説明

監視装置、監視方法及び監視システム

【課題】ネットワークを介して取得する映像フレームの欠損を防ぐこと。
【解決手段】監視群で撮像した監視映像による監視を行う場合に、監視場所の映像による映像フレームを生成するカメラ群と、カメラ群からネットワークを介して取得した映像フレームに含まれるIフレームに基づいて、ネットワークの通信状況を解析して、監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を変更する変更通知を出力する通信状況解析部11と、通信状況解析部11を介して映像フレームを取得する映像バッファ部12と、映像バッファ部12より取得した映像フレームを組み立てた表示用フレームセットを、映像を表示する表示部19に出力する再生部14と、変更通知に基づいて、カメラ群が送信するIフレームの送信間隔を変更する制御を行う送信間隔制御部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、監視カメラから映像データを取得する場合に、監視カメラと管理サーバ間のネットワークの通信状況を監視し、ネットワーク帯域を有効に利用可能な監視装置、監視方法及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラと制御装置とをネットワークを介して接続した監視システムが用いられている。このような監視システムにおいて、監視カメラは、撮影した映像データを、ネットワークを介して制御装置に送信する。制御装置は、受信した映像データを記録するとともに、映像データを解析することで異常の発生を検出し、アラームを出力する。監視員は、モニタに表示される監視映像及び制御装置が出力したアラームの内容を確認しながら監視を行うことができる。
【0003】
特許文献1には、ネットワークカメラで監視した映像を録画再生することにより、監視映像に異常を示す映像変化があるかを監視する技術について記載されている。
【0004】
特許文献2には、故障等が発生した時にユーザ端末からメーカーWebサイトに速やかにアクセスし、故障状況検索や修理依頼等の対応を行える技術について記載されている。
【0005】
特許文献3には、異常が発生した映像監視装置から別の映像監視装置に切替えることができる技術について記載されている。
【特許文献1】特開2005−268996号公報
【特許文献2】特開2006−119803号公報
【特許文献3】特開2007−174501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の監視システムは、MPEG(Moving Picture Experts Group)規格に準拠した映像フレーム(以下、単に「MPEG映像フレーム」又は「映像フレーム」と称する。)を生成するMPEG映像フレーム生成ネットワークカメラと、同じくMPEG映像フレームを生成するMPEG映像フレーム生成ネットワークデバイス(以下、カメラ群と称する。)を用いて、管理サーバに映像フレームを記録し、表示装置に映像を再生するものであった。映像フレームは、IフレームとPフレームで構成される。Iフレームは、1フレームの全画素のデータを有する独立した1枚の画像データでありデータ量が大きい。一方、Pフレームは、Iフレームに対する差分データでありデータ量が小さい。しかし、1つのIフレームに対して複数のPフレームが存在するため、Iフレームからの時間の経過が大きくなるに従って、差分量が増えてしまう。このため、比較的動きが激しい映像の場合には、全体のデータ量が大きくなってしまうことがある。
【0007】
従来、カメラ群から管理サーバに送信するIフレームの送信間隔は一定であった。このため、ネットワーク帯域の使用量が増加して、ネットワーク帯域が圧迫されるようになっても、カメラ群は同じ送信間隔でIフレームを送信するため、送信遅延が発生したり、Iフレームが管理サーバで取得できなかったりすることがあった。
【0008】
また、IフレームはPフレームよりデータ量が大きい。このため、Iフレームの送信間隔が短い場合、ネットワーク帯域の使用量が増加し、ネットワーク帯域に負荷を強いることになる。このような状況に対応するためには、従来の監視システムでは、Iフレームの送信間隔を人為的に制御するしかなかった。このため、ネットワーク帯域の使用量が増加して、ネットワーク帯域が過負荷状態となると、Iフレームの送信間隔によってはネットワークの通信状況が悪化してしまう場合があった。
【0009】
