説明

監視カメラシステム

【課題】 防犯目的に限られず、店舗管理にも利用することができる監視カメラシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明では、複数台の監視カメラを設置したカメラ設置空間の内部を前記監視カメラを用いて監視する監視カメラシステムにおいて、前記カメラ設置空間の周辺部に設置され、前記カメラ設置空間の周辺側から内側へ向けた画像を撮影し、撮影範囲が固定された固定式監視カメラと、前記カメラ設置空間の内部に設置され、前記カメラ設置空間の内側から周辺側へ向けた画像を撮影し、撮影範囲を移動できる移動式監視カメラと、前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を処理するとともに、前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御するコントローラと、前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を同一画面上に同時に表示するディスプレーとによって監視カメラシステムを構成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の監視カメラを設置したカメラ設置空間の内部を前記監視カメラを用いて監視する監視カメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、銀行や販売店などの金銭を取り扱う店舗においては、防犯目的で監視カメラシステムを設置していた。
【0003】
この監視カメラシステムは、店舗内の周辺部に複数台の監視カメラを設置するとともに、各監視カメラで撮影した画像をディスプレー上に表示していた。
【0004】
そして、監視責任者は、複数台の監視カメラによって撮影された画像をディスプレーに表示させ、ディスプレー上の撮影画像を注視することによって、店舗内部の監視を行っていた。
【0005】
この従来の監視カメラシステムの構成としては、店舗内の周辺部に設置され、撮影領域が固定された複数台の固定式監視カメラと、複数台の固定式監視カメラのうちの1台又は複数台の監視カメラを選択するコントローラと、選択された固定式監視カメラによって撮影された画像を表示するディスプレーとで構成していた(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−209834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の監視カメラシステムは、防犯効果だけを目的としたシステムとなっており、店舗内の周辺部に固定式監視カメラを設置しているだけであった。
【0007】
そのため、従来の監視カメラシステムでは、撮影された画像が店舗内にいる利用者の大まかな容姿を判断できる程度の画像となっており、店舗内の従業員の詳細な行動や店舗内に陳列された商品の状況などが判別できるような繊細な画像とはなっていなかったので、防犯目的としてしか監視カメラシステムを活用できず、店舗内の従業員の接客態度や行動などを確認したり、或いは、店舗内の商品の陳列状況や在庫状況などを確認したりといった店舗管理を目的として監視カメラシステムを有効活用することができなった。
【0008】
しかも、従来の監視カメラシステムは、複数台の監視カメラを店舗内の周辺部にだけ設置するようにしていたために、店舗内にいる利用者を特定の一方向からしか撮影することができず、不審者の特定が困難であり、防犯効果も低いものであった。
【0009】
また、従来の監視カメラシステムは、防犯効果を向上させるためには監視カメラの設置台数を増大せざるを得ず、設置台数の増大によって店舗内に設置した監視カメラが目立つようになってしまい、店舗の利用者に威圧感や不快感を与えてしまい、その結果、利用者の減少を招くおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、請求項1に係る本発明では、複数台の監視カメラを設置したカメラ設置空間の内部を前記監視カメラを用いて監視する監視カメラシステムにおいて、前記カメラ設置空間の周辺部に設置され、前記カメラ設置空間の周辺側から内側へ向けた画像を撮影し、撮影範囲が固定された固定式監視カメラと、前記カメラ設置空間の内部に設置され、前記カメラ設置空間の内側から周辺側へ向けた画像を撮影し、撮影範囲を移動できる移動式監視カメラと、前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を処理するとともに、前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御するコントローラと、前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を同一画面上に同時に表示するディスプレーとによって監視カメラシステムを構成することにした。
