説明

監視センサ付き紙幣取扱装置

【課題】
紙幣取扱装置のジャム発生時にも、紙幣取扱装置及び外部装置の有高を適切に管理することができる紙幣取扱装置を提供することにある。
【解決手段】
紙幣の入金又は出金を行なう入出金口102と、紙幣を収納する収納部105と、紙幣を補充又は回収する外部装置との接続部である受け渡し部116と、紙幣を搬送する搬送手段107と、受け渡し部116を通過する紙幣を検知する検知センサ108、109と、受け渡し部106の上流に位置する紙幣の種類を検知する紙幣判別部103とを備え、紙幣の入金又は出金の動作を行なう場合に、検知センサ108、109にて紙幣を検知した場合は取引の中断等を行い、検知センサ108、109と検知部103で検知した紙幣の枚数等の情報をもとに紙幣取扱装置101の有高を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行等の金融機関に設けた現金自動預け払い機(ATM)等の紙幣取扱装置と外部装置との受け渡し部における紙幣搬送の監視制御及び紙幣取扱装置と外部装置の有高管理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行などの金融機関に設けた現金自動預け払い機(ATM)等の紙幣取扱装置においては、装置内部に内包する紙幣等の取引媒体を補充或いは回収する作業を銀行員又は係員が行なっていた。最近においては、紙幣取扱装置における取引量の増加に伴い、紙幣取扱装置の近傍に外部装置を設け、外部装置によって、紙幣取扱装置の保有する現金量を群管理することで対処する金融機関も増加してきている。
【0003】
外部装置は、複数の紙幣取扱装置に対して、取引量の増減に伴い取引媒体を補充或いは回収するものである。このような外部装置を含むシステム構成を記載した技術文献も多く存在する。例えば、従来の外部装置との紙幣受け渡しを行う紙幣取扱装置において、受け渡し部に紙幣監視センサを設けた紙幣取扱装置としては、特許文献1に示されるものがある。特許文献1では、紙幣受渡し搬送後に、金種/枚数情報を減算し受渡し枚数を管理している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−188087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された外部装置との紙幣受け渡し(補充又は回収ともいう)を行う紙幣取扱装置においては、紙幣取扱装置の紙幣判別部あるいは、外部装置の検知センサで紙幣が1枚であると判定したあとは、紙幣取扱装置に紙幣を補充する場合には紙幣取扱装置へ、紙幣取扱装置から紙幣を回収する場合には外部装置へ、紙幣が当然向かうものとして、判定した紙幣が紙幣取扱装置と外部装置の接続部である受け渡し部を通過したことを監視していなかった。このため、ジャム発生時には、判定した後の搬送途中の紙幣を紙幣取扱装置の紙幣と、外部装置の紙幣とに区別できず、紙幣取扱装置内の紙幣枚数を把握(現金管理)するためには、装置内及び外部装置の紙幣全てを再計数する必要があった。
【0006】
さらに、外部動作と関連しない動作(入金、出金等)をした場合に紙幣取扱装置と外部装置の受け渡し部に紙幣が誤って移動した場合に、受け渡し部の紙幣監視センサを用いていないために、紙幣取扱装置内のジャム監視は可能であるが、紙幣の誤った行き先を特定し紙幣取扱装置を自動復旧することはできなかった。
【0007】
本発明の目的は、紙幣取扱装置のジャム発生時にも、紙幣取扱装置及び外部装置の有高を適切に管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、紙幣の入金又は出金を行なう入出金口と、紙幣を収納する収納部と、紙幣を補充又は回収する外部装置との接続部である受け渡し部と、前記各ユニット間で紙幣を搬送する搬送手段と、受け渡し部を通過する紙幣を検知する検知センサと、紙幣の種類を検知する紙幣判別部とを備え、紙幣の入金又は出金の動作を行なう場合に、検知センサにて紙幣を検知した場合は取引の中断等を行い、検知センサと検知部で検知した紙幣の枚数等の情報をもとに紙幣取扱装置の有高を計算する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部装置との紙幣の補充時又は回収時にジャムが発生した場合にも、
