説明

皮革様基材、その製造方法、及び該皮革様基材を用いた紐

【課題】天然皮革を細断して得られる皮革材の紐により近い強度等を有する皮革様の紐を提供することを目的とする。
【解決手段】不織布を含む皮革様基材であって、不織布は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合シートであり、繊維束が最も配向している面方向をMD、MDに直行する面方向をCDとした場合、MDの垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、CDの垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上であり、MDの破断強力が2kg/mm2以上であり、5%伸長時強力が0.6kg/mm2以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布を含む皮革様基材およびその製造方法、ならびに該皮革様基材を用いて得られる紐に関する。詳しくは、主として、靴紐や野球グローブの紐等の製造に好適に用いられる紐に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不織布を含む皮革様基材が知られている。このような皮革様基材は、履物、鞄、衣類、家具等の表面素材になる人工皮革の製造に広く用いられている。
【0003】
また、不織布を含む皮革様基材を細断して得られる紐も知られている。このような紐は、衣料、インテリア製品用の織編物の材料や、靴紐、野球グローブのレース編みの紐などに用いられている。
【0004】
下記特許文献1は、不織布を含む特定の皮革様基材を細断して得られた紐を開示している。具体的には、下記特許文献1は、片面に銀面を有する繊維質基体からなり、表裏の色が異なる皮革状ヤーンを開示する。このような皮革状ヤーンは、強度及び弾性が高い等の力学特性に優れていると記載されている。
【0005】
また、下記特許文献2も、特定の方法により得られた皮革様基材を細断して得られた紐を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−150133号公報
【特許文献2】国際公開2008/120702号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、不織布を含む皮革様基材を細断して得られた紐は従来から知られている。しかし、従来の不織布を含む皮革様基材を細断して得られる紐は、天然皮革を細断して得られる皮革材の紐に比べて強度が低かった。従って、靴紐や野球グローブの紐等に用いる場合には、耐久性に乏しかった。
【0008】
本発明は、より高い強度を有する皮革様の紐を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面は、不織布を含む皮革様基材であって、不織布は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合シートであり、繊維束が最も配向している面方向をMD、MDに直行する面方向をCDとした場合、MDの垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、CDの垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上であり、MDの破断強力が2kg/mm2以上であり、5%伸長時強力が0.6kg/mm2以上である。このような皮革様基材をMDに平行に細断して形成された紐は、繊維束を長さ方向に高配向させていることにより、優れた強度を有する。また、5%伸長時強力が0.6kg/mm2以上であることにより、紐を結ぶために長さ方向に繰り返し引っ張っても、経時的に伸びることが抑制される。また、配向性が高い平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束を主体とすることにより、しなやかな紐が得られるために反発性が抑えられて結び易く、また、結んだ紐はほどけにくい。
【0010】
また、不織布の見かけ密度が0.5g/cm3以上であることが、紐として繰り返し使用した場合に結び目が潰れたりしにくくなる点から好ましい。
【0011】
また、皮革様基材はMDに平行に幅2〜10mmに細断されていることがより高い強度が得られる点から好ましい。
【0012】
また、皮革様基材は、不織布の少なくとも一面に樹脂表皮層を有することが好ましい。
【0013】
また、本発明の他の一局面は、不織布を含む紐であって、不織布は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合体であり、長さ方向の垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、幅方向の垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上であり、長さ方向において、破断強力が23kg/本以上であり、5%伸長時強力が6.0kg/本以上である。このような紐は、優れた強度と結び易さを有し、また、紐を結ぶために長さ方向に繰り返し引っ張っても、経時的に伸びることが抑制される。また、結んだ紐はほどけにくい。