【0011】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記コントローラは、前記移動式監視カメラによって撮影された画像を前記ディスプレーの中央に表示するとともに、前記固定式監視カメラによって撮影された画像を前記ディスプレーの周囲に表示することにした。
【0012】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記コントローラは、前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を前記カメラ設置空間における前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラの設置レイアウトと同様のレイアウトでディスプレーに表示することにした。
【0013】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記コントローラは、前記固定式監視カメラによって撮影された画像が経時変化しない場合にその画像を前記ディスプレーに表示しないようにした。
【0014】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項1〜請求項4のいずれかに係る本発明において、前記コントローラは、前記カメラ設置空間の内部に配設したスイッチが操作されると、そのスイッチの配置場所が撮影されるように前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにした。
【0015】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項5に係る本発明において、前記コントローラは、前記移動式監視カメラによって前記スイッチの配置場所を撮影した後に、前記スイッチの配置場所の近傍にいる人間を前記移動式監視カメラで追尾しながら撮影するように前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにした。
【0016】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項6に係る本発明において、前記コントローラは、前記移動式監視カメラで追尾した人間が前記カメラ設置空間の外部に移動した場合に、前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラで引き続き前記人間を追尾しながら撮影するように前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにした。
【0017】
また、請求項8に係る本発明では、前記請求項7に係る本発明において、前記コントローラは、前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラによって前記人間を追尾できなくなった後も、所定時間連続して撮影を継続するように前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにした。
【発明の効果】
【0018】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0019】
すなわち、請求項1に係る本発明では、店舗などのカメラ設置空間の内部に固定式監視カメラだけでなく移動式監視カメラを配置しているために、この移動式監視カメラを用いてカメラ設置空間の内部を任意に監視することができる。
【0020】
そのため、本発明では、監視カメラの設置台数を増大させることなく監視カメラの死角を少なくすることができるので、店舗の利用者に威圧感や不快感を与えることなく監視領域を増大させることができて、監視効果を増大させることができる。
【0021】
また、本発明では、移動式監視カメラを用いて店舗の利用者を監視することができるだけでなく、店舗内の従業員の接客態度や行動などを確認したり、或いは、店舗内の商品の陳列状況や在庫状況などを確認したりといった店舗管理を行うことができるので、防犯を目的とした店舗内監視とともに従業員管理や商品管理などを目的とした店舗管理をも同時に行うことができる。
【0022】
さらに、本発明では、固定式監視カメラをカメラ設置空間の周辺部に設置する一方、移動式監視カメラをカメラ設置空間の内部に設置しているために、固定式監視カメラではカメラ設置空間の周辺側から内側に向けた画像を撮影し、逆に移動式監視カメラではカメラ設置空間の内側から周辺側に向けた画像を撮影することになり、店舗の利用者の顔側と背中側の両側面、或いは、商品陳列棚に陳列した商品の右側と左側の両側面の画像を撮影することができ、カメラ設置空間の内部を多面的に撮影することができるので、これによっても監視効果や管理効果を増大させることができる。
【0023】
また、請求項2に係る本発明では、移動式監視カメラによって撮影された画像をディスプレーの中央に表示するとともに、固定式監視カメラによって撮影された画像をディスプレーの周囲に表示するようにしているために、ディスプレーの中央を目視しながら移動式監視カメラの撮影領域を変更することができ、それに伴って周辺の固定式監視カメラの画像をも同時に目視することができるので、監視カメラシステムの操作性を向上させることができるとともに、監視効果を増大させることができる。
