浄料を提供する。
【解決手段】特定の非イオン性モノマー30モル%以上70モル%未満であって、残りのモノマーが、特定のカチオン性モノマーと、特定のアニオン性モノマーとを含有し、カチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.3以上9以下である両性ターポリマーと、アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーの、非イオン性モノマーがアクリルアミド、カチオン性モノマーが塩化ジメチルジアリルアンモニウム、アニオン性モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムであることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚洗浄料組成物、特に洗浄時の泡質及び洗浄後の肌のしっとり感、なめらか感の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚洗浄料においては、本来の機能である洗浄力に加えて、洗浄時に生じる泡の性質も使用感における重要なポイントとされ、特に気泡の細かいクリーミーな泡質が消費者に好まれる傾向にある。また、洗浄力の高い界面活性剤を配合した皮膚洗浄料は、これにより肌を過度にかさつかせてしまう場合があり、洗浄後の肌にしっとりした、あるいはふっくらした好ましい感触を与えることも望まれている。このような問題点に対して、従来、皮膚洗浄料基剤中に各種の油分やポリマー等を配合することによって、その使用性を好適に調整することが広く行なわれている。
【0003】
皮膚洗浄料基剤にポリマーを配合する技術として、例えば、ポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウムあるいは塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドコポリマーを配合した皮膚洗浄料(例えば、特許文献1参照)、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドターポリマーを配合した皮膚洗浄料(例えば、特許文献2,3参照)等が知られている。しかしながら、これらのポリマーを配合した皮膚洗浄料は、泡立ちが改善されてはいるものの、泡質の点では未だ十分なものとは言えず、また、洗浄後の肌に対してしっとり感あるいはふっくら感を付与するという点においても十分な効果が得られているものとは言い難い。また、この他にもアクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドターポリマーを配合した毛髪化粧料がコンディショニング効果に優れていることが知られているものの、これらのポリマーを皮膚洗浄料に適用した場合の検討はなされていない(例えば、特許文献4,5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−4799号公報
【特許文献2】特開2001−64678号公報
【特許文献3】特開2003−73257号公報
【特許文献4】米国特許第5296218号公報
【特許文献5】米国特許第5609862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みて行なわれたものであり、その目的は、洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後のしっとり感及びなめらか感の改善された皮膚洗浄料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、各種モノマーを特定の割合に調整した非イオン性モノマー/カチオン性モノマー/アニオン性モノマーからなる両性ターポリマーを皮膚洗浄料基剤に配合した場合に、洗浄時の泡質に極めて優れ、且つ洗浄後の肌のしっとり感、なめらか感が著しく改善された皮膚洗浄料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる皮膚洗浄料組成物は、
下記一般式(1)で表される非イオン性モノマー30モル%以上70モル%未満であって、残りのモノマーが
下記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーと、
下記一般式(3)で表されるアニオン性モノマーと、
を含有し、カチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.3以上9以下である両性ターポリマーと、アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。
【化1】

(上記式中、Rは水素又はメチル基、R及びRは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、又は−(CHCHO)基(nは1〜50の整数、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基,炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はフェニル基を表す)を表す。)
【化2】

(上記式中、R及びRは水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1価の無機又は有機アニオンを表す。)
【化3】