【0014】
不織布の見かけ密度は0.5g/cm3以上であり、紐の幅は、2〜10mmであることが好ましい。また、不織布の少なくとも一面に樹脂表皮層を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明の他の一局面は、ポリエステルを島成分とし、後の工程で除去可能な樹脂を海成分とする、平均繊度1〜4dtexの海島型複合長繊維からなる長繊維ウェブを形成する工程と、複数枚の長繊維ウェブを積み重ねて積重ウェブを形成する工程と、積重ウェブを三次元的に絡合させることにより、長繊維ウェブ絡合シートを形成する工程と、長繊維ウェブ絡合シートは湿熱収縮させることにより繊維束を緻密化させる工程と、湿熱収縮された長繊維ウェブ絡合シートを形成する海島型複合長繊維から海成分を除去することにより、ポリエステル極細長繊維の繊維束絡合シートを形成する工程と、繊維束が配向している方向に前記繊維束絡合シートを10%以上加熱延伸する工程と、を含む皮革様基材の製造方法である。
【0016】
また、繊維束が配向している方向に平行に細断する工程をさらに含むことにより、強度に優れ、繰り返し伸ばしても伸びが抑制される紐状の皮革様基材が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、天然皮革から得られる皮革紐のように高い強度を有し、また繰り返し伸ばしても伸びにくい皮革様の紐が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の一例である皮革様基材のMD方向のSEMによる撮像である。
【図2】本実施形態の一例である皮革様基材のCD方向のSEMによる撮像である。
【図3】本実施形態の紐を製造する際の皮革様基材を細断する工程を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る皮革様基材の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の皮革様基材の、繊維束が最も配向している面方向(MD:Machine Direction)の垂直断面の撮像の一例である。また、図2は、同じ皮革様基材の、MDに直行する面方向(CD:Cross Machine Direction)の撮像の一例である。
【0020】
本実施形態の皮革様基材は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細繊維の長繊維(以下、単に極細長繊維とも呼ぶ)の繊維束が三次元的に絡合された不織布(絡合シート)を含む。
【0021】
そして、MDの垂直断面に観察される繊維束の数密度(A)は、40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する前記数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上である。具体的には、例えば、図1には、MDの垂直断面の一辺200μmの正方形中に、囲み線で示したように、例えば24個の繊維束の垂直断面が観察され、図2には、CDの垂直断面の一辺200μmの正方形中に、囲み線で示したように、例えば11個の繊維束の垂直断面が観察されている。
【0022】
極細長繊維を形成するポリエステルは、特に限定されないが、具体的には、ポリエチレンテレフタレート,イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
また、極細長繊維を形成するポリエステルは、染料や顔料等の着色剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、消臭剤、防かび剤、各種安定剤等を必要に応じて含有してもよい。
【0024】
本実施形態の皮革様基材は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合体である不織布を含む。極細長繊維の平均単繊維繊度は0.5dtex以下であり、0.0001〜0.5dtex、さらには0.001〜0.2dtexの範囲であることが好ましい。平均単繊維繊度が0.5dtexを超える場合には、得られる皮革様基材のしなやかさが低下し、また、表面平滑性が低下して靴紐として用いた場合にほどけ易くなる。また、平均単繊維繊度が低すぎる場合には、生産性が低下する傾向がある。
【0025】
