説明

監視カメラ用レンズ装置

【課題】絞りの連続的な明暗切替えを指示する既存の操作手段をフィルタ切替え用の操作手段として兼用可能とし、設置スペースの増加やコストの増加を抑える。
【解決手段】絞り16の開口径を連続的に変化させる既存の方向指示ボタン86A、86Bを、複数枚のNDフィルタ、可視光カットフィルタ等を備えたフィルタ切替え機構のフィルタ切替えを指示するための操作手段として、モード選択により兼用可能にする。即ち、絞り指令発生部88は、モード選択スイッチ87により通常モードが選択されると動作可能となり、方向指示ボタン86A、86Bの操作期間中に、絞り16の開口径を連続的に増減させる絞り指令を発生し、一方、フィルタ切替え指令発生部89は、モード選択スイッチ87により特殊モードが選択されると動作可能となり、方向指示ボタン86A、86Bが押下される毎に順次フィルタを切り替えるためのフィルタ切替え指令を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は監視カメラ用レンズ装置に係り、特に手動により絞りを遠隔操作可能な監視カメラ用レンズ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラ用レンズ装置(例えば、CCTV(Closed Circuit Television)用レンズ)など)においては、高性能化のために、複数のフィルタを切り替えて使用する用途が増加している。
【0003】
日中等の非常に明るい環境下で撮影を行う場合、絞りの径を小さくして入射光量を減少させるが、絞りの径が小さくなるにしたがって光の回折によるボケが発生するため、小絞りには限界がある。
【0004】
そこで、絞りが小絞りの限界に達すると、光量を減光させるフィルタ(減光(ND)フィルタ)を光路中に挿入するようにしている。
【0005】
特許文献1には、ターレット(回転板)に通常使用位置の透明ガラスの他に、赤外線フィルタ、CC(色補正)フィルタ及びNDフィルタを設け、モータでターレットを回転させて所望のフィルタを撮影光軸上に位置させるようにした光学フィルタ装置が開示されている。また、特許文献1には、0度から360度の範囲内の回転域を有するポテンショメータにより、ターレットの回転位置を検出することが図示されている(特許文献1の図10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−215600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の光学フィルタ装置は、ターレットを回転させることにより、通常使用位置の透明ガラスに替えて、赤外線フィルタ、CCフィルタ、又はNDフィルタを切り替えて撮影光軸上に挿入することができるが、このような各種の特殊フィルタを切り替えるための操作系は、フィルタが増えた分だけ操作系も自ずと煩雑化していく傾向がある。尚、特許文献1には、操作系に関する記載はない。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、絞りの連続的な明暗切替えを指示する既存の操作手段をフィルタ切替え用の操作手段として兼用可能とし、操作手段の設置スペースの増加やコストの増加を抑えることができる監視カメラ用レンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明の一の態様に係る発明は、手動により絞りを遠隔操作可能な監視カメラ用レンズ装置において、絞り指令の入力により前記絞りを開閉させる絞り駆動手段と、光量を段階的に減光させる2枚以上の第1のフィルタ及び前記第1のフィルタ以外の他の特殊効果用の第2のフィルタのうちの所望のフィルタをレンズ光軸上に挿入させるフィルタ切替え機構と、フィルタ切替え指令の入力により前記フィルタ切替え機構を動作させ、前記第1のフィルタ又は第2のフィルタをレンズ光軸上に挿入させるフィルタ駆動手段と、前記絞りの開口径を連続的に増減させ、又は前記フィルタ切替え機構を動作させる際に手動操作される共通の操作手段と、前記絞りを制御する第1のモード、又は前記フィルタ切替え機構を制御する第2のモードを選択するモード選択手段と、前記モード選択手段により第1のモードが選択され、かつ前記操作手段が操作されると、その操作期間にわたって前記絞りの開口径を連続的に増減させる絞り指令を前記フィルタ駆動手段に出力する絞り指令発生手段と、前記モード選択手段により第2のモードが選択され、かつ前記操作手段が操作されると、その操作毎にフィルタ切替え指令を前記フィルタ駆動手段に出力するフィルタ切替え指令発生手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
本発明の一の態様に係る監視カメラ用レンズ装置によれば、絞りの開口径を連続的に増減させるために操作される既存の操作手段を、フィルタ切替え機構の各種フィルタの切替えを指示するための操作手段として、モード選択手段でのモード選択により兼用できるようにし、特に操作手段の操作中に連続的に絞りの開口径を連続的に増減させる絞り指令と、操作手段を操作する毎に順次フィルタを切り替えるためのフィルタ切替え指令とを同じ操作手段の操作で出力可能にしている。
【0011】
本発明の他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記操作手段は、前記絞りを閉じる方向に動作させるときの操作と、前記フィルタ切替え機構における減光量を大きくするフィルタへの切替え操作とを同じ操作として受け付け、前記絞りを開く方向に動作させるときの操作と、前記フィルタ切替え機構による減光量を小さくするフィルタへの切替え操作とを同じ操作として受け付けることを特徴としている。
【0012】
即ち、絞りの開口径を変化させて露出を変化させる方向と、光量を段階的に減光させる2枚以上の第1のフィルタのフィルタ切替えにより露出を変化させる方向とが、前記操作手段での操作として同じになるように操作を割り当てるようにしている。これにより、絞りの調整時と、前記第1のフィルタの切替え時の前記操作手段による操作が分かりやすくなるようにしている。
