説明

監視カメラ映像配信システムと監視カメラ映像配信装置

【課題】本発明は、監視カメラ映像配信システムと監視カメラ映像配信装置に関するもので、サービス性を向上することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するために本発明は、監視カメラ2で撮影した映像を、その中心部の配信領域5と、この配信領域5外周の内方近傍、または外方近傍の色変化検出領域8とに分け、前記色変化検出領域8の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域5の解像度を低下させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラで撮影した映像を監視用と配信用に提供する監視カメラ映像配信システムと監視カメラ映像配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の監視カメラ映像配信システムは、デパートやスーパ等の売り場に監視カメラを設置し、この監視カメラで撮影した映像を監視用と配信用に提供する構成となっていた(例えば下記特許文献1)。具体的には、デパートやスーパ等の売り場に監視カメラを設置し、この監視カメラで撮影した映像を、監視用映像として無加工状態で例えば管理センターに提供し、監視活動が行えるようにしていた。また、売り場の商品を、例えばインターネット配信することで、販売促進活動が行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−236464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例においては、インターネット等で外部に配信する映像は、監視カメラで撮影した映像を、配信用映像として一部加工し、配信している。すなわち、監視カメラで撮影した売り場の映像は、商品以外にその場所への来場者まで撮影したものとなるので、配信用映像としては、個人のプライバシー保護の観点から、来場者は識別できない、または映像として現れないようにしている。そのために、従来は、監視カメラで撮影した売り場の映像内に動体(来場者)が存在するときには、動体が現れる前の映像を配信用映像として提供するようにしている。
【0005】
しかしながら、このようにした場合、配信用映像としては、動体を含まないものに限定されることになり、サービス性の低下が課題となる。
【0006】
具体的には、例えば動物(犬や猫など)の展示コーナに監視カメラを設置した場合には、その動物が動き回るので、この状態では、動物の映像を配信用映像とすることはできず、この点がサービス性の低下を引き起こすのである。
【0007】
そこで、本発明は、サービス性の向上を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の監視カメラ映像配信システムは、監視カメラで撮影した映像を、外部に配信する配信領域と、前記配信領域の外周の内方近傍または外方近傍の色変化検出領域とに分け、前記色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させる構成とし、これにより所期の目的を達成するものである。
【0009】
また、本発明の監視カメラ映像配信装置は、前記監視カメラと、前記色変化検出領域の色変化を検出すると、前記配信領域の解像度を低下させる制御部を設け、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のごとく、本発明の監視カメラ映像配信システムと監視カメラ映像配信装置は、監視カメラで撮影した映像を、外部に配信する配信領域と、前記配信領域の外周の内方近傍または外方近傍の色変化検出領域とに分け、前記色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させる構成としたものであるので、サービス性の向上を図ることができる。
【0011】
すなわち、本発明においては、配信領域内の映像は、そこに例えば動物(犬や猫など)が存在する場合でも、解像度の高いものを提供することができるので、サービス性の向上を図ることができる。
【0012】
また、配信領域外周の内方近傍、または外方近傍の色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させる構成としたものであるので、来場者のプライバシー保護も行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す表示例を示す図
【図2】同表示例を示す図
【図3】同表示例を示す図
【図4】同表示例を示す図
【図5】同制御ブロック図
【図6】同動作状態を示すフローチャート