【0024】
また、請求項3に係る本発明では、固定式監視カメラ及び移動式監視カメラによって撮影された画像をカメラ設置空間における固定式監視カメラ及び移動式監視カメラの設置レイアウトと同様のレイアウトでディスプレーに表示することにしているため、ディスプレーに表示された画像がどの場所に設置した監視カメラで撮影されたものなのかが容易に判断することができ、監視カメラシステムの使い勝手を向上させることができる。
【0025】
また、請求項4に係る本発明では、固定式監視カメラによって撮影された画像が経時変化しない場合にその画像をディスプレーに表示しないようにしているために、変化のない画像に無駄な注意がいってしまうのを未然に防ぐことができ、その分、残りの画像に注意を向けることができるので、監視カメラシステムによる監視効果を増大させることができる。
【0026】
また、請求項5に係る本発明では、カメラ設置空間の内部に配設したスイッチが操作されると、そのスイッチの配置場所が撮影されるように移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにしているために、緊急時にカメラ設置空間の内部のスイッチを操作することによってスイッチの配置場所を移動式監視カメラで撮影することができるので、これによっても監視カメラシステムによる監視効果を増大させることができる。
【0027】
また、請求項6に係る本発明では、スイッチの配置場所を撮影した後に、そのスイッチの配置場所の近傍にいる人間を移動式監視カメラで追尾しながら撮影するように移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにしているために、緊急時に不審者を追尾して撮影することができるので、不審者を的確に撮影することができて、撮影された画像によって不審者を容易に特定することができる。
【0028】
また、請求項7に係る本発明では、移動式監視カメラで追尾した人間がカメラ設置空間の外部に移動した場合に、カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラで引き続き人間を追尾しながら撮影するようにカメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにしているために、不審者がカメラ設置空間の外部に移動した後も不審者を追尾して撮影することができるので、より一層、不審者を的確に撮影することができて、撮影された画像によって不審者を容易に特定することができる。
【0029】
また、請求項8に係る本発明では、カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラによって人間を追尾できなくなった後も、所定時間連続して撮影を継続するようにカメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラの撮影範囲を制御することにしているために、たとえば不審者が自動車に乗り込んで逃走したとしても、その自動車を的確に撮影することができるので、撮影された画像によって不審者の逃走手段を容易に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明に係る監視カメラシステムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、本発明に係る監視カメラシステム1は、銀行や販売店などの店舗2の内部に複数台の監視カメラ3〜11を設置し、これらの監視カメラ3〜11を設置したカメラ設置空間12の内部を監視カメラ3〜11で撮影するとともに、その撮影画像をコントローラ13で画像処理してディスプレー14に表示するようにしている。
【0032】
図1に示す店舗2では、商品の陳列や販売を行う区画をカメラ設置空間12とし、このカメラ設置空間12に隣接する区画を監視室15とし、この監視室15の内部にコントローラ13とディスプレー14とを配置している。
【0033】
また、図1に示す店舗2では、カメラ設置空間12に出入口16を設け、カメラ設置空間12の内部に複数台の商品陳列棚17〜21を配置し、さらには、カメラ設置空間12と監視室15との連通部分にレジスター22,23を設置したカウンター24と連通口25とを配置している。
【0034】
そして、監視カメラシステム1は、図1に示すように、平面視で左側上部の天井に右側へ向けた固定式の監視カメラ3を設置し、平面視で右側上部の天井に左側へ向けた固定式の監視カメラ4を設置し、平面視で右側上部の天井に下側へ向けた固定式の監視カメラ5を設置し、平面視で左側中央部の天井に右側へ向けた固定式の監視カメラ6を設置し、平面視で中央部の天井に移動式の監視カメラ7を設置し、平面視で右側中央部の天井に左側へ向けた固定式の監視カメラ8を設置し、平面視で左側下部の天井に右側へ向けた固定式の監視カメラ9を設置し、平面視で右側下部の天井に左側へ向けた固定式の監視カメラ10を設置し、平面視で右側下部の天井に上側へ向けた固定式の監視カメラ11を設置している。
【0035】
