説明

目標物体との距離を確定するための方法および装置

【課題】この発明は、目標物体(200)との距離(R)を確定するための方法に関する。
【解決手段】この方法では、電磁波を送信信号(120a)の形態で送信器(111a)によって送信し、目標物体(200)で反射された送信信号(120a)の少なくとも一部分を、受信信号(120c,120d)の形態で受信器(111b)によって受信し、受信信号(120c,120d)の評価を基準信号(120b)に従って行なう。この基準信号(120b)は、送信信号(120a)に対する周知の位相差および送信信号(120a)と同一の周波数を有する。基準信号(120b)および受信信号(120c,120d)の周波数を、分周器(113)で、基準信号(120b)と受信信号(120c,120d)との間に存在する位相差を維持しつつ、同じ事前設定可能な分周率xだけ減少して、減少された周波数を有する基準信号(120b´)および減少された周波数を有する受信信号(120d´)を得ること、および減少された周波数を有する基準信号(120b´)と、減少された周波数を有する受信信号(120d´)との間の位相差を評価して、距離(R)を確定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目標物体との距離を確定するための方法に関する。この方法で、電磁波を送信信号の形態で送信器によって送信し、目標物体で反射された送信信号の少なくとも一部分を、受信信号の形態で受信器によって受信し、受信信号の評価を基準信号に従って行なう。この基準信号は、送信信号に対する周知の位相差および送信信号と同一の周波数を有する。
【0002】
さらに、この発明は、請求項11の前提部分に記載の、目標物体との距離を確定するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
このタイプの方法および装置は知られており、一方では送信信号および受信信号、他方では基準信号の種々の信号伝達経路長によって生起される、受信信号と基準信号との間の位相差を用いて、目標物体との距離を確定する。しかしながら、この場合、距離のこのような確定の明確性範囲は、用いられた受信信号の波長内にのみ存する。
【0004】
他の知られた方法で、高まる周波数を有する送信信号、いわゆるチャープ信号(chirp-Signal)が送信され、目標物体で反射された対応の受信信号と関連させられる。2つの信号の差周波数は、目標物体の距離に比例している。この方法の特別な欠点は、目標物体の距離を確定の際に位置分解能が低いことである。この位置分解能は、送信信号の周波数が約24GHzの際に、およびチャープ帯域が約200MHzの際に、約0.75mに過ぎない。スペクトル範囲での典型的な評価の際に、位置精度は、デシメートルの範囲で達成される。近傍領域の多くの使用のためには、特に、自動車両区域における距離の検出のためには、このように低い位置分解能および位置精度は不適切である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、この発明の課題は、明細書の最初の部分に記載のタイプの方法および装置を、距離の確定の際の明確性範囲のみならず位置分解能および位置精度が改善されて、距離の確定のために必要な装置の複雑さを同時に増す必要がないように、改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
明細書の最初の部分に記載されたタイプの方法では、上記課題は、この発明により、基準信号および受信信号の周波数を、分周器で、基準信号と受信信号との間に存在する位相差を維持しつつ、同じ事前設定可能な分周率だけ減少して、減少された周波数を有する基準信号および減少された周波数を有する受信信号を得ること、および減少された周波数を有する基準信号と、減少された周波数を有する受信信号との間の位相差を評価して、距離を確定することによって、解決される。
【0007】
受信信号および基準信号の周波数を事前設定可能な分周率だけこの発明に基づき減少させることによって、受信信号および基準信号の各々の波長の、分周率に対応する拡大が生じる。このことによって、距離の確定に関する明確性範囲が同様に拡大される。このことによって、減少された周波数を有する基準信号と、減少された周波数を有する受信信号との間の位相差を評価することによって、従来の技術に比べて改善された距離の確定を実行することができる。
【0008】
この発明に係わる方法の好都合な実施の形態では、受信信号が増幅され、その後で、受信信号は、増幅された受信信号の形態で、分周器に供給される。この処置によって、受信信号の加工の際の変動範囲が拡大される。このことによって、検出される距離範囲の相応の拡大も生じる。
【0009】