紙幣取扱装置及び外部装置の管理する紙幣の切り分けが可能となり、さらに、入金又は出金時の紙幣の行き先を係員に的確に通知し紙幣取扱装置の自動復旧が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の一実施形態を図面と共に説明する。本実施形態は、銀行などの金融機関に設けられた現金自動預け払い機(ATM)や、現金自動支払い機(CD)のような紙幣取扱装置等と、当該装置に対して、紙幣等の取引媒体を補充或いは回収する外部装置との間で行なう取引媒体の受渡しに関する受渡し制御について説明する。
【0011】
図1は外部装置120から紙幣取扱装置101への紙幣の補充動作を示す図である。
【0012】
以下では、図1、図6を用いて紙幣取扱装置101及び外部装置120の構成について説明する。なお、図6は紙幣取扱装置101と外部装置120の制御ブロック図である。
【0013】
紙幣取扱装置101は、紙幣の入金、出金を行う入出金口102と、紙幣の種類、枚数、真偽を検知する紙幣判別部103と、入金した紙幣を取引成立までの間一旦収納する一時保留庫104と、入金取引が成立した紙幣を収納する入出金兼用の還流庫105と、前記各ユニットに紙幣を搬送する紙幣搬送路(装置側)107と、外部装置との紙幣受け渡し部116の紙幣監視センサ108、109と、紙幣判別部103の検知結果により紙幣の行き先を振り分ける紙幣振り分け部110、112と、紙幣を回収する回収部111と、紙幣搬送路107の紙幣の存在を検知する搬送路監視センサ113、114と、紙幣取扱装置101及び外部装置120の有高、紙幣判別部103で検知した紙幣の種類、枚数、通過した紙幣の種類の順番を記憶する記憶部115、前記各ユニットを監視制御する制御部106から構成される。なお、紙幣監視センサ108、109と、搬送路監視センサ113、114は、紙幣の種類、真偽、枚数を検知することはできない。但し、紙幣監視センサ108、109と、搬送路監視センサ113、114は、紙幣の通過を検知し、制御部106が、検知回数をカウントし通過した紙幣の枚数をカウントすることは可能である。
【0014】
外部装置120は、金種別の紙幣還流庫121、122と、紙幣が1枚であるか否かを検知する検知センサ123と、検知結果に基づいて紙幣の行き先を振り分ける紙幣振り分け部124と、前記各ユニットに紙幣を搬送する紙幣搬送路(外部装置側)125と、検知センサ123において1枚でない紙幣(例えば、2枚重なっている等)と検知された紙幣を回収する回収部127と、前記各ユニットを監視制御する制御部126から構成される。なお、外部装置120は、紙幣取扱装置101からのコマンド等の指令により、紙幣取扱装置101からの制御が可能である。
【0015】
外部装置120の制御部126は、補充動作時に紙幣を検知センサ123により1枚と判定した場合には、紙幣取扱装置101へ紙幣を搬送すると共に、検知センサ123の検知により各種紙幣の枚数をカウントする。すなわち、紙幣の通過を検知し、制御部126が、検知回数をカウントし通過した紙幣の枚数をカウントする。紙幣の種類は、金種別の紙幣還流庫121、122から繰出した枚数をカウントしておき、その枚数と順番に応じて、いずれから繰出された紙幣であるかにより判断する。例えば、紙幣還流庫121から2枚の繰出しをカウントした後に紙幣還流庫122から2枚を繰出した場合は、検知センサ123で最初に検知した2枚の紙幣は紙幣還流庫121の紙幣の種類であると判断し、後に検知した2枚の紙幣は紙幣還流庫122の紙幣の種類であると判断する。
【0016】
紙幣取扱装置101の制御部106は、入出金時や、外部装置120への回収動作時に紙幣判別部103が紙幣を検知することにより、出金、入金、あるいは回収された各種紙幣の枚数をカウントする。
【0017】
