説明

監視システム及び画像処理装置

【課題】複数のカメラによる画像についての画像処理を多重化して時分割で行う。
【解決手段】アナログカメラ11−1〜11−3とアナログ映像信号を符号化するエンコーダ13−1〜13−3とにより構成されるか又は、IPカメラ12−1、12−2により構成される複数の映像送出部と、この複数の映像送出部が接続されるネットワーク10と、このネットワーク10に接続され、上記複数の映像送出部が送出した映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み画像処理用の1画面分のディジタル画像情報へ変換するデコーダ21と、このデコーダ21がデコードした複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行う画像処理手段22とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カメラを用いて道路監視や侵入監視などの各種監視を行う場合に好適な監視システム及び画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の監視システムにおいては、図12に示されるように監視カメラ101−1、101−2、・・・により撮像した監視対象のアナログ映像信号をそのまま伝送して事象検出装置102へ導くものであった。アナログ映像信号を伝送するために、その劣化を抑制するイコライザー103を伝送路に設ける必要があった。事象検出装置102は映像信号を取り込んでA/D変換し、画像処理を行って事象検出を行うものであるが、監視カメラ101−1、101−2、・・・により得られた映像について複数のものを1台の事象検出装置102にて処理する場合には、映像分配器104によりアナログ映像信号を切り換えて事象検出装置102へ送出する構成であった。
【0003】
このシステムにおいては、映像分配器104による瞬時な切り換えが不可能であり、また映像分配器104により事象検出装置102を切り換える制御を行うことはできず、所要の監視カメラにより撮像された映像について次々に時分割による画像処理を実行することはできないものであった。また、レコーダ105によりアナログ映像信号を録画するものであるが、事象検出装置102からの制御により必要なアナログ映像信号を選択して録画するように構成されており、過去に録画した映像信号について後になって読み出して画像解析を行うことは不可能であった。
【0004】
図13は、伝送路を光ファイバとしてE/O変換器107、O/E変換器108を用いてアナログ映像信号の劣化を抑制した構成例である。このシステムにおいては、イコライザー103が不要であるが、E/O変換器107とO/E変換器108が必要であり、アナログ映像信号の劣化対策が必要であることには変わりがなく、その他の点においては図12において説明した問題点がある。
【0005】
図14に示す従来のシステムにあっては、映像分配器104と事象検出装置102との間にスキャン映像を得るための映像切換器109を設けたものである。このシステムでは、映像分配器104によるスキャン映像の取得による映像切り換えがなされるものであり、事象検出装置102が所望により瞬時に所望の監視カメラ101−1、101−2、・・・により得られた映像についてスキャン映像を次々に得て時分割多重処理を行うようなシステムとすることはできない。
【0006】
更に、図15に示す従来のシステムは、監視カメラ101−1、101−2、・・・により得られた映像信号についてMPEG2やMPEG4による符号化を行うエンコーダ111−1、111−2、・・・を接続して符号化した映像情報をネットワーク110を介して伝送するものである。このシステムにおいては、ネットワーク110の受信側においてMPEG2やMPEG4による符号化に係る映像情報を復号化してアナログ映像信号に戻すデコーダ112を備え、これを事象検出装置102においてキャプチャボードなどによりA/D変換する処理を行っており、符号化復号化の繰り返し処理が何度もなされ繁雑なものであった。
【0007】
また、複数の監視カメラにより得られた映像信号についてMPEGにて伝送を行い、日時情報と共に保存して、再生時には日時情報に基づき複数の画像を表示するものが特許文献1に開示されている。また、通常時にIフレームのみを送り、一定以上の動きを検出した際にはIフレーム、Bフレーム、Pフレームを送る監視システムが特許文献2に示されている。
【特許文献1】特開2003−163923号公報
【特許文献2】特開2000−165847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明が解決しようとする課題は、監視カメラ側から符号化して映像情報を送る場合に、符号化復号化の繰り返し処理が何度も行われて繁雑なことであり、本発明の目的は係る繁雑さを排除し、しかも複数のカメラによる画像についての画像処理を多重化して時分割で行うことが可能である監視システム及び画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る監視システムは、被写対象を撮像して符号化されたネットワーク送信可能な映像情報を出力する複数の映像送出部と、前記複数の映像送出部が接続されるネットワークと、前記ネットワークに接続され、前記複数の映像送出部が送出した映