説明

直動案内ユニット

【課題】 この直動案内ユニットは,リターン路を形成するパイプの剛性をアップし,リターン路を転走する転動体に潤滑剤を安定して供給し,メンテナンスフリーを実現する。【解決手段】 リターン路10を形成するパイプ6は,ローラ5を案内するパイプ本体7とローラ5に潤滑剤を供給する多孔質成形体8から構成され,パイプ本体7は,両端部21,及び端部21間に位置する柱部19と可撓柱部25を備えている。可撓柱部25は,両端にそれぞれ位置する緩衝部27,及び緩衝部27間に位置してローラ5のリターン路10の転走に対応して撓み可能な可撓部34とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,長尺な軌道レール及び該軌道レール上を転動体を介して相対移動するスライダから構成された直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来,直動案内ユニットでは,転動体と無限循環路との間で潤滑をスムーズにするため,潤滑剤の定期的な給油を行っているのが通常であるが,近年,各種機械装置については,省エネ,ランニングコスト,設備維持コストを削減するという観点からメンテナンスフリーが要求されるようになり,各種の機械装置に組み込まれる直動案内ユニットについても,使用状態において潤滑剤等の供給を行わないメンテナンスフリーの実現が要望されると共に,潤滑剤の使用量を最小限に抑えることが要求されるようになった。直動案内ユニットでは,特に,転動体がローラの場合にメンテナンスフリーが要望されるようになった。従来の直動案内ユニットは,長尺の軌道レールに対してスライダを複数の転動体を介して摺動自在に構成したものであり,転動体が軌道レールとスライダとの間に形成される軌道路及びスライダに設けたリターン路と方向転換路からなる循環路を無限循環するものであり,装置自体の耐久性を向上させるには,軌道路と転動体との間に潤滑剤を常に適正に供給して転動体に潤滑剤を付着させ,軌道路と転動体との金属接触を防止することが不可欠である。
【0003】
本出願人は,直動転がり案内ユニットにおいて,ケーシングに形成されたリターン孔にパイプ即ちスリーブを嵌挿してリターン路を形成し,スリーブを弾性変形可能に構成して転動体の摺動抵抗をスリーブで吸収し,転動体のスムーズな転走を確保したものを開発した。該直動転がり案内ユニットは,転動体が円筒ころでなり,リターン路がケーシングの嵌挿孔に挿嵌されたスリーブに形成され,スリーブが弾性変形可能に構成され,軌道レールに対するスライダの滑らかな摺動を実現したものになっている。上記直動転がり案内ユニットは,特に,嵌挿孔の壁面とスリーブの中間領域の小径部の外面との間に,スリーブが弾性変形できる隙間を設けたものであり,その隙間に潤滑剤が保留されるようになっていた(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,本出願人が開発した直動転がり案内ユニットは,ケーシングに設けられたリターン通路孔を多孔質構造からなる焼結樹脂部材で形成し,焼結樹脂部材に含浸させた潤滑剤を転動体に供給するものであり,リターン通路孔は,ケーシングに形成された嵌挿孔に嵌挿したスリーブで構成され,スリーブが多孔質構造を有する焼結樹脂部材で形成され,焼結樹脂部材が潤滑剤の吸収体として機能し,組立当初に焼結樹脂部材に潤滑油又はグリースを給油しておけば,焼結樹脂部材は潤滑剤の油分が多孔質構造のポア内に吸収保持され,転動体がスリーブ内を転走する時に,潤滑剤が転動体に常時供給され,特に,転動体が負荷軌道路を転走する時に,転動体に付着した潤滑剤が軌道溝や軌道面をスムーズに潤滑し,給油のメンテナンスフリーを可能にしていた(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,従来のリニアガイド装置は,転動体循環チューブを,円筒体の円周面に所定間隔を保って軸方向に延長し且つ内外周面を貫通する複数の長孔を穿設した円筒籠状のポリエチレン製の補強材と,その長孔内に一体に接合された複数の潤滑剤含有ポリマとでなる潤滑剤含有ポリマ部材とで構成されている。該潤滑剤含有ポリマ部材は,予め射出成形された補強材を射出成形機に保持された所定の金型中にセットし,該金型内に可塑化された潤滑剤含有ポリマを射出して冷却することにより,補強材と潤滑剤含有ポリマとが一体化されて接合されていた(例えば,特許文献3参照)。
【0006】
また,従来の直線案内装置は,摺動台内で無限循環するボールを潤滑することができ,外部から容易に潤滑剤を補給することができ,面倒な保守作業をすることなく,長期にわたって安定した性能を発揮させるものであり,ボール戻しパイプは,1条のスリットが形成され,その内周面には潤滑剤の塗布体が固定されている。上記直線案内装置は,ボール戻し孔の内周面には,長手方向に沿って潤滑剤の拡散溝を形成され,潤滑剤の塗布体が拡散溝を覆うように設けられていた(例えば,特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平9−72335号公報
