直動案内装置の仮軸用アタッチメント
【課題】スライダを仮軸から案内レールに移動させる際に、サイドシール及びインナーシールの損傷を抑制することができるとともに、仮軸の損傷を防止することができる仮軸用アタッチメントを提供する。
【解決手段】仮軸用アタッチメント32は、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、仮軸側端部41からレール側端部に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。仮軸側端部41の断面の大きさは、取り付けられる仮軸20の軸方向端部の断面の大きさと略同一であり、レール側端部の断面の大きさは、仮軸側端部41の断面の大きさよりも大きい。レール側端部に備えられた薄板状の突出部45は、内方に向かって弾性変形可能となっており、この突出部45には、軸方向に延びるスリットが周方向に沿って並ぶように複数形成されている。
【解決手段】仮軸用アタッチメント32は、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、仮軸側端部41からレール側端部に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。仮軸側端部41の断面の大きさは、取り付けられる仮軸20の軸方向端部の断面の大きさと略同一であり、レール側端部の断面の大きさは、仮軸側端部41の断面の大きさよりも大きい。レール側端部に備えられた薄板状の突出部45は、内方に向かって弾性変形可能となっており、この突出部45には、軸方向に延びるスリットが周方向に沿って並ぶように複数形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内装置の仮軸に取り付けて用いる仮軸用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な直動案内装置の例を、図11,12を参照しながら説明する。図11は、直動案内装置の構成を説明する斜視図である。また、図12は、図11の直動案内装置を軸方向から見た正面図(ただし、エンドキャップを省略して図示している)である。
軸方向に延びる横断面略角形の案内レール101の上に、スライダ102が軸方向に相対移動可能に組み付けられている。スライダ102の横断面形状は略コ字状で、その内面の横断面形状は、案内レール101の外面の横断面形状に沿う形状とされている。この案内レール101の両側面101a,101aには、軸方向に延びる2条の転動体軌道面110,110がそれぞれ形成されている。
【0003】
また、スライダ102は、スライダ本体102Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ102B,102Bと、で構成されており、スライダ本体102Aの左右両袖部106,106の内側面には、案内レール101の転動体軌道面110,110,110,110に対向する2条の転動体軌道面111,111,111,111が形成されている。
【0004】
そして、案内レール101の転動体軌道面110,110,110,110と両袖部106,106の転動体軌道面111,111,111,111とで、4つの転動体転動路が形成されていて、これらの転動体転動路は軸方向に延びている。なお、案内レール101及びスライダ102が備える転動体軌道面110,111の数は、片側2条に限らず、例えば片側1条又は3条以上などであってもよい。
【0005】
さらに、この転動体転動路内には、軸方向に沿って並べられた複数の転動体103が転動自在に配されていて、これらの転動体103の転動を介してスライダ102が案内レール101に沿って軸方向に滑らかに移動するようになっている。
このような直動案内装置を射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどに取り付けて使用すると、案内レール101の転動体軌道面110やその他の露出面にゴミ,塵埃等の異物が堆積して転動体103の転動に支障をきたすおそれがあることから、エンドキャップ102Bには防塵埃用のサイドシール105が取り付けられることが通例である。
【0006】
すなわち、スライダ102の軸方向両端部(各エンドキャップ102Bの軸方向端面)に、略板状のサイドシール105,105が装着されていて、案内レール101とスライダ102との間の隙間の開口のうちエンドキャップ102Bの軸方向端面に開口する部分がシールされ、該隙間への外部からの異物の侵入や、該隙間から外部への潤滑剤の流出が防止されている。
さらに、スライダ本体102A及びエンドキャップ102Bには、サイドシール105を越えてスライダ102内に侵入したゴミ,塵埃等の異物が転動体軌道面110,111に侵入することを防止するために、転動体軌道面111に沿ってインナーシール109が設けられている。
【0007】
また、射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどに案内レール101をボルトで固定できるようにするために、案内レール101に取付穴107が形成されている。取付穴107内にゴミ,塵埃等の異物が堆積すると、スライダ102が取付穴107の上方を通過する際にスライダ102の転動体軌道面111にゴミ,塵埃等の異物が付着し、スライダ102の円滑な移動が妨げられるおそれがあるので、例えば金属製のレールカバー108で案内レール101の上面を覆って、取付穴107の上部の開口を塞いでいる。
【0008】
スライダ102を案内レール101に装着して直動案内装置を組み立てる際には、スライダ102内に保持された転動体103が転動体軌道面111から脱落することを防止するために、案内レール101と略同一の形状に形成された樹脂製の仮軸(図示せず)にスライダ102を仮に組み付けた上、この仮軸を案内レール101と同軸且つ一直線状に配置して、仮軸上のスライダ102を軸方向に移動させて案内レール101上に乗り移らせる。
【0009】
このとき、レールカバー108と、レールカバー108から露出する案内レール101の上面又は側面101aとから、段差130が形成されている。そして、このスライダ102の装着時には、この段差130とサイドシール105及びインナーシール109とが接触するため、レールカバー108,サイドシール105,及びインナーシール109に損傷が生じるおそれがあった。また、スライダ102の装着時にレールカバー108とサイドシール105及びインナーシール109が干渉すると、スライダ102を円滑に移動させることができないおそれがあった。
【0010】
このような問題を解決するため、種々の技術が提案されている。例えば特許文献1には、レールカバーの幅方向端部に突き合わされるように突出する薄肉の突起部を仮軸の軸方向端部に設ける技術が開示されている。仮軸上のスライダを案内レールに乗り移らせる際に、インナーシールは仮軸の突起部上に乗り上がるので、インナーシールがレールカバーと干渉することが防止される。その結果、レールカバーやインナーシールに損傷が生じることが抑制されるとともに、スライダを案内レールに円滑に移動させることができる。
【0011】
また、特許文献2には、断面の外形形状が長手方向に渡って一様ではない仮軸が開示されている。このような構成により、仮軸上のスライダを案内レールに円滑に移動させることができる。さらに、この仮軸の断面形状は直動案内装置の案内レールの断面形状と実質的に同一であり、仮軸の少なくとも一端の断面外形形状の大きさは案内レールの断面外形形状の大きさよりも大きく、仮軸の中央部の断面外形形状の大きさは案内レールの断面外形形状の大きさよりも小さいとされている。そして、仮軸の軸方向端部からは、仮軸の端部の外周に沿う薄板状の張り出し部が張り出している。そのため、サイドシールの損傷を伴うことなく、スライダを仮軸から案内レールに移動させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−57690号公報
