説明

監視装置

【課題】小型かつ軽量で可搬性に優れ、容易に監視場所を変更することができる耐圧防爆型の監視装置を提供する。
【解決手段】耐圧防爆構造を有する耐圧防爆筐体18と、耐圧防爆筐体18内に内蔵され、監視対象設備における音響を検出するためのマイクロフォン20と、耐圧防爆筐体18内に内蔵され、監視対象設備における画像を撮像するためのカメラ22と、耐圧防爆筐体18内に内蔵され、マイクロフォン20からの音響データ及びカメラ22からの画像データを処理し、マイクロフォン20及びカメラ22を制御するための情報処理機24と、情報処理機24により処理された音響データ及び前画像データを送信し、マイクロフォン20及びカメラ22の制御信号を受信するための無線機26と、耐圧防爆筐体18内に内蔵され、無線機26に接続されたアンテナ28とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントや工場等の監視対象設備を監視するための監視装置に係り、特に、危険場所を監視するための耐圧防爆型の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントや工場等の設備が正常に稼動しているか否かを常時監視する異常監視システムには、監視対象設備内に設置した遠隔操作可能な工業用カメラが広く用いられている。また、監視対象設備における画像を撮像するカメラのほかに、監視対象設備における音響を検出するマイクロフォンを備えた監視装置も知られている(例えば特許文献1を参照)。このような異常監視システムにおける監視装置と本局との間での信号の送受信には、無線伝送が広く用いられている。
【0003】
このような異常監視システムを消防法上の危険場所に設置するためには、爆発事故を未然に防止するために、危険場所に設置する機器を耐圧防爆構造とする必要がある。ここで、危険場所とは、可燃性ガスや可燃性の液体の蒸気が存在する虞のある場所であり、例えば石油プラントの防爆エリアが該当する。また、耐圧防爆構造とは、全閉構造の容器内部で可燃ガスの爆発が起こった場合に、容器がその圧力に耐えて、外部の爆発性ガスに引火する虞のない構造のことである。
【0004】
危険場所に設置することが可能な耐圧防爆構造を有する機器として認定されるためには、所定の認定試験を受けて合格することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−196825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の異常監視システムにおいては、危険場所に設置されるカメラ、マイクロフォン、無線機等の機器をそれぞれ防爆構造とする必要があり、これらの機器を備える監視装置の大型化及び大重量化を回避することが困難であった。このため、従来の監視装置は、可搬性に劣り、監視対象設備における監視場所の変更が容易ではなかった。
【0007】
本発明の目的は、小型かつ軽量で可搬性に優れ、容易に監視場所を変更することができる耐圧防爆型の監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、耐圧防爆構造を有する筐体と、前記筐体内に内蔵され、監視対象設備における音響を検出するためのマイクロフォンと、前記筐体内に内蔵され、前記監視対象設備における画像を撮像するためのカメラと、前記筐体内に内蔵され、前記マイクロフォンからの音響データ及び前記カメラからの画像データを処理し、前記マイクロフォン及び前記カメラを制御するための情報処理機と、前記情報処理機により処理された前記音響データ及び前記画像データを送信し、前記マイクロフォン及び前記カメラの制御信号を受信するための無線機と、前記筐体内に内蔵され、前記無線機に接続されたアンテナとを有することを特徴とする監視装置によって達成される。
【0009】
上述した監視装置において、前記筐体は、通気性を有する通気性構造材により構成された音響検出窓を有し、前記マイクロフォンは、前記音響検出窓を通して前記監視対象設備における音響を検出するようにしてもよい。
【0010】
上述した監視装置において、前記通気性構造材は、金属多孔体よりなるようにしてもよい。
【0011】
上述した監視装置において、前記通気性構造材の前面又は後面に設けられ、前記音響検出窓に防水性を付与するためのメッシュ又は前記音響検出窓に防塵性及び防水性を付与するため薄板を更に有するようにしてもよい。
【0012】
上述した監視装置において、前記筐体は、電波透過性を有する電波送受信窓を有し、前記アンテナは、前記電波送受信窓を通して電波を送受信するようにしてもよい。
【0013】
上述した監視装置において、前記筐体内に設けられ、前記電波送受信窓を通して前記筐体内に入射する電波を反射し、前記アンテナから放射される電波を反射する電波反射板を更に有するようにしてもよい。
【0014】
上述した監視装置において、前記アンテナは、ポール型アンテナであり、前記電波反射板は、部分円筒形状を有し、前記アンテナに沿って前記アンテナを取り囲むように、その開放側を前記電波送受信窓側に向けて設けられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐圧防爆構造を有する筐体内に、監視対象設備における音響を検出するためのマイクロフォンと、監視対象設備における画像を撮像するためのカメラと、マイクロフォンからの音響データ及びカメラからの画像データを処理し、マイクロフォン及び前記カメラを制御するための情報処理機と、情報処理機により処理された音響データ及び画像データを送信し、マイクロフォン及びカメラの制御信号を受信するための無線機と、無線機に接続されたアンテナとを内蔵するので、小型かつ軽量で可搬性に優れ、容易に監視場所を変更することができる耐圧防爆型の監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による異常監視システムの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態による監視装置の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第1実施形態による監視装置の耐圧防爆筐体を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態による監視装置の具体的構造を示す概略図である。