【0013】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記フィルタ切替え機構は、前記2枚以上の第1のフィルタと第2のフィルタとが、素通しの通常使用位置を挟んで配設された1つの移動部材を有し、該移動部材を移動させて所望のフィルタ又は通常使用位置をレンズ光軸上に挿入させることを特徴としている。
【0014】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記モード選択手段により選択される前記第2のモードは、前記第1のフィルタのフィルタ切替えを行わせるための第1の特殊モードと、前記第2のフィルタのフィルタ切替えを行わせるための第2の特殊モードとを有し、前記フィルタ切替え指令発生手段は、前記第1の特殊モードが選択されると、前記操作手段の操作により前記通常使用位置と2枚以上の第1のフィルタとの間のみで前記移動部材を移動可能にするフィルタ切替え指令を出力し、前記第2の特殊モードが選択されると、前記操作手段の操作により前記通常使用位置と前記第2のフィルタとの間のみで前記移動部材を移動可能にするフィルタ切替え指令を出力することを特徴としている。これによれば、光量を段階的に減光させる2枚以上の第1のフィルタから直接、他の特殊フィルタである第2のフィルタに切り替わらないように移動部材の移動が制限され、同様に第2のフィルタから直接、第1のフィルタに切り替わらないように移動部材の移動が制限されるため、操作者が意図しないフィルタが挿入されることを防止することができる。
【0015】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記フィルタ切替え機構は、同一円周上に複数のフィルタが設けられた円板状のターレットであって、レンズ光軸上にフィルタを挿入しない通常使用位置に設けられた通常使用部と、前記通常使用位置を基準にして第1の中心角の範囲内に設けられた2枚以上の前記第1のフィルタと、前記通常使用位置を基準にして前記第1の中心角と重複しない第2の中心角の範囲内に設けられた前記第2のフィルタとを有するターレットと、前記ターレットを回転させる回転駆動機構と、を備えたことを特徴としている。複数のフィルタを保持する移動部材をターレットにすることで、スペース効率をよくすることができる。
【0016】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記ターレットの回転位置を0度から360度の範囲内で検出する検出手段を備え、前記フィルタ切替え指令発生手段は、前記操作手段の操作に応じて0度から360度の範囲内の所定の回転位置を示すフィルタ切替え指令を出力することを特徴としている。これにより、操作者から誤った回転方向の指示入力があっても、前記ターレットの回転制限範囲を越える回転位置指令が発生されないようにしている。
【0017】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記検出手段は、前記ターレットの回転を検出する回転域が360度以内に制限されたポテンショメータであり、その回転域の制限端が前記ターレットの前記第1のフィルタと第2のフィルタとの間に位置することを特徴としている。一般に、ポテンショメータは、その回転域に制限(0度から360度の範囲の制限)がある方が安価であり、前記ポテンショメータの回転域の制限端を、前記ターレットの前記第1のフィルタと第2のフィルタとの間に位置させることにより、安価なポテンショメータを適用することができるとともに、該ポテンショメータが前記ターレットの回転範囲(0度から360度以内)を制限しないようにしている。
【0018】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記ポテンショメータは、その軸が前記ターレットの回転軸と直結されていることを特徴としている。これにより、ターレットの外周面に形成されたギアから減速ギアを介してポテンショメータでターレットの回転位置を検出する場合に比べて、複雑な減速ギア等が不要になり、シンプルかつ低コストでターレットの回転位置を検出することができる。
【0019】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記のターレットの通常使用位置に設けられた通常使用部には、前記第1又は第2のフィルタが挿入された場合と同じ位置に結像させるためのダミーガラスが設けられていることを特徴としている。これにより、フィルタを使用しない通常状態とフィルタ使用時とで、光路長が変化しないようにしている。
【0020】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記操作手段は、2つの押しボタンスイッチ、シーソースイッチ又はレバースイッチであることを特徴としている。これらのスイッチにより、絞りの開口径の増減方向やフィルタ切替え機構におけるフィルタ切替え時の移動方向を指示することができる。
【0021】
本発明の更に他の態様に係る監視カメラ用レンズ装置において、前記第2のフィルタは、可視光カットフィルタであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、絞りの連続的な明暗切替えを指示する既存の操作手段を、光量を段階的に減光させる2枚以上の第1のフィルタ及び他の特殊効果用の第2のフィルタのうちの所望のフィルタをレンズ光軸上に挿入させるフィルタ切替え機構におけるフィルタ切替え用の操作手段として兼用できるようにしたため、操作手段の設置スペースの増加やコストの増加を抑えることができ、特に同じ操作手段での操作であってもモードの切替えにより、絞りを操作する場合には絞りの開口径を連続的に増減させる絞り指令を出力し、フィルタを切り替える場合には段階的なフィルタ切替え指令を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る監視カメラ用レンズ装置が装着されたCCTVカメラの全体構成を示すブロック図
