説明

監視記録装置

【課題】 従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像を記録することができる監視記録装置を提供すること。
【解決手段】 監視記録装置10は、映像信号を所定時間間隔で入力するフレーム制御部11と、映像信号のデータを圧縮伸張する圧縮伸張部12と、圧縮された映像データを記録するストレージ14と、監視領域に出入りする人物の映像を含む領域を検出する動領域検出部15と、検出された領域から人物の顔映像の領域を抽出する人領域抽出部16と、抽出された顔映像のうちベストショットを判別するベストショット判別部17と、ベストショットのデータに付加するヘッダ情報を生成するPinP用ヘッダ生成部18と、ヘッダ情報に基づいてベストショットのデータと圧縮伸張部12からの映像データとを合成するPinP合成部20と、合成された映像を描画処理する描画部21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば監視領域に出入りする人物の映像データを記録する監視記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の監視記録装置は、カメラから送信された映像信号を磁気テープに間欠的に記録する磁気ヘッドと、磁気ヘッドが装着されたヘッドドラムと、記録終了時毎にヘッドドラムの回転数を強制的に引き上げる強制加速手段とを備え、間欠記録のインターバルが短いときでも、強制加速手段がヘッドドラムの回転数を規定回転数に迅速に復帰させることにより、間欠記録を正常に継続して監視記録のデータ量の低減化を図ることができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−131756号公報(第4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の監視記録装置では、監視記録のデータ量の低減化のため、カメラから送信された映像信号を所定の時間間隔で間引いて間欠的に磁気テープに記録する構成なので、監視者が監視対象を容易に特定できる映像データ、例えば侵入者の顔が最も鮮明に撮影された顔映像データが、間引かれた映像信号に含まれて監視記録データから欠落することがあり、侵入者の特定が困難となるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、監視記録のデータ量の低減化を図りながら、従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像データを記録することができる監視記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の監視記録装置は、監視領域の映像から動き物体の映像をフレーム毎に検出する動き物体検出手段と、前記動き物体の映像のうち所定の基準に最も適合する映像を最良映像として判別する最良映像判別手段と、前記最良映像のデータを記録する記録手段とを備えた構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の監視記録装置は、監視領域の映像データを間欠的に記録する場合でも、監視領域内の動き物体の最良映像データを記録できるので、監視記録のデータ量の低減化を図りながら、従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像データを記録することができる。
【0007】
また、本発明の監視記録装置は、前記記録手段は、前記最良映像が撮影された時刻情報を含む撮影情報のデータを前記最良映像のデータに関連付けて記録する構成を有している。
【0008】
この構成により、本発明の監視記録装置は、最良映像のデータに関連付けて撮影情報を記録するので、最良映像に係る動き物体の記録を撮影情報に基づいて検索することができる。
【0009】
さらに、本発明の監視記録装置は、前記監視領域の映像信号を所定時間間隔で間欠的に出力する映像信号出力手段と、間欠的に出力された前記映像信号に基づく映像と前記最良映像とを合成する映像合成手段とを備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の監視記録装置は、監視領域の映像データを間欠的に記録しながら、監視領域の映像と監視領域内の動き物体の最良映像とを合成することができるので、監視記録のデータ量の低減化を図りながら、従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像データを記録することができる。