【図5】本発明の第1実施形態による監視装置の音響検出窓及び画像撮像窓の具体的構造を示す概略図である。
【図6】本発明の第1実施形態による監視装置のアンテナ部の具体的構造を示す概略図である。
【図7】本発明の第1実施形態による監視装置のアンテナ部における電波の反射を示す概略図である。
【図8】本発明の第1実施形態による監視装置のマイクロフォンにより検出された音響データの周波数スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態による監視装置の構成を示す概略図である。
【図10】本発明の第2実施形態による監視装置の具体的構造を示す概略図である。
【図11】多孔質板状構造材の前面に防滴用部材又は防水用部材を設けた監視装置のマイクロフォンにより周波数1000Hzの音を検出した結果得られた周波数スペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の第3実施形態による監視装置の構成を示す概略図である。
【図13】本発明の第3実施形態による監視装置の具体的構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による監視装置及びこれを用いた異常監視システムについて図1乃至図8を用いて説明する。図1は本実施形態による異常監視システムの構成を示す概略図、図2は本実施形態による監視装置の構成を示す概略図、図3は本実施形態による監視装置の耐圧防爆筐体を示す斜視図、図4は本実施形態による監視装置の具体的構造を示す概略図、図5は本実施形態による監視装置の音響検出窓及び画像撮像窓の具体的構造を示す概略図、図6は本実施形態による監視装置のアンテナ部の具体的構造を示す概略図、図7は本実施形態による監視装置のアンテナ部における電波の反射を示す概略図、図8は本実施形態による監視装置のマイクロフォンにより検出された音響データの周波数スペクトルを示すグラフである。
【0018】
まず、本実施形態による異常監視システムについて図1を用いて説明する。本実施形態による異常監視システムは、製油所等の監視対象設備における装置、配管等の漏洩や回転機の不具合などを監視して異常を報知するものである。
【0019】
図1に示すように、製油所等の監視対象設備の防爆エリア内には、監視対象設備内を監視するための監視装置10と、無線本局12と、無線中継器14とが設置されている。また、計測室等の非防爆エリアには、監視装置10により収集される監視用データである音響データ及び画像データの管理及び処理を行い、また、監視装置10の制御を行うための監視処理装置16が設置されている。監視処理装置16には、無線本局12がケーブルを介して接続されている。
【0020】
監視装置10により収集された監視用データは、無線中継器14を介して無線本局12に無線伝送され、監視処理装置16に伝送されるようになっている。また、監視処理装置16から出力される監視装置10の制御信号は、無線本局12から送信され、無線中継器14を介して監視装置10に無線伝送されるようになっている。
【0021】
次に、図1に示す異常監視システムに用いられる本実施形態による監視装置10について図2乃至図7を用いて説明する。
【0022】
本実施形態による監視装置10は、耐圧防爆型のものであり、図2に示すように、耐圧防爆筐体18と、監視対象設備における音響を検出するためのマイクロフォン20と、監視対象設備における画像を撮像するためのカメラ22と、マイクロフォン20からの音響データ及びカメラ22からの画像データに対する処理やマイクロフォン20及びカメラ22の制御を行うための情報処理機24と、情報処理機24からの音響データ及び画像データの送信やマイクロフォン20及びカメラ22の制御信号の受信のための無線機26と、無線機26のアンテナであるポール型アンテナ28と、ポール型アンテナ28に対して設けられた電波反射板30とを有している。マイクロフォン20、カメラ22、情報処理機24、無線機26、ポール型アンテナ28、及び電波反射板30は、すべて耐圧防爆筐体18内に内蔵されている。
【0023】
耐圧防爆筐体18は、耐圧防爆仕様を満足する、例えばアルミ合金材等の金属材により構成された耐圧防爆構造の筐体であり、筐体内で爆発性ガスが爆発して筐体内の圧力が上 昇しても破損することがないようになっている。耐圧防爆筐体18には、図3に示すように、マイクロフォン20等の機器が収納される上面が開口した本体部18aと、本体部18aにネジ止め等により固定され本体部18aの上面開口を閉塞する上蓋部18bとから構成されている。本体部18aの正面壁部18cには音響検出窓32及び画像撮像窓34が設けられ、上蓋部18bには電波送受信窓36が設けられている。
【0024】
図4は、本実施形態による監視装置10の具体的構造を示している。図4(a)は監視装置10の正面図、図4(b)は監視装置10の側面断面図を示している。なお、図4では、カメラ22を、図1に示す情報処理機24として機能する回路部(図示せず)を含む市販のネットワークカメラにより構成した場合を示している。
【0025】
図4に示すように、耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20及びカメラ22は、耐圧防爆筐体18の正面壁部18cに対向するように配置されている。耐圧防爆筐体18のマイクロフォン20前方の正面壁部18cには、監視対象設備における音響をマイクロフォン20により検出するための音響検出窓32が設けられている。また、耐圧防爆筐体18のカメラ22前方の正面壁部18cには、監視対象設備における画像をカメラ22により撮像するための画像撮像窓34が設けられている。