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へ変換するデコーダと、前記デコーダが変換した複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行う画像処理手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る監視システムは、デコードしたディジタル画像情報を録画する画像録画部と、前記画像録画部に録画するディジタル画像情報に対して前記画像処理手段による解析結果をメタデータとして付加する録画制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る監視システムでは、前記画像処理手段が、解析結果に応じて対応する映像送出部の送出に係るディジタル画像情報に関する処理レートを変更することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る監視システムでは、前記映像送出部が、ズーム機構、旋回機構、解像度変更手段を備えており、前記画像処理手段による解析結果に応じて対応する映像送出部におけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うカメラ制御手段が具備されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る監視システムは、事象を検出するセンサと、該センサが事象を検出した場合にネットワークを介して事象発生情報を報知する事象発生報知手段と、前記事象発生報知手段による事象発生情報をネットワークを介して受け取り、この事象発生情報に応じて対応する映像送出部の送出に係るディジタル画像情報について前記画像処理手段による解析を実行させる解析制御手段とを具備することを特徴としている。
【0014】
本発明に係る監視システムでは、カメラ制御手段が、前記事象発生報知手段から送られる事象発生情報をネットワークを介して受け取り、この事象発生情報に応じて対応する映像送出部におけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る監視システムでは、時刻情報に対応して制御すべき映像送出部と制御内容の情報が対応付けられたカメラ制御情報データベースを備え、カメラ制御手段は、前記カメラ制御情報データベースの情報に応じて対応する制御を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る監視システムは、映像送出部により送出された映像情報をネットワークから取り込み蓄積する映像蓄積手段を備え、前記映像蓄積手段から直接にまたはネットワークを介して蓄積された映像情報を取り出し前記デコーダにてデコードして前記画像処理手段による解析を実行することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像処理装置は、映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へ変換するデコーダと、前記デコーダが変換した複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行う画像処理手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る監視システムでは、被写対象を撮像して符号化されたネットワーク送信可能な映像情報を出力する複数の映像送出部が、ネットワークを介して映像情報を送出し、この映像情報を受けて、少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へデコードして、複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行うので、複数の映像送出部にて撮像した被写対象について事象発生を多重的に検出でき、効率的な監視を可能である。また、本発明に係る画像処理装置は、映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へ変換し、変換した複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行うので、複数の映像送出部にて撮像した被写対象について事象発生を多重的に検出できる。
【0019】
本発明に係る監視システムでは、前記映像送出部は、ズーム機構、旋回機構、解像度変更手段を備えており、前記画像処理手段による解析結果に応じて、または、センサが事象を検出した場合にネットワークを介して事象発生情報を報知する事象発生報知手段による事象発生情報をネットワークを介して受け取り、この事象発生情報に応じて、対応する映像送出部におけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うので、必要時に必要な位置の監視を行うことができ、効率的な監視が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明では、被写対象を撮像して符号化されたネットワーク送信可能な映像情報を出力する複数の映像送出部から、ネットワークを介して映像情報を送出し、この映像情報を受けて少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へデコードする構成により、繁雑な処理と構成を回避し、複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行うようにして、複数の映像送出部にて撮像した被写対象について事象発生を多重的に検出するという目的を達成したものである。
