説明

監視制御用表示器

【課題】記憶媒体へのデータの書込み/読出しに影響することなく表示器から記憶媒体を簡単容易にイジェクト可能とする。
【解決手段】本表示器200は、操作画面にヒューマン・マシーン・インタフェース(HMI)部品を表示しこのHMI部品を用いてデバイスの状況表示や制御操作を行い、また、データの書込み/読出しするための記憶媒体(CFカード209、USBメモリ211)が着脱可能な表示器であって、HMI部品215に記憶媒体を取り出すイジェクト機能を与え、また、その機能名とこれに対応したタグネームとをシステムタグに割り付け可能とし、HMI部品215の操作に対応して記憶媒体に対するデータの書込み/読出しを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作画面にヒューマン・マシーン・インタフェース(HMI)部品を表示しこのHMI部品を用いて監視制御対象の状況表示や制御操作を行うことができるものでCFカードやUSBメモリ等の着脱自在に外付けされる記憶媒体に上記表示や操作制御のデータを記憶することが可能な監視制御用表示器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
監視制御システムのHMIとしての監視制御用表示器にプログラマブル表示器が広く使用されている。このような表示器は、デバイスを制御するプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)と通信して、デバイスの状態を表示/制御しており、デバイスの状態を画面表示する際の動作や、操作に応じてデバイスの状態を制御する際の動作は、制御用ホストコンピュータ等の作画ツールで作成された後で表示器にインストールされる操作画面データに基づいて特定される(特許文献1)。操作画面はベース画面とそのベース画面上に配設される1つまたは複数の部品(HMI部品)と各HMI部品毎に1つまたは複数のタグとの組合わせで構成されている。HMI部品はデバイスに対応付けられる。
【0003】
このタグは外部ソースであるPLCを通じてデバイスを制御することに用いるものであり説明の都合でデバイスタグと称し、また、表示器内部の動作の制御に用いるタグをシステムタグ(あるいはメモリタグ)と称する。
【0004】
各デバイスにはデバイスタグとデバイスアドレスとが割り当てられる。デバイスタグはタグネームとタグ情報とを含む。タグとは信号1つ1つに付けられる名前のようなものであり、たとえばPLCから受け取る信号に以下のようにタグが付けられる。デバイスタグは画面作成の時などに、デバイスを直接指定するのではなく、タグネームを指定して表示の設定などが行われる。基本的に上記の監視制御システムではPLCなどからの信号は、タグ名に置き換えてから使用されるようになっている。タグ種別には、ワードタグ、ビットタグ、文字列タグの3種類がある。タグはタグダイアログウインドウでプロパティ設定される。
【0005】
上記監視制御用表示器は、入力装置として、タッチパネルの下部に液晶表示パネルを装着して表示画面を構成したものが使用されており、ユーザは、監視制御用表示器の表示に基づいて、制御対象のデバイスの状態などを把握すると共に、タッチパネルを操作して、監視制御用表示器にデバイスへの制御指示などを入力する。このような監視制御用表示器はHMIとしてGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を採用しているのが多く、表示画面はタッチパネルと液晶表示素子等の表示パネルとで構成し、マイクロコンピュータを用いて予めソフトウエアを用いて操作画面データを設計製作している。ユーザは表示器に表示されているHMI部品を操作してデバイスを操作する。HMI部品はデバイスとユーザとのインタフェースを形成するヒューマン・マシーン・インタフェース部品として、色、フォント、キャプション等のプロパティが設定される。
【0006】
以上における監視制御用表示器においては、プロジェクトコピー、アラーム履歴、ロギングデータ出力、画面のハードコピー、レシピ機能等のデータの書込み/読出し処理を当該監視制御用表示器に着脱自在に装着されたCFカードやUSBメモリ等の記憶媒体に行わせることができるようになっている。
【0007】
監視制御用表示器はこの記憶媒体にデータの書込み/読出し後に監視制御用表示器から取り出すに際してはイジェクト機構によりイジェクト操作することにより行っている。
【0008】
しかしながら、従来では、このイジェクト操作に対して、現在、記憶媒体にデータの書込み/読出しが終了しているか否かが不明のまま行われている場合、データの書込み/読出し中にイジェクトされてしまうと、データを正しく書き込んだり読み出しすることができない。