【0026】
音響検出窓32は、耐圧防爆筐体18の正面壁部18cの開口部38に取り付けられた多孔質板状構造材40により構成されている。多孔質板状構造材40は、例えば、骨格が海綿のように三次元網目構造を有し、内部に連通した多数の空孔が形成されている金属多孔体よりなるものである。金属多孔体は、例えば、ニッケル、ニッケル−クロム合金、ステンレス、コバルト合金、チタン合金等で形成されている。また、金属多孔体は、気孔率が例えば88〜98%、三次元網目構造の骨格により区画されるセル数が例えば10〜50個/インチであり、十分な機械的強度を有するのみならず、十分な通気性を有している。このような金属多孔体よりなる多孔質板状部材40を用いて構成された音響検出窓32は、耐圧防爆仕様を満足するとともに、監視対象設備における音響が耐圧防爆筐体18内部に伝搬することができるようになっている。こうして、本実施形態による監視装置10では、防爆性能を損なうことなく、音響検出窓32を通して、監視対象設備における音響をマイクロフォン20により検出することができるようになっている。
【0027】
このように、本実施形態による監視装置10は、金属多孔体よりなる多孔質板状構造材40を用いて構成された音響検出窓32を有することに主たる特徴の一つがある。
【0028】
耐圧防爆筐体18は、耐圧防爆仕様を満足するべく厚い金属材により構成されている。仮に、耐圧防爆筐体18に開口部が設けられていないとすると、音響は空気の振動により伝搬するため、耐圧防爆筐体18内部まで音響が伝搬することができない。この結果、耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20では、監視対象設備における音響を検出することができない。他方、仮に、耐圧防爆筐体18に単に開口部だけを設けたのでは、耐圧防爆筐体18が耐圧防爆仕様を満足することができなくなってしまう。
【0029】
この点、本実施形態による監視装置10では、金属多孔体よりなる多孔質板状構造材40を用いて構成された音響検出窓32が耐圧防爆筐体18に設けられている。このため、防爆性能を損なうことなく、音響検出窓32を通して、監視対象設備における音響をマイクロフォン20により検出することができる。
【0030】
画像撮像窓34は、耐圧防爆筐体18の正面壁部18cの開口部42に取り付けられた可視光を透過する耐圧ガラス板44により構成されている。耐圧ガラス板44により構成された画像撮像窓34は、可視光透過性を有するとともに、耐圧防爆仕様を満足するものとなっている。こうして、本実施形態による監視装置10では、防爆性能を損なうことなく、画像撮像窓34を通して、監視対象設備における画像をカメラ22により撮像することができるようになっている。
【0031】
図5は、音響検出窓32及び画像撮像窓34の具体的な構造の一例を示している。図5(a)は監視装置10の正面図、図5(b)は監視装置10の側面断面図を示している。
【0032】
図5に示すように、音響検出窓32は、耐圧防爆筐体18の外側から、固定治具46により多孔質板状構造材40が正面壁部18cに固定されて構成されている。正面壁部18cの開口部38は、固定治具46により固定された多孔質板状構造材40により塞がれて いる。
【0033】
また、画像撮像窓34は、耐圧防爆筐体18の外側から、固定治具48により耐圧ガラス板44が正面壁部18cに固定されて構成されている。正面壁部18cの開口部42は、固定治具48により固定された耐圧ガラス板44により塞がれている。
【0034】
こうして、耐圧防爆筐体18には、その防爆性能を損なうことなく、内蔵されたマイクロフォン20及びカメラ22に対して音響検出窓32及び画像撮像窓34がそれぞれ設けられている。
【0035】
情報処理機24は、監視処理装置16から無線伝送される制御信号に基づき、マイクロフォン20による音響の検出及びカメラ22による画像の撮像を制御する。また、情報処理機24は、マイクロフォン20により検出された音響データ及びカメラ22により撮像された画像データに対して、圧縮処理、プロトコル処理等の各種処理を行う。情報処理機24は、例えばLANケーブルを介して無線機26に接続されている。
【0036】
なお、カメラ22を市販のネットワークカメラにより構成した場合(図4参照)、ネットワークカメラには、情報処理機24として機能する回路部(図示せず)が含まれている。カメラ22を構成するネットワークカメラには、マイクロフォン20が接続される。また、カメラ22を構成するネットワークカメラとして、マイクロフォン20を内蔵するタイプのものを用いてもよい。
【0037】
無線機26は、監視処理装置16から無線伝送される監視装置10の制御信号を受信して情報処理機24へ伝達し、また、情報処理機24により各種処理が行われた音響データ及び画像データを監視処理装置16へ送信するためのものである。無線機26には、ケーブルを介してポール型アンテナ28が接続されている。無線機26は、ポール型アンテナ28を介して音響データ及び画像データの送信や制御信号の受信を行う。
【0038】
なお、耐圧防爆筐体18内には、図4に示すように、無線機26や、ネットワークカメラにより構成されたカメラ22等の耐圧防爆筐体18内の機器に電源を供給するための電源ユニット27が内蔵されている。
【0039】
ポール型アンテナ28としては、例えばペンシルアンテナが用いられており、その利得は例えば2dBである。耐圧防爆筐体10内のポール型アンテナ28は、耐圧防爆筐体18の上蓋部18b近傍に配置されている。耐圧防爆筐体18の上蓋部18bには、近傍に配置されたポール型アンテナ28に沿って、ポール型アンテナ28による電波の送受信のための電波送受信窓36が設けられている。
【0040】
ポール型アンテナ28は、例えば、監視装置10の前後方向に沿って並行に2本配置されており、それぞれに対して電波送受信窓36が設けられている。この場合、耐圧防爆筐体18の上蓋部18bは、電波送受信窓36が設けられた部分が、監視装置10の側方に下降傾斜している(図3及び図4を参照)。これにより、耐圧防爆筐体10内のポール型アンテナ28が、広い角度範囲で電波を送受信することができるようになっている。
