説明

目標物検出装置及びプログラム

【課題】 監視方向と進行方向が逆向きの状態から右左折等により進行方向が変わった場合に、遠方地点にある目標物が警報対象となって不要な警報の発生が多発することを抑制すること
【解決手段】 自車進行を基準とした所定角度範囲内に目標物が存在する場合に警報対象の目標物として抽出するに際し、その所定角度範囲内が、自車位置から第1基準距離(600m)以内の近接領域の角度範囲(±80度)よりも、第2基準距離(1100m)までの遠方領域を狭くし、その遠方領域における所定角度範囲は、第2基準距離における所定角度範囲が±50度と最も狭くし、目標物の監視方向の±40度の監視領域との関係から、車両の進行方向と、目標物の監視方向とが直交するような位置関係にあるとき、進行方向に対する所定角度範囲内の領域と、前記目標物の監視領域が重複しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置に基づいて周囲の目標物を検出する目標物検出装置及びプログラムに関するもので、より具体的には、自車位置を中心として周囲に存在する目標物を検出する際の検出対象となる範囲・条件の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車両速度測定装置等の検出対象となる目標物の位置情報を記憶保持しておき、GPSにより検出した自車の現在位置と目標物の位置とが所定の位置関係になった場合に警報を発するようにした目標物検出装置がある(例えば、特許文献1等)。
【0003】
上記の特許文献1等の目標物検出装置の場合、例えば、検出対象物と車両の現在位置が設定された距離(例えば、1kmや500m等)に至った際に、「500m先、○○です。」(○○は、目標物を特定する情報(ループコイル等)等の音声による警報を出力したり、ディスプレイ上に係る情報をテキストで出力表示したりする。
【0004】
これらの目標物検出装置は、例えば車両速度測定装置への接近をドライバーに知らせることで、ドライバーが知らず知らずのうちに速度を出しすぎてしまうのを予防することに貢献している。特に、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所等に設置されていることが多いため、危険性のある場所で、ドライバーに対して速度超過への注意を喚起することができる。
【0005】
また、自車の現在位置と目標物との所定の位置関係は、通常、目標物までの距離が設定した範囲内に近づいたことに加え、自車の進行方向に対して、所定角度範囲内の領域内に存在することがある。これは、警報が必要な目標物は、走行中の自車がその後に接近し通過する可能性が高いものにするのが好ましいため、たとえば、自車の進行方向の後方に存在する目標物についてはたとえ距離が短くても警報しない方が望ましいからである。
【0006】
さらに、通常の車両の走行において、交差点で右左折して進行方向が90度回転することは、よくある。従って、たとえば、現在走行中の道路には目標物が存在していなくても、上記のように右左折した後の走行する道路上であって、その交差点の近い位置に目標物が存在している場合にも、右左折する前に検出し、警報を発するのが好ましい。そこで、この種の装置では、上記の自車の進行方向に対する所定角度範囲内の領域は、±90度とすることが行われる。これにより、たとえば、表示画面に自車の進行方向前方を表示画面の上に向いた状態で、自車のマークと目標物のマークをそれぞれの存在位置に描画するようにした場合、自車のマークを含む表示画面の水平ラインよりも上側に、警報対象の目標物のマークが描画されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3070388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、目標物の一つである車両速度測定装置は、監視する方向がある。つまり、車両速度測定装置が、道路の上り車線について監視している場合、下り車線を走行する車両にとっては当該車両速度測定装置の存在は必ずしも知らなくても良い。従って、そのように監視方向がある目標物の場合、その監視領域を特定する情報を関連づけて登録しておき、上記の目標物までの距離と、自車の進行方向に対する所定角度範囲内の領域に加え、目標物の監視領域内に自車が存在することも条件にし、それら3つの条件を具備する場合に警報対象の目標物ありと判断して警報を発するようにしている。
【0009】
このとき、目標物が所望のマイクロ波を出射する車両速度測定装置とすると、その目標物の監視領域は、出射されるマイクロ波が到達されて速度が計測される範囲であって、一定の幅がある。そこで、目標物の監視領域は、たとえば、目標物の監視方向と、その監視方向に対する左右の角度範囲(±Y度:Yは目標物ごとに変えても良いし、固定でも良い)により規定したり、監視領域の両端を特定する2つの方向により規定したりするなど、各種の方法を用いて当該広がりのある領域を規定することができる。
【0010】
つまり、自車の現在位置と目標物までの距離(条件1)と、目標物を基準とした監視領域(条件2)と、自車の現在位置を基準とした進行方向に対する所定角度範囲内の領域(条件3)の3つの条件のすべてを充足する場合に、該当する目標物は検出対象と判断し、所定の警報を発する制御を行う。なお、たとえば、自車の進行方向に対する所定角度範囲(たとえば±90度)内の領域に目標物が存在するか否か(条件3)の判断は、自車進行方向の方位が、自車から見たターゲットの中心への方位に対して、±90度以内か否かを求めることで判断することができる。
【0011】