また、Iフレームの送信間隔を長くすると、カメラ群が管理サーバに送信する映像フレームのデータ量が小さくなる。このため、ネットワークにかかる負荷は、送信間隔が短い場合よりも少なくなる。その反面、ネットワークの不具合などで切断が起こりやすくなり、Iフレームが欠損すると、欠損したIフレームの前後のPフレームも影響を受けるため、表示する映像の欠損範囲が大きくなってしまう。つまり、監視システムとして映像を取得できない時間が増加することとなる。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、監視カメラからの映像を、ネットワークを介して取得する場合に、取得されるIフレームの欠損を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、監視カメラで撮像した監視映像による監視を行う場合に、監視場所の映像による映像フレームを生成する監視カメラから、ネットワークを介して取得した映像フレームに含まれるIフレームに基づいて、ネットワークの通信状況を解析して、監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を変更する変更通知を出力し、映像フレームを取得し、取得した映像フレームを組み立てた表示用フレームセットを、映像を表示する表示部に出力し、変更通知に基づいて、監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を変更する制御を行う。
【0012】
このようにしたことで、ネットワークの通信状況を解析して、ネットワーク帯域の使用量に応じて、監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を制御することが可能となった。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ネットワークの通信状況を解析して、ネットワーク帯域の使用量に応じて、監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を制御するため、ネットワークの帯域使用量の増減にかかわらず、Iフレームを欠損することなく取得して映像を表示できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施形態例について、図1〜図9を参照して説明する。本実施の形態例では、撮像対象物を撮像した映像から映像フレームを生成する撮像部を備えるネットワークカメラから、ネットワークを介して映像フレームを取得して映像を表示する場合に、ネットワーク帯域の使用量を監視して、ネットワークカメラから送信する映像フレームの送信間隔を制御する監視システム10に適用した例としてある。
【0015】
<本発明のベースとなる環境>
図1は、監視システム10の接続構成例を示す図である。監視システム10は、監視対象物を撮影し、映像フレームを生成するMPEG映像フレーム生成ネットワークカメラ1a〜1nと、取得した映像フレームを解析、保存すると共に、映像を再生可能な監視装置として機能する管理クライアント3と、MPEG映像フレーム生成ネットワークカメラ1a〜1nと管理クライアント3とを接続するネットワーク2とで構成される。MPEG映像フレームには、IフレームとPフレームが含まれる。
【0016】
監視システム10は、1台、もしくは複数台のMPEG映像フレーム生成ネットワークカメラ1a〜1nを管理する。また、監視システム10は、図示しないアナログ監視カメラから取得するアナログ映像データをデジタル映像データ(MPEG映像フレーム)に変換し、ネットワーク2を介して管理クライアント3に供給するMPEG映像フレーム生成ネットワークデバイス4を管理する。
【0017】
MPEG映像フレーム生成ネットワークカメラ1a〜1nと、MPEG映像フレーム生成ネットワークデバイス4(以下、単にカメラ群と称する。)が生成したMPEG規格(MPEG2、MPEG4規格など)に準拠した映像フレームは、ネットワーク2を介して管理クライアント3に送信される。管理クライアント3は、ネットワーク2より映像フレームを取得し、保存する。本例の映像フレームには、Iフレームが含まれる。
【0018】
管理クライアント3は、ネットワーク2の通信状況を解析する通信状況解析部11と、取得した映像フレームを一時的に保存する映像バッファ部12と、映像フレームを記録する映像記録部31と、カメラ群が送信するIフレームの送信間隔を変更する制御を行う送信間隔制御部13と、映像バッファ部12から映像フレームを取得する再生部14と、再生部14から取得した映像フレームに基づいて映像を表示する表示部19と、Iフレームの送信間隔を変更するスケジュールを設定するスケジュール設定部15と、設定したスケジュールを記録するスケジュール記録部32と、を備える。
【0019】
そして、管理クライアント3は、MPEG映像フレーム生成ネットワークカメラ1a〜1nと、MPEG映像フレーム生成ネットワークデバイス4毎に、個別に映像フレームを取得し、保存する。ただし、ネットワーク2の帯域使用量が大きくなった場合や、映像フレームを取得できない場合等のネットワーク環境の変更に応じてIフレームの送信間隔を自動的に変更する。