【特許文献2】特開2001−82469号公報
【特許文献3】特開平10−78032号公報
【特許文献4】特開2001−248637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで,直動案内ユニットにおいて,転動体として円筒ころ即ちローラを用いる場合,ローラは,ボールを使用する場合に比較して,ローラの転走姿勢に傾きが無く,整然と案内されなければならず,また,ローラの場合には,その転動面を案内するだけでなく,ローラの両端面を的確に摺接案内することが要求される。従来の直動案内転がりユニットは,長期間にわたってローラに対して潤滑剤を適正に供給しつつローラを循環案内し,潤滑剤の給油のメンテナンスフリーを安定した信頼性の有るものに構成する点では十分に満足できなかった。例えば,上記直動転がり案内ユニットでは,隙間に潤滑剤が保留されていただけであり,ローラに常に潤滑剤を供給する,即ち,より積極的に給油のメンテナンスフリーを安定化させるという点では十分なものとは言えなかった。
【0008】
また,上記直動転がり案内ユニットは,ケーシングに設けたリターン通路孔を多孔質構造の焼結樹脂部材のみで形成するものであり,円筒ころを循環路で安定してスムーズに案内する上で,焼結樹脂部材そのものの剛性が不足気味で不充分であった。そこで,直動案内ユニットでは,ケーシングに設けたリターン路を形成するスリーブに対して更に剛性をアップさせた構造のもの,構造そのものが簡単な構成であってスライダへの組み込みが容易な構造のもの,しかも転動体に対してより積極的に給油できるメンテナンスフリーを達成して安定化させる構造のものが望まれるようになった。
【0009】
また,上記リニアガイド装置は,潤滑剤含有ポリマ部材を使用してボールで成る転動体の潤滑を行うものであるが,上記潤滑剤含有ポリマ部材は,その成形時に潤滑油をポリマに混合しなければならず,しかも所定の材質の補強材を一体で成形しなければならないものであり,潤滑剤含有ポリマ部材を作製するには,特殊装置や複雑な製造工程を要するものであった。
【0010】
そこで,本出願人は,従来の直動案内ユニットにおいて,パイプをパイプ本体とその凹欠部に嵌合した多孔質部材とから構成したものを開発し,先に特許出願した(例えば,特願2004−294515号参照)。該直動案内ユニットは,可撓柱部と多孔質部材とが共に弾性変形する等,この直動案内ユニットについて,スライダに設けるリターン路を形成するパイプ自体を更に発展させ,転動体への潤滑剤の供給及びリターン路での転動体の案内について更に改善される点があることが分かった。例えば,上記直動案内ユニットでは,可撓柱部は,多孔質部材と共に弾性変形するものであり,ローラの循環をより滑らかにするという点,及びより積極的に給油のメンテナンスフリーを安定化させるという点では,十分なものとはいえなかった。
【0011】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,従来の直動案内ユニットを更に発展させたものであり,リターン路を形成するスリーブ即ちパイプをパイプ本体と多孔質成形体との複合構造に形成し,特に,リターン路を形成するパイプ本体の可撓柱部と多孔質成形体との間に隙間を形成したこと及び/又は可撓柱部に円筒ころであるローラの循環による衝撃を緩和する緩衝部を設け,多孔質成形体の多孔部に潤滑剤を含浸させ,転走する転動体のローラをリターン路に組み込まれた多孔質成形体に接触させてローラに潤滑剤を安定して供給し,上記緩衝部の存在によってリターン路におけるローラの転走による衝撃を緩和してパイプ本体の強度をアップし,循環路でのローラを常に長期にわたって滑らかに転走させ,それによって循環路への潤滑剤の供給についてメンテナンスフリーを実現した直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は,長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに転動体であるローラを介して摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記第1軌道面に対向して第2軌道面が形成され且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転走する複数の前記ローラを有する直動案内ユニットにおいて,前記リターン路は前記ケーシングの嵌挿孔に挿通された長手状でなるパイプの通し孔で形成され,前記パイプは前記ローラを案内するパイプ本体と前記ローラに潤滑剤を供給する多孔質成形体とからなり,前記パイプ本体は前記ローラの端面を案内する柱部と前記ローラの転動面を案内する可撓柱部を有し,