【特許文献1】特開2002−55749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明により解決すべき課題は、記憶媒体にデータが書込み/読出しされていない状態で表示器からイジェクトすることを可能として記憶媒体に正しくデータを書込み/読出しすることを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による表示器は、操作画面にデバイスの状況表示や制御操作を行うためのヒューマン・マシーン・インタフェース(HMI)部品を表示し、また、データの書込み/読出しするための記憶媒体が着脱可能な表示器において、上記HMI部品に、上記表示器に装着されている記憶媒体を該表示器から取り出すためのイジェクト機能を与え、また、システムタグには上記HMI部品の機能名とこれに対応したタグネームとを割り付けたことを特徴とするものである。
【0011】
記憶媒体は、実施の形態で示すCFカード、USBメモリ等の半導体メモリ系だけでなく、フロッピディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系を適用することができる。
【0012】
本発明では、HMI部品にイジェクト機能を持たせ、このHMI部品によりイジェクト操作を実行することができるとともに、この操作に対応してシステムタグが割付られているので、記憶媒体にデータの書込みや読出し中にイジェクトされてしまうことをなくすことができ、イジェクト操作が行い易くなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、記憶媒体へのデータの書込み/読出しに影響することなく表示器から記憶媒体を簡単容易にイジェクトすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る表示器およびそれを組み込んだ制御システムを説明する。図1は、上記制御システムの構成図である。図1を参照して、制御用ホストコンピュータ(外部PC)100と、監視制御用の表示器200と、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)300と、1つないし複数のデバイスを含むターゲットシステム400とが示されている。これらにより工場に設備された複数のターゲットシステム400を制御する制御システムが構築される。
【0015】
外部PC100は、汎用パソコンと同様、CPU、メモリ、外部記憶装置、表示装置、キーボード、およびマウスを有している。外部PC100は、表示器200との間の通信を行うために共通ネットワーク500に接続されている。
【0016】
外部PC100は、表示器200との間のデータ通信処理を行うとともに、インストールないしダウンロードされた作画ソフトにより、表示器200の操作画面を作画することができる。
【0017】
外部PC100は、作成した操作画面を表示器200に転送したり、表示器200から配信されたPLC300の入力データや出力データを収集したりする処理を行うことができる。
【0018】
表示器200はHMI機器としてのプログラマブル表示器であり、操作盤、スイッチ、表示灯などのHMI部品を操作画面に表示することができる機能を備えることができる他、デバイスの稼働状況や作業指示のような管理のための各種のモニタ、機器に対する設定値をタッチパネルを介して入力する端末としての機能を備えている。
【0019】
HMI部品は様々な形状、カラー、文字、フォント、等の各種プロパティが設定されている。HMI部品は、ターゲットシステム400と操作者とのインタフェースを形成し、ターゲットシステム400を構成する個々のデバイスに対応している。
【0020】
表示器200は上記機能の実行のための表示プログラムがインストールされ、その表示プログラムに従い、表示動作を行うようになっている。
【0021】
PLC300はシーケンスプログラムに従い、ターゲットシステム400に対して所要の制御動作を行うようになっている。PLC3はCPUユニット、メモリユニット、等の各種ユニットを備え、各ユニットを必要に応じて適宜増減可能に並列接続することにより、PLC3における全体として達成される機能を変更可能とする構成のものである。
【0022】
ターゲットシステム400にはセンサ、リレー、その他の機器がある。ターゲットシステム400からPLC300にはデバイスの状況を示すデータが入力される。PLC300はそのデータを表示器200に、また、表示器200を介して、外部PC100に送信することができる。
【0023】
次に図2を参照して表示器200を説明する。
【0024】
表示器200は、外部PC100と通信する通信処理部201、PLC300と通信する通信処理部202、マウスやキーボード等の入力装置203、タッチパネルと液晶表示パネルとから構成される表示部204、固定データの格納、一時的なデータ記憶、CPUの演算処理時における作業エリアの提供や、画面データや、OSやアプリケーションソフトプログラム等を記憶する各種メモリ205、デバイスタグやシステムタグを記憶するタグデータメモリ206、CFカードに対してデータの書き込みおよび読み出しを行うためのCFカードドライバ207、USBメモリに対してデータの書き込みおよび読み出しを行うためUSBメモリドライバ208、CFカード209を着脱することができるCFカード着脱部210、USBメモリ211を着脱することができるUSBメモリ着脱部212、およびCPU等からなり表示器各部を制御する制御部213を備えている。