【実施例1】
【0021】
以下添付図面を参照して、本発明の監視システムの実施例を説明する。各図において、同一の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1は、本発明に係る監視システムの第1の実施例を示す構成図である。このシステムでは、複数台のアナログカメラ11−1、11−2、11−3、・・・により被写対象を撮像してアナログ映像信号を得る。また、複数のIPカメラ12−1、12−2、・・・により被写対象を撮像してネットワーク送信可能な映像情報(MPEG2やMPEG4など)を得る。アナログカメラ11−1、11−2、11−3、・・・には、ネットワーク送信可能な映像情報(MPEG2やMPEG4など)とするエンコーダ13−1、13−2、13−3、・・・が接続されている。
【0022】
アナログカメラ11−1、11−2、11−3、・・・及びIPカメラ12−1、12−2、・・・には、アナログカメラ11−1について代表して示すようにズーム機構、旋回機構解像度変更手段が備えられている。アナログカメラ11−1、11−2、11−3、IPカメラ12−1、12−2、・・・及びエンコーダ13−1、13−2、13−3、・・・は、複数の映像送出部を構成し、IPカメラ12−1、12−2、・・・及びエンコーダ13−1、13−2、13−3、・・・は、ネットワーク10に接続されており、映像情報をブロードキャスト送信している。
【0023】
また、ネットワーク10には例えばパーソナルコンピュータにより構成される監視側端末20が接続されており、更に、監視側端末20には、画像録画部30が接続されている。監視側端末20には、ソフトウエアにより構成されるデコーダ21、画像処理手段22、録画制御手段23、カメラ制御手段24が備えられており、また、カメラ制御情報DB(データベース)25及び計時を行うタイマ26が備えられている。
【0024】
デコーダ21は、複数の映像送出部が送出した映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み画像処理用の1画面分のディジタル画像情報へ変換するものである。画像処理手段22は、デコーダ21がデコードした複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行うものである。録画制御手段23は、画像録画部30に録画するディジタル画像情報に対して上記画像処理手段22による解析結果をメタデータとして付加して画像録画部30に記憶するものである。カメラ制御手段24は、画像処理手段22による解析結果に応じて対応するカメラにおけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うものであり、また、カメラ制御情報DB25の情報に応じて対応するカメラに関する制御を行うものである。
【0025】
カメラ制御情報DB25は、例えば、図2に示されるように、時刻情報に対応して制御すべきカメラと制御内容の情報が対応付けられたものである。ここでは、時刻00:00から時刻06:59において選択するカメラA、B、C、Dの情報と、各カメラA、B、C、Dについてそれぞれズーム比、旋回角、解像度及び優先度に関する情報が対応して記憶されており、時刻07:00から時刻12:59において選択するカメラE、F、G、Hの情報と、各カメラE、F、G、Hについてそれぞれズーム比、旋回角、解像度及び優先度に関する情報が対応して記憶されており、以下、時刻対応に同様の情報が記憶されている。
【0026】
カメラ制御手段24には、図3に示される現在選択カメラ情報テーブルGTが備えられており、現在選択カメラ情報テーブルGTには、現在において画像処理手段22により処理されているカメラについて、カメラ情報、ズーム比、旋回角、解像度、優先度及び事象発生フラグ(0:リセット、1:セット)の情報が記憶されている。
【0027】
画像処理手段22とカメラ制御手段24は、監視側端末20のCPUが図4及び図5に示されるフローチャートに対応する基づき処理を行うことにより実現されるものである。以下、この図4及び図5に示されるフローチャートに基づき動作を説明する。監視側端末20が起動され、スタートとなってタイマ26の現在時刻に基づきカメラ制御情報DB25から当該時刻対応の選択カメラ、各カメラについてそれぞれズーム比、旋回角、解像度及び優先度に関する情報を求め(S11)、各選択カメラに対してネットワーク10を介してズーム比、旋回角、解像度に関する制御情報を送り、各カメラの制御を行う(S12)。ステップS12に次いで現在選択カメラ情報テーブルGTを参照し、事象発生フラグがセットされているカメラがあるかを検出する(S13)。
【0028】
