説明

目標位置検出装置、該検出装置に用いられる目標位置検出方法及び目標位置検出プログラム

【課題】夜間でも複数の目標対象物の捜索が可能な目標位置検出装置を提供する。
【解決手段】目標対象物位置特定手段(画像処理・座標演算装置21)により、画像記録部33に記録されている赤外画像iu、及びデータ記録部34に記録されているGPS/姿勢データfdが解析され、発熱物体が存在する位置が目標対象物の位置として特定される。この場合、画像処理・座標演算装置21により、赤外画像iu及びGPS/姿勢データfdに基づいて、各赤外画像iu上の発熱物体の座標位置を、赤外カメラ13の位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群が生成され、方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分が目標対象物の絶対座標(緯度、経度、及び高さ)として特定されて対象地点座標データedが出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標位置検出装置、該検出装置に用いられる目標位置検出方法及び目標位置検出プログラムに係り、たとえば、山岳における遭難者など、熱を有する目標対象物を捜索する場合に用いて好適な目標位置検出装置、該検出装置に用いられる目標位置検出方法及び目標位置検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
山岳などで遭難が発生した場合、遭難者に対してヘリコプタなどによる航空捜索が行われることが多いが、遭難者の発見に至るケースは少ない。その理由としては、捜索方法が、基本的には担当者の目視による確認が主体であり、樹木に遮られているエリアを広範囲にわたって捜索しても、目標対象物を見つけ出すことが困難であることによる。また、目標対象物が多数ある場合は、さらに発見漏れも増えてくる。また、夜間には捜索活動そのものが行えないという事情もある。このため、遭難者の早期の発見及び救出を目指して、夜間でも遭難者の捜索が可能な支援装置が望まれている。
【0003】
この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された架空線撮影システムがある。
この架空線撮影システムでは、レーザ測距装置、選択装置及び代表線距離・方向算出装置により、ビデオカメラから見た代表架空線までの距離と方向とが算出される。カメラ・架台制御装置は、代表線距離・方向算出装置の出力に従い、ビデオカメラのフォーカスと撮影方向を制御する。線抽出装置により、ビデオカメラの撮影画像から線画像が抽出され、傾き算出装置により、線画像の傾きが算出される。制御目標決定装置により、抽出された線の情報からビデオカメラの光学ズームの制御目標及び撮影中心の制御目標が決定される。追尾モードで、カメラ・架台制御装置により、光学ズーム機能の制御目標に従い、ビデオカメラの光学ズームが制御され、傾き算出装置の算出結果に従い、架空線が撮影画面内で水平になるようにビデオカメラを回転させ、撮影中心の制御目標に従ってビデオカメラがチルトされ、また、代表線距離・方向算出装置の出力に従ってビデオカメラがパンされる。
【0004】
また、特許文献2に記載された位置特定装置では、空中を移動可能な機体の位置が、機体位置特定手段により特定される。機体に搭載されている撮影手段により、地表面上の目標物が撮影される。方向検出手段により、機体に対して撮影手段の向いている方向が検出される。地表面記録手段では、地表面の三次元的な位置を表すデータが記録されている。演算処理手段では、機体位置特定手段、撮影手段、方向検出手段及び地表面記録手段からの出力に応答し、機体の位置から撮影手段の向いている方向に延ばした直線と地表面との交点を算出し、目標物の位置として特定する。
【0005】
また、特許文献3に記載された測距装置は、航空機の胴体下にポット形態で搭載され、センサ部、座標検出部、初期値生成部、及び距離計算部からなる。測定した結果は、表示器に表示される。目標航空機は、熱をもつため、必ず赤外線を放出しているので、目標航空機が放出する赤外線を測定することにより、測距装置軸からの目標航空機の方位が経時的に測定され、パッシブ測距方式を用いて精度良く短時間で測距される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−086471号公報
【特許文献2】特開平08−285590号公報
【特許文献3】特開平09−257933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、特許文献1に記載された架空線撮影システムでは、架空線が適正なサイズと方向で撮影されるが、レーザ測距装置のようなアクティブな距離センサが用いられているので、この発明とは構成が異なっている。
【0008】
特許文献2に記載された位置特定装置では、目標物の高度を含む三次元の測定が行われるので、二次元平面として地表面を取り扱う場合の誤差を避けることができ、空中から地表面上の目標物の位置が精度良く特定されるが、目標を特定する手段に関する記載がなく、操作者の指定によると考えられ、この発明のような複数の目標を同時に検出する構成にはなっていない。