【0025】
CFカード209は、メモリ205に記憶された操作画面データをバックアップする記憶媒体としても用いることができる。記憶媒体としては、CFカードやUSBメモリ以外の媒体であってもよいが、小型であり、かつ大記憶容量を有するCFカードは特に好適である。
【0026】
表示部204は、タッチパネルと液晶パネルとによって構成されている。タッチパネルは、表示部204の表示画面上で入力を行うために設けられており、アナログ抵抗膜式タッチパネルなどが好適である。
【0027】
制御部213は、VRAM等のメモリ205に展開された操作画面のイメージを、表示部204に描画するよう制御することができる。
【0028】
通信処理部202は、通信ケーブル(例えばRS−232C)を介してPLC300との間でデバイスの制御や監視に関するデータなどの転送やPLC300の出力データの取り込みを制御するインターフェースである。
【0029】
制御部213は、表示部204上の表示画面に操作画面を表示制御したり、プロトコル変換やデータ配信の処理を行うために各種のデータ処理を行うことができる。制御部213は、外部PC100で作成された操作画面をVRAMなどのメモリを用いて描画させることができる。
【0030】
図3を参照して表示器200の操作画面214には、操作盤、スイッチ、表示灯等の各種HMI部品が表示される。表示器200は通信処理部202を介してPLC300と通信することにより操作画面214上に配置したHMI部品を表示変更したり、また、HMI部品に対するユーザ操作に応答してPLC300を通じてデバイスを制御したりするとともに、メモリ205に必要なデータを書込み/読出しする。一方、表示器200は必要な動作を行うに際してはタグデータメモリ206に格納しているタグに基づいて表示制御動作を行うとともに、制御部213では上記制御とともにタグ管理を行う。
【0031】
以上において表示器200の操作画面214には図3で示すように他のHMI部品と共に、イジェクト機能を付与されたHMI部品215が表示されている。このHMI部品215に対してはイジェクトのシステムタグが付けられている。このシステムタグのタグネームは一例として後述する「SYS CF1 EJECT」である。このシステムタグのデータはタグデータメモリ206に格納されている。このタグネームはCFカード209をイジェクトするためのものである。
【0032】
HMI部品215がマウス等でクリックされると、制御部213はHMI部品215の操作位置に対応した表示部204のタッチパネルの座標値を示す信号に対応するタグネームをタグデータメモリ206から読み出し、このタグネームが「SYS CF1 EJECT」であると判断すると、CFカードドライバ207の動作を停止させ、CFカード209に対する書込み/読出しを終了するよう制御する。これにより、CFカード207に対するデータの書込み/読出しが終了し、ユーザはCFカード207をイジェクトすることができる。
【0033】
以上の表示器200の操作画面214は外部PC100により設計製作することができる。この操作画面の設計にはHMI部品の配置、プロパティの設定、プロパティの変更等が含まれる。外部PC100は、表示設計に際しては、内蔵の作画ソフトや記録媒体からインストールされた作画ソフトにより行うことができる。この作画ソフトはスイッチ、ランプ、テンキー、メータ表示器、グラフ表示器などのHMI部品、タグ設定機能、描画機能、テキスト入力機能などを用いて所望の画面を構成するためのソフトである。外部PC100で作成した操作画面データは表示器2に転送される。この場合、外部PC100で作成された操作画面データは、表示器2が解読可能なデータ形式として表示器200に転送される。
【0034】
表示器200ではこの操作画面データをメモリ205に記憶可能なファイル形式で記憶し、画面を表示するときに、必要に応じて読み出す。また、表示器200は操作画面データをバックアップファイルとして保存するために、メモリ205に記憶された操作画面データをバックアップ用のファイル形式に変換して、タグデータと共にCFカード209やUSBメモリ211に記憶することができる。
【0035】
外部PC100による上記操作画面の編集を図4、図5を参照して説明する。図4に編集画面600を示し、図4に編集画面600上に設定ウインドウ700を呼び出した状態を示す。
【0036】