ステップS13において事象発生フラグがセットされているカメラがないことが検出されると、ステップS11においてカメラ制御情報DB25から得た選択カメラの情報をそのまま現在選択カメラ情報テーブルGTへ登録し(S14)、現在選択カメラ情報テーブルGTに登録のカメラによってブロードキャスト送信されている映像情報を取り込みデコードを行う(S15)。このとき、MPEGの映像情報には、Iフレーム、Bフレーム及びPフレームが含まれるが、ここではIフレームのみを取り込み、デコードを行う。このため、Iフレームは1秒間に最大2フレーム分が到達するので、現在選択カメラ情報テーブルGTに登録された複数(図3の例では4台)のカメラについて順次切り換えを行って取り込む。
【0029】
ステップS15に続いて、複数のカメラについて得られる画像情報に対して時分割で同一処理レートにて画像処理をマルチ処理する(S16)。ここにおける画像処理では、例えば、背景差分やフレーム間差分更にはパターンマッチングなど公知の手法の一つ或いは複数が、監視側端末20のCPU処理能力に応じて用いられる。ステップS16に続いて、カメラ制御情報DB25のデータが切り換わる時刻(図2の例では、時刻7:00など)であるかを検出し(S17)、データの切り換え時刻でなければ、画像処理において所定の事象発生(侵入監視システムでは、侵入者の検出。道路監視システムでは、渋滞の発生等)が検出されたかを判定し(S18)、所定の事象発生が検出されなければステップS15へ戻って処理が続けられる。また、ステップS17においてデータの切り換え時刻到来が検出されると、ステップS11へ戻り処理が行われる。
【0030】
上記ステップS18において、所定の事象発生が検出されると、現在選択カメラ情報テーブルGTの該当カメラ対応に事象発生フラグをセットし、事象発生の対象画像情報に対する処理レートを上昇させ、画像処理手段22による解析結果と時刻情報等をメタデータとして該当画像情報に付加して画像録画部30に記憶する(S19)。処理レートの上昇にあっては、例えば、該当カメラについて解像度上昇の制御を行って高解像度の映像情報を得たり、背景差分やフレーム間差分更にはパターンマッチングなどの手法の一つを複数にして多数決を採用したり、Iフレーム以外にBフレームやPフレームを用いてデコードを行って画像処理用の画像情報を復号化する等が行われる。そして、上記のステップS19に続いて、現在選択カメラ情報テーブルGTに登録のカメラによってブロードキャスト送信されている映像情報を取り込みデコードを行い(S21)、複数のカメラについて得られる画像情報に対して時分割で上記の通り事象発生フラグがセットされたカメラ対応の画像情報について、処理レートを上昇させてマルチ処理を行うものである(S22)。
【0031】
そして、上記ステップS22の次には、カメラ制御情報DB25のデータが切り換わる時刻(図2の例では、時刻7:00など)であるかを検出し(S23)、データの切り換え時刻でなければ、画像処理において所定の事象発生(侵入監視システムでは、侵入者の検出。道路監視システムでは、渋滞の発生等)が検出されたかを判定し(S24)、このステップS24において、所定の事象発生が検出されると、現在選択カメラ情報テーブルGTの該当カメラ対応に事象発生フラグをセットし、事象発生の対象画像情報に対する処理レートを前述の如く上昇させ、画像処理手段22による解析結果と時刻情報等をメタデータとして該当画像情報に付加して画像録画部30に記憶し(S25)、ステップS21へ戻る。
【0032】
また、ステップS23においてデータの切り換え時刻到来が検出されると、ステップS11へ戻り処理が行われる。この場合には、次にステップS12からステップS13へ進み、このステップS13において事象発生フラグがセットされているカメラが存在することが検出され、現在選択カメラ情報テーブルGTに事象発生フラグのセットされているカメラに関する情報を残し、ステップS11にてカメラ制御情報DB25から得られた選択カメラの中から優先度に基づき許容数(処理能力に応じた数であり、図3の例では4台)の選択カメラに関する情報を取り出して現在選択カメラ情報テーブルGTに登録する(S20)。斯して、事象発生中を捕らえたカメラによる画像情報が画像処理から外されることなく、効率の良い監視が継続される。
【0033】
更に、上記の通りの処理が進行する中で、ステップS24において所定の事象発生が検出されない場合には、事象発生の消滅(侵入監視システムでは、侵入者の検出無し状態。道路監視システムでは、渋滞の解消等)が検出されたかを判定し(S26)、事象発生の消滅が検出されなければステップS21へ戻って処理が継続されるが、事象発生の消滅が検出された場合には、現在選択カメラ情報テーブルGTの該当カメラ対応に事象発生フラグをリセットし、事象発生の対象画像情報に対する処理レートを低減して元へ戻し(S27)、ステップS11へ進む。このステップS27に次いで行われるステップS11からの処理において、ステップS13にて事象発生フラグがセットされているカメラがないことが検出されると、ステップS11においてカメラ制御情報DB25から得た選択カメラの情報をそのまま現在選択カメラ情報テーブルGTへ登録して(S14)処理が行われ、ステップS13にて未だに事象発生フラグがセットされているカメラが存在することが検出されると、現在選択カメラ情報テーブルGTに事象発生フラグのセットされているカメラに関する情報を残し、ステップS11にてカメラ制御情報DB25から得られた選択カメラの中から優先度に基づき許容数(処理能力に応じた数であり、図3の例では4台)の選択カメラに関する情報を取り出して現在選択カメラ情報テーブルGTに登録して(S20)処理が行われる。なお、本実施例では、事象発生検出の場合にのみ画像処理手段22による解析結果をメタデータとして該当画像情報に付加して画像録画部30に記憶することを示したが(S19、S25)、ステップS27における事象発生の消滅を検出した場合に、この解析結果をメタデータとして該当画像情報に付加して画像録画部30に記憶するように構成することも可能である。なお、いずれの場合においても、解析結果がメタデータとして該当画像情報に付加して画像録画部30に記憶されているため、例えば監視側端末20において画像録画部30から所望の画像情報を読み出す場合には、付加されたメタデータをキーとして検索を行うことができ、監視業務の効率化を図ることができる。