ここで極細長繊維とは、紡糸後に意図的にカットされた短繊維ではない、連続的な長繊維に由来する極細繊維であることを意味する。さらに具体的には、繊維長が3〜80mm程度になるように意図的に切断された短繊維に由来するものではない長繊維に由来する極細繊維であることを意味する。極細繊維化する前の長繊維の繊維長は100mm以上であることが好ましく、技術的に製造可能であり、かつ、製造工程において不可避的に切断されない限り、数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。なお、後述する絡合時のニードルパンチや、表面のバフィングにより、製造工程において不可避的に長繊維の一部が切断されて短繊維になっていてもよい。
【0026】
一つの繊維束を形成する極細長繊維の本数はとくに限定されないが、5〜70本さらには、10〜50本であることが好ましい。一つの繊維束を形成する極細長繊維の本数が多すぎる場合には量産性やしなやかさが低下する傾向があり、少なすぎる場合には、強度が低下する傾向がある。
【0027】
また、繊維束の平均繊度はとくに限定されないが、0.5〜3dtex、さらには1〜2dtexであることが好ましい。
【0028】
そして、本実施形態の皮革様基材は、MDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上である。このような皮革様基材は、後述するように、例えば、製造時に絡合シート中の繊維束が最も配向している方向に10%以上加熱延伸させるような方法により極細繊維を延伸配向させて形成された、MDに極細繊維が高配向された不織布を含む。
【0029】
MDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(A)は40000μm2あたり平均15個以上であり、好ましくは平均18〜30個であり、さらに好ましくは平均20〜28個である。MDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個未満の場合には、紐に加工して使用した場合に強度が充分に高くならず、また繰り返し使用した場合に伸び易くなる。また、数密度(A)が高すぎる場合には紐に加工したときに反発性が高くなりすぎてしなやかさが低下して結ぶにくくなる傾向がある。
【0030】
また、CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)は40000μm2あたり平均5〜15個であり、さらには平均7〜13個であることが好ましい。CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)が高すぎる場合には、相対的に数密度(A)が低くなり、紐に加工して使用した場合に強度が充分に高くならず、また繰り返し使用した場合に伸び易くなる。
【0031】
また、CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する、数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))は平均2以上であり、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2.5〜3.5である。数密度(A)/数密度(B)が2未満の場合には紐に加工して使用した場合に強度が充分に高くならず、また繰り返し使用した場合に伸び易くなる。
【0032】
本実施形態の皮革様基材は、MDにおける、破断強力が2kg/mm2以上であり、5%伸長時強力が0.6kg/mm2以上である。なお、破断強力及び5%伸長時強力は不織布の延伸度及び繊維の緻密さを反映している。破断強力は2kg/mm2以上であり、好ましくは2.4kg/mm2以上、さらに好ましくは2.6kg/mm2以上である。また、5%伸長時強力は0.6kg/mm2以上であり、好ましくは0.7kg/mm2以上、さらに好ましくは0.9kg/mm2以上である。破断強力が2kg/mm2未満または5%伸長時強力が0.6kg/mm2未満の場合には、延伸度または繊維の緻密さが充分でないために紐に加工して使用した場合に強度が充分に高くならない。
【0033】
不織布は、極細長繊維の繊維束が三次元的に絡合された絡合シートである。このような不織布は、例えば、後述するように、長繊維の海島型複合繊維(以下、単に海島型繊維とも呼ぶ)のウェブを三次元的に絡合させた絡合シートの海成分のみを溶解除去または分解除去することによって得られる。
【0034】
海島型繊維は、例えば、相溶性を有しない2種のポリマーを混合して溶融し、紡糸口金から吐出する混合紡糸方法や、相溶性を有しない2種のポリマーを別々に溶融し、各溶融物を紡糸口金で合流させ吐出する複合紡糸方法により紡糸される。そして、得られた海島型繊維の海成分を溶解除去または分解除去することによって極細長繊維の繊維束が形成される。海島型繊維の断面における島数は10〜100個、さらには15〜50個であることが好ましく、また、海成分と島成分との質量比は10:90〜70:30であることが好ましい。
【0035】