前記可撓柱部の外面と前記多孔質成形体の内面との間には,前記ローラの循環による前記可撓柱部への衝撃を緩和するためのすきまが形成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0013】
また,この発明は,長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに転動体であるローラを介して摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記第1軌道面に対向して第2軌道面が形成され且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転走する複数の前記ローラを有する直動案内ユニットにおいて,前記リターン路は前記ケーシングの嵌挿孔に挿通された長手状でなるパイプの通し孔で形成され,前記パイプは前記ローラを案内するパイプ本体と前記ローラに潤滑剤を供給する多孔質成形体とからなり,前記パイプ本体は前記ローラの端面を案内する柱部と前記ローラの転動面を案内する可撓柱部を有し,
前記可撓柱部は,少なくとも両端にそれぞれ位置する緩衝部と,前記緩衝部間に位置して前記ローラの前記リターン路の転走に対応して撓み可能な可撓部とから構成されていることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0014】
また,この直動案内ユニットは,前記可撓柱部を構成する少なくとも前記可撓部の外面と前記多孔質成形体の内面との間には,前記ローラの循環による前記可撓柱部への衝撃を緩和するためのすきまが形成されている。更に,前記緩衝部の断面積は,前記緩衝部間に位置する前記可撓部の断面積より大きく形成されている。
【0015】
また,前記多孔質成形体は,外面が円弧状面に形成され且つ内面に前記可撓柱部を嵌合する凹溝と前記柱部に設置される設置面とが形成され,前記ローラが前記リターン路を転走する時に前記可撓柱部が撓んで前記ローラが前記多孔質成形体の前記内面に接触して潤滑される。
【0016】
また,この直動案内ユニットにおいて,前記パイプ本体は合成樹脂から形成され,前記多孔質成形体は焼結樹脂から形成されている。
【0017】
また,前記パイプ本体は,縦割りに2分割された一対の分割体が合体して構成され,前記分割体の互いの合体面が前記ローラの前記転動面に位置している。
【0018】
また,この直動案内ユニットにおいて,前記パイプ本体は両端にそれぞれ位置し且つ矩形孔に形成された内面と円筒状に形成された外面とを備えた端部を有し,前記パイプ本体の前記柱部は前記端部間で前記端部に接続して延び且つ前記端部の外面と面一に形成され,前記パイプ本体の前記可撓柱部は,少なくとも前記端部間で前記端部に接続して位置し且つ前記端部の前記外面より凹んだ外面を備えた緩衝部と前記緩衝部間に延びて前記緩衝部より薄肉に形成された可撓部とからなり,前記端部の内面と前記柱部,前記緩衝部及び前記可撓部のそれぞれの内面とは互いに面一であって前記通し孔が矩形孔に形成されている。
【0019】
更に,この直動案内ユニットにおいて,前記パイプ本体には,前記端部間に延びる一対の前記柱部と一対の前記可撓柱部は互いに対向して設けられ,前記パイプ本体を構成する前記分割体の前記合体面は前記可撓柱部に位置している。
【発明の効果】
【0020】
この直動案内ユニットは,上記のように,軌道レールに対して相対移動するスライダに転動体のローラを循環させるため,ケーシングの嵌挿孔に挿通したパイプの矩形形状の通し孔でリターン路を構成し,パイプをパイプ本体と多孔質部材とで構成し,パイプ本体を両端部及び両端部に続く可撓柱部と柱部とで構成し,特に,可撓柱部をパイプ本体の両端部に続く緩衝部と両緩衝部間の可撓部とで構成し,場合によっては,前記可撓部の途中にも別の緩衝部を設け,それによって前記可撓部が前記緩衝部を介して前記端部に接続されるので,可撓柱部は,可撓部の大きな撓みにも耐え得ることが可能となり,ローラの転走に伴って可撓部の撓みを緩衝部で良好に緩衝して長期にわたり安定したローラの循環を達成することができる。また,この直動案内ユニットは,多孔質成形体の内面と可撓柱部の外面との間にすきまを形成したので,ローラの転走に伴って発生する可撓柱部への衝撃等を可撓柱部が柔軟に追従して撓んで良好に緩和し,ローラの循環を滑らかにしている。また,この直動案内ユニットは,上記の構成において,ローラがリターン路で多孔質成形体に接触して転走する時に,多孔質成形体に含浸された潤滑剤がローラに付着され,リターン路を転走するローラに潤滑剤を安定して供給でき,潤滑剤のメインテナンスフリーを実現できる。従って,この直動案内ユニットは,高温等の特殊作業環境,少量の潤滑剤使用制約を受けるクリーン室等において,潤滑性能を適正に発揮でき,更に,定期的な潤滑剤の供給等のメンテナンスフリーを実現でき,軌道レールに対するスライダの相対移動の高速化・高サイクル化された装置にも良好に対応して潤滑性能を発揮して軌道路におけるローラの摺動抵抗を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この発明による直動案内ユニットは,特に,先行技術の特願2004−294515号に開示された直動案内ユニットにおける転動体であるローラへの潤滑剤の供給系におけるパイプ本体の可撓に対する剛性をアップさせ,循環路への潤滑剤の供給についてメンテナンスフリーを実現したものである。なお,図3,図5,図8,図10,図13,図15,図16,図18及び図19は,長手方向の中間部を省略して全長が図示されていないが,省略部は図示の断面部分と同様な形状で両側から延びていることは勿論である。