【実施例2】
【0034】
図6には、第2の実施例に係る監視システムの構成図が示されている。この実施例においては、事象を検出する複数のセンサ41−1、41−2、・・・と、このセンサ41−1、41−2、・・・が事象を検出した場合にネットワーク10を介して事象発生情報を報知する事象発生報知手段40が新たに備えられている。センサ41−1、41−2、・・・は、侵入監視システムでは、侵入者の検出の赤外線センサ等であり、道路監視システムでは、渋滞の発生等を検出する車両検出センサなどにより構成される。また、監視側端末20Aには、第1の構成に加えて、解析制御手段27を備えている。この解析制御手段28は、事象発生報知手段40による事象発生情報をネットワーク10を介して受け取り、この事象発生情報に応じて対応するカメラによる撮像に対応する映像送出部の送出に係るディジタル画像情報について画像処理手段22による解析を実行させるものである。
【0035】
また、カメラ制御手段24は、第1の実施例における処理に加えて、事象発生報知手段40から送られる事象発生情報をネットワーク10を介して受け取り、この事象発生情報に応じて対応するカメラにおけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うものである。センサ41−1、41−2、・・・による事象発生検出を管理するために、監視側端末20Aには、図7に示されるようなセンサ識別情報(ID)に対応して制御すべきカメラ識別情報、ズーム比、旋回角、解像度、優先度が記憶された制御情報テーブルCTと、図8に示すようなセンサ情報管理テーブルSTが備えられている。センサ情報管理テーブルSTは、前回事象発生検出したセンサの識別情報(ID)を登録する前回検出センサ欄と今回事象発生検出したセンサの識別情報(ID)を登録する今回検出センサ欄とを備えている。そして、監視側端末20AのCPUは、図4と図5に示したフローチャートに対応するプログラムによる動作を行う他に、例えば所定時間毎の割り込みにより図9に示すフローチャートに対応するプログラムによる動作を行う。第2の実施例に係る監視システムの構成は、上記以外において第1の実施例と同様である。
【0036】
以下、図9に示すフローチャートに基づき動作を説明する。割り込みにより、図9に示すフローチャートに対応するプログラムがスタートとなり、今回検出センサ欄の内容を前回検出センサ欄へ移動し、事象発生報知手段40から各センサ41−1、41−2、・・・による事象発生情報が到来したかを検出し、今回において送られた事象発生情報に対応するセンサの識別情報を今回検出センサ欄へ登録し(S31)、前回検出センサ欄の内容と今回検出センサ欄の内容を比較して(S32)、差があるかを検出する(S33)。
【0037】
上記ステップS33において差がないことが検出されるとエンドとなり、ステップS33において差が検出されると、不検出となった事象発生に対応するセンサがあるかを検出し(S34)、不検出となった事象発生に対応するセンサがある場合には(図8のテーブルでは、dが不検出となっている)現在選択カメラ情報テーブルGT中から対応カメラの情報を削除する(S35)。
【0038】
次に、新規センサの有無を検出し(S36)、新規センサありとなると(図8のテーブルでは、b、cが新規である)、センサ新規に登録されたセンサ識別情報に基づき図7に示す制御情報テーブルCTを参照して制御対象の対応カメラを求め、該カメラに対してズーム比、旋回角、解像度の情報を送ってカメラ制御を行う(S37)と共に、現在選択カメラ情報テーブルGT中の優先度に基づき新規センタ対応数の選択カメラに関する情報を削除し、新規センタ対応のカメラに関する情報をフラグセットと共に現在選択カメラ情報テーブルGTに登録する(S38)。
【0039】
監視側端末20AのCPUは、図4と図5に示したフローチャートに対応するプログラムによる動作を行うものであるから、上記の処理によって、センサ41−1、41−2、・・・による事象発生検出に応じて、所要のカメラによって撮像された映像に係る画像情報について画像処理手段22による画像処理がなされ、必要な監視を適切に行うことができる。なお、画像録画部30に録画する映像情報についてメタデータを付加する処理は図4と図5に示したフローチャートに対応するプログラムによる動作にて行われるが、上記のセンサによる事象発生検出がなされた場合に対応の情報(センサの場所やID、検出時刻等)をメタデータとして対応のカメラによる画像情報に付加して画像録画部30に記憶するようにしても良い。
【実施例3】
【0040】
