説明

皮膚洗浄料組成物

【課題】洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後のしっとり感及びさらさら感に優れた皮膚洗浄料組成物の提供。
【解決手段】下記構造単位を有する架橋性重合粉体を含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。


(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはアシル基を表す。)更に、アクリルアミド構造を有するアクリルアミド系モノマーとの架橋重合体が好ましく用いられ、架橋性重合粉体の平均粒子径は、0.1〜30μmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は皮膚洗浄料組成物、特にその使用感の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚洗浄料においては、すすぎ後の肌に粉体を残留させることによって視覚的ないし感触的に良好な効果を付与するため、様々な工夫が行なわれてきた。
例えば、特許文献1には、アニオン性界面活性剤及びカチオン性高分子と共に化粧用粉体を配合することによってアニオン性界面活性剤及びカチオン性高分子に同伴されて肌上に化粧用粉体を残留させ、すすぎ後の肌に化粧効果や紫外線防御効果を与える技術が開示されており、化粧用粉体を疎水化処理することで効果の持続性が向上することが記載されている。
さらに、洗浄力の高い界面活性剤が配合された皮膚化粧料は、肌にかさつきを与えてしまうことがあるため、すすぎ後の肌にしっとりとした感触を与えることも望まれている。
例えば、特許文献2には、疎水性処理粉体を油剤と共に配合し、すすぎ後の肌上に油剤と共に粉体を残存させ、粉体によるさらさらとした感触と油剤によるスキンケア効果を両立した技術が記載されている。
一方、消費者が皮膚洗浄料に求める要素として、本来の機能である洗浄力や上記のごとき使用感に加え、洗浄時に生じる泡の性質が重要視される傾向にあり、近年では特に気泡量の豊かな皮膚洗浄料が好まれている。
【特許文献1】特開2004−107319号公報
【特許文献2】特開2000−178173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、効果付与のために配合された疎水化処理粉体や油剤、もしくはそれらと併用される油性成分の影響により、洗浄料の泡立ちが悪くなるという問題点があった。また、すすぎ後の肌にしっとりとした感触を与える点においても、上記のような油剤の添加だけでは十分な効果を得ることができなかった。
したがって、使用時に豊かな泡立ちを発揮し、しかもすすぎ後の肌に優れた感触を付与することのできる皮膚洗浄料が求められていた。
本発明は上記従来技術に鑑みて行なわれたものであり、洗浄時の泡質に優れ、且つ洗浄後のしっとり感及びさらさら感に優れた皮膚洗浄料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、特定構造を有する架橋性重合粉体を配合することによって、洗浄時の泡質が良く、且つ洗浄後の肌におけるしっとり感及びさらさら感に優れた皮膚洗浄料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる皮膚洗浄料組成物は、下記構造単位を有する架橋性重合粉体を含有することを特徴とする。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはアシル基を表す。)
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記架橋性重合粉体が、さらにアクリルアミド単位を有することが好適である。
また、前記皮膚洗浄料組成物において、前記架橋性重合粉体の平均粒子径が、0.1〜30μmであることが好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、洗浄時において豊かな泡立ちとクリーミーな泡質を有し、洗浄後の肌にしっとり感及びさらさら感を与える皮膚洗浄料組成物を得ることができる。これにより、消費者の嗜好を満たし、且つ肌における使用感触にも配慮した高品質の製品を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物に用いられる架橋性重合粉体は、下記構造単位を有する。
【化2】

上記式中、Rは炭素数1から3のアルキル基またはアシル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。本発明においては、特に、メチル基、アセチル基であることが好ましい。
上記構造を有する架橋性重合粉体は、架橋性モノマーであるグリセリンジメタクリレートの架橋重合体から合成することができる。すなわち、下記構造を有するグリセリンジメタクリレート架橋重合体へ化学修飾剤を反応せしめ、水酸基に疎水基を導入することにより、上記特定構造を有する重合体が得られる。
化学修飾剤としては、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n−プロピル、臭化n−プロピル、ヨウ化n−プロピル、塩化イソプロピル、臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−クロルベンゼンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸メチルなどのスルホン酸エステル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸及びこれらのメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