【0041】
電波送受信窓36は、耐圧防爆筐体18の上蓋部18bの開口部50に取り付けられた電波を透過する耐圧ガラス板52により構成されている。耐圧ガラス板52により構成された電波送受信窓36は、電波透過性を有するとともに、耐圧防爆仕様を満足するものとなっている。こうして、本実施形態による監視装置10では、防爆性能を損なうことなく、電波送受信窓36を通して、マイクロフォン20からの音響データ及びカメラ22からの画像データをポール型アンテナ28から監視処理装置16へ送信し、監視処理装置16から無線伝送される制御信号をポール型アンテナ28により受信することができるようになっている。
【0042】
耐圧防爆筐体18内には、ポール型アンテナ28に対して、電波を反射する金属製の電波反射板30が設けられている。図6(a)はポール型アンテナ28及び電波反射板30を示す断面図、図6(b)はポール型アンテナ28及び電波反射板30を示す斜視図である。
【0043】
図6に示すように、ポール型アンテナ28の周囲には、ポール型アンテナ28に沿ってポール型アンテナ28を取り囲むように、部分円筒形状を有する金属製の電波反射板30が設けられている。電波反射板30は、その開放側を電波送受信窓36側に向けた状態で 、電波送受信窓36を含む上蓋部18bの内側部分に取り付けられている。電波反射板30の部分円筒形状の半径は、監視装置10と監視処理装置16との間の無線伝送に用いられる電波の1/4波長程度が望ましく、具体的には、ポール型アンテナ28と電波反射板30の距離は無線伝送に用いられる電波の1/6〜1/3波長であり、望ましくは1/6〜1/4波長である。
【0044】
このように、本実施形態による監視装置10は、耐圧防爆筐体18内に内蔵されたポール型アンテナ28に対して、部分円筒形状の電波反射板30が設けられていることにも主たる特徴の一つがある。
【0045】
ポール型アンテナ28は、平面アンテナと比較して小型であるため、耐圧防爆筐体18の大型化を招くことなく耐圧防爆筐体18内に内蔵することができる。しかしながら、耐圧防爆筐体18内に内蔵されたポール型アンテナ28では、そのままでは高い効率での電波の送受信が困難である。
【0046】
この点、本実施形態による監視装置10では、耐圧防爆筐体18内に内蔵されたポール型アンテナ28に対して、部分円筒形状の電波反射板30が設けられている。
【0047】
電波送受信窓36を通して耐圧防爆筐体18内へ入射する電波のうちポール型アンテナ28により直接受信されなかった電波は、電波反射板30によりポール型アンテナ28に向かう方向に反射され、ポール型アンテナ28により受信される。こうして、電波送受信窓36を通して耐圧防爆筐体18内へ入射する電波を、ポール型アンテナ28により高い効率で受信することができる。
【0048】
また、ポール型アンテナ28から放射される電波のうち電波送受信窓36に向かう方向以外の方向に放射された電波は、図7に示すように、電波反射板30により電波送受信窓36に向かう方向に反射される。こうして、電波送受信窓36を通して耐圧防爆筐体18外へ、ポール型アンテナ28から高い効率で電波を送信することができる。
【0049】
このように本実施形態による監視装置10では、ポール型アンテナ28に対して電波反射板30が設けられているため、高い効率での電波の送受信が可能であり、また、広い指向性での電波の送受信が可能となっている。しかも、電波反射板30の部分円筒形状の半径が電波の1/4波長よりも小さく設定されているため、更に広い指向性での電波の送受信が可能となっている。
【0050】
また、電波反射板30は、パラボラアンテナのように放物面状の反射面を有するものではなく、工学的に加工が容易な部分円筒形状を有している。このため、電波反射板30として、使用するポール型アンテナ28の特性に応じて適切な反射面を有するものを容易に用意することができる。
【0051】
上述のように、本実施形態による監視装置10は、マイクロフォン20、カメラ22、情報処理機24、無線機26、ポール型アンテナ28、及び電波反射板30のすべてを耐圧防爆筐体18内に内蔵していることに主たる特徴がある。
【0052】
本実施形態による監視装置10は、マイクロフォン20等の機器のすべてを単一の耐圧防爆筐体18内に内蔵しているため、従来の耐圧防爆構造の監視装置と比較して小型かつ軽量なものとなっている。このため、本実施形態による監視装置10は、可搬性に優れ、手での持ち運びが可能であり、容易に設置場所を変更することができる。また、例えば監視対象設備における2階等の従来では設置が困難であった場所にも容易に設置することができる。
【0053】
加えて、本実施形態による監視装置10は、このように単一の耐圧防爆筐体18を用いた簡便な構造で耐圧防爆構造を実現しているため、安価に構成することができる。
【0054】
また、これまで、監視対象設備における異常は、監視対象設備内を巡回監視する現場巡回員の視覚及び聴覚により検知される場合が多かった。しかしながら、監視対象設備内を現場巡回員が常時巡回して監視することは実際上困難である。
【0055】
これに対して、本実施形態による監視装置10は、音響検出窓32を通してマイクロフォン20により検出される音響データ、及び画像撮像窓32を通してカメラ22により撮像される画像データの双方を用いて監視対象設備を常時監視することができる。したがって、本実施形態による監視装置10は、監視対象設備における異常を確実に検知することができる。
【0056】
さらに、本実施形態による監視装置10は、監視場所から離れた計測室等の非防爆エリアに設置された監視処理装置16から無線伝送される制御信号により制御され、収集した監視用データを監視処理装置16へ無線伝送する。したがって、本実施形態による監視装置10に対して制御信号を伝送するためのケーブルや監視装置10から監視処理装置16へ監視用データを伝送するためのケーブルが不要である。このため、本実施形態による監視装置10は、設置場所を容易に変更することができる。