【0022】
この直動案内ユニットは,図1及び図2に示すように,転動体としてローラ5が使用されるタイプに適用されて最適なものであり,長手方向の両側面42に沿って延びる一対の軌道面11(第1軌道面)をそれぞれ備えた長尺な軌道レール1,軌道レール1の長手方向に摺動自在なスライダ2,及び軌道レール1とスライダ2との間に形成された軌道路20及びスライダ2に設けられたリターン路10と方向転換路30(図21)から成る循環路を転走するローラ5を有している。スライダ2は,軌道レール1の軌道面11に対向して軌道面12(第2軌道面)が形成されたケーシング3,及びケーシング3の両端面35に配設されて上下の軌道路20と上下のリターン路10とを連通する方向転換路30が形成されたエンドキャップ4を有している。この直動案内ユニットは,軌道レール1の軌道面11とケーシング3の軌道面12との間には負荷軌道路即ち軌道路20が形成されている。軌道路20は,ケーシング3の袖部50に二条列ずつ4個形成されている。ローラ5は,軌道路20においてケーシング3とエンドキャップ4とに取り付けられた保持板13によってローラ5の端面40が保持されてそれぞれ転動する。この直動案内ユニットは,図2に示すように,軌道面11と軌道面12と間に形成された軌道路20をローラ5が転走し,上側の軌道路20のローラ5が下側のリターン路10へ循環し,下側の軌道路20のローラ5が上側のリターン路10へ循環して,スライダ2が軌道レール1に沿って相対摺動自在になっている。この直動案内ユニットは,ケーシング3とエンドキャップ4との下面に下面シール14が配置され,エンドキャップ4の端面にリップ部16を備えたエンドシール15が接して配置され,シール構造に形成されている。また,軌道レール1には,各種の機器,ワーク,取付体,機台等のベースに軌道レール1を固定するため,取付け用孔17が形成されている。ケーシング3には,各種の機器,ワーク,取付体等の物体を取り付けため取付け用ねじ孔18が設けられている。
【0023】
また,エンドキャップ4は,図1に示すように,ケーシング3に対して位置決めされ,エンドキャップ4の取付孔28に通じてボルト44でケーシング3に固定されている。図21及び図22に示すように,エンドキャップ4は,潤滑剤を給油口29及び給油溝32を備えており,給油口29及び給油溝32を通じて循環路に潤滑剤が供給され,端面又は側面の給油口29にグリースニップル43が取り付けられている。また,エンドキャップ4に形成された方向転換路30の入口部には,凹凸部からなる接続凸部31が形成されている。エンドキャップ4の接続凸部31は,方向転換路30からリターン路10側へ延びた態様になっており,エンドキヤップ4の背面から突出している。エンドキャップ4の接続凸部31は,パイプ6の端部21の凸凹部41(図3,図5,図8等)に嵌合し,パイプ6は,ケーシング3の両側に位置するエンドキャップ4によってケーシング3の嵌挿孔9に固定されるように構成されており,それによって,リターン路10と方向転換路30との断面矩形状の循環路が段差無くスムーズに接続され,ローラ5は方向転換路30からリターン路10ヘ,及びリターン路10から方向転換路30へ循環する上でスムーズに循環することができる。エンドキャップ4には,その下面に下面シール14を固定するための取付け用凸部33,及びケーシング3にエンドキャップ4を固定するためボルト44を通す取付孔28が形成されている。パイプ6は,例えば,ケーシング3の嵌挿孔9に手動でスムーズに嵌入される。ここでは,パイプ6は,嵌挿孔9に若干のすきま嵌め,例えば,隙間が0.1mm程度のサイズに形成されている。従って,パイプ6は,ケーシング3の嵌挿孔9には固定されておらずに遊嵌状態であり,ケーシング3の両端に配置されたエンドキャップ4に凹凸嵌合してスライダ2に固定状態に取り付けられている。
【0024】
