説明

皮膜被覆物品、その製造方法及び皮膜形成用塗工材料

基材と、該基材表面に被覆された微小凹凸を有する皮膜とを有する物品であって、前記微小凹凸は、微粒子が不均一に堆積されてなる部分を有することを特徴とする皮膜被覆物品であり、微小凹凸と透明性を両立させた珪素酸化物を主成分とする皮膜を用いた皮膜被覆物品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、皮膜被覆物品、その製造方法及び皮膜形成用塗工材料に関する。特に、微小凹凸が形成され珪素酸化物を主成分とする皮膜を用いた超親水性皮膜被覆物品、防曇性皮膜被覆物品、あるいは機能性皮膜被覆物品の礎となる皮膜が形成された皮膜被覆物品、その製造方法及びこれらの皮膜形成用の塗工材料に関する。
【背景技術】
ガラス、樹脂やその他の基材の表面に、撥水性や親水性を持たせるためには、その表面に凹凸を形成させるとよい。
一般に固体表面の濡れ性は、表面の粗度によって影響を受ける。すなわち、固体表面が親水的な場合には粗表面の親水性は向上し、逆に疎水的な場合には粗表面の撥水性は向上する。この現象は、表面がフラクタル構造を持つ場合に顕著に現れ、その結果、フラクタル表面はその材質によって、超撥水表面あるいは超親水表面となり得る、とされる。
なお、水の接触角度が150度を超えるような撥水性の状態は、一般に超撥水性と呼ばれている。また、水の接触角度の測定が困難なほどの親水性の状態は、超親水性と呼ばれている。
また、基材表面が結露した場合、通常はその水滴で光が乱反射を起こすために、白く曇る現象が起こる。しかし、その表面が親水性の場合は、結露した水滴が水膜になるため、光が乱反射を起こさず、曇りが発生しない。つまり、基材表面が超親水性になるほど、優れた防曇性が発現される。
ガラス、樹脂やその他の基材の表面に凹凸を形成させる方法として種々の方法が知られており、例えば、プラスチックフィルムの表面にプラズマ処理によって微小な突起を形成させる方法(特開平6−25449号公報)、金属アルコキシドの重縮合物、金属酸化微粒子、及びフルオロアルキル基を有するシラン化合物を含む処理液をガラス表面に塗布し乾燥させることで、その表面に微細な凹凸構造を形成させる方法(特開平11−286784号公報)、トリアルコキシシランの重縮合物を含む塗布液を基板上に塗布し、熱処理することにより、表面に凹凸を形成させる方法(特開2000−144116号公報)、アルミニウム化合物を含む溶液を基体に塗布して皮膜を形成し、温水に浸漬することにより、表面に微細な凹凸を形成させる方法(特開2001−17907号公報)、金属アルコキシドと、溶媒中でこれらと分相し、かつ室温から700℃までの温度で分解、燃焼、昇華する特性を有する物質が溶剤に添加された溶液を基材に塗布して、熱処理することにより、平均孔径100nm〜2μmの微小多孔層を形成させる方法(特開2001−207123号公報)等が挙げられる。
しかしながら、上記特開平6−25449号公報、特開平11−286784号公報及び特開2001−207123号公報に開示された方法では、膜の膜厚及び/又は凹凸が大きい。このため、透過光が散乱し、ヘイズ(haze)値が上がるので、皮膜の透明性が低くなってしまう。
また特開2000−144116号公報及び特開2001−207123号公報に開示された技術では、塗布液を基材に塗布した後、高温で熱処理する必要があるため、基材は耐熱性の高い材料に限られる。また熱処理が必要となってしまう。
さらに、特開平6−25449号公報に開示された方法では、プラズマ処理で凹凸を形成させるため、このための処理装置が必要となってしまう。
また、特開2001−17907号公報に開示された方法では、温水浸漬で凹凸を形成させるため、温水の供給装置が必要となってしまう。
本発明は、このような状況下で、微小凹凸と透明性を両立させた珪素酸化物を主成分とする皮膜を用いた皮膜被覆物品を提供することを目的とする。さらに本発明は、皮膜を形成するための塗工材料と、該塗工材料を用いて該皮膜物品を製造する方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、
(1)基材と、該基材表面に被覆された微小凹凸を有する皮膜とを有する物品であって、前記微小凹凸は、微粒子が不均一に堆積されてなる部分を有することを特徴とする皮膜被覆物品、
(2)前記皮膜は、珪素酸化物を主成分とする皮膜である上記(1)に記載の皮膜被覆物品、
(3)前記皮膜の平均膜厚(H)が30nm以上200nm以下であり、かつ皮膜表面における最大高さ(Ry)と平均膜厚(H)の差が50nm以上である上記(1)又は(2)に記載の皮膜被覆物品、
(4)前記微粒子の直径は5〜100nmである上記(1)に記載の皮膜被覆物品、
(5)前記皮膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で少なくとも10nmであり、かつ皮膜のヘイズ率は1%以下である上記(1)に記載の皮膜被覆物品、
(6)前記皮膜の表面に、2mgの水滴を滴下して測定した水の接触角が10度以下である上記(1)に記載の皮膜被覆物品、
