説明

皮膚科疾患の治療のための皮膚用組成物および塩

本発明は、タンパク質チロシンキナーゼSyk、タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびホスホジエステラーゼIVから選択される酵素の少なくとも2つが皮膚科疾患の調節に関与する皮膚科疾患の治療における応用に適したオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の皮膚用組成物に関する。本発明はまた、そう痒症の治療のための皮膚用組成物も包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、皮膚科疾患、特に湿疹の治療におけるオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の局所適用に適切な皮膚用組成物の薬学および薬学的製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在では、これまで非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)として認識されてきたオキサプロジンが薬学的に関連する用量においてタンパク質チロシンキナーゼSyk、タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびホスホジエステラーゼIV(PDE-IV)の酵素を効果的に阻害し、接触性皮膚炎の動物モデルにおいて症状および炎症を効果的に軽減することが見出されている。
【0003】
「非ステロイド系抗炎症薬」という用語は置換型フェノールまたはベンゼン環に基づく分子式を持つ化合物を表すために用いられ、その薬学的作用は主として酵素であるシクロオキシゲナーゼ-1(Cox-1)の阻害およびある程度はシクロオキシゲナーゼ-2(Cox-2)の阻害にも関連するということは一般的に認識されている(Greaves MW. Pharmacology and significance of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in the treatment of skin diseases. J Am Acad Dermatol 1987 April;16(4):751-64を参照されたい)。Cox-1由来プロスタグランジンは皮膚では産生されないが、Cox-2酵素は炎症部位においてプロスタグランジンを産生し、そのため、過去の薬学的抗炎症療法はCox-2由来プロスタグランジンを阻害することが目的とされてきた。
【0004】
しかしながら、本発明者によって見出された通り、オキサプロジンはその他の公知のNSAIDに比して、全く異なる薬力学的および安全性特性を持つ。
【0005】
タンパク質チロシンキナーゼSyk、タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびホスホジエステラーゼIV(PDE-IV)の各酵素の酵素活性は炎症プロセスにおいて重要な段階であり、シクロオキシゲナーゼ経路よりもはるかに高い階層レベルで作用する。従って、オキサプロジンは炎症カスケードの多くの重要な経路に干渉し、このことがこの薬剤を抗炎症候補化合物として、特に湿疹のような炎症性の皮膚科疾患の治療に関してこれまでの期待を上回る大きな将来性を付与している。
【0006】
タンパク質チロシンキナーゼSykおよびZAP-70は、ATPからタンパク質基質上に分布するチロシン残基へのリン酸基の転移を触媒する酵素群である。それらは、肥満細胞、T細胞およびB細胞の活性化を受けての多くの炎症誘発性反応のカスケードに至る炎症プロセスの最も早期の検出可能なシグナリング反応を介在する。タンパク質チロシンキナーゼSykは炎症細胞における脱顆粒、脂質介在物質の合成およびサイトカイン産生に対する細胞性反応に関与し、またタンパク質チロシンキナーゼSykは肥満細胞、好塩基球および好酸球の機能の制御を介してアレルギーまたは炎症反応に関与することが期待される。タンパク質チロシンキナーゼZAP-70はT細胞の発達およびT細胞抗原レセプターの機能に必要である。
【0007】
PDE-IV酵素は、細胞内のサイクリックアデノシンおよびグアノシン一リン酸(それぞれ、cAMPおよびcGMP)の加水分解を司るホスホジエステラーゼ(PDE)ファミリーに属する。ホスホジエステラーゼIVは、気道平滑筋細胞ならびに免疫および炎症細胞に分布するcAMP特異的酵素である。このIV型酵素は、肥満細胞、好塩基球、好酸球、単球およびリンパ球でのcAMPの加水分解において重要な酵素である。
【0008】
さらに、本発明者によって認識された酵素系に加えて、オキサプロジンは神経細胞におけるアナンダミド加水分解酵素(脂肪酸アミド加水分解酵素)および炎症細胞におけるNF-κB活性化の双方を阻害する。さらにオキサプロジンは、活性化された単球のアポトーシスを用量依存性に誘発する(Dallegri, Franco. A review of the emerging profile of the anti-inflammatory drug oxaprozin. (Expert Opin Pharmacother 2005 May;6(5):777-85)。
【0009】
明らかに、本発明者は少なくとも皮膚科疾患の治療に関してオキサプロジンの非常に優れた薬学的可能性を認識しており、この点でこの単一の化合物はインビボにおける免疫学的反応の重要かつ主要な経路のいくつかを変化させることができ、この同一の効果を得るために通常は複数の化合物の投与が必要とされる。
【0010】
オキサプロジンおよびNSAIDは長い間、骨関節炎および慢性関節リウマチのような全身性の炎症性疾患の治療に用いられてきたが、湿疹などの炎症性皮膚科疾患の治療におけるオキサプロジンの有用性についてはこれまで強調または実証されていなかった。
【0011】
一部のNSAIDは特定の皮膚科疾患の治療のために提案および開発されてきた。長い間、皮膚科疾患の治療に用いられてきたアセチルサリチル酸、インドメタシンおよびパルフェナック(ブフェキサマック(登録商標)として販売)について言及すべきである。アセチルサリチル酸はアトピー性湿疹におけるそう痒症の治療に用いられてきた;インドメタシンは日焼けした皮膚の治療に用いられたきた;パルフェナックは湿疹, 皮膚炎および肛門周囲性そう痒症の治療に用いられてきた(Greaves MW. Pharmacology and significance of nonsteroidal anti-inflammatory drugs in the treatment of skin diseases, J Am Acad Dermatol 1987 April;16(4):75l-64)。
【0012】
サリチル酸は乾癬の治療(Going SM, Guyer BM, Jarvie DR, Hunter JA, Salicylic acid gel for scalp psoriasis. Clin Exp Dermatol 1986 May;11(3):260-2)およびそう痒症の治療(Thomsen JS, Simonsen L, Benfeldt E, Jensen SB, Serup J. The effect of topically applied salicylic compounds on serotonin-induced scratching behaviour in hairless rats. Exp Dermatol 2002 August;11(4):370-5)に用いられてきた。
【0013】
局所性に適用されるインドメタシンは接触性皮膚炎の動物モデルにおいて応答することが示されており(Lowe NJ, Virgadamo F, Stoughton RB. Anti-inflammatory properties of a prostaglandin antagonist, a corticosteroid and indomethacin in experimental contact dermatitis. Br J Dermatol 1977 April;96(4):433-8)、またフルビプロフェンの局所投与はヒト皮膚の炎症を抑制する(Black AK, Hensby CN, Greaves MW. The effect of topical flurbiprofen on human skin inflammation [proceedings]. Br J Clin Pharmacol 1980 January;9(1):125P)。
【0014】
しかし、一部のNSAIDは特定の皮膚疾患の炎症を治療するための明白な能力を示すことができていない。例えば、一つの試験では、局所適用されたインドメタシンが寒冷療法を用いた治療後の中等度ないし重度の炎症における紅斑および浮腫の緩和にほとんど効果がないことが実証されている。これに比して、ステロイドであるプロピオン酸クロベタゾールの局所適用は効果があることが証明された(Humphreys F, Spiro J. The effects of topical indomethacin and clobetasol propionate on post-cryotherapy inflammation. Br J Dermatol 1995 May;132(5):762-5)。GreenおよびShusterは、局所1%インドメタシンがヒト試験において長期安定プラーク乾癬に対して効果がないことを実証している(Green CA, Shuster S. Lack of effect of topical indomethacin on psoriasis. Br J Clin Pharmacol 1987 September;24(3):381-4)。
【0015】
残念なことに、様々なNSAIDの局所使用は重大な皮膚の副作用を伴う。例えば、ブフェキサマックはそう痒症および接触性アレルギーの治療のために販売されているが、この化合物自体が接触性アレルギーを引き起こすことが報告されている。さらに、アスピリンおよびインドメタシンha蕁麻疹様反応を引き起こす場合があり、ピロキシカムは光毒性または光線過敏性皮膚炎を起こすことがある。ケトプロフェンおよびブフェキサマックは主な接触性アレルゲンとして認識されている(Gebhardt M and Wollina U. Cutaneous side-effects of nonsteroidal anti-inflammatory drugs (NSAID) in Z Rheumatol 1995 November;54(6):405-12)。ジクロフェナックは局所適用した際に皮膚副作用を伴うもう一つのNSAIDであり、刺激性の接触性皮膚炎を発現することがある(Rivers JK and McLean DI. An open study to assess the efficacy and safety of topical 3% diclofenac in a 2.5% hyaluronic acid gel for the treatment of actinic keratoses. Arch Dermatol 1997 October;133(10):1239-42)。
【0016】
このように、用いられているその他のNSAIDとは異なりオキサプロジンが皮膚科疾患の治療において非常に有効かつ安全であることから、本発明者の知見は極めて驚くべきことである。本発明および皮膚の炎症組織の治療について検討する場合、オキサプロジンは炎症を起こした皮膚に関連するその主たる薬力学的特性がシクロオキシゲナーゼ(Cox-1/Cox-2)阻害を含まないことから、もやは典型的なNSAIDと見なされるべきではない。実際、オキサプロジンは、Cox-2阻害に関してCox-2阻害活性および選択性が極めて低いNSAIDの一つである(Kawai S. Cyclooxygenase selectivity and the risk of gastrointestinal complications of various non-steroidal anti-inflammatory drugs. A clinical consideration. In Inflamma. Res. Supplement 2 (1998) S102-S106)。従って、本発明者はオキサプロジンはCox-2阻害剤のグループには属さないと考えている。
【0017】
新しい知見に基づいて、皮膚科疾患の管理におけるオキサプロジンの安全かつ有効な局所適用の必要がある。しかし、オキサプロジン自体は水溶解度が低い。従って、依然として、皮膚科疾患の最適な限局性治療のために皮膚内におけるオキサプロジンの十分な送達を達成するためには、皮膚の最外側の層(表皮)内に十分に浸透するオキサプロジン含有皮膚用組成物を提供する必要がある。
【0018】
多くの特許出願がNSAIDの皮膚用組成物に言及しているが、これらの引用にオキサプロジンの局所投与に伴う問題を認識しているもの、またはその問題に対する何らかの解決を提供しているものはない。
【0019】
US2005014729A1およびWO05009342A2((Pharmacia Corporation)は、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤の局所用組成物を一般的見地から開示している。US2005014729A1およびWO05009342A2によると、Cox-2阻害剤は薬学的に許容される塩の形で供給されてもよい。これらの出願はオキサプロジンをCox-2阻害剤の一例として挙げているが、これらの出願ではオキサプロジンを含む皮膚用組成物を明確に開示および提示し得ていない。さらに、本発明者の見解によると、オキサプロジンは実際にCox-2阻害剤ではない。
【0020】
WO05027977A2(AGIS INDUSTRIES (1983) LTD)の主目的は、日光性角化症の治療のための分子量 150,000〜750,000 ダルトンのヒアルロン酸を本質的に含有しない皮膚科学的ジクロフェナックゲル製剤に関する。オキサプロジンを含むその他のNSAIDをこのゲル組成物に加えることが提案される。
【0021】
複数のその他の引用はNSAIDの皮膚用組成物に関するが、いずれもNSAIDの塩の形での適用については強調し損ねている。
【0022】
JP7316075A2(ポーラ化成工業株式会社)は、NSAID、好ましくはブフェキサマック、インドメタシン、イブプロフェンまたはテノキシカムを10〜20%の保水物質と共に局所投与することによって皮膚乾燥の治療を意図する皮膚用組成物(クリーム製剤)に関する。
【0023】
WO0059475A1(Lipocine)は、イオン化可能なNSAID、ならびにNSAIDをイオン化することができる化合物(2-アミノエタノールが提案される)、界面活性剤およびトリグリセリドを含む担体を含む皮膚用組成物に関する。
【0024】
WO02074290(AGIS INDUSTRIES (1983) LTD)は、NSAID(具体的には、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラック)を抗生物質、抗菌物質、抗ウイルス物質、麻酔薬、鎮痛薬、抗アレルギー薬、コルチコステロイド、レチノイド、抗ヒスタミン、免疫抑制剤および抗増殖薬、ならびにそれらの混合物などの第2の治療物質と組み合わせた局所投与可能な組成物に関する。
【0025】
US2005232957A1(Katz K)は、特異的または非特異的cox阻害剤を投与することによる皮膚乾燥の治療のための皮膚用組成物に関する。
【0026】
眼科用製剤も提案されている(WO9531968およびWO0205815)。
【0027】
さらに、多くの特許出願は、オピエート(WO9709973)、サリチル酸(US 5804572)、ファルネソール(WO0062743)、抗ウイルス物質(WO0069255およびWO04056349)、キサンチン(WO0069406)、フェルラ酸、コーヒー酸、またはタンニン酸(WO02069963)、セレコキシブ(WO02096435)などの選択的cox-2阻害剤、抗ウイルス剤(WO03059347)、抗生物質(WO03061704)、レチノール(WO03105806)、インドール(EP1424325)、EP-3アンタゴニスト(EP1426059)、カプサイシン(WO04056305)およびラクタム(WO04093796)のようなその他の治療上活性物質と併用したオキサプロジンの皮膚用組成物に関する。
【0028】
水を含まないオキサプロジンの皮膚用組成物はWO9810742で提案されており、US20030157138の発明は皮膚用組成物に1〜25%の凝固物質および75〜99%の疎水性溶媒を組み入れることによって皮膚に適用された際に組成物が確実に液化するような方法で設計された皮膚用組成物に関する。
【0029】
本発明者は、オキサプロジンの特定の塩、つまりモノエタノールアミン塩が皮膚科学的製剤として適用された際に優れた特性を発揮することも見出している。特に、上記の特許または特許出願にこのような塩の皮膚用組成物における使用を強調するものはない。オキサプロジンの塩については、US2005014729A1およびWO05009342A2(Pharmacia Corporation)において一般的見地から開示されている。WO9744022の特許出願は経口投与可能な組成物における使用のためのオキサプロジンのカリウム、ナトリウムまたはトリス塩に関し、US4,465,838は経口投与における使用のためのオキサプロジンカルシウム塩に関する。
【0030】
モノエタノールアミンは、化学的には2-アミノエタノール(オラミン)と称される生物学的アミンである。アミンは哺乳動物細胞膜に存在する特定のリン脂質の天然の塩基であり、様々な工業目的に用いられる。
【0031】
このように、本発明は皮膚科疾患の治療において有効かつ安全な皮膚用組成物を提供する。ある期間にわたって皮膚科疾患の治療においてNSAIDを適用する多くの試みが行われてきたが、これまでは極めて効果が低く皮膚刺激性が顕著であったために成功が限定的であったことから、これは非常に驚くべきことである。
【発明の開示】
【0032】
発明の概要
驚いたことに、本発明者は、その他のNSAIDとは異なり、オキサプロジンが皮膚科疾患の管理において強力な治療可能性を持ち、皮膚におけるタンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70;およびホスホジエステラーゼIV(PDE-IV)の酵素の少なくとも一つを阻害することが皮膚科疾患の炎症の軽減、抑制または除去に繋がることを見出した。このような皮膚科疾患は、特に、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および手の湿疹などの湿疹の様々な型を含むと考えられる。さらに、このような阻害はこれらの疾患のひときわ目立つ症状、つまりそう痒症、ならびに紅斑および浮腫などのその他の症状も除去、軽減または抑制するであろう。
【0033】
本明細書に示す実験データは、湿疹の様々な型(実施例2(刺激性接触性皮膚炎およびアトピー性皮膚炎)、実施例3(昆虫咬傷による炎症)、実施例4(乾癬)、および実施例5(マウスにおけるオキサゾロン誘発性接触性皮膚炎を参照されたい)に関連する炎症の特徴的症状の極めて迅速かつ完全な軽減を明確に確認するものである。本明細書に示されるヒトのデータは、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および乾癬を患う患者においてそう痒症の極めて迅速かつ完全な軽減を明確に実証している。さらに、治療開始直後の1〜2週間に皮膚の紅斑および鱗屑も改善し、そう痒症を引き起こす基礎疾患に対する治療効果が示された。オキサプロジンは、臨床的に関連する用量において、強力なステロイドである17-吉草酸ベタメタゾンを用いて達成される効果と少なくとも同等の強い阻害効果を示した。
【0034】