【図2】フィルタ切替え機構の一部断面を含む側面図
【図3】ターレットの平面図
【図4】主として絞り及びフィルタ切替え機構の制御部の実施形態を示すブロック図
【図5】モード選択スイッチにより選択されたモードに応じて切り替えられる方向指示ボタンの機能を示す図
【図6】主として絞り指令発生部及びフィルタ切替え指令発生部の構成例を示すブロック図
【図7】本発明に適用されるフィルタ切替え機構の他の実施形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に従って本発明に係る監視カメラ用レンズ装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0025】
[監視カメラ用レンズ装置の全体構成]
図1は、本発明に係る監視カメラ用レンズ装置が装着されたCCTVカメラの全体構成を示すブロック図である。
【0026】
同図に示すように、監視カメラ用レンズ装置10(以下、単に「レンズ装置」という)の光学系は、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、絞り(アイリス)16、エクステンダー18、及びマスターレンズ群20等から構成され、被写体像はこのレンズ装置10を介してカメラ21のCCD22(撮像素子)の結像面に結像される。
【0027】
また、マスターレンズ群20内の光路中には、後述するフィルタ切替え機構60のターレット62に設けられたフィルタF(F1,F2,F3)が挿入できるようになっている。
【0028】
このレンズ装置10には、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、絞り16、エクステンダー18及びターレット62をそれぞれ駆動するためのモータ24、26、28、30、32と、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、絞り16、エクステンダー18及びターレット62の各位置を検出する検出器44、46、48、50、52及び各レンズ群12、14、20、絞り16、エクステンダー18、ターレット62等の動作を制御する制御部70とが設けられている。
【0029】
制御部70には、各部を統括制御する中央処理装置(CPU)72、ROM,RAM等のメモリ74、図示しないD/A変換器、A/D変換器、及び駆動回路等が設けられている。尚、CPU70から出力される各モータ24、26、28、30、32に対する制御信号は、それぞれ図示しないD/A変換器及び駆動回路を介してモータ24、26、28、30、32に加えられる。
【0030】
フォーカスレンズ群12は、モータ24の回転駆動力が図示せぬギア伝達機構を介して伝達されることにより光軸に沿って前後に移動するようになっている。フォーカスレンズ群12の位置(フォーカス位置)は、ポテンショメータ等の検出器44によって検出され、該検出器44の検出信号は、制御部70に通知される。
【0031】
ズームレンズ群14は、詳細には図示されていないが、周知の如く、変倍系レンズと補正系レンズとから成り、変倍系レンズ及び補正系レンズはそれぞれズームカム筒を回転させることによって光軸上を一定の関係をもって移動できるように構成される。ズームレンズ群14は、モータ26の回転駆動力が図示せぬギア伝達機構を介して伝達されることにより光軸に沿って前後に移動する。
【0032】
ズームレンズ群14の位置(ズーム位置)は、ポテンショメータ等の検出器46によって検出され、該検出器46の検出信号は制御部70に通知される。絞り16は、モータ28の回転駆動力が図示せぬギア伝達機構を介して伝達されることにより絞り径が拡縮するように構成される。絞り値(アイリス位置)は、ポテンショメータ等の検出器48によって検出され、該検出器48の検出信号は制御部70に通知される。
【0033】
エクステンダー18は、2倍用のエクステンダーレンズがアーム部の先端に配設され、該アームを回動させることによってエクステンダーレンズが光軸上に挿入される。エクステンダー18のアーム部は、モータ30の回転駆動力によって回動する。エクステンダー18のアーム部の回動位置(エクステンダー位置)は検出器50によって検出され、該検出器50の検出信号は制御部70に通知される。制御部70内のCPU72は、この検出信号に基づいて、光軸上にエクステンダーレンズが挿入されたか否かを把握することができる。
【0034】
尚、フィルタ切替え機構60の構成及び制御については、後述する。
【0035】
制御部70内のCPU70は、各検出器44、46、48、50、52から入力する検出信号に基づいてフォーカス位置、ズーム位置、アイリス位置、エクステンダー位置、及びターレット62の回転位置を把握するとともに、各モータ24、26、28、30、32を制御することにより、フォーカスレンズ群12、ズームレンズ群14、絞り16、エクステンダー18、及びターレット62を所望の目標位置に移動させる。
【0036】
尚、図1には、図示していないが、マスターレンズ群20は、光軸に沿って移動自在に配設されており、このマスターレンズ群20を図示しないモータによって前後に移動させることにより、レンズ結像位置の微調整(フランジバック調整)が行われる。
【0037】
図1に示したレンズ装置10が装着されたカメラ21内のCCD22は、結像面に結像された被写体像を光電変換し、画像信号として信号処理部23に出力する。信号処理部23は、入力した画像信号から、所定フォーマットの映像信号を生成し、この映像信号を、監視室80に置かれたモニタ装置82等に出力する。
【0038】