さらに、監視カメラシステム1は、図1に示すように、カメラ設置空間12の外部、すなわち、店舗2の出入口16の外側にも移動式の監視カメラ7'を設置している。
【0036】
ここで、固定式の監視カメラ3〜6,8〜11は、撮影範囲が常に一定範囲に固定されたカメラであり、移動式の監視カメラ7,7'は、撮影範囲を任意に変更することができるカメラであって、コントローラ13によって撮影範囲を変更できるようになっている。
【0037】
このように、監視カメラシステム1は、店舗2のカメラ設置空間12の内部に固定式の監視カメラ3〜6,8〜11だけでなく移動式の監視カメラ7をも配置しているために、この移動式の監視カメラ7を用いてカメラ設置空間12の内部を任意に監視することができるようになっている。
【0038】
また、監視カメラシステム1は、店舗2のカメラ設置空間12の外部にも移動式の監視カメラ7'を配置しているために、この移動式の監視カメラ7'を用いてカメラ設置空間12の外部を任意に監視することもできるようになっている。
【0039】
そのため、この監視カメラシステム1では、固定式の監視カメラ3〜6,8〜11の死角を移動式の監視カメラ7で補うことができるので、監視カメラ3〜11の設置台数を増大させることなく監視カメラ3〜11の死角を少なくすることができ、店舗2の利用者に威圧感や不快感を与えることなく監視領域を増大させることができて、監視効果を増大させることができるようになっている。
【0040】
また、監視カメラシステム1では、移動式の監視カメラ7を用いて店舗2の利用者を監視することができるだけでなく、店舗2の従業員の接客態度や行動などを確認したり、或いは、店舗2の商品の陳列状況や在庫状況などを確認したりといった店舗管理を行うこともできるようになっている。
【0041】
そのため、この監視カメラシステム1では、防犯を目的とした店舗2の監視とともに従業員管理や商品管理などを目的とした店舗2の管理をも同時に行うことができるようになっている。
【0042】
さらに、監視カメラシステム1では、固定式の監視カメラ3〜6,8〜11をカメラ設置空間12の周辺部に設置する一方、移動式監視カメラ7をカメラ設置空間12の内部に設置している。
【0043】
そのため、この監視カメラシステム1では、固定式の監視カメラ3〜6,8〜11を用いてカメラ設置空間12の周辺側から内側に向けた画像を撮影する一方、移動式の監視カメラ7を用いてカメラ設置空間12の内側から周辺側に向けた画像を撮影するようになっており、店舗2の利用者の顔側と背中側の両側面、或いは、商品陳列棚17〜21に陳列した商品の右側と左側の両側面の画像を撮影することができ、カメラ設置空間12の内部を多面的に撮影することができるので、これによっても監視効果や管理効果を増大させることができるようになっている。
【0044】
本発明に係る監視カメラシステム1は、図2に示すように、コントローラ13にディスプレー14と操作デバイスとしてのキーボード26及びマウス27を接続するとともに、コントローラ13にLAN26を介して監視カメラ3〜11とスイッチ28とを接続している。図中、29はLANケーブル、30はハブである。
【0045】
このコントローラ13に接続されたスイッチ28は、図1に示すように、カウンター24に設置されている。
【0046】
そして、監視カメラシステム1では、コントローラ13が各監視カメラ3〜11で撮影した画像31〜39を読み込み、各画像31〜39にサイズ変更や色補正などの各種画像処理を施し、コントローラ13に内蔵した記録装置としてのハードディスク40に画像31〜39を保存するとともに、図3に示すように、ディスプレー14の同一の画面41に各画像31〜39を並べて同時に表示している。
【0047】
また、監視カメラシステム1では、図3に示すように、コントローラ13が各監視カメラ3〜11で撮影した画像31〜39を、図1に示したカメラ設置空間12における監視カメラの平面視的な設置レイアウトと概略同様のレイアウトでディスプレー14の画面41に表示している。
【0048】
すなわち、図3に示すように、平面視でカメラ設置空間12の中央に設置した移動式の監視カメラ7で撮影した画像35をディスプレー14の画面41の中央に表示するとともに、平面視でカメラ設置空間12の左側上部に設置した固定式の監視カメラ3で撮影した画像31をディスプレー14の画面41の左側上部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の右側上部に設置した固定式の監視カメラ4で撮影した画像32をディスプレー14の画面41の中央上部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の右側上部に設置した固定式の監視カメラ5で撮影した画像33をディスプレー14の画面41の右側上部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の左側中央部に設置した固定式の監視カメラ6で撮影した画像34をディスプレー14の画面41の左側中央部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の右側中央部に設置した固定式の監視カメラ8で撮影した画像36をディスプレー14の画面41の右側中央部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の左側下部に設置した固定式の監視カメラ9で撮影した画像37をディスプレー14の画面41の左側下部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の右側下部に設置した固定式の監視カメラ10で撮影した画像31をディスプレー14の画面41の中央下部に表示し、平面視でカメラ設置空間12の右側下部に設置した固定式の監視カメラ11で撮影した画像39をディスプレー14の画面41の右側下部に表示している。