本発明者は、オキサプロジンに観察された確証的な効果はオキサプロジンの優れた薬学的特性、即ち、酵素であるタンパク質チロシンキナーゼSyk、タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IVの一つまたは複数のマイクロモル濃度での阻害に関連するという仮説を提唱する。このようなオキサプロジンのマイクロモル濃度は局所投与後に皮膚細胞に存在することが期待されるが、全身投与後にも薬学的に活性な用量が存在することが期待される。
【0035】
湿疹のような炎症性皮膚科疾患の治療のために用いられる既存の治療用物質とは対照的に、本発明の治療は、薬学的に関連する用量においてオキサプロジンが安全であり生体により十分に耐用されることが示されていることから、いかなる重篤な副作用も伴わない可能性が高いという利点を持つ。例えば、オキサプロジン(モノエタノールアミン塩として)は感作性、光毒性反応または急性皮膚刺激性の形のいかなる皮膚の副作用も誘発しない。さらに、本発明の皮膚科学的製剤は、28日間にわたって5%の濃度で連続的に適用した場合であっても良好な皮膚耐用性を示した。
【0036】
残念なことに、オキサプロジンの物理化学的特性のため、この分子は皮膚の局所的治療に意図される皮膚用組成物に適切に製剤化されることが困難である。表皮および真皮を含む皮膚の関連する層に浸透する十分な量を得るためには、皮膚表面に高濃度が到達されなければならない。この困難の主たる理由は、皮膚用組成物の水相および脂質相の双方におけるオキサプロジンの低い溶解度に由来する。溶解度が低いことに伴う問題は、皮膚用組成物にエチルアルコール、イソプロピルアルコールまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの様々な可溶化剤を添加してオキサプロジンの溶解度を高めることによって解決することができる。残念なことに、このような可溶化剤は、状態を悪化させ、時には例えば組成物の耐用性の低下など、組成物自体に好ましくない特性を付与する可能性のある皮膚刺激性物質である。
【0037】
さらに、組成物自体はその低いpH値故に皮膚に対して耐用性の問題を惹起することがある。
【0038】
本発明者は、驚くべきことに、オキサプロジンおよび密接に関連する化合物に伴う問題が、少なくとも一部は、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物を水溶性の塩の形で提供することによって解決されることを見出した。このような組成物はオキサプロジンの飽和溶液を作成してオキサプロジンの結晶出現のリスクを生じることなくさらに高濃度のオキサプロジンを含有することができるので、この組成物は疾患を起こした皮膚に十分な量のオキサプロジンを提供する。さらに、塩はオキサプロジンの塩基性基に対応するpH値を示すことから、皮膚での所望のpH特性に関して生理学的に適合可能な塩が得られる。加えて、驚くべきことに、オキサプロジンの解離型はイオン化型であるために皮膚の上層である角質層の浸透に関して低親和性であるが、オキサプロジンの解離型は皮膚に適用された際に通常は低いpH値を示す非イオン化型の親化合物型に復帰することが見出されている。親化合物型は角質層に対して優れた親和性を示すであろう。このように、オキサプロジンの十分な皮膚取り込みは解離型オキサプロジンの局所適用によっても達成される。
【0039】
従って、本発明の第一の局面は、25℃において少なくとも20、25、30、50mg/mlなど、少なくとも10mg/mlなど、少なくとも5mg/mlの水溶解度を持つ塩のような水溶性の塩の形のオキサプロジンまたは密接に関連する化合物、および一つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分または担体を含む賦形剤を含む皮膚用組成物に関する。
【0040】
有利なこととして、このような組成物は物理的および化学的に安定であり;紅斑および開放性のびらんなど、皮膚における耐用性の問題を引き起こさず、しかも炎症性の皮膚科疾患、特に湿疹を効果的に治療する。
【0041】
本発明者は、また、2-アミノエタノールが、この特定の化合物が角質層への拡散によって皮膚の上層から容易に除去されることを意味する角質層に対する高い親和性を示す均衡の取れた親水性および親油性から、オキサプロジンの非常に興味深い対イオンであることを認識している。これに対して、より親油性の高い対イオンは、角質層に容易に浸透することができないことから皮膚の表面に蓄積する傾向があり、その結果、対イオンが親水性である場合はオキサプロジンの拡散はさらに低くなる。このような対イオンはK+、Na+、Ca2+およびトリスを含むと考えられ、これらは経口速放性組成物のために選択されている。このように、本発明者は、皮膚浸透性に優れて良好な物理化学的特性を持った塩を提供している。
【0042】
従って、本発明者は、オキサプロジンまたは密接に関連する誘導体のモノエタノールアミン塩が少なくともオキサプロジンの局所適用および耐用性に関して、優れた特性を持つことを見出している。
【0043】
従って、本発明の第二の局面はオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の2-アミノエタノール塩に関するものであり、この場合、2-アミノエタノールカチオンはオキサプロジンアニオンに結合する。
【0044】
さらなる局面において、本発明は炎症性皮膚科疾患、特に湿疹の治療における医用薬の調製のための本発明の皮膚用組成物の使用に関する。
【0045】
従って、本発明は、本発明の皮膚用組成物をそれを必要とする対象に投与する段階を含む、炎症性皮膚科疾患、特に湿疹を治療するための方法にも関する。
【0046】
本発明の様々な局面において、炎症性皮膚科疾患の治療または予防は次を含む:
・湿疹の治療;
・皮膚における過敏症反応の治療;
・皮膚における4型アレルギーの治療;
・皮膚における1型アレルギーの治療;
・接触性皮膚炎の治療または予防;
・アレルギー性接触性皮膚炎の治療または予防;
・刺激性接触性皮膚炎の治療または予防;
・アトピー性皮膚炎の治療;
・手の湿疹の治療;または
・炎症性皮膚科疾患を持つ対象におけるそう痒症;浮腫;紅斑;および鱗屑からなる群より選択される皮膚の次の症状の一つまたは複数の軽減、除去または予防。
【0047】
さらにその他の局面は、一般的なそう痒症皮膚、または本明細書に記載される皮膚科疾患に関連するもしくは引き起こされるそう痒症、または全身性の薬剤投与に関連するもしくは引き起こされるそう痒症、水への曝露に関連するもしくは引き起こされるそう痒症、または全身性の疾患に関連するもしくは引き起こされる掻痒症の治療のための医用薬の調製における本発明の皮膚用組成物の使用に関する。
【0048】
従って、本発明はそれを必要とする対象における皮膚のそう痒症を治療するための方法にも関する。
【0049】
発明の詳細な説明
本発明者は、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の、好ましくは、特に湿疹を発症している対象の皮膚などの疾患の見られる皮膚への局所投与に適した皮膚科学的製剤の必要性を認識している。重要な点として、このような組成物は、皮膚用組成物への可溶化剤添加の必要を伴うことなく、溶解したオキサプロジンの十分に高い局所濃度を真皮に送達しなければならない。
【0050】
重要な点として、本発明の皮膚用組成物は、過敏症反応、例えば湿疹などの1型および4型アレルギー性反応に関連するまたはこれにより引き起こされる皮膚科疾患などの皮膚科疾患を発症している皮膚への適用に適切であるべきである。
【0051】
オキサプロジンまたはその他のNSAIDのこれまでの皮膚用組成物とは異なり、本発明者は、オキサプロジンを水溶性の塩の形で提供する必要性を強調している。さらに、本発明者は、所望の効果を得ることを支援し得る水をベースとした皮膚用組成物の適用の必要性を強調している。例えば、皮膚用組成物自体(即ち、賦形剤)は、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の正常または疾患皮膚への所望の浸透速度または十分な送達を達成するように角質層を変化させることができる。従って、賦形剤は本発明のオキサプロジン塩の角質層内での溶解性および/または拡散性を変化させることができる。最適な製剤において、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の送達により皮膚細胞におけるオキサプロジンまたは関連する化合物の高い局所濃度が得られる。
【0052】
従って、本発明は、一つの局面において、(i)水溶性の塩の形のオキサプロジンまたは密接に関連する化合物、および(ii)一つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分または担体を含む賦形剤を含む皮膚科学的製剤を提供する。
【0053】
皮膚用組成物は、それを必要とする対象において皮膚の上部表面の限局性の治療のために皮膚に局所適用されることを意図する。従って、眼科用調製物および経皮性の硬膏は必ずしも本発明の範囲ではなく、いくつかの態様において、本明細書で記載される皮膚用組成物の除外される態様として見なされる可能性がある。
【0054】
「皮膚」という用語は、頭皮、前頭部、頭部、腕、下肢、胸部、肛門周囲部分などを含む全身の皮膚を含むことを意味する。「皮膚」という用語は、角質層、表皮および真皮などの皮膚の様々な層を含むことも意味する。
【0055】
「水溶性」という用語は、5、10、20、25、40、50、75、100、200、250、400および500倍など、オキサプロジンよりも水溶解度が大幅に高くなるような方法で修飾されたオキサプロジンまたは密接に関連する化合物を定義することを意味する。オキサプロジンの25℃での水溶解度は約1.7mg/mlである。従って、オキサプロジンまたはその密接に関連する化合物の水溶性の修飾は、修飾されたオキサプロジンの25℃における水溶解度が、好ましくは75、100、150、200、250またはさらに少なくとも300mg/mlなど、少なくとも5、10、20、25、30および50mg/mlとなるような修飾を示すことを意味する。
【0056】
「賦形剤」という用語は、水溶性の形のオキサプロジンまたは密接に関連する化合物が溶解または懸濁、好ましくは溶解する皮膚科学的に許容される賦形剤または担体から作成される液体、固体または半固体の基剤を定義することを意味する。
【0057】
本明細書で用いられるように「皮膚科学的に許容される」という用語は、記載されたような成分、担体または賦形剤が過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴うことなくヒトの角質組織と接触しての使用、特に湿疹皮膚への適用に関して適切であることを意味する。
【0058】
「皮膚における塩の限局性の存在」という語句は、塩の全身性の取り込みが限定的または皆無であると仮定して、塩の皮膚への局所投与を含むことを意味する。局所投与は、局所投与される塩の重量に基づいて40%、30%、25%、20%、15%、10%または5%未満のように、重量に基づいて50%未満が血流に進入するか、または尿および糞中に回収され得るという意図を意味する。対象における皮膚の炎症または皮膚の刺激部位の限局性の治療の方法は、組成物を対象の皮膚表面、好ましくは炎症および/または刺激部位に重複または隣接する位置に適用する段階、ならびに活性物質の限局性の治療量の送達を可能とするための有効な期間、組成物をそこに留める段階を含む。
【0059】
「疾患皮膚」という用語は、本状況において、皮膚科疾患、特に湿疹などを患っている皮膚を意味することを意図する。
【0060】
本発明者は、さらに少なくとも良好な耐用性および低い皮膚刺激を達成することについて検討する際に、皮膚内での高用量の達成を可能とするためにはオキサプロジンが水溶性の形で適用されることが本発明の皮膚用組成物の必要な要件であることを見出した。
【0061】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の修飾は、例えば次のような複数の方法によって得ることができる:
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物を、例えば、粒子の80%より多くが30μmよりも小さい粒子径を持つ、またはさらに小さい粒子径が一つの平均値であり得るような、ミクロの範囲の粒子へと微粉化する段階;
・例えば、オキサプロジンが適切な溶媒に溶解されて乾燥粉末の形成下において高い表面積を持つシリカに付加されるような、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物が分子分散として提供される段階;
・シクロデキストリンとの包接化合物などの複合体の形成;および
・水溶性の塩の形成。
【0062】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の塩は、塩基付加塩のような薬学的に許容される塩を形成するためには、オキサプロジンの遊離酸性基または密接に関連する化合物のR鎖と適切な塩基との単純な反応によって適用され得ることが見出された。塩の種類は、治療しようとする具体的な状態および製剤の具体的な種類に依存するであろう。従って、多くの塩基付加塩が適用されてもよい。
【0063】
無機塩基付加塩の例は、Na、K、Ca、Mg、Cu、ZnおよびMnの塩を含む。塩基付加塩の調製における使用のための代表的な有機塩基は、アルキルフェニルアミン、アンモニア、2-アミノエタノール、アミノピリミジン、アミノピリジン、アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、カフェイン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチルモルフォリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、グリシノール、ヒドラバミン、イミダゾール、イソプロピルアミン、メグルミン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、ピロリジン、テオブロミン、チアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、スペルミジンなど)を含む一次、二次または三次アミンである。さらに、塩基付加塩は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、チロシン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒスチジン、オルニチン、リジン、アルギニン、セリン、スレオニン、およびフェニルアラニンなどの天然アミノ酸、ならびにD-アイソマーまたは置換アミノ酸;グアニジン、置換基がニトロ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アンモニウムまたは置換アンモニウム塩、およびアルミニウム塩から選択される置換グアニジンなどの非天然型アミノ酸との反応からも誘導され得る。
【0064】
以下は関連する塩の非限定的な例である:
・陽イオンが典型的にはLi+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Ca++、Cu+、Zn+およびMn+より選択され得る金属塩;
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の遊離酸と、アルキルフェニルアミン、アンモニア、2-アミノエタノール、アミノピリミジン、アミノピリジン、アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、カフェイン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチルモルフォリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、グリシノール、ヒドラバミン、イミダゾール、イソプロピルアミン、メグルミン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、ピロリジン、テオブロミン、チアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチラミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、スペルミジンなどを含む一次、二次または三次アミンとの反応によって形成されるアミン塩;
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の遊離酸と、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、チロシン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒスチジン、オルニチン、リジン、アルギニン、セリン、スレオニン、およびフェニルアラニンなどの天然アミノ酸、ならびにD-アイソマーまたは置換アミノ酸;グアニジン、置換基がニトロ、アミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アンモニウムまたは置換アンモニウム塩、およびアルミニウム塩から選択される置換グアニジンなどの非天然型アミノ酸との反応によって形成されるアミン塩。
【0065】
25℃における水溶解度が、好ましくは75、100、150および200mg/mlよりも高いなど、約5、10、20、25、30、40または50mg/mlよりも高ければ、任意の塩基が水溶性の塩の形成に応用され得ることが理解されるべきである。
【0066】
さらに、水中において6〜8の範囲のpHを持つ水溶性の塩を得るために、水溶性の塩は好ましくは8〜12、好ましくは8.5〜11、より好ましくは8.5〜10.5のpKaを持つ塩基から構成される。つまり、水溶性の塩は、アミノ基が8〜12、好ましくは8.5〜11、より好ましくは約8.5〜10の範囲のように8.5〜10.5のpKaを持つ有機アミンから構成され得る。
【0067】
本発明のこの関心対象の態様において、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩は主として親水性の低い対イオンで構成されるが、これは、それらが容易に皮膚を浸透して皮膚の上部表面から除去され、それによって、それ以外の場合に親水性の高い対イオンで見られ得る皮膚細胞の詰まりを回避するためである。このような低親水性の対イオンは、モノエタノールアミンおよびモノエタノールアミンと等しいオーダーのlog P値または同一オーダーの分子量を持つその他の有機性対イオンを含むと考えられる。このような対イオンは、少なくともエチレンジアミン、ジエタノールアミン、コリン、L-リジンおよびグルコサミンなどの有機のアミンまたはアミノ酸を含むと考えられる。モノエタノールアミンおよび2-アミノエタノールは、本明細書で用いられる互換性の用語である。本発明に従って使用可能性の低い対イオンには、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Ca++、Cu+、Zn+およびMn+のような無機の対イオン、ならびにトリスのようないくつかの親水性有機アミンが含まれる。
【0068】
モノエタノールアミンのlog P値は約−1.3であり、分子量は約61.1 ダルトンである。従って、0よりも低い、好ましくは−0.5よりも低いlog P値を持つ有機アミンより選択されるその他の対イオンは使用可能である。理想的には、このような有機アミンは0〜−10、好ましくは0〜−5、さらにより好ましくは0〜−2.5のように0〜−3のlog P値を持つ。
【0069】
皮膚用組成物は物理的、化学的および生物学的に安定であり得、本発明の塩が、少なくとも大部分、溶媒から角質層に送達されることを妨げない可能性がある。この皮膚科学的発明に伴う一つの問題は、様々な乳化剤が電解質の含有量に対して感受性であり、その結果、乳濁液の親油層および親水相の解乳化および分離を起こす塩の含有量(電解質含有量)である。
【0070】
さらに、疾患皮膚に適用後であっても全身性の取り込みが制限される皮膚用組成物が達成されることが望ましい。従って、皮膚用組成物はそれに応じて設計されなければならない。
【0071】