この直動案内ユニットは,スライダ2を構成するケーシング3の嵌挿孔9に長手状でなるパイプ6を挿通し,リターン路10は,パイプ6の内部に形成された断面矩形状の通し孔23によって形成される。パイプ6は,それ自体の剛性と強度を確保するためのパイプ本体7と,パイプ本体7に嵌合して組み立てられた多孔質成形体8とから構成され,多孔質成形体8は潤滑剤を含浸保持して適正にローラ5を潤滑するように形成されている。例えば,パイプ本体7は,合成樹脂から形成され,また,多孔質成形体8は,焼結樹脂から形成されている。ローラ5は,円筒ころの形状に形成され,円筒ころの両端の端面40と円柱の外周面でなる転動面39から形成されている。パイプ6は,図4の側面図又は図6や図7の断面図で見て外形が円形に形成され,図6や図7の断面図で見てリターン路10を構成する通し孔23が矩形孔に形成されている。図3〜図5に示すように,パイプ6は,リターン路10を形成し,ローラ5を案内するパイプ本体7とローラ5に潤滑剤を供給する多孔質成形体8とから構成され,全体的に外周面が円筒状に形成され,内周面に矩形状の通し孔23が形成されている。パイプ6で形成されるリターン路10は,ローラ5がスムーズに通過できるように,円筒ころの軸心で縦断面した外形の矩形サイズより僅かに大きな矩形サイズに形成されている。
【0025】
この直動案内ユニットは,特に,図3〜図7に示すように,長手状でなるパイプ6をパイプ本体7と多孔質成形体8とを組み立てて構成し,パイプ6をケーシング3の嵌挿孔9に嵌挿してパイプ6の通し孔23でリターン路10が形成されている。即ち,パイプ6は,内部に矩形状でなる通し孔23が形成される形状に構成されており,ローラ5の転走を案内するパイプ本体7とローラ5に潤滑剤を供給する多孔質成形体8とから構成されている。パイプ本体7は,ローラ5の端面40を案内する柱部19と,ローラ5の転動面39を案内する可撓柱部25とから形成されている。図8〜図12に示すように,パイプ本体7は,その両端にそれぞれ位置し且つ矩形孔に形成された内面56と円筒状に形成された外面58とを備えた端部21,及び端部21間にあってローラ5の端面40を案内する互いに対向する一対の柱部19とローラ5の転動面39を案内する互いに対向する一対の可撓柱部25とで構成されている。図8に示すように,パイプ本体7の柱部19は,端部21間に位置して端部21の外面58と面一に形成されており,また,パイプ本体7の可撓柱部25は,端部21間で少なくとも端部21に接続して位置し且つ端部21の外面58より凹んだ外面61を備えた緩衝部27と,緩衝部27間に延びて緩衝部27より薄肉に形成された可撓部34から構成されている。また,可撓部34の外面62は,図8に示すように,緩衝部27の外面61より更に凹んだ状態になっている。更に,パイプ本体7については,図13に示すように,端部21の内面56と,柱部19,緩衝部27及び可撓部34のそれぞれの内面とは,互いに面一に形成されている。
【0026】
また,多孔質成形体8は,図6及び図7に示すように,パイプ本体7の端部21間で可撓柱部25を覆って,多孔質成形体8の設置面47が柱部19の側面63に当接して配設されている。この実施例では,可撓柱部25における緩衝部27は端部21に接続して設けられているが,場合によっては,図示していないが,可撓部34が長尺の形状のときには,可撓部34の途中に別の緩衝部を更に設けてもよく,可撓柱部25自体の補強や可撓部34の撓み量の制限に機能させてもよいことは勿論である。
【0027】
パイプ6は,特に,図6及び図7に示すように,可撓柱部25の外面55と多孔質成形体8の内面24との間にすきま26が形成されていることを特徴としている。すきま26は,ローラ5の循環による可撓柱部25への衝撃を緩和するため,可撓柱部25の撓みを許容する作用を果たしている。また,多孔質成形体8は,外面57が半円弧状の形状に形成され,内面24が中央の凹溝53とその両側の側部の凹溝54に形成され,パイプ本体7の可撓柱部25に多孔質成形体8が嵌入配置されると,多孔質成形体8の凹溝53,54を形成する内面24と可撓柱部25の外面55との間にすきま26が形成されことになる。この直動案内ユニットでは,多孔質成形体8の内面24にローラ5が接触するように,内面24が通し孔23の路面より僅かに凹んだ状態に形成されており,それによって,ローラ5がリターン路10を転走する時に,ローラ5の転走衝撃等によって可撓柱部25が撓んで弾性変形し,パイプ本体7の可撓柱部25が撓んでローラ5が多孔質成形体8の内面24に接触して潤滑することができる。
【0028】
また,この直動案内ユニットは,特に,図8及び図10に示すように,可撓柱部25が少なくともパイプ本体7の端部21にそれぞれ位置する緩衝部27と,緩衝部27間に位置してローラ5のリターン路10の転走に対応して撓むことができる可撓部34とから構成されていることを特徴としている。更に,可撓柱部25を構成する少なくとも可撓部34の外面55と多孔質成形体8の内面24との間には,ローラ5の循環による可撓柱部25への衝撃を緩和するためのすきま26が形成されている。図3〜図7に示すように,多孔質成形体8は,緩衝部27と可撓部34とを覆うように配設されている。パイプ本体7について,図8〜図12に示すように,緩衝部27の断面積は,緩衝部27間に位置する可撓部34の断面積より大きく形成されている。従って,パイプ本体7は,緩衝部27が端部21と可撓部34とをなだらかに接続し,可撓部34の撓みに対して端部21の付け根の応力集中等による力の負荷を緩衝し,撓みに対して剛性をアップさせることができ,また,端部21と緩衝部27との接続部及び緩衝部27と可撓部34との接続部には,面取り59を施しておけば更に剛性をアップさせ,可撓柱部25が長期間にわたり安定して可撓性を確保することができる。