島成分を形成する樹脂はポリエステルである。ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートや、これらのイソフタル酸変性体のような変性ポリエステル類等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、海成分を形成する樹脂の具体例としては、例えば、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等により選択的に溶解除去または分解除去される熱可塑性樹脂であって、溶融紡糸が可能な樹脂が好ましく用いられる。このような水溶性熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、水溶性ポリビニルアルコール系樹脂(PVA系樹脂);ポリエチレングリコール及び/又はスルホン酸アルカリ金属塩を共重合成分として含有する変性ポリエステル;ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらの中では、特に、PVA系樹脂が好ましく用いられる。
【0036】
本実施形態の不織布の製造においては、はじめに、海島型繊維の長繊維からなる長繊維ウェブが形成される。このような長繊維ウェブは、いわゆるスパンボンド法により形成されることが好ましい。具体的には、長繊維ウェブは、例えば、紡糸口金から吐出された海島型繊維を形成するための溶融ポリマーをエアージェットノズルのような吸引装置により2000〜5000m/分の速度で牽引細化して延伸した後、開繊させながら移動式の捕集面上に堆積させて長繊維ウェブを形成させることにより形成される。延伸された海島型複合長繊維の繊度は1〜4dtex、さらには2〜3dtexであることが好ましい。また、長繊維ウェブの目付けとしては、例えば20〜50g/m2程度であることが好ましい。
【0037】
そして、複数層の長繊維ウェブを積層した積重ウェブを形成した後、積重ウェブを三次元絡合させることにより長繊維の海島型繊維からなる絡合シート(以下、単に、長繊維ウェブ絡合シートとも呼ぶ)が得られる。
【0038】
積重ウェブは、繊維束の配向方向を揃えるように製造ラインの進行方向に平行なMDに平行に積層されると、複数層の長繊維ウェブが互いの繊維束の配向方向が揃えられるため一方向に繊維束が配向した基材を得るのに有利であるが、特に積層する際に繊維束の方向を制限する必要は無く、公知のウェブ積層装置(例えばクロスラップ設備)を用いて得られる。
【0039】
長繊維ウェブの積層数はとくに限定されないが10〜50層、さらには20〜35層であることが好ましい。
【0040】
このようにして形成された積重ウェブをニードルパンチ処理や高圧水流などにより三次元絡合処理することにより海島型繊維の長繊維ウェブ絡合シートが得られる。ニードルパンチ処理の場合、例えば、両面から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件で行うことが好ましい。パンチング密度はとくに限定されないが、300〜5000パンチ/cm2の範囲、さらには500〜3500パンチ/cm2の範囲であることが好ましい。また、このようにして得られる長繊維ウェブ絡合シートの目付けは特に限定されないが、800〜1500g/m2であることが好ましい。
【0041】
得られた長繊維ウェブ絡合シートは、湿熱収縮処理により収縮させて繊維束をさらに緻密化されることが好ましい。
【0042】
湿熱収縮処理は、スチーム加熱、熱水処理などの吸水条件下で行うことが好ましい。スチーム加熱条件としては、雰囲気温度が60〜130℃の範囲で、相対湿度75%以上、さらには相対湿度90%以上で、60〜600秒間加熱処理することが好ましい。このような加熱条件の場合には、絡合不織布を高収縮率で収縮させることができる点から好ましい。なお、相対湿度が低すぎる場合には、繊維に接触した水分が速やかに乾燥することにより、収縮が不充分になる傾向がある。
【0043】
また、熱水処理条件としては、50〜130℃の範囲、さらには60〜95℃の範囲であることが高収縮率で収縮させることができる点から好ましい。なお、温度が低すぎる場合には、収縮が不充分になる傾向があり、また、温度が高すぎる場合には、収縮が不均一になりやすい傾向がある。
【0044】
湿熱収縮処理においては、長繊維ウェブ絡合シートを面積収縮率が30%以上、さらには、40%以上になるように収縮させることが好ましい。
【0045】
なお、面積収縮率(%)は、下記式(1):
(収縮処理前のシート面の面積−収縮処理後のシート面の面積)/収縮処理前のシート面の面積×100・・・(1)、
により計算される。面積は、シートの表面の面積と裏面の面積の平均面積を意味する。
【0046】
次に、湿熱収縮処理した長繊維ウェブ絡合シートの海島型複合繊維中の海成分の樹脂を抽出除去する極細繊維化処理について説明する。
【0047】