(7)前記基材は、透明なガラス板、樹脂板又は樹脂フィルムのいずれかである上記(1)に記載の皮膜被覆物品、
(8)基材表面に、珪素酸化物を主成分とし、かつ珪素酸化物微粒子が不均一に堆積されてなる部分を有する皮膜を形成するための塗工材料であって、珪素酸化物微粒子を含む溶液からなる皮膜形成用塗工材料、
(9)前記珪素酸化物微粒子は、三次元的に結合した形状を含み、該珪素酸化物微粒子を含む溶液の溶媒は、珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒であることを特徴とする上記(8)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(10)前記珪素酸化物微粒子は、直径5〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで三次元的に結合した形状を含む上記(9)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(11)前記珪素酸化物微粒子は、前記球状の微粒子が環状に結合した形状を含むことを特徴とする上記(10)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(12)前記珪素酸化物微粒子は、一次元から三次元的に結合した形状を含み、珪素酸化物微粒子を含む溶液の溶媒は、珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒と分散できない溶媒の混合溶媒であることを特徴とする上記(8)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(13)前記珪素酸化物微粒子は、直径5〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで一次元から三次元に結合した形状を含む上記(12)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(14)前記珪素酸化物微粒子は、前記球状の微粒子が鎖状及び/又は環状に結合した形状を含む上記(13)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(15)前記珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒は、親水性溶媒を含むものである上記(9)又は(12)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(16)前記親水性溶媒は、アルコール系溶媒である請求項15に記載の皮膜形成用塗工材料、
(17)前記珪素酸化物微粒子が分散できない溶媒は、非水系溶媒である上記(12)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(18)前記非水系溶媒は、炭化水素系溶媒及び/又はシリコーン系溶媒である上記(17)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(19)前記混合溶媒は、珪素酸化物微粒子が分散できない溶媒より、分散できる溶媒の方が揮発しやすいことを特徴とする上記(12)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(20)珪素酸化物微粒子を含む溶液にさらに金属化合物及び/又は水ガラスを添加することを特徴とする上記(8)に記載の皮膜形成用塗工材料、
(21)基材と、該基材表面に被覆された微小凹凸を有する皮膜とを有する物品の製造方法であって、基材表面に珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布する工程と、珪素酸化物微粒子が基材表面に不均一に堆積されることにより、微小凹凸を有する皮膜が形成される工程を含むことを特徴とする皮膜被覆物品の製造方法、
(22)珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布した後、常温で塗布溶液を自然乾燥する上記(21)に記載の皮膜被覆物品の製造方法、
(23)前記珪素酸化物微粒子は、一次元から三次元的に結合した形状を含み、該珪素酸化物微粒子を含む溶液の溶媒は、該珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒と分散できない溶媒の混合溶媒であり、珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布する工程において、少なくとも珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒が揮発するまで、基材表面を、珪素酸化物微粒子を含む溶液で濡らした状態に維持する上記(21)に記載の皮膜被覆物品の製造方法、