【0009】
特許文献3に記載された測距装置では、精度良く短時間で測距が可能であるが、検出の対象となる目標は一つであり、特許文献2と同様に、複数の目標を同時に検出する構成にはなっていない。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、夜間でも複数の目標対象物の捜索が可能な目標位置検出装置、該検出装置に用いられる目標位置検出方法及び目標位置検出プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、目標位置検出装置に係り、撮像可能範囲を撮像して該撮像可能範囲に存在する発熱物体から放射される赤外線を検出して赤外画像を出力する赤外線カメラと、前記赤外線カメラの姿勢角及び現在位置情報を時刻データに対応して取得して赤外線カメラ姿勢位置データを生成する姿勢位置データ生成手段と、前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像及び前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データを解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する目標対象物位置特定手段とを備えてなることを特徴としている。
【0012】
この発明の第2の構成は、撮像可能範囲を撮像して該撮像可能範囲に存在する発熱物体から放射される赤外線を検出して赤外画像を出力する赤外線カメラと、前記赤外線カメラの姿勢角及び現在位置情報を時刻データに対応して取得して赤外線カメラ姿勢位置データを生成する姿勢位置データ生成手段とを有する目標位置検出装置に用いられ、目標位置検出プログラムがコンピュータに、目標対象物の位置を検出させる目標位置検出方法に係り、前記コンピュータに、前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像及び前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データを解析させることにより、前記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する目標対象物位置特定処理を行わせることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
この発明の構成によれば、複数の目標対象物に対して高精度かつ迅速な捜索が可能となる。特に、多数の候補が想定される場合には、非常に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の第1の実施形態である目標位置検出装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の目標位置検出装置が用いられる環境の例を示す模式図である。
【図3】赤外カメラ13から出力される赤外画像ivの例を示す図である。
【図4】図1の目標位置検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記目標対象物位置特定手段(計測制御装置、画像処理・座標演算装置)は、上記赤外画像及び上記赤外線カメラ姿勢位置データに基づいて、上記各赤外画像上の上記発熱物体(人体など、発熱体)の座標位置を上記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、上記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、上記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を上記目標対象物の絶対座標(緯度、経度、高さの情報)として特定する構成とされている目標位置検出装置を実現する。
【0016】
また、上記姿勢位置データ生成手段(姿勢位置計測装置)は、飛行体(ヘリコプタ)に搭載され、上記赤外線カメラ(赤外カメラ)は、上記飛行体の所定の位置に固定され、同飛行体の姿勢角及び現在位置と連動する。
【0017】
また、上記姿勢位置データ生成手段(姿勢位置計測装置)は、飛行体(ヘリコプタ)に搭載され、上記赤外線カメラ(赤外カメラ)は、上記飛行体の所定の位置に旋回可能に搭載されていると共に、同赤外線カメラの撮像方位情報を生成する構成とされ、上記目標対象物位置特定手段(計測制御装置、画像処理・座標演算装置)は、上記赤外画像、上記赤外線カメラ姿勢位置データ及び上記撮像方位情報を解析することにより、上記発熱物体が存在する位置を上記目標対象物の位置として特定する構成とされている。
【0018】
また、上記目標対象物位置特定手段(計測制御装置、画像処理・座標演算装置)は、上記赤外画像、上記赤外線カメラ姿勢位置データ及び上記撮像方位情報に基づいて、上記各赤外画像上の上記発熱物体の座標位置を上記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、上記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、上記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を上記目標対象物の絶対座標として特定する構成とされている。