【図7】同動作状態を示すフローチャート
【図8】同動作状態を示すフローチャート
【図9】本発明の第1の実施形態を示す色変化検出領域の色変化状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
図1に示す監視用映像1は、動物の展示コーナに、図5の監視カメラ2を設置した場合のもので、この監視用映像1は、図5に示す監視映像出力部3を介して管理センターのモニター4に提供される。したがって、監視員は、このモニター4に映し出される監視用映像1を見ることで、適切な監視活動を行うことができる。
【0016】
また、図1に示した監視用映像1の中心部には配信領域5が設定されており、この配信領域5内の映像だけが配信用映像として、図5の配信映像出力部6を介してインターネット7に、図2の状態で、外部の顧客(ユーザ)に提供されるようになっている。なお、配信用映像として配信領域5のみを配信するのではなく、監視用映像1において配信領域5を除いた領域を低解像度化することでマスクした上で、マスクした監視用映像1を配信してもよい。
【0017】
したがって、配信用映像を受けた顧客(ユーザ)は、配信領域5内に鮮明に映し出される動物の表情等を楽しむ、または確認することができ、これにより販売促進活動が展開されることになる。
【0018】
図1に戻って、説明を続けると、本実施形態においては、配信領域5外周の内方近傍(または外方近傍)に色変化検出領域8を設定しており、この色変化検出領域8の色変化が所定値以上になったことを検出すると、配信領域5の解像度を図3から図4のごとく低下させる構成としている。
【0019】
すなわち、図3においては、動物の展示コーナへの来場者9が配信領域5に入った瞬間の状態を示し、このときには、来場者9が色変化検出領域8の一部を遮ることで、この色変化検出領域8の色変化が所定値以上になったことを検出し、それにより、直ちに、配信領域5の解像度を図3から図4のごとく低下させる構成としている。
【0020】
したがって、来場者9の姿が、配信領域5内において鮮明に映った状態での配信は行われず、その結果として来場者9のプライバシー保護も行えるようになる。
【0021】
図5は以上の動作を行わせるための監視カメラ映像配信装置を示す制御ブロック図である。
【0022】
この監視カメラ映像配信装置は、監視カメラ2と、色変化検出領域8の色変化を検出すると、配信領域5の解像度を低下させる制御部10、および設定入力部11とにより構成されている。
【0023】
また、制御部10は、監視カメラ2で撮影した映像を一時保存する一時保存部12を備えている。
そして、この一時保存部12には、監視映像出力部3を介して管理センターのモニター4が接続されている。
【0024】
つまり、一時保存部12に保存された監視用映像1が順次、監視映像出力部3を介して管理センターのモニター4に提供され、監視活動が行われることになるのである。
【0025】
また、本実施形態においては、この一時保存部12には、色変化検出領域設定部13と、解像度変換部14が接続され、この解像度変換部14には配信領域設定部15が接続されている。
【0026】
さらに、色変化検出領域設定部13と配信領域設定部15、および基準保存部16には、設定入力部11が接続されている。
【0027】
つまり、設定入力部11を介して配信領域設定部15によって、図1に示す監視用映像1内に配信領域5を設定し、また設定入力部11を介して色変化検出領域設定部13によって、図1に示す監視用映像1内に色変化検出領域8を設定するようになっている。
【0028】
また、基準保存部16は、色変化検出領域8の初期設定色状態を保存するものであり、この設定も設定入力部11によって行われるようになっている。
【0029】
そして、基準保存部16に設定された初期設定色状態に対する、色変化検出領域8の色変化状態は、色変化照合部17によって検出され、この色変化照合部17による色変化検出により、配信領域5の解像度を解像度変換部14によって低下させる。
【0030】
以上の構成において、監視カメラ2を、動物の展示コーナに設置した状態では、先ず、設定入力部11によって、監視用映像1内に配信領域5、色変化検出領域8を設定する(図6のS1)。
【0031】
次に、設定入力部11によって、色変化検出領域8の初期設定色状態(基準値)を設定し、基準保存部16に保存する(図6のS2)。
【0032】
なお、色変化検出領域8と、初期設定色状態(基準値)は例えば、以下のようにして設定されている。
【0033】
図1における配信領域5は、犬小屋の大きさに合わせて設定しており、また色変化検出領域8はこの犬小屋下辺部分に貼り付けた表示体(例えば表示テープ)の大きさにあわせて設定している。なお、表示体でなくても、定常的に色変化が起きない被写体であればよい。例として犬小屋の枠がある。
