説明

皮膚疾患を治療または予防するための、アベルメクチンまたはミルベマイシンとアドレナリン受容体との組合せ

本発明は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療するための化合物の組合せに関する。本発明は、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せに関する。本発明は、さらに、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療および/または予防するための薬剤として適用するための製品の組合せとしての、(a) アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物を含む第一の組成物、および(b) 第一の組成物と異なる、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む第二の組成物を含むキットの形態の製品に関し、前記第一および第二の組成物は、同時に、別々に、または時間遅延で適用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトにおける皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療するための化合物の組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
酒さは、血管弛緩に関連する、一般的な慢性および進行性の炎症性皮膚疾患である。それは、主に顔面の中央部に影響を与え、顔面を赤くすること、顔面のほてり、顔面紅斑、丘疹、膿疱、毛細血管拡張症および時として眼性酒さと呼ばれる眼障害によって特徴付けられる。特に男性において深刻な場合には、鼻の軟組織が膨らみ、鼻瘤と呼ばれる球状の膨張を生成する。
【0003】
酒さは、一般的に、25から70歳の年齢の間で発生し、色白な人々の中でより一般的である。それは特に女性により影響を与えるが、この疾患は、一般的に、男性においてより深刻である。酒さは慢性であり、悪化および寛解しながら何年も持続する。
【0004】
酒さの病因はあまり理解されていない。必ずしもこの疾患を誘起するわけではない多くの要因が含まれる。これらは、例えば、精神的な要因、胃腸の障害、環境的な要因(日光への曝露、温度、湿度)、感情的な要因(ストレス)、食物に関連する要因(アルコール、香辛料)、ホルモンの要因、血管の要因、またはピロリ菌の感染である。
【0005】
従来、酒さは、テトラサイクリン、エリスロマイシンまたはクリンダマイシンなどの抗生物質で、また、ビタミンA、サリチル酸、抗真菌剤、ステロイド、メトロニダゾール(抗菌剤)で、または重症型においてはイソトレチノインで、または他には過酸化ベンゾイルなどの抗感染体で、または他にはアゼライン酸で、経口でまたは局所的に治療される。患者の皮膚上に寄生して存在するニキビダニを対象とする、イベルメクチンによる酒さの治療も知られている(米国特許第5952372号)。アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストによる酒さの治療も知られている(米国特許出願第2006/0171974A1号、米国特許出願第2005/0165079A1号、米国特許出願第2005/0020600A1号)。
【0006】
これらの治療は、炎症または過敏症の現象などの、患者にとって不快な副作用を有する。さらに、酒さに関連する全ての症状を効果的に治療および/または予防することができる既存の方法は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5952372号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0171974A1号
【特許文献3】米国特許出願第2005/0165079A1号
【特許文献4】米国特許出願第2005/0020600A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、前述したことを考慮すると、先行技術に見られる副作用を有しない、酒さのためのより効果的な治療を作り出す必要性が存在する。活性成分の優れた耐性を与え、同時にその副作用を低減する組成物を作り出す要求が特に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、本出願人は、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せが、この組合せの適用の間に関係なく、少ない副作用を有して酒さをより効果的に治療することができることを発見した。特に、このような組合せは、治療の期間を実質的に減少させ、酒さの症状の大きな低減を得ることができる。この組合せは、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストによる治療の末期において通常観察される反動をなくすこともできる。
【0010】
本発明の主題は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療および/または予防するための薬剤としての適用のための、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せである。
【0011】
また、本発明の主題は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療および/または予防するために意図された薬剤の製造のための、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せの使用である。
【0012】
また、本発明の主題は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療および/または予防するために意図された、生理的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのアベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、少なくとも1つのアルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とを含む、医薬、特に皮膚用組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】耳の浮腫の厚みの測定の平均、つまり治療後の耳の厚みの測定の平均を表す。