【0020】
[通信状況解析部]
通信状況解析部11は、カメラ群から取得する映像フレームに含まれるIフレームに基づいて、単位時間当たりのネットワーク2の帯域使用量を計測し、映像フレームの映像欠損率を解析する。映像欠損率は、カメラ群が送信した映像フレームのうち、通信状況解析部11が取得できない映像フレームの比率を示す。その後、映像フレームを映像バッファ部12に送信する。解析結果によって、映像欠損率が第1の閾値を超えた場合は、送信間隔制御部13にIフレームの送信間隔を小さくする変更通知を出力する。また、映像欠損率が第1の閾値を超えた場合であって、かつ、ネットワーク2の帯域使用量(帯域負荷)が第2の閾値を超えていると判断した場合は、送信間隔制御部13に送信間隔を大きくするように、変更通知を出力する。また、ネットワーク2の通信状況を解析した結果、ネットワーク2が連続して切断と接続を繰り返していると判断した場合は、Iフレームの送信間隔を小さくする変更通知を出力する。
ネットワーク2の帯域使用量の増加と、映像欠損率の上昇が重なった場合、映像フレームが欠損する主な要因は、ネットワークの帯域使用量の増大であると考えられる。このため、優先してIフレームの送信間隔を大きくする変更通知を送信間隔制御部13に送る。
【0021】
[映像バッファ部]
監視場所の映像による映像フレームを生成するカメラ群は、撮像した映像データを、可変長又は固定長の映像フレームに分割し、ネットワーク2を介して管理クライアント3に伝送する。映像バッファ部12は、カメラ群から取得した映像フレームを、大容量のハードディスクドライブ等で構成された映像記録部31に保存する。
また、映像バッファ部12は、映像記録部31から読み出した映像フレームを、再生部14に供給する。このとき、映像バッファ部12は、内蔵するRAM等のメモリに所定数の映像フレームを保存した後、再生部14に映像フレームを供給する。
【0022】
[映像記録部]
映像記録部31は、カメラ群から受信した映像フレームを保存するデータベースである。映像記録部31が保存する映像フレームの構成例は以下のとおりである。
・フレーム番号:映像フレームを一意に識別するために必要となる。
・フレームレート:カメラ群が管理クライアント3に送信する映像フレームの送信間隔を示す。フレームレートは、再生部14が映像フレームを取得し、表示する間隔を得るために必要となる。
・フレーム本体:映像フレームの本体である。
[送信間隔制御部]
送信間隔制御部13は、通信状況解析部11又はスケジュール設定部15から変更通知を受けとったときに、ネットワークカメラ/デバイスのIフレームの送信間隔を設定する。
【0023】
[再生部]
再生部14は、映像バッファ部12を介して映像フレームを取得する。そして、再生部14は、取得した映像フレームから表示用フレームセットを作成し、表示部19に送る。
【0024】
[表示部]
表示部19は、再生部14から供給される表示用フレームセットを元にして、映像を表示する。表示部19は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成される。
【0025】
[スケジュール設定部]
スケジュール設定部15は、時間帯によりカメラ群が送信するIフレームの送信間隔を変更するスケジュールを設定する。例えば、店舗における監視を想定した場合、営業時間内は人の動きなどで映像のデータ量が大きくなる。このため、Iフレームの送信間隔を大きくする。一方、夜間は画像欠損を防ぐために、Iフレームの送信間隔を小さくする。このように時間帯によって、異なるIフレームの送信間隔を変更する設定を行う。ただし、スケジュールの値は、通信状況解析部11の閾値を超える値を設定できない。また、スケジュールによる設定内容は、通信状況解析部11による自動制御よりも適用の優先度が低くなる。
【0026】
[スケジュール記録部]
スケジュール記録部32は、スケジュール設定部15が設定したスケジュールを保存する。スケジュール記録部32が持つべき情報例は以下になる。
・スケジュール番号(又はスケジュール名):スケジュール情報を一意に識別するために必要となる。
・開始時間:スケジュールを開始する年月日時分秒が定められる。
・終了時間:スケジュールを終了する年月日時分秒が定められる。
・送信間隔:Iフレームの送信間隔が設定される。
【0027】
次に、各部の処理例について、図2〜図7のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
図2は、通信状況解析部11が行う通信状況解析処理の例を示す。
初めに、通信状況解析部11は、カメラ群から映像フレームを取得する(ステップS1)。そして、取得した映像フレームから、カメラ群が送信した映像フレームに対して、取得できない映像フレームの比率を示す映像欠損率を計算する(ステップS2)。そして、映像欠損率が第1の閾値を超えたか否かを判断する(ステップS3)。