(上記式中、Rは水素又はメチル基を表す。)
【0008】
前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーの、非イオン性モノマーがアクリルアミド、カチオン性モノマーが塩化ジメチルジアリルアンモニウム、アニオン性モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムであることが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーの分子量が5万以上100万以下であることが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーを組成物全量中0.01〜5質量%含有することが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、アニオン性界面活性剤が脂肪酸セッケンであることが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、さらにアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムからなるカチオン性ポリマーを配合することが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物は、各種モノマーを特定の割合に調整した非イオン性モノマー/カチオン性モノマー/アニオン性モノマーからなる両性ターポリマーを配合していることにより、洗浄時の泡質が著しく改善され、さらに洗浄後のしっとり感及びなめらか感に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳述する。
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物に用いられる両性ターポリマーは、前記一般式(1)で表される非イオン性モノマー30モル%以上70モル%未満であって、残りのモノマーが前記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーと、前記一般式(3)で表されるアニオン性モノマーからあり、カチオン化モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.3以上9以下である両性ターポリマーとアニオン性界面活性剤を含有するものである。
【0011】
非イオン性モノマー
前記一般式(1)で表される非イオン性モノマーは、アクリルアミド又はメタクリルアミド、あるいはそのN−置換化合物である。一般式(1)において、アクリルアミドα炭素の置換基であるRは水素又はメチル素基である。また、一般式(1)において、アミド窒素の置換基であるR及びRは、水素、炭素数1〜4のアルキル基,炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、又は−(CHCHO)基(nは1〜50の整数、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基,炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はフェニル基を表す)である。炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、また、水酸基あるいはフッ素原子が一部置換されていても良い。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。また、炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、−(CHCHO)基で表されるポリエチレングリコール基であってもよく、ここで、ポリエチレングリコールの付加モル数を表すnは1〜50の整数であり、末端官能基を表すRは水素、炭素数1〜4のアルキル基,炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はフェニル基である。なお、R及びRは同一であっても異なっていても良い。
【0012】
本発明に用いられる非イオン性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N,N−ジ(エチレングリコール)アクリルアミド、N,N−ジ(エチレングリコール)メタクリルアミド、N−ポリエチレングリコール(10モル)アクリルアミド、N−ポリエチレングリコール(10モル)メタクリルアミド、N−ポリエチレングリコールエチルエーテル(10モル)アクリルアミド、N−ポリエチレングリコールエチルエーテル(10モル)メタクリルクリルアミド等が挙げられる。これらの非イオン性モノマーのうち、特にアクリルアミドを好適に用いることができる。
【0013】
カチオン性モノマー
前記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーは、ジアリルアンモニウム塩である。一般式(2)において、4級アンモニウム窒素の置換基であるR及びRは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基炭素数1〜4のアルキル基は直鎖状、分岐状いずれのものでも良く、また、水酸基あるいはフッ素原子が一部置換されていても良い。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基等が挙げられる。また、一般式(2)において、Yは1価の無機又は有機アニオンであり、4級アンモニウムの塩を形成し得るものであればどのようなものでも構わないが、例えば、1価の無機アニオンとしては、例えば、塩化物イオン、フッ化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられ、1価の有機アニオンとしては、硫酸イオン、酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、リン酸イオン等が挙げられる。なお、R及びRは同一であっても異なっていても良い。
【0014】
本発明に用いられるカチオン性モノマーとしては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム、塩化ジエチルジアリルアンモニウム、塩化ジプロピルジアリルアンモニウム、硫酸ジメチルジアリルアンモニウム、硫酸ジエチルジアリルアンモニウム、硫酸ジプロピルジアリルアンモニウム等が挙げられる。これらのカチオン性モノマーのうち、特に塩化ジメチルジアリルアンモニウムを好適に用いることができる。
【0015】
アニオン性モノマー
前記一般式(3)で表されるアニオン性モノマーは、Rが水素又はメチル素基である。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムまたは、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムである。
これらのうち特に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムを好適に用いることができる。
【0016】
本発明に用いられるアニオン性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウム等が挙げられる。これらのアニオン性モノマーのうち、特にアクリル酸を好適に用いることができる。
【0017】
本発明に用いられる両性ターポリマーにおいて、前記非イオン性モノマー30モル%以上70モル%未満であって、残りのモノマーが下記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーと、下記一般式(3)で表されるアニオン性モノマーを含有し、カチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.3以上9以下であることが好適である。非イオン性モノマーが30モル%未満または70モル%を超えると洗浄後の肌のしっとりした感じが得られない。また、重合体の残りは、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーを含有し、このカチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が9を超えると、先願後のしっとり感、なめらか感が得られず、0.3未満であっても、先願後のしっとり感、なめらか感が得られない。また、カチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.4以上3以下であることが特に好適である。
【0018】
本発明に用いられる両性ターポリマーにおいて、その分子量が5万以上100万以下であることが好適である。分子量が5万未満であると使用時の良好な泡質が得られず、100万より超えるとポリマー溶液の粘性が高くなり、製剤を調整しにくくなる。また、分子量が10万異常70万以下であることが特に好適である。
【0019】
本発明に用いられる両性ターポリマーを組成物全量中0.01〜5質量%含有することが好適である。0.01%未満であると、しっとり感、なめらか感が十分ではなく、5%を超えると泡立ちの速度が遅くなる。また、アニオン性界面活性剤は脂肪酸セッケンであると、洗いあがりにおけるさっぱりの点で好ましい。
【0020】
また、これら皮膚洗浄料組成物において、さらにアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムからなるカチオン性ポリマーを配合すると、泡立ちのクリーミーさの点で好ましい。
【0021】
本発明に用いられる両性ターポリマーは、公知の重合方法で調整することができる。
重合方法としては、例えば、均一溶液重合法、不均一溶液重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、沈殿重合法等を用いることができる。例えば、均一溶液重合法の場合には、前記各種モノマーを適切なモノマー組成にて溶媒に溶解し、窒素雰囲気下、ラジカル重合開始剤を添加して加熱攪拌することにより本発明のターポリマーを得ることができる。
【0022】
重合の際に用いられる溶媒としては、各種モノマーを溶解又は懸濁し得る溶媒であればいずれの溶媒を用いることも可能であり、例えば、水、あるいはメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等の塩化物系溶媒などの他、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等が挙げられる。特に好ましい溶媒としては水を用いことができる。これらの溶媒は2種以上混合して用いてもよい。なお、通常、用いる重合開始剤の開始温度よりも沸点が高い溶媒を選択することが好適である。
【0023】
重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。なお、これらの重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によっても重合を行なうことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常50〜55℃程度とすればよい。
【0024】
重合時間は特に制限されないが、通常2時間程度である。比較的高分子量のポリマーを得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。また、本発明に用いられる両性ターポリマーにおいては、各モノマーの付加する順序は特に指定されるものではなく、ブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよいが、通常は各モノマーがランダム状に付加された両性ターポリマーが得られる。
【0025】
本発明に用いられる代表的な両性ターポリマーの一例(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドターポリマー)を、下記一般式(4)に示す。
【化4】