【特許文献2】特開2008−82504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、レールカバーやインナーシールに損傷が生じることを抑制できるものの、案内レールの外面の全周に接触するサイドシールの損傷を抑制することは困難であった。また、仮軸の突起部の厚さは非常に薄い場合が多いため、破壊しやすいという問題があった。そのため、仮軸の材質として鋼を使用するなどして突起部の強度を高める必要があるが、突起部は仮軸と一体であるため、仮軸全体の材質を樹脂から鋼に変更しなければならなかった。
【0014】
また、特許文献2に開示の技術では、サイドシール及びインナーシールの損傷は抑制できるものの、張り出し部が薄板状であるため、サイドシールや転動体からの張り出し部に向かう方向の応力を許容しにくい。よって、サイドシールが外方に(仮軸から離れる方向)無理に広げられて、サイドシールに損傷が生じるおそれがある。さらに、転動体には予圧が付与されている場合が多いが、張り出し部はその予圧力を許容できないため、損傷が生じるおそれがある。そのため、仮軸の材質として鋼を使用するなどして張り出し部の強度を高める必要があるが、張り出し部は仮軸と一体であるため、仮軸全体の材質を樹脂から鋼に変更しなければならなかった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、スライダを仮軸から案内レールに移動させる際に、サイドシール及びインナーシールの損傷を抑制することができるとともに、仮軸の損傷を防止することができる仮軸用アタッチメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントは、直動案内装置の仮軸に組み付けられたスライダを軸方向に移動させて、前記仮軸から案内レールへ前記スライダを乗り移らせる際に、前記仮軸の軸方向両端部のうち前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部に同軸且つ一直線状をなすように取り付けられて使用される略棒状の仮軸用アタッチメントであって、下記の3つの条件A,B,Cを満足することを特徴とする。
【0016】
条件A:軸方向両端部のうち、前記仮軸に取り付けられる側の軸方向端部を仮軸側端部、前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部をレール側端部とし、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、前記仮軸側端部から前記レール側端部に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。
条件B:前記仮軸側端部の断面の大きさは、取り付けられる前記仮軸の軸方向端部の断面の大きさと略同一であり、前記レール側端部の断面の大きさは、前記仮軸側端部の断面の大きさよりも大きい。
【0017】
条件C:前記レール側端部の外周面は内方に向かって弾性変形可能となっている。
このような直動案内装置の仮軸用アタッチメントにおいては、前記レール側端部は、前記外周面を形成し且つ軸方向に突出する板状の突出部を備えており、該突出部が内方に向かって弾性変形可能となっていることが好ましい。そして、前記突出部には、軸方向に延びるスリットが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントは、スライダを仮軸から案内レールに移動させる際に、サイドシール及びインナーシールの損傷を抑制することができるとともに、仮軸の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】直動案内装置の構成を説明する斜視図である。
【図2】図1の直動案内装置の正面図である。
【図3】インナーシールの構造を説明する部分拡大断面図である。
【図4】仮軸に仮に組み付けたスライダを案内レールに装着する方法を説明する斜視図である。
【図5】本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントの一実施形態を説明する側面図である。
【図6】図5の仮軸用アタッチメントの正面図である。
【図7】仮軸セットの斜視図である。
【図8】変形例の仮軸用アタッチメントを説明する斜視図である。
【図9】ねじを用いて仮軸用アタッチメントを仮軸に固定する例を説明する斜視図である。
【図10】別の変形例の仮軸用アタッチメントを説明する斜視図である。
【図11】従来の直動案内装置の斜視図である。
【図12】図11の直動案内装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、直動案内装置の構成を説明する斜視図であり、図2は、図1の直動案内装置を軸方向から見た正面図(ただし、エンドキャップを省略して図示している)である。なお、これ以降の各図においては、同一又は相当する部分には、同一の符号を付してある。
軸方向に延びる横断面形状略角形の案内レール1上に、スライダ2が軸方向に相対移動可能に組み付けられている。スライダ2の横断面形状は略コ字状で、その内面の横断面形状は、案内レール1の外面の横断面形状に沿う形状とされている。この案内レール1の両側面1a,1aには、軸方向に延びる2条の転動体軌道面10,10がそれぞれ形成されている。
【0021】
また、スライダ2は、スライダ本体2Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ2B,2Bと、で構成されており、スライダ本体2Aの左右両袖部6,6の内側面には、案内レール1の転動体軌道面10,10,10,10に対向する2条の転動体軌道面11,11,11,11が形成されている。
そして、案内レール1の転動体軌道面10,10,10,10と両袖部6,6の転動体軌道面11,11,11,11とで、4つの転動体転動路が形成されていて、これらの転動体転動路は軸方向に延びている。なお、案内レール1及びスライダ2が備える転動体軌道面10,11の数は、片側2条に限らず、例えば片側1条又は3条以上などであってもよい。
【0022】
さらに、スライダ2は、スライダ本体2Aの左右両袖部6,6の肉厚部分の上部及び下部に、転動体転動路と平行をなして軸方向に貫通する貫通孔からなる直線路(図示せず)を備えている。
一方、エンドキャップ2Bは、例えば樹脂材料の射出成形品からなり、断面形状が略コ字状に形成されている。エンドキャップ2B,2Bは、スライダ本体2Aとの当接面(裏面)の左右両側に、転動体転動路とこれに平行な直線路とを連通させる半ドーナッツ状の湾曲路(図示せず)を有している。
【0023】
そして、直線路と両端の湾曲路とで、転動体3を転動体転動路の終点から始点へ送り循環させる転動体戻し路が構成され、この転動体戻し路と転動体転動路とで、略環状の転動体循環路が形成されている。この転動体循環路内には、例えば鋼製のころからなる多数の転動体3が転動自在に装填されていて、これらの転動体3の転動を介してスライダ2が案内レール1に沿って軸方向に移動するようになっている。なお、図2においては、転動体3はころとされているが、本発明は、転動体として玉を用いるタイプの直動案内装置にも適用可能であることは勿論である。
【0024】
案内レール1に組みつけられたスライダ2を案内レール1に沿って軸方向に移動させると、転動体転動路内に装填されている転動体3は、転動体転動路内を転動しつつ案内レール1に対してスライダ2と同方向に移動する。そして、転動体3が転動体転動路の終点に達すると、エンドキャップ2B内に備えられたタング部によって転動体転動路からすくい上げられ、湾曲路へ送られる。湾曲路に入った転動体3はUターンして直線路に導入され、直線路を通って反対側の湾曲路に至る。ここで再びUターンして転動体転動路の始点に戻り、このような転動体循環路内の循環を無限に繰り返す。
【0025】