紙幣取扱装置101の記憶部115(図6に図示)は、外部装置120の有高及び紙幣取扱装置101の有高を種類毎に記憶し、補充動作時に外部装置120の検知センサ123の検知によりカウントされた各種紙幣の枚数又は入出金時もしくは回収動作等時に紙幣取扱装置101の検知によりカウントされた各種紙幣の枚数を記憶し、紙幣取扱装置101の制御部106は、紙幣取扱装置101及び外部装置120の紙幣の有高を計算する。
【0018】
紙幣取扱装置101の入出金口102は、利用客に投入された紙幣を1枚ずつ紙幣搬送路107へ繰出し、また紙幣搬送路107から搬送された紙幣を集積して利用客へ放出するものである。紙幣判別部103は、紙幣搬送路107により搬送された紙幣の磁気的特徴を測定し、搬送紙幣の種類や真偽などを判別する。一時保留庫104は、搬送された紙幣を一時格納する部分である。たとえば、利用客が入金した紙幣を一時保管し、利用客が取引を認めた場合は還流庫105へ収納し、認めない場合は紙幣を入出金口102へ搬送し、利用客へ紙幣を返却する場合等に利用する。
【0019】
紙幣搬送路107は、紙幣を挟むように設置されたベルトやローラと、ベルトやローラを駆動する駆動モータで構成される。さらに、紙幣搬送路107の分岐点には電磁ソレノイドにより駆動する搬送路切り替えのためのゲートがあり、紙幣の搬送方向を切り替えることができる。したがって、取引動作ごとに駆動モータを回転し、切り替えのゲートを切り替えることで、紙幣は、紙幣判別部103を通過し、入出金口102、一時保留庫104、還流庫105、回収部111、外部装置120のそれぞれの間を搬送される。
制御部106は前記各ユニットの駆動モータや電磁ソレノイドなどのアクチュエータやセンサと接続され、取引に応じて、各種センサの状態を監視しながら、アクチュエータを制御する。さらに、上位の本体制御部(図示省略)と接続され、本体制御部からの指令により紙幣取扱装置101の制御を行い、紙幣取扱装置101の状態を本体制御部へ報告する。制御部126は前記各ユニットの駆動モータや電磁ソレノイドなどのアクチュエータやセンサと接続され、取引に応じて、センサの状態を監視しながら、アクチュエータを制御する。
【0020】
続いて、外部装置120から紙幣取扱装置101への紙幣の補充動作について説明する。補充動作時の外部装置120から紙幣取扱装置101への紙幣の搬送経路を図1の矢印で示す。補充動作時には外部装置120の紙幣還流庫121、122より繰出された紙幣は、紙幣搬送路125により搬送され、検知センサ123により1枚であるか否かが検知される。検知センサ123により、紙幣が1枚ではないと検知された場合は、紙幣振り分け部124により紙幣は回収部127へ搬送され、1枚である場合は、紙幣監視センサ108を通過し、紙幣取扱装置101へ搬送され、紙幣搬送路107により還流庫105へ収納される。外部装置101の制御部126は、検知センサ123により1枚であると判定した紙幣の種類ごとに枚数をカウントする。なお、紙幣の種類は、紙幣の種類別に紙幣を格納している紙幣還流庫121、122のどちらから繰出されたかで判断する。
【0021】
搬送終了後、紙幣取扱装置101の制御部106は、有高管理のため紙幣取扱装置101の記憶部115に記憶している補充動作前の外部装置120の有高に外部装置120の制御部126によりカウントされた枚数を減算し、回収動作前の紙幣取扱装置101有高に外部装置120の制御部126によりカウントされた枚数を加算する。
【0022】
図2は紙幣取扱装置101から外部装置120への紙幣の回収動作を示す図である。回収動作時の紙幣取扱装置101から外部装置120への紙幣の搬送経路を図2の矢印で示す。回収動作時には、入出金兼用の還流庫105から繰出された紙幣は、紙幣搬送路107により搬送され、紙幣判別部103により紙幣の種類と1枚であるか否かが検知され、紙幣が1枚ではないと検知された場合は、紙幣振り分け部110により紙幣は回収部111へ搬送される。1枚である場合は、紙幣判別部103で検知された紙幣の枚数を紙幣取扱装置101の制御部106によりカウントされると共に、紙幣振り分け部112により外部装置120へ搬送され、紙幣搬送路125により搬送され金種ごとに紙幣還流庫121、122に振り分けて収納される。
【0023】