図10には、第3の実施例に係る監視システムの構成図が示されている。この実施例においては、ネットワーク10に映像蓄積サーバ50により構成される映像蓄積手段が接続されている。映像蓄積サーバ50は、映像送出部により送出された映像情報をネットワークから取り込み蓄積するものである。ここでは映像蓄積サーバ50は、全てのカメラにより得られて送られてくる映像情報(MPEG2、MPEG4など)を時刻情報と共に蓄積している。映像蓄積サーバ50には、例えばパーソナルコンピュータにより構成される監視側端末20Cが接続され、監視側端末20Cには画像録画部30Aが接続された構成とされている。
【0041】
ネットワーク10に接続されている監視側端末20Bは、第2の実施例に備えられている監視側端末20Aと同様な構成を備えており、更に加えて、CPUが図11に示すフローチャートに対応するプログラムを実行することにより映像蓄積サーバ50からネットワーク10を介して、蓄積された映像情報を取り出しデコーダ21にてデコードして記画像処理手段22による解析を実行するものである。なお、監視側端末20Bは、第2の実施例に備えられた監視側端末20Aと同様な構成であるため、各手段等の表示を省略してある。監視側端末20Cにはデコーダ21、画像処理手段22、録画制御手段23が備えられており、図4と図5に示されるフローチャートに対応するプログラムを実行して画像録画部30Aに録画するディジタル画像情報に対して画像処理手段22による解析結果をメタデータとして付加して記録する。ただし、監視側端末20Cは、図4と図5に示されるフローチャートに対応するプログラムの内、時刻に基づく選択カメラの変更をする必要はなく、パーソナルコンピュータの入力部から指定されたカメラに対応する画像情報について処理を行うものとする。
【0042】
図10のフローチャートに対応するプログラムは、例えば、第2の実施例による処理をスタートさせたときに直ちに事象発生となって、その真偽が疑わしい場合やスタート前から事象発生が継続していたことの確認のためなどに、起動される。なお、監視側端末20Bにおいては、第2の実施例による処理が実行されているため、例えば、現在において事象発生となっておらず、且つ優先度が最も低い選択カメラに対応する画像情報についての処理を停止して当該図11のフローチャートに対応するプログラムを実行するものとする。以下、動作を説明する。
【0043】
映像蓄積サーバ50へアクセスして所定のカメラに対応する映像情報を所定時刻(例えば、現在から5分前)から取得し(S41)、デコーダ21によるデコードを行って画像処理用の画像情報を得る(S42)。ステップS42において得られたデコード画像情報について画像処理手段22による画像処理を行って(S43)、事象発生検出となったかを判定する(S44)。上記ステップ43における処理では、対応カメラに関して現在画像について行っている画像処理と異なるアルゴリズムによる処理を行う等、より高精度の処理を行うようにするとより好適である。
【0044】
ステップS44において事象発生が検出されなければ、事象発生無しの旨を表示するなどにより報知して(S45)、終了指示入力がないことを検出して(S46)ステップS43における処理を続ける。ステップS44において事象発生が検出された場合には、対応カメラに関して現在画像について行っている画像処理の結果と比較し(S47)、一致した結果が得られたかを検出し(S48)、一致した結果が得られなければ(例えば、道路監視システムにおいては渋滞発生と霧発生等)、画像処理結果が不一致の旨或いは誤検出の旨を表示するなどにより報知して(S49)、終了指示入力がないことを検出して(S51)ステップS43における処理を続ける。
【0045】
ステップS48において一致した結果が得られた場合には、画像処理結果が一致の旨或いは事象発生継続の旨を表示するなどにより報知して(S50)、終了指示入力がないことを検出して(S51)ステップS43における処理を続ける。ステップS46、S51において終了指示入力を検出するとエンドとなる。斯して本実施例によれば、蓄積した映像情報を用いて画像処理を行い、画像処理に関する評価や事象発生の継続性を検出して報知することができ、適切な監視を行うことが可能である。
【0046】
なお、図10には示されていないが、ネットワーク10にクライアントコンピュータを接続して、画像蓄積サーバ50から所定のカメラに対応する映像情報を所定時刻から取得し、MPEGに対するデコードを行い映像を表示して監視などを行うことが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明における第1の実施例に係る監視システムの構成を示す図。
【図2】本発明における第1の実施例に係る監視システムに用いられるカメラ制御情報データベースの内容を示す図。
【図3】本発明における第1の実施例に係る監視システムに用いられる現在選択カメラ情報テーブルの内容を示す図。
【図4】本発明における第1の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図5】本発明における第1の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図6】本発明における第2の実施例に係る監視システムの構成を示す図。
【図7】本発明における第2の実施例に係る監視システムに用いられる制御情報テーブルの内容を示す図。