(24)前記珪素酸化物微粒子を含む溶液に金属化合物及び/又は水ガラスを添加し、該珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布した後、常温で塗布溶液を自然乾燥し、さらに150〜650℃で焼成する上記(21)に記載の皮膜被覆物品の製造方法、
を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の皮膜被覆ガラス板の表面形状を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の皮膜被覆物品における皮膜は、例えばシリカ等の珪素酸化物を主成分とした微粒子を、不均一でランダムに堆積させた構造を有している。さらに、この皮膜は、その高さを不均一とすることで、表面粗さを大きくするとともに、微粒子の間の微小な空間に空気を保持できる構造としている。
本発明では、微粒子一つの大きさを直径5〜100nmの範囲とすることが好ましく、さらに10〜100nmの範囲、特には10〜50nmの範囲とすることが好ましい。微粒子の大きさが直径5nm未満であると、有効な凹凸が得られない場合があり、一方、微粒子の大きさが100nmを超えると、皮膜の透明性が損なわれ、ヘイズ値が上がる場合がある。
また本発明では、皮膜の平均膜厚(H)は30nm以上200nm以下であることが好ましく、かつ皮膜表面における最大高さ(Ry)と平均膜厚(H)の差が50nm以上であることが好ましい。このことにより反射色調がニュートラルであり、かつヘイズ値が低くなり好適である。平均膜厚(H)が30nm以上であると、十分な親水性及び/又は防曇性が得られ、平均膜厚(H)が200nm以下であると反射が虹色に見え、反射色が目立つ等の不都合がない。また最大高さ(Ry)と平均膜厚(H)の差が50nm以上であると超親水性及び/又は防曇性を発現させるに十分な微小凹凸構造を構成し得るため好ましい。以上の観点から、皮膜の平均膜厚(H)は30nm以上100nm以下であることがさらに好ましい。
さらに、前記微粒子は基材表面にランダムに堆積させることが好ましく、皮膜表面の最低点と最高点では、微粒子の数で少なくとも2個分、さらに好ましくは3個分以上の差があることが好ましく、最大高さ(Ry)は、さらに100nm以上とすることが好ましい。
また、前記微粒子が基材表面に堆積されている部分と堆積されていない部分が形成されていることが好ましい。このことにより、皮膜表面の最低点と最高点の差を大きくすることができ、超親水性及び/又は防曇性を発現させるに十分な微小凹凸構造となり、かつ微粒子が堆積されていない面積が大きくなるほど皮膜のヘイズ値が低くなり好適である。上記効果を十分達成するためには、微粒子が堆積されている部分の面積割合が30〜90%の範囲であることが好ましく、さらには50〜80%の範囲であることが好ましい。
なお、本明細書において、最大高さ(Ry)とは、JIS B 0601(1994)によって定義される値である。
このような構成とすることにより、超親水性及び/又は防曇性の礎となる微小な凹凸構造と皮膜の透明性を両立することができる。
なお、これらの数値は、後述するように、走査型電子顕微鏡での皮膜の表面形状を観察測定した結果、およびその皮膜の親水性に基づいて決定したものである。
さらに、「主成分」なる用語は、50質量%以上を占める成分を意味する用語として用いる。
従来技術では、一度平滑な表面を形成した後に、プラズマや温水処理、高温焼成等で表面に凹凸を形成させる方法がよく用いられていた。しかし、これらの方法では、設備のコストが非常に高くかかるだけでなく、凹凸を形成する基材にも制限があった。例えば、自動車に取り付けられた状態のガラス板に、これらの方法を適用することは実質上不可能である。
一方、本発明によれば、基材表面にコーティング溶液を塗布し、その溶液を乾燥させればよいので、基材やその状態を選ぶことがない。
また本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で少なくとも10nmであり、かつ皮膜のヘイズ値は1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。このように、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、透明性にも優れている。
上述のように一般に表面粗さが大きいほど、親水性能を向上させることができる。しかし、従来の技術で形成された凹凸表面は、表面粗さが大きくなるにつれ、皮膜のヘイズ値も大きくなり、親水性能と透明性を両立することが困難であった。
なお、皮膜の表面粗さの上限は、特に限定されないが、ヘイズ値が1.0%以下である表面粗さであることが好ましい。
従来の技術に対して、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、その表面の微粒子による凹凸の効果で表面粗さを大きくしており、かつその間に空気を保持できる微小な凹凸構造を有している。珪素酸化物を主成分とする皮膜は基本的に親水性であるので、本発明による珪素酸化物を主成分とする皮膜は、微小な凹凸構造と相まって超親水性を示すことになる。さらに、この珪素酸化物を主成分とする皮膜は、防曇性を有し、またこの該皮膜は、超撥水性や防汚性を示す機能性皮膜の下地膜とすることができる。
