説明

監視制御方法、監視制御装置、通信経路の監視制御システム及びプログラム

【課題】ルータの消費電力を削減するための通信経路の監視制御を行う監視制御方法を提供する。
【解決手段】ディストリビューションルータを、プライマリルータ、セカンダリルータ、及びバックアップルータとして機能別に区別し、ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、ネットワークに対して平常状態と省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップと、平常状態から省電力状態への遷移時には、記セカンダリルータを非稼動に切り替え、プライマリルータ及びバックアップルータを稼動させるステップと、省電力状態から平常状態への遷移時には、バックアップルータを非稼動に切り替え、プライマリルータ及びセカンダリルータを稼動させるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信事業者(キャリア)が管理するIP中継網で利用するネットワーク装置及びその通信経路の監視技術に関し、特に、ネットワーク装置として代表されるルータの消費電力を削減するための通信経路の監視制御方法、監視制御装置、通信経路の監視制御システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ルータは、サーバとは異なり、待機状態における消費電力は入出力の最大負荷時に比べ大きな差異が生じない(約10%程度の差異となる)ため、待機状態における電力(待機電力)を大きく削減するためには、ルータ自体をスリープモード(非稼動状態)にすることが提示されている(例えば、非特許文献1,2参照)。ルータ自体をスリープモードにすることで、ルータの消費電力を大きく削減することができる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
尚、スリープモードとは、ルータのサブコンポーネント(例えば、搭載する複数のラインカード)に対する電源供給をオフにした状態を云う。つまり、ルータは、主に、各ラインカードを搭載するスロットの制御部分を含むシャーシと、通常、複数のラインカードからなり、ルータの待機電力は、シャーシが半分強を、残りを複数のラインカードが占めており、ラインカードはその処理速度などの性能が高いものほど消費電力が大きくなる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
そこで、通信事業者(キャリア)が管理するIP通信網でバッファリングとバーストを利用して高頻度に短期間のトラヒック量がない状態を作り出し、その期間にルータをスリープモードにすることによりルータの消費電力を削減する技術がある(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
一方、ネットワークを流れるトラヒックは、一日の中で大きく変動することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。例えば、非特許文献3に基づくトラヒック量の変動の様子を図8に示す。図8は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)6社によるDSL/CATV/FTTHにおけるカスタマーのトラヒック量を所定時間ごとに継続的に測定した結果を示している。図8を参照するに、ピーク時のトラヒック量と、最低時のトラヒック量との比は、1.5:1となっており、特に、平日では半分近くの時間でトラヒックが少ない状態であることが示されている。
【0006】
尚、フローコレクタ(例えば、CiscoNetFlow、sFlow等)を用いることによって、各ルータにおけるトラヒックフローをほぼリアルタイムに測定することができる(例えば、非特許文献4,5参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Joseph Chabarek, Joel Sommers, Paul Barford, et. Al., “Power Awareness in Network Design and Routing”, In Proc. IEEE INFOCOM, 2008, [online], [2009年12月11日検索], インターネット〈http://pages.cs.wisc.edu/~pb/infocom08a_final.pdf〉
【非特許文献2】Sergiu Nedevschi, Lucian Popa, Gianluca lannaccone, et. Al., “Reducing Network Energy Consumption via Sleeping and Rate-daption”, Technical Report No. UCB/EECS-2007-128, [online], [2009年12月11日検索],インターネット〈http://www.eecs.berkeley.edu/Pubs/TechRpts/2007/EECS-2007-128.pdf〉
【非特許文献3】長 健二郎、“ISPから見たブロードバンドトラフィックの傾向”、株式会社インターネットイニシアティブ、JONIC総会、2007年3月9日、第12頁、[online], [2009年12月11日検索],インターネット〈http://www.iijlab.net/~kjc/papers/jpnic-traffic.pdf〉
【非特許文献4】Cisco Systems, “Cisco NetFlow Flow Collector Version 3.x”, Product Bulletin No. 2033, [online], [2009年12月11日検索],インターネット〈http://www.cisco.com/warp/public/cc/pd/nemnsw/nesv/prodlit/2033_pp.pdf〉