【化3】

なお、グリセリンジメタクリレートは、例えば、グリシジルメタクリレートとメタクリル酸の付加反応から合成可能である。
【0007】
グリセリンジメタクリレートは、それのみの架橋重合体に化学修飾を施して本発明の架橋性重合粉体としてもよいが、グリセリンジメタクリレートと他のモノマーとの架橋共重合体から得た粉体を用いることもできる。グリセリンジメタクリレートと共重合させ得る他のモノマーとしては、例えば、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー、両性モノマー、ノニオン性モノマーなどが挙げられる。本発明においては、洗浄後のしっとり感を向上させる観点から、特に、グリセリンジメタクリレートをアミド基を有するノニオン性モノマーと架橋共重合させて得たポリマーを化学修飾した架橋性重合粉体を用いることが好ましく、とりわけアクリルアミド構造を有するアクリルアミド系モノマーと共重合させることが好ましい。
前記アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド等が挙げられ、特にアクリルアミドが好適である。
【0008】
グリセリンジメタクリレートと、他のモノマーとを共重合させて本発明にかかる架橋性重合粉体を得る場合、これらのモル比を95:5〜50:50(グリセリンジメタクリレート:他のモノマー)とすることが好適である。
【0009】
前記架橋性重合粉体は、どのような粒子形状のものも用いることができるが、洗浄後の肌のさらさら感をより向上させる点において、特に球状であることが好ましい。
また、その粒子径は、0.1〜30μmとすることが好適である。粉体の粒子径が0.1μmに満たないとすすぎ時にきしみ感が伴うことがあり、30μmを超えると、泡質の低下や使用時に異物感が認められる傾向にある。
【0010】
前記架橋性重合粉体は、皮膚洗浄料組成物中に0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%配合することができる。組成物に対する該粉体の配合量が0.1質量%に満たない、もしくは10質量%を超えると、洗浄料の泡質と使用感の両立が十分に得られないことがある。
【0011】
前記架橋性重合粉体の製造には、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、シード乳化重合、懸濁重合、乳化懸濁重合、分散重合、2段階膨張重合等の公知のラジカル重合法を利用することができるが、上記した好適な粒径範囲で粉体を合成することができる点で、特に乳化重合、乳化懸濁重合法を用いることが好ましい。
乳化懸濁重合法による場合、グリセリンジメタクリレート及びその他のモノマーの混合物を常温において溶媒中に混合し、これに重合開始剤及び界面活性剤を添加して乳化させる。乳化後、前記混合液を重合開始温度に加熱することでモノマーの重合及び架橋を開始する。重合及び架橋反応終了後、反応物をろ過し、ろ物を溶媒で余分なモノマーを洗い流し、乾燥させて粉体を得る。
その後、得られた粉体を水中に分散し、適当な条件下で公知の化学修飾剤と反応させ、グリセリンジメタクリレート構造の水酸基に疎水基を導入することにより特定構造を有する架橋性重合粉体を製造することができる。
【0012】
重合の際に用いられる溶媒としては、各種モノマーを溶解又は懸濁し得る溶媒であればいずれの溶媒を用いることも可能であり、例えば、水、あるいはメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒が挙げられ、これらの2種以上を混合して用いることもできる。本発明においては、特に水の使用が好ましい。なお、通常、用いる重合開始剤の重合開始温度よりも沸点が高い溶媒を選択することが好適である。
【0013】
重合の際に用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ系化合物の他、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸系重合開始剤が挙げられる。なお、これらの重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射等によって重合を行なうこともできる。重合温度は、各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常50〜55℃程度とすればよい。
【0014】
重合の際に用いられる界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン性界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ジエチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0015】
上記乳化懸濁重合においては、界面活性剤による乳化を行う時間によって得られる粉体の粒径を調整することができる。したがって、乳化時間は必要とする粒径に応じて適宜調整すればよいが、粒径が0.1〜30μmの粉体を合成する場合、ホモジナイザー等で10〜120秒乳化処理を行うことが好ましい。
重合時間は特に限定されないが、通常2時間程度である。比較的高分子量のポリマーを得たい場合には、1日程度反応させることが望ましい。反応時間が短すぎると未反応のモノマーが残存し、分子量も比較的小さくなることがある。
【0016】
また、本発明にかかる皮膚洗浄料組成物においては、上記架橋性重合粉体に加え、アニオン性界面活性剤を配合することが好ましい。
本発明に用いるアニオン性界面活性剤は特に制限されないが、脂肪酸セッケンの使用が特に好適である。脂肪酸セッケンとしては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等が挙げられる。