このような直動案内装置を射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどにボルトで固定できるようにするために、案内レール1に取付穴7が形成されている。取付穴7内にゴミ,塵埃等の異物が堆積すると、スライダ2が取付穴7の上方を通過する際にスライダ2の転動体軌道面11にゴミ,塵埃等の異物が付着し、スライダ2の円滑な移動が妨げられるおそれがあるので、例えば金属製や樹脂製のレールカバー8で案内レール1の上面1bのほぼ全面を覆って、取付穴7の上部の開口を塞いでいる。そして、レールカバー8の幅方向両端部8aは、案内レール1の両側面1aに沿うように下方に向けて折り曲げられている。
【0026】
また、直動案内装置を射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどに取り付けて使用すると、案内レール1の転動体軌道面10やその他の露出面にゴミ,塵埃等の異物が堆積して転動体3の転動に支障をきたすおそれがあることから、エンドキャップ2Bには防塵埃用のサイドシール5が取り付けられている。すなわち、スライダ2の軸方向両端部(各エンドキャップ2Bの軸方向端面)に、案内レール1の外面(上面1b及び両側面1a)に摺接する略板状のサイドシール5,5が装着されていて、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口のうちエンドキャップ2Bの軸方向端面に開口する部分がシールされ、該隙間への外部からの異物の侵入や、該隙間から外部への潤滑剤の流出が防止されている。
【0027】
さらに、図2,3に示すように、スライダ本体2A及びエンドキャップ2Bには、左右両側の転動体軌道面11に沿ってインナーシール9,9が設けられている。すなわち、軸方向に延びるインナーシール9が、スライダ本体2A及びエンドキャップ2Bの内側面に、転動体軌道面11に沿うように取り付けられている。そして、インナーシール9のリップ部9aが、案内レール1の側面1aに沿うように下方に向けて折り曲げられたレールカバー8の幅方向両端部8aに摺接するようになっている。このインナーシール9により、サイドシール5を越えてスライダ2内に侵入したゴミ,塵埃等の異物が案内レール1の上面1b側から転動体軌道面10,11に侵入することが防止される。
【0028】
このような直動案内装置を、案内レール1の軸方向端部からスライダ2を装着することにより組み立てる際には、スライダ2内に保持された転動体3が転動体軌道面11から脱落することを防止するために、案内レール1と略同一の形状に形成された樹脂製(又は金属製)の仮軸20にスライダ2を仮に組み付けた上、図4に示すように、この仮軸20を案内レール1と同軸且つ一直線状に配置して、仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて案内レール1上に乗り移らせる。
【0029】
あるいは、仮軸20に組み付けられた状態でスライダ2が別個売りされる場合があるが、その場合には、スライダ2が組み付けられている仮軸20を案内レール1と同軸且つ一直線状に配置して、仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて案内レール1上に乗り移らせる。なお、図4においては、仮軸20上のスライダ2の図示は省略している。
【0030】
ここで、仮軸20について説明する。この仮軸20は、直動案内装置用の案内レール1とほぼ同一の形状に形成されている。すなわち、仮軸20の軸方向に直交する平面で切断した場合の断面形状は、案内レール1のそれとほぼ同一の形状をなしている。ただし、案内レール1とは異なり、仮軸20はスライダ2を仮に組み付けておくためのものであるから、その軸方向の長さはスライダ2の軸方向の長さよりも若干長ければ十分である。また、仮軸20の上面は機能上平面状である必要はないので、仮軸20の寸法精度を向上させるために、図示しない凹状の肉盗みが設けてある。
【0031】
仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて案内レール1上に乗り移らせる際には、従来においては、前述したようにサイドシール5や仮軸20に損傷が生じることがあった。そこで、本実施形態においては、サイドシール5,インナーシール9,及び仮軸20に損傷が生じることを防止するために、図5,6に示すような略角柱状の仮軸用アタッチメント32を使用する。
【0032】
以下に、仮軸用アタッチメント32を使用してスライダ2を仮軸20から案内レール1上に乗り移らせる方法を、図4〜7を参照しながら説明する。まず、仮軸20の軸方向両端部のうち案内レール1の軸方向端部に対向して配される方の軸方向端部に、仮軸用アタッチメント32を同軸且つ一直線状をなすように取り付ける。仮軸用アタッチメント32は仮軸20に着脱可能に取り付けられることが好ましいが、取り外しできないように取り付けられてもよい。なお、以降においては、仮軸20に仮軸用アタッチメント32を装着したものを仮軸セット34と記す。
【0033】
次に、軸方向一端部を仮軸20に装着した仮軸用アタッチメント32の軸方向他端部を案内レール1の軸方向端部に対向させつつ、仮軸セット34を案内レール1と同軸且つ一直線状に配置する(図4を参照。ただし、図4の仮軸20を仮軸セット34に置き換えて参照のこと)。そして、仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて、案内レール1上に乗り移らせる。このとき、仮軸セット34と案内レール1とは、接触させて配置してもよいし、若干の軸方向隙間をあけて配置してもよい。なお、以降においては、仮軸用アタッチメント32の軸方向両端部のうち、仮軸20に取り付けられる側の軸方向端部を仮軸側端部41、案内レール1に対向する側の軸方向端部をレール側端部42と記す。
【0034】
この仮軸用アタッチメント32は、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、仮軸側端部41からレール側端部42に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。そして、仮軸用アタッチメント32の仮軸側端部41の断面の大きさは、仮軸20の軸方向端部(仮軸用アタッチメント32が取り付けられる側の端部)の断面の大きさと略同一とされている。よって、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42の断面の大きさは、仮軸側端部41の断面の大きさよりも大きい。なお、仮軸用アタッチメント32及び仮軸20の断面とは、特に断りがない限り、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面を意味する。
【0035】
また、この仮軸用アタッチメント32の仮軸側端部41の断面形状は、仮軸20の軸方向端部(仮軸用アタッチメント32が取り付けられる側の端部)の断面形状と略同一であり、レール側端部42の断面形状は、仮軸20の軸方向端部の断面形状と略相似形である。図5の例では、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42と仮軸側端部41との間の中央部の断面の大きさは、仮軸側端部41の断面の大きさと同一で、レール側端部42の断面の大きさのみが、仮軸側端部41の断面の大きさよりも大きくなっている。
【0036】
さらに、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42は、芯部44と、該芯部44の外周を隙間を介して囲むように形成された薄板状の突出部45と、を備えている。すなわち、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42と仮軸側端部41とに挟まれた中央部から、芯部44と突出部45とが軸方向に突出してレール側端部42を形成している。また、突出部45の外周面は仮軸用アタッチメント32の中央部の外周面と連続していて、これら両外周面と仮軸側端部41の外周面とで仮軸用アタッチメント32の外周面を構成している。