【0011】
さらに、本発明の監視記録装置は、前記映像を前記フレーム毎に複数の分割領域に分割する領域分割手段を備え、前記領域分割手段は、前記動き物体が検出された第1分割領域と、この第1分割領域とは異なる第2分割領域とに前記映像を分割し、前記映像合成手段は、前記第1分割領域に最も近い第2分割領域の映像と前記最良映像とを合成する構成を有している。
【0012】
この構成により、本発明の監視記録装置は、動き物体が検出された領域に最も近い分割領域に最良映像が合成されるので、監視領域の映像に複数の人物像が含まれている場合でも、各人物の顔の最良映像をわかりやすく表示することができる。
【0013】
さらに、本発明の監視記録装置は、最良映像抽出手段によって抽出された前記最良映像のデータと一致するデータを前記保存手段によって保存されたデータから検索する検索手段を備え、前記映像合成手段は、前記最良映像のデータと一致するデータが検索されたとき、前記間欠的に出力された映像信号に基づく映像と、前記最良映像と、前記最良映像が撮影された時刻情報を含む撮影情報とを合成する構成を有している。
【0014】
この構成により、本発明の監視記録装置は、映像合成手段が、監視領域の映像と、動き物体の最良映像と、撮影情報とを合成するので、監視領域内の人物が過去に撮影されたときの撮影情報を把握することができる。
【0015】
さらに、本発明の監視記録装置は、前記動き物体の映像は人物の映像を含み、前記最良映像は前記人物の顔映像を含み、前記所定の基準は前記顔映像のサイズ、コントラスト、輝度、ガンマ値及び顔方向情報のうちの少なくとも1つの基準を含む構成を有している。
【0016】
この構成により、本発明の監視記録装置は、監視領域の映像データを間欠的に記録しながら監視領域内の人物の顔映像の最良映像をサイズ、コントラスト、輝度、ガンマ値及び顔方向情報のうちの少なくとも1つの基準で記録することができるので、監視記録のデータ量の低減化を図りながら、従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像データを記録することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、監視記録のデータ量の低減化を図りながら、従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像データを記録することができるという効果を有する監視記録装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態の監視記録装置の構成について説明する。なお、本発明の監視記録装置が所定の監視領域に出入りする人物の映像データを記録する例を挙げて説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の監視記録装置10は、監視領域を撮影するカメラ30から送信される映像信号を所定時間間隔で入力するフレーム制御部11と、映像信号のデータを圧縮伸張する圧縮伸張部12と、ストレージ14の動作を制御する記録制御部13と、圧縮された映像データを記録するストレージ14と、カメラ30から送信される映像信号に基づく映像から監視領域に出入りする人物の映像を含む領域を検出する動領域検出部15と、検出された領域から人物の顔映像の領域を抽出する人領域抽出部16と、抽出された顔映像のうち最も鮮明に撮像された顔映像(以下「ベストショット」という。)を判別するベストショット判別部17と、ベストショットのデータに付加するヘッダ情報を生成するPinP(Picture in Picture)用ヘッダ生成部18と、ヘッダ情報を処理するPinP用ヘッダ処理部19と、ヘッダ情報に基づいてベストショットのデータと圧縮伸張部12からの映像データとを合成するPinP合成部20と、合成された映像をモニタ40に描画する処理を行う描画部21とを備えている。
【0021】
なお、以下の説明において、カメラ30は、NTSC(National Television Standards Committee)方式の映像信号を出力するアナログカメラとし、水平方向720画素、垂直方向240画素の映像データを毎秒60フレーム出力するものとする。また、水平方向H画素、垂直方向V画素の構成をH×V画素と表記し、水平方向の座標及び垂直方向の座標をそれぞれX座標及びY座標とする。
【0022】
フレーム制御部11は、カメラ30から毎秒60フレーム出力される映像データを入力して所定のフレーム数の映像データを間引きし、例えば毎秒1フレームの映像データを一定の時間間隔で出力するようになっている。なお、フレーム制御部11は、本発明の映像信号出力手段を構成している。