【0029】
映像欠損率が第1の閾値を超えていない場合、通信状況解析処理を終了する。一方、映像欠損率が第1の閾値を超えている場合、ネットワーク2の帯域使用量を計算する(ステップS4)。そして、ネットワーク2の帯域使用量が第1の閾値を超えたか否かを判断する(ステップS5)。
【0030】
ネットワーク2の帯域使用量が第2の閾値を超えていない場合、通信状況解析処理を終了する。一方、ネットワーク2の帯域使用量が第2の閾値を超えている場合、Iフレームの送信間隔を変更する変更通知を作成する(ステップS6)。そして、送信間隔制御部13に変更通知し(ステップS7)、通信状況解析処理の終了要求があるか否かを判断する(ステップS8)。
【0031】
通信状況解析処理の終了要求がない場合、ステップS1に処理を移す。一方、通信状況解析処理の終了要求がある場合、通信状況解析処理を終了する。
【0032】
図3は、映像バッファ部12が行う映像再生処理の例を示す。
初めに、映像バッファ部12は、通信状況解析部11から映像フレームを取得する(ステップS11)。そして、取得した映像フレームの保存が必要か否かを判断する(ステップS12)。
【0033】
取得した映像フレームの保存が必要でない場合、ステップS16に処理を移す。一方、取得した映像フレームの保存が必要である場合、映像記録部31に映像フレームを保存する(ステップS13)。その後、保存した映像フレームを取得する必要があるか否かを判断する(ステップS14)。
【0034】
保存した映像フレームを映像記録部31から取得しない場合、ステップS16に処理を移す。一方、保存した映像フレームを映像記録部31から取得する場合、映像記録部31から映像フレームを取得する(ステップS15)。そして、取得した映像フレームを、映像バッファ部12が備えるメモリ上に格納する(ステップS16)。
【0035】
その後、通信状況解析部11から映像フレームの送信を待つか否かを判断する(ステップS17)。通信状況解析部11から映像フレームの送信を待つ場合、ステップS11の処理に戻って、通信状況解析部11から映像フレームを継続して取得する。通信状況解析部11からの映像フレームの送信を待たない場合、映像再生処理の終了要求があるか否かを判断する(ステップS18)。
【0036】
映像再生処理の終了要求がない場合、ステップS15の処理に戻って、映像記録部31から映像フレームを継続して取得する。一方、映像再生処理の終了要求がある場合、映像再生処理を終了する。
【0037】
図4は、送信間隔制御部13が行う送信間隔制御処理の例を示す。
初めに、送信間隔制御部13は、通信状況解析部11からIフレームの送信間隔の変更通知を受け取る(ステップS31)。そして、Iフレームの送信間隔の変更が必要か否かを判断する(ステップS32)。
【0038】
Iフレームの送信間隔の変更が必要でない場合、送信間隔制御処理を終了する。一方、Iフレームの送信間隔の変更が必要である場合、カメラ群に通知する通知内容を作成する(ステップS33)。作成される通知内容には、変更するIフレームの送信間隔に関する情報が含まれている。
【0039】
そして、作成した通知内容を、ネットワーク2を介してカメラ群に送信し(ステップS34)、送信間隔制御処理の終了要求があるか否かを判断する(ステップS35)。
【0040】
送信間隔制御処理の終了要求がない場合、ステップS31に処理を移す。一方、送信間隔制御処理の終了要求がある場合、送信間隔制御処理を終了する。
【0041】
図5は、スケジュール設定部15が行うスケジュール設定処理の例を示す。
初めに、スケジュール設定部15は、スケジュール記録部32に保存されたスケジュールを読み出すことで、各スケジュールを処理する(ステップS41)。そして、現在時刻がスケジュール内であるか否かを判断する(ステップS42)。
【0042】
スケジュール内でない場合、ステップS41に処理を移す。一方、スケジュール内である場合、Iフレームの送信間隔の変更通知を含む通知内容を作成する(ステップS43)。そして、作成した通知内容を送信間隔制御部13に通知する(ステップS44)。
【0043】
次に、スケジュールの設定変更要求があるか否かを判断する(ステップS45)。スケジュールの設定変更要求がない場合、ステップS41に処理を移す。スケジュールの設定変更要求がある場合、スケジュールの設定を変更する(ステップS46)。
【0044】
その後、スケジュール設定部15は、スケジュール設定処理の終了要求があるか否かを判断する(ステップS47)。終了要求がない場合、ステップS41に処理を移す。一方、終了要求がある場合、スケジュール設定処理を終了する。
【0045】
図6は、再生部14が行う再生処理の例を示す。