【0049】
このように、監視カメラシステム1では、図3に示すように、移動式の監視カメラ7によって撮影された画像35をディスプレー14の画面41の中央に表示するとともに、固定式の監視カメラ3〜6,8〜11によって撮影された画像31〜34,36〜39をディスプレー14の画面41の周囲に表示するようにしている。
【0050】
そのため、この監視カメラシステム1では、ディスプレー14の画面41の中央部分を目視しながら移動式の監視カメラ7の撮影領域を変更することができるようになっており、それに伴って周辺の固定式の監視カメラ3〜6,8〜11の画像31〜34,36〜39をも同時に目視することができ、監視カメラシステム1の操作性を向上させることができるとともに、監視効果を増大させることができるようになっている。
【0051】
しかも、監視カメラシステム1では、図1及び図3に示すように、固定式の監視カメラ3〜6,8〜11及び移動式の監視カメラ7によって撮影された画像31〜39をカメラ設置空間12における固定式の監視カメラ3〜6,8〜11及び移動式の監視カメラ7の設置レイアウトと同様のレイアウトでディスプレー14の画面41に表示しているために、ディスプレー14の画面41に表示された画像31〜39がどの場所に設置した監視カメラ3〜11で撮影されたものなのかが容易に判断することができ、監視カメラシステム1の使い勝手を向上させることができるようになっている。
【0052】
さらに、監視カメラシステム1では、コントローラ13は、各監視カメラ3〜11で撮影した画像31〜39をハードディスク40に保存しておき、各監視カメラ3〜11で撮影した画像31〜39と、その直前に各監視カメラ3〜11で撮影し保存しておいた画像31〜39とを比較し、両画像が同一である場合、すなわち、撮影された画像31〜39に変化が無い場合、図4に示すように、その画像(ここでは、画像36,37)をディスプレー14の画面41に表示せずに、青色や灰色などの単色で一面を塗りつぶした画像42,43を表示している。
【0053】
このように、監視カメラシステム1では、監視カメラ3〜11によって撮影された画像31〜39が経時変化しない場合にその画像31〜39をディスプレー14の画面41に表示しないようにしているために、変化のない画像に無駄な注意がいってしまうのを未然に防ぐことができ、その分、残りの画像に注意を向けることができるので、監視カメラシステム1による監視効果を増大させることができるようになっている。
【0054】
また、監視カメラシステム1では、コントローラ13は、レジスター22,23を載置したカウンター24に設置したスイッチ28が押圧操作されると、移動式の監視カメラ7をカウンター24の方向へ向け、図5に示すように、移動式の監視カメラ7でレジスタ22,23の近傍を拡大して撮影して、その画像44をディスプレー14の画面41の中央部に表示するようにしている。
【0055】
このように、監視カメラシステム1では、カメラ設置空間12の内部に配設したスイッチ28が操作されると、そのスイッチ28の配置場所が撮影されるように移動式の監視カメラ7の撮影範囲をコントローラ13で制御するようになっている。
【0056】
そのため、この監視カメラシステム1では、緊急時にカメラ設置空間12の内部に設置したスイッチ28を操作することによって、スイッチ28の配置場所を移動式の監視カメラ7で撮影することができるので、これによっても監視カメラシステム1による監視効果を増大させることができる。
【0057】
また、監視カメラシステム1では、コントローラ13は、レジスター22,23を載置したカウンター24に設置したスイッチ28が押圧操作されると、移動式の監視カメラ7をカウンター24の方向へ向け、移動式の監視カメラ7でレジスタ22,23の近傍を拡大して撮影した後に、スイッチ28の近傍にいる人間を移動式の監視カメラ7によって自動追尾して撮影するようにしている。
【0058】
すなわち、コントローラ13は、図6に示すように、スイッチ28の押圧操作に連動してスイッチ28の配置場所を拡大撮影し(図6(a)参照。)、連続して撮影された2枚の画像を比較することによって撮影された画像44の中から人間48を抽出する画像処理を行い、その人間48が撮影範囲の中央に位置するように移動式の監視カメラ7を移動させて撮影を行い(図6(b)参照。)、移動式の監視カメラ7によって人間48が移動した画像44が撮影された場合には(図6(c)参照。)、さらにその人間48が撮影範囲の中央に位置するように移動式の監視カメラ7を移動させて撮影を行うようにしている(図6(d))。