皮膚用組成物を設計する際には考慮に入れるべき多くのパラメータがある;(1)水溶性の塩の濃度、(2)もしあれば、親水相および親油相の割合、(3)粘度、(4)浸透促進物質の濃度、(5)脂質、乳化剤、共乳化剤および界面活性剤などの油相構成物の選択、ならびに(6)pH。このようなパラメータはすべてオキサプロジン塩の角質層を通過する浸透率を左右し、または表皮および/または上部真皮に保持され得る水溶性の塩の量に影響するであろう。
【0072】
親水相という語句は、水溶液、水および「水のような」もの、即ち、典型的には電気的に極性化していて水分子と水素結合を形成することができ、油またはその他の「非極性」溶媒よりも水に一層容易に溶解することを可能とするものを示すことを意味する。親水相は、典型的には重量に基づいて20%〜100%の無菌水を含む水、より好ましくは50%〜100%の水、特に80〜100%の水を含む。親水相はさらにその他の液体親水性成分ならびに抗酸化剤、極性溶媒、界面活性剤、乳化剤、浸透促進剤、pH調製剤、保存料、着色料および香料など、水相に溶解または懸濁される成分を含んでもよい。
【0073】
親油相は、次に示すような一つまたは複数の脂肪および油性成分を含み、任意で乳化剤、界面活性剤、軟化剤、抗酸化剤、保存料、着色料および香料を含む油/脂肪相を示すことを意味する。
【0074】
一般的には、皮膚用組成物はマイクロエマルジョンおよびリポソーム製剤を含む乳濁液、ゲル、溶液、リニメント剤、軟膏、泡沫、スプレー、エアロゾル、マイクロスポンジ、パッチまたは粉末の型などの複数の設計として提供され得る。
【0075】
皮膚用組成物の疾患皮膚への適用について検討する場合、および水溶性塩の角質層から真皮への十分な送達を達成するためには、組成物はこのような状態に適合させることができる。本明細書で定義されるような皮膚科疾患、特に湿疹の影響を受けている皮膚のような疾患皮膚は、時に、表面の亀裂があり、無傷角質層が少ない。従って、疾患皮膚、特に皮膚の大きな部分に適用し易く、その結果、オキサプロジンの塩が疾患皮膚全体に均等に拡散する皮膚用組成物が望ましい。このような組成物は、乳濁液、ゲル、溶液、スプレー、泡沫、およびエアロゾル、好ましくは柔らかくて疾患皮膚に適用し易い乳濁液を含むと考えられる。
【0076】
本発明の皮膚用組成物は好ましくは水をベースとする。親水相の内容は、適切な浸透特性、所望されるならば、疾患皮膚細胞におけるオキサプロジンの十分な保持にとって重要であり得る。本明細書で用いられるように、水をベースとする皮膚用組成物は重量に基づいて親水相の40%よりも多くの賦形剤を含有することを意味する。賦形剤は、好ましくは45%、47%、50%、55%または60%、および約80%、85%または90%のように最高で75%より多くの親水相を含有する。従って、水分を含まない傾向のある軟膏自体は、必ずしも本発明の態様である必要はない。従って、いくつかの態様において、軟膏は本発明の範囲から除外される。つまり、本発明の皮膚用組成物は重量に基づいて、15%よりも少ないような、10%よりも少ないような、5%ほどの賦形剤中の水分を含む。
【0077】
本発明の関心対象の態様は、脂肪成分または油性成分をさらに含む賦形剤を含み、これらは好ましくは賦形剤の重量に基づいて30〜50%など、賦形剤の20〜70%までを構成し得る。つまり、専ら親水性成分で構成されるゲル組成物はこのような態様では除外される。
【0078】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性塩の濃度は、所望の浸透率に応じて適応させてよい。十分な治療反応を達成するためには全体の最小濃度が必要とされる可能性があり、最小濃度は賦形剤の重量に基づいて少なくとも0.01、0.02、0.04、0.06、0.08、0.1、0.2、0.5、0.7または1%など、少なくとも約0.005%である。上限濃度は、賦形剤の親水相における水溶性塩の飽和濃度とほぼ等しい濃度とすることができる。典型的には、塩の濃度は賦形剤の重量に基づいて25%までであり得る。典型的には、濃度は賦形剤の重量に基づいて約0.002%〜20%、より好ましくは重量に基づいて0.01%〜10%であり、さらにより好ましくは重量に基づいて0.1%〜5%の範囲である。
【0079】
典型的には、皮膚用組成物は、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩を重量に基づいて少なくとも0.5%、より好ましくは重量に基づいて少なくとも1%、一層好ましくは重量に基づいて少なくとも1.5%、さらにより好ましくは、重量に基づいて約2.5%、重量に基づいて約3%、重量に基づいて約3.5%、重量に基づいて約4%、重量に基づいて約4.5%、重量に基づいて約5%、重量に基づいて約5.5%、重量に基づいて約6%、または重量に基づいて約7%など、重量に基づいて少なくとも2%の量で含む。
【0080】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物は皮膚において十分に耐用性であるが、安全な治療が確保される活性物質の量を適用することが検討される場合もある。従って、皮膚用組成物はオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩を重量に基づいて7%よりも少ない量、より好ましくは重量に基づいて6.5%よりも少なく、さらにより好ましくは重量に基づいて6%よりも少なく、さらにより好ましくは重量に基づいて5.5%よりも少なく、さらにより好ましくは、重量に基づいて3.5%よりも少ないなど、重量に基づいて4%よりも少ないなど、重量に基づいて4.5%よりも少ないなど、重量に基づいて5%よりも少ない量で含む。
【0081】
従って、本発明の好ましい態様は、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩を重量に基づいて0.5〜8%のように重量に基づいて0.5〜10%、好ましくは重量に基づいて0.5〜6%、重量に基づいて0.5〜5.5%、重量に基づいて0.5〜5%、重量に基づいて0.5〜4.5%、重量に基づいて0.5〜4%、重量に基づいて0.5〜3%のように重量に基づいて0.5〜3.5%など、重量に基づいて0.5〜7%の量で含むべきである。本発明のさらにより好ましい態様は、オキサプロジンの塩または密接に関連する化合物もしくはそれらの塩を重量に基づいて1〜7%、好ましくは重量に基づいて1〜6%、重量に基づいて1〜5.5%、重量に基づいて1〜5%、重量に基づいて1〜4.5%、重量に基づいて1〜4%、重量に基づいて1〜3%のように重量に基づいて1〜3.5%など、重量に基づいて1〜6.5%の範囲の量で含む。本発明のさらにより好ましい態様は、オキサプロジンの塩または密接に関連する化合物もしくはそれらの塩を重量に基づいて1.5〜7%、好ましくは重量に基づいて1.5〜6%、重量に基づいて1.5〜5.5%、重量に基づいて1.5〜5%、重量に基づいて1.5〜4.5%、重量に基づいて1.5〜4%、重量に基づいて1.5〜3%のように重量に基づいて1.5〜3.5%など、重量に基づいて1.5〜6.5%の範囲の量で含む。
【0082】
本発明のこの関心対象の態様において、皮膚用組成物は、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物を約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、重量に基づいて約4%、約4.5%重量、重量に基づいて約5%、または重量に基づいて約6%、好ましくは重量に基づいて2.5%;3%、3.5%または4%の量で含む。
【0083】
賦形剤中の潮の必要濃度は、親水相中の塩飽和溶解度の関数としても表すことができる。飽和溶解度は親水相に溶解できる塩の最大濃度を示すことを意味する。従って、親水相における塩の濃度は飽和溶解度の0.01%から100%まで、好ましくは飽和溶解度の約0.1%から20%までであり得る。
【0084】
所望ならば、親水相のpHは、ジエタノールアミン、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、塩酸およびリン酸ナトリウムなどの許容可能な酸または塩基を加えて調整してよい。皮膚用組成物の親水相のpHは3〜8の範囲、好ましくはpH 5〜8の範囲、より好ましくは約6.5〜7.8の範囲であり得る。
【0085】
本発明のこの関心対象の態様において、親水相は、約7.2、7.3または7.4など7.0〜7.5のような6.8〜7.5のpH値を示す。このようなpH値は本発明の改善された態様を構成することが見出され、より低いpH値はオキサプロジン塩析出のリスクのために好ましくなく、より高いpH値は皮膚刺激性のために好ましくない。
【0086】
概して、本発明の皮膚用組成物は次の剤形の一つであり得る。
【0087】
水中油滴型乳濁液:オキサプロジンの塩は、疎水相ならびに水および任意で一つまたは複数の極性親水性担体および塩を含む水相の連続相を含む乳濁液に組み入れられ得る。これらの乳濁液は、油溶性または油膨潤性高分子、ならびに乳濁液の安定化を助ける一つまたは複数の乳化剤を含んでもよい。オキサプロジン塩は、好ましくは水相に加えられる。
【0088】
油中水滴型乳濁液:オキサプロジンの塩は、疎水相の分離相、ならびに水および任意で一つまたは複数の極性親水性担体ならびに塩、界面活性剤、乳化剤およびその他の成分を含む連続水相を含む乳濁液に乳化され得る。これらの乳濁液は、水溶性または水膨潤性高分子、ならびに乳濁液の安定化を助ける一つまたは複数の乳化剤を含んでもよい。
【0089】
疎水性軟膏:オキサプロジンの塩は疎水性のベースに製剤化することが可能であり(例えば、オキサプロジンをワセリン、濃縮またはゲル化した水、不溶性の油、トリグリセリド、トランスクトールなどに混合することによって)、オキサプロジンの可溶性を維持する少量の水溶性の相を加えてもよい。
【0090】
濃化水性ゲル:オキサプロジン塩は、粘性を高めるために濃縮しておいた水相に製剤化することができる。濃縮は、以下に記載する適切な天然、修飾型天然または合成高分子によって付与することができる。または、濃縮水性ゲルは、組成物、ならびにその他の非イオン性、陽イオン性または陰イオン性乳化剤の系を効果的に濃縮する適切なポリエトキシル化アルキル鎖の界面活性剤を用いて濃縮することができる。好ましくは、イオン性の乳化剤は塩含有量に対して敏感な傾向があるので、非イオン性乳化剤の系が選択される。非イオン性の系の例は、ポラワックス、コスモワックスおよびクロシックス(Crothix)の乳化剤の系である。
【0091】
親水性ゲル:オキサプロジン塩は、水以外の少なくとも一種類の水溶性親水性成分を含む連続相に製剤化することができる。この製剤は、重量に基づいて80〜95%など、重量に基づいて約70〜99%まで水を含み得る。組成物によっては、より低い値が適切である場合もある。適切な親水性成分には、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどのグリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのランダムまたはブロック共重合体、分子当たり1つまたは複数の疎水性分子を持つポリアルコキシル化界面活性剤、ならびにそれらの組み合わせなどが含まれる。
【0092】
泡沫:オキサプロジン塩は、典型的には賦形剤の水、親油性溶媒、界面活性物質、乳化剤および特異的なゲル化物質を含む泡沫剤として製剤化することができる。このような担体は、エアロゾル容器に収容されて液化性ガス噴霧剤と混合されると、配合前の状態で安定である半透明の油中水滴型乳濁液を生じる。液化ガス噴霧剤は、組成物全体の重量に基づいて3〜18%の量で担体に加えられる。エアロゾル容器から放出されると、担体は局所投与に適した壊れやすい泡沫産物を形成する。
【0093】
皮膚用組成物に用いることができる様々な構成物は典型的には以下の通りである。
【0094】
油性成分、様々な皮膚用組成物の剤形の疎水相の構成物であり、皮膚科学的に許容される次の成分の一つまたは2種類もしくはそれよりも多いその混合物から構成され得る:扁桃油、ひまし油、カカオバター、やし油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、落花生油、ケシの実油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油および、茶の実油)、鉱油、脂肪油、流動パラフィン、鉱油、イソプロピルミリステート、蜜蝋、綿実油、セトステラリルアルコール、ラノリン、白色ワセリン、黄色ワセリン、カノーラ油、セチルアルコール(セタノール)、落花生油、オレイン酸、イソプロピルパルミテート、ひまし油、ステアリルアルコール、ホホバ油、ステアリン酸およびシリコーン油。
【0095】
脂肪成分、様々な皮膚用組成物の剤形の疎水相の構成物であり、油相と組み合わせてまたは油相の代わりに用いることができ、典型的には、蜜蝋、パラフィン、ワセリン、トリグリセリド、パルミチン酸セチル、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、固形マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ならびに例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween)などの脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキシドの縮合産物より選択される一つまたは複数の成分を含む。典型的な脂肪成分は、ワセリン、パラフィン、植物油、動物油脂、合成グリセリド、ワックス、ラノリン、および液体ポリアルキルシロキサンを含む群より選択され得る。典型的な脂肪成分は固形マクロゴール(ポリエチレングリコール)であるが、これに限定されるものではない。
【0096】
水相、親水相を構成して、主として、水、親水性溶媒、界面活性剤、乳化剤、保存料、pH調整物質、香料、着色料およびその他の親水性成分を含む。
【0097】
親水性溶媒、水、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エタノール、工業用加メチルエタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、炭酸プロピレンおよびトリアセチンの形の極性溶媒など、水相に添加され得る。
【0098】
親油性溶媒、イソプロピルアルコールおよび中鎖トリグリセリド(MCT)など、親油相に加えられ得る。
【0099】
軟化剤、脂肪酸、モノ、ジまたはトリグリセリド、および脂肪酸エステル、ドデカン、スクアラン、コレステロール、イソヘキサデカン、イソノナン酸イソノニル、PPGエーテル、ワセリン、ラノリン、ヒマワリ油、ヒマシ油、落下精油、綿実油、パーム核油、パーム油、落下精油、ダイズ油、ポリオールカルボン酸エステル、それらの誘導体およびそれらの混合物。
【0100】
乳化剤(乳化物質)、水相または油相のいずれに加えてもよい:本発明の組成物は、組成物を乳化するために一つまたは複数の乳化剤を含むことができる。本明細書で用いられるように、「乳化剤」という用語は、共有結合して水の表面張力ならびに水および非混和性液体の間の界面張力を低下させることができる極性および非極性双方の部分を持つ両親媒性分子を意味する。この用語は、石鹸、洗浄剤、乳化剤、表面活性物質などを含むことを意味する。乳化剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性または両親媒性であり得る。これには通常の様々な乳化剤が含まれる。
【0101】
非イオン性乳化剤。例示的な非イオン性乳化剤には以下が含まれるが、これらに限定されるものではない:グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ステアリン酸グリコールおよび脂肪酸のプロピレングリコールモノエステル(ステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコールまたはパルミトステアリン酸プロピレングリコール))を含むポリオールエステル、およびグリセロールエステル(例えば、ステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル);
ソルビトールの環式無水物と脂肪酸(C12-C18)からなるソルビタン誘導体。ソルビタン誘導体は、(i)脂肪酸のソルビタンエステル(例えば、モノラウリル酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN 60(商標))、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンまたはトリステアリン酸ソルビタン)、および(ii)ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 60(商標))、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 65(商標))、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN 80(商標))の2つのグループに分けられる;
ポリオキシエチレンエステル(別名 マクロゴールエステル)は、例えば、PEGのステアリン酸エステル(PEG-40、PEG-50およびPEG-55)、PEGのラウリン酸エステル、オレイン酸エステルおよびミリステアリン酸エステルなど、ポリオキシエチレングリコール(PEG)のモノ-またはジ-脂肪酸エステル(C12からC18)の混合物である;
ポリオキシエチレンエーテルは、アルコール、ステアリル(ステアレス乳化剤)、セトステアリル(セテアレス乳化剤)およびオレイル(オレス乳化剤)などのマクロゴールおよび脂肪アルコールのエーテルである;
ポリオキシエチレン基を持つポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン誘導体であるポロキサマー(例えば、ポロキサマー-188);
エトキシル化ノニルフェノールであるノニルフェニルエーテル(ノノキシノール);
プロピレングリコールジアセテート;
ポリビニルアルコール;
脂肪酸とモノまたはジエタノールアミンとの反応から調製されるアルカノールアミド;
脂肪アルコール(例えば、セチルアルコールおよびステアリン酸アルコール);アルキルグルコシド;アルキルポリグルコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;ショ糖エステル;脂肪酸アルカノールアミド;エトキシル化脂肪酸;エトキシル化脂肪族系酸;エトキシル化脂肪アルコール(例えば、トリトンX-100の商品名で販売されているオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、およびノニデットP-40の商品名で販売されているノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、いずれもSigma, St. Louis, MO);エトキシル化および/またはプロポキシル化脂肪族アルコール;エトキシル化グリセリド;BASFより販売されている界面活性剤のプルロニックおよびテトロニックなどのエトキシル化プロポキシル化ブロック共重合体。
【0102】
陽イオン性乳化剤。例示的陽イオン性乳化剤には以下が含まれるが、これらに限定されるものではない:一次、二次または三次脂肪アミンの塩、任意でポリオキシアルキレン化されてもよい;テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム、またはアルキルピリジニウムハライド(好ましくはクロリドまたはブロミド)のような四級アンモニウム塩、ならびに限定されるものではないがメトサルフェートおよびエトサルフェートなどの限定されないアルキルサルフェートのようなその他の陰イオン性対イオン;イミダゾリン誘導体;(例えば、酸性pHにおいて)陽イオン性のアミノオキシド。アミノオキシド乳化剤の例には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルジメチルアミンオキシドおよびセチルアミンオキシドの乳化剤が含まれる。