初めに、再生部14は、映像バッファ部12から映像フレームを取得する(ステップS51)。そして、再生部14は、表示部19から再生指示があるか否かを判断する(ステップS52)。
【0046】
再生要求がない場合、再生処理を終了する。再生要求がある場合、映像フレームを組み立てた表示用フレームセットを作成する(ステップS53)。その後、再生部14は、再生処理の終了要求があるか否かを判断する(ステップS54)。終了要求がない場合、ステップS51に処理を移す。一方、終了要求がある場合、再生処理を終了する。
【0047】
図7は、表示部19が行う映像の表示処理の例を示す。
初めに、表示部19は、再生部14に、映像の再生指示を通知する(ステップS61)。そして、再生部14から表示用フレームセットを取得する(ステップS62)。そして、表示部19は、映像を表示する処理を行う(ステップS63)。
【0048】
その後、表示部19は、映像の表示処理の終了要求があるか否かを判断する(ステップS64)。終了要求がない場合、ステップS62に処理を移す。一方、終了要求がある場合、映像の表示処理を終了する。
【0049】
次に、各部を組み合わせた処理例について、図8と図9のシーケンス図を参照して説明する。
【0050】
図8は、カメラ群から最適な送信間隔で映像フレームを取得する処理の例を示す。
初めに、通信状況解析部11は、カメラ群から映像フレームを取得する(ステップS101)。そして、取得した映像フレームより、ネットワーク2の通信状況を解析する(ステップS102)。
【0051】
映像バッファ部12は、通信状況解析部11から映像フレームを取得する(ステップS103)。映像バッファ部12は、必要に応じて、映像フレームを映像記録部31に保存する(ステップS104)。そして、映像バッファ部12は、映像記録部31から映像フレームを読み出す(ステップS105)。
【0052】
再生部14は、映像バッファ部12から映像フレームを取得する(ステップS106)。そして、取得した映像フレームから表示用フレームセットを作成する(ステップS107)。表示部19は、再生部14から表示用フレームセットを取得し(ステップS108)、映像を表示する(ステップS109)。
【0053】
送信間隔制御部13は、通信状況解析部11からIフレームの送信間隔の変更通知を取得する(ステップS110)。そして、設定した送信間隔をカメラ群に通知する(ステップS111)。
このようにして、ネットワーク2の通信状況を解析することで、適切な送信間隔でカメラ群にIフレームを送信する指示を行えるようになり、ネットワーク2の帯域使用量の増減に関係なく、映像フレームを取得することができる。
【0054】
図9は、スケジュール毎にIフレームの送信間隔を変更する処理の例を示す。
初めに、スケジュール設定部15は、スケジュール記録部32から、“開始時間”や“終了時間”、“Iフレームの送信間隔”等の内容を含むスケジュール設定情報を取得する(ステップS121)。
【0055】
そして、スケジュール設定部15は、設定されたスケジュール(開始時間)になると、送信間隔制御部13にIフレームの送信間隔の変更を指示する。送信間隔制御部13は、スケジュール設定部15からIフレームの送信間隔の変更通知を受け取る(ステップS122)。
【0056】
そして、送信間隔制御部13は、設定したIフレームの送信間隔をカメラ群に通知する(ステップS123)。
このようにして、予め定めたスケジュールに沿って、送信間隔を変更することが可能となる。
【0057】
以上説明した第1の実施形態例に係る監視システム10では、ネットワーク帯域の使用量に応じて、カメラ群が送信する映像フレームの送信間隔を制御するため、ネットワーク2の帯域使用量の増減にかかわらず、映像フレームを欠損することなく取得できる。このため、連続性を保った状態で映像を表示できるという効果がある。
【0058】
また、Iフレームの送信間隔を変更するスケジュールを所定日時で設定するスケジュール設定部15と、スケジュール設定部15が設定したスケジュールを保存するスケジュール記録部32と、を備えて、任意のスケジュールで送信間隔を変更することを可能としている。このため、ネットワーク帯域の使用量が予め分かっている場合に、時間帯によって送信間隔を変更することができるため、ネットワーク帯域の負荷を分散できると共に、映像フレームの欠損を防ぐことができるという効果がある。
【0059】
また、映像記録部31を備えるため、多くの映像フレームを保存できる。このため、監視者が長時間監視することが困難な時間帯(例えば、夜間監視)において、長時間分の映像フレームを保存し、後にまとめて表示できるという効果がある。
【0060】
また、通信状況解析部11は、映像欠損率が第1の閾値を超えた場合、Iフレームの送信間隔を小さくするよう、送信間隔制御部13に変更通知を行う。この変更通知によって、通信状況解析部11は、単位時間当りに取得するIフレームの数が増えるため、実質的に映像欠損率を低くすることができるという効果がある。