【0057】
次に、本実施形態による異常監視システムを用いた監視対象設備の異常監視方法について図1乃至図8を用いて説明する。
【0058】
計器室等の非防爆エリアに設置された監視処理装置16は、監視装置10の制御信号を、無線本局12及び無線中継器14を介して監視装置10に無線伝送する。制御信号には、監視装置10のマイクロフォン20及びカメラ22の設定信号、カメラ22を水平方向及び垂直方向に駆動するための制御信号、監視装置10の監視モデル情報等が含まれている。
【0059】
監視処理装置16から無線伝送された制御信号は、監視対象設備の防爆エリア内に設置された監視装置10において、無線機26によりポール型アンテナ28を介して受信される。無線機26により受信された制御信号は、情報処理機24に伝送される。
【0060】
情報処理機24は、無線機26から伝送される制御信号の情報に基づき、マイクロフォン20による音響の検出、及カメラ22による画像の撮像を制御する。こうして、監視対象設備における音響をマイクロフォン20により検出し、画像をカメラ22により撮像することにより、監視対象設備の常時監視を行う。
【0061】
監視対象設備の監視にあたっては、特定の場所に継続的に監視装置10を設置するほか、必要に応じて、監視装置10を設置する場所を定期又は不定期に変更してもよい。また、例えば、監視対象設備内の状況に応じて、特に監視の必要性が高いと考えられる場所に監視装置10を設置する。上述のように、監視装置10は小型かつ軽量で可搬性に優れており、また、監視装置10と監視処理装置16との間には監視用データや制御信号を伝送するためのケーブルが不要である。このため、本実施形態による異常監視システムにおいては、監視装置10を設置する場所を必要に応じて容易に変更することができる。
【0062】
監視装置10のマイクロフォン20により検出された音響データ及びカメラ22により撮像された画像データは、情報処理機24により圧縮処理、プロトコル処理等の各種処理が行われた後、無線機26によりポール型アンテナ28を介して送信される。
【0063】
こうして監視装置10から送信された音響データ及び画像データは、無線中継器14を介して無線本局12に無線伝送される。
【0064】
無線本局12に伝送された音響データ及び画像データは、ケーブルを介して監視処理装置16に伝送される。
【0065】
監視処理装置16では、監視装置10により収集された音響データ及び画像データの管理及び処理が行われる。すなわち、監視処理装置16は、監視装置10により収集された画像データを、予め保存しておいた比較画像と比較して画像中の変化を検知することにより、監視対象設備の異常監視を行う。また、監視処理装置16は、監視装置10により収集された音響データから周波数スペクトルを算出し、ニューラルネットワークモデルにより監視対象設備の異常発生を検知する。
【0066】
図8は、本実施形態による監視装置10により検出された音響データの周波数スペクトルを示している。グラフ中、実線のスペクトルは、正常音の周波数スペクトルを示している。また、破線のスペクトルは、監視対象設備における異常音の一つであるガス漏洩音の周波数スペクトルである。
【0067】
これら図8に示すスペクトルから明らかなように、本実施形態による監視装置10によれば、耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20により、ガス漏洩音を正常音から識別して検知することができることが分かる。
【0068】
監視処理装置16は、監視装置10に収集された音響データ及び画像データに基づき異常を検知すると、異常の発生を示す表示や接点信号によるアラーム等によりオペレータに対して異常を報知する。
【0069】
このように、本実施形態によれば、耐圧防爆筐体18内にマイクロフォン20等の機器が内蔵され、監視装置10が小型かつ軽量で可搬性に優れており、また、監視装置10に対して制御信号を伝送するためのケーブルや監視装置10から監視処理装置16へ監視用データを伝送するためのケーブルが不要であるため、監視装置10を設置する場所を容易に変更することができる。
【0070】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による監視装置について図9乃至図11を用いて説明する。図9は本実施形態による監視装置の構成を示す概略図、図10は本実施形態による監視装置の具体的構造を示す概略図、図11は多孔質板状構造材の前面に防滴用部材又は防水用部材を設けた監視装置のマイクロフォンにより周波数1000Hzの音を検出した結果得られた周波数スペクトルを示すグラフである。なお、第1実施形態による監視装置及びこれを用いた異常監視システムと同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0071】
本実施形態による監視装置54は、第1実施形態による監視装置10において、音響検出窓32に防滴性を付与するための防滴用部材又は防水性を付与するための防水用部材としてメッシュ56を更に有していることに主たる特徴がある。
【0072】
本実施形態による監視装置54における音響検出窓32は、図9に示すように、多孔質板状構造材40の前面に設けられたメッシュ56を更に有している。
【0073】
図10は、本実施形態による監視装置54の具体的構造を示している。図10(a)は監視装置54の正面図、図10(b)は監視装置54の側面断面図を示している。なお、図10では、図4と同様に、カメラ22を、情報処理機24として機能する回路部(図示せず)を含む市販のネットワークカメラにより構成した場合を示している。
【0074】
図10に示すように、本実施形態による監視装置54における音響検出窓32は、耐圧防爆筐体18の正面壁部18cの開口部38に取り付けられた多孔質板状構造材40と、多孔質板状構造材40の前面に多孔質板状構造材40を覆うように設けられたメッシュ56とにより構成されている。