【0037】
さらに、薄板状の突出部45は、内方に向かって(すなわち芯部44に向かって)弾性変形可能となっている。よって、突出部45に外方から内方に向く応力が負荷された場合には、突出部45は内方に向かって湾曲するように弾性変形する。図6においては、仮軸用アタッチメント32の上面側の突出部45は下方に向かって変形し、右側面側の突出部45は左方に向かって変形し、左側面側の突出部45は右方に向かって変形する。底面側には突出部45は形成されていない。
【0038】
このとき、突出部45には、軸方向に延びるスリット47が、周方向に沿って並ぶように複数形成されていることが好ましい。このスリット47の軸方向一端は、突出部45の端部に開口している。このような構成であれば、突出部45がより弾性変形しやすくなる。スリット47の数は特に限定されるものではなく、1個でもよいが、複数形成した方がより弾性変形しやすくなる。
【0039】
仮軸用アタッチメント32が上記のような構成を有しているため、仮軸20上のスライダ2を案内レール1上に乗り移らせる際に、サイドシール5,インナーシール9,及び仮軸20に損傷が生じることが防止される。この点について、以下に詳細に説明する。
仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させ、スライダ2が仮軸用アタッチメント32上に至ると、仮軸用アタッチメント32の断面の大きさは、仮軸側端部41からレール側端部42に向かって滑らかに大きくなっているので、スライダ2が仮軸側端部41からレール側端部42に移動するにつれて、サイドシール5及びインナーシール9は仮軸用アタッチメント32の外周面に沿って、無理なく徐々に外方(仮軸用アタッチメント32から離れる方向)に広げられる。
【0040】
図5の例であれば、スライダ2がレール側端部42上に移動したら、サイドシール5及びインナーシール9はレール側端部42の外周面(突出部45)に沿って外方(仮軸用アタッチメント32から離れる方向)に広げられ始め、レール側端部42の最端部に近づくに従って、レール側端部42の外周面(突出部45)に沿ってさらに外方に広げられていく。
【0041】
よって、スライダ2が仮軸セット34から案内レール1に乗り移る際に、サイドシール5及びインナーシール9と案内レール1の軸方向端面やレールカバー8の端面(図4から分かるように、レールカバー8と、レールカバー8から露出する案内レール1の上面1b又は側面1aとから、段差30が形成されているが、「レールカバー8の端面」とはこの段差30の端面である)との接触が避けられるので、サイドシール5,インナーシール9,及びレールカバー8に損傷が生じることが抑制されるとともに、スライダ2を案内レール1に円滑に移動させることができる。
【0042】
また、仮軸用アタッチメント32の突出部45は内方に向かって弾性変形可能となっているので、サイドシール5や転動体3からの応力を許容することができる。すなわち、サイドシール5や、予圧が付与されている転動体3から仮軸用アタッチメント32に応力や予圧力が負荷されたとしても、突出部45の弾性変形により緩衝されるため、スライダ2が仮軸用アタッチメント32上を通過する際に突出部45が損傷することはほとんどない。そのため、仮軸用アタッチメント32の材質として鋼を使用する必要はなく、樹脂を使用することが可能である。よって、仮軸用アタッチメント32を簡易且つ低コストで製造することができる。
【0043】
このように、仮軸用アタッチメント32を使用すれば、スライダ2を仮軸20から案内レール1に移動させる際に、サイドシール5,インナーシール9,及びレールカバー8の損傷を抑制することができる。また、スライダ2を仮軸20から案内レール1に移動させる際に仮軸20が損傷することを防止することができるし、仮軸用アタッチメント32自身の損傷も生じにくい。
【0044】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、突出部45に形成するスリット47の数は特に限定されるものではなく、図8のように多数形成してもよい。そうすれば、突出部45がより高い弾性変形しやすくなるので、サイドシール5や転動体3からの応力をより許容することができる。その結果、スライダ2が仮軸用アタッチメント32上を通過する際に、突出部45がより損傷しにくい。
【0045】
また、仮軸用アタッチメント32と仮軸20との取り付け構造は、特に限定されるものではないが、単純な構造であることが好ましい。例えば、図5,7に示すように、仮軸用アタッチメント32の仮軸側端部41から軸方向に突出する略L字状の凸部51を、仮軸20の軸方向端部に設けられた、凸部51に対応する形状の凹部52に嵌め合わせる取り付け構造が好ましい。なお、凸部51及び凹部52の形状は略L字状に限定されるものではない。
【0046】
このような単純な構造であれば、該部分を切削加工によって製造することができる。また、仮軸用アタッチメント32や仮軸20を樹脂の射出成形により製造する場合であれば、金型の構造が単純なものとなるので、製造コストを低く抑えることができる。さらに、金型の構造が単純であるため、成形品である仮軸用アタッチメント32や仮軸20を、高い寸法精度で成形することができる。
【0047】
さらに、上記のような取り付け構造に加えて、図9に示すように、ねじ61を用いて仮軸用アタッチメント32と仮軸20を固定してもよい。上記取り付け構造とねじ61との両方により取り付ければ、仮軸用アタッチメント32と仮軸20をより強固に固定することができる。また、仮軸用アタッチメント32及び仮軸20にねじ孔62を設けるのみでよいので、加工コストはそれほど上昇せず、より強固な固定を低コストで実現することができる。
【0048】
さらに、図10に示すように、仮軸用アタッチメント32の軸方向長さを仮軸セット34とほぼ同等の長さとすれば、仮軸用アタッチメント32単体で仮軸セット34と同様の機能を有することとなるので、仮軸20を必要としない。すなわち、長尺の仮軸用アタッチメント32にスライダ2を組み付け、長尺の仮軸用アタッチメント32から案内レール1にスライダ2を乗り移らせればよい。よって、仮軸用アタッチメント32を仮軸20に取り付ける工程を省略することができるとともに、仮軸20が不要なためコスト低減が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 案内レール
2 スライダ
2A スライダ本体
2B エンドキャップ
3 転動体
5 サイドシール
8 レールカバー
9 インナーシール
32 仮軸用アタッチメント
34 仮軸セット
41 仮軸側端部
42 レール側端部
45 突出部
47 スリット
51 凸部
52 凹部
61 ねじ
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内装置の仮軸に取り付けて用いる仮軸用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な直動案内装置の例を、図11,12を参照しながら説明する。図11は、直動案内装置の構成を説明する斜視図である。また、図12は、図11の直動案内装置を軸方向から見た正面図(ただし、エンドキャップを省略して図示している)である。
軸方向に延びる横断面略角形の案内レール101の上に、スライダ102が軸方向に相対移動可能に組み付けられている。スライダ102の横断面形状は略コ字状で、その内面の横断面形状は、案内レール101の外面の横断面形状に沿う形状とされている。この案内レール101の両側面101a,101aには、軸方向に延びる2条の転動体軌道面110,110がそれぞれ形成されている。
【0003】
また、スライダ102は、スライダ本体102Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ102B,102Bと、で構成されており、スライダ本体102Aの左右両袖部106,106の内側面には、案内レール101の転動体軌道面110,110,110,110に対向する2条の転動体軌道面111,111,111,111が形成されている。