【0059】
これにより、コントローラ13は、スイッチ28が押圧操作されたときにレジスタ22,23の近傍にいた人間48を常に撮影範囲の中央に位置するように移動式の監視カメラ7を移動させて撮影でき、人間48を自動追尾して撮影するようにしている。
【0060】
このように、監視カメラシステム1では、スイッチ28が押圧操作されると、スイッチ28の配置場所を撮影した後に、そのスイッチ28の配置場所の近傍にいる人間48を移動式の監視カメラ7で追尾しながら撮影するように移動式監視カメラ7の撮影範囲をコントローラ13で制御するようになっている。
【0061】
そのため、この監視カメラシステム1では、緊急時に不審者と思われる人間48を追尾して撮影することができるので、不審者を連続して的確に撮影することができて、撮影された画像44によって不審者を容易に特定することができる。
【0062】
しかも、監視カメラシステム1では、コントローラ13は、前述したようにして移動式の監視カメラ7で人間48を自動追尾し、その人間48がカメラ設置空間12の外部にまで移動したことを移動式の監視カメラ7の移動位置によって検出した場合に、カメラ設置空間12の外部に配置した移動式の監視カメラ7'によって引き続きその人間48を自動追尾して撮影するようにしている。
【0063】
すなわち、コントローラ13は、レジスター22,23を載置したカウンター24に設置したスイッチ28が押圧操作されると、外部に設置した移動式の監視カメラ7'を出入口16の方向へ向け、移動式の監視カメラ7'で出入口16の外側近傍を拡大して撮影するようにしておくとともに、移動式の監視カメラ7で店舗2の出入口16を撮影するときの監視カメラ7の撮影位置(上下角度及び左右角度)を設定しておき、前述した自動追尾によって移動式の監視カメラが7がその撮影位置まで移動した場合に、前述した自動追尾と同様に連続して撮影された2枚の画像を比較することによって撮影された画像の中から人間48を抽出する画像処理を行い、その人間48が撮影範囲の中央に位置するように移動式の監視カメラ7'を移動させて撮影を行い、移動式の監視カメラ7'によって人間48が移動した画像が撮影された場合には、さらにその人間48が撮影範囲の中央に位置するように移動式の監視カメラ7'を移動させて撮影を行うようにしている。
【0064】
このように、監視カメラシステム1では、スイッチ28が押圧操作されると、スイッチ28の配置場所を撮影した後に、そのスイッチ28の配置場所の近傍にいる人間48を移動式の監視カメラ7で追尾しながら撮影するように移動式の監視カメラ7の撮影範囲をコントローラ13で制御し、その後、移動式の監視カメラ7で追尾した人間48がカメラ設置空間12の外部に移動した場合に、カメラ設置空間12の外部に配設した移動式の監視カメラ7'で引き続きその人間48を追尾しながら撮影するようにカメラ設置空間12の外部に配設した移動式の監視カメラ7'の撮影範囲を制御するようになっている。
【0065】
そのため、この監視カメラシステム1では、不審者と思われる人間48がカメラ設置空間12の外部に移動した後も不審者を追尾して撮影することができるので、より一層、不審者を的確に撮影することができて、撮影された画像によって不審者を容易に特定することができる。
【0066】
さらに、監視カメラシステム1では、コントローラ13は、カメラ設置空間12の外部に配設した移動式の監視カメラ7'によって撮影された画像から人間48を抽出することができず、その結果、移動式の監視カメラ7'によって人間48を自動追尾できなくなった場合に、その後の所定時間(たとえば、5分間)連続して移動式の監視カメラ7'の撮影範囲を変更せずに監視カメラ7'で撮影を継続するようにしている。
【0067】
このように、この監視カメラシステム1では、カメラ設置空間12の外部に配設した移動式の監視カメラ7'によって人間48を追尾できなくなった後も、所定時間連続して撮影を継続するようにカメラ設置空間12の外部に配設した移動式の監視カメラ7'の撮影範囲を制御するようになっている。
【0068】
そのため、この監視カメラシステム1では、たとえば不審者が自動車に乗り込んで逃走したとしても、その自動車を的確に撮影することができるので、撮影された画像によって不審者の逃走手段を容易に特定することができる。
【0069】
また、監視カメラシステム1は、図7に示すように、コントローラ13にLAN26やインターネット45などの電子通信回線網を介してコンピュータ46や携帯電話機47などの外部端末装置を接続することができるようになっている。
【0070】
これにより、外部端末装置を用いて店舗2に設置した監視カメラシステム1のコントローラ13と通信することができ、店舗2の外部からコントローラ13を遠隔操作することができ、閉店後の監視や外部から店舗内の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る監視カメラシステムを設置した店舗を示す平面図。
【図2】監視カメラシステムを示す説明図。