搬送終了後、紙幣取扱装置101の制御部106は、有高管理のため紙幣取扱装置101の記憶部115に記憶している回収動作前の外部装置120の有高に紙幣取扱装置101の制御部106によりカウントされた枚数を紙幣の種類ごとに加算し、回収動作前の紙幣取扱装置101の有高より紙幣取扱装置101の制御部106によりカウントされた枚数を紙幣の種類ごとに減算する。
【0024】
次に紙幣の補充動作について説明する。
【0025】
従来では、紙幣取扱装置101と外部装置120との紙幣の受け渡し時(回収動作時および補充動作時)に、カウントした紙幣が受け渡し部116を通過したことを監視していなかったため、いずれかの装置の搬送にてジャムが発生した場合、両方の機械を停止させていた。
【0026】
このため、補充動作の場合は、検知センサ123の検知により制御部126にてカウントされた紙幣の紙幣取扱装置101への到達を確認して有高の変更をすることができず、紙幣取扱装置101と外部装置120の有高が確定できなくなっていた。また、回収動作の場合には紙幣判別部103の検知により制御部106にてカウントされた紙幣の外部装置120への到達を確認して有高の変更をすることができず、紙幣取扱装置101と外部装置120の有高が確定できなくなっていた。
【0027】
図3は、本実施例の、紙幣補充動作時に搬送ジャム等により機械が停止した場合の有高の計算方法を説明する図である。
【0028】
補充動作における外部装置120から紙幣取扱装置101への紙幣の搬送経路を図3の矢印で示す。補充動作時にジャム等により機械を停止させる場合、搬送路の停止まで紙幣監視センサ108にて紙幣の監視を行なう。すなわち、検知センサ123の検知により制御部126にてカウントされた紙幣のうち、何枚が紙幣監視センサ108を通過したかを監視する。この場合、紙幣監視センサ108を通過していないものは外部装置120から出ていないと判断する。また、紙幣取扱装置101の記憶部115は、検知センサ123を通過した紙幣の種類と順番を記憶する。
【0029】
例えば、図3の例では、外部装置120の制御部126は、検知センサ123の検知により紙幣130〜133の4枚をカウントし、紙幣取扱装置101の記憶部115は、通過した紙幣130〜133の種類と順番と外部装置120でカウントした枚数を記憶している。また、紙幣監視センサ108は紙幣130、131の2枚の紙幣が通過したことを検知している。
【0030】
従って、図3の状態で装置が停止した場合は、紙幣取扱装置101の制御部106は、補充動作前の紙幣取扱装置101の有高に検知センサ123の検知によりカウントした紙幣を種類ごとに加算し、補充動作前の外部装置120の有高に検知センサ123の検知によりカウントした紙幣を種類ごとに減算する。さらに、紙幣監視センサ108で2枚の紙幣130、131の通過を検知しているため、検知センサ123で検知し紙幣監視センサ108で検知していない2枚の種類の紙幣132、133を紙幣取扱装置101の有高から減算し、外部装置120の有高に加算する。
【0031】
図4は、本実施例の、紙幣回収動作時に搬送ジャム等により機械が停止した場合の有高の計算方法を説明する図である。
【0032】
回収動作における紙幣取扱装置101から外部装置120への紙幣の搬送経路を図4の矢印で示す。回収動作時にジャム等により機械を停止させる場合に、搬送路の停止まで紙幣監視センサ109にて紙幣の監視を行なう。すなわち、紙幣取扱装置101は、受け渡し部116の上流に位置する紙幣判別部103の検知により制御部106にてカウントされた紙幣のうち、何枚が紙幣監視センサ109を通過したかを監視する。紙幣監視センサ109を通過していないものは外部装置120から出ていないと判断する。また、紙幣取扱装置101の記憶部115は、検知センサ103を通過した紙幣の種類を順番に記憶する。
【0033】
例えば、図4の例では、紙幣取扱装置101は、紙幣判別部103の検知により制御部106にて紙幣134〜137の4枚をカウント及び種別を判別する。紙幣取扱装置101の記憶部115は、通過した紙幣134〜137の種類を順番に記憶していくと共に、紙幣判別部103の検知により制御部106にてカウントした枚数を記憶している。また、紙幣監視センサ109は紙幣134、135の2枚の紙幣が通過したことを検知している。
【0034】