この編集画面600において、601はメニューバー、602はツールバー、603はナビゲーションウインドウであ。ナビゲーションウインドウ603は、プレビュー部604と、設定操作部605とから構成されている。プレビュー部604はスクリーン、背景スクリーンをプレビューするものである。設定操作部605は、同一の作画領域上にスクリーン、その背景スクリーンおよびその背景カラーの3つのスクリーン要素を組み合わせた最終的な状態を表示可能としている。
【0037】
606は作画領域、607はオブジェクトリスト領域、608はパーツリスト領域、609はオブジェクトヘルプ領域である。オブジェクトリスト領域607には、作画編集に用いる線、四角形、ボタン等のオブジェクトがリストされている。パーツリスト領域608には作画編集に用いるボタン,ラベル,入力エリア,スケール,スイッチ,ラジオボックス,メニュー,セパレータ等の部品(図示略)がリストされている。
【0038】
作画領域606には、オブジェクトリスト領域607からドラッグアンドドロップ等により選択して貼り付けたオブジェクトが表示されている。オブジェクトリスト領域607のオブジェクトはあらかじめ定義された属性(機能)を有している。作画領域606に表示したオブジェクトは、この作画領域606における編集加工により具体的な属性値(形状、サイズ、機能、等)が設定される。この作画領域606上にオブジェクトを組み合わせて、操作画面を構成する1つのスクリーンを作成する。
【0039】
編集画面600にはHMI部品215が1つ表示されている。このHMI部品215のプロパティは設定ウインドウ700により設定される。この設定ウインドウ700は、HMI部品215のタグプロパティ設定のためのものであり、HMI部品名の記入欄701、HMI部品のプレビュー部702、HMI部品のテキスト記入欄703およびタグネーム記入欄704を有する。テキスト記入欄703は、HMI部品の文字記入部、色、背景色、文字サイズ、等の設定が可能となっている。
【0040】
タグネーム記入欄704をプルダウン操作すると、システムタグのリストが一覧表示される。この一覧には、「SYS CF1 EJECT」「SYS CF2 EJECT」「SYS COPY LOGTOF1」…が表示されている。図例では「SYS CF1 EJECT」が選択されている。このタグネームは、CFカード209にイジェクトのシステムタグを割り付けるものである。これで「OK」がクリックされると、編集画面600のHMI部品215には、CFカード209をイジェクトする機能を付与し、かつ、このHMI部品215を操作すると、タグネーム「SYS CF1 EJECT」により、CFカード209に対する上記イジェクトが行われる。
【0041】
以上のようにして外部PC100で作画された操作画面データは、表示器200に転送され、プロジェクトファイルとしてメモリ205に格納され、そのデータに含むシステムタグはタグデータメモリ206に格納される。そして、ユーザはこのメモリ205に格納した操作画面データに基づき操作画面を表示すると共にHMI部品215を操作画面上に表示し、タグデータメモリ206に格納されたシステムタグによりHMI部品215によりCFカード209やUSBメモリ211をイジェクトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は表示器を含む制御システムのブロック構成図である。
【図2】図2は表示器のブロック構成図である。
【図3】図3は表示器の操作画面を示す図である。
【図4】図4は外部PCの編集画面を示す図である。
【図5】図5は図4の編集画面にHMI部品にイジェクト機能のプロパティ設定ウインドウを呼び出した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
100 外部PC
200 表示器
300 PLC
600 編集画面
700 設定ウインドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作画面にデバイスの状況表示や制御操作を行うためのヒューマン・マシーン・インタフェース(HMI)部品を表示し、また、データの書込み/読出しするための記憶媒体が着脱可能な表示器において、上記HMI部品に、上記表示器に装着されている記憶媒体を該表示器から取り出すためのイジェクト機能を与え、また、システムタグには上記HMI部品の機能名とこれに対応したタグネームとを割り付けた、ことを特徴とする表示器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−21156(P2008−21156A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192784(P2006−192784)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(501088257)株式会社ウィン・システム (37)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】