【実施形態1】
【0019】
図1は、この発明の第1の実施形態である目標位置検出装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態の目標位置検出装置は、同図に示すように、搭載機器10と、地上機器20とから構成されている。搭載機器10は、たとえばヘリコプタなどの飛行体に搭載され、GPS(Global Positioning System )アンテナ11と、姿勢位置計測装置12(GPS/IMU、Global Positioning System/Inertial Measurement Unit )と、赤外カメラ13と、計測制御装置30とから構成されている。
【0020】
赤外カメラ13は、撮像可能範囲を撮像して同撮像可能範囲に存在する発熱物体(たとえば、人体などの発熱体)から放射される赤外線を検出して赤外画像ivを出力する。この場合、赤外カメラ13は、人体の温度を感知しやすい遠赤外線カメラ又は中赤外線カメラが使用される。また、赤外カメラ13は、上記ヘリコプタの所定の位置に固定され、同ヘリコプタの姿勢角及び現在位置と連動する。GPSアンテナ11は、図示しない3つ以上の衛星から送信される各信号電波を受信する。姿勢位置計測装置12は、GPSアンテナ11で受信された各信号電波に基づいて、赤外カメラ13の姿勢角及び現在位置情報を時刻データ(GPS時刻)に対応して取得してGPS/姿勢データgd(赤外線カメラ姿勢位置データ)を生成する。この姿勢位置計測装置12は、たとえば、K−GPS(Kinematic GPS )方式に基づいて構成され、基準局データ(電子基準点などの既知固定点のGPSデータ)と移動局データ(本装置のGPS/IMUデータ)を用いて、GPS時刻に対応した高精度の姿勢位置データを生成する。なお、GPS方式としては、少し位置精度の低いD−GPS(differential GPS)方式を用いても良い。
【0021】
計測制御装置30は、制御部31と、表示部32と、画像記録部33と、データ記録部34とを有している。制御部31は、姿勢位置計測装置12で生成されるGPS/姿勢データgd、及び赤外カメラ13から出力される赤外画像ivを入力し、赤外画像iwを表示部32に送出して表示させる。また、制御部31は、時刻データtaを付与した赤外画像iuを画像記録部33に送出して記録させると共に、時刻データtbを付与したGPS/姿勢データfdをデータ記録部34に送出して記録させる。
【0022】
地上機器20は、地上の施設などに設置され、画像処理・座標演算装置21を有している。画像処理・座標演算装置21は、目標位置検出プログラムに基づいて機能するコンピュータで構成され、画像記録部33に記録されている赤外画像iu、及びデータ記録部34に記録されているGPS/姿勢データfdを解析することにより、上記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する。特に、この実施形態では、画像処理・座標演算装置21は、赤外画像iu及びGPS/姿勢データfdに基づいて、各赤外画像iu上の発熱物体の座標位置を赤外カメラの13位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を目標対象物の絶対座標(すなわち、緯度、経度、及び高さの情報)として特定して対象地点座標データedを出力する。
【0023】
図2は、図1の目標位置検出装置が用いられる環境の例を示す模式図である。
この図2では、図1中の赤外カメラ13がヘリコプタ40に搭載され、地すべり及び雪崩によって発生した遭難者などの目標対象物T1,T2,T3の捜索が行われている状態が示されている。
【0024】
図3は、赤外カメラ13から出力される赤外画像ivの例を示す図、及び図4が、図1の目標位置検出装置の動作を説明するフローチャートである。
これらの図を参照して、この形態の目標位置検出装置に用いられる目標位置検出方法の処理内容について説明する。
この目標位置検出装置では、姿勢位置計測装置12は、ヘリコプタ40に搭載され、赤外カメラ13が、ヘリコプタ40の所定の位置に固定され、同ヘリコプタ40の姿勢角及び現在位置と連動するようになっている。そして、画像処理・座標演算装置21により、画像記録部33に記録されている赤外画像iu、及びデータ記録部34に記録されているGPS/姿勢データfdが解析され、発熱物体が存在する位置が目標対象物の位置として特定される。この場合、画像処理・座標演算装置21により、赤外画像iu及びGPS/姿勢データfdに基づいて、各赤外画像iu上の発熱物体の座標位置を、赤外カメラ13の位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群が生成され、方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分が目標対象物の絶対座標(すなわち、緯度、経度、及び高さの情報)として特定されて対象地点座標データedが出力される(目標対象物位置特定処理)。