【図8】本発明における第3の実施例に係る監視システムに用いられるセンサ情報管理テーブルの内容を示す図。
【図9】本発明における第2の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明における第3の実施例に係る監視システムの構成を示す図。
【図11】本発明における第3の実施例に係る監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図12】従来の監視システムに係る構成を示す図。
【図13】従来の監視システムに係る構成を示す図。
【図14】従来の監視システムに係る構成を示す図。
【図15】従来の監視システムに係る構成を示す図。
【符号の説明】
【0048】
10 ネットワーク
11−1、11−2、11−3 アナログカメラ
12−1、12−2 IPカメラ
13−1、13−2、13−3 エンコーダ
20、20A、20B、20C 監視側端末
21 デコーダ
22 画像処理手段
23 録画制御手段
24 カメラ制御手段
25 カメラ制御情報DB
26 タイマ
27 解析制御手段
30、30A 画像録画部
40 事象発生報知手段
41−1、41−2 センサ
50 映像蓄積サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写対象を撮像して符号化されたネットワーク送信可能な映像情報を出力する複数の映像送出部と、
前記複数の映像送出部が接続されるネットワークと、
前記ネットワークに接続され、前記複数の映像送出部が送出した映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へ変換するデコーダと、
前記デコーダが変換した複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行う画像処理手段と
を具備することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
デコードしたディジタル画像情報を録画する画像録画部と、
前記画像録画部に録画するディジタル画像情報に対して前記画像処理手段による解析結果をメタデータとして付加する録画制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記画像処理手段は、解析結果に応じて対応する映像送出部の送出に係るディジタル画像情報に関する処理レートを変更することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記映像送出部は、ズーム機構、旋回機構、解像度変更手段を備えており、
前記画像処理手段による解析結果に応じて対応する映像送出部におけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うカメラ制御手段が具備されていることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項5】
事象を検出するセンサと、該センサが事象を検出した場合にネットワークを介して事象発生情報を報知する事象発生報知手段と、
前記事象発生報知手段による事象発生情報をネットワークを介して受け取り、この事象発生情報に応じて対応する映像送出部の送出に係るディジタル画像情報について前記画像処理手段による解析を実行させる解析制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項6】
カメラ制御手段は、前記事象発生報知手段から送られる事象発生情報をネットワークを介して受け取り、この事象発生情報に応じて対応する映像送出部におけるズーム機構、旋回機構、解像度変更手段の制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の監視システム。
【請求項7】
時刻情報に対応して制御すべき映像送出部と制御内容の情報が対応付けられたカメラ制御情報データベースを備え、
カメラ制御手段は、前記カメラ制御情報データベースの情報に応じて対応する制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の監視システム。
【請求項8】
映像送出部により送出された映像情報をネットワークから取り込み蓄積する映像蓄積手段を備え、
前記映像蓄積手段から直接にまたはネットワークを介して蓄積された映像情報を取り出し前記デコーダにてデコードして前記画像処理手段による解析を実行することを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項9】
映像情報に含まれている少なくともIフレームを取り込み1画面分のディジタル画像情報へ変換するデコーダと、
前記デコーダが変換した複数の映像送出部に対応するディジタル画像情報を時分割にて画像解析し、事象検出を行う画像処理手段と
を具備することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−221581(P2007−221581A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41283(P2006−41283)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】