【0004】
そして、案内レール101の転動体軌道面110,110,110,110と両袖部106,106の転動体軌道面111,111,111,111とで、4つの転動体転動路が形成されていて、これらの転動体転動路は軸方向に延びている。なお、案内レール101及びスライダ102が備える転動体軌道面110,111の数は、片側2条に限らず、例えば片側1条又は3条以上などであってもよい。
【0005】
さらに、この転動体転動路内には、軸方向に沿って並べられた複数の転動体103が転動自在に配されていて、これらの転動体103の転動を介してスライダ102が案内レール101に沿って軸方向に滑らかに移動するようになっている。
このような直動案内装置を射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどに取り付けて使用すると、案内レール101の転動体軌道面110やその他の露出面にゴミ,塵埃等の異物が堆積して転動体103の転動に支障をきたすおそれがあることから、エンドキャップ102Bには防塵埃用のサイドシール105が取り付けられることが通例である。
【0006】
すなわち、スライダ102の軸方向両端部(各エンドキャップ102Bの軸方向端面)に、略板状のサイドシール105,105が装着されていて、案内レール101とスライダ102との間の隙間の開口のうちエンドキャップ102Bの軸方向端面に開口する部分がシールされ、該隙間への外部からの異物の侵入や、該隙間から外部への潤滑剤の流出が防止されている。
さらに、スライダ本体102A及びエンドキャップ102Bには、サイドシール105を越えてスライダ102内に侵入したゴミ,塵埃等の異物が転動体軌道面110,111に侵入することを防止するために、転動体軌道面111に沿ってインナーシール109が設けられている。
【0007】
また、射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどに案内レール101をボルトで固定できるようにするために、案内レール101に取付穴107が形成されている。取付穴107内にゴミ,塵埃等の異物が堆積すると、スライダ102が取付穴107の上方を通過する際にスライダ102の転動体軌道面111にゴミ,塵埃等の異物が付着し、スライダ102の円滑な移動が妨げられるおそれがあるので、例えば金属製のレールカバー108で案内レール101の上面を覆って、取付穴107の上部の開口を塞いでいる。
【0008】
スライダ102を案内レール101に装着して直動案内装置を組み立てる際には、スライダ102内に保持された転動体103が転動体軌道面111から脱落することを防止するために、案内レール101と略同一の形状に形成された樹脂製の仮軸(図示せず)にスライダ102を仮に組み付けた上、この仮軸を案内レール101と同軸且つ一直線状に配置して、仮軸上のスライダ102を軸方向に移動させて案内レール101上に乗り移らせる。
【0009】
このとき、レールカバー108と、レールカバー108から露出する案内レール101の上面又は側面101aとから、段差130が形成されている。そして、このスライダ102の装着時には、この段差130とサイドシール105及びインナーシール109とが接触するため、レールカバー108,サイドシール105,及びインナーシール109に損傷が生じるおそれがあった。また、スライダ102の装着時にレールカバー108とサイドシール105及びインナーシール109が干渉すると、スライダ102を円滑に移動させることができないおそれがあった。
【0010】
このような問題を解決するため、種々の技術が提案されている。例えば特許文献1には、レールカバーの幅方向端部に突き合わされるように突出する薄肉の突起部を仮軸の軸方向端部に設ける技術が開示されている。仮軸上のスライダを案内レールに乗り移らせる際に、インナーシールは仮軸の突起部上に乗り上がるので、インナーシールがレールカバーと干渉することが防止される。その結果、レールカバーやインナーシールに損傷が生じることが抑制されるとともに、スライダを案内レールに円滑に移動させることができる。
【0011】
また、特許文献2には、断面の外形形状が長手方向に渡って一様ではない仮軸が開示されている。このような構成により、仮軸上のスライダを案内レールに円滑に移動させることができる。さらに、この仮軸の断面形状は直動案内装置の案内レールの断面形状と実質的に同一であり、仮軸の少なくとも一端の断面外形形状の大きさは案内レールの断面外形形状の大きさよりも大きく、仮軸の中央部の断面外形形状の大きさは案内レールの断面外形形状の大きさよりも小さいとされている。そして、仮軸の軸方向端部からは、仮軸の端部の外周に沿う薄板状の張り出し部が張り出している。そのため、サイドシールの損傷を伴うことなく、スライダを仮軸から案内レールに移動させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−57690号公報
【特許文献2】特開2008−82504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、レールカバーやインナーシールに損傷が生じることを抑制できるものの、案内レールの外面の全周に接触するサイドシールの損傷を抑制することは困難であった。また、仮軸の突起部の厚さは非常に薄い場合が多いため、破壊しやすいという問題があった。そのため、仮軸の材質として鋼を使用するなどして突起部の強度を高める必要があるが、突起部は仮軸と一体であるため、仮軸全体の材質を樹脂から鋼に変更しなければならなかった。
【0014】
また、特許文献2に開示の技術では、サイドシール及びインナーシールの損傷は抑制できるものの、張り出し部が薄板状であるため、サイドシールや転動体からの張り出し部に向かう方向の応力を許容しにくい。よって、サイドシールが外方に(仮軸から離れる方向)無理に広げられて、サイドシールに損傷が生じるおそれがある。さらに、転動体には予圧が付与されている場合が多いが、張り出し部はその予圧力を許容できないため、損傷が生じるおそれがある。そのため、仮軸の材質として鋼を使用するなどして張り出し部の強度を高める必要があるが、張り出し部は仮軸と一体であるため、仮軸全体の材質を樹脂から鋼に変更しなければならなかった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、スライダを仮軸から案内レールに移動させる際に、サイドシール及びインナーシールの損傷を抑制することができるとともに、仮軸の損傷を防止することができる仮軸用アタッチメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントは、直動案内装置の仮軸に組み付けられたスライダを軸方向に移動させて、前記仮軸から案内レールへ前記スライダを乗り移らせる際に、前記仮軸の軸方向両端部のうち前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部に同軸且つ一直線状をなすように取り付けられて使用される略棒状の仮軸用アタッチメントであって、下記の3つの条件A,B,Cを満足することを特徴とする。
【0016】
条件A:軸方向両端部のうち、前記仮軸に取り付けられる側の軸方向端部を仮軸側端部、前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部をレール側端部とし、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、前記仮軸側端部から前記レール側端部に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。
条件B:前記仮軸側端部の断面の大きさは、取り付けられる前記仮軸の軸方向端部の断面の大きさと略同一であり、前記レール側端部の断面の大きさは、前記仮軸側端部の断面の大きさよりも大きい。
【0017】