この発明の他の実施の形態では、受信信号および/または基準信号をディジタル信号に変換することを提案することは特に適切である。このことによって、各々の信号の簡単な再加工、およびアナログ信号に比較しての低い干渉感受性が生じる。変換のためには、例えばシュミットトリガまたは比較器を用いることができる。相応に高速の構成要素は、分周率が低い場合には、例えば、光学式の通信技術の分野から入手可能である。このような分周率では、既に減少された周波数を有する信号も、依然として、ギガヘルツの範囲の周波数を有する。
【0010】
受信信号および/または基準信号の、ディジタル信号への変換は、特に、この発明に係わる周波数分割の前には、非常に好都合である。何故ならば、この場合、分周器が非常に単純に形成されていることが可能だからである。例えば、この発明のこの変形例では、簡単な2進カウンタを、分周器として用いることができる。
【0011】
この発明に係わる周波数分割の後に、減少された周波数を有する基準信号と、減少された周波数を有する受信信号とから、位相比較器によって、減少された周波数を有する基準信号と、減少された周波数を有する受信信号との間の位相差に比例した出力電圧を得ることが可能である。
【0012】
この出力電圧を、それ自体、例えばアナログ/ディジタル変換器によってディジタル化し、続いて、更なる加工のために、演算装置に供給することができる。特に、出力電圧を、目標物体の距離を確定するために、評価する。このことを、例えばマイクロコントローラまたはディジタル信号プロセッサ(DSP)によって行なうことが可能である。
【0013】
演算装置の、例えば、ここでは高速のDPSの十分に大きい加工速度の場合、または分周器の十分に大きな分周率の場合、ディジタル信号としてある受信信号および基準信号を、直接、DPSの、対応の入力端に供給することも可能である。このDPSは、信号を、例えば断続制御で周期的にスキャンし、計算によって位相差を確定する。このことによって、別個の位相比較器が無用となる。
【0014】
この発明に係わる方法の他の変形例は、送信信号および/または基準信号が、VCO(電圧制御発振器)とも呼ばれる電気的に同調可能な発振器によって、発生されることを特徴とする。この場合、信号周波数は、特に、発振器に供給可能な入力電圧に従って、選択かつ調整される。
【0015】
この発明の他の非常に好都合な変形例では、距離の確定のために用いられる装置内で生じる、送信信号のおよび/または基準信号のおよび/または基準信号の種々の波長および/または、特に、受信信号の増幅のために設けられた増幅器によって、引き起こされた、信号の他の走行時間差(Laufzeitunterschiede)が補償される。
【0016】
このような走行時間差は、例えば、種々の導波路における種々の伝搬条件または増幅器の群遅延時間等に基づいて生じることがあり、望ましくない。何故ならば、走行時間差は、受信信号と基準信号の間の位相差に含まれている距離情報に、誤りを加えるからである。
【0017】
この発明に係わる方法の精度をさらに上げるためには、種々の周波数を有する複数の送信信号を順々に送信することが提案されている。受信信号と基準信号との間の位相差から目標物体の距離を確定する際の、この発明に基づき既に周波数分割によって分周率だけ拡大される明確性範囲を、拡大するためには、例えば、異なった周波数を有する2つの送信信号で十分である。
【0018】
この発明の課題の他の解決策としては、請求項11に記載の装置が記述されている。この発明に係わる装置の複数の好都合な実施の形態は、請求項12ないし18の主題である。
【0019】
この発明の他の特徴、利点および実施の形態は、以下の図面の説明において、図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、目標物体200との距離Rを確定するために設けられている、この発明に係わる装置100を示す。この目的のために、装置100は、電磁波を送信するための送信器111aを有する。電磁波は、送信器に供給される送信信号120aの形態をとる。送信器111aは、例えば、ホーンアンテナまたはパッチアンテナであってもよい。送信信号120aを増幅するために、送信器111aは、場合によっては、図1に図示しない高周波増幅器を有することも可能である。周波数増幅器は、使用されたホーンアンテナまたはパッチアンテナに前置されている。
【0021】
送信器111aは、図1で右側に示された目標物体200に、送信信号120aを供給する。この送信信号の少なくとも一部分が、目標物体200で反射されかつ受信器111bで受信される。例えば同様にホーンアンテナまたはパッチアンテナを有する受信器111bで受信された信号を、以下の記述で、受信信号120cと呼ぶ。
【0022】
この発明では、受信信号120cは、増幅器112に供給される。増幅器は、出力端で、増幅された受信信号120dを提供する。
【0023】