本発明において、皮膜は、珪素酸化物を主成分とし、さらに他の成分、例えばチタン酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物等の金属酸化物を含んでいてもよい。
本発明における珪素酸化物を主成分とする皮膜の形成方法においては、基材表面に微粒子をランダムに堆積させることが最も重要である。従来技術では、例えば、球状のシリカ微粒子を溶媒に分散させ、そこにバインダーとしてシリカ材料を添加した溶液を基材表面に塗布していた。しかし、この従来技術の方法では、微粒子が比較的均一に積層しやすいため、得られた皮膜は超親水性を発現させる程度の凹凸は形成されなかった。
そこで本発明では、基材表面に微粒子をランダムに堆積させる方法として、珪素酸化物微粒子とその微粒子を分散させる溶媒の組み合わせに着目し、次の2通りの組み合わせが好ましいことを見いだした。
(第1の方法)
第1の方法では、三次元に結合した形状を含む珪素酸化物微粒子とこの微粒子を分散できる溶媒を組み合わせることがポイントである。このときの微粒子は、直径5〜100nm、好ましくは10〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで三次元的に結合したものが好ましく、さらに、直径10〜50nmの球状の微粒子が40〜200nmの長さで三次元的に結合したものが好ましく用いられる。また、三次元的に結合した形状とは、例えば、三次元の環状が挙げられる。
この方法では、三次元的に結合した形状の微粒子を使用することに特徴がある。この微粒子を含有する溶液を基材表面に塗布すると、三次元的に結合した形状の微粒子同士が絡み合って基材表面に積層するため、形成された皮膜は、微粒子が不均一でランダムに堆積された形状になると考えられる。
このときの溶媒は、前記微粒子が分散できる溶媒であれば、特に限定されないが、例えば親水性溶媒を含むものを用いることができ、親水性溶媒のなかでは取り扱いに優れるアルコール系溶媒が好ましく用いられる。
また、揮発性の異なる2種類以上の混合溶媒を用いることが好ましく、特に高湿環境下で成膜する場合には、成膜時のヘイズ(白化)の発生を防止することができ、好ましい。溶液を基材板に塗布するに際し、溶媒が乾燥するときに基板表面は溶媒の気化熱で冷却され、空気中の水分が基材表面に結露しやすくなる、特に高湿環境下での成膜では結露量が多くなり、その結果としてヘイズ値の上昇につながると考えられる。これに対し、揮発性の異なる2種類以上の混合溶媒を用いることによって乾燥を多段階とすると、1液目が乾燥する際にも2液目以降の溶媒が残るために、結露の影響が抑制されたものになると考えられる。
この第1の方法では、前記溶液を基材表面に塗布した後、塗布溶液を自然乾燥させる。溶液が乾燥すれば、特に塗布から乾燥の環境条件は限定されず、常温でもかまわない。
(第2の方法)
第2の方法では、一次元から三次元に結合した形状を含む珪素酸化物微粒子と、この微粒子が分散できる溶媒と、分散できない溶媒の混合溶媒を組み合わせることがポイントである。このときの微粒子は、直径5〜100nm、好ましくは10〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで一次元から三次元的に結合したものが好ましく、さらに、直径10〜50nmの球状の微粒子が40〜200nmの長さで一次元から三次元的に結合したものが好ましく用いられる。ここで、一又は二次元に結合した形状とは、例えば、一又は二次元の鎖状が挙げられ、三次元的に結合した形状とは、例えば、三次元の環状が挙げられる。
この方法では、前記第1の方法と異なり、珪素酸化物微粒子の形状が一又は二次元に結合したものでもかまわない。これは、微粒子を分散させる溶媒を、微粒子が分散できる溶媒と分散できない溶媒の混合溶媒とすることに特徴があるためである。
珪素酸化物微粒子が分散できない溶媒に珪素酸化物微粒子を添加すると、微粒子は沈殿してしまう。そこでこの第2の方法では、微粒子が分散できる溶媒と、分散できない溶媒の混合溶媒に微粒子を分散した。溶液中の微粒子は、微粒子が分散できる溶媒に分散された状態で存在し、本溶液を基材表面に塗布すると、先に微粒子が分散できる溶媒が揮発することで、基材表面には微粒子が分散できない溶媒だけが残り、微粒子は分散できなくなって、ガラス基板に堆積する仕組みである。このとき、溶液中から押し出された様に微粒子が基材表面に堆積されるため、微粒子は不均一でランダムに堆積されると考えている。
したがって第2の方法では、一又は二次元に結合した珪素酸化物微粒子でも超親水性を発現する凹凸を形成することが可能となった。