【0025】
すなわち、図4に示すように、初期設定として、赤外カメラ13の取付け位置及びカメラ軸の方位角と、姿勢位置計測装置12の取付け位置及び取付け角度との関連付けを行う(ステップA1)。そして、捜索フライトの作業が開始され(フライトスタート)、ステップA2で、姿勢位置計測装置12により離陸前のGPSデータが取得され、同姿勢位置計測装置12によるGPS/姿勢データgd、及びカメラ軸の方位角データに基づいて、赤外カメラ13で撮像された赤外画像ivの各ピクセル座標に対応する方位角(方位ベクトル線)が決まる。この後、ヘリコプタ40が離陸して移動し(ステップA3)、対象エリアが捜索されて赤外カメラ13による撮影が行われ、制御部31に、赤外画像ivが取り込まれると共に、姿勢位置計測装置12による姿勢位置計測データ(GPS/姿勢データgd)が取り込まれる。
【0026】
制御部31から赤外画像iwが表示部32に送出されて表示され、また、時刻データtaが付与された赤外画像iuが画像記録部33に送出されて記録されると共に、時刻データtbが付与されたGPS/姿勢データfdがデータ記録部34に送出されて記録される(ステップA4)。赤外カメラ13を使用することで、遭難者などの人物が高温物として背景の樹木などから分離して撮影しやすくなっている。遭難現場付近では、ヘリコプタ40が広い範囲を網羅的に移動して撮像していき、その後、帰着し(ステップA5)、姿勢位置計測装置12により着陸後のGPSデータが取得され(ステップA6)、フライトが終了する。
【0027】
フライトの終了後、画像記録部33に記録されている赤外画像iu、及びデータ記録部34に記録されているGPS/姿勢データfdが、地上機器20の画像処理・座標演算装置21に取り込まれてデータ処理が行われる。
すなわち、画像処理・座標演算装置21では、赤外画像iuから画像処理によって目標対象物の画面上でのピクセル座標が求められ、このピクセル座標がGPS/姿勢データfdを用いて方位ベクトル線に対応付けられる。この方位ベクトル線は、各時刻でヘリコプタ40の移動と共に変化するため、同一目標を画像処理によって同定して追尾することで(座標系変換処理、画像内候補抽出/追尾、ステップB1)、目標対象物に対する複数の方位ベクトル線が求められる(候補点方位ベクトル算出、ステップB2)。これらの方位ベクトル線の交点(すなわち、共通部分)が目標対象物の座標となる(候補点座標位置算出、ステップB3)。そして、目標対象物の位置と、ヘリコプタ40の座標位置とから、両者間の距離が算出され、目標対象物の大きさの判定が行われるため(距離算出、目標対象物大きさ算出、ステップB4)、最終的に目標候補が絞り込まれ、その座標が提供されて(対象候補選別、座標位置特定、ステップB5)処理が終了する。
【0028】
図3(a)では、時刻t1における赤外カメラ13で撮像された赤外画像ivが示されている。この場合、時刻t1での救難機(ヘリコプタ40)の位置、すなわちカメラ位置P1(座標P1)が決定され、画像処理・座標演算装置21で画像処理して抽出された目標対象物T1,T2,T3は、それぞれ方位ベクトル線v11 ,v21 ,v31 上にある。この後、ヘリコプタ40が移動することにより、図3(b)に示すように、時刻t2での救難機(ヘリコプタ40)の位置、すなわちカメラ位置P2(座標P2)が決定される。目標対象物T1,T2,T3は、パターン認識などの画像処理により同一目標として追尾処理された結果、時刻t2では、それぞれ方位ベクトル線v12 、v22 、v32 上にある。ここで、同一目標で、時刻毎の異なる方位ベクトル線の交点位置(すなわち、共通部分)が目標対象物の座標として求められる。この座標は、ある程度誤差を有するが、同一目標としての追尾時間が長ければ長いほど方位ベクトル線も多くなり、この誤差範囲が小さくなる。
【0029】
以上のように、この第1の実施形態では、画像処理・座標演算装置21により、赤外画像iu及びGPS/姿勢データfdに基づいて、各赤外画像iu上の発熱物体の座標位置を、赤外カメラ13の位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群が生成され、方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分が目標対象物の絶対座標として特定されて対象地点座標データedが出力されるので、遭難者などの目標対象物T1,T2,T3に対して高精度かつ迅速な捜索が可能となる。特に、多数の候補が想定される場合には、非常に有効となる。また、同時に可視カメラ映像を併用すれば、目視確認も容易になるため、詳細な捜索活動に迅速に利用できる。また、ヘリコプタ40に搭載された赤外カメラ13を活用することにより、昼間だけでなく、薄暮から夜間にかけての捜索も可能となるが、夜間の捜索データから捜索ポイント(位置座標)の絞り込みも可能となり、地上からの同時捜索も容易となる。これにより、迅速でポイントを絞った捜索が可能となり、遭難者などの目標発見率の向上につながる。