極細繊維化処理は、湿熱収縮処理された長繊維ウェブ絡合シートを、水、アルカリ性水溶液、酸性水溶液等で熱水加熱処理することにより、海成分を形成する樹脂を溶解除去または分解除去してポリエステル極細長繊維の繊維束絡合シート(以下、単に極細長繊維束絡合シートとも呼ぶ)を形成する処理である。
【0048】
熱水加熱処理の条件の具体例としては、例えば、湿熱収縮処理された長繊維ウェブ絡合シートを、85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理することが好ましい。また、海成分の溶解効率を高めるために、必要に応じて、ディップ・ニップ処理、高圧水流処理、超音波処理、シャワー処理、攪拌処理、揉み処理等を行ってもよい。これらの操作は必要に応じて繰り返し行うことが好ましい。
【0049】
熱水加熱処理により、海島型複合繊維から海成分を除去する際に、形成される極細長繊維が大きく捲縮される。この捲縮により繊維密度が緻密になるために、高密度の極細長繊維束絡合シートが得られる。
【0050】
次にこのようにして得られた極細長繊維束絡合シートは、繊維束が最も配向している方向であるMDに略平行な方向に10%以上加熱延伸される。このような加熱延伸処理により、繊維束をよりMDに略平行な方向に配向させるとともに、極細長繊維をさらに延伸することにより、破断強力が2kg/mm2以上であり、5%伸長時強力が0.6kg/mm2以上である、本実施形態の不織布が形成される。
【0051】
加熱延伸処理は、例えば、スチーム乾燥機や赤外線乾燥機等の加熱炉を用いて、MD方向に荷重を掛けながら、雰囲気温度80〜130℃の条件で延伸処理するような条件が選ばれる。
【0052】
加熱延伸処理においては、極細長繊維束絡合シートのMDに略平行な方向に、例えば、
0.1〜0.4kg/mm2、さらには0.2〜0.3kg/mm2の荷重を付与しながら加熱処理することが好ましい。
【0053】
加熱延伸処理によるMDに略平行な方向への延伸率は、好ましくは、元の長さに対して10%以上、より好ましくは15〜30%延伸させることが好ましい。延伸率が低すぎる場合には、繊維束のMDに略平行な方向への配向が不充分になるとともに、極細長繊維が充分に延伸されないために、破断強力及び5%伸長時強力が充分に高められない傾向がある。
【0054】
このようにして得られる本実施形態の不織布は、見かけ密度0.5〜0.8g/cm3、さらには0.5〜0.7g/cm3、目付け1300〜2500g/m2、さらには1600〜2000g/m2、厚み1.5〜3.5mm、さらには2.0〜3.3mmであることが好ましい。
【0055】
また、本実施形態の不織布には、必要に応じて公知の揉み処理が施されてもよい。揉み処理により、柔軟性及び天然皮革に似た揉みシワを付与することができる。揉み処理は、高圧液体流染色機、ウインス、タンブラー、および機械的な揉み機等公知の手段を用いることができる。
【0056】
また、本実施形態の不織布には風合いを調整するために必要に応じてその内部に公知の高分子弾性体を含浸付与してもよい。高分子弾性体としてはポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体、シリコンゴム等が挙げられる。なお、不織布の加熱延伸処理の前に高分子弾性体を含浸付与した場合には、前述した加熱延伸処理により極細長繊維が延伸しにくくなる。従って、不織布の内部に高分子弾性体を含浸付与する場合には、不織布の重量に対し、0.05〜10質量%、さらには0.05〜5質量%のような、一般的な皮革様基材に含浸付与される高分子弾性体の量よりも少なくすることが好ましい。
【0057】
本実施形態の不織布はこのままで紐の材料となる皮革様基材として用いることができるが、さらに不織布の表面に樹脂表皮層を形成して紐の材料となる皮革様基材として用いてもよい。このような樹脂表皮層は、皮革様基材の表面に耐久性や天然皮革に似た外観を付与したり、さらには、紐として用いた場合に結び目をほどけにくくしたりすることにも寄与しうる高分子弾性体からなる層である。
【0058】
樹脂表皮層は、例えば、離型紙上に乾式造面された高分子弾性体シートを不織布の表面に接着剤で接着した後、離型紙を剥離する乾式造面法や、不織布の表面に高分子弾性体の溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬して不織布の表面で高分子弾性体を凝固させる湿式造面法等により形成される。
【0059】
高分子弾性体の種類は特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリウレタン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの共重合体、シリコンゴム等が挙げられる。これらの中では、良好な風合が得られる点からポリウレタンがとくに好ましい。ポリウレタンのソフトセグメントはポリエステル単位、ポリエーテル単位、ポリカーボネート単位の中から1種類または複数種類選択される。樹脂表皮層に要求される耐磨耗性を充分に確保する点から、ポリエーテル系ポリウレタンまたはポリカーボネート系ポリウレタンを樹脂成分とすることがとくに好ましい。また、高分子弾性体は単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、必要に応じて、顔料、染料、凝固調節剤、安定剤などを含有してもよい。