また、監視室80には、操作部84が設けられており、監視員が、モニタ装置82に表示される撮影画像を見ながら操作部84を操作することにより、フォーカス、ズーム、絞り等の調整、エクステンダー18の切替え、フィルタFの切替え等を遠隔操作ができるようになっている。尚、絞りについては、カメラ21から映像信号を入力して映像信号の明るさから自動で制御するオートアイリスを使用することもできる。
【0039】
[フィルタ切替え機構]
図2は、フィルタ切替え機構60の一部断面を含む側面図である。
【0040】
フィルタ切替え機構60は、主としてターレット62と、モータ32と、ポテンショメータ52とから構成されている。
【0041】
図3に示すように、円板状のターレット62には、素通しのダミーガラスG、NDフィルタF1,F2、及び可視光カットフィルタ(赤外線透過フィルタ)F3が、ターレット62の同一円周上に、90度の等間隔で配設されている。尚、ダミーガラスGは、フィルタF1〜F3に切り替えられる場合と、フィルタを使用しない通常状態とで、光路長が変化しないようにする役割がある。
【0042】
図2に示すようにターレット62の回転軸62Aは、軸受け64により回転自在に軸支されるとともに、ポテンショメータ52の軸52Aが直結されている。また、ターレット62の外周面には、モータ32の出力軸に固定されたギア33と螺合するギア62Bが設けられている。
【0043】
これにより、モータ32を回転駆動させると、ターレット62を回転させることができ、また、ターレット62の回転位置は、ポテンショメータ52により検出することができる。
【0044】
ポテンショメータ52は、その軸52Aが0度から360度の範囲内で回転域が制限されている安価なものが使用されており、軸52Aの回転位置に応じた電圧信号(例えば、0V〜10V)を出力する。
【0045】
図3上で、ターレット62に設けられたダミーガラスG、フィルタF1〜F3のうち、時計の12時の位置にあるダミーガラスG、又はフィルタF1〜F3が使用位置(レンズ光軸上に挿入される位置)とする。いま、図3に示すようにダミーガラスGが12時の位置にあるとすると、ポテンショメータ52は、ダーレット62の回転位置として、135度に対応する電圧信号を出力する。
【0046】
即ち、ポテンショメータ52は、NDフィルタF2と可視光カットフィルタF3との中間位置が12時の位置にきた時、ポテンショメータ52の回転域の一方の制限端(0度)がくるように、ポテンショメータ52の軸52Aは、ターレット62の回転軸62Aに固定されており、[表1]に示すように、ポテンショメータ52が、45度、135度、225度、315度に対応する電圧信号を出力する時に、それぞれ可視光カットフィルタF3、ダミーガラスG、NDフィルタF1、及びNDフィルタF2が使用位置に移動することになる。
【0047】
【表1】

【0048】
NDフィルタF1、F2は、それぞれ光量を8分の1、64分の1に段階的に減光させるもので、監視領域内の被写体輝度が明るく、絞り16を最小絞りにしても露出がオーバーする場合に切り替えられる。
【0049】
一方、可視光カットフィルタF3は、例えば、監視領域内で霧が発生し、視界が悪い状況時に切り替えられ、視界を向上させる機能がある。
【0050】
ここで、NDフィルタF1、F2は、監視領域の天候、時間帯等の撮影環境の変化に対応して切り替えられるため、使用頻度が高いのに対し、霧が発生した時に使用される可視光カットフィルタF3は、NDフィルタF1、F2に比べて使用頻度が低く、また、NDフィルタF2に切り替えられている場合に、直接、可視光カットフィルタF3に切り替える用途は少ないと考えられる。
【0051】
そこで、ターレット62によりダミーガラスGに切り替ええられている通常状態から段階的に光量を減光させるNDフィルタF1,F2への切替え(ターレット62が135度から315度の範囲で回転する切替え1)と、ダミーガラスGに切り替ええられている通常状態から可視光カットフィルタへの切替え(ターレット62が135度から45度の範囲で回転する切替え2)とを区分し、通常状態(ダミーガラスG)の位置を経由せずにNDフィルタF2から直接、可視光カットフィルタF3に切り替わらないように、及び可視光カットフィルタF3から直接、NDフィルタF2に切り替わらないようにターレット62によるフィルタ切替えを制限するようにしている。
【0052】
[絞り16及びフィルタ切替え機構60の制御]
図4は、主として絞り16及びフィルタ切替え機構60の制御部の実施形態を示すブロック図である。
【0053】
監視室80の操作部84は、絞り16の開口径を連続的に増減させる開閉方向、又はターレット62の回転方向を指示する共通の押しボタンスイッチ(方向指示ボタン)86A,86Bと、モード選択スイッチ87と、絞り指令発生部88と、フィルタ切替え指令発生部89とから構成されている。
【0054】
ここで、方向指示ボタン86Aは、絞り16を連続的に閉動作させるための指令信号、又は図3上でターレット62を時計回り方向(CW方向)に回転させるための指示信号を出力し、方向指示ボタン86Bは、絞り16を連続的に開動作させるための指令信号、又は図3上でターレット62を反時計回り方向(CCW方向)に回転させるための指示信号を出力する。
【0055】
モード選択スイッチ87は、絞り16を連続的に開閉動作させる通常モードと、ダミーガラスG,NDフィルタF1,F2のうちのいずれかを光軸上に挿入させる特殊モード1と、ダミーガラスG又は可視光カットフィルタF3を光軸上に挿入させる特殊モード2のうち、いずれか1つのモードを選択するためのスイッチであり、監視者により適宜操作される。
【0056】
図5に示すように、モード選択スイッチ87により通常モードが選択された場合には、方向指示ボタン86A、86Bから出力される指令信号は、絞り16を連続的に開閉動作させる信号として利用され、モード選択スイッチ87により特殊モード1が選択された場合には、方向指示ボタン86A、86Bから出力される指令信号は、ターレット62を段階的に回動動作させ、ダミーガラスG,NDフィルタF1,F2のうちのいずれかを光軸上に挿入させる信号として利用され、モード選択スイッチ87により特殊モード2が選択された場合には、方向指示ボタン86A、86Bから出力される指令信号は、ターレット62を段階的に回動動作させ、ダミーガラスG又は可視光カットフィルタF3を光軸上に挿入させる信号として利用される。