【0061】
また、通信状況解析部11は、映像欠損率が第1の閾値を超えた場合であって、かつ、ネットワーク2の帯域使用量が第2の閾値より高いと判断した場合は、Iフレームの送信間隔を大きくするよう、送信間隔制御部13に変更通知を行う。この変更通知によって、ネットワーク2の帯域使用量を減少させるため、ネットワーク2の帯域負荷を下げることができるという効果がある。
【0062】
また、通信状況解析部11は、ネットワーク2が連続して切断と接続を繰り返していると判断した場合は、映像フレームの送信間隔を小さくするよう、送信間隔制御部13に変更通知を行う。この変更通知によって、ネットワーク2の通信状況が不安定になって、映像フレームの欠損が起きやすくなったとしても、通信状況解析部11が取得する映像フレームが増加するため、映像フレームの欠損間隔を小さくすることができ、映像フレームの連続性を保つことができるという効果がある。
【0063】
次に、本発明の第2の実施形態例について、図10を参照して説明する。本実施の形態例においても、撮像対象物を撮像した映像から映像フレームを生成する撮像部を備えるカメラから、ネットワークを介して映像フレームを取得して映像を表示する場合に、ネットワークの帯域を監視して、ネットワークの帯域使用量を制御する監視システム40に適用した例としてある。なお、図10において、既に第1の実施の形態で説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0064】
図10は、監視システム40の内部構成例を示すブロック図である。
監視システム40は、サーバ機能とクライアント機能を分割した管理サーバ5と閲覧用クライアント6で構成されたいわゆるクライアント/サーバシステムとしている。
管理サーバ5は、MPEG映像フレーム生成ネットワークカメラ1a〜1nから映像フレームを取得し、保存する。閲覧クライアント6は、管理サーバ5を介して映像フレームを取得し、所定の処理を施して映像表示を行う。管理サーバ5と閲覧クライアント6は、組み合わせることで監視装置として機能する。
【0065】
管理サーバ5は、通信状況解析部11と、映像バッファ部12と、送信間隔制御部13と、スケジュール設定部15と、スケジュール記録部32と、を備えている。
閲覧クライアント6は、再生部14と、表示部19と、を備えている。各部の処理は、既に説明した第1の実施の形態に係る監視システム10で行われる処理と同様である。
【0066】
監視システム40においても、閲覧クライアント6は管理サーバ5から映像フレームを個別に取得できる。そして、管理サーバ5で取得した映像フレームを解析することで、ネットワーク2の帯域使用量を見積もることができる。そして、ネットワーク帯域の使用量に応じて、カメラ群が送信する映像フレームの送信間隔を制御するため、ネットワーク2の帯域使用量の増減にかかわらず、映像フレームを欠損することなく取得することができる。
【0067】
以上説明した第2の実施の形態に係る監視システム40の内部構成は、映像フレームを保存する管理サーバ5と、読み出した映像フレームに同期させて表示可能な閲覧クライアント6に分けている。そして、監視システム40を構成する管理サーバ5と閲覧クライアント6は、分散配置することが可能である。また、閲覧クライアント6は、管理サーバ5から離して設置することができる。このため、閲覧クライアント6は、大容量の記録部を備える必要がなく、例えばノート型の軽量なコンピュータ装置で機能を実現できるという効果がある。また、監視システム40の機能分散を図ることができるため、障害対応の強化を図ることができるという効果がある。
【0068】
次に、本発明の第3の実施形態例について、図11を参照して説明する。本実施の形態例においても、撮像対象物を撮像した映像から映像フレームを生成する撮像部を備えるカメラから、ネットワークを介して映像フレームを取得して映像を表示する場合に、ネットワークの帯域を監視して、ネットワークの帯域使用量を制御する監視システム50に適用した例としてある。なお、図11において、既に第1の実施の形態で説明した図1に対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0069】
図11は、監視システム50の内部構成例を示すブロック図である。
監視システム50は、カメラ群と、サーバ機能とクライアント機能を分割した管理クライアント7と閲覧用クライアント8で構成している。管理クライアント7と閲覧クライアント8は、組み合わせることで監視装置として機能する。
管理クライアント7は、カメラ群から取得した映像フレームを保存し、所定の処理を施して映像表示を行う。
閲覧クライアント8は、管理クライアント7を介して映像フレームを取得し、所定の処理を施して映像表示を行う。