【0075】
メッシュ56は、耐圧防爆筐体18内部への音響の伝搬を妨げることなく、音響検出窓32に防滴性を付与するための防滴用部材又は防水性を付与するための防水用部材である。メッシュ56は、例えば金属製のメッシュである。メッシュ56のメッシュサイズは、例えば100メッシュ以上であり、具体的には200メッシュである。メッシュ56により耐圧防爆筐体18内部への音響の伝搬が妨げられることがないため、監視対象設備における音響を耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20により検出することができる。なお、メッシュサイズの100メッシュとは、1インチ(25.4mm)の間に区切られている数が100であることを意味する。
【0076】
ここで、いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響をうけないものとして規定されるJIS防水保護等級4に相当するいわゆる生活防水では、メッシュサイズが100メッシュのメッシュが使用されている。メッシュサイズが100メッシュのメッシュと比較すると、メッシュサイズが200メッシュのメッシュは網目が2倍細かい。したがって、メッシュサイズが200メッシュのメッシュ56を多孔質板状構造材40の前面に設けることにより、音響検出窓32を、生活防水よりも高い防水性を有するものとすることができる。
【0077】
このように、本実施形態による監視装置54では、多孔質板状構造材40の前面にメッシュ56が設けられているため、音響検出窓32が防滴性又は防水性を有している。したがって、音響検出窓32から水分等の液体が耐圧防爆筐体18内へ浸入するのを防止することができる。これにより、本実施形態による監視装置54は、耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20等の機器を水分等の液体から保護しつつ、監視対象設備の異常監視を行うことができる。本実施形態による監視装置54によれば、例えば、液体の飛散が発生しうる監視対象設備の異常監視をも行うことができる。
【0078】
なお、音響検出窓32に防滴性を付与するための防滴用部材又は防水性を付与するための防水用部材として、メッシュ56に代えて金属製又は樹脂製の薄板を多孔質板状構造材40の前面に多孔質板状構造材40を覆うように設けてもよい。多孔質板状構造材40の前面に設けられた薄板により、音響検出窓32には、防滴性又は防水性に加えて防塵性が付与される。なお、この場合、耐圧防爆筐体18内部への音響の伝搬が妨げられずにマイクロフォン20により監視対象設備における音響を検出することができるように、材質に応じて薄板の厚さを設定する。例えば、アルミニウム製の薄板については、例えば0.05mmに厚さを設定する。
【0079】
図11は、多孔質板状構造材40の前面に防滴用部材又は防水用部材を設けた監視装置のマイクロフォン20により周波数1000Hzの音を検出した結果得られた周波数スペクトルを示すグラフである。
【0080】
図11には、防滴用部材(防水用部材)を設けない場合の検出結果とともに、種々の防滴用部材(防水用部材)を設けた場合の検出結果を示している。●で示すスペクトルは、多孔質板状構造材40の前面に防滴用部材を設けていない場合の結果を示している。□で示すスペクトルは、防滴用部材としてメッシュサイズが200メッシュのメッシュを設けた場合の結果を示している。▲で示すスペクトルは、防滴用部材として厚さ0.05mmのアルミニウム製の薄板を設けた場合の結果を示している。○で示すスペクトルは、防滴用部材として厚さ0.3mmのABS樹脂製の薄板を設けた場合の結果を示している。◆で示すスペクトルは、防滴用部材として厚さ0.5mmのアルミニウム製の薄板を設けた場合の結果を示している。これらの場合について、得られたスペクトルにおける音圧のピーク値を求めた。
【0081】
●で示す防滴用部材を設けていない場合、音圧のピーク値は40.1dBであった。
【0082】
□で示すメッシュサイズが200メッシュのメッシュを設けた場合、音圧のピーク値は38.8dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−1.3dBであった。
【0083】
▲で示す厚さ0.05mmのアルミニウム製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は37.8dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−2.3dBであった。
【0084】
○で示す厚さ0.3mmのABS樹脂製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は32.7dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−7.4dBであった。
【0085】
◆で示す厚さ0.5mmのアルミニウム製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は30.4dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−9.7dBであった。
【0086】
そのほか、図11には示していないが、多孔質板状構造材40の前面の防滴用部材として、銅製の薄板(銅箔)を設けた場合、塩化ビニル樹脂製の薄板を設けた場合、スチレン樹脂製の薄板を設けた場合についても、上記と同様に周波数1000Hzの音の検出し、得られた周波数スペクトルにおける音圧のピーク値を求めた。
【0087】
厚さ0.01mmの銅製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は34.5dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−5.6dBであった。