【0057】
尚、図5に示すように、通常モードが選択された時の方向指示ボタン86Aの操作と、特殊モード1が選択された時の方向指示ボタン86Aの操作とは、ともに露光量を減少させる操作である点で共通し、同様に通常モードが選択された時の方向指示ボタン86Bの操作と、特殊モード1が選択された時の方向指示ボタン86Bの操作とは、ともに露光量を増加させる操作である点で共通しているため、通常モードと特殊モード1との間でモードが切り替わった時の方向指示ボタン86A,86Bの操作が分かりやすいようになっている。
【0058】
また、ダミーガラスGが光軸上に挿入されている通常状態において、特殊モード2が選択された時の方向指示ボタン86Bの操作は、NDフィルタを挿入する場合の操作とは、方向(方向指示ボタン)が異なるため、NDフィルタ以外のフィルタである可視光カットフィルタF3への切替え操作であることを認識することができる。
【0059】
このように各モード時における方向指示ボタン86A、86Bの機能を上記のように割り当てることにより、異なるモードで同一の方向指示ボタン86A、86Bを操作する場合でも操作が分かりやすいようになっている。
【0060】
図4に戻って、絞り指令発生部88は、モード選択スイッチ87により通常モードが選択された時に動作可能となり、方向指示ボタン86A、86Bからの指令信号に基づいて絞り16の開口径又は絞り値を示す絞り指令を発生する。
【0061】
フィルタ切替え指令発生部89は、モード選択スイッチ87により特殊モード1、特殊モード2が選択された時に動作可能となり、方向指示ボタン86A、86Bからの指令信号に基づいて所要のフィルタを光軸上に挿入させるためのフィルタ切替え指令を発生する。尚、絞り指令発生部88及びフィルタ切替え指令発生部89の詳細な構成について、後述する。
【0062】
絞り指令発生部88から発生した絞り指令(デジタル信号)は、通信ケーブルを介してレンズ装置10の制御部70(絞り制御部70A)に入力される。
【0063】
制御部70AのD/A変換器90Aは、デジタルの絞り指令を、絞り16の絞り開口径に対応するアナログ信号(電圧信号)に変換し、これを加算器92Aの一方の入力に出力する。加算器92Aの他の入力には、ポテンショメータ48から絞り16の開口径に対応する電圧信号が加えられており、加算器92Aは、2入力信号の偏差をモータ28の操作量を示す信号として駆動回路94Aを介してモータ28に出力し、モータ28を回転させる。このモータ28の回転により絞り16が駆動され、ポテンショメータ48の検出出力により絞り指令に対応する絞り開口径に達したことが検知されると、前記加算器92Aにより得られる偏差が0になり、モータ28の回転は停止させられる。
【0064】
これにより、通常モード時には、方向指示ボタン86A、又は86Bからの指令信号に応じて、絞り16の開口径が連続的に増減させることができる。
【0065】
一方、フィルタ切替え指令発生部89は、特殊モード1又は特殊モード2時に、方向指示ボタン86A,又は86Bが押下される毎に、ターレット62を現在の回転位置から隣接する次の回転位置に対応する回転位置指令(フィルタ切替え指令)を発生する。
【0066】
例えば、特殊モード1が選択され、[表1]に示したように現在のターレット62の回転位置が、通常状態(135度)のときに、方向指示ボタン86Aを押下すると、CW方向の次の回転位置である225度の回転位置への回転を指令する回転位置指令を発生する。
【0067】
このフィルタ切替え指令発生部89から発生した回転位置指令(デジタル信号)は、通信ケーブルを介してレンズ装置10の制御部70(フィルタ制御部70B)に入力される。
【0068】
フィルタ制御部70BのD/A変換器90Bは、デジタルの回転位置指令を、ポテンショメータ52から出力される、225度の回転位置に対応するアナログ信号(電圧信号)に変換し、これを加算器92Bの一方の入力に出力する。
【0069】
加算器92Bの他の入力には、ポテンショメータ52からターレット62の回転位置を示す電圧信号が加えられており、加算器92Bは、2入力信号の偏差をモータ32の操作量を示す信号として駆動回路94Bを介してモータ32に出力し、モータ32を回転させる。このモータ32の回転に伴ってターレット62が回転し、ポテンショメータ52の検出出力によりターレット62が225度の位置に回転したことが検出されると、前記加算器92Bにより得られる偏差が0になり、モータ32の回転は停止させられる。
【0070】
同様にして、現在のターレット62の回転位置が、NDフィルタF1に切り替わっている位置(225度)のときに、方向指示ボタン86Aを更に押下すると、CW方向の次の回転位置である315度の回転位置への回転を指令する回転位置指令が発生し、ターレット62は、NDフィルタF2に切り替わる位置(315度)に回転する。
【0071】
その後、現在のターレット62の回転位置が、NDフィルタF2に切り替わっている位置(315度)のときに、更に方向指示ボタン86Aが押下されると、フィルタ切替え指令発生部89は、ターレット62がCW方向の端部に位置しているため、ターレット62をCW方向に回転させる回転位置指令を出力しないようにし、これによりターレット62の回転範囲を制限している。即ち、方向指示ボタン86Aを繰り返し押し続けても、NDフィルタF2から直接、可視光カットフィルタF3への切替えが行われないようにしている。
【0072】
尚、NDフィルタF2と可視光カットフィルタF3との間に、ポテンショメータ52の回転域の制限端があるため、メカ的にも制限され、ターレット62は、NDフィルタF2から直接、可視光カットフィルタF3に切り替わることはない。