条件C:前記レール側端部の外周面は内方に向かって弾性変形可能となっている。
このような直動案内装置の仮軸用アタッチメントにおいては、前記レール側端部は、前記外周面を形成し且つ軸方向に突出する板状の突出部を備えており、該突出部が内方に向かって弾性変形可能となっていることが好ましい。そして、前記突出部には、軸方向に延びるスリットが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントは、スライダを仮軸から案内レールに移動させる際に、サイドシール及びインナーシールの損傷を抑制することができるとともに、仮軸の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】直動案内装置の構成を説明する斜視図である。
【図2】図1の直動案内装置の正面図である。
【図3】インナーシールの構造を説明する部分拡大断面図である。
【図4】仮軸に仮に組み付けたスライダを案内レールに装着する方法を説明する斜視図である。
【図5】本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントの一実施形態を説明する側面図である。
【図6】図5の仮軸用アタッチメントの正面図である。
【図7】仮軸セットの斜視図である。
【図8】変形例の仮軸用アタッチメントを説明する斜視図である。
【図9】ねじを用いて仮軸用アタッチメントを仮軸に固定する例を説明する斜視図である。
【図10】別の変形例の仮軸用アタッチメントを説明する斜視図である。
【図11】従来の直動案内装置の斜視図である。
【図12】図11の直動案内装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る直動案内装置の仮軸用アタッチメントの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、直動案内装置の構成を説明する斜視図であり、図2は、図1の直動案内装置を軸方向から見た正面図(ただし、エンドキャップを省略して図示している)である。なお、これ以降の各図においては、同一又は相当する部分には、同一の符号を付してある。
軸方向に延びる横断面形状略角形の案内レール1上に、スライダ2が軸方向に相対移動可能に組み付けられている。スライダ2の横断面形状は略コ字状で、その内面の横断面形状は、案内レール1の外面の横断面形状に沿う形状とされている。この案内レール1の両側面1a,1aには、軸方向に延びる2条の転動体軌道面10,10がそれぞれ形成されている。
【0021】
また、スライダ2は、スライダ本体2Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ2B,2Bと、で構成されており、スライダ本体2Aの左右両袖部6,6の内側面には、案内レール1の転動体軌道面10,10,10,10に対向する2条の転動体軌道面11,11,11,11が形成されている。
そして、案内レール1の転動体軌道面10,10,10,10と両袖部6,6の転動体軌道面11,11,11,11とで、4つの転動体転動路が形成されていて、これらの転動体転動路は軸方向に延びている。なお、案内レール1及びスライダ2が備える転動体軌道面10,11の数は、片側2条に限らず、例えば片側1条又は3条以上などであってもよい。
【0022】
さらに、スライダ2は、スライダ本体2Aの左右両袖部6,6の肉厚部分の上部及び下部に、転動体転動路と平行をなして軸方向に貫通する貫通孔からなる直線路(図示せず)を備えている。
一方、エンドキャップ2Bは、例えば樹脂材料の射出成形品からなり、断面形状が略コ字状に形成されている。エンドキャップ2B,2Bは、スライダ本体2Aとの当接面(裏面)の左右両側に、転動体転動路とこれに平行な直線路とを連通させる半ドーナッツ状の湾曲路(図示せず)を有している。
【0023】
そして、直線路と両端の湾曲路とで、転動体3を転動体転動路の終点から始点へ送り循環させる転動体戻し路が構成され、この転動体戻し路と転動体転動路とで、略環状の転動体循環路が形成されている。この転動体循環路内には、例えば鋼製のころからなる多数の転動体3が転動自在に装填されていて、これらの転動体3の転動を介してスライダ2が案内レール1に沿って軸方向に移動するようになっている。なお、図2においては、転動体3はころとされているが、本発明は、転動体として玉を用いるタイプの直動案内装置にも適用可能であることは勿論である。
【0024】
案内レール1に組みつけられたスライダ2を案内レール1に沿って軸方向に移動させると、転動体転動路内に装填されている転動体3は、転動体転動路内を転動しつつ案内レール1に対してスライダ2と同方向に移動する。そして、転動体3が転動体転動路の終点に達すると、エンドキャップ2B内に備えられたタング部によって転動体転動路からすくい上げられ、湾曲路へ送られる。湾曲路に入った転動体3はUターンして直線路に導入され、直線路を通って反対側の湾曲路に至る。ここで再びUターンして転動体転動路の始点に戻り、このような転動体循環路内の循環を無限に繰り返す。
【0025】
このような直動案内装置を射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどにボルトで固定できるようにするために、案内レール1に取付穴7が形成されている。取付穴7内にゴミ,塵埃等の異物が堆積すると、スライダ2が取付穴7の上方を通過する際にスライダ2の転動体軌道面11にゴミ,塵埃等の異物が付着し、スライダ2の円滑な移動が妨げられるおそれがあるので、例えば金属製や樹脂製のレールカバー8で案内レール1の上面1bのほぼ全面を覆って、取付穴7の上部の開口を塞いでいる。そして、レールカバー8の幅方向両端部8aは、案内レール1の両側面1aに沿うように下方に向けて折り曲げられている。
【0026】
また、直動案内装置を射出成形機,工作機械(例えば各種研削機),ロボットなどに取り付けて使用すると、案内レール1の転動体軌道面10やその他の露出面にゴミ,塵埃等の異物が堆積して転動体3の転動に支障をきたすおそれがあることから、エンドキャップ2Bには防塵埃用のサイドシール5が取り付けられている。すなわち、スライダ2の軸方向両端部(各エンドキャップ2Bの軸方向端面)に、案内レール1の外面(上面1b及び両側面1a)に摺接する略板状のサイドシール5,5が装着されていて、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口のうちエンドキャップ2Bの軸方向端面に開口する部分がシールされ、該隙間への外部からの異物の侵入や、該隙間から外部への潤滑剤の流出が防止されている。
【0027】
さらに、図2,3に示すように、スライダ本体2A及びエンドキャップ2Bには、左右両側の転動体軌道面11に沿ってインナーシール9,9が設けられている。すなわち、軸方向に延びるインナーシール9が、スライダ本体2A及びエンドキャップ2Bの内側面に、転動体軌道面11に沿うように取り付けられている。そして、インナーシール9のリップ部9aが、案内レール1の側面1aに沿うように下方に向けて折り曲げられたレールカバー8の幅方向両端部8aに摺接するようになっている。このインナーシール9により、サイドシール5を越えてスライダ2内に侵入したゴミ,塵埃等の異物が案内レール1の上面1b側から転動体軌道面10,11に侵入することが防止される。
【0028】
このような直動案内装置を、案内レール1の軸方向端部からスライダ2を装着することにより組み立てる際には、スライダ2内に保持された転動体3が転動体軌道面11から脱落することを防止するために、案内レール1と略同一の形状に形成された樹脂製(又は金属製)の仮軸20にスライダ2を仮に組み付けた上、図4に示すように、この仮軸20を案内レール1と同軸且つ一直線状に配置して、仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて案内レール1上に乗り移らせる。
【0029】