【0103】
陰イオン性乳化剤。例示的陰イオン性乳化剤には、サルコシネート、グルタメート、アルキルサルフェート、ナトリウムまたはカリウムアルキレスサルフェート、アンモニウムアルキレスサルフェート、アンモニウムラウレス-n-サルフェート、ラウレス-n-サルフェート、イセチオネート、グリセリルエーテルスルホネート、スルホサクシネート、アルキルグリセリルエーテルスルホネート、アルキルホスホネート、アラルキルホスホネート、アルキルホスホネート、およびアラルキルホスホネートが含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの陰イオン性乳化剤は金属または有機アンモニウムの対イオンを持ってもよい。
【0104】
両親媒性乳化剤。両親媒性の乳化剤には、プロトン化され得る三次アミン基および双性イオン性乳化剤を含む四次アミンを持つ乳化剤が含まれる。このような両親媒性乳化剤の例には、ココベタインおよびコカミドプロピルベタインなどのある種のベタイン;ラウロアンホ酢酸ナトリウムなどのモノアセテート;ラウロアンホ酢酸ニナトリウムなどのジアセテート;ラウラミノプロピオン酸などのアミノ-およびアルキルアミノプロピオン酸が含まれるが、これらに限定されるものではない。両性硫酸アンモニウム.このクラスの両親媒性乳化剤は、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの「スルタイン」または「スルホベタイン」を指す。
【0105】
好ましい乳化剤は、少なくとも4、より好ましくは少なくとも6のHLB(即ち、親水親油バランス)を持つ乳化剤である。さらにより好ましい乳化剤は、10〜20の範囲のように、8〜20の範囲のHLBを持つ親水性乳化剤である。最も好ましい乳化剤は、少なくとも15のように、少なくとも12のHLBを持つ。本発明の組成物には、一つまたは複数の乳化剤を所望の結果を生じさせるために適切な量で用いることができる。好ましい態様において、一つまたは複数の乳化剤は、使用準備済み組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1 wt %、より好ましくは少なくとも0.5 wt %、さらにより好ましくは少なくとも1.0 wt %の総量で加えられる。好ましい態様において乳化剤の刺激性を避けるために、乳化剤は、使用準備済み組成物の総重量に基づいて10 wt%以内、より好ましくは5 wt%以内、さらにより好ましくは3 wt%以内、一層より好ましくは2 wt%以内の総量で加えられる。
【0106】
ポリマー性増粘剤、親水相に加えてよい;例えば、アカシア、アルギン酸塩, カラギーナン, キトサン、コラーゲン、トラガカントおよびキサンタンなどのゴム;カルボキシメチル-、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシプロピルおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウムなどのセルロース;カルボマーおよびポリカルボフィルなどのアクリル酸;シリカ、粘土および微結晶性セルロースなどのコロイド性固体;ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンなどのヒドロゲル;ポロキサマーなどの熱可逆性ポリマー。
【0107】
pH調整剤(緩衝物質)、親水相に加えることができる、ジエタノールアミン、乳酸、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸、酒石酸、水素リン酸、リン酸塩およびジエチルアミンなど。
【0108】
浸透促進剤、オキサプロジンの角質層内での浸透性を高めるために親水相または親油相のいずれにも添加してよい。
【0109】
保存料、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロルヘキシジン、イミダゾリジニル尿素、フェノール、ソルビン酸カリウム、安息香酸、ブロノポール、クロロクレゾール、パラベンズエステル、フェノキシエタノールおよびソルビン酸のような抗菌物質など。
【0110】
湿潤剤、グリセロール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールなど。
【0111】
キレート化物質、クエン酸およびエデト酸など。
【0112】
抗酸化剤、α-トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、アスコルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなど。
【0113】
懸濁物質、セルロース、ならびに例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カラギーナン、アカシアゴム、アラビアゴム、トラガカント、およびそれらの混合物などのセルロース誘導体からなる群より選択され得る。
【0114】
ゲル化物質(増粘剤)。適切なゲル塩基および粘性増加成分(増粘剤)は、流動パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイドケイ酸またはアルミニウム、亜鉛石鹸、グリセロール、プロピレングリコール、トラガカント、カルボキシビニルポリマー、ケイ酸マグネシウム-アルミニウム、カルボポール(登録商標)、例えば澱粉などの親水性ポリマー、または例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびその他のセルロース誘導体のようなセルロース誘導体、水膨潤性親水コロイド、カラギーナン、ヒアルロネート(例えば、任意で塩化ナトリウムを含むヒアルロネートゲル)、およびアルギン酸プロピレングリコールを含むアルギネートからなる群より選択され得る。さらにその他の例は、キサンタンガムなどの高分子多糖類ゴムである。
【0115】
本発明の一つの態様において、オキサプロジンの水溶性の塩が、例えば乳濁液の親油相および親水相の相分離に起因するなどの安定性の問題を抱える場合、電解質に対して感受性の低い乳化剤を選択することが重要である。従って、一部の好ましい態様において、非イオン性の乳化剤が組成物中において有用であることが分かる。 例示的な非イオン性乳化剤には、グリコールおよびグリセロールエステルを含むポリオールエステル;脂肪酸のソルビタンエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルを含むソルビタン誘導体;ポリオキシエチレンエステル;ポリオキシエチレンエーテル;ポロキサマー;ノニルフェニルエーテルが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい一つは、脂肪酸のソルビタンエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルである。
【0116】
物理的安定性は、乳濁液を物理的ストレスに曝露した上で乳濁液の相分離傾向を観察することによって認識することができる。例えば、乳濁液を「凍結および解凍」の反復周期に例えば6回、曝露して、その後、遠心分離することができる。または、相分離は、25℃、40℃または60℃で1カ月、3カ月、6カ月、12カ月の長期間保存後に、任意で皮膚用組成物の遠心分離後に観察してもよい。
【0117】
本発明の特定の態様において、皮膚用組成物は、例えばクリームまたはリニメント剤として提供されるなど、油中水滴型乳濁液である。親水相および親油相の割合は、水溶性塩の角質層内での拡散/溶解度を修飾するような方法で変更される。典型的には親油相に対する親水相の割合は重量に基づいて5:1〜1:1、好ましくは重量に基づいて4:1〜1.4:1の範囲である。
【0118】
皮膚用組成物が油中水滴型乳濁液などの乳濁液として提供される態様の典型的な例には次を含むものが含まれる:
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩が親水相に含まれる場合は、重量に基づいて0.5%〜7.5%、好ましくは1〜5%の塩;および一つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分を含む賦形剤;
・重量に基づいて30〜80%、好ましくは50〜70%の水、任意で親水性溶媒(例えば、グリセロールおよび/またはプロピレングリコール)および増粘剤(例えば、キサンタンゴムまたはカルボポール2020(商標))を含む親水相;および
・重量に基づいて20%〜70%、好ましくは30%〜50%の脂肪成分、乳化剤または乳化剤の混合物、任意で1つまたは複数の油性成分、および任意で1つまたは複数の親油性溶媒を含む疎水相。
但し、すべての構成物は組成物の重量に基づいて100%とする。
【0119】
本発明の一つの特定の態様において、皮膚用組成物は次を含む油中水滴型乳濁液などの乳濁液である:
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩が親水相に含まれる場合は、重量に基づいて0.5%〜7.5%、好ましくは1〜5%のオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩;および一つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分を含む賦形剤;
・重量に基づいて80〜95%の水、任意で親水性溶媒(例えば、グリセロールおよび/またはプロピレングリコール)および増粘剤(例えば、キサンタンゴムまたはカルボポール2020(商標))を含む、重量に基づいて30〜80%、好ましくは50〜70%の親水相;および
・脂肪成分、非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤の混合物、任意で1つまたは複数の油性成分、および任意で1つまたは複数の親油性溶媒を含む、重量に基づいて20%〜70%、好ましくは30%〜50%の疎水相。
但し、すべての構成物は組成物の重量に基づいて100%とする。
【0120】
より具体的には、このような組成物は次を含む:
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩が親水相に含まれる場合は、重量に基づいて0.5%〜7.5%、好ましくは1〜5%の塩;および一つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分を含む賦形剤;
・重量に基づいて80〜95%の水、親水性溶媒(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、エタノール、工業用加メチルエタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、炭酸プロピレンおよびトリアセチンから選択される)、および増粘剤(例えば、澱粉、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびその他のセルロース誘導体)、水膨潤性親水コロイド、カラギーナン、ヒアルロネート(例えば、ヒアルロネートゲル、塩化ナトリウムを含んでもよい)、アルギネート(プロピレングリコールアルギネートを含む)、および高分子多糖類ゴム(例えば、キサンタンゴム)、ならびに架橋結合ポリアクリル酸コポリマー(例えば、カルボポール2020(商標))から選択される)を含む、重量に基づいて30%〜80%、好ましくは50〜70%の親水相;および
・次を含む重量に基づいて20%〜80%、好ましくは30%〜50%の疎水相:脂肪成分(例えば、動物油脂、合成グリセリド、ワックス、ラノリン、ワセリン、ポリアルキルシロキサンおよび固形マクロゴールから選択される)、非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤の混合物(例えば、ポロキサマー、脂肪酸のソルビタンエステル、ならびにモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびそれらの混合物)、任意で1つまたは複数の油性成分、ならびに任意で1つまたは複数の親油性溶媒。
但し、すべての構成物は組成物の重量に基づいて100%とする。
【0121】
本発明のこの関心対象の態様において、皮膚用組成物は次を含む油中水滴型乳濁液などの乳濁液である:
・オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩が親水相に含まれる場合は、重量に基づいて1〜5%の塩;および一つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分を含む賦形剤;
・重量に基づいて80〜95%の水、グリセロールおよびプロピレングリコール)から選択される親水性溶媒、ならびに高分子多糖類ゴム(例えば、キサンタンゴム)および架橋結合ポリアクリル酸コポリマー(例えば、カルボポール2020(商標))から選択される増粘剤を含む、重量に基づいて50〜70%の親水相;および
・次を含む、重量に基づいて20%〜50%、好ましくは30%〜50%の疎水相:脂肪成分(例えば、動物油脂、合成グリセリド、ワックス、ラノリン、ワセリン、ポリアルキルシロキサンおよび固形マクロゴールから選択される)、非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤の混合物(例えば、ポロキサマー、脂肪酸のソルビタンエステル、ならびにモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびそれらの混合物)、任意で1つまたは複数の油性成分、および任意で1つまたは複数の親油性溶媒、但し、すべての構成物は組成物の重量に基づいて100%とする。
【0122】
本発明のもう一つの態様において、皮膚用組成物は本質的に水分フリーであり、または重量に基づいて20%よりも少ない、好ましくは重量に基づいて10%または5%など、重量に基づいて15%よりも少ない水を含む。典型的には、このような態様は重量に基づいて0.5%〜7.5%、好ましくは1〜5%のオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の塩、ならびにトランスクトールおよび油性成分、任意で脂肪成分、油性成分および親水性溶媒などの可溶化剤を含む賦形剤を含む。
【0123】
皮膚用組成物のさらなる例は、薬学の技術分野における業者によって製剤化され得る溶液、スプレー、泡沫およびエアロゾルである。
【0124】
本発明の塩を直腸に投与することが望ましい場合は、皮膚用組成物は坐剤、クリーム、ゲルおよび浣腸の剤形であってよい。本発明の塩を膣に投与することが望ましい場合は、皮膚用組成物はペッサリー、成形したペッサリー、膣用カプセル、膣用タブレットなどの剤形であってよい。
【0125】
さらに有用な皮膚用組成物には、薬学的製剤学の技術分野の業者の知識に従って作成され得るシャンプー、ゼリー、石鹸、スティック、粉末、フィルム、パッド、スポンジ、包帯、飲薬、絆創膏および硬膏剤が含まれる。適切な粉末成分は、アルギネート、コラーゲン、ラクトース、創傷に適用した際にゲルを形成することができる粉末(液体/創傷浸出液を吸収する)を含む群より選択され得る。
【0126】
本発明の好ましい態様において、皮膚用組成物は本質的にオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の塩および1つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分または担体からなる。本明細書で用いられるように、「本質的に・・・からなる」は、皮膚用組成物がオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の塩に付加的な成分を含み得るが、その付加的成分はオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の治療上の効果の基本的および新規の特徴を著しく変化させないことを意味する。従って、いくつかの態様において、オキサプロジンまたは密接に関連する化合物は皮膚用組成物の唯一の治療上活性な成分である。
【0127】
本発明の好ましい態様において、水溶性の塩は誘導体化されていない形のオキサプロジンを用いて作成されることが理解されるべきである。但し、同一の基本分子構造を共有する密接に関連する化合物は、皮膚科疾患の管理において、また水溶性の塩の型を活かすために応用され得る。従って、本発明はオキサプロジンの密接に関連する化合物の水溶性の塩を含む。オキサプロジンは化学的には4,5-ジフェニル-2-オキサゾールプロピオン酸と命名されて、次の化学構造を持つ:

【0128】
抗炎症作用を持つオキサプロジンの複数の誘導体は特許文献において開示されている。一般的な誘導体およびそれらの製造段階についてはUS 3,578,671に開示されている。具体的な誘導体については、US 5,380,738(4-フルオロフェニルおよび4-メチルスルホニルフェニル)、US 4,659,728 (ヒドロキシ置換型誘導体)、US 6,090,834(スルホニル誘導体)、US 3,506679(4,5-ジアリールチアゾール誘導体)に開示されている。
【0129】
本明細書で用いられるように、「密接に関連する化合物」という用語は一般式Iを持つ化合物およびその生物学的等価体(bioisoster)を含む:

【0130】
このような化合物は、オキサプロジン分子のプロピオン酸が酢酸または酪酸で置換されていることを意味する様々な長さのR炭素鎖を含む。さらに、R鎖および二つのフェニル環は一つまたは複数の水素が本明細書に定義される置換基で置き換わることによって置換されてもよい。最後に、このような化合物は、オキサゾール環の酸素が硫黄(S)で置換してチアゾール環を提供する生物学的等価体も含む。生物学的等価体はカルボン酸基のチオ酸(COSH)による置き換えによっても提供され得る。
【0131】
本明細書で用いられるように、R基は主として2個の炭素原子を含む直鎖または分枝、飽和または不飽和脂肪族炭素鎖を定義する。従って、n-プロピオン酸、イソプロピオン酸およびプロピオネニック酸(propionenic acid)が予想される。密接に関連する態様において、R基は1個または3個の炭素原子を含む直鎖または分枝、飽和または不飽和脂肪族ラジカルを定義する。従って、酢酸、アクリル酸および酪酸も予想される。
【0132】
このように、RはC1-3-アルキル、C2-3-アルケニル、およびC2-3-アルキニルより選択され得る。R基は、1個の水素原子のシアノ(CN)、ハロゲン(Br、Cl、F、I)、ヒドロキシ(OH)、アミノ(NH2)およびニトロ(NO2)との置換を含めて誘導され得る。
【0133】
「R1、R2、R3およびR4」という用語は非置換型、一置換または二置換フェニル環を定義するために式Iのフェニル環の置換基を定義することを意味して、R1、R2、R3およびR4は同一または異なってよい。「一置換および二置換フェニルラジカル」という語句は、各フェニル環の一個または二個の水素の一つの環内のR1および/またはR3での置換、ならびに二番目のフェニル環内のR2および/またはR4での独立した置換を示す。
【0134】
R1およびR2は、独立して、ヒドリド、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシル、カルボキシ(CO)、カルボキシアルデヒド(CHO)、カルボン酸およびその誘導体(COR5)、シアノ(CN)、ハロゲン(Br、Cl、F、I)、ヒドロキシ(OH)、ヒドロキシ誘導体(OR')、アミノ(NH2)、一次アミノ(NHR')、二次アミノ(NR'R'')、ニトロ(NO2)、スルホニル(HSO2)およびスルホニル誘導体(R7-SO2)より選択されるラジカルを示し、R7はC1-6-アルキル、アリール、NH2、NHR'、NR'R''より選択される置換基を示す。
【0135】