【0029】
柱部19は,端部21間にその内外面と面一にして一体構造で形成された形状になっており(図11),ローラ5のそれぞれの端面40側に対向して一対に形成され,ローラ5の端面40に摺接してローラ5を的確に案内することができる。可撓柱部25は,柱部19からは独立して形成され,柱部19とは直交する方向であるローラ5の転動面39側に一対に形成されている。可撓柱部25の内面60は,端部21の内面56と面一に形成され,可撓柱部25の外面55は端部21の外面58より小さく形成されたものになっている。更に,可撓柱部25は,端部21に続く部分をやや薄肉の緩衝部27に形成され,緩衝部27間には緩衝部27より更に薄肉の可撓部34が形成され,可撓部34が所定の撓み量を確保している。
【0030】
図13〜図15に示すように,パイプ本体7は,可撓柱部25を長手方向に沿って分割面,即ち合体面22で2分割に縦断面した状態の一対の分割体7Aを合体することによって構成されている。パイプ本体7は,可撓柱部25が位置する面で分割したことにより,端部21が分割端部38に,可撓部34が分割可撓部45に,更に緩衝部27が分割緩衝部46にそれぞれ分割され,可撓柱部25が弾性変形し易いものになっている。パイプ本体7は,縦割りに2分割された一対の分割体7Aが合体して形成され,分割体7Aの互いの合体面22は,ローラ5の転動面39に位置し,具体的には,可撓柱部25と可撓柱部25の延長上の端部21に位置している。一対の分割体7Aは,その分割面即ち合体面22において一方の端部21に凸部37が形成され,他方の端部21に凹部36が形成されており,それぞれの分割体7Aが互いに長手方向で逆向きに合体して凸部37が凹部36に容易に嵌合して位置決めされ,パイプ本体7に組み立てされる。パイプ本体7を,一対の分割体7Aで構成することによって,分割体7Aが容易に樹脂射出成形等で成形でき,パイプ本体7の製作が可能にしている。
【0031】
図16及び図17に示すように,多孔質成形体8は,パイプ本体7の端部21間及びパイプ本体7の柱部19間にあって可撓柱部25を全長にわたり覆うように形成されたものである。多孔質成形体8の外面57は,パイプ本体7の端部21の外面58と面一状態の円弧状に形成されている。また,多孔質成形体8の内面24は,幅方向両側に位置し且つパイプ本体7の柱部19の側面63に設置される設置面47,設置面47から凹状にしてリターン路面48を形成する凹溝54,凹溝54のリターン路面48から長手方向の中心に沿って延び且つ端部21側に可撓柱部25の緩衝部27を嵌入する凹部52,及び凹部52の間で且つリターン路面48の間に位置する可撓柱部25の可撓部34を嵌入する中央の凹溝53から形成されている。図7に示すように,多孔質成形体8は,中央に位置する凹溝53にローラ5の転動面39を支持する可撓柱部25を嵌入して可撓柱部25を覆い,リターン路面48を形成する側部の凹溝54が可撓柱部25の両側に位置するようになっている。更に,多孔質成形体8の凹溝53の底面と可撓柱部25の外面55との間には,すきま26が形成され,可撓柱部25が弾性変形し易いものになっている。また,可撓柱部25の両側になるリターン路面48を形成する側部の凹溝54の内面は,リターン路面48より僅かに入り込んだ状態に形成され,可撓柱部25が弾性変形し易いものになっている。従って,可撓柱部25が弾性変形した後に,リターン路面48を形成する凹溝54の面がローラ5と接触することになる。ローラ5が凹溝54との接触により,多孔質成形体8に含浸された潤滑剤(潤滑油)がローラ5に塗布され,転走するローラ5によって軌道路20に供給されることになる。
【0032】
パイプ6は,ローラ5を長期間にわたり整然と循環案内可能な剛性を有するパイプ本体7を構成する一対の分割体7Aと,潤滑剤を吸収,保持及び供給可能な多孔質構造でなる一対の多孔質成形体8とを合体させて構成されている。パイプ本体7は,ローラ5のリターン路10の循環に際し,長期間に渡り安定して循環案内可能なものであり,詳しくは,可撓柱部25へのローラ5の転動面39の押圧,柱部19へのローラ5の端面40の摺接,ローラ5の角部の当接等に対して,ローラ5の転走では摩耗がほとんど発生せず,剛性があるものになっており,アルミニウム等の金属材料,合成樹脂等の樹脂材料で形成でき,ここでは,一般的な合成樹脂(例えば,ポリアセタール)から形成されている。また,多孔質成形体8は,対向した可撓柱部25に嵌合するように一対で構成されている。多孔質成形体8は,潤滑剤を吸収,保持,及び供給可能な保形状態の多孔質構造体であり,耐摩耗性を有するものであればよい。この実施例では,多孔質成形体8は,例えば,原料粉末の表層付近のみを融着又は焼結させ,原料粉末間に存在している空隙を保形状態に残したまま成形した焼結樹脂から形成され,上記焼結樹脂は,超高分子量のポリエチレン微粒子を焼結した多孔部が互いに連通する保形状態の成形品に形成されている。上記焼結樹脂からなる多孔質成形体8は,潤滑剤を成形品の多孔部に予め含浸してパイプ本体7に組み込まれているが,場合によっては,多孔質成形体に潤滑剤を予め含浸せず,スライダ2を組み立ててからでも,スライダ2の給油口29から給油された潤滑剤を多孔質成形体8が吸収して保持でき,多孔質成形体8を通じてローラ5に潤滑剤を供給できるものになっている。