あるいは、仮軸20に組み付けられた状態でスライダ2が別個売りされる場合があるが、その場合には、スライダ2が組み付けられている仮軸20を案内レール1と同軸且つ一直線状に配置して、仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて案内レール1上に乗り移らせる。なお、図4においては、仮軸20上のスライダ2の図示は省略している。
【0030】
ここで、仮軸20について説明する。この仮軸20は、直動案内装置用の案内レール1とほぼ同一の形状に形成されている。すなわち、仮軸20の軸方向に直交する平面で切断した場合の断面形状は、案内レール1のそれとほぼ同一の形状をなしている。ただし、案内レール1とは異なり、仮軸20はスライダ2を仮に組み付けておくためのものであるから、その軸方向の長さはスライダ2の軸方向の長さよりも若干長ければ十分である。また、仮軸20の上面は機能上平面状である必要はないので、仮軸20の寸法精度を向上させるために、図示しない凹状の肉盗みが設けてある。
【0031】
仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて案内レール1上に乗り移らせる際には、従来においては、前述したようにサイドシール5や仮軸20に損傷が生じることがあった。そこで、本実施形態においては、サイドシール5,インナーシール9,及び仮軸20に損傷が生じることを防止するために、図5,6に示すような略角柱状の仮軸用アタッチメント32を使用する。
【0032】
以下に、仮軸用アタッチメント32を使用してスライダ2を仮軸20から案内レール1上に乗り移らせる方法を、図4〜7を参照しながら説明する。まず、仮軸20の軸方向両端部のうち案内レール1の軸方向端部に対向して配される方の軸方向端部に、仮軸用アタッチメント32を同軸且つ一直線状をなすように取り付ける。仮軸用アタッチメント32は仮軸20に着脱可能に取り付けられることが好ましいが、取り外しできないように取り付けられてもよい。なお、以降においては、仮軸20に仮軸用アタッチメント32を装着したものを仮軸セット34と記す。
【0033】
次に、軸方向一端部を仮軸20に装着した仮軸用アタッチメント32の軸方向他端部を案内レール1の軸方向端部に対向させつつ、仮軸セット34を案内レール1と同軸且つ一直線状に配置する(図4を参照。ただし、図4の仮軸20を仮軸セット34に置き換えて参照のこと)。そして、仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させて、案内レール1上に乗り移らせる。このとき、仮軸セット34と案内レール1とは、接触させて配置してもよいし、若干の軸方向隙間をあけて配置してもよい。なお、以降においては、仮軸用アタッチメント32の軸方向両端部のうち、仮軸20に取り付けられる側の軸方向端部を仮軸側端部41、案内レール1に対向する側の軸方向端部をレール側端部42と記す。
【0034】
この仮軸用アタッチメント32は、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、仮軸側端部41からレール側端部42に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。そして、仮軸用アタッチメント32の仮軸側端部41の断面の大きさは、仮軸20の軸方向端部(仮軸用アタッチメント32が取り付けられる側の端部)の断面の大きさと略同一とされている。よって、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42の断面の大きさは、仮軸側端部41の断面の大きさよりも大きい。なお、仮軸用アタッチメント32及び仮軸20の断面とは、特に断りがない限り、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面を意味する。
【0035】
また、この仮軸用アタッチメント32の仮軸側端部41の断面形状は、仮軸20の軸方向端部(仮軸用アタッチメント32が取り付けられる側の端部)の断面形状と略同一であり、レール側端部42の断面形状は、仮軸20の軸方向端部の断面形状と略相似形である。図5の例では、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42と仮軸側端部41との間の中央部の断面の大きさは、仮軸側端部41の断面の大きさと同一で、レール側端部42の断面の大きさのみが、仮軸側端部41の断面の大きさよりも大きくなっている。
【0036】
さらに、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42は、芯部44と、該芯部44の外周を隙間を介して囲むように形成された薄板状の突出部45と、を備えている。すなわち、仮軸用アタッチメント32のレール側端部42と仮軸側端部41とに挟まれた中央部から、芯部44と突出部45とが軸方向に突出してレール側端部42を形成している。また、突出部45の外周面は仮軸用アタッチメント32の中央部の外周面と連続していて、これら両外周面と仮軸側端部41の外周面とで仮軸用アタッチメント32の外周面を構成している。
【0037】
さらに、薄板状の突出部45は、内方に向かって(すなわち芯部44に向かって)弾性変形可能となっている。よって、突出部45に外方から内方に向く応力が負荷された場合には、突出部45は内方に向かって湾曲するように弾性変形する。図6においては、仮軸用アタッチメント32の上面側の突出部45は下方に向かって変形し、右側面側の突出部45は左方に向かって変形し、左側面側の突出部45は右方に向かって変形する。底面側には突出部45は形成されていない。
【0038】
このとき、突出部45には、軸方向に延びるスリット47が、周方向に沿って並ぶように複数形成されていることが好ましい。このスリット47の軸方向一端は、突出部45の端部に開口している。このような構成であれば、突出部45がより弾性変形しやすくなる。スリット47の数は特に限定されるものではなく、1個でもよいが、複数形成した方がより弾性変形しやすくなる。
【0039】
仮軸用アタッチメント32が上記のような構成を有しているため、仮軸20上のスライダ2を案内レール1上に乗り移らせる際に、サイドシール5,インナーシール9,及び仮軸20に損傷が生じることが防止される。この点について、以下に詳細に説明する。
仮軸20上のスライダ2を案内レール1に向けて軸方向に移動させ、スライダ2が仮軸用アタッチメント32上に至ると、仮軸用アタッチメント32の断面の大きさは、仮軸側端部41からレール側端部42に向かって滑らかに大きくなっているので、スライダ2が仮軸側端部41からレール側端部42に移動するにつれて、サイドシール5及びインナーシール9は仮軸用アタッチメント32の外周面に沿って、無理なく徐々に外方(仮軸用アタッチメント32から離れる方向)に広げられる。
【0040】
図5の例であれば、スライダ2がレール側端部42上に移動したら、サイドシール5及びインナーシール9はレール側端部42の外周面(突出部45)に沿って外方(仮軸用アタッチメント32から離れる方向)に広げられ始め、レール側端部42の最端部に近づくに従って、レール側端部42の外周面(突出部45)に沿ってさらに外方に広げられていく。
【0041】
よって、スライダ2が仮軸セット34から案内レール1に乗り移る際に、サイドシール5及びインナーシール9と案内レール1の軸方向端面やレールカバー8の端面(図4から分かるように、レールカバー8と、レールカバー8から露出する案内レール1の上面1b又は側面1aとから、段差30が形成されているが、「レールカバー8の端面」とはこの段差30の端面である)との接触が避けられるので、サイドシール5,インナーシール9,及びレールカバー8に損傷が生じることが抑制されるとともに、スライダ2を案内レール1に円滑に移動させることができる。
【0042】