【図2】%としての試験化合物の用量を関数とした耳の浮腫の厚みの測定の平均、つまり治療後の耳の厚みの測定の平均を表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
用語「皮膚用組成物」は、皮膚に適用される医薬組成物を意味することを意図する。
【0015】
用語「生理的に許容可能な媒体」は、皮膚、粘膜および/または皮膚付属器と相性の良い媒体を意味することを意図する。
【0016】
用語「皮膚疾患」は、皮膚および眼の障害を意味することを意図する。例として、これに限定されないが、座瘡、高脂漏症(hyperseborrhea)、酒さ、眼性酒さ、乾癬およびアトピー性皮膚炎が挙げられる。皮膚の感染症は、より詳しくは、酒さまたは眼性酒さである。
【0017】
また、本発明の主題は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを予防および/または治療するために意図された薬剤の製造ための、このような組成物の使用である。
【0018】
また、本発明の主題は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療および/または予防するための薬剤として適用するための製品の組合せとしての、以下:
(a) アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物を含む第一の組成物、および
(b) 第一の組成物と異なる、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む第二の組成物
に要約するキットの形態の製品であって、前記第一および第二の組成物は、同時に、別々に、または時間遅延で適用されることができる。
【0019】
また、本発明の主題は、皮膚疾患、特に酒さおよび眼性酒さを治療および/または予防するために意図された薬剤の製造のための製品の組合せとしての、以下:
(a) アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物を含む第一の組成物、および
(b) 第一の組成物と異なる、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む第二の組成物
を含むキットの形態の製品の使用であって、前記第一および第二の組成物は、同時に、別々に、または時間遅延で適用されることができる。
【0020】
本発明によると、アベルメクチンファミリーの化合物は、有利には、イベルメクチン、インベルメクチン、アベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチンおよびセラメクチン、アベルセクチンB、ABまたはC、エマメクチンB1a、エマメクチンB1bおよびそれらの誘導体、あるいはラチデクチン(latidectin)から選択される。アベルメクチンファミリーの化合物は、好ましくはイベルメクチンである。
【0021】
本発明によると、ミルベマイシンファミリーの化合物は、有利には、レピメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチン、6’-エチルレピメクチン、6’-メチルレピメクチンおよびその誘導体、またはネマデクチンα、β、γもしくはδから選択される。
【0022】
本発明によると、アルファ-1アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物は、有利には、酒石酸水素メタラミノール、ミドドリン、メトキサミン、メフェンテルミン、フェニレフリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、ナファゾリンまたはキシロメタゾリン、あるいはそれらの塩から選択される。
【0023】
より詳しくは、上で定義されたアルファ-1アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物は、塩酸塩または酒石酸水素塩の形態である。
【0024】
本発明によると、アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物は、有利には、アプラクロニジン、ブリモニジン、クロニジン、ミルタザピン、デクスメデトミジン、グアンベンズアセテート、リダミジン、ロフェキシジン、メチルドパ、リルメニジン、タリペキソール、チアメニジン、チザニジン、トロニジン、またはそれらの塩から選択される。
【0025】
より詳しくは、上で定義されたアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物は、酒石酸塩の形態である。
【0026】
より詳しくは、アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物は、ブリモニジンまたはその酒石酸塩であってもよい。
【0027】
本発明による組合せは、より詳しくは、アベルメクチンファミリーの化合物およびアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む。
【0028】
優先的には、本発明による組合せは、ブリモニジンおよびイベルメクチンを含む。
【0029】
本発明の文脈において、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せは、前記組み合わされた化合物が同じ組成物中に存在するか、それぞれ別々の組成物中に別々に存在し、例えばキットの形態の製品を形成することを意味する。換言すると、これらの化合物は、同じ治療の関連の中で、つまり共通の治療期間にわたって、同時に(場合によって1つの同じ組成物に含まれてもよい)、または異なる時点で患者に投与されることを意図している。さらに、それらは同一のまたは異なる投与方法によって投与されることができ、および/または同一のもしくは異なる組成物に含まれ得る。
【0030】
別々の組成物中に別々に存在する前述の化合物の組合せは、特にキットの形態の製品の場合において、アベルメクチンファミリーの化合物、特にイベルメクチン、またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との相互作用を制限することを可能にする。これは、アベルメクチンファミリーの化合物、特にイベルメクチン、またはミルベマイシンファミリーの化合物と、同一の組成物中に通常含まれる数多くの賦形剤、特にアルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む組成物中に含まれる賦形剤との相互作用を、できるだけ制限することも可能にする。したがって、同時にまたは連続して適用される本発明による組成物は、非常に耐性があり、送達される活性化合物の量の点で正確であり、使用するために実用的である。それらは、患者に快適性および水分を提供する。