従って、図4の状態で装置が停止した場合は、紙幣取扱装置101の制御部106は、回収動作前の紙幣取扱装置101の有高に紙幣判別部103の検知によりカウントした紙幣を種類ごとに減算し、回収動作前の外部装置120の有高に紙幣判別部103の検知によりカウントした紙幣を種類ごとに加算する。さらに、紙幣監視センサ109で2枚の紙幣134、135通過を検知しているため、紙幣判別部103で検知し紙幣監視センサ109で検知していない2枚の種類の紙幣136、137を紙幣取扱装置101の有高に加算し、外部装置120から減算する。
【0035】
上記の方法によって、紙幣取扱装置101と外部装置120との紙幣受け渡し時にジャムが発生した場合にも、紙幣取扱装置101と外部装置120との管理紙幣の切り分けが可能となる。
【0036】
また、上記実施例では、紙幣判別部103又は検知センサ123にて検知した紙幣を有高に加減算した後に、紙幣監視センサ108、109にて検知しなかった紙幣の加減算を行なっているが、紙幣判別部103又は検知センサ123にて検知した紙幣から、紙幣監視センサ108、109にて検知しなかった紙幣の加減算を行なった後に、有高に加減算をしても構わない。
【0037】
図5は、本実施例の、出金時における搬送異常、ジャム発生時の動作について説明した図であり、出金時の紙幣の搬送経路を図5の矢印で示す。外部装置120は、補充回収が必要になった場合に使用するものであり、通常は複数の紙幣取扱装置101に対して1台を用いている。従って、常時、紙幣取扱装置101に外部装置120が接続されているわけではないが、補充や回収が必要になり易い紙幣取扱装置101に対しては、図5のように補充、回収の場合以外においても外部装置120が紙幣取扱装置101に接続されていることもある。このような場合、紙幣取扱装置101は外部装置120の接続を検知している。
【0038】
紙幣取扱装置101の出金動作時にも、紙幣監視センサ109にて紙幣通過有無の監視を行い、紙幣振り分け部110の故障や紙幣の折れ曲がり等により、受け渡し部116に誤って紙幣138が搬送された場合に、紙幣138の誤った行き先を検知し、紙幣138の残留を係員へ通知すると共に、機械に異常がある事を保守員や係員等へ通知を可能とした。
【0039】
紙幣取扱装置101の還流庫105から繰出された紙幣は、紙幣搬送路107により搬送され、紙幣判別部103により金種の確認と1枚であるか否かが検知され、紙幣が1枚ではない場合は、紙幣振り分け部110により紙幣は回収部111へ搬送される。1枚である場合は、紙入出金口102へ搬送される。紙幣が正しく振り分けられたか否かは、振り分け先の搬送路監視センサ113、114にて紙幣一枚ごとに監視している。すなわち、回収部111へ振り分けられた紙幣はセンサ114により、紙入出金口102へ振り分けられた紙幣は搬送路監視センサ113により監視されている。
【0040】
従来では、紙幣振り分け部110の故障等により、紙入出金口102へ振り分けられた紙幣が誤って紙幣監視センサ109へ搬送された場合、外部装置120は、搬送路監視センサ113の監視により、搬送されたはずの紙幣が到達していないことを検知し、紙幣のジャムが発生したとして装置を停止していた。
【0041】
本実施例では、紙幣取扱装置101が紙幣監視センサ109へ搬送された事を検知した場合に、紙幣監視センサ109により、紙幣138の位置を特定し、その旨を図示しない音声出力部あるいは画面出力部等により通知する。
【0042】
また、紙幣取扱装置101が図示しない接続検知部により、外部装置120との接続を検知している場合に、受け渡し部116の紙幣監視センサ109により紙幣を検知した場合には、紙幣取扱装置101の制御部106は検知した紙幣を外部装置120に搬送するように動作すると共に、外部装置120に動作指示を出し、紙幣監視センサ109にて検知された紙幣を搬送し外部装置120側に自動で完全に取り除くよう動作することにより、入金、出金の動作を自動復旧させることも可能である。また、紙幣取扱装置101は、復旧後に所定回数連続して、紙幣監視センサ109にて紙幣が検知された場合は、装置の故障と判断し、図示しない音声出力部あるいは画面出力部等により通知する。さらに、紙幣取扱装置101を停止しても良い。