【0088】
厚さ0.2mmの塩化ビニル樹脂製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は31.3dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−8.8dBであった。
【0089】
厚さ0.3mmのスチレン樹脂製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は32.8dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−7.3dBであった。
【0090】
厚さ0.5mmの塩化ビニル樹脂製の薄板を設けた場合、音圧のピーク値は31.6dBであり、防滴用部材を設けていない場合との差は−8.5dBであった。
【0091】
上述した音圧のピーク値の比較から分かるように、メッシュサイズが200メッシュのメッシュを設けた場合には、防滴用部材を設けていない場合と比較して僅かに音圧レベルが低下するだけでマイクロフォン20により音を検出することができている。
【0092】
また、厚さ0.05mmのアルミニウム製の薄板を設けた場合は、メッシュサイズが200メッシュのメッシュを設けた場合とほぼ同等の音圧レベルでマイクロフォン20により音を検出することができている。また、厚さ0.05mmのアルミニウム製の薄板を設けた場合の音圧レベルの低下量は、これよりも薄い厚さ0.01mmの銅製の薄板を設けた場合と比較して小さくなっている。厚さ0.05mmのアルミニウム製の薄板は、厚さ0.01mmの銅製の薄板と比較して厚いため、取り扱いが容易であり、多孔質板状構造材40の前面に容易に設けることができる。
【0093】
このように、多孔質板状構造材40の前面に設ける防滴用部材又は防水用部材としてはメッシュや種々の材質の薄板を用いることができるが、上記の結果からは、特に、メッシュサイズが200メッシュのメッシュ及び厚さ0.05mmのアルミニウム製の薄板が好適であることが分かる。
【0094】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による監視装置について図12及び図13を用いて説明する。図12は本実施形態による監視装置の構成を示す概略図、図13は本実施形態による監視装置の具体的構造を示す概略図であり、図13(a)は監視装置54の正面図、図13(b)は監視装置54の側面断面図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態による監視装置及びこれを用いた異常監視システムと同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し或いは簡略にする。
【0095】
本実施形態による監視装置54は、第1の実施形態及び第2の実施形態による監視装置10において、アンテナ部の構造が異なる点に特徴がある。
【0096】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、無線機26のアンテナである2本のポール型アンテナ28のそれぞれに対して電波反射板30を設け、2本のポール型アンテナ28周囲の空間を分離していたが、本実施形態ではそのような電波反射板を設けず、2本のポール型アンテナ28周囲の空間を分離しないようにしている。
【0097】
図13(a)に示すように、2本のポール型アンテナ28を収容した上蓋18b内に部分円筒状を有する金属製の電波反射板を設けることなく、2本のポール型アンテナ28を含むひとつの空間を形成する。電波反射板62は上蓋18b底部に設ける。部分円筒状を有する金属製の電波反射板を設ける場合には、ポール型アンテナとの距離を確保する必要があり、監視装置の小型化の制限となるが、第3の実施形態ではそのような制限を受けずに、監視装置を小型化することできる。
【0098】
電波送受信窓36を通して耐圧防爆筐体18内へ入射する電波は、上蓋18b底部に設けた電波反射板62により反射される。上蓋18b底部に設けた電波反射板62は、ダイバーシティアンテナとして機能する2本のポール型アンテナ28により効率よく電波を受信させると共に、本体部18a内部の回路への電波の影響を防止する。
【0099】
また、本実施形態による監視装置54は、音響検出窓32に防滴性を付与するための防滴用部材又は防水性を付与するための防水用部材として金属製薄板60を多孔質板状構造材40の後面に設けるようにした点に特徴がある。
【0100】
図12及び図13(b)に示すように、本実施形態による監視装置54における音響検出窓32には、多孔質板状構造材40の後面に金属製薄板60を更に設けている。
【0101】
金属製薄板60は、耐圧防爆筐体18内部への音響の伝搬を妨げることなく、音響検出窓32に防滴性を付与するための防滴用部材又は防水性を付与するための防水用部材である。金属製薄板60は、例えば約0.05mm厚のアルミニウム薄板である。金属製薄板60により耐圧防爆筐体18内部への音響の伝搬が妨げられることがないため、監視対象設備における音響を耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20により検出することができる。
【0102】
金属製薄板60の材料としては、アルミニウム薄板の他に、銅、ステンレス、チタン等でもよい。また、多孔質板状構造材40の材料としては、ニッケルの他に、ニッケル―クロム合金、ステンレス、コバルト合金、チタン合金等でもよい。
【0103】
このように、本実施形態による監視装置54では、多孔質板状構造材40の後面に金属製薄板60を設けるようにしたため、音響検出窓32が防滴性又は防水性を有している。したがって、音響検出窓32から水分等の液体が耐圧防爆筐体18内へ浸入するのを防止することができる。これにより、本実施形態による監視装置54は、耐圧防爆筐体18内のマイクロフォン20等の機器を水分等の液体から保護しつつ、監視対象設備の異常監視を行うことができる。本実施形態による監視装置54によれば、例えば、液体の飛散が発生しうる監視対象設備の異常監視をも行うことができる。