【0017】
本発明に用い得るその他のアニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE−ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE−ラウリル硫酸ナトリウム等);N−アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(例えば、POE−オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE−ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N−アシルグルタミン酸塩(例えば、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE−アルキルエーテルカルボン酸;POE−アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0018】
また、本発明においては、上記アニオン性界面活性剤に加えて、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、親油性非イオン性界面活性剤、親油性非イオン性界面活性剤を配合することもできる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE−アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0019】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0020】
親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0021】
親水性非イオン性界面活性剤としては、例えば、POE−ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンモノステアレート、POE−ソルビタンモノオレエート、POE−ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等);POE−グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOE−モノオレエート等);POE−脂肪酸エステル類(例えば、POE−ジステアレート、POE−モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE−アルキルエーテル類(例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP−アルキルエーテル類(例えば、POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP−エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE−(硬化)ヒマシ油誘導体(例えば、POE−ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油、POE−硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE−硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE−硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE−ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE−ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE−プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE−アルキルアミン;POE−脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤及びその他の界面活性剤の配合量は、合計で組成物に対し1〜50質量%とすることが好適である。
【0022】
本発明にかかる皮膚洗浄料組成物は、上記成分のほか、通常化粧料や医薬品に用いられる成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。配合可能な成分としては、例えば、保湿剤、粉末成分、液体油脂、個体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、防腐剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等が挙げられる。
また、本発明にかかる皮膚洗浄料の剤形は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等、どのような剤形であっても構わない。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの限定されるものではない。また、実施例中の配合量は、特に断りのない限り質量%を表す。
まず、試験に使用した各架橋性重合粉体の製造方法について説明する。
(架橋性重合粉体の製造方法)
架橋性重合粉体1
トルエン50gにアゾイソブチルニトリル(AIBN)0.01gを溶解し、グリセリンジメタクリレート50gを混合した。得られた混合液をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5%を加えた5%ポリビニルアルコール水溶液500g中に滴下した。滴下後、前記水溶液をホモジナイザーで60秒間撹拌して乳化させた。