【0060】
高分子弾性体の溶液または分散液を調整するための溶媒または分散媒は特に限定されない。具体的には、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルエチケトン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒であっても、水系溶媒であってもよい。これらの中ではポリウレタンの良溶媒で、湿式凝固性に優れている点から、DMFがとくに好ましい。このような高分子弾性体の溶液または分散液を絡合不織布に含浸させて、液温25〜70℃の水浴中あるいは高分子弾性体の良溶剤と水との混合液浴中に浸漬することにより高分子弾性体を湿式凝固させることができる。
【0061】
樹脂表皮層の厚みとしては10〜50μm、さらには20〜40μmの範囲であることが好ましい。また樹脂表皮層は、必要に応じて、顔料、充填剤、耐光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤等の添加剤を含有してもよい。
【0062】
このようにして得られた本実施形態の皮革様基材1は、図3に示すように、上述したような不織布の繊維束が配向している方向であるMDに略平行な方向に、例えば、2〜10mmの幅に細断することにより紐2に加工される。
【0063】
このようにして得られた紐は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合体である不織布を含み、長さ方向の垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、幅方向の垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上であり、長さ方向において、破断強力が23kg/本以上であり、5%伸長時強力が6kg/本以上である。破断伸びは、120%以下であることが好ましく、110%以下であることがより好ましい。また、このような紐は天然皮革を細断して得られる皮革材の紐により近い強度を有する皮革様の紐である。従って、靴紐や、野球グローブのレース編みの紐のような高強度が求められる革紐の用途に好ましく用いられる。
【実施例】
【0064】
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。各種特性は以下の方法により測定した。
【0065】
(1)MD及びCDの各垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度の測定
例えば図1及び図2に示すように、不織布のMD方向及びCD方向のそれぞれの垂直断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で100〜500倍で観察して撮像を得た。そして得られた撮像から平均的に選んだ200×200μmの正方形の領域に観察された繊維束の垂直断面の数を数えた。これをMD方向及びCD方向のそれぞれについて満遍なく選んだ5箇所で計数を行ない、それぞれの平均値を算出することにより、40000μm2あたりの繊維束の垂直断面の数を求めた。
【0066】
(2)極細長繊維の平均繊度
「(1)」で得られた撮像から満遍なく選んだ10個の繊維束を構成する極細長繊維の断面積を求め、平均化した。そして、得られた平均断面積とポリエステルの比重(1.38g/cm3)から極細長繊維の平均繊度を求めた。
【0067】
(3)破断強力及び5%伸長時強力
JIS L1096の8.12.1「引張強度試験」において、2.5cm×16cmの試験片を記載の測定方法に準じて求めた。応力−歪み曲線から5%伸びたときの応力及び破断したときの応力を読み取り、5%伸長時強力及び破断強力をそれぞれ求めた。
【0068】
(4)紐の破断強力、破断伸び
得られた紐の破断強力及び破断伸びを次のようにして測定した。1本の紐を長さ方向16cmに切断して試験片とし、JIS L1096の8.12.1「引張強度試験」に準じて求めた。応力−歪み曲線から長さ方向に5%伸びたときの応力及び破断したときの応力を読み取り、5%伸長時強力及び破断強力をそれぞれ求めた。なお、引っ張り試験機のチャック間距離は50mmであった。
【0069】
(5)紐の結び特性
得られた紐を40cmに切断し、紳士靴の靴紐として紳士靴に装着した。そして5人に1週間着用させた後、下記AもしくはBのどちらかを判定してもらい、判定の多数決により評価した。
A:しなやかで結びやすく、また、ほどけにくかった。
B:反発力が高いために結びにくく、また、ほどけやすかった。
【0070】
[実施例1]