【図3】ディスプレーの表示画面を示す正面図。
【図4】ディスプレーの表示画面を示す正面図。
【図5】ディスプレーの表示画面を示す正面図。
【図6】自動追尾時の画像を示す説明図。
【図7】監視カメラシステムを示す説明図。
【符号の説明】
【0072】
1 監視カメラシステム 2 店舗
3〜6,8〜11 固定式の監視カメラ 7,7' 移動式の監視カメラ
12 カメラ設置空間 13 コントローラ
14 ディスプレー 15 監視室
16 出入口 17〜21 商品陳列棚
22,23 レジスター 24 カウンター
25 連通口 26 キーボード
27 マウス 28 スイッチ
29 LANケーブル 30 ハブ
31〜39 画像 40 ハードディスク
41 画面 42〜44 画像
45 インターネット 46 コンピュータ
47 携帯電話機 48 人間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の監視カメラを設置したカメラ設置空間の内部を前記監視カメラを用いて監視する監視カメラシステムにおいて、
前記カメラ設置空間の周辺部に設置され、前記カメラ設置空間の周辺側から内側へ向けた画像を撮影し、撮影範囲が固定された固定式監視カメラと、
前記カメラ設置空間の内部に設置され、前記カメラ設置空間の内側から周辺側へ向けた画像を撮影し、撮影範囲を移動できる移動式監視カメラと、
前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を処理するとともに、前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御するコントローラと、
前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を同一画面上に同時に表示するディスプレーと、
を有することを特徴とする監視カメラシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記移動式監視カメラによって撮影された画像を前記ディスプレーの中央に表示するとともに、前記固定式監視カメラによって撮影された画像を前記ディスプレーの周囲に表示することを特徴とする請求項1に記載の監視カメラシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラによって撮影された画像を前記カメラ設置空間における前記固定式監視カメラ及び前記移動式監視カメラの設置レイアウトと同様のレイアウトでディスプレーに表示することを特徴とする請求項2に記載の監視カメラシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記固定式監視カメラによって撮影された画像が経時変化しない場合にその画像を前記ディスプレーに表示しないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の監視カメラシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記カメラ設置空間の内部に配設したスイッチが操作されると、そのスイッチの配置場所が撮影されるように前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の監視カメラシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記移動式監視カメラによって前記スイッチの配置場所を撮影した後に、前記スイッチの配置場所の近傍にいる人間を前記移動式監視カメラで追尾しながら撮影するように前記移動式監視カメラの撮影範囲を制御することを特徴とする請求項5に記載の監視カメラシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記移動式監視カメラで追尾した人間が前記カメラ設置空間の外部に移動した場合に、前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラで引き続き前記人間を追尾しながら撮影するように前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラの撮影範囲を制御することを特徴とする請求項6に記載の監視カメラシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラによって前記人間を追尾できなくなった後も、所定時間連続して撮影を継続するように前記カメラ設置空間の外部に配設した移動式監視カメラの撮影範囲を制御することを特徴とする請求項7に記載の監視カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−197226(P2006−197226A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6495(P2005−6495)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(505004972)株式会社監視革命 (2)
【Fターム(参考)】