R3およびR4は、独立して、ヒドリド、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシル、CO、CHO、CO-Me、CO-Et、COR5、CN、ハロゲン、OH、OR'、NH2、NHR'、NR'R''およびNO2より選択されるラジカルを示す。好ましい態様において、R3およびR4は独立してヒドリド、C1-6-アルキルおよびC2-6-アルケニルより選択されるラジカルを示す。さらに好ましい態様において、R3およびR4はそれぞれヒドリドを示す。
【0136】
本明細書で用いられるように、R5はヒドロキシ(OH)、ヒドロキシ誘導体(OR6)NH2、NHR'、NR'R''、SHまたはSR6より選択される基を示す。
【0137】
R6はC1-6-アルキル、C2-6-アルケニルおよびアリールより選択されるラジカルを示す。
【0138】
R'およびR''はC1-6-アルキルおよびC2-6-アルケニルより選択される同一または異なる基を示す。
【0139】
R7は、C1-6-アルキル、アリール、NH2、NHR'、NR'R''より選択される置換基を示す。
【0140】
「アリール」という用語は、フェニル、一個または二個の水素がC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシル、カルボキシ(CO)、カルボキシ誘導体(COR')、カルボキシアルデヒド(CHO)、カルボン酸(COOH)、カルボキシル誘導体(COOR')シアノ(CN)、ハロゲン(Br、Cl、F、I)、ヒドロキシ(OH)、アミノ(NH2)、一次アミノ(NHR')、二次アミノ(NR'R'')およびニトロ(NO2)より選択される置換基によって置換されている一置換または二置換フェニルを意味する。好ましくは、「アリール」という用語は、フェニル、または一個の水素がC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C1-6-アルコキシル、CO、CHO、CN、ハロゲン、OH、NH2およびNO2より選択される置換基によって置換されている一置換フェニルを意味する。
【0141】
この状況において、C1-3-アルキルは、その異性体を含めて-CH2-、-CH2CH2-および-CH2CH2CH2-のように炭素鎖がオキサゾール環およびCOOR5基の間に位置する、1〜3個の炭素原子を持つ直鎖または分枝炭素鎖を示す。同様に、C2-3-アルケニルおよびC2-3-アルキニルは、その異性体を含めて-CHCH-、-CC-、-CHCHCH2-、-CCCH2-のように、2個または3個の炭素原子を含む不飽和脂肪族炭素鎖を意味する。
【0142】
C1-6-アルキルは、記載された数の炭素原子を含む飽和、直鎖または分枝アルキルラジカルを定義することを意味して、例えば、「1-6」は、例えばイソブテニルといったそれらのすべての異性体を含めて、メチルからヘキシルまでのすべてのアルキルラジカルを意味する。該当する場合は、アルキルはシクロヘキサンのように環状であってもよい。
【0143】
C2-6-アルケニルは、例えば、1-または2-プロペニル、1-、2-または3-ブテニルおよびそれらの異性体など、記載する数の炭素原子を含む不飽和直鎖または分枝アルキレンラジカルを示す。
【0144】
C2-3-アルキニルは、例えばエチニル、1-または1-プロピニル、1-、2-または3-ブチニルおよびそれらの異性体など、記載する数の炭素原子を含む不飽和直鎖または分枝アルキニルラジカルを示す。
【0145】
C1-6-アルコキシルは、6個まで、好ましくは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシなど、4個までの炭素原子を含むアルコキシラジカルを意味する。
【0146】
C1-6-アルキル、C1-9-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-9-アルケニル、C2-6-アルキニルおよびC2-9-アルキニルの基は、任意で、CN、CO、CHO、COR5、ハロゲン、OH、OR'、NH2、NHR'、NR'R''およびニトロで一置換されてもよく、R5、R6、R'およびR''は上記の通りである。
【0147】
ハロゲンという用語は、臭素、塩素、フッ素およびヨウ素を定義する。
【0148】
「ハロリド」という用語は1個の水素原子(H)を示す。
【0149】
本発明の化合物は不斉炭素原子を含み得て、従って、本発明は当業者に公知の方法によって調製または単離され得る個々のジアステレオマーおよび鏡像異性体も含み得る。
【0150】
上記の通り、本発明の好ましい態様において、モノエタノールアミン塩はオキサプロジンで構成される。
【0151】
その他の関心対象の態様において、オキサプロジンは式Iに従って誘導体として提供される。Aと命名される態様の一つの基において、Rは-CH2-である。Bと命名される態様のもう一つの基において、Rは、-CH2CH2-、-CHCH-、-CC-などのC2-アルキル、C2-アルケニルおよびC2-アルキニルより選択される。態様のさらにもう一つの基(Cと命名される)において、Rは、-CH2CH2CH2-、-CHCHCH2-、-CCCH2-ならびにそれらの幾何異性体および立体異性体などのC3-アルキル、C3-アルケニルおよびC3-アルキニルより選択される。このようなすべての態様(A、BおよびC)において、Rは、その一つの水素原子がCN、ハロゲン、OH、NH2、NO2、好ましくはOHで置換されてよい。さらに、このような態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R'およびR''は上記に定義される通りである。
【0152】
A、BおよびCのさらなる関心対象の態様(AA、BA、CAと命名される)において、R2およびR4は、独立してヒドリド、C1-6-アルキル、ハロゲン、OHおよびOR'より選択されるラジカルを示し、R1、R3、R5、R6、R7、R'およびR''は上記の通りである。
【0153】
A、BおよびCのその他のさらなる関心対象の態様(AB、BBおよびCBと命名される)において、R2およびR4はヒドリドであり、R1、R3、R5、R6、R7、R'およびR''は上記の通りである。
【0154】
A、AA、AB、B、BA、BB、C、CAおよびCBのさらなる関心対象の態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R'およびR''の基は態様のそれぞれの基において定義する通りであるが、「アリール」という用語は、フェニル、または一つの水素がC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシル、CN、CO、CHO、COOH、ハロゲン、OH、NH2、NHR'、NR'R''およびNO2より選択される置換基で置換されている一置換フェニルを示す。
【0155】
A、AA、AB、B、BA、BB、C、CAおよびCBのさらなる関心対象の態様において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R'およびR''の基は態様のそれぞれの基において定義する通りであるが、「アリール」という用語は、フェニル、または一つの水素がC1-6-アルキル、C1-6-アルコキシル、CN、CHO、COOH、ハロゲン、OH、NH2、およびNO2より選択される置換基で置換されている一置換フェニルを示す。
【0156】
A、AA、AB、B、BA、BB、C、CAおよびCBのさらなる関心対象の態様において、R2およびR4の基は独立してヒドリド、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシル、CN、COOH、ハロゲン、OH、NH2、NHR、NR'R''、NO2、HSO2、R7-SO2より選択されるラジカルを示し、R1、R3、R7、R'およびR''の基はそれぞれの態様において定義される通りである。
【0157】
A、AA、AB、B、BA、BB、C、CAおよびCBのさらなる関心対象の態様において、C1-6-アルキル、C1-9-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-9-アルケニル、C2-6-アルキニルおよびC2-9-アルキニルの基は、CN、ハロゲン、OH、OR'、NH2、NHR'、NR'R''およびニトロで一置換されてもよく、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7R'およびR''はそれぞれの態様において定義される通りである。 このような態様において、「アリール」という用語は、フェニル、または一つの水素原子がC1-6-アルキル、C1-6-アルコキシル、CN、CHO、COOH、ハロゲン、OH、NH2およびNO2より選択される置換基によって置換されている一置換フェニルを示す。
【0158】
上記のすべてのさらなる関心対象の態様において、Rは-CH2-またはC2-アルキルもしくはC2-アルケニルであることが理解されるべきである。
【0159】
上記に定義されるオキサプロジンまたは密接に関連する化合物のモノエタノールアミン塩は、薬学的に許容される溶媒和化合物の形で提供され得て、水和物(塩1モル当たり0.5モルのH2Oから約10モルまでのH2Oを含む)であってもよく、またはアルコールなどの結晶体のその他の溶媒を含んでもよい。
【0160】
オキサプロジンに関連する化合物の典型的な例を以下に示す:
4,5-ジフェニルチアゾール-2-イル-プロピオン酸;
4,5-ジフェニルオキサゾール-2-イル-アクリル酸;
4,5-ジフェニルオキサゾール-2-イル-酢酸;
4,5-ジ-(4'-クロロフェニル)-オキサゾール-2-イル-プロピオン酸;
4-(4'-ブロモフェニル)-5-フェニルオキサゾール-2-イル-プロピオン酸;
4-(4-ヒドロキシフェニル-5-フェニル-2-オキサゾールプロパン酸;
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾールプロピオン酸;
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾール酢酸;
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-(3,4-ジクロロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-[3-クロロ-4-フルオロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-[4-クロロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールプロパン酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル-5-(3,4-ジフルオロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-メチルスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-メチルスルホニルフェニル])-5-フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[4-(4-メチルスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールプロパン酸;
4-[4-アミノスルホニルフェニル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-オキサゾリル]-α-ブロモ酢酸;
5-(4-ニトロフェニル-4-フェニル-2-オキサゾール-2-イルプロピオン酸;
5-(4'-フルオロフェニル)-4-フェニルオキサゾール-2-イル-プロピオン酸;
5-(4-ヒドロキシフェニル-4-フェニル-2-オキサゾールプロパン酸;
5-(4-フルオロフェニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾールプロピオン酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-[4-クロロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル)]-2-オキサゾールプロパン酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル]-2-オキサゾールプロピオン酸;
【0161】
要約すると、「オキサプロジンまたは密接に関連する化合物」という用語は式Iに基づく化合物を含むことを意味し、オキサプロジンの代謝物、その生物学的等価体、および上記のようなその誘導体が含まれる。オキサプロジンの代謝物の例は、ヒドロキシ置換オキサプロジン、つまりUS 4,659,728に開示される5-(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニル-2-オキサゾールプロパン酸、4-(4-ヒドロキシフェニル)-5-フェニル-2-オキサゾールプロパン酸および4-(4-ヒドロキシフェニル)-5-(4-ヒドロキシフェニル)-2-オキサゾールプロパン酸である。
【0162】
本発明の一つの関心対象の態様は、(i)オキサプロジンまたは密接に関連する化合物のモノエタノールアミン塩、および(ii)上記のように1つまたは複数の皮膚科学的に許容される補助物質または担体を含む賦形剤を含む皮膚用組成物を含むことが理解されるべきである。
【0163】
モノエタノールアミン塩の優れた効果に従って、本発明のさらなる局面はオキサプロジンまたは密接に関連する化合物のモノエタノールアミン塩に関する。
【0164】
本発明のオキサプロジンモノエタノールアミン塩は、それ自体公知である方法によって得ることができる。
【0165】
本発明の一つの局面は、オキサプロジンおよびモノエタノールアミンを双方が溶解可能である溶媒または溶媒の混合物に溶解する段階、個々の化合物の溶液を混合する段階、および続いて、任意で溶媒をエバポレートして溶媒を除去することによって、または任意で溶液を冷却することによって、塩を沈殿させる段階を含む本発明の塩を調製する有利な方法に関する。この操作を用いて得られる収量は極めて高く、しかも、取り扱いが容易であるために製造コストが低下する。
【0166】
本発明の製造操作のための適切な溶媒の例には、例えばメタノールまたはエタノールなどの低級アルカノールのようなアルコール、例えばジエチルエーテルなどのジ低級アルキルエーテルのようなエーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどの環式エーテル、例えばアセトンなどのジ低級アルキルケトンのようなケトン、例えば酢酸エチルなどの低級アルカンカルボン酸エステルのようなカルボン酸エステル、例えばN,N-ジメチルホルムアミドなどのN,N-ジ-低級アルキルアミドのようなアミド、例えばジメチルスルホキシドなどのジ低級アルキルスルホキシドのようなスルホキシド、またはそれらの混合物もしくはそれらと水の混合物が含まれる。
【0167】
用途および方法
本発明に従って、本発明の皮膚用組成物は、好ましくはタンパク質チロシンキナーゼSyk、タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IVの酵素の少なくとも一つ、好ましくは少なくとも2つが炎症性皮膚科疾患の調節に関与する炎症性皮膚科疾患の治療に使用することができる。一般に、このような炎症性皮膚科疾患は、皮膚における1型アレルギーまたは4型アレルギー反応など、皮膚における最初の過敏症反応によって引き起こされることが予想される。
【0168】
従って、本発明のもう一つの局面は皮膚科疾患、好ましくは炎症性皮膚科疾患の治療に関連し、本発明は炎症性皮膚科疾患、特に湿疹を治療するための方法であって、本発明の皮膚用組成物を対象の皮膚に局所投与する段階を含む方法を提供する。
【0169】
さらにもう一つの局面は、本発明の皮膚用組成物の、皮膚科疾患の炎症の治療、特に湿疹の治療のためなど、炎症性皮膚科疾患の治療のために皮膚への局所適用を意図した医用薬の調製のための使用に関する。
【0170】
本発明に従って、治療しようとする炎症性皮膚科疾患には、タンパク質チロシンキナーゼSyk、タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IVの酵素の少なくとも1つが炎症性皮膚科疾患の調節に関与する疾患が含まれる。一般に、このような炎症性皮膚科疾患は、皮膚における1型アレルギーまたは4型アレルギー反応など、皮膚における最初の過敏症反応によって引き起こされることが予想される。
【0171】
従って、本発明のさらなるもう一つの局面は、炎症性皮膚科疾患と診断された対象の炎症を起こした皮膚細胞におけるタンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70および/またはPDE-IVから選択される酵素の1つまたは複数の阻害のための方法であって、該対象の皮膚に本発明の皮膚用組成物を局所投与する段階を含む方法に関する。
【0172】
本発明のさらにもう一つの局面は、本発明の皮膚用組成物の、炎症性皮膚科疾患と診断された対象の炎症を起こした皮膚細胞におけるタンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70および/またはPDE-IVから選択される酵素の1つまたは複数の阻害のために皮膚への局所適用を意図される医用薬の調製のための使用に関する。
【0173】
本発明の基礎となる薬学的原理に従って、皮膚用組成物の皮膚への投与は、炎症性皮膚科疾患と診断されたまたはこれを患う対象において炎症または過敏症反応によって引き起こされる具体的な症状を効果的に軽減、除去または予防する。例えば、そう痒症は多くの炎症性疾患の際立った極めて不快な症状である。
【0174】
従って、本発明の一つの重要な局面は、そう痒症および任意で特に湿疹のような炎症性皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされるその他の顕著な症状の治療または予防に関する。
【0175】
従って、本発明は、炎症性の皮膚科疾患を持つ対象、特に湿疹を持つ対象などにおいてそう痒症;紅斑;および/または鱗屑から選択される皮膚における1つまたは複数の症状を軽減、除去または予防するための方法を提供する。この方法は、対象の皮膚に本発明の皮膚用組成物を局所投与する段階を含む。
【0176】
本発明の一つのさらなる局面は、本発明の皮膚用組成物の、炎症性皮膚科疾患を持つ対象、特に湿疹を持つ対象などにおいて、そう痒症;紅斑;および/または鱗屑から選択される皮膚における1つまたは複数の症状の軽減、除去または予防のために皮膚への局所投与を意図する医用薬の調製のための使用に関する。
【0177】
本発明の状況において、「炎症性皮膚科疾患」という用語は、タンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IVからなる群より選択される少なくとも1つの酵素が皮膚科疾患の調節に関与する皮膚科疾患を定義することを意味する。
【0178】
「タンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IVの酵素からなる群より選択される酵素の少なくとも一つが皮膚科疾患の調節に関与する」という語句は、これらの酵素の過剰発現または過剰な量が関与する様々な皮膚科疾患を定義することを意味する。次の皮膚科疾患はこのような皮膚科疾患の非限定的な例として示される:尋常性ざ瘡、成人性湿疹、脱毛症、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性湿疹、手の湿疹、アトピー性皮膚炎、癌、小児の湿疹、手または足の慢性皮膚炎、接触性皮膚炎、接触性湿疹、円板状湿疹、昆虫咬傷による炎症、薬剤誘発性皮膚反応、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、湿疹、表皮水疱症、紅皮症、結節性紅斑、多形紅斑、手の湿疹、手足の皮膚炎、尋常性魚鱗癬、乳児湿疹、円錐角膜、毛孔性角化症慢性単純性苔癬、扁平苔癬、貨幣状皮膚炎、黒色腫、過剰処置による皮膚炎、天疱瘡、類天疱瘡、光線性皮膚症、ばら色粃糠疹、壊疽性膿皮症、汗疱、乾癬、結節性痒疹、酒さ、疥癬、脂漏性皮膚炎、脂漏、強皮症、シェーグレン病、うっ滞性皮膚炎、亜急性皮膚エリテマトーデス、日焼け、全身性エリテマトーデスの皮膚症状、白斑、蕁麻疹および乾燥性湿疹。