【0026】
なお、上記一般式(4)中、a,b,cは、それぞれ構成モノマー全量中のアニオン性モノマー(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム)、カチオン性モノマー(塩化ジメチルジアリルアンモニウム)、非イオン性モノマー(アクリルアミド)のモル比率を表す。
【0027】
通常、一般的な両性ターポリマーの場合、各種構成モノマーの割合の相違によって、アニオン性に近いものからカチオン性に近いものまで様々な性質のものが得られる。このため、両性ターポリマーにおける各種モノマーの割合は、その特性を決定する上で極めて重要となる。すなわち、本発明においては、前記したように各種構成モノマーを特定の割合に調整した両性ターポリマーを皮膚洗浄料基剤中に配合することによって、洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感が著しく改善されるという特有の効果が得られるのである。
【0028】
また、本発明にかかる皮膚洗浄料においては、アニオン性界面活性剤が用いられる。アニオン性界面活性剤は特に限定されるものではないが、特に脂肪酸セッケンを用いることが好適である。脂肪酸セッケンとしては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる
【0029】
なお、本発明に用いるアニオン性界面活性剤としては、前記脂肪酸セッケンのほか、例えば、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0030】
本発明にかかる皮膚洗浄料においては、上記成分のほか、通常化粧料や医薬品に用いられる成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。配合可能な成分としては、例えば、保湿剤、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調製剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等が挙げられる。
また、本発明にかかる皮膚洗浄料の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等、どのような剤型であっても構わない。
【実施例1】
【0031】
以下に本発明の実施例を挙げてさらに詳しい説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例中、塩化ジメチルジアリルアンモニウムをDMDMAC、アクリルアミドをAM、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムをAMPS、アクリル酸をAAと省略して示す場合がある。
【0032】
最初に、本発明にかかる両性ターポリマーの合成方法について説明する。
両性ターポリマー1
塩化ジメチルジアリルアンモニウム(カチオン性モノマー)48.6g(300mmol)と、アクリルアミド(非イオン性モノマー)36.5g(500mmol)とを、攪拌器を有するガラスリアクター内に入れた。次いで、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム(アニオン性モノマー)45.8g(200mmol)を精製水で希釈した水溶液を、溶液中の全モノマーの濃度が14〜20%になるまで勢い良く掻き混ぜながら加えた。混合したモノマーのpHを水酸化ナトリウム希釈水溶液を用いて6.0〜6.5に調整した後、55℃に加熱し、窒素を入れて30分間パージした。重合は560ppmの過硫酸ナトリウムを加えることにより開始した。発熱ピークに達した後、更に希釈水を加え、重硫酸ナトリウムを加えて残留モノマーを取り除き、目的とする塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム(3/5/2)ターポリマーを得た。
【0033】
両性ターポリマーの配合
本発明者らは、まず最初に、上記製造例に準じて調製した両性ターポリマー1を配合した洗顔料と、従来のカチオンポリマーを配合した洗顔料との比較を行った。評価基準は以下の通りである。各実施例及び比較例に用いたポリマーのモノマー組成及び洗顔料の配合組成と評価結果とを下記表1に併せて示す。なお、下記表中、各種ポリマーのモノマー組成は、構成モノマー全量中のDMDAAC,AM,AMPSの各モノマーのモル比(%)で示す。また、各種ポリマーの配合量はすべて純分換算で表記する。
【0034】
(1)洗浄時の泡質
各実施例及び比較例の洗顔料の洗浄時の泡質について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
5点:クリーミーである。
4点:ややクリーミーである。
3点:普通。
2点:ややクリーミーでない。
1点:クリーミーでない。
【0035】
(2)洗浄後の肌のしっとり感
各実施例及び比較例の洗顔料の洗浄後の肌のしっとり感について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
5点:しっとり感がある。
4点:ややしっとり感である。
3点:普通。
2点:ややしっとり感がない。
1点:しっとり感がない。
【0036】
(3)洗浄後の肌のなめらか感
各実施例及び比較例の洗顔料の洗浄後の肌のなめらか感について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
5点:なめらか感がある。
4点:ややなめらか感がある。
3点:普通。
2点:ややなめらか感がない。
1点:なめらか感がない。
【0037】
【表1】