上述したように、3つの条件に基づいて警報対象の目標物の有無を判断するとようにした場合、以下に示す問題が生じる。たとえば、条件3が、自車の進行方向に対し、±90度の範囲とし、条件2が、監視方向の左右±40度の範囲とした場合、図1に示すように、自車の進行方向と、目標物の監視方向が直交するような場合でも、条件1の両者間の距離が満たすと検出対象の目標物となり、警報を発することになる。そして、図1(b)に示すように、自車の真横に目標物が存在している場合も、警報を発し続けることができる。よって、この図1(b)の自車位置が十字路となっており、この地点で右折した場合には、右折後の進行方向に目標物が存在しているが、ユーザは、その存在を事前に知ることができる。
【0012】
しかしながら、例えば目標物である車両速度測定装置が自車の進行方向の後方側に存在している場合において、自車位置から1kmといった遠方位置における条件1,条件2が成立する範囲で右折/左折すると、条件3が成立して警報を発する事態が生じる。これは、この種の車両速度測定装置は、その監視方向が若干車線中央側に向いているため道路の方向に対して所定角度傾斜していることや、実際に右折/左折をする際に直角に進路を変えることはなく90度以上旋回したり、道路自体が碁盤の目のようにきれいに配置されていなかったりするなどの各種要因からなる。係る場合、右折/左折後の車両の進行方向と車両速度測定装置の監視方向は、90度異なっており、その直前にすでに進行方向を90度回転したことと、遠方であることに鑑みると、当該車両速度測定装置まで警報対象の目標物として警報を発する必要性は低く、ユーザにとって係る警報はかえって邪魔なものとなりかねない。
【0013】
また、昨今のこの種の目標物検出装置は、表示画面の大型化に伴い、自車のマークと、目標物のマークをそれぞれの存在位置に対応する画面上の位置に描画する警報方式がとられている。そして、目標物もその種類によって重要度を分け、重要度が高い目標物が検出されると、その目標物のマークに注目を充てるフォーカシング制御を行うこともある。そして、このフォーカシングが、地図を動かしたりスケーリングを変えたりするものとすると、特に遠方位置において、進行方向と監視方向とが90度近く異なっている場合、そのフォーカシングの際の変化が大きく、処理負荷が大きい。そして、そのように処理負荷が大きいのにもかかわらず、上記のように遠方位置において、進行方向と監視方向とが90度近く異なっているような目標物は、警報の重要度はあまり高くない(警報の意味が薄い)ので、他の車両速度測定装置と同様に警報するのに疑義が生じる。
【0014】
さらに、登録するデータ数が増加すると、上記のケースに該当して警報対象の目標物として検出されて警報を発する事態が増し、特に、都心等は頻繁に警報状態になるおそれもあるといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明は、(1)自車の位置を検出する位置検出手段と、検出対象の目標物の位置情報とその目標物の監視領域を特定する情報とを関連づけて記憶するデータベースと、前記位置検出手段で検出された現在位置情報と、前記データベースに格納された目標物の位置情報とに基づき、自車の周囲に存在する目標物を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された目標物についての警報情報を、出力手段へ出力する制御を行う警報制御手段と、を備える。そして、前記抽出手段は、現在位置と目標物の位置の距離が、予め設定された指定距離以内であり(条件1)、目標物の監視領域内に自車が存在し(条件2)、自車進行方向を含む所定範囲内にその目標物が存在する場合に警報対象の目標物として抽出するものであり(条件3)、車両の進行方向と、目標物の監視方向とが直交するような位置関係にあるとき、前記監視領域内に自車が存在しないか、前記所定範囲内に目標物が存在しないよう、前記監視領域及び前記所定範囲を設定した。
【0016】
このようにすると、目標物の監視方向が自車の進行方向と直交(あるいは直交未満)するような自車の横方向に存在する目標物を検出対象の目標物として抽出することがほぼ無くなる。しかも、たとえば、自車の進行方向の後方側に存在する目標物の監視方向と車両の進行方向が同じ方向を向いている場合(目標物が監視する車線と走行方向が反対の車線を走行している場合等)において、右左折して進路を90度変えるような回転が行われた場合でも、警報対象の目標物にならないで済む。よって、あまり有意義でない無駄な警報が多発することを抑制できる。
【0017】
(2)前記直交するような位置関係は、前記予め設定された指定距離における位置関係としたり、(3)前記直交するような位置関係は、前記車両の進行方向と前記目標物の監視方向のなす角が90度以下としたりすることができる。(4)さらに、前記監視領域は、前記目標物の監視方向を基準とした所定角度範囲内であり、前記所定範囲は、前記自車の進行方向を基準とした所定角度範囲とすることができる。このように範囲に設定すると、方向と角度で簡単にその範囲が特定できるので好ましい。
【0018】
(5)前記所定範囲は、前記自車の進行方向を基準とした所定角度範囲であって、前記所定角度範囲内は、自車位置から第1基準距離以内の近接領域よりも、その第1基準距離から第2基準距離(第1基準距離より遠い)までの遠方領域を狭くし、その遠方領域における前記所定角度範囲は、前記第2基準距離における所定角度範囲が最も狭く、車両の進行方向と、目標物の監視方向とが直交するような位置関係にあるとき、前記進行方向に対する所定角度範囲内の領域と、前記目標物の監視領域が重複しないように設定するとよい。ここで、第2基準距離における所定角度範囲が最も狭くなっていればよいので、遠方領域の全体が同じ角度範囲(近接領域の角度範囲よりは狭い)となっていても良いし、近接領域(自車の現在位置)に近づくにつれて段階的に広くなるようにしても良いし、実施形態のように近接領域(自車の現在位置)に近づくにつれて連続して徐々に広くなるようにしてもよい。また、進行方向に対する所定角度範囲内の領域と、前記目標物の監視領域が重複しないように設定するとは、換言すると、進行方向を基準とした範囲の境界線と、目標物の監視領域の境界線が接するか、交差しないようにするともいえる。