【0179】
「皮膚科疾患の炎症を治療する」という語句は、本明細書に記載される治療が皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる炎症を軽減、除去または予防することを示すことを意味する。皮膚科疾患における炎症の特徴的徴候は浮腫、紅斑および鱗屑であり、本発明はこれらを軽減、除去または予防する。
【0180】
「皮膚への局所投与のための製剤化」および局所投与という語句は、本発明の活性成分(オキサプロジンまたは密接に関連する化合物)の、対象の皮膚に適用可能であり、その結果、活性成分が皮膚に限局性に存在する投与剤形への製剤化を含む互換可能な用語を定義することを意味する。「皮膚における活性成分の限局性の存在」という語句は、活性成分の全身性の取り込みが限定的または皆無であると仮定して、活性成分の皮膚への局所投与を含むことを意味する。従って、局所投与される活性成分の重量に基づいて10%、8%、5%および3%未満のような、重量に基づいて15%未満のような、重量に基づいて20%未満のような、重量に基づいて25%未満が血流に入るか、または尿および糞中に回収されることを意図する。皮膚に対する局所適用のための投与剤形は、乳濁剤(クリーム)、軟膏、ゲル、リニメント剤、粉剤および溶液を含む。
【0181】
「皮膚細胞」という用語は、角質層、真皮および表皮に存在する細胞を含むことを意味するために示される。炎症性皮膚科疾患について検討する場合、このような細胞はT細胞、マクロファージ、肥満細胞、ランゲルハンス細胞および好中球などの皮膚において炎症を構成する細胞を含み得る。
【0182】
「皮膚」という用語は、頭皮、前頭部、頭部、腕、下肢、胸部などを含む全身の皮膚を含むことを意味する。「皮膚」という用語は、角質層、表皮および真皮などの皮膚の様々な層を含むことも意味する。
【0183】
治療目的のための「対象」という用語は任意の対象を含むが、好ましくは炎症性皮膚科疾患の治療を必要とする対象である。予防目的において、対象は任意の対象であり、好ましくは炎症性皮膚科疾患を発現するリスクがある、または素因を持つ対象である。対象は、典型的には動物であり、より典型的には哺乳動物である。本明細書で用いられるように「哺乳動物」は、ヒト、家畜および畜産動物、動物園、スポーツまたはペット動物を含むイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどの哺乳動物として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。典型的には、対象は接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および手の湿疹のような様々な種類の湿疹と診断されたヒトまたは患っているヒトである。好ましい態様において、対象はヒト、イヌ、ネコまたはウマである。
【0184】
本明細書で用いられる「治療する(treat)」、「治療(treating)」および「治療(treatment)」という用語は、炎症性皮膚科疾患またはその付随症状を緩和または抑制する段階、および疾患そのものの原因を緩和または根絶する段階を含むことを意味する。
【0185】
本明細書で用いられるように「予防する(prevent)」、「予防(preventing)」、および「予防(prevention)」という用語は、炎症またはそう痒症の再発の予防などの、炎症性皮膚科疾患の症状の発現を遅延または防止する方法を指す。
【0186】
本発明のこの関心対象の態様において、炎症性皮膚科疾患の治療または予防は、対象の炎症を起こした皮膚細胞におけるタンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IVの酵素の1つまたは複数の阻害を含む。本発明者によって認識されるように、好ましくは本発明の改善された態様が、タンパク質チロシンキナーゼSykおよびタンパク質チロシンキナーゼZAP-70、タンパク質チロシンキナーゼSykおよびPDE-IV酵素;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IV酵素のように上記の酵素の少なくとも2つが関与する皮膚科疾患の治療に関することから、炎症性皮膚科疾患の治療は、一つのターゲットよりは多くのターゲットを阻害することによって改善される。
【0187】
湿疹などの皮膚科疾患における一般的な治療原則を提供するためには、上記のすべての酵素を阻害することが有利である可能性がある。
【0188】
本発明のこのような関心対象の態様は、特に4型または1型アレルギー反応のように過敏症反応がそれらの病理学の一部である炎症性皮膚科疾患の治療に関する。このような皮膚科疾患のこの関心対象の例は、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および手の湿疹などの湿疹および皮膚炎である。
【0189】
「湿疹」という語句の意味は、上記の炎症性変化のいくつかを説明する「フローイングオーバー(flowing over)」である。湿疹および皮膚炎という語句は、双方の状態とも皮膚に類似の炎症状態が生じることから、ある程度互換的に用いられる。
【0190】
湿疹は、皮膚表面に共通の変化パターンを持つ複数の状態を指す。湿疹は、皮膚のそう痒、鱗屑および紅斑を示す可能性のある皮膚炎症のエピソードとして発現する。長期状態へと発展する場合(慢性湿疹)は、皮膚の肥厚、鱗屑、薄片剥離、乾燥および変色に至る。発疹の原因、形状および部位によって、多くのタイプの湿疹がある。大半は、アレルギーまたは刺激性化合物との接触に関連する。いくつかは、脚における体液の貯留を引き起こす基礎的な医学的状態に関連するまたはこれにより引き起こされる。
【0191】
「皮膚炎」という用語は、表皮および真皮表層に影響を及ぼし皮膚の発赤および熱感を主徴とすることによって特徴付けられる炎症を定義することを意味する。皮内小水疱を生じる浮腫;表面への液体の浸出、痂皮形成、鱗屑および亀裂をさらに主徴とする。
【0192】
湿疹は内因性湿疹および外因性湿疹に分けられる。内因性湿疹には、少なくとも、様々な型を含むアトピー性皮膚炎(乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬)、汗疱、円板状湿疹および貨幣状湿疹が含まれる。外因性湿疹には、少なくともアレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、手の湿疹が含まれる。さらに、「湿疹」という用語には、うっ滞性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、慢性単純性苔癬、乾癬、脂漏性皮膚炎および脂漏も含まれる。
【0193】
従って、本発明のこの関心対象の態様において、皮膚科疾患は少なくとも次の状態を含む様々なタイプの湿疹を示す:アトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、過剰処置による皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、うっ滞性皮膚炎、慢性単純性苔癬、結節性痒疹、脂漏性皮膚炎、脂漏および乾癬。
【0194】
本発明のより好ましい態様において、皮膚科疾患はアトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、過剰処置による皮膚炎および手の湿疹を指す。
【0195】
本発明の基礎となる薬学的原理に従って、本発明の方法および使用は、炎症性皮膚科疾患と診断されたもしくは患っている、または発症のリスクのある対象の炎症皮膚細胞におけるタンパク質チロシンキナーゼSyk;タンパク質チロシンキナーゼZAP-70およびPDE-IV酵素からなる群より選択される酵素の1つまたは複数の阻害を含む。
【0196】
本発明に従って、皮膚用組成物は皮膚におけるそう痒症の治療のための医用薬の調製にも応用することができる。つまり、本発明は、必要とする対象の皮膚に本発明の皮膚用組成物を投与する段階を含む、皮膚におけるそう痒症を治療するための方法も態様とする。
【0197】
「そう痒症」という用語は「そう痒」という用語と互換的であることを意味し、ひっかき願望を伴う周知の感覚状態を定義する。そう痒症を伴う感覚状態は疼痛のそれとは異なるが、そう痒症および疼痛は様々な化学的、機械的、熱的または電気的刺激によって引き起こされ得る。そう痒および疼痛は、(1)そう痒は疼痛とは異なり皮膚、粘膜および結膜の表在性の層のみから惹起され得る、ならびに(2)そう痒および疼痛は同一の皮膚領域から同時には生じないという点で異なる。例えば、ヒスタミンの皮膚への適用はそう痒は引き起こすが疼痛は引き起こさない。さらに、そう痒および疼痛は異なる薬学的な原理によって治療され、そう痒は、疼痛の治療においてはいずれも有効なオピエートおよび非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)の投与に対して非感受性であると思われる。最後に、そう痒は皮膚においてのみ発生する;疼痛はより深部の構造からも生じる。そう痒症は、足根関節、手首、口唇、手、胸などの皮膚の明瞭に限定された様々な領域に局在化し得て、または皮膚の特定の部分に局在せずに全身性のそう痒症である場合もある。
【0198】
そう痒症は時に上記の湿疹の最も顕著な症状であり、本発明者は本明細書に記載される様々な種類の湿疹、特に接触性皮膚炎およびアトピー性皮膚炎を患う対象においてこの症状の完全な緩和を実証している。さらに、昆虫咬傷に関連するそう痒症は皮膚用組成物の局所適用によって完全に軽減した。
【0199】
一般的に呼ばれるそう痒症は、それらの特徴または炎症もしくは過敏性反応がどの程度、病理学の一部であるかに関わらず、多くの皮膚科疾患に関連し得る。このような皮膚科疾患の非限定的な例は、尋常性ざ瘡、成人性湿疹、脱毛症、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性湿疹、手の湿疹、アトピー性皮膚炎、癌、小児の湿疹、手または足の慢性皮膚炎、接触性皮膚炎、接触性湿疹、円板状湿疹、昆虫咬傷による炎症、薬剤誘発性皮膚反応、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、湿疹、表皮水疱症、紅皮症、結節性紅斑、多形紅斑、手の湿疹、手足の皮膚炎、尋常性魚鱗癬、乳児湿疹、円錐角膜、毛孔性角化症慢性単純性苔癬、扁平苔癬、貨幣状皮膚炎、黒色腫、過剰処置による皮膚炎、天疱瘡、類天疱瘡、光線性皮膚症、ばら色粃糠疹、壊疽性膿皮症、汗疱、乾癬、結節性痒疹、酒さ、疥癬、脂漏性皮膚炎、脂漏、強皮症、シェーグレン病、うっ滞性皮膚炎、亜急性皮膚エリテマトーデス、日焼け、全身性エリテマトーデスの皮膚症状、白斑および蕁麻疹である。
【0200】
そう痒症の皮膚科学的原因は、時に、皮膚の過敏性反応または皮膚における1型もしくは4型アレルギー反応のようなアレルギー反応に関連する。このように、そう痒症はアトピー性皮膚炎およびそれらの様々なタイプ(アトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹)、ならびに接触性皮膚炎およびその様々なタイプ(アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、および過剰処置による皮膚炎)のようなアレルギー性接触性反応に関連し得る。
【0201】
典型的には、そう痒症は、昆虫咬傷および刺傷、水疱性類天疱瘡、皮膚T細胞性リンパ腫、疱疹状皮膚炎、毛包炎、扁平苔癬、慢性単純性苔癬、シラミ症(シラミ寄生)、結節性痒疹、乾癬、疥癬、日焼け、蕁麻疹および乾燥性湿疹の不快な症状である。
【0202】
従って、本発明の一つの好ましい態様において、皮膚におけるそう痒症の治療は、(昆虫咬傷による炎症などの)昆虫咬傷、昆虫刺傷、水疱性類天疱瘡、皮膚T細胞性リンパ腫、疱疹状皮膚炎、毛包炎、扁平苔癬、慢性単純性苔癬、シラミ症(シラミ寄生)、結節性痒疹、疥癬、日焼けおよび蕁麻疹に関連するまたはこれにより引き起こされる。
【0203】
さらにその他の態様は、老人性そう痒症、うっ滞性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎および脂漏を含む皮脂欠乏性湿疹のように典型的には過敏性反応を伴わない湿疹および皮膚炎の治療または予防を指す。
【0204】
本発明のさらなる態様において、そう痒症は次の一つの症状である:
(1)コリン性蕁麻疹(熱い風呂、発熱、運動に対する反応)および紅色汗疹(汗疹)を起こすような熱への曝露;
(2)ガラス繊維、グリセリルモノチオグリコレート、メチルメタクリレート(例えば、プレキシグラス)、セメントおよび染料中の二クロム酸カリウム、接着剤およびゴム中のロジンまたはエポキシ樹脂によって引き起こされるような職業上の曝露;
(3)フルコナゾール(ジフルカン)、イトラコナゾール(スポラノックス)、ケトコナゾール(ニゾラール)、アスピリン、ナイアシンアミドを含むビタミンBのような抗真菌物質などの全身性の薬剤投与、リファンピン(リファジン)、バンコマイシン(バンコシン)、ナイトレート(食品保存料)、キニジンおよび脊髄麻酔薬(顔面、頚部および上胸部に生じるそう痒症)に対する薬物過敏症;
(4)水原性そう痒症(真性赤血球増加症に伴う、任意の水への接触15分以内のそう痒)、コリン性蕁麻疹(温水に対する反応)、真性赤血球増加症、水泳者かゆみ症(淡水での水泳後7日間の皮疹)を起こすような水への曝露。
【0205】
このように、本発明のその他の関連する態様において、そう痒症は全身性の薬剤投与および水への曝露に関連するまたはこれにより引き起こされる。
【0206】
さらに、そう痒症は全身性の基礎疾患によっても引き起こされ得る。幅広い様々な全身性疾患が、診断上の皮膚病変を伴うことなく全般性のそう痒症を引き起こし得る。
【0207】
従って、本発明は、糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、副甲状腺障害、カルチノイド症候群、肝疾患、妊娠、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸(胆管内または肝外)、原発性胆汁性肝硬変、薬物誘発性胆汁うっ滞、慢性腎不全、尿毒症、真性赤血球増加症、鉄欠乏、ホジキン病、菌状息肉症、リンパ肉腫、慢性白血病、骨髄腫症、パラプロテイン血症、肥満細胞症、HIV、セザリー症候群(T細胞性リンパ腫)、白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、菌状息肉症、良性免疫グロブリン血症、全身性肥満細胞症、血液学的およびリンパ増殖性障害、癌腫症、各種臓器の腺癌および扁平上皮癌、脳の腫瘍、多発性硬化症、ならびに脳腫瘍より選択される全身性疾患に関連するまたはこれにより引き起こされるそう痒症の治療を態様とする。
【0208】
さらに、本発明はオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の効果を向上させるための皮膚科学的治療物質をさらに含む皮膚用組成物を提供する。
【0209】
皮膚科学的治療物質の代表的な例は、抗ヒスタミン、抗菌剤、抗真菌剤、抗そう痒症剤、抗ウイルス剤、寄生虫を駆除するための物質、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、麻酔物質、角質溶解剤、フリーラジカルを除去するための物質、金属キレート化物質、抗フケ物質、抗尋常性ざ瘡剤、サブスタンスPもしくはブラジキニンアンタゴニスト、またはNO合成酵素阻害剤である。
【0210】
本発明は実施例によってさらに詳細に説明される。
【0211】
実施例1は、水溶性の塩(モノエタノールアミン塩)の形のオキサプロジンの皮膚用組成物の代表的な製剤およびオキサプロジンの水溶性の塩の形成について説明する。
【0212】
実施例2、3および4は、それぞれ、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、昆虫咬傷による炎症、および乾癬に関連するそう痒症の治療におけるオキサプロジン(水溶性の塩として)の局所適用の有益な効果を示す。
【0213】
実施例5は、PDE-IV酵素のみを阻害するブフェキサマックでは実証できなかったオキサプロジンの新しい薬学的特性について示す。
【0214】
実施例6は、実験的な接触性皮膚炎の予防および治療における、17-吉草酸ベタメタゾンに見られるよりも強力な効果を示すオキサプロジンの用量関連性の顕著な効果について示す。
【0215】
実施例7は、オキサプロジンは実験的な接触性皮膚炎モデルにおいて耳の浮腫の形成を阻害し得るがブフェキサマックでは効果が観察できなかったことを示す。
【0216】
実施例8は、皮膚に局所的に適用した際にオキサプロジンは安全であり、高用量を適用した場合であっても感作性反応、光毒性または急性皮膚刺激性を引き起こさないことを示す。
【0217】
実施例9は、オキサプロジンの乳濁液(実施例1)が5%の濃度で28日間にわたって連続的に適用された場合であっても良好な皮膚耐用性を示すことを示す。
【0218】
実施例10および11は、それぞれ、手の湿疹および接触性皮膚炎の治療におけるオキサプロジンの効果に関する臨床評価について示す。
【0219】
実施例
実施例1
オキサプロジンのモノエタノールアミン塩は次の便利な方法に従って調製された。
オキサプロジン10.0gを軽く加温しながら酢酸エチル230mlに溶解した。
モノエタノールアミン2.3gを酢酸エチル30mlに溶解して、撹拌しながらオキサプロジン溶液に加えた。数秒後に顕著な沈殿が観察できた。この溶液を60分間冷却して、濾過によって塩を回収して乾燥させた。
本発明の局所性の薬学的組成物は、オキサプロジンのモノエタノールアミン塩の2.5%または5.0%を以下の組成(w/w)を持つ局所性乳濁液の水相に溶解することによって調製された。

疎水相
Tween 80(商標)(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン) 1%
Span 60(商標)(ソルビタンエステル型の乳化剤) 2%
中鎖トリグリセリド(MCT) 20%
白色ワセリン 10%
軽ワセリン 10%
セタノール 4%

親水相
オキサプロジンモノエタノールアミン塩 2.5%
水 42.5%
キサンタンガム 0.5%
グリセロール 2%
プロピレングリセロール 2%
ベンジルアルコール 0.5%
【0220】
この乳濁液は、先ず親油相および親水相の一部(キサンタンガムおよび水)を摂氏70度まで加熱して、それらを混合することによって調製された。残りの親水相は50℃まで加熱して加え、その後、撹拌しながら冷却する。
【0221】
実施例2
71歳の男性被験者が5年よりも長い期間、刺激性接触性皮膚炎を患っていた。皮膚炎は通常は脚に発症していた。皮膚炎の症状は、紅斑、鱗屑および顕著なそう痒症であった。最後の5年間、この被験者は紅斑に対しては比較的良好な治療効果を持つがそう痒症に対しては短期効果のない強力な局所ステロイドで定期的に治療されていた。強いそう痒を伴う皮膚炎の増悪期に、被験者はオキサプロジンのモノエタノールアミン塩5.0%を含有する実施例1の乳濁剤を用いた治療を開始した。被験者は、実施例1の乳濁剤の適用後20分にそう痒症の迅速かつ完全な緩和を経験した。有用性のこのレベルを維持するために、被験者は最初の日にはこの乳濁剤を1日3回、紅斑および鱗屑が次第に軽減した次の2週間には1日2回、繰り返し適用した。14日間治療後、紅斑は完全に消失し、治療を停止した。2週間後、紅斑は依然、再発していなかった。このことは、そう痒症に対してばかりでなく基礎疾患に対しても驚くほど良好な治療効果を示している。
【0222】