この発明では、増幅された受信信号120dは、続いて、分周器113に供給される。分周器は、増幅された受信信号120dの周波数を、事前設定可能な分周率(Teilerfaktor)xだけ減少する。このことは、分周器113の出力端で、減少された周波数を有する受信信号120d´を生じさせる。同様にして、分周器113に、基準信号120bが供給される。基準信号は、増幅された受信信号120dと同様に、周波数減少を、同じ分周率xだけ受ける。このことは、減少された周波数を有する基準信号120b´を生じさせる。
【0024】
基準信号120bは、送信信号120aに対する、周知の、この場合では消失と仮定される位相差、および送信信号120aと同一の周波数を有する。したがって、送信信号120aまたは増幅された受信信号120dと、基準信号120bとの間の、距離Rにより限定された距離差2Rによって、増幅された受信信号120dと基準信号120bとの間の位相差が生じる。この位相差は、送信器111aおよび受信器111bと、目標物体200との間の距離Rに直接的に従う。
【0025】
この位相差からは、周知のように、送信信号120aの周波数f 1の情報の下で、目標物体200との距離Rを確定することができる。しかしながら、従来の方法では、正弦状の送信信号120aに基づいて、距離Rの確定に関する、送信信号120aの波長に対応する明確性範囲のみが存在する。
【0026】
この欠点を回避するために、この発明に係わる方法では、増幅された受信信号120dおよび基準信号120bの周波数を、既述のように、夫々、分周器113によって、分周率xだけ減少する。信号120a,120c,120dおよび基準信号120bの周波数f 1から出発して、減少された周波数を有する受信信号120d´に関し、および減少された周波数を有する基準信号120b´に関し、新たな周波数f 1´=f 1/xが生じる。
【0027】
分周器113は、この発明では、増幅された受信信号120dと基準信号120dとの間にある位相差が、周波数分割(Frequenzteilung)によっても影響を受けないように、形成されている。すなわち、減少された周波数を有する基準信号120b´と、減少された周波数を有する受信信号120d´との間には、依然として、周波数分割前と同一の位相差が存在する。
【0028】
この発明に係わる周波数分割によって、距離Rの確定の際に、明確性範囲を、周波数分割の際に使用される分周率xだけ拡大することは好都合である。x=16の分周率の選択の際に、従来の方法による距離の確定に比べて、同様に率x=16だけ拡大された明確性範囲が生じることは非常に好都合である。
【0029】
減少された周波数を有する基準信号120b´、および減少された周波数を有する受信信号120d´は、図1から明らかなように、位相比較器114に供給される。この位相比較器は、出力端で、減少された周波数を有する基準信号120b´と、減少された周波数を有する受信信号120d´との間の位相差に比例した出力電圧121aを提供する。この出力電圧121aは、ディジタル化のために、アナログ/ディジタル変換器115に供給される。アナログ/ディジタル変換器は、出力端で、例えばマイクロコントローラまたはDSPとして形成された演算装置116により更に評価するために、ディジタル化された出力電圧121bを出力させる。このことから、演算装置116は、目標物体200との距離Rを確定する。
【0030】
基準信号120bと送信信号120aとの間にある、装置に基づいて生じる位相差が、この場合と異なって、0でないとき、この位相差を、計算によって、校正することができる。何故ならば、位相差は一定であり、例えば、シミュレーションまたは測定によって確定されることができるからである。
【0031】
この発明の特に好都合な実施の形態では、送信信号120aは、基準信号120bと同様に、VCO(電圧制御発振器)とも呼ばれる電気的に同調可能な発振器110によって、発生される。この場合、送信信号120aおよび基準信号120bの周波数は、VCO110に供給された入力電圧U 1の適切な選択によって調整される。このことを、例えば、同様に演算装置116によって行なうことができる。
【0032】
以下、図2に示した流れ図を参照して、この発明の他の実施の形態を説明する。
【0033】
図2に示す実施の形態では、第1のステップ300で、送信信号120aおよび基準信号120bの第1の周波数f 1を、VCO110の入力電圧U 1(図1を参照せよ)の適切な選択によって調整する。
【0034】
続いて、ステップ310で、送信信号120aを、送信器111aから目標物体200(図1の右側)の方向に発し、ステップ311で、受信器111bによって受信信号120cとして受信し、増幅器112で増幅する。
【0035】
この発明に係わる方法のステップ320で、増幅された受信信号120dおよび基準信号120bを、分周器113によって減少する。このことによって、減少された周波数を有する受信信号120d´および減少された周波数を有する基準信号120b´が得られる。双方の信号は、分周器113の分周率xだけ減少された周波数f 1´=f 1/xを有する。