【0019】
なお、遠方領域における所定角度は、最も遠い第2基準距離が最も狭くなっていればよく、第2基準距離から第1基準距離までの間は、当該第2基準距離における角度範囲より狭くならなければよいので、全体を同じにすることもできるが、そうすると、近接領域と遠方領域との間(第1基準距離前後)で急に進行方向に対する所定角度範囲内が変わるので、段階的より好ましくは連続的に広くするのがよい。なおまた、近接領域における所定角度は、実施形態では一定にしているが、この近接領域でも適宜異なるようにしても良い。
【0020】
このようにすると、目標物が自車位置から第2基準距離だけ離れているような遠方に存在する場合において、目標物の監視方向が自車の進行方向と直交(あるいは直交未満)するような自車の横方向に存在する目標物を検出対象の目標物として抽出することがほぼ無くなる。しかも、たとえば、自車の進行方向の後方側に存在する目標物の監視方向と車両の進行方向が同じ方向を向いている場合(目標物が監視する車線と走行方向が反対の車線を走行している場合等)において、遠方位置にて右左折して進路を90度変えるような回転が行われた場合でも、警報対象の目標物にならないで済む。よって、あまり有意義でない無駄な警報が多発することを抑制できる。そして、近接領域では、進行方向に対する所定角度範囲を広くすることで、上記のように、近い位置で自車進行方向と直交する方向を持つ道路上の目標物は、検出対象の目標物として抽出することができる(抽出されるケースが増える)ので、進行方向を変えることで急に目標物が出現(抽出)され、それに伴い警報が発するのを抑制できる(進路を変える前に事前に当該目標物を検出して警報することができる)。
【0021】
(6)前記の(5)の発明を前提とし、前記遠方領域における前記所定角度範囲は、前記第2基準距離における角度範囲が最も狭く、前記第1基準距離に近づくにつれて徐々に広くなるように設定するとよい。この場合において、より好ましくは、遠方距離における第1基準距離での所定角度範囲は、近接領域における第1基準距離での所定角度と等しくすることである。
【0022】
(7)前記の(5)または(6)の発明を前提とし、前記警報制御手段による警報は、前記第1基準距離内で抽出された目標物について警報する第1の態様と、前記第2基準距離内で抽出された目標物について警報する第2の態様があり、前記第2の態様より前記第1の態様が知覚しやすい設定とするとよい。知覚しやすい設定とは、たとえば、表示部に表示する目標物のシンボルの描画態様(形状・寸法・色等)を変えたり、ズームアップしたりすることで、第1の態様の方がより目立つようにするといった出力の仕方を変える設定にしたり、第2の態様では音声のみで第1の態様では音声+表示部のように報知形態自体を変えたりするなど、各種の手法がとれる。第1基準距離以内の接近領域では、よりユーザにその存在を注目させることができる。
【0023】
(8)前記の(5)〜(7)の発明を前提とし、車両の走行速度を検出する速度検出手段を備え、前記走行速度が速い場合には走行速度が遅い場合よりも前記第2の基準距離を長く設定するとともに、前記所定角度範囲を狭く設定するようにするとよい。速度検出手段は、たとえば、受信したGPS信号に基づき、その移動距離とそれにかかった時間を求め、そこから走行速度を算出するものでもよいし、別途速度を求めるものでもよい。また、本発明の速度検出手段は、具体的な時速を求めるものでもよいし、相対的に速度が速いか遅いかを検出するものでもよい。走行速度が速い場合には、単位時間あたりの移動距離も長くなるので、第2の基準距離も長くしてより遠く離れた場所に存在する目標物も検出可能とした。そして、たとえば高速道路のように一般道路に比べて走行速度が速い場所は、道路もあまり大きくカーブしている箇所も少ないとともに、一般道路における交差点での右左折のように進路が大きく変更されることもないので、所定角度範囲を狭くし、自車の現在の走行する道路以外の場所にある目標物が検出されるのを抑制する。
【0024】
(9)前記の(5)〜(8)の発明を前提とし、前記目標物の監視領域は、その目標物に設定された監視方向に対して±N度の範囲とし(実施形態では、N=40)、前記第2基準距離における前記所定角度範囲は、±(90−N)度とするとよい。このようにすると、第2基準距離において検出対象となる領域を広げつつ、上記の課題(方向変換(進行方向の回転)があっても回転前に進行方向と監視方向が逆向きだった目標物を警報対象と認識することを抑制することができる。
【0025】
(10)前記の(5)〜(9)の発明を前提とし、前記第1基準距離における前記所定角度範囲は±M度,第1基準距離がX1[m],第2基準距離がX2[m]とした場合の前記遠方領域の現在位置からX[m]離れた位置における前記所定距離範囲は、
−M度+((X−X1)/(X2−X1)×(M−N)度)
〜 M度+((X−X1)/(X2−X1)×(M−N)度)
とするとよい。このようにすると、近接領域では比較的広い検出範囲となり、より確実に周囲に存在する目標物を抽出することができるとともに、遠方領域では進行方向と監視方向が直交するなどの比較的重要度の低い・不必要なものが抽出されるのをできるだけ抑制することができる。そして、実施形態では、X1=600,X2=1100,M=50,N=40に対応し、その場合の上記の条件式を満たす領域は、図5に示す太線で囲まれた領域となる。