【実施形態2】
【0030】
この発明の第2の実施形態の目標位置検出装置では、赤外カメラ13は、ヘリコプタ40の所定の位置に図示しない旋回装置を介して旋回可能に搭載されていると共に、同赤外カメラ13の撮像方位情報を生成する構成とされている。また、図1中の画像処理・座標演算装置21に代えて、新たな機能が付加された画像処理・座標演算装置21Aが設けられている。画像処理・座標演算装置21Aでは、画像処理・座標演算装置21の機能に加え、目標対象物の位置(位置座標)を特定する際に、赤外カメラ13により生成される撮像方位情報を含めて解析する構成とされている。すなわち、画像処理・座標演算装置21Aは、赤外画像iu、GPS/姿勢データfd及び赤外カメラ13により生成される撮像方位情報に基づいて、各赤外画像iu上の発熱物体の座標位置を赤外カメラ13の位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を目標対象物の絶対座標として特定して対象地点座標データedを出力する。
【0031】
この形態の目標位置検出装置では、画像処理・座標演算装置21Aにより、目標対象物の位置(位置座標)が、赤外カメラ13により生成される撮像方位情報を含めて解析されるので、人が赤外カメラ13の方位角を変えて捜索する場合にも位置計測処理が可能であり、より柔軟な捜索が可能となる。
【0032】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、より処理性能の高い画像処理・座標変換装置を使用すれば、RTK−GPS(Real Time Kinematic GPS )を使用してフライトしながらのリアルタイムの座標検出も可能である。この場合は、ヘリコプタに搭載した制御部内に画像処理・座標変換装置を内蔵することとなる。また、搭載機器10は、たとえばロボットなどに搭載しても良く、また、展望台などに設置されていても良い。また、図1中の計測制御装置30及び地上機器20は、互いに無線接続される構成とされていても良い。また、姿勢位置計測装置12は、GPSに加え、たとえば、「Galileo」や、「準天頂衛星」などを用いる構成としても良い。
【0033】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0034】
(付記1)
撮像可能範囲を撮像して該撮像可能範囲に存在する発熱物体から放射される赤外線を検出して赤外画像を出力する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの姿勢角及び現在位置情報を時刻データに対応して取得して赤外線カメラ姿勢位置データを生成する姿勢位置データ生成手段と、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像及び前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データを解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する目標対象物位置特定手段とを備えてなる目標位置検出装置。
【0035】
(付記2)
前記目標対象物位置特定手段は、
前記赤外画像及び前記赤外線カメラ姿勢位置データに基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定する構成とされている付記1記載の目標位置検出装置。
【0036】
(付記3)
前記姿勢位置データ生成手段は、飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、
前記飛行体の所定の位置に固定され、該飛行体の姿勢角及び現在位置と連動する付記1又は2記載の目標位置検出装置。
【0037】
(付記4)
前記姿勢位置データ生成手段は、
飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、
前記飛行体の所定の位置に旋回可能に搭載されていると共に、該赤外線カメラの撮像方位情報を生成する構成とされ、
前記目標対象物位置特定手段は、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像、前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記赤外線カメラにより生成される前記撮像方位情報を解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を前記目標対象物の位置として特定する構成とされている付記1又は2記載の目標位置検出装置。
【0038】
(付記5)
前記目標対象物位置特定手段は、
前記赤外画像、前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記撮像方位情報に基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定する構成とされている付記4記載の目標位置検出装置。
【0039】
(付記6)