【0031】
別々の組成物中に別々に存在する前述の化合物の組合せの場合、特にキットの形態の製品の場合において、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物は、最初に患者の皮膚に適用され、その後アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を適用することができ、逆も可能である。
【0032】
本発明による組成物において、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物は、それを含む組成物の全質量に対して、0.001から10質量%の間、好ましくは0.01から5質量%の間、特に0.75質量%、1質量%、1.5質量%または2質量%の濃度で存在する。組成物がこれらの化合物のうちのいくつかを含む場合、それらの全体の濃度は、前述の量で含まれる。
【0033】
本発明による組成物において、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物は、組成物の全質量に対して、0.01から20質量%の間、好ましくは0.02から10質量%の間、特に好ましくは0.05から5質量%の間の濃度で存在する。組成物がこれらの化合物のうちのいくつかを含む場合、それらの全体の濃度は、前述の量で含まれる。
【0034】
特に好ましくは、組合せは、それを含む組成物の全質量に対して0.01から5質量%の間の濃度で存在するアベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、組成物の全質量に対して0.01から5質量%の間の濃度で存在するアルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とを含む。
【0035】
本発明による前記組成物は、より詳しくは、アベルメクチンファミリーの化合物およびアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む。
【0036】
優先的には、本発明による組成物は、ブリモニジンおよびイベルメクチンを含む。
【0037】
本発明による組合せおよびこの組合せの化合物を含む組成物は、皮膚への局所適用および/または眼への適用を特に意図している。
【0038】
また、本発明の組成物は、医薬的にまたは美容的に許容可能なビヒクル、つまり毒性、炎症、過度のアレルギー反応および同様のものを有さず、合理的な利点/リスクの比で釣り合いをとった、ヒトの細胞と接触しての使用のために好適なビヒクルを含む。
【0039】
本発明の組成物は、治療の効果を増すことができる、少なくとも1つの他の治療剤を含んでもよい。
【0040】
本発明の組成物は、医薬または皮膚の分野において通常使用される任意の添加剤を含んでもよく、これは存在するアベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物および/あるいはアルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物と相溶である。
【0041】
例として、特に、封鎖剤、抗酸化剤、日焼け止め剤、防腐剤(例えばDL-アルファ-トコフェノール)、フィラー、電解質、保湿剤、着色剤、通常の無機または有機の塩基または酸、香料、エッセンシャルオイル、化粧用活性剤、湿潤剤、ビタミン類、必須脂肪酸、スフィンゴリピド、DHAなどの人工日焼け剤、アラントインなどの皮膚を鎮痛し保護するための薬剤、浸透剤(propenetrating agent)、ゲル化剤、あるいはそれらの混合物が挙げられる。もちろん、当業者はこのまたはこれらの任意のさらなる化合物、および/またはその量を、本発明による組成物の有利な特性を害しないか、実質的に害しないように注意して選択するだろう。
【0042】
これらの添加剤は、組成物の全質量に対して、0から20質量%の割合で組成物中に存在してもよい。
【0043】
投与は、局所的、全体的または経口で、非経口または眼に行われてもよい。
【0044】
これらの投与経路の中で、局所的な経路および眼の経路が特に好ましい。
【0045】
本発明の組成物は、局所投与のために通常使用される任意の生薬の形態(galenical form)、特に溶液、ローション、ゲル、水相中の脂肪相(O/W)または逆(W/O)の分散体によって得られる液体またはミルクタイプの半液体の稠度のエマルション、あるいは懸濁液またはクリームもしくは軟膏タイプの軟らかい半液体または固体の稠度のエマルション、他にはミクロエマルション、ミクロカプセル、ミクロ粒子またはイオン性および/もしくは非イオン性タイプの小胞状分散体の形態であってもよい。
【0046】
有利には、組成物は、軟膏、クリーム、ローションまたはゲルを含む。
【0047】
例示の方法として、本来限定することなく、本発明による組成物の様々な処方およびアベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せの抗炎症活性の研究結果が示される。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
【0049】
【表1】

【0050】
(実施例2)
【0051】
【表2】

【0052】
(実施例3)
【0053】
【表3】

【0054】
(実施例4)
【0055】
【表4】

【0056】
(実施例5: アラキドン酸で誘起されたマウスの耳の浮腫のBalb/cマウスへの試験における単独の局所適用後の、イベルメクチンおよびブリモニジンの抗炎症活性の評価)
アラキドン酸を、4%でTHF/メタノールの混合物に溶解する。
【0057】
(治療)
イベルメクチンを、アラキドン酸(AA)の溶液に溶解し、1%の濃度で試験する。
【0058】
20μlの溶液を適用して、右耳の内面に適用する。
【0059】
耳の厚みを、T+1h、T+2hおよびT+4hで測定する。
【0060】
(結果)
図1は耳の浮腫の厚みの測定の平均、つまり治療後の耳の厚みの測定の平均を表し、これらから対照(治療していない)グループで得られた耳の厚みの測定の平均を引いており、これは4%アラキドン酸、1%イベルメクチン、0.2%ブリモニジン、およびイベルメクチンとブリモニジンの組合せによる治療後である。
【0061】