【0034】
このため、犬小屋内を犬がどのように動いたとしても、色変化検出領域8の色変化が起きることはない。また、色変化検出領域8の色は、表示体によって安定した状態が保たれる。
【0035】
このような状況において、上述した設定入力部11による色変化検出領域8の初期設定色状態(基準値)設定は、具体的には以下のようにして行われる。
【0036】
先ず、色変化検出領域8を横方向に10個、縦方向に2個の、合計20個の小領域に分割する(図9のS1)。次に、20個に分割された小領域毎に、各画素のRGB値を平均化する(図9のS2)。そして、この各画素のRGB値の平均値が、色変化検出領域8の初期設定色状態(基準値)として設定される。
【0037】
以上の準備が完了すると、図7に示す監視活動と配信活動が開始される。
【0038】
本実施形態では、監視カメラ2に一時保存部12を接続しているので、監視カメラ2からの監視用映像1は一時的に一時保存部12に保存される(図7のS1、S2)が、直ちに一方は監視映像出力部3を介して管理センターのモニター4に提供され、監視活動が行われることになる。
【0039】
また、一時保存部12に保存された監視用映像1は他方用として、色変化検出領域設定部13と、解像度変換部14に提供される(図7のS3)。これにより、配信領域5と色変化検出領域8が設定される(図7のS4)。
【0040】
次に、基準保存部16に設定された初期設定色状態に対する、色変化検出領域8の色変化状態が、色変化照合部17によって検出される(図7のS5)。
【0041】
この色変化検出領域8の色変化状態は、具体的には、図8、図9のようにして行われる。
【0042】
つまり、色変化検出領域8は、図8に示すように、横方向に10個、縦方向に2個の、合計20個の小領域に分割されており、このように20個に分割された小領域毎の、各画素のRGB値を平均化し、色変化検出領域8の初期設定色状態(基準値)として設定されている。
【0043】
このため、小領域毎の、各画素のRGB値の平均値を比較し、例えば20個の小領域の内の3個(所定値)以上の色変化が存在するときには、色変化検出領域8の色変化がある、つまり配信領域5に来場者9の姿が映る可能性があると判断する(図9のS3、S4、S5、S6)。
【0044】
また、小領域毎の、各画素のRGB値の平均値を比較し、例えば20個の小領域の内の2個(所定値)以下しか色変化が存在しないときには、色変化検出領域8の色変化がない、つまり配信領域5に来場者9の姿が映る可能性がないと判断する(図9のS3、S4、S5、S7)。
【0045】
そして、この色変化照合部17によって色変化検出領域8の色変化がない、つまり配信領域5に来場者9の姿が映る可能性がないと判断されたときには、図2のごとく、配信領域5の映像は、解像度の高い状態で配信される(図7のS6)。
【0046】
これに対して、色変化検出領域8の色変化がある、つまり配信領域5に来場者9の姿が映る可能性があると判断されたときには、図4のごとく、配信領域5の解像度を解像度変換部14によって低下させ、この低下解像度映像を配信する(図7のS7、S8)。これにより、来場者9のプライバシーを保護することができる。
【0047】
また、このときには、図4のごとく、配信領域5の解像度を解像度変換部14によって低下させたので、配信受給者にとっては、配信領域5の映像が一時的にはっきり見ることはできなくなるが、来場者9が配信領域5から離れれば、直ちに配信領域5の映像が、解像度の高い状態に復帰するので、不満感も少ない状態とできる。
【0048】
また、複数配置された犬小屋ごとに監視カメラ2を配置すると、配信受給者にとって、自分で見たい犬が見ることができないときには、他の犬を見ることができるようになり、このようにしても、不満感も少ない状態とすることができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、配信領域5外周の内方近傍に色変化検出領域8を設定したが、配信領域5外周の外方近傍に色変化検出領域8を設定しても良く、この場合でも、配信領域5に来場者9が映し出されてしまうのを防止できる。また、配信領域5の横幅より色変化検出領域8の横幅を長くし、色変化検出領域8が配信領域5の左右に突出するよう配置することで、横から移動してきた来場者9が配信領域5より先に色変化検出領域8にかかることで、来場者9が低解像度化していない配信領域5に映ってしまうことを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のごとく本発明の監視カメラ映像配信システムと監視カメラ映像配信装置は、監視カメラで撮影した映像を、その配信領域と、この配信領域外周の内方近傍、または外方近傍の色変化検出領域とに分け、色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、配信領域の解像度を低下させる構成としたものであるので、サービス性の向上を図ることができる。