【非特許文献5】sFlow, “About sFlow”, [online], [2009年12月11日検索],インターネット〈http://www.sflow.org/about/index.php〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的な通信ネットワークでは、故障に対する信頼性を確保するために、複数の通信経路を構築可能な冗長構成をとっている。
【0009】
冗長構成をとるように設計されたネットワークで上記の非特許文献1の技術を単に適用すると、消費電力の削減のために冗長構成のルータをもスリープモードにしてしまい、パケットに反応できなくなるため即応性が失われてしまう。
【0010】
また、バッファリングとバーストを利用してルータに対し高頻度に短期間のトラヒック量がない状態を作り出し、その期間にルータをスリープモードにする上記の非特許文献2の技術を単に適用すると、高頻度で各ルータの部品の電源を切り替えてしまい、故障を起こしやすくする恐れがあった。
【0011】
本発明の目的は、上述の課題に鑑みて為されたものであり、ルータの消費電力を削減するための通信経路の監視制御方法、監視制御装置、通信経路の監視制御システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者らは、一日の間にネットワークで発生するトラヒックの量が周期的に大きく変動することに着目し、ネットワークの一日あたりのルータの消費電力を削減する監視制御システムを考案した。
【0013】
具体的には、本発明に係る監視制御システムは、ネットワークの一日あたりのルータの消費電力を削減するように、トラヒック量が少ない時間帯に冗長構成をとるルータの一方にトラヒックを流さないように監視制御を行うことにより、長期間の省電力状態を作り出す。この監視制御は、各ルータの負荷情報やトラヒックフロー情報を集約し、各ルータへのSSHやTelnetによるアクセスが可能な監視制御装置によって行う。また、即応性を確保するために、本発明に係る監視制御システムは、エッジルータN台ごとに1台と接続する、消費電力の少ない低性能のルータ(例えば、ラインカードの処理速度などの性能が低いルータ)をバックアップルータとして用いる。尚、後述する実施例の説明から明らかであるが、N=1であれば、全エッジルータをバックアップルータに接続し、セカンダリルータと同じ接続形式になる。
【0014】
即ち、本発明の監視制御方法は、加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御方法であって、前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップと、前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるステップと、前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の監視制御方法において、前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップは、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも小さくなったときには前記平常状態から前記省電力状態への遷移を決定し、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも大きくなったときには前記省電力状態から前記平常状態への遷移を決定するステップを含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の監視制御方法において、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるステップは、前記平常状態から前記省電力状態への遷移の決定後、前記セカンダリルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定することにより、前記セカンダリルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記セカンダリルータの処理パケット数が第2の閾値未満となる場合に、前記セカンダリルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記セカンダリルータの電源供給をスリープモードに設定するステップを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の監視制御方法において、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるステップは、前記省電力状態から前記平常状態への遷移の決定後、前記バックアップルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定することにより、前記バックアップルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記バックアップルータの処理パケット数が第3の閾値未満となる場合に、前記バックアップルータと接続するリンクを省電力状態に設定するとともに、前記バックアップルータの電源供給をスリープモードに設定するステップを含むことを特徴とする。
【0018】
更に、本発明の監視制御装置は、加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御装置であって、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報を収集するルータ情報収集部と、前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視する状態制御部と、前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるとともに、前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるルータ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の監視制御装置において、前記状態制御部は、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも小さくなったときには前記平常状態から前記省電力状態への遷移を決定し、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも大きくなったときには前記省電力状態から前記平常状態への遷移を決定することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の監視制御装置において、前記ルータ制御部は、前記状態制御部によって前記平常状態から前記省電力状態への遷移の決定後、前記セカンダリルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定し、前記セカンダリルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記セカンダリルータの処理パケット数が第2の閾値未満となる場合に、前記セカンダリルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記セカンダリルータの電源供給をスリープモードに設定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の監視制御装置において、前記ルータ制御部は、前記状態制御部によって前記省電力状態から前記平常状態への遷移の決定後、前記バックアップルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定し、前記バックアップルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記バックアップルータの処理パケット数が第3の閾値未満となる場合に、前記バックアップルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記バックアップルータの電源供給をスリープモードに設定することを特徴とする。
【0022】
更に、本発明の監視制御システムは、加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、通信経路の監視制御を行う監視制御システムであって、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御装置を備え、前記監視制御装置は、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報を収集するルータ情報収集部と、前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視する状態制御部と、前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるとともに、前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるルータ制御部と、を備えることを特徴とする通信経路の監視制御システム。
【0023】
更に、本発明のプログラムは、加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御装置として構成するコンピュータに、前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップと、前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるステップと、前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、待機電力の大きいルータをスリープモードにすることにより、トラヒックが少ない時間帯の消費電力を大きく削減することができる。
【0025】
また、トラヒック量の多い状態と少ない状態の切り替わりは、基本的に一日のうちに2度しか起こらないため、故障の原因となりうる電源の切り替えを極めて少なくすることができ、各ルータの耐用年数(機器寿命)に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るネットワークを構築するためのベースとなるネットワークの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係る通信経路の監視制御システムの実施例の概略図である。
【図3】本発明による一実施例の監視制御装置のブロック図である。
【図4】本発明による一実施例の監視制御装置によって、トラヒック量の多い状態と少ない状態の切り替わりを特定の時間帯(時間帯A,B)で「平常状態」と「省電力状態」の間の状態遷移を行えるようにする説明図である。
【図5】本発明による一実施例の監視制御装置によって制御される、トラヒック量の変化に応じたネットワークの状態の変化を示す図である。
【図6】本発明による一実施例の監視制御装置によってネットワークを平常状態から省電力状態に移行させる処理フロー例である。
【図7】本発明による一実施例の監視制御装置によって、ネットワークを省電力状態から平常状態に移行させる処理フロー例である。
【図8】インターネットサービスプロバイダ(ISP)6社によるDSL/CATV/FTTHにおけるカスタマーのトラヒック量を所定時間ごとに継続的に測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明に係るネットワークを構築するためのベースとなるネットワークの構成例を示す。ネットワークは、図1に例示的に示すように、エッジルータ30−1,30−2,30−3,30−4,・・・,30−6等、ディストリビューションルータ20−1,20−2,20−3等、コアルータ10−1,10−2等からなる多層構造をとる。各層では、上位層のルータへ2重帰属することにより冗長構成となっている。これらの2重帰属部分を1ブロック単位とし、ネットワークはこれら2重帰属部分を組み合わせた構造をとる。
【0028】
〔システム構成〕