撮像可能範囲を撮像して該撮像可能範囲に存在する発熱物体から放射される赤外線を検出して赤外画像を出力する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの姿勢角及び現在位置情報を時刻データに対応して取得して赤外線カメラ姿勢位置データを生成する姿勢位置データ生成手段とを有する目標位置検出装置に用いられ、
目標位置検出プログラムがコンピュータに、目標対象物の位置を検出させる目標位置検出方法であって、
前記コンピュータに、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像及び前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データを解析させることにより、前記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する目標対象物位置特定処理を行わせる目標位置検出方法。
【0040】
(付記7)
前記目標対象物位置特定処理では、
前記コンピュータに、
前記赤外画像及び前記赤外線カメラ姿勢位置データに基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定させる付記6記載の目標位置検出方法。
【0041】
(付記8)
前記姿勢位置データ生成手段は、飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、前記飛行体の所定の位置に固定され、該飛行体の姿勢角及び現在位置と連動する付記6又は7記載の目標位置検出方法。
【0042】
(付記9)
前記姿勢位置データ生成手段は、飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、前記飛行体の所定の位置に旋回可能に搭載されていると共に、該赤外線カメラの撮像方位情報を生成する構成とされ、
前記目標対象物位置特定処理では、
前記コンピュータに、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像、前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記赤外線カメラにより生成される前記撮像方位情報を解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を前記目標対象物の位置として特定させる付記6又は7記載の目標位置検出方法。
【0043】
(付記10)
前記目標対象物位置特定処理では、
前記コンピュータに、
前記赤外画像、前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記撮像方位情報に基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定させる付記9記載の目標位置検出方法。
【0044】
(付記11)
コンピュータを、付記1乃至5のいずれか一に記載の目標対象物位置特定手段として機能させる目標位置検出プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、遭難者に限らず、背景に比べて温度の高い物体など、赤外画像で特徴的に自動検出及び追尾しやすい目標の位置座標決定に利用でき、たとえば、送電線設備の異常発熱部位の座標、逃走車両位置座標などの決定に利用できる。特に、夜間に利用する場合に効果的である。
【符号の説明】
【0046】
10 搭載機器(目標位置検出装置の一部)
11 GPS(Global Positioning System )アンテナ(目標位置検出装置の一部)
12 姿勢位置計測装置(GPS/IMU、Global Positioning System/Inertial Measurement Unit )(姿勢位置データ生成手段)
13 赤外カメラ(赤外線カメラ)
20 地上機器(目標位置検出装置の一部)
21 画像処理・座標演算装置(目標対象物位置特定手段の一部)
30 計測制御装置(目標対象物位置特定手段の一部)
31 制御部(目標位置検出装置の一部)
32 表示部(目標位置検出装置の一部)
33 画像記録部(目標位置検出装置の一部)
34 データ記録部(目標位置検出装置の一部)
40 ヘリコプタ(飛行体)
T1,T2,T3 目標対象物
v11 ,v21 ,v31 方位ベクトル線
v12 、v22 、v32 方位ベクトル線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像可能範囲を撮像して該撮像可能範囲に存在する発熱物体から放射される赤外線を検出して赤外画像を出力する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの姿勢角及び現在位置情報を時刻データに対応して取得して赤外線カメラ姿勢位置データを生成する姿勢位置データ生成手段と、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像及び前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データを解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する目標対象物位置特定手段とを備えてなることを特徴とする目標位置検出装置。