その後、乳化溶液を75℃に加熱し、24時間静かに撹拌して重合反応を進行させた。反応終了後、メンブランフィルターを用いて前記溶液をろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後、乾燥させて粉体を得た。
前記粉体をトルエン50ml中に分散させ、ヨウ化メチルを加えて70℃に加温し、12時間ゆっくりと撹拌して粉体(重合物)の水酸基部をメチル化した。反応終了後、分散液をメンブランフィルターでろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後乾燥させ、粒子径10〜30μmの架橋性重合粉体1を得た。
【0024】
架橋性重合粉体2
トルエン50gにアゾイソブチルニトリル(AIBN)0.01gを溶解し、グリセリンジメタクリレート25g、メタクリレート25gを混合した。得られた混合液をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5%を加えた5%ポリビニルアルコール水溶液500g中に滴下した。滴下後、前記水溶液をホモジナイザーで30秒間撹拌して乳化させた。
その後、乳化溶液を75℃に加熱し、24時間静かに撹拌して重合反応を進行させた。反応終了後、メンブランフィルターを用いて前記溶液をろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後、乾燥させて粉体を得た。
前記粉体をトルエン50ml中に分散させ、ヨウ化エチルを加えて70℃に加温し、12時間ゆっくりと撹拌して粉体(重合物)の水酸基部をエチル化した。反応終了後、分散液をメンブランフィルターでろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後乾燥させ、粒子径1〜15μmの架橋性重合粉体2を得た。
【0025】
架橋性重合粉体3
トルエン50gにアゾイソブチルニトリル(AIBN)0.01gを溶解し、グリセリンジメタクリレート25g、アクリルアミド25gを混合した。得られた混合液をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5%を加えた5%ポリビニルアルコール水溶液500g中に滴下した。滴下後、前記水溶液をホモジナイザーで120秒間撹拌して乳化させた。
その後、乳化溶液を75℃に加熱し、24時間静かに撹拌して重合反応を進行させた。反応終了後、メンブランフィルターを用いて前記溶液をろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後、乾燥させて粉体を得た。
前記粉体を水50ml中に分散させ、プロピオン酸を加えて酸性条件下で70℃に加温し、12時間ゆっくりと撹拌して粉体(重合物)の水酸基部をプロピル化した。反応終了後、分散液をメンブランフィルターでろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後乾燥させ、粒子径0.1〜1μmの架橋性重合粉体3を得た。
【0026】
下記表1に示す処方の皮膚洗浄料を次の製造方法にしたがって調製し、下記評価方法に準じて評価した。
(皮膚洗浄料の製造方法)
イオン交換水中にグリセリンを添加し、そこに各種脂肪酸を添加し、75℃で加熱溶解する。そこに水酸化カリウム溶液を加え、中和することで石けん溶液を得た。この溶液に各粉体を添加し、十分に撹拌する。本溶液を25℃に急冷し、クリーム状の洗顔料を得た。
【0027】
(評価方法)
各洗顔料について、専門パネラー10名により実使用試験を行い、下記評価(1)〜(3)について下記の各基準で評価した。10名の平均スコアを表1に示す。
評価(1):洗浄時の泡質
5点:泡質がクリーミーである。
4点:泡質がややクリーミーである。
3点:普通。
2点:泡質があまりクリーミーではない。
1点:泡質がクリーミーではない。
【0028】
評価(2):洗浄後の肌のしっとり感
5点:しっとり感がある。
4点:ややしっとり感がある。
3点:普通。
2点:ややしっとり感がない。
1点:しっとり感がない。
【0029】
評価(3):洗浄後のさらさら感
5点:さらさら感がある。
4点:さらさら感がある。
3点:普通。
2点:ややさらさら感ない。
1点:さらさら感がない。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示すとおり、特定構造を有する架橋性重合粉体1〜3を配合した皮膚洗浄料は、洗浄時の泡質及び洗浄後の使用感において共に優れた評価を得た。アクリルアミドを共重合させた架橋性重合粉体3を配合した実施例3は、他の粉体に比べて洗浄後のしっとり感及びさらさら感が特に優れていた。
一方、粉末成分を全く配合しなかった比較例1では、泡質に劣り、洗浄後の使用感はほとんど得られなかった。水酸基をアルキル化ないしアシル化しなかったグリセリンジメタクリレート架橋重合体を配合した比較例2、シリカゲル、酸化チタンまたはタルクといった従来皮膚洗浄料に汎用されてきた粉末成分を配合した比較例3〜5においては、粉末無配合のものに比べ若干のさらさら感の改善が認められたものの、洗浄時の泡質及び洗浄後の使用感共に十分な効果は得られなかった。
また、従来肌に対する付着性及び使用感触向上の目的で配合されてきた、疎水化処理粉体を配合した比較例6、球状の有機顔料を配合した比較例7は、他の比較例に比べしっとり感及びさらさら感には優れていたが、洗浄料がほとんど泡立たず、泡質も極めて悪かった。
以上の結果から、本発明において、上記一般式(1)で示される特定構造を有する架橋性重合粉体を配合することにより、洗浄時の泡質及び洗浄後の使用感に優れた皮膚洗浄料組成物を得ることができる。また、前記架橋性重合粉体において、上記一般式(1)に示される構造に加え、アクリルアミド構造を有することが好適である。