【0051】
すなわち、本発明においては、配信領域内の映像は、そこに例えば動物(犬や猫など)が存在する場合でも、解像度の高いものを提供することができるので、サービス性の向上を図ることができる。
【0052】
また、配信領域外周の内方近傍、または外方近傍の色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、配信領域の解像度を低下させる構成としたものであるので、来場者のプライバシー保護も行えるようになる。
【0053】
したがって、各所の監視や販売活動に活用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 監視用映像
2 監視カメラ
3 監視映像出力部
4 モニター
5 配信領域
6 配信映像出力部
7 インターネット
8 色変化検出領域
9 来場者
10 制御部
11 設定入力部
12 一時保存部
13 色変化検出領域設定部
14 解像度変換部
15 配信領域設定部
16 基準保存部
17 色変化照合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラで撮影した映像を、外部に配信する配信領域と、前記配信領域の外周の内方近傍または外方近傍の色変化検出領域とに分け、前記色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させることを特徴とする監視カメラ映像配信システム。
【請求項2】
前記監視カメラで撮影した映像を、監視映像と配信映像とに2分し、前記監視映像は監視映像出力部から出力させ、前記配信映像は外部に配信する配信領域と、前記配信領域の外周の内方近傍または外方近傍の色変化検出領域とに分け、前記色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ映像配信システム。
【請求項3】
前記監視カメラで撮影した映像を一時保存部に保存し、前記一時保存部に保存された映像を、外部に配信する配信領域と、前記配信領域の外周の内方近傍または外方近傍の色変化検出領域とに分け、前記色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させることを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ映像配信システム。
【請求項4】
前記一時保存部に保存された映像を、監視映像と配信映像とに2分し、前記監視映像は監視映像出力部から出力させ、前記配信映像は、外部に配信する配信領域と、前記配信領域の外周の内方近傍または外方近傍の色変化検出領域とに分け、前記色変化検出領域の色変化が所定値以上になったことを検出すると、前記配信領域の解像度を低下させて配信映像出力部から出力させることを特徴とする請求項3に記載の監視カメラ映像配信システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一つに記載の監視カメラ映像配信システムに用いられる監視カメラ映像配信装置であって、前記監視カメラと、前記色変化検出領域の色変化を検出すると、前記配信領域の解像度を低下させる制御部を設けたことを特徴とする監視カメラ映像配信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記監視カメラで撮影した映像を一時保存する一時保存部と、前記一時保存部に保管された一時保存映像内に設定された色変化検出領域の初期設定色状態を保存する基準保存部と、前記基準保存部の初期設定色状態に対する、前記一時保存部に保管された色変化検出領域の色変化状態を検出する色変化照合部と、前記色変化照合部による色変化検出により、前記配信領域の解像度を低下させる解像度変換部と、前記解像度変換部に接続された監視映像出力部と、前記一時保存部に接続された配信映像出力部と、を備えたことを特徴とする請求項5に記載の監視カメラ映像配信装置。
【請求項7】
前記制御部には、設定入力部を接続し、前記設定入力部には、配信領域設定部と、色変化検出領域設定部とを接続したことを特徴とする請求項6に記載の監視カメラ映像配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−227852(P2012−227852A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95758(P2011−95758)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】