【0104】
また、本実施形態による監視装置54では、多孔質板状構造材40の後面に金属製薄板60が設けるようにしたため、監視装置54内部で何らかの原因で火花が発生したとしても、金属製薄板60の耐火性により、多孔質板状構造材40が保護され、音響検出窓32が破壊されることがない。これにより、監視装置54内部で何らかの原因で火花が発生しても監視装置54外部に拡がることがなく、安全性の高い防爆性能を実現できる。
【0105】
なお、音響検出窓32に防滴性を付与するための防滴用部材又は防水性を付与するための防水用部材として、金属製薄板60に代えて樹脂製の薄板や金属製又は樹脂製のメッシュを多孔質板状構造材40の後面を覆うように設けてもよい。
【0106】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0107】
例えば、上記実施形態では、金属多孔体よりなる多孔質板状構造材40を用いて音響検出窓32を構成する場合を例に説明したが、音響検出窓32を構成する構造材はこれに限定されるものではない。音響検出窓32を構成する構造材は、監視対象設備における音響が耐圧防爆筐体18内部に伝搬することができるように通気性を有するとともに、耐圧防爆仕様を満足するものであればよい。例えば、積層構造を有する防爆型の金網等を用いて音響検出窓32を構成してもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、耐圧ガラス板44を用いて画像撮像窓34を構成する場合を例に説明したが、画像撮像窓34を構成する構造材はこれに限定されるものではない。画像撮像窓34を構成する構造材は、可視光透過性を有するとともに、耐圧防爆仕様を満足するものであればよい。
【0109】
また、上記実施形態では、耐圧ガラス板52を用いて電波送受信窓36を構成する場合を例に説明したが、電波送受信窓36を構成する構造材はこれに限定されるものではない。電波送受信窓36を構成する構造材は、電波透過性を有するとともに、耐圧防爆仕様を満足するものであればよい。
【0110】
また、上記実施形態では、製油所等の異常監視に本発明を適用する場合について説明したが、製油所以外の、石油化学プラント等のプラントや、工場、発電所等の異常監視に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0111】
10…監視装置
12…無線本局
14…無線中継器
16…監視処理装置
18…耐圧防爆筐体
18a…本体部
18b…上蓋部
18c…正面壁部
20…マイクロフォン
22…カメラ
24…情報処理機
26…無線機
27…電源ユニット
28…ポール型アンテナ
30…電波反射板
32…音響検出窓
34…画像撮像窓
36…電波送受信窓
38…開口部
40…多孔質板状構造材
42…開口部
44…耐圧ガラス板
46…固定治具
48…固定治具
50…開口部
52…耐圧ガラス板
54…監視装置
56…メッシュ
60…金属製薄板
62…電波反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐圧防爆構造を有する筐体と、
前記筐体内に内蔵され、監視対象設備における音響を検出するためのマイクロフォンと、
前記筐体内に内蔵され、前記監視対象設備における画像を撮像するためのカメラと、
前記筐体内に内蔵され、前記マイクロフォンからの音響データ及び前記カメラからの画像データを処理し、前記マイクロフォン及び前記カメラを制御するための情報処理機と、
前記情報処理機により処理された前記音響データ及び前記画像データを送信し、前記マイクロフォン及び前記カメラの制御信号を受信するための無線機と、
前記筐体内に内蔵され、前記無線機に接続されたアンテナと
を有することを特徴とする監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の監視装置において、
前記筐体は、通気性を有する通気性構造材により構成された音響検出窓を有し、
前記マイクロフォンは、前記音響検出窓を通して前記監視対象設備における音響を検出する
ことを特徴とする監視装置。
【請求項3】
請求項2記載の監視装置において、
前記通気性構造材は、金属多孔体よりなる
ことを特徴とする監視装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の監視装置において、
前記通気性構造材の前面又は後面に設けられ、前記音響検出窓に防水性を付与するためのメッシュ又は前記音響検出窓に防塵性及び防水性を付与するため薄板を更に有する
ことを特徴とする監視装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の監視装置において、
前記筐体は、電波透過性を有する電波送受信窓を有し、
前記アンテナは、前記電波送受信窓を通して電波を送受信する
ことを特徴とする監視装置。
【請求項6】
請求項5記載の監視装置において、
前記筐体内に設けられ、前記電波送受信窓を通して前記筐体内に入射する電波を反射し、前記アンテナから放射される電波を反射する電波反射板を更に有する
ことを特徴とする監視装置。
【請求項7】
請求項6記載の監視装置において、
前記アンテナは、ポール型アンテナであり、
前記電波反射板は、部分円筒形状を有し、前記アンテナに沿って前記アンテナを取り囲むように、その開放側を前記電波送受信窓側に向けて設けられている
ことを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−273113(P2009−273113A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59760(P2009−59760)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)
【Fターム(参考)】