【0036】
図2に示す次のステップ330で、減少された周波数を有する受信信号120d´と、減少された周波数を有する基準信号120b´との間の位相差の既述の分析、ならびに、距離Rの適切な確定が纏められている。
【0037】
この発明に係わる方法の精度をさらにに高めるために、続いて、ステップ350で、送信信号120aおよび基準信号120bの、第1の周波数f 1とは異なる第2の周波数f 2を、VCO110の入力電圧U 1(図1を参照せよ)の適切な選択によって調整する。
【0038】
複数のステップ310ないし330と同じく、次に、まず、ステップ360で、周波数f 2の送信信号を発し、ステップ361で、少なくとも部分的に、受信信号120cの形態で受信し、増幅器112で増幅する。ステップ370で、最後に、この発明に係わる周波数分割を行なう。このことによって、今や、減少された周波数を有する受信信号120d´および減少された周波数を有する基準信号120b´が得られる。双方の信号は、分周器113の分周率xだけ減少された周波数f 2´=f 2/xを有する。
【0039】
図2に挙げた次のステップ380で、減少された周波数を有する受信信号120d´と、減少された周波数を有する基準信号120b´との間の位相差の既述の分析、ならびに、距離Rの適切な確定が纏められている。
【0040】
広い意味ではFSK原理(フリクエンシ・シフト・キーイング、周波数偏移変調)としても意味する、距離の、2つの連続する測定のための、2つの異なった周波数f 1,f 2を使用することによって、目標物体200との距離Rの明確な確定を可能にする。一般的には、この発明に係わる方法では2よりも多い種々の周波数を用いることも考えられる。
【0041】
この発明の特に好都合な実施の形態では、受信信号120cまたは増幅された受信信号120dおよび基準信号120bは、分周器113における周波数分割の前に、ディジタル信号に変換される。このディジタル信号は2つの値すなわちゼロおよび1のみを仮定することができる。この場合、変換をシュミットトリガまたは比較器を用いて行なうことができることは好ましい。
【0042】
このように、例えば2進カウンタにより、位相差を注意しつつ、特に簡単な周波数分割を行なうことができる。分周率xが相応に大きく選択されるとき、ディジタル信号として存在する、減少された周波数を有する受信信号120d´、および同様にディジタル信号として存在する、減少された周波数を有する基準信号120b´を、直接に、演算装置116に、例えば高速のDSPに供給することも可能である。この場合、DSPは、このDSPに供給された信号から、直接に、位相差を確定することができる。
【0043】
他方では、ディジタル信号として存在する、減少された周波数を有する信号120b´,120d´も、まず、図1に示すように、位相比較器114に供給することができる。位相比較器は、相応の出力電圧121aを提供する。この出力信号を、既述のように、距離Rを確定するべく再加工することが可能である。
【0044】
この発明の他の非常に好都合な実施の形態は、送信信号120aおよび/または受信信号120c,120dおよび/または受信信号120bを送信するための装置100に設けられた信号伝達経路、あるいは、信号120a,120b,120c,120dを送信する複数の他の構成要素、例えば増幅器112が、距離Rに従う、受信信号120c,120dと基準信号120bとの間の位相差に影響を及ぼさないように、信号伝達経路または構成要素が形成されていることを提案する。このようにして、信号120a,120b,120c,120dを送信するための装置100における局所的経路、あるいはまた、増幅器112における種々の群遅延時間が、距離の確定の際の精度に悪影響を及ぼさないことが保証されている。装置100内に存在する、実際の、種々の信号伝達経路長、または、増幅器112における周波数に従う群遅延時間を、補償することができるのは、演算装置116が、距離Rを確定する際に、信号伝達経路長または群遅延時間を考慮することによってである。
【0045】
従来の装置では、受信信号のコヒーレント復調が混合器を用いてなされ、それ故に、同様に、送信信号と受信信号との間の位相差が評価可能である。これらの従来の装置とは逆に、この発明に係わる方法を実施するためのコストは比較的僅かである。何故ならば、従来の構成要素に追加して、この発明に係わる分周器113(図1)しか必要ないからである。複数の発振器およびこれらの発振器の同期化は、従来の技術とは異なり、この発明では、不要である。むしろ、電気的に同調可能な発振器110は、この発明に係わる装置100の場合には、自由に動くことができる。すなわち、この発振器は、他の発振器または他の構成要素に対する、所定の、固定の位相関係を有する必要がない。