【0070】
管理クライアント7は、通信状況解析部11と、映像バッファ部12と、送信間隔制御部13と、再生部14と、スケジュール設定部15と、表示部19と、映像記録部31と、スケジュール記録部32と、を備えている。
閲覧クライアント8は、再生部14と、表示部19と、を備えている。各部の処理は、既に説明した第1の実施の形態に係る監視システム10で行われる処理と同様である。
【0071】
以上説明した第3の実施の形態に係る監視システム50の内部構成は、映像フレームを保存し、読み出した映像フレームに所定の処理を施して、映像を表示可能な管理クライアント7と、管理クライアント7から取得した映像フレームに所定の処理を施して、映像を表示可能な閲覧クライアント8に分けている。このように、監視システム50を構成する管理クライアント7と閲覧クライアント8は、分散配置することが可能である。このため、閲覧クライアント8は、大容量の記録部を備える必要がなく、例えばノート型の軽量なコンピュータ装置で機能を実現できるという効果がある。また、監視システム50の機能分散を図ることができるため、障害対応の強化を図ることができるという効果がある。
【0072】
以上説明した第1〜第3の実施の形態に係る監視システムでは、様々なネットワークを介してデータを取得する場合に、ネットワーク帯域の使用量の増減にかかわらず、カメラ群が送信する映像フレームを任意の送信間隔で取得することが可能である。例えば、専用回線に比べて安く利用できる公共回線等は、ネットワーク帯域の使用量の変動が大きい。しかし、このような公共回線を用いたとしても、ネットワーク帯域の使用量の増減に応じて映像フレームの送信間隔を自動的に求めることができる。また、ネットワーク2の環境に応じた帯域使用量を自動的に変更できる。このため、従来の監視システムでは、ネットワーク帯域を必要以上に占有していたが、ネットワーク2の帯域使用量の増減に応じてカメラ群が送信する映像フレームの送信間隔を変更することにより、他のデータを用いて行う通信におけるネットワーク2に対する負担を減少できるという効果がある。
【0073】
また、店舗等において、営業時間内外など、予め通信負荷の変化が顕著な環境では、送信間隔を変更するスケジュールを作成しておけば、時間ごとに最適な通信を維持することができるという効果がある。また、ネットワーク2に予期しない通信負荷がかかった場合であっても、自動的に映像フレームの送信間隔を変更できるため、カメラ群とサーバ間との常時接続性を維持できるという効果がある。
【0074】
なお、上述した第1〜第3の実施の形態では、Iフレームについて送信間隔を制御するようにしたが、他のフレームであってもよい。例えば、PフレームやBフレームであってもよい。また、他の規格に準拠した画像データを伝送する場合に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施の形態における監視システムの内部構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における通信状況解析部の通信状況解析処理の例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態における映像バッファ部の映像再生処理の例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における送信間隔制御部の送信間隔制御処理の例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態におけるスケジュール設定部のスケジュール設定処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態における再生部が行う再生処理の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態における表示部が行う映像の表示処理の例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるカメラ群から最適な送信間隔で映像フレームを取得する処理の例を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるスケジュール毎にIフレームの送信間隔を変更する処理の例を示すシーケンス図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における監視システムの内部構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態における監視システムの内部構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0076】