【0033】
図18〜図20には,この直動案内ユニットに組み込まれるパイプ6の他の実施例が示されている。他の実施例のパイプ6は,図19及び図20に示すように,多孔質成形体8Aが上記実施例の多孔質成形体8と比較して長さを異にする以外は,同一の形状であるので,ここでは同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。即ち,多孔質成形体8Aは,多孔質成形体8からパイプ本体7の可撓柱部25の緩衝部27に対応する部分を除き,可撓柱部25の可撓部34に対応する長さに形成されている。多孔質成形体8Aは,多孔質成形体8に比較して緩衝部27に嵌合するべき凹部52の長さ分が短く形成されているので,多孔質成形体8Aの成形等について製作がし易くなっているが,多孔質成形体8に比較してその分だけ潤滑剤の含有量が少なくなっている。しかしながら,多孔質成形体8Aは,パイプ6自体のコスト,パイプ6を構成する多孔質成形体8Aの成形,パイプ6の用途等の諸条件を考慮すると,使用される装置には最適に利用することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明による直動案内ユニットは,各種ロボット,半導体製造装置,精密機械,測定・検査装置,医療機器,マイクロマシーン,工作機械等の各種装置における摺動部に組み込んで利用され,潤滑剤のメンテナンスフリー,転動体への良好な潤滑,リターン路に配設されたパイプ自体の高剛性,循環路での転動体の滑らかな転走,高精度等の性能を発揮できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明による直動案内ユニットを示す断面部分を含んだ斜視図である。
【図2】図1のA−A平面における直動案内ユニットを示す横断面図である。
【図3】図1の直動案内ユニットにおけるスライダの嵌挿孔に配設されるパイプの中間部を省略したパイプの一実施例を示す正面図である。
【図4】図3のパイプを示す側面図である。
【図5】図3のパイプについて中間部を省略して示す平面図である。
【図6】図3のB−B断面におけるパイプを示す断面図である。
【図7】図3のC−C断面におけるパイプを示す断面図である。
【図8】図3のパイプを構成するパイプ本体について中間部を省略して示す正面図である。
【図9】図8のパイプ本体を示す側面図である。
【図10】図8のパイプ本体について中間部を省略して示す平面図である。
【図11】図8のD−D断面におけるパイプ本体を示す断面図である。
【図12】図8のE−E断面におけるパイプ本体を示す断面図である。
【図13】図8のパイプ本体を構成する分割体を内面側から示す正面図である。
【図14】図13のパイプ本体の分割体を示す側面図である。
【図15】図13のパイプ本体の分割体を示す下面図である。
【図16】図3のパイプを構成する多孔質成形体を内面側から示す正面図である。
【図17】図16の多孔質成形体を示す左側面図である。
【図18】図1の直動案内ユニットにおけるスライダの嵌挿孔に配設されるパイプの中間部を省略したパイプの別の実施例を示す正面図である。
【図19】図18のパイプを構成する多孔質成形体を内面側から示す正面図である。
【図20】図19の多孔質成形体を示す左側面図である。
【図21】図1の直動案内ユニットにおけるエンドキャップを示す背面図である。
【図22】図21のエンドキャップを示す下面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 ローラ(転動体)
6 パイプ
7 パイプ本体
7A 分割体
8,8A 多孔質成形体
9 嵌挿孔
10 リターン路
11 軌道面(第1軌道面)
12 軌道面(第2軌道面)
15 エンドシール
19 柱部
20 軌道路
21 端部
22 合体面
23 通し孔
24 多孔質成形体の内面
25 可撓柱部
26 すきま
27 緩衝部
30 方向転換路
34 可撓部
35 ケーシングの端面
39 ローラの転動面
40 ローラの端面
47 多孔質成形体の設置面
48 多孔質成形体のリターン路面
53,54 多孔質成形体の凹溝
56 端部の内面
57 多孔質成形体の外面
58 端部の外面
61 緩衝部の外面