【0026】
(11)本発明のプログラムは、(1)〜(10)のいずれかに記載の目標物検出装置としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、右左折等により進行方向が変わった場合に、たとえば変わる前の進行方向と目標物の監視方向が直交或いはそれ以下の遠方距離に存在する目標物が、進行方向を変えた(回転した)後に検出対象物として認識される可能性が低くなり、不要な警報の発生が多発することを抑制できる。このように、遠方距離に存在する目標物が、警報対象の目標物として抽出される可能性を低くしつつ、近接距離に存在する目標物は確実に警報対象物として抽出されるようになる。その結果、比較的重要でない目標物に対して警報を行うことがなくなり、警報のための処理負荷が軽減される。さらに、登録する目標物のデータ数が増加したとしても、警報対象の目標物として検出される目標物はさほど増加せず、都心等においても頻繁に警報状態になることが抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来方式の目標物の検出を説明する図である。
【図2】本発明の好適な一実施形態を示す図である。
【図3】表示部の表示態様の一例を示す図である。
【図4】表示部の表示態様の一例を示す図である。
【図5】機能を説明する図である。
【図6】機能を説明する図である。
【図7】機能を説明する図である。
【図8】機能を説明する図である。
【図9】機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて本発明の好適な実施形態を説明する。図2は、本発明の好適な一実施の形態を示している。図2に示すように、各種の電波等を受信する受信機として、位置検出手段たるGPS受信機1と、マイクロ波受信機2と、無線受信機3と、を備えている。GPS受信機1は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号から現在位置を求め、その求めた現在位置の位置情報(経度,緯度)を制御部4に送る。
【0030】
マイクロ波受信機2は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。上記の所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。無線受信機3は、飛来する所定周波数帯の無線を受信する。この所定周波数は、例えば、緊急車両が基地局に対して自車位置を通知する際に使用する無線の周波数帯とすることができる。
【0031】
制御部4は、上記の各種の受信機から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部6,警報ランプ7,スピーカ8等)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。この受信機から入力される情報に基づく警報内容を決定する所定の処理は、基本的従来と同様のものを利用することができる。つまり、一定の条件を具備する信号を受信・取得した場合には、対応する警報を出力する。なお、スピーカ8を用いた警報は、ブザーや音声等がある。
【0032】
本発明と関係する、GPS受信機1により検出した位置情報(自車両の現在位置情報)に基づく警報について、さらに説明する。データベース5には、検出対象の目標物(交通監視装置等の交通監視ポイントや、道の駅などの交通に関係する施設その他の目標物)について、その監視の種類と位置情報(経度:緯度)が関連づけられたテーブル構造として格納している。さらに、目標物が車両速度測定装置のように監視方向・監視領域がある場合には、その監視領域を特定する情報を関連付けて登録する。本実施形態では、その監視領域を特定する情報として、監視方向の方位を登録している。そして、監視領域は、監視方向の左右に±40度の範囲で一定としている。よって、各目標物に関連付けて登録する情報は、上記のように監視方向のみとしている。
【0033】
これらの目標物に関する情報は、出荷時に一定の目標物について登録している。このデータは、公知の各種の手法により、更新可能としている。データベース5は、制御部4のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。さらに、データベース5には、道路地図データも格納している。
【0034】
図3,図4は、表示部6に表示される表示態様の一例を示している。本実施形態では、表示部6は、たとえば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイを用いて実現される。この表示部6の表示画面は、たとえば2.4インチとし、一般のナビゲーション装置における表示画面に比べると小さいので、ナビゲーション装置と同じように各目標物についての情報を表示画面に描画してしまうと情報過多になり見にくくなってしまう。そこで本実施形態では、表示画面を以下に示す領域のレイアウトを採ると共に、各領域に描画する態様を適宜設定した。
【0035】
まず、画面領域のレイアウトは、その大部分を占める矩形状のメイン表示領域R1の下側に帯状のアイコン表示領域R2を配置した構成を採る。アイコン表示領域R2は、GPSの受信中を示すアイコンI1のように装置の動作状態を示すアイコンや、マイクロ波の受信感度を示すアイコンI2のように装置の設定・モード等を示すアイコンなどがある。また、検出対象物となる目標物の種類を報知するためのアイコンなどがある。係る表示は、制御部4からの制御命令により出力される。さらにアイコン表示領域R2には、その右端に現在時刻を描画している。時刻に変えて、日付その他の情報を描画するようにしても良い。