【0023】
圧縮伸張部12は、フレーム制御部11から出力される映像データを所定の圧縮方式で圧縮して記録制御部13に出力するようになっている。また、圧縮伸張部12は、ストレージ14に記録された圧縮映像データを記録制御部13経由で入力し、所定の伸張方式で伸張してPinP合成部20に出力するようになっている。ここで、所定の圧縮方式及び伸張方式としては、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)方式、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式等が用いられる。
【0024】
記録制御部13は、ストレージ14に対する映像データの記録処理及び読み出し処理を制御するようになっている。
【0025】
ストレージ14は、例えばハードディスクドライブ装置によって構成され、圧縮伸張部12によって圧縮された圧縮映像データを記録するようになっている。なお、ストレージ14は、本発明の記録手段を構成している。
【0026】
動領域検出部15は、例えば周知の差分法や動きベクトル法等によって、カメラ30から毎秒60フレーム出力される映像データに基づく映像から人物の映像を検出し、監視領域の座標に対して人物の映像が含まれる領域(以下「動き領域」という。)の座標情報を取得するようになっている。具体的には、監視領域の座標は、X座標0〜719及びY座標0〜239で表され、動き領域は、例えば監視領域の中の矩形領域として表される。
【0027】
また、動領域検出部15は、カメラ30から出力される720×240画素の映像データを例えば180×60画素からなる16個のブロックに分割し、人物の映像が検出されている期間において、人物の映像が存在するブロック(以下「動ブロック」という。)と、人物の映像が存在しないブロック(以下「静ブロック」という。)とを検出するようになっている。なお、動領域検出部15は、本発明の動き物体検出手段及び領域分割手段を構成している。
【0028】
人領域抽出部16は、動領域検出部15によって検出された動き領域の映像から、例えば楕円ハフアルゴリズムによって人物の顔映像の領域を抽出し、顔映像の領域を例えば矩形領域として表すためのX座標及びY座標を算出するようになっている。この顔映像の領域を矩形領域として表す場合の座標情報は、顔領域の開始位置のX座標及びY座標と、顔領域の終了位置のX座標及びY座標とで定義される。
【0029】
ベストショット判別部17は、人領域抽出部16によって抽出された人物の顔映像のデータや、顔映像を判別するために予め定められた判別基準のデータ等を記憶するメモリ(図示省略)を備え、判別基準のデータに基づき、抽出された顔映像の中からベストショットを判別するようになっている。なお、ベストショット判別部17は、本発明の最良映像抽出手段を構成している。
【0030】
例えば、ベストショット判別部17は、ある人物が監視領域に進入してから退出するまでの期間において、現在のフレームで取得されたその人物の顔映像と、その人物の顔映像が検出されたフレームから現在のフレームの1つ前までのフレーム(以下「過去のフレーム」という。)で取得されたその人物の顔映像とを、例えば顔映像のサイズ、コントラスト、輝度、ガンマ値及び顔方向情報等を判別基準として、フレーム毎に順次比較し、最も鮮明に撮像された顔映像をベストショットとして決定するようになっている。ここで、鮮明に撮像された顔映像とは、顔映像の色や形などが鮮やかであり、明確であることに加えて、人物を特定しやすいものをいう。
【0031】
具体的には、例えば、顔映像のコントラスト、顔映像サイズ及び顔方向情報の3つの要素をベストショットの判別基準とした場合、抽出された顔映像を要素毎にスコア化し、スコア化したものに所定の重み係数を乗じて顔映像の総合スコアを算出する。現在のフレームから抽出した顔映像と、過去のフレームで抽出した顔映像とを総合スコアでフレーム毎に順次比較し、総合スコアが最も大きいものをベストショットとする。例えば、横向きの顔映像よりも正面向きの顔映像のスコアを大きく設定したり、顔映像サイズが大きいほどスコアを大きくしたりすることによって、ベストショットを判定することができる。
【0032】
PinP用ヘッダ生成部18は、図2に示されたPinP用ヘッダ情報を生成し、このPinP用ヘッダを顔映像のデータに付加して記録制御部13に出力するようになっている。図2に示されたPinP用ヘッダ情報は、顔映像のデータ識別のためのインデックスと、ベストショットが撮像されたベストショット撮像時刻と、顔映像の領域を表すX座標及びY座標と、人物が存在しない静ブロックを示すデータとで構成されている。