図2は、本発明に係るネットワークを構築するためのベースとなる監視対象のネットワークにおけるルータの消費電力を削減するための通信経路の監視制御システムの実施例の概略を示す。本実施例の監視制御システムは、監視対象のネットワークにおける各ルータの設定を制御する監視制御装置1が設けられ、ディストリビューションルータが、プライマリルータ20−1、セカンダリルータ20−2及びバックアップルータ20−4の3種類のルータとして機能別に設けられる。即ち、本実施例の監視制御装置1は、加入者端末を収容するエッジルータ30−1,30−2,30−3,30−4,・・・,30−6等とバックボーンネットワークを形成するコアルータ10−1,10−2等の間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ20−1,20−2,20−3等からなる監視対象のネットワークにて、ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ20−1、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ20−2、及びセカンダリルータ20−2よりも稼動時の消費電力が少なく、セカンダリルータ20−2の非稼動時に稼動するバックアップルータ20−4として機能別に区別して通信経路の監視制御を行う。以下、代表的に、エッジルータ30−1と、プライマリルータ20−1、セカンダリルータ20−2及びバックアップルータ20−4と、コアルータ10−1との通信経路について、特に説明する。
【0029】
エッジルータ30−1は、加入者端末(図示せず)を収容するルータである。エッジルータ30−1は、ディストリビューションルータ(プライマリルータ20−1、セカンダリルータ20−2及びバックアップルータ20−4)に接続され、例えば、或る加入者端末(加入者のISP)や他の加入者端末へのアクセスを中継する。
【0030】
ディストリビューションルータ(プライマリルータ20−1、セカンダリルータ20−2及びバックアップルータ20−4)は、エッジルータ30−1からのトラヒックをコアルータ10−1又は他のエッジルータへと転送するなど、エッジルータ30−1とコアルータ10−1の間のトラヒックを中継するルータである。本実施例では機能ごとに、プライマリルータ20−1、セカンダリルータ20−2及びバックアップルータ20−4の3種類のルータが設けられる。
【0031】
プライマリルータ20−1は、各ディストリビューションルータを通過するトラヒック量に応じてトラヒックの処理を集約するか否かが制御され、特に、各ディストリビューションルータを通過するトラヒック量が少ない状態において、トラヒックの処理を集約するよう制御されるルータである。
【0032】
セカンダリルータ20−2は、各ディストリビューションルータを通過するトラヒック量に応じて稼動するか否かが制御され、特に、各ディストリビューションルータを通過するトラヒック量が多い状態では稼動するが、トラヒック量が少ない状態ではスリープモード(非稼動状態)をとるよう制御されるルータである。尚、本発明に係るスリープモードとは、外部との通信に必要な電源供給は維持しつつ、ルータの構成要素(例えば、搭載する複数のラインカード)に供給される電源をオフにした状態を云い、複数のラインカードにおけるリンクに関する電源供給のオン/オフは、監視制御装置1からの指示にしたがって制御される。
【0033】
バックアップルータ20−4は、各ディストリビューションルータを通過するトラヒック量に応じて稼動するか否かが制御され、特に、各ディストリビューションルータを通過するトラヒック量が多い状態ではスリープモードをとり、トラヒック量が少ない状態ではセカンダリルータ20−2の代わりに稼動するよう制御されるルータである。バックアップルータ20−4は、セカンダリルータ20−2に比べ、ラインカードの処理速度、及びシャーシ側の中央演算処理装置(CPU)の処理速度等の性能が低いものとし、稼動時の消費電力が少ないものとすることで、より省電力化を図ることができる。特に、ラインカードはその処理速度が高いほど消費電力が大きくなるため、バックアップルータ20−4と接続するリンクは他のルータ間のリンクと比較して帯域が小さいものを設置するよう構成するのが好適である。
【0034】
コアルータ10−1は、バックボーンネットワークを形成する高性能のルータ(例えば、バックアップルータ20−4よりも処理速度の高いルータ)であり、ISPサーバや他のコアルータ、及びディストリビューションルータと接続される。
【0035】
監視制御装置1は、上記ネットワークにおける各ルータと通信可能なコンソールとして機能する装置である。監視制御装置1は、TelnetやSSHにより各ルータのコンフィグレーション(ルータ設定)やインターフェース情報(リンクの設定情報)等の取得及び制御を行うことができる。また、監視制御装置1は、SNMPによって各ルータの負荷情報を取得したり、フローコレクタによってトラヒックフロー情報を取得したりすることができる。更に、監視制御装置1は、ネットワークのトラヒック量に応じて、セカンダリルータ20−2とバックアップルータ20−4の切り替えを判断して制御する。
【0036】
〔装置構成〕
図3は、本発明による一実施例の監視制御装置のブロック図である。監視制御装置1は、各部間の情報のやり取り(図中矢印)によってネットワークの監視・制御を行う装置である。監視制御装置1は、通信インターフェース部11と、制御部12と、記憶部13と、ルータリンク情報格納部14と、ルータ負荷情報格納部15と、ルータ設定情報格納部16とを備える。制御部12は、状態制御部121と、ルータ情報収集部122と、ルータ制御部123とを備える。尚、監視制御装置1は、好適に、コンピュータで構成することができ、通信インターフェース部11はネットワークを経由して外部装置と通信する任意のインターフェースで構成することができ、制御部12の各機能を中央演算処理装置(CPU)で実現するために、記憶部13の所定の領域にCPUで実行させるためのプログラムを格納することができる。また、状態制御部121、ルータ情報収集部122、及びルータ制御部123は、それぞれの機能を実現するためのCPUを設けるように構成することもできる。また、各機能を実現させるために必要とされるデータを、記憶部13に一時的に格納することもできる。このような記憶部13は、適宜コンピュータ内部のROM、RAM又はハードディスクなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、外付けハードディスク)を用いて構成させることもできる。また、ルータリンク情報格納部14、ルータ負荷情報格納部15、及びルータ設定情報格納部16は、記憶部13の所定の領域に設けるようにすることもできる。