ここで、微粒子が分散できる溶媒と、分散できない溶媒の混合比率については、珪素酸化物微粒子が分散されていれば特に限定されないが、微粒子が分散できる溶媒/微粒子が分散できない溶媒の比で、0.3〜10であることが好ましく、さらには0.6〜5が好ましい。該混合比率が0.3以上であると、混合溶媒中に微粒子が十分に分散され、沈殿することがなく好ましい。一方、該混合比率が10以下であると、微粒子が不均一で、かつランダムに堆積されやすく、好適である。
また、第2の方法における混合溶媒は、前述の通り、微粒子が分散できない溶媒より、分散できる溶媒の方が揮発しやすくする必要がある。微粒子が分散できる溶媒の揮発性が低いと、混合溶媒が完全に揮発するまで珪素酸化物微粒子が溶媒中に分散されているため、基材表面に濃縮されながら微粒子が積層され、比較的均一な微粒子の積層が形成されると考えられる。
このときの微粒子が分散できる溶媒は、例えば親水性溶媒を含むものが挙げられ、取り扱いに優れるアルコール系溶媒を含むものが好ましく用いられる。また、微粒子が分散できない溶媒は、前記微粒子が分散できる溶媒と混合できる溶媒であれば、特に限定されないが、例えば、炭化水素系溶媒及び/又はシリコーン系溶媒等の非水系溶媒が挙げられる。
第2の方法では、前記溶液を基材表面に塗布した後、少なくとも微粒子が分散できる溶媒が揮発するまで、前記基材表面を前記溶液で濡らした状態を維持することが好ましい。溶液を塗らした状態で維持する時間が短いと、微粒子が基材表面に十分堆積できない場合があり、好ましくない。
次に、皮膜を形成するための珪素酸化物微粒子を含む溶液には、さらに金属化合物及び/又は水ガラスを添加することが好ましい。金属化合物及び/又は水ガラスを添加することで、これらがバインダーの役割を果たし本発明の皮膜被覆物品の耐久性が向上する。
金属化合物として用いる金属としては、珪素、ジルコニウム、アルミニウム、セリウム又はチタニウムが好ましく、これらの金属の塩化物、アルコキシド又はアセチルアセナートを用いることが好ましい。これらのうち特に珪素の塩化物又は珪素のアルコキシドが好ましい。
上記金属化合物を用いる場合においては、皮膜を塗布し、常温で自然乾燥し、さらに150℃〜650℃で焼成することが好ましい。
上記第1の方法及び第2の方法で用いる塗工材料は、本発明に包含されるものであり、この塗工材料を用いることによって、本発明の皮膜被覆物品を容易に製造することができる。
本発明の応用例として、皮膜の上には、さらに機能性皮膜を形成することができ、その場合には、珪素酸化物を主成分とする皮膜をあらかじめ作成しておき、その上に機能性皮膜形成溶液を塗布してもよいし、前記皮膜を形成する溶液に機能性材料を添加し、1コートで基材表面に本発明の皮膜を形成させ、その上に機能性皮膜を形成させることも可能である。
機能性皮膜としては、種々のものがあり、例えば撥水性皮膜や防汚性皮膜などが挙げられる。撥水性皮膜を形成する場合には、撥水機能を発現する撥水基として、フルオロアルキル基又はアルキル基を挙げることができる。撥水材料としては、このようなフルオロアルキル基又はアルキル基を含有し、予め基材表面に形成される珪素酸化物を主成分とする皮膜と相性のよい加水分解可能な基を含有するシラン化合物が好ましい。加水分解可能な基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、塩素基などが挙げられる。これら加水分解可能な基を含有するシラン化合物が、部分的に加水分解した加水分解物や、縮重合した重合物を用いることも可能である。
撥水材料を溶解する溶媒は、撥水材料が溶解すれば特に限定されず、親水性溶媒でも非水系溶媒でもかまわない。親水性溶媒としては、取り扱いに優れるアルコール系溶媒が好ましく、非水系溶媒としては、パラフィン系炭化水素やフロン系溶媒、シリコーン油を主成分とする溶媒等が挙げられる。
本発明の皮膜の上に、上述した撥水性皮膜を形成すると、超撥水性を示す皮膜を形成することができ、好ましい。
なお、機能性皮膜を、先に形成した珪素酸化物を主成分とする皮膜上に形成させるに際し、微小凹凸を破壊しないために、珪素酸化物を主成分とする皮膜に機械的な接触なしに、機能性皮膜形成溶液を塗布することが好ましい。具体的方法としては、例えばフローコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、バーコーティング法、浸漬吸着法などが挙げられる。効率よく塗布するためには、このうちフローコーティング法やスプレーコーティング法が好ましい。
また、機能性皮膜として、防汚性皮膜を形成する場合には、この防汚性皮膜として、ポリアルキレンオキシ基を含有する有機皮膜があることが好ましい。
本発明に用いられる基材としては、特に限定されないが、該基材の表面に親水性基を有するものが好ましく用いられる。具体的には、ガラス、セラミックス、プラスチックあるいは金属等を材料として挙げることができ、これらを用いた透明なガラス板、樹脂板又は樹脂フィルムのいずれかを用いることが好ましい。
また、これらの基材の表面に親水性基が少ない場合には、その表面を予め酸素を含むプラズマ又はコロナ雰囲気で処理して親水性化するとよい。あるいは、基材表面を、酸素を含む雰囲気中で、200〜300nm付近の波長の紫外線を照射して、親水性化処理を行った後に、本発明を適用するとよい。