【0073】
一方、方向指示ボタン86Bを押下すると、方向指示ボタン86Bが押下される毎にターレット62をCCW方向に回転させる指令が発生され、これにより、ターレット62は、NDフィルタF2→F1→通常状態(ダミーガラスG)の順に、これらのフィルタ等が切り替わるように回転させられる。
【0074】
また、特殊モード2が選択され、ターレット62が通常状態(ダミーガラスG)に切り替わっている状態(135度)で、方向指示ボタン86Bが押下されると、CCW方向の次の回転位置である45度の回転位置への回転を指令する回転位置指令が発生され、ターレット62は、可視光カットフィルタF3に切り替わる位置(45度)に回転する。
【0075】
上記と同様に、現在のターレット62の回転位置が、可視光カットフィルタF3に切り替わっている位置(45度)のときに、更に方向指示ボタン86Bが押下されると、回転位置指令発生部88は、ターレット62がCCW方向の端部に位置しているため、ターレット62をCCW方向に回転させる回転位置指令を出力しないようにし、これによりターレット62の回転範囲を制限している。即ち、方向指示ボタン86Bを繰り返し押し続けても、可視光カットフィルタF3から直接、NDフィルタF2への切替えが行われないようにしている。
【0076】
このように、特殊モード1又は特殊モード2の選択に応じて、通常状態から段階的に光量を減光させるNDフィルタF1,F2への切替え1と、通常状態から可視光カットフィルタへの切替え2とを区分し、通常状態の位置を経由せずにNDフィルタF2から直接、可視光カットフィルタF3に切り替わらないように、及び可視光カットフィルタF3から直接、NDフィルタF2に切り替わらないようにターレット62によるフィルタ切替えを制限するようにたため、監視者が、方向指示ボタン86A又は86Bを不用意に操作しても、監視者が意図しない映像が撮影されないようにすることができる。
【0077】
[絞り指令発生部88及びフィルタ切替え指令発生部89の構成例]
図6は主として絞り指令発生部88及びフィルタ切替え指令発生部89の構成例を示すブロック図である。
【0078】
絞り指令発生部88は、アンド回路88A、88B、発振器88C、アップダウンカウンタ88D、及び絞り値変換部88Eから構成されている。
【0079】
方向指示ボタン86A、又は86Bからの指令信号は、それぞれアンド回路88A、又は88Bに加えられる。尚、方向指示ボタン86A、又は86Bからの指令信号は、通常はローレベル(Lレベル)であるが、ボタン押下時にハイレベル(Hレベル)となる信号である。
【0080】
アンド回路88A、88Bの他の入力には、発振器88Cからクロックパルスが加えられており、これによりアンド回路88A、又は88Bは、方向指示ボタン86A、又は86Bが押下されてHレベル信号が加えられると、クロックパルスをアップダウンカウンタ88Dのアップ端子U、又はダウン端子Dに出力する。
【0081】
アップダウンカウンタ88Dは、0から予め設定された数値の範囲内で、入力するクロックパルスをアップカウント又はダウンカウントするもので、モード選択スイッチ87により通常モードが選択されると、カウント動作が可能となり、アップ端子Uからクロックパルスを入力する毎に現在のカウント値を1ずつアップカウントし、ダウン端子Dからクロックパルスを入力する毎に現在のカウント値を1ずつダウンカウントする。
【0082】
絞り値変換部88Eは、アップダウンカウンタ88Dから入力するカウント値を絞り16の開口径を示す絞り値に変換し、この絞り値を示す絞り指令を出力する。
【0083】
これにより、方向指示ボタン86Aを押し続けると、アップダウンカウンタ88Dは、予め設定された数値(最大値)までクロックパルスをアップカウントし、アップダウンカウンタ88Dから最大値が出力されると、絞り値変換部88Eは、最小絞りを示す絞り値を出力する。同様に、方向指示ボタン86Bを押し続けると、アップダウンカウンタ88Dは、カウント値が0になるまでクロックパルスをダウンカウントし、アップダウンカウンタ88Dから0が出力されると、絞り値変換部88Eは、最大絞りを示す絞り値を出力する。
【0084】
このように方向指示ボタン86A、又は86Bが押下されると、その押下されている期間中、絞り16の開口径は連続的に増減させられる。
【0085】
一方、フィルタ切替え指令発生部89は、ワンショット回路89A、89B、アップダウンカウンタ89C、及び回転位置指令変換部89Dから構成されている。
【0086】
ワンショット回路89A、又は89Bは、それぞれ方向指示ボタン86A、86Bの押下時に入力する指令信号(Hレベル)の立ち上がり時にワンショットパルスを発生し、アップダウンカウンタ89Cのアップ端子U又はダウン端子Dに出力する。
【0087】
アップダウンカウンタ89Cは、入力するワンショットパルスをアップカウント又はダウンカウントするもので、モード選択スイッチ87により特殊モード1が選択されると、1、2、3の範囲内で、入力するワンショットパルスをアップカウント又はダウンカウントし、モード選択スイッチ87により特殊モード2が選択されると、0、1の範囲内で、入力するワンショットパルスをアップカウント又はダウンカウントする。
【0088】
回転位置指令変換部89Dは、アップダウンカウンタ89Cから入力するカウント値を、下記の[表2]に示す所定の回転位置指令に変換し、この回転位置指令を出力する。
【0089】
【表2】

【0090】
即ち、モード選択スイッチ87により特殊モード1が選択されると、アップダウンカウンタ89Cは、1、2、3の範囲内で、入力するワンショットパルスをアップカウント又はダウンカウントする。
【0091】
いま、カウント値が1で、光軸上にダミーガラスGが挿入されている通常状態において、方向指示ボタン86Aが押下されると、その方向指示ボタン86Aが押下される毎にワンショット回路89Aからワンショットパルスがアップダウンカウンタ89Cのアップ端子Uに入力し、アップダウンカウンタ89Cは、1→2→3とアップカウントする。カウント値が3に達すると、その後、方向指示ボタン86Aを押下してもアップダウンカウンタ89Cはアップカウントしない。