また、仮軸用アタッチメント32の突出部45は内方に向かって弾性変形可能となっているので、サイドシール5や転動体3からの応力を許容することができる。すなわち、サイドシール5や、予圧が付与されている転動体3から仮軸用アタッチメント32に応力や予圧力が負荷されたとしても、突出部45の弾性変形により緩衝されるため、スライダ2が仮軸用アタッチメント32上を通過する際に突出部45が損傷することはほとんどない。そのため、仮軸用アタッチメント32の材質として鋼を使用する必要はなく、樹脂を使用することが可能である。よって、仮軸用アタッチメント32を簡易且つ低コストで製造することができる。
【0043】
このように、仮軸用アタッチメント32を使用すれば、スライダ2を仮軸20から案内レール1に移動させる際に、サイドシール5,インナーシール9,及びレールカバー8の損傷を抑制することができる。また、スライダ2を仮軸20から案内レール1に移動させる際に仮軸20が損傷することを防止することができるし、仮軸用アタッチメント32自身の損傷も生じにくい。
【0044】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、突出部45に形成するスリット47の数は特に限定されるものではなく、図8のように多数形成してもよい。そうすれば、突出部45がより高い弾性変形しやすくなるので、サイドシール5や転動体3からの応力をより許容することができる。その結果、スライダ2が仮軸用アタッチメント32上を通過する際に、突出部45がより損傷しにくい。
【0045】
また、仮軸用アタッチメント32と仮軸20との取り付け構造は、特に限定されるものではないが、単純な構造であることが好ましい。例えば、図5,7に示すように、仮軸用アタッチメント32の仮軸側端部41から軸方向に突出する略L字状の凸部51を、仮軸20の軸方向端部に設けられた、凸部51に対応する形状の凹部52に嵌め合わせる取り付け構造が好ましい。なお、凸部51及び凹部52の形状は略L字状に限定されるものではない。
【0046】
このような単純な構造であれば、該部分を切削加工によって製造することができる。また、仮軸用アタッチメント32や仮軸20を樹脂の射出成形により製造する場合であれば、金型の構造が単純なものとなるので、製造コストを低く抑えることができる。さらに、金型の構造が単純であるため、成形品である仮軸用アタッチメント32や仮軸20を、高い寸法精度で成形することができる。
【0047】
さらに、上記のような取り付け構造に加えて、図9に示すように、ねじ61を用いて仮軸用アタッチメント32と仮軸20を固定してもよい。上記取り付け構造とねじ61との両方により取り付ければ、仮軸用アタッチメント32と仮軸20をより強固に固定することができる。また、仮軸用アタッチメント32及び仮軸20にねじ孔62を設けるのみでよいので、加工コストはそれほど上昇せず、より強固な固定を低コストで実現することができる。
【0048】
さらに、図10に示すように、仮軸用アタッチメント32の軸方向長さを仮軸セット34とほぼ同等の長さとすれば、仮軸用アタッチメント32単体で仮軸セット34と同様の機能を有することとなるので、仮軸20を必要としない。すなわち、長尺の仮軸用アタッチメント32にスライダ2を組み付け、長尺の仮軸用アタッチメント32から案内レール1にスライダ2を乗り移らせればよい。よって、仮軸用アタッチメント32を仮軸20に取り付ける工程を省略することができるとともに、仮軸20が不要なためコスト低減が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 案内レール
2 スライダ
2A スライダ本体
2B エンドキャップ
3 転動体
5 サイドシール
8 レールカバー
9 インナーシール
32 仮軸用アタッチメント
34 仮軸セット
41 仮軸側端部
42 レール側端部
45 突出部
47 スリット
51 凸部
52 凹部
61 ねじ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直動案内装置の仮軸に組み付けられたスライダを軸方向に移動させて、前記仮軸から案内レールへ前記スライダを乗り移らせる際に、前記仮軸の軸方向両端部のうち前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部に同軸且つ一直線状をなすように取り付けられて使用される略棒状の仮軸用アタッチメントであって、下記の3つの条件A,B,Cを満足することを特徴とする直動案内装置の仮軸用アタッチメント。
条件A:軸方向両端部のうち、前記仮軸に取り付けられる側の軸方向端部を仮軸側端部、前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部をレール側端部とし、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、前記仮軸側端部から前記レール側端部に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。
条件B:前記仮軸側端部の断面の大きさは、取り付けられる前記仮軸の軸方向端部の断面の大きさと略同一であり、前記レール側端部の断面の大きさは、前記仮軸側端部の断面の大きさよりも大きい。
条件C:前記レール側端部の外周面は内方に向かって弾性変形可能となっている。
【請求項2】
前記レール側端部は、前記外周面を形成し且つ軸方向に突出する板状の突出部を備えており、該突出部は内方に向かって弾性変形可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置の仮軸用アタッチメント。
【請求項3】
前記突出部には、軸方向に延びるスリットが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内装置の仮軸用アタッチメント。
【請求項1】
直動案内装置の仮軸に組み付けられたスライダを軸方向に移動させて、前記仮軸から案内レールへ前記スライダを乗り移らせる際に、前記仮軸の軸方向両端部のうち前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部に同軸且つ一直線状をなすように取り付けられて使用される略棒状の仮軸用アタッチメントであって、下記の3つの条件A,B,Cを満足することを特徴とする直動案内装置の仮軸用アタッチメント。
条件A:軸方向両端部のうち、前記仮軸に取り付けられる側の軸方向端部を仮軸側端部、前記案内レールの軸方向端部に対向する側の軸方向端部をレール側端部とし、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面の大きさが、前記仮軸側端部から前記レール側端部に向かって滑らかに大きくなるような全体形状をなしている。
条件B:前記仮軸側端部の断面の大きさは、取り付けられる前記仮軸の軸方向端部の断面の大きさと略同一であり、前記レール側端部の断面の大きさは、前記仮軸側端部の断面の大きさよりも大きい。
条件C:前記レール側端部の外周面は内方に向かって弾性変形可能となっている。
【請求項2】
前記レール側端部は、前記外周面を形成し且つ軸方向に突出する板状の突出部を備えており、該突出部は内方に向かって弾性変形可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置の仮軸用アタッチメント。
【請求項3】
前記突出部には、軸方向に延びるスリットが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の直動案内装置の仮軸用アタッチメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−67838(P2012−67838A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212738(P2010−212738)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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