【0033】
PinP用ヘッダ処理部19は、PinP用ヘッダ情報から、現在のフレームにおける顔映像の領域に最も近い静ブロックの位置を決定するようになっている。
【0034】
PinP合成部20は、圧縮伸張部12によって伸張された映像信号のデータを入力し、PinP用ヘッダ処理部19によって決定された静ブロックに含まれる監視領域の映像と、ベストショットとを合成するようになっている。なお、PinP合成部20は、本発明の映像合成手段を構成している。
【0035】
描画部21は、PinP合成部20によって合成された合成影像の映像信号をモニタ40に出力するようになっている。
【0036】
次に、本実施の形態の監視記録装置10の動作について説明する。
【0037】
最初に、監視領域内に人物が現れた場合、監視領域の映像データがベストショットデータと共に記録されるステップについて、図3を用いて説明する。
【0038】
まず、フレーム制御部11及び動領域検出部15によって、720×240画素で構成されたNTSC方式の映像データが入力される(ステップS11)。次いで、フレーム制御部11によって、毎秒60フレームの映像データから、毎秒1フレームの映像データが出力される(ステップS12)。したがって、フレーム制御部11は、60フレーム分の映像データから59フレーム分の映像データを毎秒間引き、1秒間隔で1フレーム分の映像データを出力する。
【0039】
さらに、圧縮伸張部12によって、例えばMPEG方式に基づいて映像データが圧縮され(ステップS13)、圧縮映像データとして記録制御部13に出力された後、圧縮映像データがストレージ14に記録される(ステップS14)。
【0040】
一方、動領域検出部15によって、1フレーム分の映像データが入力され(ステップS21)、差分法や動きベクトル法等を用いて動き領域が検出される(ステップS22)。例えば、差分法を用いる場合、動領域検出部15は、現在のフレームの映像と、現在のフレームの1つ前のフレームの映像との差分を求めて、監視領域の映像から動き領域を検出する。この動き領域は、監視領域のX座標0〜719及びY座標0〜239における矩形領域として表され、矩形領域の座標のデータが動領域検出部15によって取得される。
【0041】
さらに、動領域検出部15によって、監視領域の映像が所定数のブロックに分割され、動き物体が検出されている期間において、動き物体が存在する動ブロックと、動き物体が存在しない静ブロックとが検出される(ステップS23)。
【0042】
具体的には、例えば図4に示すように、720×240画素で構成された監視領域の映像が、X座標方向及びY座標方向にそれぞれ4分割され、180×60画素の16個のブロックに分割され、ステップS22において検出された動き領域の座標データから、動ブロック及び静ブロックが検出される。
【0043】
引き続き、人領域抽出部16によって、例えば楕円ハフアルゴリズムに基づいて動き物体の映像から顔映像の領域が抽出される(ステップS24)。この顔映像の領域は、監視領域のX座標0〜719及びY座標0〜239における矩形領域の座標データとして表される。
【0044】
次いで、ベストショット判別部17によって、人領域抽出部16が現在のフレームから抽出した顔映像と、過去のフレームで抽出した顔映像とが所定の判別基準に基づいて比較され、現在のフレームから抽出された顔映像がベストショットか否かが判断される(ステップS25)。
【0045】
例えば、顔映像のコントラスト、顔映像サイズ及び顔方向情報の3つの要素をベストショットの判別基準とした場合、抽出された顔映像を要素毎にスコア化し、スコア化したものに所定の重み係数を乗じて顔映像の総合スコアを算出する。現在のフレームから抽出した顔映像と、過去のフレームで抽出した顔映像とを総合スコアでフレーム毎に順次比較し、総合スコアが最も大きいものをベストショットとする。
【0046】
ステップS25において、現在のフレームから抽出された顔映像がベストショットと判断されなかった場合は、ステップS21に戻り、次フレームの映像データが入力され、ベストショットの判別が実行される。
【0047】
一方、ステップS25において、ベストショットと判断された場合は、PinP用ヘッダ生成部18によって、図2に示すようなPinP用ヘッダ情報が生成される(ステップS26)。
【0048】