【0036】
メイン表示領域R1は、主として目標物と自車との位置関係を示すもので、それぞれ所定の形状からなるオブジェクトをそれぞれの位置に表示するための領域である。表示された空間内に複数の目標物が存在する場合には、その複数の目標物のオブジェクトをそれぞれ描画する。図3では、目標物が存在していないので、自車位置を示すオブジェクト(以下、「自車オブジェクト」と称する)のみを描画している。また、報知対象である目標物(POI:“Point Of Interest”)のオブジェクトは、POIオブジェクトと称する。各オブジェクトは、いずれも3次元(立体)で表すようにしている。
【0037】
本実施形態の自車オブジェクトGobは、三角錐あるいは四角錐のポリゴンから構成される。制御部4が、その自車オブジェクトGobを描画する場合、その三角錐あるいは四角錐の頂点が車両の進行方向前方を向くようにする。また、本実施形態では、その自車オブジェクトGobのポリゴンの表面を、2色(たとえば赤色と白色)のツートンカラーのストライプ(進行方向と平行)で模様を付すようにした。これにより、進行方向が形状と模様の相乗効果により、一目でわかる。なお、これらオブジェクトの描画は、3次元(3D)空間上に配置した、3Dオブジェクトの存在する空間を、仮想のカメラで2次元映像として撮影し、その撮影した2D映像を表示部に表示させるといった公知の技術により実現することができる。この点は、後述する目標物についてのオブジェクトも同様である。
【0038】
さらに、本実施形態では、メイン表示領域R1に対する表示態様として、円形の表示領域を設定しスケールを表示するようにした。このスケールは、同心円状の所定本数の円弧状のスケールS1と、各円弧の半径を一目でわかるようにするために表示部6の表示画面における上下方向に延びる直線状のスケールS2を表示するようにした。そして、各スケールには目盛を設けている。図示の例では、スケールの目盛(半径)は、中心側から「500m」、「1000m」となっている(3本目の最外周のスケールは、この例では、一部のみ描画されているので、目盛は描画されていない)。さらに、本実施形態では、仮想のカメラを上空に設置し、視点を斜め下方に向けた状態で映した態様で描画するようにしたため、スケールS1は、楕円形で描画される。
【0039】
さらに、メイン表示領域R1における表示画面は、自車の進行方向を表示部6の画面内での上に見た状態で表示する。これは、GPS受信機1から与えられる自車の位置情報に基づき、制御部4が自車の進行方向を求め、その進行方向が上に向いた状態での各目標物の位置を求め、円形の表示領域内に存在するものを該当する位置に表示することで対応できる。
【0040】
中心に自車オブジェクトGobを配置し、後述するように、GPS受信機1によって検出した現在位置を中心として所定の範囲内(例えば1100mの範囲内)にある目標物を、データベース5に記憶された位置情報に基づいて検索し、自車位置と目標物の位置との相対的な位置関係を表示部6に表示させる。この機能をレーダースコープ表示機能と称する。このようにすることで、目標物までの距離が一目でわかる。
【0041】
そして、自車の周囲に目標物が検出された場合、制御部4は、その検出された目標物の種類に応じた図4に示すようなイベント発生画面を描画出力する。つまり、その目標物についてのオブジェクトであるPOIオブジェクトIobを、その存在位置に対応する画面上の位置に描画する。POIオブジェクトIobは、通常は、球形や立方体等の単純な形状としている。そして、表面には所定の色を付すと共に、目標物の種類を示す記号(アルファベット,マーク等)を付している。これらのPOIオブジェクトIobの表示態様(形状)は、簡単な形状からなるので、簡略オブジェクトと称する。
【0042】
さらに本実施形態では、POIオブジェクトIobのうち、条件を具備する1つのオブジェクト(目標物)が警報対象目標物となり、その警報対象目標物に関する情報を、メイン表示領域R1の上方位置に用意されたメッセージエリアME内に描画する。このメッセージエリアMEは、警報対象となる目標物の種類を特定する名称(図4では、“Hシステム”)と、当該目標物までの距離(図4では、“713m”)を示すエリアである。
【0043】
さらに、警報対象目標物のオブジェクト(警報対象オブジェクトKob)の表示態様(形状)を変更する。具体的には、その警報対象オブジェクトKobの表示態様は、実際の目標物のものを模した3次元形状としている。このように、実際の目標物を模した形状であるかことから、実物オブジェクトとも称する。図4では、警報対象目標物が、Hシステムと呼ばれる車両速度測定装置であるので、警報対象オブジェクトKobは、当該車両速度測定装置の形状からなる実物オブジェクトとして描画している。
【0044】
また、この警報対象オブジェクトKobの上方には、一対の小さい立方体からなる指示オブジェクトSobを配置し、ユーザに注目させて警報対象オブジェクトKob(警報対象の目標物)の存在及びその存在位置を知らせるようにしている。この指示オブジェクトSobは、一対の小さい立方体が、警報対象オブジェクトKobの中心を回転中心としてそれぞれが自転しながら公転移動させる。このように公転移動させることから、より注目させることができる。さらに、各立方体の表面は、上面の対角線で2分割し、それぞれの領域を異なる色(たとえば、自車オブジェクトに合わせて赤色と白色)で塗り分けた状態で描画する。このように表面を2色に塗り分けることで、自転していることがよくわかるので、各立方体が自転していることでも警報対象オブジェクトKobの存在を注目させることができる。このようにユーザに注目させることで、たとえば、事故多発地帯等で普段よりもさらに気をつけて安全運転をすべき場所が接近していることを容易かつ迅速に知らせることができるので、係る安全運転のための情報提供・報知を適切に行うことができる。