エチレン変性PVA(融点:206℃、ケン化度:98.4モル%、エチレン単位含有割合:10モル%)を海成分とし、イソフタル酸変性度6モル%のポリエチレンテレフタレ−トを島成分とし、海島型繊維の断面の島数が25島となるような溶融複合紡糸用口金を用い、海成分/島成分の質量比30/70となるように260℃で口金より吐出した。紡速が3500m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度2.0デシテックスの長繊維をネットで捕集し、目付36g/m2の長繊維ウェブを得た。
【0071】
そして、28枚の長繊維ウェブを互いの繊維束の配向方向を揃えてクロスラッピングにより重ね合わせて積重ウェブを形成し、ニードルパンチングにより積重ウェブを絡合させることにより、CDの幅240cm、目付1250g/m2の長繊維ウェブ絡合シートを得た。
【0072】
そして、長繊維ウェブ絡合シートを投入速度3m/分で70℃の熱水中に20秒間浸漬することにより面積収縮を生じさせた。次に、95℃の熱水中で繰り返しディップ・ニップ処理することにより変性PVAを溶解除去した。そして乾燥することにより幅140cmのポリエステル極細長繊維の繊維束絡合シートが得られた。乾燥後に測定した面積収縮率は51%であり、繊維束絡合シートの目付は1780g/m2、厚みは2.92mm、見かけ密度は0.61g/cm3であった。また、MDの破断強力は1.9kg/mm2、5%伸長時の強力は0.3kg/mm2であった。また、平均単繊維繊度0.1dtexの極細単繊維を25本含む繊維束を形成していた。
【0073】
そして、繊維束絡合シートを100℃の熱風を循環させた加熱炉中で、幅1cmあたり7.5kgの荷重をかけて、MDに平行に20%伸びるように加熱延伸処理することにより不織布Aを得た。不織布Aは、平均単繊維繊度0.09dtexの極細単繊維を25本含む繊維束の絡合シートであり、厚み2.9mm、見かけ密度0.62g/cm3、目付1800g/m2であった。
【0074】
また、繊維束が最も配向している面方向(MD)の垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(A)は40000μm2あたり平均21個であり、MDに直行する面方向(CD)の垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)は40000μm2あたり平均7個であった。また、MDの破断強力は2.8kg/mm2、5%伸長時の強力は0.96kg/mm2であった。図1は不織布AのMDの垂直断面のSEMによる撮像の一例であり、図2は不織布AのCDの垂直断面のSEMによる撮像の一例である。
【0075】
そして、毛穴シボ調の離型紙(リンテック(株)製R−8)の表面に形成されたエーテル系ポリウレタン層をエーテル系ポリウレタン接着剤で不織布Aの表面に接着し、離形紙を剥離することにより、不織布Aの表面に厚み100μmの銀面調樹脂表皮層を乾式造面して、皮革様基材を得た。そして、得られた皮革様基材をMD方向に平行な方向で幅3.5mmに細断して紐を作成した。そして上述の方法により評価した。結果を表1に示す。
【0076】
なお、得られた紐の破断強力は27kg/1本であり、また、5%伸長時強力が9.7kg/1本であった。また、この紐を靴紐として使用した場合、しなやかであるために結び易く、また、ほどけにくかった。また、繰り返し結んでも結び目が潰れなかった。
【0077】
【表1】

【0078】
[実施例2]
繊維束絡合シートを100℃の熱風を循環させた加熱炉中で、幅1cmあたり7.5kgの荷重をかけて、MDに平行に20%伸びるように加熱延伸処理する代わりに、幅1cmあたり5.5kgの荷重をかけて、MDに平行に15%伸びるように加熱延伸処理した以外は、実施例1と同様にして不織布Bを得た。不織布Bは、平均単繊維繊度
0.09dtexの極細単繊維を25本含む繊維束の絡合シートであり、厚み2.9mm、見かけ密度0.60g/cm3、目付1780g/m2であった。
【0079】
また、MDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均18個であり、CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)が40000μm2あたり平均9個であった。また、MD方向の破断強力は2.3kg/mm2、5%伸長時の強力は0.7kg/mm2であった。
【0080】
そして、不織布Aの代わりに不織布Bを用いた以外は実施例1と同様にして紐を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0081】
[比較例]