また本発明における珪素酸化物を主成分とする皮膜は、その低い屈折率と表面凹凸の効果で、低反射性も示す。
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
【実施例1】
1次粒径10〜15nmの球状コロイダルシリカが、三次元に結合したパールスライク(パールネックレス状)コロイダルシリカ(PS−SO:日産化学工業(株)製)1.15gをエタノール98.85gに添加し、5分間撹拌して、皮膜用の塗布溶液を得た。
この皮膜形成用の塗布溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、皮膜被覆ガラス板を得た。
こうして得られた撥水処理ガラス板の表面形状を、走査型電子顕微鏡(「S−4700型」、日立製作所(株)製)を用いて、加速電圧5kV、エミッション電流10μA、傾斜角度10度、観察倍率10万倍の条件で観察した。その結果を図1に示す。図1の結果より、皮膜被覆ガラス板の表面は、微粒子が不均一に堆積されている形状であることが確認できた。
また、皮膜被覆ガラス板の表面粗さについて、電子間力顕微鏡(「SPI3700」、セイコー電子(株)製)を用いて、サイクリックコンタクトモードで、平均粗さRaを測定した。このRaの値が大きいほど、皮膜表面の凹凸が大きいことを表している。
さらに皮膜被覆ガラス板について、その親水性能を水の接触角で評価した。接触角計(「CA−DT」、協和界面科学(株)製)を用い、1mgの質量の水滴をガラス板表面に滴下して、静的接触角を測定した。なおこの接触角の値が小さいほど、親水性が優れていることを表している。
また、得られた皮膜被覆ガラス板について、その膜の透明性を曇価で評価した。曇価は、直読ヘイズコンピューター(「HGM−2DM」、スガ試験機(株)製)を用いて測定した。なおこの曇価の値が小さいほど、皮膜の透明性が高いことを表している。
さらに、皮膜被覆ガラス板について、その防曇性能を、呼気を吹きかけることにより評価した(以下「防曇性試験」という)。防曇性試験において、その評価を以下の3段階で行った。曇りの発生しないものを○、曇りがわずかに発生し、像が歪むものを△、完全に曇るものを×とした。
【実施例2】
実施例1で用いたパールスライクコロイダルシリカ1.15gと、粒径40〜50nmの球状コロイダルシリカ(ST−OL:日産化学工業(株)製)0.00042gを、エタノール98.85gに添加し、5分間撹拌して、皮膜形成用の塗布溶液を得た。
この皮膜形成用の塗布溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、皮膜被覆ガラス板を得た。
【実施例3】
1次粒径10〜20nmの球状コロイダルシリカが、40〜100nmの長さで一次元から二次元に結合した鎖状コロイダルシリカ(ST−OUP:日産化学工業(株)製)1.15gを、エタノール40.0gとデカメチルシクロペンタシロキサン(KF−995:信越シリコーン製)58.85gの混合溶媒に添加し、5分間撹拌して、皮膜形成用の塗布溶液を得た。
この皮膜形成用の塗布溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、皮膜被覆ガラス板を得た。
【実施例4】
実施例3において、デカメチルシクロペンタシロキサンをイソパラフィン系炭化水素(アイソゾール300:日本石油化学(株)製)に変更した以外は、実施例3と同様にして皮膜被覆ガラス板を得た。
【実施例5】
イソプロピルアルコール97.61gに、実施例1で用いたパールスライクコロイダルシリカ1.15gとテトラエトキシシラン(Si(OCHCH:信越シリコーン製)0.24gを加えて5分間撹拌して、さらに0.1規定の塩酸1.0gを加えて、5分間撹拌して皮膜形成用の塗布溶液を得た。
この皮膜形成用の塗布溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、皮膜被覆ガラス板を得た。
【実施例6】
イソプロピルアルコール294.0gに、実施例1で用いたパールスライクコロイダルシリカ6.0gを加えて5分間撹拌して、さらにモレキュラーシーブ(ビーズ径2mm、穴径0.3mm:関東化学(株)製)50gを加えて5分間撹拌した後7日間静置して、シリカ微粒子分散液の脱水処理物を得た。
イソプロピルアルコール43.0gに、該シリカ微粒子分散液の脱水処理物57.0gを加えて、5分間撹拌して皮膜形成用の塗布溶液を得た。
この皮膜形成用の塗布溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、皮膜被覆ガラス板を得た。
【実施例7】
実施例6で調製した皮膜形成用の塗布溶液を、洗浄したガラス基板の表面上に、相対湿度70%、室温下でフローコート法にて塗布し、自然乾燥させ、皮膜被覆ガラス板を得た。
実施例1〜7で得られた皮膜被覆ガラス板は、走査型電子顕微鏡を用いてその表面形状を観察したところ、全ての皮膜において微粒子が不均一でランダムに堆積されている形状であることを確認した。