【0045】
なお、この指示オブジェクトSobは、場所を特定して指示する警報対象オブジェクトが存在しない場合には、たとえば図3に示すように、自車オブジェクトGobの上方に描画させても良い。ここで、場所を特定して指示する警報対象オブジェクトKobがないとは、目標物自体が存在しない場合はもちろんのこと、目標物が存在しても、各種の電波(マイクロ波(レーダー),カーロケ無線等)の受信など、周囲に目標物が存在することは検出できても具体的な場所を特定できない場合もある。
【0046】
ここで本実施形態では、位置情報に基づく警報対象の候補となる目標物の検出条件として、以下の3つの条件を用意し、3つの条件をいずれも充足する場合に警報対象の候補となる目標物と判定する。
(条件1)目標物の種類毎に設定された指定距離以内に自車が存在すること
→検出された自車位置と、データベース5に登録されている各目標物の位置との距離を求め、求めた距離がその目標物についての指定距離以内の場合に充足:自車を基準に360度の全範囲について対象となる
(条件2)監視方向が関連づけられている目標物は、その監視方向の左右±40度の範囲内に自車が存在すること
→自車位置と目標物の位置を結ぶ線分が、上記の監視方向の左右±40度の範囲内にある場合には条件を充足
(条件3)自車の進行方向を基準とした所定角度範囲内を、自車位置から第1基準距離(たとえば、600m)以内の近接領域に対しては±80度内とし、第1基準距離から第2基準距離(第1基準距離より遠い:たとえば1100m)の遠方領域に対しては、距離X[m]に応じて、以下の範囲とし、遠方に行くほど横方向の許容角度を狭くする。
【0047】
−80度+((X−600)/500×30度)
〜 80度−((X−600)/500×30度)
これにより、第2基準距離(1100m)の時点で±50度の範囲が有効となる。これは、監視方向を有する目標物の1100m±40度の縁でターゲット方位に対して直角に進入した場合となる。そして、図5に示す太線で囲まれた領域が、条件3を満たす領域となる。
【0048】
つまり、第2基準距離において、車両の進行方向と、目標物の監視方向とが直交するような位置関係にあるとき、進行方向を基準とした範囲の境界線と、目標物の監視領域の境界線が接するか、交差しないようにした。すなわち、図6に示すように、自車の現在位置をGとし、第2基準距離(1100m)における自車の進行方向(図中、上向き)を基準にした最大角度範囲である+50度の位置に目標物Iが存在し、その目標物Iの監視方向が、図中、左向きとなり、進行方向と監視方向とのなす角αが90度となっているとする。この場合、図から明らかなように、自車の進行方向を基準とした範囲の一方の境界線(+50度の境界線)と、目標物の監視領域の一方の境界線(監視方向−40度の境界線)が接する(同一直線上に位置する)状態となる。そして、条件2,3を充足する範囲が境界線を含む、つまり、条件2が±40度以下の範囲でかつ条件3が±50度以下の範囲とすると、図示の状態では、条件2と条件3を充足し、条件1が、第2基準距離よりも長いとすると、警報対象の目標物となる。この状態から、目標物Iの監視方向を図中時計方向に回転させると、進行方向と監視方向のなす角αは鋭角となり、自車Gが監視方向に基づく監視領域の外に位置するので条件2を充足せずに警報対象の目標物とならない。逆に、目標物Iの監視方向を図中反時計方向に回転させると、なす角αは鈍角となり、条件2,3の両方を充足するため警報対象の目標物となる。
【0049】
また、図示の状態から目標物の監視方向は横向きのまま(監視方向と進行方向が直交した状態のまま)目標物Iの位置が、第2基準距離の円周上を移動したとする。まず、時計方向に移動した場合を想定すると、進行方向に対する角度範囲が50度よりも大きくなるので、条件3を充足せず(条件2は充足)、警報対象の目標物とならない。逆に、目標物Iの位置が反時計方向に移動した場合を想定すると、自車は、監視方向から−40度の範囲外に存在することになり条件2を充足せずに警報対象の目標物とならない。よって、遠方位置において、進行方向と監視方向とが90度近く異なっている場合には、警報対象の目標物と認識されない。
【0050】
なお、条件2の領域およびまたは条件3の領域が境界線を含まない、つまり、条件2が±40度未満の範囲およびまたは条件3が±50度未満とすると、図示の例では、境界線を含まない領域に設定された条件を充足しないので警報対象の目標物とはならない。
【0051】
係る構成(設定)とすることで、遠方(条件1は充足)に存在する自車進行方向と直交する監視方向を持つ目標物は、条件2&3の条件を充足せずに警報対象の目標物として抽出されないようになり、都心部等の目標物が多く存在する場所において警報が頻繁に発せられることを抑制できる。
【0052】
一方、図7に示すように、近接領域内であって、進行方向を基準に±80度の範囲内に目標物Iが存在し、進行方向と監視方向が直交するような位置関係にあるとする。この場合、条件1,2,3のすべてを充足するので、警報対象の目標物であると判断され、抽出される。このように、同じ横方向に位置する目標物であっても、自車の現在位置との離反距離の遠近により、警報対象の目標物に該当したり(近接領域)、該当しなかったり(第2基準距離)する。さらに、図示は省略するが、第1基準距離から第2基準距離までの遠方領域では、進行方向を基準とした所定角度範囲が徐々に変化し、自車の現在位置から遠くなるにつれて狭くなるので、横方向に位置する目標物を警報対象の目標物として認識する範囲が、第1基準距離側から第2基準距離側に近づくにつれて、徐々に狭くなる。