図2に示すように、インデックスのデータとしては、顔映像や監視領域等を識別するための予め定められた管理データが生成される。また、ベストショットの撮影情報のデータとしては、顔映像が撮影された西暦年月及び時刻のデータを表したベストショット撮像時刻のデータが生成される。また、顔領域の座標データとしては、X座標は0〜719、Y座標は0〜239の数値で表された矩形領域のデータが生成される。また、動きがない静ブロックの領域データとしては、X座標方向及びY座標方向におけるXブロック及びYブロックがそれぞれ0〜3の数値で表されたデータが生成される。なお、撮影情報のデータは、顔映像が撮影された時刻情報のみに限定されるものではない。
【0049】
さらに、PinP用ヘッダ生成部18によって、PinP用ヘッダ情報がベストショットデータに付加される(ステップS27)。
【0050】
そして、記録制御部13によって、PinP用ヘッダ情報が付加されたベストショットデータがストレージ14に記録される(ステップS28)。
【0051】
次に、監視領域の映像データをベストショットデータと共に表示するステップについて、図5を用いて説明する。
【0052】
まず、記録制御部13によって、ストレージ14から圧縮映像データが読み出され(ステップS31)、PinP用ヘッダ情報に基づいて圧縮映像データの映像が撮影された時刻のベストショットデータが読み出される(ステップS32)。ここで、圧縮映像データは圧縮伸張部12に送信され、ベストショットデータはPinP用ヘッダ処理部19に送信される。
【0053】
次いで、圧縮伸張部12によって、圧縮映像データが例えばMPEG方式により伸張される(ステップS33)。
【0054】
さらに、PinP用ヘッダ処理部19によって、PinP用ヘッダ情報に含まれる顔映像のX座標及びY座標のデータと、静ブロックの位置情報とから顔映像の位置に最も近い静ブロックの位置が算出され、この静ブロックがベストショットを合成するブロックとして決定される(ステップS34)。
【0055】
引き続き、PinP合成部20によって、ステップS34において決定された静ブロックの映像とベストショットとが合成される(ステップS35)。
【0056】
そして、描画部21によって、合成映像がモニタ40に描画され、例えば図4に示すような合成映像がモニタ40に表示される(ステップS36)。図4は、監視領域としてのホールに出入りした女性及び男性のベストショットが、それぞれ、Xブロック0及びYブロック1の位置と、Xブロック2及びYブロック0の位置とに表示されている。
【0057】
以上のように、本実施の形態の監視記録装置10によれば、ベストショット判別部17は、人領域抽出部16が抽出した顔映像のうち判別基準に最も適合するベストショットを判別し、ストレージ14は、間欠的に撮像された監視領域の映像データと、撮影情報が付加されたベストショットとを記録する構成としたので、監視領域の映像にベストショットを埋め込んで鮮明に撮影された人物の顔映像を表示することができ、監視記録のデータ量の低減化を図りながら、従来のものよりも容易に人物を特定できる映像データを記録することができる。
【0058】
なお、前述の実施の形態において、720×240画素で構成された監視領域の映像を180×60画素の16個のブロックに分割して人物の映像が存在するブロックを検出する例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
また、前述の実施の形態において、監視対象として人物を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば駐車場に出入りする車両や、監視領域に出入りする動物等を監視する構成としても同様の効果が得られる。
【0060】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態の監視記録装置の構成について説明する。
【0061】
図6に示すように、本実施の形態の監視記録装置50は、監視領域を撮影するカメラ30から送信される映像信号を所定時間間隔で入力するフレーム制御部51と、映像信号のデータを圧縮伸張する圧縮伸張部52と、ストレージ54の動作を制御する記録制御部53と、圧縮された映像データを記録するストレージ54と、カメラ30から送信される映像信号に基づく映像から監視領域に出入りする人物の映像を含む領域を検出する動領域検出部55と、検出された領域から人物の顔映像の領域を抽出する人領域抽出部56と、抽出された顔映像のうちベストショットを判別するベストショット判別部57と、ベストショットのデータに付加するヘッダ情報を生成するPinP用ヘッダ生成部58と、ヘッダ情報を処理するPinP用ヘッダ処理部59と、ヘッダ情報に基づいてベストショットのデータと圧縮伸張部52からの映像データとを合成するPinP合成部60と、合成された映像をモニタ40に描画する処理を行う描画部61と、ストレージ54に記録された顔映像データを検索する顔検索部62とを備えている。