【0037】
通信インターフェース部11は、固有のIPアドレスを有し、各監視対象機器(本例では、ルータ)との通信制御を行う機能を有する。
【0038】
ルータ情報収集部122は、フローコレクタやSNMPマネージャとして動作する機能を有し、この機能は、記憶部13に格納されたフローコレクタやSNMPマネージャとして機能させるためのプログラムを読み出す中央演算処理装置(CPU)の制御によって実現される。ルータ情報収集部122は、通信インターフェース部11を介して各監視対象機器(本例では、ルータ)にアクセスして収集した負荷情報を状態制御部121に通知するとともにルータ負荷情報格納部15に格納する。
【0039】
ルータ情報収集部122による負荷情報の収集パターンは、次の3通りが想定される。
(1)定期的収集パターン
定期的収集パターンは、定期的に各監視対象機器(本例では、ルータ)に対して負荷情報を要求し、各監視対象機器(本例では、ルータ)から負荷情報を収集するパターンである。
(2)非定期収集パターン
非定期収集パターンは、ネットワークの省電力状態から負荷が増大したときなど各監視対象機器(本例では、ルータ)やネットワークにおけるトラヒック量の管理に影響を及ぼす変化が発生したとして、各監視対象機器(本例では、ルータ)によって判断されるときに、各監視対象機器(本例では、ルータ)から送られる負荷情報を収集するパターンである。
(3)特異的収集パターン
特異的収集パターンは、各監視対象機器(本例では、ルータ)や監視制御装置1によって、ネットワークにおけるトラヒック量の管理に影響を及ぼす変化が発生したと判断されるときに、監視制御装置1が、TelnetやSSHによって特定のルータに対してアクセスし、Show Interfaceコマンドなどによってこの特定のルータの負荷情報を収集するパターンである。
【0040】
状態制御部121は、ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す「平常状態」と、トラヒック量が少ない状態を表す「省電力状態」の2種類に区別し、ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、ネットワークに対して平常状態と省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを判断又は監視する機能を有し、より具体的には、ルータ情報収集部122から収集した負荷情報とルータリンク情報を基に、「平常状態」と「省電力状態」の間の状態遷移を行うか否かを判断し、この状態遷移を行う場合には、その旨をルータ制御部123に指示する。監視対象のネットワークにおけるルータの接続関係を示すルータリンク情報はルータリンク情報格納部14に格納されている。「平常状態」と「省電力状態」の状態遷移についての詳細は後述するが、状態制御部121は、ルータ情報収集部122及びルータ制御部123に対して相互に通信して、「平常状態」と「省電力状態」の間の状態遷移を行うか否かを判断することもできる。本実施例の状態制御部121は、ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が閾値αよりも小さくなったときには平常状態から省電力状態への遷移を決定し、ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が閾値αよりも大きくなったときには省電力状態から平常状態への遷移を決定する。
【0041】
ルータ制御部123は、平常状態から省電力状態への遷移時には、セカンダリルータ20−2を非稼動に切り替え、プライマリルータ20−1及びバックアップルータ20−4を稼動させるとともに、省電力状態から平常状態への遷移時には、バックアップルータ20−4を非稼動に切り替え、プライマリルータ20−1及びセカンダリルータ20−2を稼動させる機能を有し、より具体的には、監視対象の各ルータに対して、ルータの構成要素における電源供給のオン/オフ制御やリンク等の設定を行う機能を有し、この機能は、記憶部13に格納されたプログラムを読み出す制御部(CPU)の制御によって実現される。本実施例では、ルータ制御部123は、各ルータの構成要素における電源供給のオン/オフ制御やリンク等の設定を行った設定情報をルータ設定情報格納部16に格納する。また、本実施例のルータ制御部123は、状態制御部121によって平常状態から省電力状態への遷移の決定後、セカンダリルータ20−2と接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定し、セカンダリルータ20−2へのトラヒックの流入を停止させ、セカンダリルータ20−2の処理パケット数が閾値β未満となる場合に、セカンダリルータ20−2と接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、セカンダリルータ20−2の電源供給をスリープモードに設定する。また、ルータ制御部123は、状態制御部121によって省電力状態から平常状態への遷移の決定後、バックアップルータ20−4と接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定し、バックアップルータ20−4へのトラヒックの流入を停止させ、バックアップルータ20−4の処理パケット数が閾値β未満となる場合に、バックアップルータ20−4と接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、バックアップルータ20−4の電源供給をスリープモードに設定する。尚、閾値βは、ルータ間の連絡パケットのみとなる程度の少ない処理パケット数となるように設定するのが好適である。
【0042】