【0046】
この発明の他の利点は、距離の確定の前に、校正が必要ないことにある。
【0047】
更に、この発明に係わる方法よって、送信信号の周波数f 1,f 2の波長よりも遥かに短い距離Rも確定される。従って、この発明に係わる方法は、特に、自動車両の区域での距離の確定のためにも、適切である。この方法で、例えば、自動車両の直ぐ回りにある障害物が認識され、障害物と自動車両との距離が確定されねばならない。
【0048】
一般的には、この発明に係わる方法を、この発明に係わる分周器の分だけ拡張可能であるいかなる現存のレーダシステムにも用いることができる。周波数偏移変調を行なう現存のレーダシステムを、同様に、この発明に係わる方法を実施するために用いることができる。
【0049】
この発明の主題が、特に、高い位置分解能および位置精度の故に、自動車両09区域で距離を検出するための、レーダに基づいたシステムでも、例えば、隙間駐車補助システムでも、衝突認識システム等の場合でも、使用可能であることは全く特に好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明に係わる装置の実施の形態を示す。
【図2】この発明に係わる方法の実施の形態の簡略化された流れ図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標物体(200)との距離(R)を確定するための方法であって、電磁波を送信信号(120a)の形態で送信器(111a)によって送信し、前記目標物体(200)で反射された前記送信信号(120a)の少なくとも一部分を、受信信号(120c,120d)の形態で受信器(111b)によって受信し、前記受信信号(120c,120d)の評価を基準信号(120b)に従って行ない、この基準信号(120b)は、前記送信信号(120a)に対する周知の位相差および前記送信信号(120a)と同一の周波数を有し、
前記基準信号(120b)および前記受信信号(120c,120d)の周波数を、分周器(113)で、前記基準信号(120b)と前記受信信号(120c,120d)との間に存在する位相差を維持しつつ、同じ事前設定可能な分周率(x)だけ減少して、減少された周波数を有する基準信号(120b´)および減少された周波数を有する受信信号(120d´)を得ること、および前記減少された周波数を有する基準信号(120b´)と、前記減少された周波数を有する受信信号(120d´)との間の位相差を評価して、前記距離(R)を確定することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記受信周波数(120c)を増幅して、増幅された受信信号(120d)を得ること、およびこの増幅された受信信号(120d)を前記分周器(113)に供給することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信信号(120c,120d)および/または前記基準信号(120b)を、特に、前記分周器(113)における周波数分割の前に、好ましくはシュミットトリガまたは比較器を用いて、ディジタル信号に変換することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記周波数分割を、この周波数分割の前の前記受信信号(120c,120d)および/または前記基準信号(120b)の変換の場合に、2進カウンタによって行なうことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記減少された周波数を有する基準信号(120b´)と、前記減少された周波数を有する受信信号(120d´)とから、位相比較器(114)によって、前記減少された周波数を有する基準信号(120b´)と、前記減少された周波数を有する受信信号(120d´)との間の位相差に比例した出力電圧(121a)を得ることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載の方法。
【請求項6】
前記出力電圧(121a)をアナログ/ディジタル変換器(115)によってディジタル化して、ディジタル化された出力電圧(121b)を得ることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記出力電圧(121a)および/または前記ディジタル化された出力電圧(121b)を、前記距離(R)を確定するために、演算装置(116)に、特にマイクロコントローラまたはディジタル信号プロセッサに供給することを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記送信信号(120a)および/または前記基準信号(120b)を、電気的に同調可能な発振器(110)によって、特に、この発振器(110)に供給可能な入力電圧(U 1)に従って発生させることを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載の方法。