62 可撓部の外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに転動体であるローラを介して摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記第1軌道面に対向して第2軌道面が形成され且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転走する複数の前記ローラを有する直動案内ユニットにおいて,
前記リターン路は前記ケーシングの嵌挿孔に挿通された長手状でなるパイプの通し孔で形成され,前記パイプは前記ローラを案内するパイプ本体と前記ローラに潤滑剤を供給する多孔質成形体とからなり,前記パイプ本体は前記ローラの端面を案内する柱部と前記ローラの転動面を案内する可撓柱部を有し,
前記可撓柱部の外面と前記多孔質成形体の内面との間には,前記ローラの循環による前記可撓柱部への衝撃を緩和するためのすきまが形成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項2】
長手方向に沿って第1軌道面が形成された軌道レール及び前記軌道レールに転動体であるローラを介して摺動自在なスライダから成り,前記スライダは,前記第1軌道面に対向して第2軌道面が形成され且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面とで形成される軌道路に平行なリターン路が形成されたケーシング,前記ケーシングの両端面に取り付けられ且つ前記軌道路と前記リターン路とを連通する方向転換路が形成されたエンドキャップ,並びに前記軌道路,前記リターン路,及び一対の前記方向転換路で構成される循環路を転走する複数の前記ローラを有する直動案内ユニットにおいて,
前記リターン路は前記ケーシングの嵌挿孔に挿通された長手状でなるパイプの通し孔で形成され,前記パイプは前記ローラを案内するパイプ本体と前記ローラに潤滑剤を供給する多孔質成形体とからなり,前記パイプ本体は前記ローラの端面を案内する柱部と前記ローラの転動面を案内する可撓柱部を有し,
前記可撓柱部は,少なくとも両端にそれぞれ位置する緩衝部と,前記緩衝部間に位置して前記ローラの前記リターン路の転走に対応して撓み可能な可撓部とから構成されていることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項3】
前記可撓柱部を構成する少なくとも前記可撓部の外面と前記多孔質成形体の内面との間には,前記ローラの循環による前記可撓柱部への衝撃を緩和するためのすきまが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記緩衝部の断面積は,前記緩衝部間に位置する前記可撓部の断面積より大きく形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記多孔質成形体は,外面が円弧状面に形成され且つ内面に前記可撓柱部を嵌合する凹溝と前記柱部に設置される設置面とが形成され,前記ローラが前記リターン路を転走する時に前記可撓柱部が撓んで前記ローラが前記多孔質成形体の前記内面に接触して潤滑されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記パイプ本体は合成樹脂から形成され,前記多孔質成形体は焼結樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記パイプ本体は,縦割りに2分割された一対の分割体が合体して構成され,前記分割体の互いの合体面が前記ローラの前記転動面に位置していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記パイプ本体は両端にそれぞれ位置し且つ矩形孔に形成された内面と円筒状に形成された外面とを備えた端部を有し,前記パイプ本体の前記柱部は前記端部間で前記端部に接続して延び且つ前記端部の外面と面一に形成され,前記パイプ本体の前記可撓柱部は少なくとも前記端部間で前記端部に接続して位置し且つ前記端部の前記外面より凹んだ外面を備えた緩衝部と前記緩衝部間に延びて前記緩衝部より薄肉に形成された可撓部とからなり,前記端部の内面と前記柱部,前記緩衝部及び前記可撓部のそれぞれの内面とは互いに面一であって前記通し孔が矩形孔に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記パイプ本体には,前記端部間に延びる一対の前記柱部と一対の前記可撓柱部は互いに対向して設けられ,前記パイプ本体を構成する前記分割体の前記合体面は前記可撓柱部に位置していることを特徴とする請求項8に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−92800(P2007−92800A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280362(P2005−280362)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】