監視制御装置1は、例えば、図4に示すように、トラヒック量の多い状態と少ない状態の切り替わりを特定の時間帯(時間帯A,B)で「平常状態」と「省電力状態」の間の状態遷移を行うよう、ネットワークのトラヒック量に応じて、セカンダリルータ20−2とバックアップルータ20−4の切り替えを判断して制御することが可能となり、ネットワークの一日あたりのルータの消費電力を削減することができる。
【0043】
〔装置動作〕
図5は、監視制御装置1によって制御される、トラヒック量の変化に応じたネットワークの状態の変化を示している。ネットワークのトラヒック量が多い状態では、プライマリルータ20−1やセカンダリルータ20−2が稼動し、大量のトラヒックを処理可能なネットワークの「平常状態」をとる。一方、トラヒック量が減少し、少ない状態になるとセカンダリルータ20−2をスリープモードに設定し、消費電力の少ないバックアップルータ20−4を稼動させることにより、ネットワークの「省電力状態」をとる。平常状態及び省電力状態の各状態は、トラヒック量の増減によって遷移するよう制御される。
【0044】
図6は、監視制御装置1によってネットワークを平常状態から省電力状態に移行させる処理フロー例である。トラヒックの変動によって、ディストリビューションルータを流れるトラヒック量が少なくなった際の監視制御装置における処理を示している。各ルータのラインカードの設定及びShow Interfaceコマンドの利用は、SSH又はTelnetを利用する。
【0045】
本フローは、トラヒック量が多い場合の平常状態から開始する。平常状態では、バックアップルータ20−4が稼動しておらず、フローコレクタ(ルータ情報収集部122)によって常時トラヒックフローを測定している。
【0046】
状態制御部121は、ルータ情報収集部122によって収集した負荷情報を基に、ディストリビューションルータ(プライマリルータ20−1及びセカンダリルータ20−2等)を流れるトラヒックの総量Tが、閾値αよりも小さいか否かを常に判断する(ステップS11)。
【0047】
総量Tが、閾値αよりも小さくなったとき、ルータ制御部123に命じて次のルータ制御を行う。
(1)バックアップルータ20−4を稼動状態にすべく、バックアップルータ20−4の電源供給をオンにする(ステップS12)。バックアップルータ20−4において、監視制御装置1との通信に必要な電源供給は確保されていることに留意する。
(2)バックアップルータ20−4の電源供給がオンになった後、バックアップルータ20−4と接続する各リンクのラインカードを起動させ、それぞれのリンクの設定を行う(ステップS13)。この際、バックアップルータ20−4がバックアップ用である意義を鑑みて、バックアップルータ20−4と接続する各リンクのコスト値を他のルータに接続するリンクのコスト値よりも大きい値とするのが好適である。
(3)セカンダリルータ20−2と接続しているリンクのコスト値は、他のリンクよりも大きい値に設定する(ステップS14)。例えば、セカンダリルータ20−2と接続する各リンクのコスト値を巨大に設定(現状よりも大きく設定)することにより、セカンダリルータ20−2へのトラヒックの流入を停止する。
(4)リンクの確立により、各ルータにおける通信経路(ルート)の再計算が行われるまで所定時間待機する(ステップS15)。
【0048】
ルータ情報収集部122は、セカンダリルータ20−2にアクセスし、Show Interfaceコマンド等によって処理パケット数Psを測定し、状態制御部121によって処理パケット数Psと閾値βとの比較を行う(ステップS16)。状態制御部121は、処理パケット数Psが閾値β以上であると判断する場合、所定時間待機し、再度、ルータ情報収集部122によって処理パケット数Psを測定させる。状態制御部121は、処理パケット数Psが閾値β未満であると判断する場合、ルータ制御部123に命じて、ルータ制御部123が各ルータにおけるセカンダリルータ20−2と接続するリンクをダウンさせるべく、各ルータの対応するラインカーカードをスリープモードにする(ステップS17)。尚、閾値βは、ルータ間の連絡パケットのみとなる程度の少ない処理パケット数となるように設定するのが好適である。
【0049】
その後、ルータ制御部123を介してセカンダリルータ20−2をスリープモードにすることにより、ネットワークを省電力状態にする(ステップS18)。
【0050】
このようにして、監視制御装置1は、「平常状態」から「省電力状態」へとネットワークの状態遷移を行う。
【0051】
図7は、監視制御装置1によって、ネットワークを省電力状態から平常状態に移行させる処理フロー例であり、トラヒックの変動によって、ディストリビューションルータを流れるトラヒック量が多くなった際の監視制御装置における処理を示している。各ルータのラインカードの設定及びShow Interfaceコマンドの利用は、SSH又はTelnetを利用する。
【0052】
本フローは、トラヒック量が少ない場合の省電力状態から開始する。省電力状態でも、フローコレクタ(ルータ情報収集部122)によって常時トラヒックフローを測定している。セカンダリルータ20−2は稼動していない。
【0053】
状態制御部121は、収集した負荷情報を基に、ディストリビューションルータ(プライマリルータ20−1及びバックアップルータ20−4等)を流れるトラヒックの総量Tが、閾値αよりも小さいか否かを常に判断する(ステップS21)。以下の説明で用いる閾値α,βは、図6における説明の閾値α,βと異なるものとすることもでき、バックアップルータの処理速度やトラヒック量との関係で決定することができる。
【0054】
総量Tが閾値αよりも大きくなったとき、状態制御部121は、ルータ制御部123に命じて次のルータ制御を行う。
(1)セカンダリルータ20−2を稼動状態にすべく、セカンダリルータ20−2の電源供給をオンにする(ステップS22)。セカンダリルータ20−2において、監視制御装置1との通信に必要な電源供給は確保されていることに留意する。
(2)セカンダリルータ20−2の電源供給がオン(稼動状態)になった後、セカンダリルータ20−2と接続する各リンクのラインカードを起動させ、それぞれのリンクの設定を行う(ステップS23)。