【0053】
さらに、自車の現在位置の後方側に位置する目標物の監視方向と、車両の進行方向が同じ(ほぼ同じ)方向を向いている状態から右折や左折等して進行方向が90度回転されるような場合でも、回転後に上記の状態となるので、目標物が遠方位置にある場合にはやはり警報対象として抽出されないで済む。換言すると、自車の進行方向が現在の進行方向から90度回転しても警報を発しないように各範囲を設定している。すなわち、警報対象となる目標物として抽出される警報範囲を、進行方向の回転に伴う無駄な警報がなされないように設定している。そして、本実施形態では、監視領域を監視方向の±40度に設定したので、第2基準距離における自車の進行方向に対する所定角度範囲を、±50度とした。よって、監視領域の角度が変更されると、それに応じて自車の進行方向に対する角度範囲も変更される。更に、本実施形態のように、監視領域が監視方向の±40度とした場合に、第2基準距離における角度範囲を50度未満の任意の角度にしても良い。この場合も、上記の作用効果を奏することができる。
【0054】
すなわち、たとえば図8(a)に示すように、自車Gの現在位置の後方側(図中斜め右後方側)の遠方距離に位置する目標物Iの監視方向と、車両の進行方向が同じである場合、少なくとも条件3を満たさないので警報対象の目標物にはならない。ただし、図8(a)の場合には、条件1,2は充足している。この状態から、右折してその進行方向が時計方向に90度回転すると、図8(b)に示すように、進行方向と監視方向が直交し、目標物Iは、進行方向の斜め前方に位置する関係になる。そして、この場合も、目標物Iは、遠方距離にあることから、条件3を充足しない(条件1,2は充足)ので、警報対象の目標物として判断されることはない。
【0055】
これに対し、図9(a)に示すように、目標物Iが近接領域内の斜め後方に位置する場合、条件3を充足しないので、上記と同様に警報対象の目標物とはならない。ただし、この状態から右折してその進行方向が90度回転すると、近接領域では進行方向に基づく角度範囲が広いために条件3を充足し、条件1,2も充足することから警報対象の目標物と判断される。このように、近くにある目標物の場合には、進行方向の回転に伴い、警報対象の目標物として抽出することができるが、遠方距離の場合には警報対象の目標物として抽出しないようにできる。
【0056】
そして、第2基準距離から第1基準距離の間の遠方領域では、自車側の第1基準距離に近づくにつれて徐々に進行方向に基づく所定角度範囲の領域が広くなるので、自車の進行方向が現在の進行方向から所定角度度回転しても警報を発しないような“角度範囲”が90度から徐々に狭くなる。
【0057】
よって、自車の進行方向が現在の進行方向から回転した際、警報を発しない回転角度は、第2基準距離の地点が最も大きく、第1基準距離に近づくにつれて徐々に当該角度範囲が狭くなり、第1基準距離以下が最も小さい角度となる。
【0058】
上記の3つの条件に基づいて警報対象の目標物の候補として抽出された場合、制御部4は、所定の警報を行う。所定の警報とは、たとえば、スピーカ8から音声によるメッセージを出力したり、表示部6に描画する目標物のオブジェクトの表示態様を変えたりすることができる。また、表示部6に描画するに際し、表示画面内に3つの条件を充足する目標物が複数存在することがある。係る場合、いずれか1つ(たとえば、最も近い目標物)について実際の警報(音声出力やオブジェクトの表示態様の変更等)を行うようにしても良いし、オブジェクトの表示態様については該当する全ての目標物について変更するようにしてもよい。さらにまた、警報の態様であるが、近接領域に存在する目標物を検出した場合、遠方領域にある目標物に対する警報の態様よりも知覚しやすい態様にするとよい。さらにまた、3つの条件の全ては充足しなくても、たとえば、条件1を充足し、表示部の表示画面内に存在する場合には、警報対象の目標物ではないが、別の態様で目標物の存在を報知するのは妨げない。別の態様は、たとえば、警報対象の目標物のオブジェクトとは別の表示態様(小さい点のようにより簡易な形状にしたり、色を灰色等の目立たない色にしたり、薄くしたりするなど)とすることができる。
【0059】
上記の実施形態では、条件2として、監視領域は、監視方向に対して±40度の範囲内と目標物の種類に関係なく監視方向のあるものについては固定にしたが、目標物毎に範囲を異なるものとしてもよい。また、範囲は、例えば扇の半径を設定するものとしたり、扇の中心角(監視方向に対する左右の角度の合計)を40度以外のものとしたり、さらには、形状自体を扇形以外の形状とするようにしてもよい。そして、この監視領域内に自車がある場合に条件2を充足したと判定するようにするとよい。なお、これらの情報は目標物の種類毎、あるいは目標物毎にデータベース5に記憶しておき、参照して、目標物毎に条 件2の判定処理を行うようにするとよい。
【0060】
同様に上記の実施形態では、条件3として、自車の進行方向を基準とした所定角度範囲内を近接領域では±80度の範囲で固定としたが、±80度よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。ただし、小さくする場合でも、遠方領域の角度範囲よりも大きくしておくことである。また、進行方向を基準として左右両側を同じ角度範囲にせずに異ならせてもよい。さらにまた、実施形態では、自車から同じ距離では、自車の進行方向を基準に所定角度範囲内としたため、その範囲は扇形となるが、扇形以外の任意の形状とするようにしてもよい。