【請求項9】
前記距離の確定のために用いられる装置(100)内で生じる、前記送信信号(120a)および/または前記基準信号(120b)および/または前記基準信号(120b)の種々の波長および/または、特に、前記受信信号(120c)の増幅のために設けられた増幅器(112)によって、引き起こされた、前記信号(120a,120b,120c,120d)の他の走行時間差を補償することを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載の方法。
【請求項10】
種々の周波数を有する複数の送信信号(120a)を、順々に送信することを特徴とする前記すべての請求項のいずれか1に記載の方法。
【請求項11】
目標物体(200)との距離(R)を確定するための装置(100)であって、送信信号(120a)の形態で電磁波を送信するための送信器(111a)と、前記目標物体(200)で反射される前記送信信号(120a)の少なくとも一部分を、受信信号(120c,120d)の形態で受信する受信器(111b)とを具備し、前記受信信号(120c,120d)の評価は、基準信号(120b)に従って実行可能であり、この基準信号(120b)は、前記送信信号(120a)に対する周知の位相差および前記送信信号(120a)と同一の周波数を有し、
前記基準信号(120b)および前記受信信号(120c,120d)の周波数を、前記基準信号(120b)と前記受信信号(120c,120d)との間に存在する位相差を維持しつつ、同じ事前設定可能な分周率(x)だけ減少して、減少された周波数を有する基準信号(120b´)および減少された周波数を有する受信信号(120d´)を得る分周器(113)を具備することを特徴とする装置(100)。
【請求項12】
前記受信信号(120c,120d)および/または前記基準信号(120b)をディジタル信号に変換する装置を具備し、この装置は、好ましくはシュミットトリガまたは比較器として形成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記分周器(113)は2進カウンタとして形成されていることを特徴とする請求項11または12に記載の装置(100)。
【請求項14】
位相比較器(114)を有することを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1に記載の装置(100)。
【請求項15】
特に、前記送信信号(120a)および/または前記基準信号(120b)を発生させるために、設けられた、電気的に同調可能な発振器(110)を有することを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1に記載の装置(100)。
【請求項16】
演算装置(116)を有し、この演算装置(116)は、特にマイクロコントローラとしてまたはディジタル信号プロセッサDSPとして形成されていることを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1に記載の装置(100)。
【請求項17】
前記送信器(111a)および/または前記受信器(111b)は、ホーンアンテナまたはパッチアンテナを有することを特徴とする請求項11ないし16のいずれか1に記載の装置(100)。
【請求項18】
前記送信信号(120a)および/または前記受信信号(120c,120d)および/または前記基準信号(120b)を送信するための前記装置(100)に設けられた信号伝達経路、あるいは、前記信号(120a,120b,120c,120d)を送信する複数の他の構成要素が、前記距離(R)に従う、前記受信信号(120c,120d)と前記基準信号(120b)との間の位相差に影響を及ぼさないように、前記信号伝達経路または前記構成要素が形成されていることを特徴とする請求項11ないし17のいずれか1に記載の装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−541025(P2008−541025A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509336(P2008−509336)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003910
【国際公開番号】WO2006/117125
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(303049337)バレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー (18)
【Fターム(参考)】