5%のインドメタシン(陽性対照)は、アラキドン酸によって引き起こされた耳の浮腫を95%阻害する。
【0062】
イベルメクチン単独(1%)は、耳の浮腫を56%低減する。
【0063】
イベルメクチン(1%)とブリモニジン(0.2%)との組合せは、アラキドン酸によって引き起こされた耳の浮腫を84%阻害し; それゆえ、アラキドン酸で誘起されたマウスの耳の浮腫のモデルにおいて、強い抗炎症効果を示す。
【0064】
(実施例6: TPAで誘起されたマウスの耳の浮腫のBalb/cマウスへの試験における単独の局所適用後の、イベルメクチンおよびブリモニジンの抗炎症活性の評価)
【0065】
(治療)
浮腫を、0.01%のエタノール中に溶解した20μlのTPA(ホルボール12-ミリステート13アセテート)の単独適用によって誘起する。
【0066】
試験化合物をTPA溶液で希釈する。
【0067】
陽性対照、0.01%のβ-メタゾンバレレート(BMV)も試験する; それはマウスの耳の浮腫を89%阻害する。
【0068】
イベルメクチンを0.1%、0.3%および1%の濃度で適用する。ブリモニジンを0.2%の濃度で加える。
【0069】
マウスの耳の厚みを、T+6hで測定する。
【0070】
(結果)
結果を図2に示す。
【0071】
図2は、%としての試験化合物の用量を関数とした耳の浮腫の厚みの測定の平均、つまり治療後の耳の厚みの測定の平均を表し、これらから対照(治療していない)グループで得られた耳の厚みの測定の平均を引いており、これは0.01%のTPA、それぞれ0.1、0.3および1%のイベルメクチン、0.2%のブリモニジン、イベルメクチンとブリモニジンの組合せによる治療後である。
【0072】
TPA溶液で希釈された0.3%および1%のイベルメクチンの単独の局所適用後、それぞれ57%および90%の耳の浮腫の低減が観察される。
【0073】
0.2%のブリモニジン単独の適用は、マウスの耳の浮腫を50%低減する。
【0074】
イベルメクチン(0.1、0.3および1%)とブリモニジン(0.2%)との組合せは、用量に依存した抗炎症効果を有し、TPAで誘起された耳の浮腫を、それぞれ91%(0.1%)、94%(0.3%)および100%(1%)低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚疾患を治療および/または予防するための薬剤としての適用のための、アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物との組合せ。
【請求項2】
酒さを治療および/または予防するための薬剤としての適用のための、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
眼性酒さを治療および/または予防するための薬剤としての適用のための、請求項1に記載の組合せ。
【請求項4】
アベルメクチンファミリーの化合物と、アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組合せ。
【請求項5】
前記アベルメクチンファミリーの化合物が、イベルメクチン、インベルメクチン、アベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチンおよびセラメクチン、アベルセクチンB、ABまたはC、エマメクチンB1a、エマメクチンB1b、ならびにそれらの誘導体、あるいはラチデクチンから選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項6】
前記ミルベマイシンファミリーの化合物が、レピメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシンオキシムおよびモキシデクチン、6’-エチルレピメクチン、6’-メチルレピメクチンならびにその誘導体、またはネマデクチンα、β、γもしくはδから選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項7】
前記アルファ-1アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物が、メタラミノール、ミドドリン、メトキサミン、メフェンテルミン、フェニレフリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、またはそれらの塩から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項8】
前記アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物が、アプラクロニジン、ブリモニジン、クロニジン、デクスメデトミジン、グアンベンズアセテート、リダミジン、ロフェキシジン、メチルドパ、リルメニジン、タリペキソール、チアメニジン、チザニジン、トロニジン、またはそれらの塩から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項9】
前記アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、前記アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とが、同じ組成物中に存在することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項10】
前記アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、前記アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とが、お互い別々の組成物中に別々に存在することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項11】
前記アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物が、それを含む組成物の全質量に対して0.001から10質量%の間の濃度で存在し、前記アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物が、組成物の全質量に対して0.01から20質量%の間の濃度で存在することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項12】
皮膚疾患の治療および/または予防するために意図された薬剤の製造のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組合せの使用。