【0062】
なお、本実施の形態の監視記録装置50は、本発明の第1の実施の形態の監視記録装置10(図1参照)に顔検索部62を追加した構成なので、顔検索部62以外の構成の説明は省略する。
【0063】
顔検索部62は、PinP用ヘッダ処理部59から送信された顔映像データに係る人物の映像データをストレージ54から検索するようになっている。なお、顔検索部62は、本発明の検索手段を構成している。
【0064】
次に、本実施の形態の監視記録装置50の動作について説明する。なお、監視領域の映像データがベストショットデータと共に記録されるステップは、図3に示されたステップと同様であるので説明を省略し、監視領域の映像データをベストショットデータと共に表示するステップについて、図7を用いて説明する。
【0065】
まず、記録制御部53によって、ストレージ54から圧縮映像データが読み出され(ステップS41)、PinP用ヘッダ情報に基づいて圧縮映像データの映像が撮影された時刻のベストショットデータが読み出される(ステップS42)。ここで、圧縮映像データは圧縮伸張部52に送信され、ベストショットデータはPinP用ヘッダ処理部59に送信される。
【0066】
次いで、圧縮伸張部52によって、圧縮映像データが例えばMPEG方式により伸張される(ステップS43)。
【0067】
さらに、PinP用ヘッダ処理部59によって、PinP用ヘッダ情報に含まれる顔映像のX座標及びY座標のデータと、静ブロックの位置情報とから顔映像の位置に最も近い静ブロックの位置が算出され、この静ブロックがベストショットを合成するブロックとして決定される(ステップS44)。
【0068】
また、PinP用ヘッダ処理部59によって、ステップS42において読み出されたベストショットデータと、このベストショットデータよりも過去に記録されたベストショットデータの検索を指示する検索指示信号とが顔検索部62に出力される(ステップS45)。
【0069】
次いで、顔検索部62によって、検索指示されたベストショットデータが検索される(ステップS46)。ここで、顔検索部62は、周知の顔認証アルゴリズムを用いて、検索指示されたベストショットデータに係る人物と同一人物のベストショットデータ(以下「同一人物ベストショットデータ」という。)をストレージ54から検索する。
【0070】
そして、顔検索部62によって、同一人物ベストショットデータがストレージ54にあるか否かが判断される(ステップS47)。同一人物ベストショットデータがストレージ54にあると判断された場合は、顔検索部62によって、同一人物ベストショットデータに付加された撮影情報のデータがPinP合成部60に送信される(ステップS48)。
【0071】
引き続き、PinP合成部60によって、ステップS44において決定された静ブロックの映像と、ベストショットデータと、ステップS48において取得された撮影情報データとが合成される(ステップS49)。
【0072】
一方、ステップS47において、同一人物ベストショットデータがストレージ54にあると判断されなかった場合は、PinP合成部60によって、ステップS44において決定された静ブロックの映像と、ベストショットデータとが合成される(ステップS50)。
【0073】
そして、描画部61によって、合成映像がモニタ40に描画され、同一人物ベストショットデータがストレージ54にある場合は、例えば図8に示すような合成映像がモニタ40に表示される(ステップS51)。図8は、監視領域としてのホールに出入りする人物の撮像例を示したものであり、ホールに出入りした女性及び男性のベストショットが、それぞれ、Xブロック0及びYブロック5の位置と、Xブロック2及びYブロック0の位置とに表示され、男性のベストショットと共にこの男性が以前撮影された時刻情報が表示されている。なお、ベストショットと共に表示される撮影情報は、時刻情報に限定されるものではなく、例えば管理領域に出入りした回数のデータと時刻情報とを表示する構成としてもよい。
【0074】
以上のように、本実施の形態の監視記録装置50によれば、顔検索部62は、同一人物ベストショットデータをストレージ54から検索し、同一人物ベストショットデータがストレージ54にある場合は、PinP合成部60は、間欠的に撮像された監視領域の静ブロックの映像と、ベストショットデータと、過去に撮影された同一人物の撮影情報データとを合成する構成としたので、監視領域の映像にベストショットと、そのベストショットに係る人物の過去の撮影情報とを表示することができる。
【0075】