3.5歳の女児が少なくとも2年間にわたってアトピー性皮膚炎を患っていた。皮膚炎は顔面および身体の30%よりも多くに見られて、紅斑および顕著なそう痒症を特徴とした。被験者はヒドロコルチゾン軟膏またはピメクロリムスクリームを用いて定期的に治療されており、紅斑に対してはある程度効果があったがそう痒症に対しては短期の効果がなかった。顕著なそう痒症を伴う皮膚炎の増悪期に、被験者はオキサプロジンのモノエタノールアミン塩2.5%を含有する実施例1の乳濁剤を用いて治療を受けた。乳濁剤の適用15分後、被験者は8時間持続したそう痒症の完全な緩解を経験した。次の1週間は、必要な時に1日1〜3回、繰り返し投与を行い、毎回、そう痒症の完全な回復が見られた。投与週の期間中、紅斑の顕著な改善も認められて、そう痒症に対してばかりでなく基礎疾患に対しても驚くほど良好な治療効果が示された。
【0223】
実施例3
以前からそう痒症および浮腫を主な症状とする昆虫咬傷による炎症を経験していた37歳の女性を、蚊による昆虫咬傷後、オキサプロジンのモノエタノールアミン塩2.5%を含有する実施例1の乳濁剤で治療した。この治療により、乳濁剤の適用20分後にはそう痒症が完全に緩解し、浮腫は一晩で消失した。
【0224】
これに対して、ヒドロコルチゾン軟膏を用いたこれまでの蚊による攻撃の治療はそう痒症および浮腫をそれほど十分には軽減しなかった。
【0225】
実施例4
32歳の男性被験者が2年よりも長い期間、プラーク乾癬を患っていた。この疾患は、肘に紅斑、鱗屑および顕著なそう痒症を伴って見られた。症状の増悪期に、被験者はオキサプロジンのモノエタノールアミン塩5.0%を含有する請求項1の乳濁剤を用いて1日2回、2週間の治療を開始した。被験者は、初回治療後に迅速かつ顕著なそう痒症の軽減を経験した。有用性のこのレベルは治療の週全体を通して維持された。さらに紅斑および鱗屑の顕著な軽減が認められた。この場合も、このことは、そう痒症に対してばかりでなく基礎疾患に対しても驚くほど良好な治療効果を示している。
【0226】
実施例5
オキサプロジンの抗炎症性は、ホスホジエステラーゼPDEIV、タンパク質チロシンキナーゼSYKおよびタンパク質チロシンキナーゼZA70(ZAP-70)の酵素に対するオキサプロジンの阻害活性を評価することによって調べた。酵素アッセイはMSD Pharma Servicesが実施した。
【0227】
オキサプロジン(モノエタノールアミン塩として)の次の濃度が次の酵素の50%阻害(IC50)を示した。

【0228】
これに比して、ブフェキサマックはPDE-IV酵素に対してのみ阻害作用を示す。
【0229】
実施例6
オキサゾロン誘発性マウス耳浮腫アッセイにおける抗炎症作用に関するスクリーニング
オキサプロジンの抗炎症活性は、マウスにおけるオキサゾロン誘発性の耳の炎症に対してオキサプロジンを局所投与することによって評価した。このスクリーニング方法は、抗炎症薬のスクリーニングおよび評価において、特に接触性皮膚炎に見られる炎症に関して広く用いられる。17-吉草酸ベタメタゾンを陽性対照として用いた。
【0230】
モノエタノールアミン塩の形のオキサプロジンをアセトンを用いた希釈液として250〜1000μg/耳の量で局所的に投与した。ベタメタゾンは20μg/耳の量で局所的に投与した。ベタメタゾンは市販の吉草酸セレストン(登録商標)0.1%として適用した。
【0231】
試験手順
0日目
すべての群について、左右の耳にエタノール96%(w/v)中1.6%オキサゾロン20μlで免疫した。

7日目
電子測定ゲージを用いて、すべてのマウスの左右両側の耳の厚さを測定した。すべての群について、左右の耳にオキサゾロン 20μl(エタノール96%(w/v)中1.6%)で刺激した。オキサゾロン刺激の20分前および20分後に溶媒(アセトン)または被験物質の溶液を投与した。

8日目
オキサゾロン刺激の24時間後に電子測定ゲージを用いてすべてのマウスの耳の厚さを測定した。
【0232】
群、用量および動物番号は以下の通りである。

【0233】
耳の厚さ平均値および標準偏差を算出した。耳の腫脹は7日目および8日目の耳の厚さの差として算出した。耳の腫脹の阻害パーセントは、1群の耳の腫脹平均値と2〜5群の耳の腫脹平均値の差として評価して、パーセントで表した。
【0234】
統計
溶媒投与群およびその他の群における耳の腫脹の差は、ノンパラメトリックな統計分析方法であるMann-WhitneyのU検定を用いて有意性を調べた。要求される有意水準はp<0.05であった。
【0235】
結果
オキサゾロン刺激は耳に炎症を引き起こし、これは耳が腫脹および明赤色を示してから24時間後に溶媒投与群において顕著であった。被験物質は反応をある程度予防した。いずれの被験物質に対しても有害な反応は観察されなかった。
【0236】
耳の腫脹
下表に示すように、被験物質の様々な濃度が耳の腫脹を阻害した。

【0237】
結論
本発明のオキサプロジンモノエタノールアミン塩は用量依存性かつ極めて顕著な耳の腫脹の阻害を示した。最も高い用量で認められた阻害は、臨床的に用いられる用量の17-吉草酸ベタメタゾンに見られる阻害よりも著しく強力であった。このデータは、本発明のオキサプロジンモノエタノールアミン塩が接触性皮膚炎に対して強い抑制効果を有することを示す。
【0238】
実施例7
オキサゾロン誘発性マウス耳浮腫アッセイにおけるオキサプロジンおよびブフェキサマックの比較
ブフェキサマックと比較したオキサプロジンの抗炎症活性を、実施例6と同一の試験方法を用いて評価した。双方の被験物質は、96%エタノールに溶解して500μg/耳の用量で適用した。陽性対照であるベタメタゾンは20μg/耳の量で局所的に投与した。
【0239】
結果:
オキサプロジンは統計学的に有意な耳の浮腫の形成阻害を示したが、ブフェキサマックは耳の浮腫の形成を全く阻害しなかった。
【0240】
実施例8
急性皮膚刺激性
オキサプロジンのモノエタノールアミン塩としての試料は水で希釈することによって2段階の濃度(重量に基づいて2.5%および5%)で調製して、急性皮膚刺激性に関して試験を行った。
【0241】
手順:
各動物の右腹側部の非損傷皮膚部分に0.5mLの用量で試料を適用した。外科用粘着絆創膏を用いてパッチを固定した。左腹側部の未処置部分は対照とした。次の判定評価尺度に従って、パッチ除去後1時間、ならびに24、48および72時間後に皮膚反応を評価した。
【0242】
判定評価尺度:
紅斑(0:紅斑なし、1:軽微な紅斑(かろうじて識別できる)、2:はっきりした紅斑、3:中等度ないし重度の紅斑、4:痂皮形成(紅斑の判定を妨げる(深部病変))を伴う重度の紅斑(深紅色)。
【0243】
浮腫(0:浮腫なし、1:非常に軽微な浮腫(かろうじて識別できる)、2:軽微な浮腫(明確な縁が識別できる)、3:中等度の浮腫(膨隆)、4:高度の浮腫(1mmを超える膨隆と適用範囲を超えた広がり)。
【0244】
結果:
オキサプロジン(重量に基づいて2.5%)に関しては、検査時期に関わらず皮膚反応(紅斑および浮腫)は認められなかった。
【0245】
オキサプロジン(重量に基づいて5%)に関しては、1時間の判定時に適用部分にごく軽微な紅斑のみが認められた。この反応は試験2日目から3日目に完全に回復可能であった。
【0246】
光毒性:
モルモットの紫外線照射暴露後の皮膚反応のリスクについて検討するために、光毒性に関する試験を実施する。
【0247】
手順:
オキサプロジン塩の重量に基づいて2.5%または5%を含有する溶液を作成するために、オキサプロジン(モノエタノールアミン塩として供給された)を水で希釈した。この溶液を、各モルモットの右腹側部全体に0.5mLの用量で適用した。適用30分後に動物に紫外線(先ずUV-B、続いてUV-A)を照射した。
【0248】
動物は、光源VLX 3W(Biotronic, Vilbert Lourmat)を用いてUV-Aに関しては7000J/cm2、UV-Bに関しては150mJ/cm2の最大非紅斑用量(M.N.E.D)で照射を行った。
【0249】
結果:
照射後24および48時間に皮膚反応(紅斑および浮腫)の肉眼による評価を実施した。対照部分(8-メトキシソラレン:陽性対照、および製剤単独:陰性対照)に認められた反応に比して、光刺激性に繋がる肉眼的皮膚反応はなかった。従って、オキサプロジンは光毒性ではない。
【0250】
皮膚感作性
皮膚感作性に関する試験は、MagnussonおよびKligmanの方法(J. Invest, Dermatol. 1969. 52, 268-276)、ならびにO.E.C.D.ガイドライン、1992年7月17日付けNo.406、および96/54 E.E.C指令の試験法B.6に従って実施する
【0251】
手順:
オキサプロジン塩の重量に基づいて2.5%を含有する溶液を作成するために、オキサプロジン(モノエタノールアミン塩として供給)を水で希釈した。
【0252】
少なくとも5日間の馴化期間後、Dunkin-Hartley系の白色モルモットを被験物質に曝露した。
【0253】
最大非壊死濃度(M.N.N.C.)は、次の濃度を皮内経路により注入して測定した:生理食塩液で希釈した2.5%、1.25%、0.625%、0.3125%、0.1562%および0.078%。
【0254】
前最大非刺激性濃度(pre-M.N.I.C.)は、次の濃度において24時間の閉塞被覆下での被験物質の適用により調べた:生理食塩液で希釈した2.5%、1.25%、0.625%、0.3125%。
【0255】
最大非刺激性濃度(M.N.I.C.)は、先ず、生理食塩液を用いた皮内注入による感作期間、および蒸留水の局所適用とその後の18日間の休薬期間により調べた。被験物質を24時間、閉塞被覆下とする惹起期間中、白色モルモットの皮膚に対して被験物質を次の濃度で適用した:生理食塩液で希釈した2.5%、1.25%、0.625%、0.3125%。
【0256】
結果:
適用群の動物からの閉塞包帯除去後の検査期間中(惹起期間)、アレルギーを原因とする肉眼的皮膚反応は記録されなかった。陰性対照群の動物に、皮膚の不耐性反応は記録されなかった。従って、オキサプロジンモノエタノールアミン塩は感作性反応を引き起こさないことが明らかである。
【0257】
実施例9
オキサプロジン(モノエタノールアミン塩として)を重量に基づいて、それぞれ、2.5%および5%含有する乳濁液(実施例1)の皮膚耐用性は、ウサギの無傷皮膚に対して1日1羽当たり2mlの用量を連続28日間、毎日適用することによって調べた。
【0258】
28日間の期間中毎日、一日一回の乳濁液の適用直前に肉眼的な皮膚検査を行った。皮膚の紅斑、浮腫、乾燥、弾性および皮膚の皺襞の厚さを評価した。
【0259】
得られた結果は、数日間適用後に軽微な紅斑および浮腫を示したが、それぞれ、19日目および10日目には完全に回復していた。適用開始前に乾燥も認められ、軽微な皮膚皺襞の肥厚も認められた。本発明者は、乳濁剤が2.5%および5%の濃度のいずれも、28日間の反復適用後に良好な皮膚の経皮耐用性を示すと結論づけた。
【0260】
実施例10
手の湿疹を治療および予防するためのオキサプロジンまたは関連する化合物の効果は、手の慢性皮膚炎の見られる2治療群における1日2回、4週間の試験調製物または溶媒の盲検的投与において調べることができる。半数の患者はオキサプロジンのクリーム製剤、例えば、2.5%の濃度のオキサプロジンモノエタノールアミン塩で治療し、残りの半数はクリーム溶媒で治療した。臨床的評価は、初回治療前の1日目(ベースライン)、ならびに1、2、3および4週間治療後に実施する。さらに、患者は、患者の総合評価が実施される皮膚科学ライフクオリティー指数の調査のためのアンケートに回答する。適用される投与量は1日当たり約25mgであり、総投与量は約700mgである。
【0261】
臨床的評価は、手の湿疹の重症度に関する客観的かつ正確な評価であるHECSIスコアリング法に従って実施することができる。これには疾患の規模および強度の双方が反映される。それぞれの手を5つの部分(指先、指(先端部を除く)、手掌、手の甲および手首)に区分する。これらの各部分について、臨床徴候である、紅斑、硬化/丘疹形成、小水疱、亀裂、鱗屑および浮腫の各々の強度を次の4段階評価尺度に基づいてグレード化する:0=皮膚変化なし、1=軽度の疾患、2=中等度、3=重度。
【0262】
各部位(双方の手の全体)について、疾患部分のパーセントに関して臨床症状の程度に対して0〜4のスコアを与える:0=0%、1=1〜25%、2=26〜50%、3=51〜75%、4=76〜100%。
【0263】
最後に、各部位の程度に対して与えられたスコアに各臨床像(紅斑(E)、浸潤/丘疹形成(I)、小水疱(V)、亀裂(F)、鱗屑(S)、浮腫(O)の強度の合計を掛ける。
【0264】
実施例11
オキサプロジンまたは関連する化合物の接触性皮膚炎を治療および予防するための効果は、公知のニッケルアレルギーおよび試験部分の皮膚が健常である被験者を用いてヒトを対象とした無作為化による管理された二重盲検試験として臨床的に評価することができる。標準的な手順に従って、各被験者に対して、背部に位置する少なくとも3区画の健常皮膚を割り付けて、硫酸ニッケルIIワセリンを適用してこの区画のアレルギーを誘発し、試験医用薬を適用して有効性を調べる。試験医用薬は、試験区画への一日適用量が、それぞれ、約15mgおよび40mgである2.5%または5%の濃度のオキサプロジン、例えばオキサプロジンモノエタノールアミンのクリーム製剤であってよい。陽性対照として17-吉草酸ベタメタゾンクリーム0.1%が用いられ得て、一日適用量は約0.6mgベタメタゾン/日である。さらに、活性成分フリーの溶媒についても試験を行う。1日目に、試験医用薬、陽性対照および溶媒を試験区画に適用し(前処理)、例えば、特別な試験チャンバー(Finn Chambers(登録商標)、Epitest Ltd. Oy, Finland、内径 18mmを使用するなど、各試験調製物の約200μlをそれぞれの試験区画に適用する。
【0265】
翌日、予め処理した試験区画を、アレルギー反応を誘発するために二段階の濃度の硫酸ニッケルIIワセリンまたはワセリンにより1時間処理する。硫酸ニッケルIIワセリンの異なる濃度を用いた処理は、例えば、Finn Chambers(登録商標)、Epitest Ltd. Oy, Finland、内径 12mmの小さめの試験チャンバーを用いて限定された前処理試験区画の中央部のより狭い部分に実施する。硫酸ニッケルIIワセリンまたはワセリンの約30μlを使用する。この誘発後、試験調製物を用いた予防的治療の有効性を評価する。試験4日〜7日に、接触性皮膚炎の治療における有効性について評価するため、1日目について記載した通り、1日1回、試験調製物を適用する。TEWLにより測定される表皮バリア損傷の程度、クロマメトリー(chromametry)により測定される皮膚の発赤、およびスコアリングによって評価される臨床的な皮膚の状態を調べる。さらに、写真記録法を実施する。臨床的評価は次のスコアに従って実施する:
0=反応なし、1=紅斑、但し、硬化は見られない、2=紅斑、硬化、離散性の丘疹の可能性あり、3=紅斑、硬化、丘疹、小水疱、4=紅斑、硬化、周密な小水疱。
【0266】
表皮からの水分消失(蒸発計測法)は、皮膚損傷の評価のために広く用いられる非侵襲性の方法である。健常な無傷皮膚の表皮は、外部への水分消失を最小限に抑えるバリアである。このバリアの任意の損傷は水の透過性を高めて、これに対応してTEWLが増大する。硫酸ニッケルIIワセリン処理によって誘発されたアレルギー反応の見られる対象の損傷性試験区画では、高いTEWL値が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密接に関連する化合物が下記一般式Iによって定義される、水溶性の塩の形で提供されるオキサプロジンまたは密接に関連する化合物、および
(ii)1つまたは複数の皮膚科学的に許容される成分または担体を含む賦形剤
を含む、皮膚用組成物:

式中、
RはC1-3-アルキル、C2-3-アルケニルおよびC2-3-アルキニルより選択され、かつ任意でRは水素原子の一つをCN、ハロゲンOH、NH2およびNO2で置換することによって誘導体化されてもよく;
R1およびR2は、独立して、ヒドリド、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、C1-6-アルコキシル、CO、CHO、CO-Me、CO-Et、CN、ハロゲン、OH、OR'、NH2、NHR'、NR'R''、NO2、HSO2、R7-SO2より選択されるラジカルを示し;
R3およびR4は、独立して、ヒドリド、C1-6-アルキルおよびC2-6-アルケニルより選択されるラジカルを示し;
R5はOH、OR6、NH2、NHR'、NR'R''、SHおよびSR6より選択されるラジカルを示し;
R6はC1-6-アルキル、C2-6-アルケニルおよびアリールより選択されるラジカルを示し;
R7はC1-6-アルキル、アリール、NH2、NHR'およびNR'R''より選択されるラジカルを示し;
R'およびR''はC1-6-アルキルおよびC2-6-アルケニルより選択される同一または異なる基を示し;かつ
「アリール」は、フェニル、または一個の水素がC1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C1-6-アルコキシル、CO、CHO、CN、ハロゲン、OH、NH2およびNO2より選択される置換基によって置換されている一置換フェニルを意味し;
かつ、チアゾール環を提供するために、オキサゾール環の酸素が任意で硫黄(S)で置換されてもよい。
【請求項2】
前記塩が、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Cu+、Zn+、Mn+、アルキルフェニルアミン、アンモニア、2-アミノエタノール、アミノピリミジン、アミノピリジン、アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、ベタイン、カフェイン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エチレンジアミン、N-エチルモルフォリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、グリシノール、ヒドラバミン、イミダゾール、イソプロピルアミン、メグルミン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピペリジン、プロカイン、プリン、ピロリジン、テオブロミン、チアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、スペルミジン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、チロシン、シスチン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ヒスチジン、オルニチン、リジン、アルギニン、セリン、スレオニン、フェニルアラニンおよびグアニジン塩より選択される塩基付加塩である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記塩が形成された塩基付加塩であり、該塩基が8〜12の範囲のpKaを持つ有機アミンである、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
塩がオキサプロジンまたは密接に関連する化合物の2-アミノエタノール塩である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の塩が組成物の重量に基づいて0.5%〜10%の範囲の量である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の塩が重量に基づいて約2.5%の量である、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
オキサプロジンまたは密接に関連する化合物の水溶性の塩が重量に基づいて約5%の量である、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
pHが6.5〜7.8の範囲である、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
親水相のpHが6.5〜7.8の範囲である、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