繊維束絡合シートを100℃の熱風を循環させた加熱炉中で、幅1cmあたり7.5kgの荷重をかけて、MDに平行に20%伸びるように加熱延伸処理する代わりに、幅1cmあたり4.0kgの荷重をかけて、MDに平行に8%伸びるように加熱延伸処理した以外は、実施例1と同様にして不織布Cを得た。不織布Cは、平均単繊維繊度0.09dtexの極細単繊維を25本含む繊維束の絡合シートであり、厚み2.9mm、見かけ密度0.60g/cm3、目付1780g/m2であった。
【0082】
また、MDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均16個であり、CDの垂直断面に観察される繊維束の垂直断面の数密度(B)が40000μm2あたり平均11個であった。また、MD方向の破断強力は1.9kg/mm2、5%伸長時の強力は0.57kg/mm2であった。
【0083】
そして、不織布Aの代わりに不織布Cを用いた以外は実施例1と同様にして紐を作成し、評価した。結果を表1に示す。
【0084】
本発明に係る実施例1及び実施例2で得られた紐は破断強力が高く、また、5%伸長時強力が高く破断伸びが低い伸びにくい紐であった。また、しなやかで結びやすく、また、ほどけにくかった。一方、比較例で得られた紐は破断強力が低く、また、5%伸長時強力が低く破断伸びが高い伸びやすい紐であった。また、配向性が低いためか反発力が高いために結びにくく、また、ほどけやすかった。
【符号の説明】
【0085】
1 皮革様基材
2 紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布を含む皮革様基材であって、
前記不織布は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合シートであり、
前記繊維束が最も配向している面方向をMD、MDに直行する面方向をCDとした場合、前記MDの垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、前記CDの垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する前記数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上であり、
前記MDの、破断強力が2kg/mm2以上であり、5%伸長時強力が0.6kg/mm2以上であることを特徴とする皮革様基材。
【請求項2】
前記不織布の見かけ密度が0.5g/cm3以上である請求項1に記載の皮革様基材。
【請求項3】
MDに平行に幅2〜10mmに細断された請求項1または2に記載の皮革様基材。
【請求項4】
前記不織布の少なくとも一面に樹脂表皮層を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の皮革様基材。
【請求項5】
不織布を含む紐であって、
前記不織布は、平均単繊維繊度0.5dtex以下のポリエステル極細長繊維の繊維束の絡合体であり、
長さ方向の垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(A)が40000μm2あたり平均15個以上であり、且つ、幅方向の垂直断面における繊維束の垂直断面の数密度(B)に対する前記数密度(A)の比率(数密度(A)/数密度(B))が平均2以上であり、
前記長さ方向において、破断強力が23kg/本以上であり、5%伸長時強力が6.0kg/本以上であることを特徴とする紐。
【請求項6】
前記不織布の見かけ密度が0.5g/cm3以上である請求項5に記載の紐。
【請求項7】
幅が2〜10mmである請求項5または6に記載の紐。
【請求項8】
前記不織布の少なくとも一面に樹脂表皮層を有する請求項5〜7の何れか1項に記載の紐。
【請求項9】
ポリエステルを島成分とし、後の工程で除去可能な樹脂を海成分とする、平均繊度1〜4dtexの海島型複合長繊維からなる長繊維ウェブを形成する工程と、
複数枚の前記長繊維ウェブを所定の積層数になるように積み重ねて積重ウェブを形成する工程と、
前記積重ウェブを三次元的に絡合させることにより、長繊維ウェブ絡合シートを形成する工程と、
前記長繊維ウェブ絡合シートを湿熱収縮させることにより繊維束を緻密化させる工程と、
湿熱収縮された前記長繊維ウェブ絡合シートの前記海島型複合長繊維から前記海成分を除去することにより、ポリエステル極細長繊維の繊維束絡合シートを形成する工程と、
前記繊維束が配向している方向に前記繊維束絡合シートを10%以上加熱延伸する工程と、
を含むことを特徴とする皮革様基材の製造方法。
【請求項10】
前記繊維束が配向している方向に平行に細断する工程をさらに含む請求項9に記載の皮革様基材の製造方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−207353(P2012−207353A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75920(P2011−75920)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】