【0092】
一方、方向指示ボタン86Bが押下されると、その方向指示ボタン86Bが押下される毎にワンショット回路89Bからワンショットパルスがアップダウンカウンタ89Cのダウン端子Dに入力し、アップダウンカウンタ89Cは、3→2→1とダウンカウントする。カウント値が1に達すると、その後、方向指示ボタン86Bを押下してもアップダウンカウンタ89Cはダウンカウントしない。
【0093】
このように、モード選択スイッチ87により特殊モード1が選択されると、アップダウンカウンタ89Cは、方向指示ボタン86A,又は86Bが押下される毎にアップカウント、又はダウンカウントし、1、2、3の範囲内でカウント値が変動する。回転位置指令変換部89Dは、アップダウンカウンタ89Cのカウント値に基づいて該カウント値を上記[表2]に示す回転位置指令に変換し、この回転位置指令を出力する。これにより、方向指示ボタン86A,又は86Bの押下に応じて、ダミーガラスG,NDフィルタF1,NDフィルタN2のうちのいずれかを光軸上に挿入することができる。
【0094】
一方、モード選択スイッチ87により特殊モード2が選択されると、アップダウンカウンタ89Cは、0、1の範囲内で、入力するワンショットパルスをアップカウント又はダウンカウントする。
【0095】
いま、カウント値が1で、光軸上にダミーガラスGが挿入されている通常状態において、方向指示ボタン86Bが押下されると、その方向指示ボタン86Bの押下に伴ってワンショット回路89Bからワンショットパルスがアップダウンカウンタ89Cのダウン端子Dに入力し、アップダウンカウンタ89Cは、1→0とダウンカウントする。カウント値が0に達すると、その後、方向指示ボタン86Bを押下してもアップダウンカウンタ89Cはダウンカウントしない。
【0096】
このように、モード選択スイッチ87により特殊モード2が選択されると、アップダウンカウンタ89Cは、方向指示ボタン86A,又は86Bが押下される毎にアップカウント、又はダウンカウントし、0、1の範囲内でカウント値が変動する。回転位置指令変換部89Dは、アップダウンカウンタ89Cのカウント値に基づいて該カウント値を上記[表2]に示す回転位置指令に変換し、この回転位置指令を出力する。これにより、方向指示ボタン86A,又は86Bの押下に応じて、ダミーガラスG又は可視光カットフィルタF3のいずれかを光軸上に挿入することができる。
【0097】
[フィルタ切替え機構の他の実施形態]
図7は本発明に適用されるフィルタ切替え機構の他の実施形態を示す図である。
【0098】
図7に示すように、このフィルタ切替え機構66は、図2に示したフィルタ切替え機構60のターレット62の替わりに、矢印方向にスライド移動するスライド板67が設けられている点で相違する。
【0099】
このスライド板67には、素通しのダミーガラスG、NDフィルタF1,F2、及び可視光カットフィルタ(赤外線透過フィルタ)F3が、その移動方向に等間隔で配設されている。また、スライド板67の下面には、ラック68が設けられており、このラック68には、モータMの出力軸に固定されたギアが噛合している。また、ラック68には、減速ギア機構69を介してポテンショメータPが連結されている。
【0100】
これにより、ターレット62の回転位置を制御する場合と同様に、スライド板67のスライド位置を制御することができ、所望のフィルタを光軸上に挿入することができる。
【0101】
[その他]
この実施形態の絞り及びフィルタ切替え機構の共通の操作手段は、2つの押しボタンスイッチ(絞りの開閉方向をそれぞれ指示する2つの方向指示ボタン)に限らず、例えば、シーソースイッチやレバースイッチでもよく、要は、絞りの開口径を連続的に増減さるために使用できるスイッチであれば、いかなるものでも適用できる。
【0102】
また、この実施形態では、光量を段階的に減光させる2枚のNDフィルタF1,F2をターレット等の移動部材に設けるようにしたが、光量を一定の割合で段階的に減光させるNDフィルタを3枚以上設けるようにしてもよい。
【0103】
また、NDフィルタとは異なる他の特殊フィルタとして、可視光カットフィルタを移動部材に設ける場合について説明したが、これに限らず、種々の特殊フィルタを設けるようにしてもよい。
【0104】
また、通常状態では、素通しのダミーガラスを挿入されるようにしたが、ダミーガラスを設けずに開口にしてもよい。この場合、通常状態とフィルタ挿入時とでは、一定量ピント位置をずらす必要がある。
【0105】
また、ターレット等の移動部材の移動位置を検出する検出手段としては、ポテンショメータに限らず、例えば、移動部材の所定位置に設けたマーク等をフォトインタラプタで読み取るもの、エンコータなどを適用することができる。
【0106】
また、フィルタ切替え機構を設ける位置は、マスターレンズ群20の内側に限らず、例えば、マスターレンズ群20の外側であって、カメラに近い側に設けるようにしてもよい。
【0107】
更に、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0108】
10…監視カメラ用レンズ装置(レンズ装置)、12…フォーカスレンズ群、14…ズームレンズ群、16…絞り(アイリス)、18…エクステンダー、20…マスターレンズ群、22…CCD、23…信号処理部、24、26、28、30、32…モータ、44、46、48、50、52…検出器、60…フィルタ切替え機構、62…ターレット、66…フィルタ切替え機構、70…制御部、70A…絞り制御部、70B…フィルタ制御部、72…中央処理装置(CPU)、82…モニタ装置、84…操作部、86A,86B…方向指示ボタン、87…モード選択スイッチ、88…絞り指令発生部、89…フィルタ切替え指令発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動により絞りを遠隔操作可能な監視カメラ用レンズ装置において、