前記賦形剤が、脂肪成分および/または油性成分を含む、重量に基づいて少なくとも30%の疎水相をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
脂肪成分が蜜蝋、パラフィン、ワセリン、トリグリセリド、脂肪酸のソルビタンエステル、固形マクロゴール、ならびに脂肪酸のソルビタンエステルおよびエチレンオキシドの間の縮合産物からなる群より選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
油性成分が、扁桃油、ひまし油、カカオバター、やし油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、落花生油、ケシの実油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、および、茶の実油、鉱油、脂肪油、流動パラフィン、鉱油、イソプロピルミリステート、蜜蝋、綿実油、セトステラリルアルコール、ラノリン、白色ワセリン、黄色ワセリン、カノーラ油、セチルアルコール(セタノール)、落花生油、オレイン酸、イソプロピルパルミテート、ひまし油、ステアリルアルコール、ホホバ油、ステアリン酸およびシリコーン油からなる群より選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
乳濁液、ゲル、溶液、リニメント剤、軟膏、スプレー、エアロゾルまたは粉末として製剤化される、前記請求項のいずれか一項記載の組成物。
【請求項14】
賦形剤が乳濁液である、請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物。
【請求項15】
乳濁液が非イオン性乳化剤を含む、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
非イオン性乳化剤が、グリコールおよびグリセロールエステルを含むポリオールエステル;脂肪酸のソルビタンエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルを含むソルビタン誘導体;ポリオキシエチレンエステル;ポリオキシエチレンエーテル;ポロキサマー;ノニルフェニルエーテルからなる群より選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
非イオン性乳化剤が脂肪酸のソルビタンエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステルからなる群より選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項18】
賦形剤が、重量に基づいて80〜95%の水、増粘剤、および任意で親水性溶媒を含む、重量に基づいて30%〜80%の親水相;ならびに脂肪成分、非イオン性乳化剤または非イオン性乳化剤の混合物、任意で1つまたは複数の油性成分、および任意で1つまたは複数の親油性溶媒を含む、重量に基づいて20%〜70%の疎水相を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項19】
密接に関連する化合物が以下からなる群より選択される、前記請求項のいずれか一項記載の組成物:
4,5-ジフェニルチアゾール-2-イル-プロピオン酸;
4,5-ジフェニルオキサゾール-2-イル-アクリル酸;
4,5-ジフェニルオキサゾール-2-イル-酢酸;
4,5-ジ-(4'-クロロフェニル)-オキサゾール-2-イル-プロピオン酸;
4-(4'-ブロモフェニル)-5-フェニルオキサゾール-2-イル-プロピオン酸;
4-(4-ヒドロキシフェニル-5-フェニル-2-オキサゾールプロパン酸;
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾールプロピオン酸;
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾール酢酸;
4-(4-フルオロフェニル)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-(3,4-ジクロロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-[3-クロロ-4-フルオロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-[4-クロロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールプロパン酸;
[4-(4-アミノスルホニルフェニル-5-(3,4-ジフルオロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-メチルスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾール酢酸;
[4-(4-メチルスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[4-(4-メチルスルホニルフェニル)-5-フェニル]-2-オキサゾールプロパン酸;
4-[4-アミノスルホニルフェニル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシフェニル)-2-オキサゾリル]-α-ブロモ酢酸;
5-(4-ニトロフェニル-4-フェニル-2-オキサゾール-2-イルプロピオン酸;
5-(4'-フルオロフェニル)-4-フェニルオキサゾール-2-イル-プロピオン酸;
5-(4-ヒドロキシフェニル-4-フェニル-2-オキサゾールプロパン酸;
5-(4-フルオロフェニル)-4-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-オキサゾールプロピオン酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-[4-クロロフェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル)]-2-オキサゾール酢酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル]-2-オキサゾールブタン酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル)]-2-オキサゾールプロパン酸;
[5-(4-アミノスルホニルフェニル)-4-フェニル]-2-オキサゾールプロピオン酸;および
薬学的に許容されるそれらの塩。
【請求項20】
誘導体が請求項1の一般式Iにより定義され、式中、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R'、R''、「アリール」および生物学的等価体(bioisoster)が請求項1において定義される、2-アミノエタノールおよびオキサプロジンまたはその誘導体の間の塩。
【請求項21】
対象において炎症性皮膚科疾患を治療する医用薬の調製のための、請求項1〜19のいずれか一項記載の皮膚用組成物の使用。
【請求項22】
炎症性皮膚科疾患が皮膚における過敏症反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項21記載の使用。
【請求項23】
炎症性皮膚科疾患が皮膚における1型アレルギーまたは4型アレルギー反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項21記載の使用。
【請求項24】
炎症性皮膚科疾患が尋常性ざ瘡、成人性湿疹、脱毛症、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性湿疹、手の湿疹、アトピー性皮膚炎、癌、小児の湿疹、手または足の慢性皮膚炎、接触性皮膚炎、接触性湿疹、円板状湿疹、昆虫咬傷による炎症、薬剤誘発性皮膚反応、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、湿疹、表皮水疱症、紅皮症、結節性紅斑、多形紅斑、手の湿疹、手足の皮膚炎、尋常性魚鱗癬、乳児湿疹、円錐角膜、毛孔性角化症慢性単純性苔癬、扁平苔癬、貨幣状皮膚炎、黒色腫、過剰処置による皮膚炎、天疱瘡、類天疱瘡、光線性皮膚症、ばら色粃糠疹、壊疽性膿皮症、汗疱、乾癬、結節性痒疹、酒さ、疥癬、脂漏性皮膚炎、脂漏、強皮症、シェーグレン病、うっ滞性皮膚炎、亜急性皮膚エリテマトーデス、日焼け、全身性エリテマトーデスの皮膚症状、白斑および蕁麻疹からなる群より選択される、請求項21記載の使用。
【請求項25】
炎症性皮膚科疾患が湿疹である、請求項21記載の使用。
【請求項26】
湿疹がアトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、過剰処置による皮膚炎、手の湿疹、皮脂欠乏性湿疹、うっ滞性皮膚炎、慢性単純性苔癬、脂漏性皮膚炎、脂漏および乾癬からなる群より選択される、請求項25記載の使用。
【請求項27】
対象の皮膚においてそう痒症を治療する医用薬の調製のための、請求項1〜19のいずれか一項記載の皮膚用組成物の使用。
【請求項28】
そう痒症が皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項29】
そう痒症が皮膚における過敏症反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項30】
そう痒症が皮膚における4型または1型アレルギー反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項31】
そう痒症が尋常性ざ瘡、成人性湿疹、脱毛症、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性湿疹、手の湿疹、アトピー性皮膚炎、癌、小児の湿疹、手または足の慢性皮膚炎、接触性皮膚炎、接触性湿疹、円板状湿疹、昆虫咬傷による炎症、薬剤誘発性皮膚反応、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、湿疹、表皮水疱症、紅皮症、結節性紅斑、多形紅斑、手の湿疹、手足の皮膚炎、尋常性魚鱗癬、乳児湿疹、円錐角膜、毛孔性角化症慢性単純性苔癬、扁平苔癬、貨幣状皮膚炎、黒色腫、過剰処置による皮膚炎、天疱瘡、類天疱瘡、光線性皮膚症、ばら色粃糠疹、壊疽性膿皮症、汗疱、乾癬、結節性痒疹、酒さ、疥癬、脂漏性皮膚炎、脂漏、強皮症、シェーグレン病、うっ滞性皮膚炎、亜急性皮膚エリテマトーデス、日焼け、全身性エリテマトーデスの皮膚症状、白斑および蕁麻疹からなる群より選択される皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項32】
そう痒症が湿疹に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項33】
湿疹がアトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎および過剰処置による皮膚炎からなる群より選択される、請求項32記載の使用。
【請求項34】
そう痒症が皮脂欠乏性湿疹、老人性そう痒症、うっ滞性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎および脂漏に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項35】
そう痒症が昆虫咬傷による炎症、水疱性類天疱瘡、皮膚T細胞性リンパ腫、疱疹状皮膚炎、毛包炎、扁平苔癬、慢性単純性苔癬、シラミ症、結節性痒疹、疥癬、日焼けおよび蕁麻疹からなる群より選択される皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項36】
そう痒症が全身性の薬物投与に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項37】
そう痒症が水への曝露に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項38】
そう痒症が糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、副甲状腺障害、カルチノイド症候群、肝疾患、妊娠、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸(胆管内または肝外)、原発性胆汁性肝硬変、薬物誘発性胆汁うっ滞、慢性腎不全、尿毒症、真性赤血球増加症、鉄欠乏、ホジキン病、菌状息肉症、リンパ肉腫、慢性白血病、骨髄腫症、パラプロテイン血症、肥満細胞症、HIV、セザリー症候群(T細胞性リンパ腫)、白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、菌状息肉症、良性免疫グロブリン血症、全身性肥満細胞症、血液学的およびリンパ増殖性障害、癌腫症、各種臓器の腺癌および扁平上皮癌、脳の腫瘍、多発性硬化症、ならびに脳腫瘍からなる群より選択される全身性疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項27記載の使用。
【請求項39】
対象がヒト、イヌ、ネコまたはウマである、請求項21〜38のいずれか一項記載の使用。
【請求項40】
炎症性皮膚科疾患の治療のための方法であって、それを必要とする対象の皮膚に対して請求項1〜19のいずれか一項記載の皮膚用組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項41】
炎症性皮膚科疾患が皮膚における過敏症反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項40記載の方法。
【請求項42】
炎症性皮膚科疾患が皮膚における1型アレルギーまたは4型アレルギー反応に関連する、請求項40記載の方法。
【請求項43】
炎症性皮膚科疾患が尋常性ざ瘡、成人性湿疹、脱毛症、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性湿疹、手の湿疹、アトピー性皮膚炎、癌、小児の湿疹、手または足の慢性皮膚炎、接触性皮膚炎、接触性湿疹、円板状湿疹、昆虫咬傷による炎症、薬剤誘発性皮膚反応、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、湿疹、表皮水疱症、紅皮症、結節性紅斑、多形紅斑、手の湿疹、手足の皮膚炎、尋常性魚鱗癬、乳児湿疹、円錐角膜、毛孔性角化症慢性単純性苔癬、扁平苔癬、貨幣状皮膚炎、黒色腫、過剰処置による皮膚炎、天疱瘡、類天疱瘡、光線性皮膚症、ばら色粃糠疹、壊疽性膿皮症、汗疱、乾癬、結節性痒疹、酒さ、疥癬、脂漏性皮膚炎、脂漏、強皮症、シェーグレン病、うっ滞性皮膚炎、亜急性皮膚エリテマトーデス、日焼け、全身性エリテマトーデスの皮膚症状、白斑および蕁麻疹からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
【請求項44】
炎症性皮膚科疾患が湿疹である、請求項40記載の方法。
【請求項45】
湿疹がアトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎、過剰処置による皮膚炎、手の湿疹、皮脂欠乏性湿疹、うっ滞性皮膚炎、慢性単純性苔癬、脂漏性皮膚炎、脂漏および乾癬からなる群より選択される、請求項44記載の方法。
【請求項46】
皮膚におけるそう痒症の治療のための方法であって、それを必要とする対象の皮膚に対して請求項1〜19のいずれか一項記載の皮膚用組成物を投与する段階を含む方法。
【請求項47】
そう痒症が皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項48】
そう痒症が皮膚における過敏症反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項49】
そう痒症が皮膚における4型または1型アレルギー反応に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項50】
そう痒症が尋常性ざ瘡、成人性湿疹、脱毛症、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性湿疹、手の湿疹、アトピー性皮膚炎、癌、小児の湿疹、手または足の慢性皮膚炎、接触性皮膚炎、接触性湿疹、円板状湿疹、昆虫咬傷による炎症、薬剤誘発性皮膚反応、疱疹状皮膚炎、円板状エリテマトーデス、湿疹、表皮水疱症、紅皮症、結節性紅斑、多形紅斑、手の湿疹、手足の皮膚炎、尋常性魚鱗癬、乳児湿疹、円錐角膜、毛孔性角化症慢性単純性苔癬、扁平苔癬、貨幣状皮膚炎、黒色腫、過剰処置による皮膚炎、天疱瘡、類天疱瘡、光線性皮膚症、ばら色粃糠疹、壊疽性膿皮症、汗疱、乾癬、結節性痒疹、酒さ、疥癬、脂漏性皮膚炎、脂漏、強皮症、シェーグレン病、うっ滞性皮膚炎、亜急性皮膚エリテマトーデス、日焼け、全身性エリテマトーデスの皮膚症状、白斑および蕁麻疹からなる群より選択される皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項51】
そう痒症が湿疹に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項52】
湿疹がアトピー性皮膚炎、手の湿疹、乳児湿疹、小児の湿疹、成人性湿疹、毛孔性角化症、尋常性魚鱗癬、手足の皮膚炎、円錐角膜、汗疱、円板状湿疹、貨幣状湿疹、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎および過剰処置による皮膚炎からなる群より選択される、請求項51記載の方法。
【請求項53】
そう痒症が皮脂欠乏性湿疹、老人性そう痒症、うっ滞性皮膚炎、乾癬、脂漏性皮膚炎および脂漏に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項54】
そう痒症が昆虫咬傷による炎症、水疱性類天疱瘡、皮膚T細胞性リンパ腫、疱疹状皮膚炎、毛包炎、扁平苔癬、慢性単純性苔癬、シラミ症
、結節性痒疹、疥癬、日焼けおよび蕁麻疹からなる群より選択される皮膚科疾患に関連するまたはこれにより引き起こされる、請求項46記載の方法。
【請求項55】
そう痒症が全身性の薬剤投与に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項56】
そう痒症が水への曝露に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項57】
そう痒症が糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、副甲状腺障害、カルチノイド症候群、肝疾患、妊娠、肝内胆汁うっ滞、閉塞性黄疸(胆管内または肝外)、原発性胆汁性肝硬変、薬物誘発性胆汁うっ滞、慢性腎不全、尿毒症、真性赤血球増加症、鉄欠乏、ホジキン病、菌状息肉症、リンパ肉腫、慢性白血病、骨髄腫症、パラプロテイン血症、肥満細胞症、HIV、セザリー症候群(T細胞性リンパ腫)、白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、菌状息肉症、良性免疫グロブリン血症、全身性肥満細胞症、血液学的およびリンパ増殖性の障害、癌腫症、各種臓器の腺癌および扁平上皮癌、脳の腫瘍、多発性硬化症、ならびに脳腫瘍からなる群より選択される全身性疾患に関連する、請求項46記載の方法。
【請求項58】
対象がヒト、イヌ、ネコまたはウマである、請求項40または46のいずれか一項記載の方法。

【公表番号】特表2008−534528(P2008−534528A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503368(P2008−503368)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000181
【国際公開番号】WO2006/102900
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507324061)アスション ファーマ エー/エス (4)
【Fターム(参考)】