【0043】
このように外部装置120と関連しない動作時に、紙幣監視センサ109が紙幣を検知した場合は、紙幣取扱装置101の制御部106は、当該紙幣が出金できなかったとして、再度同種類の紙幣を出金するとともに、当該紙幣の紙幣取扱装置101の有高を減算し、外部装置120の有高を加算することで紙幣取扱装置101及び外部装置120の適切な有高管理も可能となる。
【0044】
ここで再出金における紙幣の種類の判断は、従来のように搬送路監視センサ113、114で所定期間に紙幣が検知できない場合に、紙幣取扱装置101の制御部は、紙幣判別部103の検知の際に記憶部115により記憶した紙幣の種類の順番と搬送路監視センサ113、114によりカウントした枚数から、外部装置120に搬送された紙幣を判定することにより行なう。また、このように本来出金したはずなのに、外部装置120に搬送された紙幣がある場合は、その記録を紙幣取扱装置101に残すことが望ましい。
【0045】
本実施例の構造上、実際にジャムが発生しやすい受け渡し部116の紙幣監視センサ109にて紙幣を検知した場合について示したが、紙幣監視センサ108にて検知した場合も同様であることはいうまでもない。ただし、紙幣監視センサ108にて検知した場合は、外部装置120に取り込むために、外部装置120の搬送路が逆方向に搬送する必要がある。
【0046】
また、入金時の場合は、入出金口102から紙幣を取り込み、紙幣判別部103にて紙幣の真偽判定、種類判定、1枚か否かの判定を行ない、紙幣を収納庫に搬送して良い紙幣なら、一時保留庫104に搬送する。この際、紙幣取扱装置101の記憶部115は紙幣判別部103の検知により、紙幣の種類ごとの枚数と、搬送された順番を記憶する。
【0047】
続いて、一時保留庫104から還流庫105へ紙幣を搬送するが、この際に、紙幣監視センサ108、109にて紙幣を検知した場合には、紙幣を外部装置120へ搬送し、紙幣の入金を続行する。また、外部装置120に搬送された紙幣がある場合は、制御部106は、記憶部115に記憶されている当該紙幣の紙幣取扱装置101の有高を減算し、外部装置120の有高を加算することで、紙幣取扱装置101及び外部装置120の有高を適切に管理することが可能となる。このように本来還流庫105に搬送したはずなのに、外部装置に搬送された紙幣がある場合は、その記録を紙幣取扱装置101に残すことが望ましい。
【0048】
また、この場合、紙幣取扱装置101の制御部106は、この際復旧後に所定回数連続して、紙幣監視センサ108、109にて紙幣が検知された場合は、装置の故障と判断し、図示しない音声出力部あるいは画面出力部等により通知する。さらに、紙幣取扱装置101を停止しても良い。
【0049】
このように紙幣取扱装置101と別装置である外部装置120により紙幣を回収することにより、エンドユーザが取引中でも、保守員や係員は外部装置120から紙幣を取出し、紙幣取扱装置101の継続運用が可能となる。
【0050】
本実施例では、取引媒体として紙幣を用い、現金自動預け払い機(ATM)や、現金自動支払い機(CD)等の取引処理装置を一例に説明を行なったが、本発明はこれらの媒体及び装置に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】紙幣取扱装置及び、外部装置の構成を示す側面図(補充時)
【図2】紙幣取扱装置及び、外部装置の構成を示す側面図(回収時)
【図3】紙幣取扱装置及び、外部装置の構成を示す側面図(補充時の搬送異常発生時)
【図4】紙幣取扱装置及び、外部装置の構成を示す側面図(回収時の搬送異常発生時)
【図5】紙幣取扱装置及び、外部装置の構成を示す側面図(出金時の搬送異常発生時)
【図6】紙幣取扱装置及び、外部装置の制御ブロック図
【符号の説明】
【0052】