絞り指令の入力により前記絞りを開閉させる絞り駆動手段と、
光量を段階的に減光させる2枚以上の第1のフィルタ及び前記第1のフィルタ以外の他の特殊効果用の第2のフィルタのうちの所望のフィルタをレンズ光軸上に挿入させるフィルタ切替え機構と、
フィルタ切替え指令の入力により前記フィルタ切替え機構を動作させ、前記第1のフィルタ又は第2のフィルタをレンズ光軸上に挿入させるフィルタ駆動手段と、
前記絞りの開口径を連続的に増減させ、又は前記フィルタ切替え機構を動作させる際に手動操作される共通の操作手段と、
前記絞りを制御する第1のモード、又は前記フィルタ切替え機構を制御する第2のモードを選択するモード選択手段と、
前記モード選択手段により第1のモードが選択され、かつ前記操作手段が操作されると、その操作期間にわたって前記絞りの開口径を連続的に増減させる絞り指令を前記フィルタ駆動手段に出力する絞り指令発生手段と、
前記モード選択手段により第2のモードが選択され、かつ前記操作手段が操作されると、その操作毎にフィルタ切替え指令を前記フィルタ駆動手段に出力するフィルタ切替え指令発生手段と、
を備えたことを特徴とする監視カメラ用レンズ装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記絞りを閉じる方向に動作させるときの操作と、前記フィルタ切替え機構における減光量を大きくするフィルタへの切替え操作とを同じ操作として受け付け、前記絞りを開く方向に動作させるときの操作と、前記フィルタ切替え機構による減光量を小さくするフィルタへの切替え操作とを同じ操作として受け付けることを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項3】
前記フィルタ切替え機構は、前記2枚以上の第1のフィルタと第2のフィルタとが、素通しの通常使用位置を挟んで配設された1つの移動部材を有し、該移動部材を移動させて所望のフィルタ又は通常使用位置をレンズ光軸上に挿入させることを特徴とする請求項1又は2に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項4】
前記モード選択手段により選択される前記第2のモードは、前記第1のフィルタのフィルタ切替えを行わせるための第1の特殊モードと、前記第2のフィルタのフィルタ切替えを行わせるための第2の特殊モードとを有し、
前記フィルタ切替え指令発生手段は、前記第1の特殊モードが選択されると、前記操作手段の操作により前記通常使用位置と2枚以上の第1のフィルタとの間のみで前記移動部材を移動可能にするフィルタ切替え指令を出力し、前記第2の特殊モードが選択されると、前記操作手段の操作により前記通常使用位置と前記第2のフィルタとの間のみで前記移動部材を移動可能にするフィルタ切替え指令を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項5】
前記フィルタ切替え機構は、同一円周上に複数のフィルタが設けられた円板状のターレットであって、レンズ光軸上にフィルタを挿入しない通常使用位置に設けられた通常使用部と、前記通常使用位置を基準にして第1の中心角の範囲内に設けられた2枚以上の前記第1のフィルタと、前記通常使用位置を基準にして前記第1の中心角と重複しない第2の中心角の範囲内に設けられた前記第2のフィルタとを有するターレットと、前記ターレットを回転させる回転駆動機構と、を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項6】
前記ターレットの回転位置を0度から360度の範囲内で検出する検出手段を備え、
前記フィルタ切替え指令発生手段は、前記操作手段の操作に応じて0度から360度の範囲内の所定の回転位置を示すフィルタ切替え指令を出力することを特徴とする請求項5に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記ターレットの回転を検出する回転域が360度以内に制限されたポテンショメータであり、その回転域の制限端が前記ターレットの前記第1のフィルタと第2のフィルタとの間に位置することを特徴とする請求項6に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項8】
前記ポテンショメータは、その軸が前記ターレットの回転軸と直結されていることを特徴とする請求項7に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項9】
前記ターレットの通常使用位置に設けられた通常使用部には、前記第1又は第2のフィルタが挿入された場合と同じ位置に結像させるためのダミーガラスが設けられていることを特徴とする請求項5から8のいずれか1項に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項10】
前記操作手段は、2つの押しボタンスイッチ、シーソースイッチ又はレバースイッチであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の監視カメラ用レンズ装置。
【請求項11】
前記第2のフィルタは、可視光カットフィルタであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の監視カメラ用レンズ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−199793(P2012−199793A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62784(P2011−62784)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】