【請求項2】
前記目標対象物位置特定手段は、
前記赤外画像及び前記赤外線カメラ姿勢位置データに基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の目標位置検出装置。
【請求項3】
前記姿勢位置データ生成手段は、飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、
前記飛行体の所定の位置に固定され、該飛行体の姿勢角及び現在位置と連動することを特徴とする請求項1又は2記載の目標位置検出装置。
【請求項4】
前記姿勢位置データ生成手段は、
飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、
前記飛行体の所定の位置に旋回可能に搭載されていると共に、該赤外線カメラの撮像方位情報を生成する構成とされ、
前記目標対象物位置特定手段は、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像、前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記赤外線カメラにより生成される前記撮像方位情報を解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を前記目標対象物の位置として特定する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の目標位置検出装置。
【請求項5】
前記目標対象物位置特定手段は、
前記赤外画像、前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記撮像方位情報に基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定する構成とされていることを特徴とする請求項4記載の目標位置検出装置。
【請求項6】
撮像可能範囲を撮像して該撮像可能範囲に存在する発熱物体から放射される赤外線を検出して赤外画像を出力する赤外線カメラと、
前記赤外線カメラの姿勢角及び現在位置情報を時刻データに対応して取得して赤外線カメラ姿勢位置データを生成する姿勢位置データ生成手段とを有する目標位置検出装置に用いられ、
目標位置検出プログラムがコンピュータに、目標対象物の位置を検出させる目標位置検出方法であって、
前記コンピュータに、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像及び前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データを解析させることにより、前記発熱物体が存在する位置を目標対象物の位置として特定する目標対象物位置特定処理を行わせることを特徴とする目標位置検出方法。
【請求項7】
前記目標対象物位置特定処理では、
前記コンピュータに、
前記赤外画像及び前記赤外線カメラ姿勢位置データに基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定させることを特徴とする請求項6記載の目標位置検出方法。
【請求項8】
前記姿勢位置データ生成手段は、飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、前記飛行体の所定の位置に固定され、該飛行体の姿勢角及び現在位置と連動することを特徴とする請求項6又は7記載の目標位置検出方法。
【請求項9】
前記姿勢位置データ生成手段は、飛行体に搭載され、
前記赤外線カメラは、前記飛行体の所定の位置に旋回可能に搭載されていると共に、該赤外線カメラの撮像方位情報を生成する構成とされ、
前記目標対象物位置特定処理では、
前記コンピュータに、
前記赤外線カメラから出力される前記赤外画像、前記姿勢位置データ生成手段により生成される前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記赤外線カメラにより生成される前記撮像方位情報を解析することにより、前記発熱物体が存在する位置を前記目標対象物の位置として特定させることを特徴とする請求項6又は7記載の目標位置検出方法。
【請求項10】
前記目標対象物位置特定処理では、
前記コンピュータに、
前記赤外画像、前記赤外線カメラ姿勢位置データ及び前記撮像方位情報に基づいて、前記各赤外画像上の前記発熱物体の座標位置を前記赤外線カメラの位置を基準とする方位ベクトル線に対応付けることにより、前記発熱物体に対して時系列の方位ベクトル線群を生成し、前記方位ベクトル線群を構成する各方位ベクトル線の共通部分を前記目標対象物の絶対座標として特定させることを特徴とする請求項9記載の目標位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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