【0038】
上記表1に示されるように、ポリマーを全く配合していない比較例1の洗顔料では、洗浄時の泡質に劣っており、また、洗浄後の肌のしっとり感、ふっくら感も得られていない。一方で、カチオン化ポリマーであるポリ塩化ジメチルジアリルアンモニウムを配合した比較例2、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミドコポリマーを配合した比較例3では、泡質、しっとり感、ふっくら感ともに若干改善されてはいるものの、十分な効果が得られているものとは言い難い。
これに対して、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウムからなる両性ターポリマー1を配合した実施例1の洗顔料においては、洗浄時の泡質が極めて優れているとともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらか感が著しく改善されているものであることが明らかとなった。
【0039】
両性ターポリマーのモノマー組成
つづいて、本発明者らは、両性ターポリマーの好適なモノマー組成について検討するため、モノマーの割合の異なる各種両性ターポリマーを配合した洗顔料についての評価を行なった。各実施例及び比較例に用いた両性ターポリマーのモノマー組成及び洗顔料の配合組成と評価結果とを下記表2に併せて示す。なお、評価基準は前記試験と同様である。
【0040】
【表2】

【0041】
上記表2に示されるように、アクリルアミドモノマーの含有量が30モル%以下もしくは70モル%以上の両性ターポリマーを配合した比較例4,5では、本発明のポリマーを配合した実施例1と比較して、泡質、しっとり感、なめらか感ともに劣っている。また、アクリルアミドモノマーを50モル%、塩化ジメチルジアリルアンモニウムを47モル%、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム3モル%含有した重合体、すなわちカチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が15.6の両性ターポリマーを配合した比較例6は、洗浄後の泡質、しっとり感、なめらか感は十分ではない。
これに対して、アクリルアミドモノマーを50モル%、塩化ジメチルジアリルアンモニウムを12モル%、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム38モル%含有した重合体、すなわちカチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.32の両性ターポリマーを配合した実施例2、アクリルアミドモノマーを50モル%、塩化ジメチルジアリルアンモニウムを45モル%、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ナトリウム5モル%含有した重合体、すなわちカチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が9の両性ターポリマーを配合した実施例3、においては泡質に優れ、且つ肌のしっとり感、なめらか感が著しく改善されていることがわかった。
【0042】
以上の結果から、本発明にかかる皮膚洗浄料においては、非イオン性モノマー30モル%以上70モル%未満であって、残りのモノマーがカチオン性モノマーと、アニオン性モノマーを含有し、カチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.3以上9以下である両性ターポリマーとアニオン性界面活性剤を含有することが必要があると考えられる。
【0043】
皮膚洗浄料中の両性ターポリマー配合量
つづいて、本発明者らは、皮膚洗浄料組成物中へ配合する両性ターポリマーの好適な配合濃度について検討するため、両性ターポリマーの配合量を各種変化させた洗顔料を調製し、その評価を行なった。各実施例の洗顔料の配合組成と評価結果とを表3に併せて示す。なお、評価基準は前記試験と同様である。
【0044】
【表3】