101…紙幣取扱装置、102…入出金口、103…紙幣判別部、104…一時保留庫、105…入出金兼用の還流庫、106…制御部(装置側)、107…紙幣搬送路(装置側)、108、109…紙幣監視センサ、110…紙幣振り分け部(回収部)、111…回収部(装置側)、112…紙幣振り分け部(外部装置側)、113…搬送路監視センサ(入出金口方向)、114…搬送路監視センサ(回収部方向)、115…記憶部、116…受け渡し部、120…外部装置、121、122…金種別の紙幣還流庫、123…検知センサ、124…紙幣振り分け部、125…紙幣搬送路(外部装置側)、126…制御部(外部装置側)、127…回収部(外部装置側)、130〜138…紙幣

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の入金又は出金を行なう入出金口と、
紙幣を収納する収納部と、
紙幣を補充又は回収する外部装置とを接続する受け渡し部と、
前記入出金口と前記収納部と前記受け渡し部との間で紙幣を搬送する搬送手段と、
前記受け渡し部に搬送された紙幣を検知する検知センサと、
紙幣の入金又は出金の動作を行なう場合に、
前記検知センサが紙幣を検知した場合は取引を中断することを特徴とする
紙幣取扱装置。
【請求項2】
紙幣の入金又は出金を行なう入出金口と、
紙幣を収納する収納部と、
紙幣を補充又は回収する外部装置との接続部である受け渡し部と、
前記入出金口と前記収納部と前記受け渡し部との間で紙幣を搬送する搬送手段と、
前記受け渡し部に搬送された紙幣を検知する検知センサと、
前記検知センサによる検知に応じて紙幣の搬送を制御する制御部とを備え、
紙幣の入金又は出金の動作を行なう場合であって、
前記制御部は、前記検知センサが紙幣を検知した場合に前記検知した紙幣を前記外部装置に前記搬送手段により搬送する制御を行なうことを特徴とする
紙幣取扱装置。
【請求項3】
請求項2記載の紙幣取扱装置は、
さらに紙幣の種類を検知する紙幣判別部と、
前記紙幣判別部で検知された紙幣の種類を順番に記憶する記憶部と、
前記搬送手段の紙幣を検知する搬送路監視センサとを備え、
前記制御部は、前記外部装置に紙幣を搬送する場合に、前記記憶部が記憶した紙幣の種類の順番と前記搬送路監視センサが検知した紙幣の枚数から前記紙幣取扱装置の有高を計算することを特徴とする
紙幣取扱装置。
【請求項4】
前記検知センサが紙幣を検知したことを通知する出力部を備えることを特徴とする
請求項1乃至3のいずれかに記載の紙幣取扱装置。
【請求項5】
紙幣の入金又は出金を行なう入出金口と、
紙幣を収納する収納部と、
紙幣を補充又は回収する外部装置との接続部である受け渡し部と、
前記入出金口と前記収納部と前記受け渡し部との間で紙幣を搬送する搬送手段と、
前記受け渡し部に搬送された紙幣を検知する検知センサと、
紙幣の種類を検知する紙幣判別部と、
前記紙幣判別部で検知された紙幣の種類を順番に記憶する記憶部と、
紙幣の回収の動作の場合に、前記記憶部が記憶した紙幣の種類の順番と前記検知センサにて検知した紙幣の枚数から前記紙幣取扱装置の有高を計算する制御部とを備えることを特徴とする
紙幣取扱装置。
【請求項6】
請求項5記載の紙幣取扱装置であって、
前記紙幣判別部はさらに紙幣の枚数を検知し、
前記紙幣判別部の検知結果に基づいて紙幣の搬送先を振り分ける振り分け手段を備え、
前記振り分け部は、前記紙幣判別部において紙幣の枚数が1枚であると検知した紙幣を、前記受け渡し部に搬送することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の紙幣取扱装置であって、
前記制御部は、前記検知センサがカウントした枚数に対応する前記記憶部に記憶した順番より後に記憶された順番の紙幣は紙幣取扱装置内にあるとして、紙幣取扱装置内の有高を計算することを特徴とする紙幣取扱装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の紙幣取扱装置であって、
外部装置内の有高を計算することを特徴とする紙幣紙幣取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−151405(P2009−151405A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326704(P2007−326704)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】