(3)バックアップルータ20−4と接続しているリンクのコスト値は、他のリンクよりも大きい値に設定する(ステップS24)。例えば、バックアップルータ20−4と接続する各リンクのコスト値を巨大に設定(現状よりも大きく設定)することにより、バックアップルータ20−4へのトラヒックの流入を停止する。
(4)リンクの確立により、各ルータにおける通信経路(ルート)の再計算が行われるまで所定時間待機する(ステップS25)。
【0055】
ルータ情報収集部122は、バックアップルータ20−4にアクセスし、Show Interfaceコマンド等によって処理パケット数Psを測定し、状態制御部121によって閾値βとの比較を行う(ステップS26)。状態制御部121は、処理パケット数Psが閾値β以上であると判断する場合、所定時間待機し、再度、ルータ情報収集部122によって処理パケット数Psを測定させる。状態制御部121は、処理パケット数Psがβ未満であると判断する場合、ルータ制御部123に命じて、ルータ制御部123が各ルータにおけるバックアップルータ20−4と接続するリンクをダウンさせるべく、各ルータの対応するラインカーカードをスリープモードにする(ステップS27)。尚、閾値βは、ルータ間の連絡パケットのみとなる程度の少ない処理パケット数となるように設定するのが好適である。
【0056】
その後、ルータ制御部123を介してバックアップルータ20−4をスリープモードにすることにより、ネットワークを平常状態にする。
【0057】
このようにして、監視制御装置1は、「省電力状態」から「平常状態」へとネットワークの状態遷移を行う。
【0058】
従って、本実施例の監視制御装置1によれば、待機電力の大きいルータをスリープモードにすることにより、ネットワークにおけるトラヒックが少ない時間帯の消費電力を大きく削減することができる。また、図4に例示したように、トラヒック量の多い状態と少ない状態の切り替わりは、基本的に一日のうちに2度しか起こらないため、故障の原因となりうる電源の切り替えを極めて少なくすることができ、各ルータの耐用年数(機器寿命)に与える影響を抑えることができるようになる。
【0059】
尚、本実施例の監視制御装置1をコンピュータで構成した場合、各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、例えばDVD又はCD−ROMなどの可搬型記録媒体の販売、譲渡、貸与等により流通させることができるほか、そのようなプログラムを、例えばネットワーク上にあるサーバの記憶部に記憶しておき、ネットワークを介してサーバから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、流通させることができる。また、そのようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶部に記憶することができる。また、このプログラムの別の実施態様として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、更に、このコンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。従って、本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によればネットワークにおけるトラヒックが少ない時間帯の消費電力を大きく削減することができるので、通信事業者(キャリア)が管理するIP中継網で利用するネットワーク装置及びその通信経路の監視技術に有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 監視制御装置
10−1,10−2 コアルータ
20−1,20−2,20−3 ディストリビューションルータ
30−1,30−2,30−3,30−4,・・・,30−6 エッジルータ
11 通信インターフェース部
12 制御部
13 記憶部
14 ルータリンク情報格納部
15 ルータ負荷情報格納部
16 ルータ設定情報格納部
121 状態制御部
122 ルータ情報収集部
123 ルータ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御方法であって、
前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップと、
前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるステップと、
前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるステップと、
を含むことを特徴とする通信経路の監視制御方法。
【請求項2】
前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップは、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも小さくなったときには前記平常状態から前記省電力状態への遷移を決定し、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも大きくなったときには前記省電力状態から前記平常状態への遷移を決定するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の通信経路の監視制御方法。
【請求項3】
前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるステップは、前記平常状態から前記省電力状態への遷移の決定後、前記セカンダリルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定することにより、前記セカンダリルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記セカンダリルータの処理パケット数が第2の閾値未満となる場合に、前記セカンダリルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記セカンダリルータの電源供給をスリープモードに設定するステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の通信経路の監視制御方法。