また、実施例1〜7で得られた皮膜被覆ガラス板の表面粗さは、電子間力顕微鏡を用いて測定したところ、全ての皮膜でRa=15nm以上と、10nm以上であることが確認でき、皮膜表面の表面粗さが大きいことが確かめられた。
上述した実施例1〜7に関する以下の特性(・表面粗さ、・初期接触角、・曇価)について、表1にまとめた。

表1から明らかなように、本発明の皮膜被覆ガラス板の親水性を水の接触角で評価したところ、正確に測定できないほどの角度であって、5度以下であることが確認された。また、曇価は、1.0%以下であり、透明性が高く、また、透過色調、反射色調ともにニュートラルであり、外観上の問題もないことが確認された。
さらに実施例1〜7で得られた皮膜被覆ガラス板の水に対する濡れ性を観察した結果、すべての皮膜で水滴がよく濡れ広がることが確認され、また呼気を吹きかけても曇りが発生せず、防曇性も確認された。
また実施例1〜7で得られた皮膜被覆ガラス板は、反射もよく抑えられていた。これは、シリカを主成分とする皮膜の低屈折率と表面凹凸の効果によるものと、考えられる。
比較例1
実施例1において、パールスライクコロイダルシリカを実施例3で用いた鎖状コロイダルシリカに変更した以外は、実施例1と同様にして皮膜被覆ガラス板を得た。
得られた皮膜被覆ガラス板の防曇性試験を行った結果、評価結果は△であった。
比較例2
実施例3において、鎖状コロイダルシリカを実施例2で用いた球状コロイダルシリカに変更した以外は、実施例3と同様にして皮膜被覆ガラス板を得た。
得られた皮膜被覆ガラス板の防曇性試験を行った結果、評価結果は△であった。
応用例
ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF(CF(CHSiCl)2gを、デカメチルシクロペンタシロキサン98gに撹拌しながら添加し、撥水処理剤を得た。
実施例1〜7、比較例1及び2の皮膜被覆ガラス板の表面上に、該撥水処理剤を相対湿度30%、室温下でフローコート法にて塗布し、1分間撥水処理剤でガラス基板を濡らしたまま静置させ、その後、エタノールで表面の撥水処理剤を完全に洗い流して自然乾燥させ、撥水処理ガラス板を得た。
こうして得られた撥水処理ガラス板の表面上に、実施例1と同じ接触角計を用い、2mgの質量の水滴を滴下して、静的接触角を測定したところ、実施例1〜7により得られた撥水処理ガラス板を用いた場合には、全てが150度以上を示し、超撥水性を示すことが確認された。
一方、比較例1による撥水処理ガラス板を用いた場合は、接触角が140度であり、比較例2による撥水処理ガラス板を用いた場合は、接触角が112度であり、撥水性能に劣り、超撥水性は確認されなかった。
以上のように、本発明の皮膜被覆物品を撥水処理剤で処理することによって、超撥水性を発現させることができる。
【産業上の利用可能性】
以上説明してきたように、本発明では、皮膜被覆物品において、珪素酸化物を主成分とする皮膜を、微粒子が不均一に堆積されてなるもので構成することによって、微小凹凸と透明性を両立させている。その結果、皮膜として透明性を有しながら、優れた親水性及び防曇性を有する。
また、本発明の皮膜被覆物品における、珪素酸化物を主成分とする皮膜は、機能性皮膜被覆物品の礎となる皮膜として有用である。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材表面に被覆された微小凹凸を有する皮膜とを有する物品であって、前記微小凹凸は、微粒子が不均一に堆積されてなる部分を有することを特徴とする皮膜被覆物品。
【請求項2】
前記皮膜は、珪素酸化物を主成分とする皮膜である請求項1に記載の皮膜被覆物品。
【請求項3】
前記皮膜の平均膜厚(H)が30nm以上200nm以下であり、かつ皮膜表面における最大高さ(Ry)と平均膜厚(H)の差が50nm以上である請求項1又は2に記載の皮膜被覆物品。
【請求項4】
前記微粒子の直径は5〜100nmである請求項1に記載の皮膜被覆物品。
【請求項5】
前記皮膜の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で少なくとも10nmであり、かつ皮膜のヘイズ率は1%以下である請求項1に記載の皮膜被覆物品。
【請求項6】
前記皮膜の表面に、2mgの水滴を滴下して測定した水の接触角が10度以下である請求項1に記載の皮膜被覆物品。
【請求項7】
前記基材は、透明なガラス板、樹脂板又は樹脂フィルムのいずれかである請求項1に記載の皮膜被覆物品。
【請求項8】
基材表面に、珪素酸化物を主成分とし、かつ珪素酸化物微粒子が不均一に堆積されてなる部分を有する皮膜を形成するための塗工材料であって、珪素酸化物微粒子を含む溶液からなる皮膜形成用塗工材料。
【請求項9】
前記珪素酸化物微粒子は、三次元的に結合した形状を含み、該珪素酸化物微粒子を含む溶液の溶媒は、珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒であることを特徴とする請求項8に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項10】