【0061】
さらにまた、第2の基準距離を車両速度により変えるようにしてもよい。たとえば、車両速度が基準値(たとえば80km)を超える場合には、通常の距離(上記の例では、1100m)よりも長く(たとえば2100m)する。このとき、進行方向に対する角度範囲も狭くする。このようにすると、高速道路などの高速走行する場所では、遠方にある目標物を早期に検出することができるとともに、走行している高速道路以外の場所にある目標物を検出する可能性を抑制することができる。
【0062】
また、この条件2の設定として、本実施形態および変形例では、監視方向とその監視領域を規定するための角度(±40度等)としたが、本発明はこれに限ることはなく、領域を規定する2つの方向を持たせ、その2つの方向の間を監視領域としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 GPS受信機
2 マイクロ波受信機
3 無線受信機
4 制御部
5 データベース
6 表示部
7 ランプ
8 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の位置を検出する位置検出手段と、
検出対象の目標物の位置情報とその目標物の監視領域を特定する情報を関連づけて記憶するデータベースと、
前記位置検出手段で検出された現在位置情報と、前記データベースに格納された目標物の位置情報及び監視領域とに基づき、自車の周囲に存在する目標物を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された目標物についての警報情報を、出力手段へ出力する制御を行う警報制御手段と、を備え、
前記抽出手段は、現在位置と目標物の位置の距離が、予め設定された指定距離以内であり、目標物の監視領域内に自車が存在し、自車進行方向を含む所定範囲内にその目標物が存在する場合に警報対象の目標物として抽出するものであり、
車両の進行方向と、目標物の監視方向とが直交するような位置関係にあるとき、前記監視領域内に自車が存在しないか、前記所定範囲内に目標物が存在しないよう、前記監視領域及び前記所定範囲を設定したことを特徴とする目標物検出装置。
【請求項2】
前記直交するような位置関係は、前記予め設定された指定距離における位置関係であることを特徴とする請求項1に記載の目標物検出装置。
【請求項3】
前記直交するような位置関係は、前記車両の進行方向と前記目標物の監視方向のなす角が90度以下であることを特徴とする請求項1に記載の目標物検出装置。
【請求項4】
前記監視領域は、前記目標物の監視方向を基準とした所定角度範囲内であり、
前記所定範囲は、前記自車の進行方向を基準とした所定角度範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の目標物検出装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記自車の進行方向を基準とした所定角度範囲であって、
前記所定角度範囲内は、自車位置から第1基準距離以内の近接領域よりも、その第1基準距離から第2基準距離(第1基準距離より遠い)までの遠方領域を狭くし、その遠方領域における前記所定角度範囲は、前記第2基準距離における所定角度範囲が最も狭くしたことを特徴とする請求項1に記載の目標物検出装置。
【請求項6】
前記遠方領域における前記所定角度範囲は、前記第2基準距離における角度範囲が最も狭く、前記第1基準距離に近づくにつれて徐々に広くなるように設定したことを特徴とする請求項5に記載の目標物検出装置。
【請求項7】
前記警報制御手段による警報は、前記第1基準距離内で抽出された目標物について警報する第1の態様と、前記第2基準距離内で抽出された目標物について警報する第2の態様があり、前記第2の態様より前記第1の態様が知覚しやすい設定としたことを特徴とする請求項5または6に記載の目標物検出装置。
【請求項8】
車両の走行速度を検出する速度検出手段を備え、
前記走行速度が速い場合には走行速度が遅い場合よりも前記第2の基準距離を長く設定するとともに、前記所定角度範囲を狭く設定することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の目標物検出装置。
【請求項9】
前記目標物の監視領域は、その目標物に設定された監視方向に対して±N度の範囲とし、
前記第2基準距離における前記所定角度範囲は、±(90−N)度としたことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の目標物検出装置。
【請求項10】
前記第1基準距離における前記所定角度範囲は±M度,第1基準距離がX1[m],第2基準距離がX2[m]とした場合の前記遠方領域内における現在位置からX[m]離れた位置における前記所定距離範囲は、
−M度+((X−X1)/(X2−X1)×(M−N)度)
〜 M度+((X−X1)/(X2−X1)×(M−N)度)
としたことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の目標物検出装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の目標物検出装置としての機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−170401(P2010−170401A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13222(P2009−13222)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】