【0032】
続いて、前記架橋性重合粉体の好適な粒子径について下記評価試験を行なった。
まず、評価に用いた架橋性重合体の製造方法を説明する。
(架橋性重合粉体の製造方法)
トルエン50gにアゾイソブチルニトリル(AIBN)0.01gを溶解し、グリセリンジメタクリレート20g、アクリルアミド30gを混合した。得られた混合液をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5%を加えた5%ポリビニルアルコール水溶液500g中に滴下した。滴下後、前記水溶液をホモジナイザーで10、60、120秒間撹拌して乳化させた。
その後、乳化溶液を75℃に加熱し、24時間静かに撹拌して重合反応を進行させた。反応終了後、メンブランフィルターを用いて前記溶液をろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後、乾燥させて粉体を得た。
前記粉体をトルエン50ml中に分散させ、ヨウ化メチルを加えて70℃に加温し、12時間ゆっくりと撹拌して粉体(重合物)の水酸基部をメチル化した。反応終了後、分散液をメンブランフィルターでろ過し、ろ物を水及びアセトンで洗浄後乾燥させ、架橋性重合粉体を得た。
前記乳化時間を10秒として粒径10〜30μmの粉体(架橋性重合粉体6)、乳化時間を60秒として粒径1〜10μmの粉体(架橋性重合粉体5)、乳化時間を120秒として粒径0.1〜5μmの粉体(架橋性重合粉体4)を得た。また、ホモジナイザーに替えて手動で撹拌(40秒)して乳化を行い、粒径40〜60μmの粉体(架橋性重合粉体7)を得た。
【0033】
下記表2に示す処方の皮膚洗浄料組成物(洗顔料)を上記した製造方法に準じて製造し、各洗顔料について専門パネラー10名により実使用試験を行い、上記評価(1)〜(3)にしたがって評価した。10名の平均スコアを表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
表2に示すとおり、架橋性重合粉体4〜7を配合した皮膚洗浄料は、いずれも洗浄時の泡質及び洗浄後の使用感において優れたものであった。特に、30μm以下の粉体を配合した実施例4〜6において、高い機能を示すことが明らかになった。
以上の結果から、本発明において、架橋性重合粉体の粒径が0.1〜30μmであることが好適である。
【0036】
以下、本発明にかかる皮膚洗浄料の処方例を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
<処方例1:洗顔料>
(配合成分) (質量%)
架橋性重合粉体3 1.0
グリセリン 15.0
ポリエチレングリコール400 5.0
ラウリン酸 5.0
ミリスチン酸 10.0
パルミチン酸 10.0
ステアリン酸 15.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
脂肪酸モノグリセリド 1.0
モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0
水酸化カリウム 6.0
イオン交換水 残部
香料 適量
(製造方法)
イオン交換水中にグリセリン、ポリエチレングリコール400、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、脂肪酸モノグリセリドを加え、75℃に加温し、溶解する。溶解後、水酸化カリウム溶液で中和し、架橋性重合粉体及び残りの成分を加えて十分に撹拌した後、冷却して目的の洗顔料を得た。
上記処方例1により得た洗顔料は、洗浄時の泡質及び洗浄後のしっとり感・さらさら感に極めて優れたものであった。
【0037】
<処方例2:ボディーシャンプー>
(配合成分) (質量%)
架橋性重合粉体4 0.5
グリセリン 15.0
ポリエチレングリコール400 5.0
ラウリン酸 2.0
ミリスチン酸 5.0
パルミチン酸 5.0
ステアリン酸 7.0
ラウロイルメチルタウリンナトリウム 5.0
ラウロイルグリコール酢酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 3.0
カチオン化グアガム 0.2
イオン交換水 残部
香料 適量
(製造方法)
イオン交換水中にグリセリン、ポリエチレングリコール400、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を加え、75℃に加温し、溶解する。溶解後、水酸化カリウム溶液で中和し、カチオン化グアガム、架橋性重合粉体、及び残りの成分を加えて十分に撹拌した後、冷却して目的のボディーシャンプーを得た。
上記処方例2により得たボディーシャンプーは、洗浄時の泡質及び洗浄後のしっとり感・さらさら感に極めて優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造単位を有する架橋性重合粉体を含有することを特徴とする皮膚洗浄料組成物。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基またはアシル基を表す。)
【請求項2】
前記架橋性重合粉体が、さらにアクリルアミド単位を有することを特徴とする請求項1に記載の皮膚洗浄料組成物。
【請求項3】
前記架橋性重合粉体の平均粒子径が、0.1〜30μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚洗浄料組成物。


【公開番号】特開2010−47522(P2010−47522A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213699(P2008−213699)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】