前記珪素酸化物微粒子は、直径5〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで三次元的に結合した形状を含む請求項9に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項11】
前記珪素酸化物微粒子は、前記球状の微粒子が環状に結合した形状を含むことを特徴とする請求項10に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項12】
前記珪素酸化物微粒子は、一次元から三次元的に結合した形状を含み、珪素酸化物微粒子を含む溶液の溶媒は、珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒と分散できない溶媒の混合溶媒であることを特徴とする請求項8に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項13】
前記珪素酸化物微粒子は、直径5〜100nmの球状の微粒子が30〜300nmの長さで一次元から三次元に結合した形状を含む請求項12に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項14】
前記珪素酸化物微粒子は、前記球状の微粒子が鎖状及び/又は環状に結合した形状を含む請求項13に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項15】
前記珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒は、親水性溶媒を含むものである請求項9又は12に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項16】
前記親水性溶媒は、アルコール系溶媒である請求項15に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項17】
前記珪素酸化物微粒子が分散できない溶媒は、非水系溶媒である請求項12に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項18】
前記非水系溶媒は、炭化水素系溶媒及び/又はシリコーン系溶媒である請求項17に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項19】
前記混合溶媒は、珪素酸化物微粒子が分散できない溶媒より、分散できる溶媒の方が揮発しやすいことを特徴とする請求項12に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項20】
珪素酸化物微粒子を含む溶液にさらに金属化合物及び/又は水ガラスを添加することを特徴とする請求項8に記載の皮膜形成用塗工材料。
【請求項21】
基材と、該基材表面に被覆された微小凹凸を有する皮膜とを有する物品の製造方法であって、基材表面に珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布する工程と、珪素酸化物微粒子が基材表面に不均一に堆積されることにより、微小凹凸を有する皮膜が形成される工程を含むことを特徴とする皮膜被覆物品の製造方法。
【請求項22】
珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布した後、常温で塗布溶液を自然乾燥する請求項21に記載の皮膜被覆物品の製造方法。
【請求項23】
前記珪素酸化物微粒子は、一次元から三次元的に結合した形状を含み、該珪素酸化物微粒子を含む溶液の溶媒は、該珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒と分散できない溶媒の混合溶媒であり、珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布する工程において、少なくとも珪素酸化物微粒子が分散できる溶媒が揮発するまで、基材表面を、珪素酸化物微粒子を含む溶液で濡らした状態に維持する請求項21に記載の皮膜被覆物品の製造方法。
【請求項24】
前記珪素酸化物微粒子を含む溶液に金属化合物及び/又は水ガラスを添加し、該珪素酸化物微粒子を含む溶液を塗布した後、常温で塗布溶液を自然乾燥し、さらに150〜650℃で焼成する請求項21に記載の皮膜被覆物品の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/052639
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502369(P2005−502369)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015812
【国際出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】