【請求項4】
前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるステップは、前記省電力状態から前記平常状態への遷移の決定後、前記バックアップルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定することにより、前記バックアップルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記バックアップルータの処理パケット数が第3の閾値未満となる場合に、前記バックアップルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記バックアップルータの電源供給をスリープモードに設定するステップを含むことを特徴とする、請求項2又は3に記載の通信経路の監視制御方法。
【請求項5】
加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御装置であって、
前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報を収集するルータ情報収集部と、
前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視する状態制御部と、
前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるとともに、
前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるルータ制御部と、
を備えることを特徴とする通信経路の監視制御装置。
【請求項6】
前記状態制御部は、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも小さくなったときには前記平常状態から前記省電力状態への遷移を決定し、前記ディストリビューションルータを流れるトラヒックの総量が所定の閾値よりも大きくなったときには前記省電力状態から前記平常状態への遷移を決定することを特徴とする、請求項5に記載の通信経路の監視制御装置。
【請求項7】
前記ルータ制御部は、前記状態制御部によって前記平常状態から前記省電力状態への遷移の決定後、前記セカンダリルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定し、前記セカンダリルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記セカンダリルータの処理パケット数が第2の閾値未満となる場合に、前記セカンダリルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記セカンダリルータの電源供給をスリープモードに設定することを特徴とする、請求項6に記載の通信経路の監視制御装置。
【請求項8】
前記ルータ制御部は、前記状態制御部によって前記省電力状態から前記平常状態への遷移の決定後、前記バックアップルータと接続する各リンクのコスト値を現状よりも大きく設定し、前記バックアップルータへのトラヒックの流入を停止させ、前記バックアップルータの処理パケット数が第3の閾値未満となる場合に、前記バックアップルータと接続するリンクをスリープモードに設定するとともに、前記バックアップルータの電源供給をスリープモードに設定することを特徴とする、請求項6又は7に記載の通信経路の監視制御装置。
【請求項9】
加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、通信経路の監視制御を行う監視制御システムであって、
前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御装置を備え、
前記監視制御装置は、
前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報を収集するルータ情報収集部と、
前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視する状態制御部と、
前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるとともに、
前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるルータ制御部と、
を備えることを特徴とする通信経路の監視制御システム。
【請求項10】
加入者端末を収容するエッジルータ、エッジルータとコアルータとの間のトラヒックを中継するディストリビューションルータ、及びバックボーンネットワークを形成するコアルータからなる監視対象のネットワークにて、前記ディストリビューションルータを、常時稼動するプライマリルータ、トラヒック量に応じて稼動・非稼動が切替えられるセカンダリルータ、及び前記セカンダリルータよりも稼動時の消費電力が少なく前記セカンダリルータの非稼動時に稼動するバックアップルータとして機能別に区別して通信経路の監視制御を行う監視制御装置として構成するコンピュータに、
前記ネットワークにおけるトラヒック量の変化を、トラヒック量が多い状態を表す平常状態と、トラヒック量が少ない状態を表す省電力状態の2種類に区別し、前記ネットワークにおける各ルータの負荷情報から、前記ネットワークに対して前記平常状態と前記省電力状態のいずれの状態に遷移させるかを監視するステップと、
前記平常状態から前記省電力状態への遷移時には、前記セカンダリルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記バックアップルータを稼動させるステップと、
前記省電力状態から前記平常状態への遷移時には、前記バックアップルータを非稼動に切り替え、前記プライマリルータ及び前記セカンダリルータを稼動させるステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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