また、従来の監視記録装置では、間引いた影像信号を記録する構成なので、検索に有効な映像データが取得できない可能性があったが、本実施の形態の監視記録装置50では、ストレージ54が間引き処理とは無関係にベストショットを記録する構成としたので、検索に有効な映像データを従来のものよりも多く記録することができ、検索の精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明に係る監視記録装置は、従来のものよりも容易に監視対象を特定できる映像データを記録することができるという効果を有し、監視領域に出入りする人物の行動を記録する監視記録装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態の監視記録装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態の監視記録装置に係るPinP用ヘッダの構成例を示す図
【図3】本発明の第1の実施の形態の監視記録装置において、映像データを記録する各ステップのフロー図
【図4】本発明の第1の実施の形態の監視記録装置に係る監視領域の表示映像の一例を示す図
【図5】本発明の第1の実施の形態の監視記録装置において、映像データを読み出す各ステップのフロー図
【図6】本発明の第2の実施の形態の監視記録装置のブロック図
【図7】本発明の第2の実施の形態の監視記録装置において、映像データを読み出す各ステップのフロー図
【図8】本発明の第2の実施の形態の監視記録装置に係る監視領域の表示映像の一例を示す図
【符号の説明】
【0078】
10、50 監視記録装置
11、51 フレーム制御部(映像信号出力手段)
12、52 圧縮伸張部
13、53 記録制御部
14、54 ストレージ(記録手段)
15、55 動領域検出部(動き物体検出手段、領域分割手段)
16、56 人領域抽出部
17、57 ベストショット判別部(最良映像抽出手段)
18、58 PinP用ヘッダ生成部
19、59 PinP用ヘッダ処理部
20、60 PinP合成部(映像合成手段)
21、61 描画部
30 カメラ
40 モニタ
62 顔検索部(検索手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の映像から動き物体の映像をフレーム毎に検出する動き物体検出手段と、前記動き物体の映像のうち所定の基準に最も適合する映像を最良映像として判別する最良映像判別手段と、前記最良映像のデータを記録する記録手段とを備えたことを特徴とする監視記録装置。
【請求項2】
前記記録手段は、前記最良映像が撮影された時刻情報を含む撮影情報のデータを前記最良映像のデータに関連付けて記録することを特徴とする請求項1に記載の監視記録装置。
【請求項3】
前記監視領域の映像信号を所定時間間隔で間欠的に出力する映像信号出力手段と、間欠的に出力された前記映像信号に基づく映像と前記最良映像とを合成する映像合成手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の監視記録装置。
【請求項4】
前記映像を前記フレーム毎に複数の分割領域に分割する領域分割手段を備え、
前記領域分割手段は、前記動き物体が検出された第1分割領域と、この第1分割領域とは異なる第2分割領域とに前記映像を分割し、
前記映像合成手段は、前記第1分割領域に最も近い第2分割領域の映像と前記最良映像とを合成することを特徴とする請求項3に記載の監視記録装置。
【請求項5】
最良映像抽出手段によって抽出された前記最良映像のデータと一致するデータを前記保存手段によって保存されたデータから検索する検索手段を備え、
前記映像合成手段は、前記最良映像のデータと一致するデータが検索されたとき、前記間欠的に出力された映像信号に基づく映像と、前記最良映像と、前記最良映像が撮影された時刻情報を含む撮影情報とを合成することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の監視記録装置。
【請求項6】
前記動き物体の映像は人物の映像を含み、前記最良映像は前記人物の顔映像を含み、前記所定の基準は前記顔映像のサイズ、コントラスト、輝度、ガンマ値及び顔方向情報のうちの少なくとも1つの基準を含むことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の監視記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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