【0045】
上記表3に示されるように、両性ターポリマー1を0.01〜5.0%配合した実施例1及び4〜7においては、泡質、しっとり感、なめらか感の改善効果が見られる。以上の結果より、本発明にかかる皮膚洗浄料においては、両性ターポリマーを0.01〜5質量%配合することが好適である。
【0046】
【表4】

カチオン性ポリマー※1:アクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウム
商品名 マーコート550(ナルコ社製)
【0047】
上記表4に示されるように、両性ターポリマーに配合した洗浄料にさらにアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体を配合すると泡立ちが良好になる効果がみられる。
以上の結果から、アクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体を配合することが好適である。
【0048】
以下に本発明のその他の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例9 洗顔料 配合量(質量%)
両性ターポリマー1 0.3
グリセリン 15.0
ポリエチレングリコール400 5.0
ラウリン酸 5.0
ミリスチン酸 10.0
パルミチン酸 10.0
ステアリン酸 15.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
脂肪酸モノグリセリド 1.0
モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
水酸化カリウム 6.0
イオン交換水 残 部
香料 適 量
(製法) イオン交換水中に、グリセリン、ポリエチレングリコール400、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、脂肪酸モノグリセリドを加え、75度で加温し、溶解する。溶解後、水酸化カリウム溶液で中和し、その後両性ポリマーおよび残成分を加えて十分攪拌後、冷却し本品を得た。
上記実施例9の洗顔料は、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらか
感にも極めて優れているものであった。
【0049】
実施例10 ボディーシャンプー 配合量(質量%)
両性ターポリマー1 0.5
グリセリン 15.0
ポリエチレングリコール400 5.0
ラウリン酸 2.0
ミリスチン酸 5.0
パルミチン酸 5.0
ステアリン酸 7.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
ラウリルグリコール酢酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 3.0
カチオン化グアガム 0.2
イオン交換水 残 部
香料 適 量
(製法) イオン交換水中に、グリセリン、ポリエチレングリコール400、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を加え、75度で加温し、溶解する。溶解後、水酸化カリウム溶液で中和し、その後ポリマーおよび残成分を加えて十分攪拌後、冷却し本品を得た。
上記実施例10のボディーシャンプーは、洗浄時の泡質とともに、洗浄後の肌のしっとり感、なめらか感にも極めて優れているものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される非イオン性モノマー30モル%以上70モル%未満であって、残りのモノマーが
下記一般式(2)で表されるカチオン性モノマーと、
下記一般式(3)で表されるアニオン性モノマーと、
を含有し、カチオン性モノマーのモル量/アニオン性モノマーのモル量が0.3以上9以下である両性ターポリマーと、アニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【化1】

(上記式中、Rは水素又はメチル基、R及びRは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、又は−(CHCHO)基(nは1〜50の整数、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基,炭素数3〜6のシクロアルキル基、又はフェニル基を表す)を表す。)
【化2】

(上記式中、R及びRは水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Yは1価の無機又は有機アニオンを表す。)
【化3】

(上記式中、Rは水素又はメチル基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーの、非イオン性モノマーがアクリルアミド、カチオン性モノマーが塩化ジメチルジアリルアンモニウム、アニオン性モノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムであることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項3】
請求項1又は2にいずれかに記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーの分子量が5万以上100万以下であることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項4】
請求項1から3にいずれかに記載の皮膚洗浄料組成物において、前記両性ターポリマーを組成物全量中0.01〜5質量%含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の皮膚洗浄料組成物において、アニオン性界面活性剤が脂肪酸セッケンであることを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【請求項6】
請求項1から5にいずれかに記載の皮膚洗浄料組成物において、さらにアクリルアミドと塩化ジメチルジアリルアンモニウムからなるカチオン性ポリマーを配合することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。

【公開番号】特開2009−269894(P2009−269894A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124411(P2008−124411)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】