1a〜1n…MPEG映像フレーム生成カメラ、2…ネットワーク、3…管理サーバ、4…MPEG映像フレーム生成ネットワークデバイス、10…監視システム、11…通信状況解析部、12…映像バッファ部、13…送信間隔制御部、14…再生部、15…スケジュール設定部、19…表示部、31…映像記録部、32…スケジュール記録部、40,50…監視システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラで撮像した監視映像による監視を行う監視装置において、
監視場所の映像による映像フレームを生成する前記監視カメラから、ネットワークを介して取得した前記映像フレームに含まれるIフレームに基づいて、前記ネットワークの通信状況を解析して、前記監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を変更する変更通知を出力する通信状況解析部と、
前記通信状況解析部を介して前記映像フレームを取得する映像バッファ部と、
前記映像バッファ部より取得した前記映像フレームを組み立てた表示用フレームセットを、映像を表示する表示部に出力する再生部と、
前記変更通知に基づいて、前記監視カメラが送信する前記Iフレームの送信間隔を変更する制御を行う送信間隔制御部と、を備えたことを特徴とする
監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の監視装置において、
前記Iフレームの送信間隔を変更するスケジュールを所定日時で設定し、前記スケジュールで、前記送信間隔制御部に前記変更通知を出力するスケジュール設定部と、
前記スケジュール設定部が設定した前記スケジュールを保存するスケジュール記録部と、を備えたことを特徴とする
監視装置。
【請求項3】
請求項2記載の監視装置において、
前記映像バッファ部によって前記映像フレームが保存され、保存された前記映像フレームが前記映像バッファ部によって読み出される映像記録部を備えたことを特徴とする
監視装置。
【請求項4】
請求項3記載の監視装置において、
前記通信状況解析部は、前記監視カメラが送信したIフレームに対して、取得できない前記Iフレームの比率を示す映像欠損率が第1の閾値を超えた場合、前記Iフレームの送信間隔を小さくすることを特徴とする
監視装置。
【請求項5】
請求項3記載の監視装置において、
前記通信状況解析部は、前記監視カメラが送信したIフレームに対して、取得できない前記Iフレームの比率を示す映像欠損率が第1の閾値を超えた場合であって、かつ、前記ネットワークの帯域使用量が第2の閾値より高いと判断した場合は、前記Iフレームの送信間隔を大きくすることを特徴とする
監視装置。
【請求項6】
請求項3記載の監視装置において、
前記通信状況解析部は、前記ネットワークが連続して切断と接続を繰り返していると判断した場合は、前記Iフレームの送信間隔を小さくすることを特徴とする
監視装置。
【請求項7】
監視カメラで撮像した監視映像による監視を行う監視方法において、
監視場所の映像による映像フレームを生成する前記監視カメラから、ネットワークを介して取得した前記映像フレームに含まれるIフレームに基づいて、前記ネットワークの通信状況を解析して、前記監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を変更する変更通知を出力し、
前記映像フレームを取得し、
取得した前記映像フレームを組み立てた表示用フレームセットを、映像を表示する表示部に出力し、
前記変更通知に基づいて、前記監視カメラが送信する前記Iフレームの送信間隔を変更する制御を行うことを特徴とする
監視方法。
【請求項8】
監視映像による監視を行う監視システムにおいて、
監視場所の映像による映像フレームを生成する監視カメラと、
前記監視カメラからネットワークを介して取得した前記映像フレームに含まれるIフレームに基づいて、前記ネットワークの通信状況を解析して、前記監視カメラが送信するIフレームの送信間隔を変更する変更通知を出力する通信状況解析部と、
前記通信状況解析部を介して前記映像フレームを取得する映像バッファ部と、
前記映像バッファ部より取得した前記映像フレームを組み立てた表示用フレームセットを、映像を表示する表示部に出力する再生部と、
前記変更通知に基づいて、前記監視カメラが送信する前記Iフレームの送信間隔を変更する制御を行う送信間隔制御部と、を備えたことを特徴とする
監視システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−49577(P2009−49577A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211935(P2007−211935)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】