【請求項13】
前記薬剤が、酒さを治療および/または予防するために意図されたことを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記薬剤が、眼性酒さを治療および/または予防するために意図されたことを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
皮膚疾患を治療および/または予防するための薬剤として適用するための組合せ製品としての、以下:
(a) アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物を含む第一の組成物、および
(b) 第一の組成物と異なる、アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物を含む第二の組成物
を含むキットの形態の製品であって、前記第一および第二の組成物は、同時に、別々に、または時間遅延で適用されることができる、製品。
【請求項16】
酒さを治療および/または予防するための薬剤として適用するための組合せ製品としての、請求項15に記載の製品。
【請求項17】
眼性酒さを治療および/または予防するための薬剤として適用するための組合せ製品としての、請求項15に記載の製品。
【請求項18】
皮膚疾患を治療および/または予防するために意図された薬剤の製造のための、請求項15に記載の製品の使用。
【請求項19】
酒さを治療および/または予防するために意図された薬剤の製造のための、請求項18に記載の製品の使用。
【請求項20】
眼性酒さを治療および/または予防するために意図された薬剤の製造のための、請求項18に記載の製品の使用。
【請求項21】
生理的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのアベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物と、少なくとも1つのアルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とを含む、医薬、特に皮膚用組成物。
【請求項22】
生理的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つのアベルメクチンファミリーの化合物と、少なくとも1つのアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物とを含むことを特徴とする、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記アベルメクチンファミリーの化合物が、イベルメクチン、インベルメクチン、アベルメクチン、アバメクチン、ドラメクチン、エプリノメクチンおよびセラメクチン、アベルセクチンB、ABまたはC、エマメクチンB1a、エマメクチンB1b、ならびにそれらの誘導体、あるいはラチデクチンから選択されることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
前記ミルベマイシンファミリーの化合物が、レピメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシンオキシムおよびモキシデクチン、6’-エチルレピメクチン、6’-メチルレピメクチンならびにその誘導体、またはネマデクチンα、β、γもしくはδから選択されることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記アルファ-1アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物が、メタラミノール、ミドドリン、メトキサミン、メフェンテルミン、フェニレフリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、またはそれらの塩から選択されることを特徴とする、請求項22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物が、アプラクロニジン、ブリモニジン、クロニジン、デクスメデトミジン、グアンベンズアセテート、リダミジン、ロフェキシジン、メチルドパ、リルメニジン、タリペキソール、チアメニジン、チザニジン、トロニジン、またはそれらの塩から選択されることを特徴とする、請求項22から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記アベルメクチンファミリーの化合物がイベルメクチンであることを特徴とする、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項28】
前記アルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物がブリモニジンまたはその塩であることを特徴とする、請求項22、26または27に記載の組成物。
【請求項29】
前記アベルメクチンファミリーの化合物またはミルベマイシンファミリーの化合物が、組成物の全質量に対して、0.001から10質量%の間、好ましくは0.01から5質量%の間に相当することを特徴とする、請求項22から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記アルファ-1またはアルファ-2アドレナリン受容体アゴニストファミリーの化合物の濃度は、組成物の全質量に対して0.01から20質量%の間、好ましくは組成物の全質量に対して0.02から10質量%の間であることを特徴とする、請求項22から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
局所適用のためであることを特徴とする、請求項22から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
眼の適用のためであることを特徴とする、請求項22から30のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−517989(P2012−517989A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549648(P2011−549648)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050259
【国際公開番号】WO2010/092312
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】