直動案内装置
【課題】転動体転動路の軸方向全域に潤滑剤が供給され、潤滑剤不足による破損が生じにくく長寿命な直動案内装置を提供する。
【解決手段】直動案内装置は、潤滑剤をスライダ2の内部に導入するための潤滑剤導入口21と、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤を転動体転動路13に供給する複数の潤滑剤吐出口23と、潤滑剤導入口21と複数の潤滑剤吐出口23とを連通する油路25と、を備えている。潤滑剤導入口21はスライダ2の外面に開口しており、複数の潤滑剤吐出口23は、軸方向に間隔を空けつつ転動体転動路13に沿って配置されている。油路25は、スライダ本体2Aの内部に形成された第一油路25Aと、表面に溝28を備える板状の油路形成部材27を、溝28を備える表面をスライダ本体2Aに向けてスライダ本体2Aに取り付けることによって形成された枝分かれ状の第二油路25Bと、からなる。
【解決手段】直動案内装置は、潤滑剤をスライダ2の内部に導入するための潤滑剤導入口21と、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤を転動体転動路13に供給する複数の潤滑剤吐出口23と、潤滑剤導入口21と複数の潤滑剤吐出口23とを連通する油路25と、を備えている。潤滑剤導入口21はスライダ2の外面に開口しており、複数の潤滑剤吐出口23は、軸方向に間隔を空けつつ転動体転動路13に沿って配置されている。油路25は、スライダ本体2Aの内部に形成された第一油路25Aと、表面に溝28を備える板状の油路形成部材27を、溝28を備える表面をスライダ本体2Aに向けてスライダ本体2Aに取り付けることによって形成された枝分かれ状の第二油路25Bと、からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、直動案内装置は、軸方向に延びる転動体軌道面を有する断面形状略四角形の案内レールと、該案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に案内レールに取り付けられた断面形状略コ字状のスライダと、を備えている。すなわち、スライダは、軸方向に延びる平板部と該平板部の左右両側部からそれぞれ同一方向に延びる腕部とからなって断面形状略コ字状をなしており、左右両腕部の間に案内レールを挟むように案内レールに取り付けられている。
【0003】
そして、案内レールの左右両側面の転動体軌道面とスライダの左右両腕部の内側面の転動体軌道面との間に形成される転動体転動路内に、複数の転動体が転動自在に配されており、左右の転動体転動路内の転動体の転動を介してスライダが案内レールに沿って軸方向に相対移動可能となっている。
転動体転動路内の転動体には、潤滑油,グリース等の潤滑剤が供給され潤滑が行われる。例えば、特許文献1には、スライダの軸方向両端のエンドキャップに潤滑剤を供給する油路を備えた直動案内装置が開示されている。そして、エンドキャップに供給された潤滑剤が、エンドキャップ内の転動体の転動を介して転動体転動路内を広がっていくようになっている。
【0004】
また、スライダの平板部の内面の軸方向中央位置且つ幅方向中央位置に、潤滑剤吐出口を備える直動案内装置が、従来から知られている。スライダの平板部の内面は案内レールの上面に対向しているので、潤滑剤吐出口から吐出された潤滑剤は、案内レールの上面の幅方向中央位置に落下し、案内レールの上面を伝わって左右の転動体転動路に供給されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−190363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の直動案内装置では、転動体転動路のうちエンドキャップの近傍部分にしか十分な量の潤滑剤が行き渡らないおそれがあるため、スライダの軸方向長さが長い場合には、転動体転動路の軸方向中央部が潤滑剤不足となり、直動案内装置が破損するおそれがあった。
また、前述の潤滑剤吐出口を備える従来の直動案内装置では、転動体転動路の軸方向中央部に潤滑剤が供給されるものの、転動体転動路のうち軸方向中央部の近傍部分にしか十分な量の潤滑剤が行き渡らないおそれがあるため、スライダの軸方向長さが長い場合には、転動体転動路の軸方向両端部が潤滑剤不足となり、直動案内装置が破損するおそれがあった。
【0007】
さらに、案内レールを基台等の被取付部にボルトを用いて取り付けるための取付孔が案内レールに形成されているが、取付孔は案内レールの上面に開口しているので、案内レールの上面に落下した潤滑剤が取付孔に入り込み、転動体転動路に供給されるまでに多量の潤滑剤を必要とするという問題点も有していた。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、転動体転動路の軸方向全域に潤滑剤が供給され、潤滑剤不足による破損が生じにくく長寿命な直動案内装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る直動案内装置は、軸方向に延びる転動体軌道面を有する案内レールと、前記案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記案内レールに取り付けられたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面及び前記スライダの転動体軌道面の間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体と、前記転動体転動路に潤滑剤を供給する複数の潤滑剤吐出口と、を備え、前記複数の潤滑剤吐出口を、軸方向に間隔を空けつつ前記転動体転動路に沿って配置したことを特徴とする。
【0009】
このような直動案内装置においては、前記スライダの外面に開口し潤滑剤が導入される潤滑剤導入口と、前記潤滑剤導入口と前記複数の潤滑剤吐出口とを連通する油路と、を備え、前記油路は、前記潤滑剤導入口の下流側に位置する分岐開始点で最初に分岐し、前記分岐開始点の下流側でそれぞれさらに分岐していて、前記潤滑剤導入口と前記分岐開始点との間を連通する第一油路と、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口とを連通する枝分かれ状の第二油路と、からなり、前記第二油路は、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間の油路長さと、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間に存在する分岐点の数とが、全ての前記潤滑剤吐出口について同一であることが好ましい。
【0010】
さらに、表面に溝を備える油路形成部材を、前記溝を備える表面を前記スライダに向けて前記スライダに取り付け、前記スライダと前記油路形成部材との間に前記溝によって前記第二油路を形成することが好ましい。
さらに、前記スライダと前記油路形成部材との界面部分の、前記スライダの軸方向中央位置且つ幅方向中央位置に前記分岐開始点を配するとともに、前記分岐開始点から前記潤滑剤吐出口までの間に、軸方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点と、幅方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点とを配して、第二油路の枝分かれ形状を、前記分岐開始点から下流側に向かって逐次二股に分岐していく形状とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る直動案内装置は、転動体転動路に潤滑剤を供給する複数の潤滑剤吐出口が、軸方向に間隔を空けつつ転動体転動路に沿って配置されているので、転動体転動路の軸方向全域に潤滑剤が供給され、潤滑剤不足による破損が生じにくく長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る直動案内装置の一実施形態の構造を示す斜視図である。
【図2】図1の直動案内装置を軸方向端部側から見た正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1の直動案内装置のスライダを下面側から見た図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】潤滑剤導入口がスライダの軸方向端面に開口している直動案内装置の例を説明する、スライダを下面側から見た図である。
【図7】油路形成部材をエンドキャップに挟むことによりスライダに取り付けた直動案内装置の例を説明する、スライダを下面側から見た図である。
【図8】油路形成部材の平面図及び断面図である。
【図9】変形例の油路形成部材の平面図である。
【図10】別の変形例の油路形成部材の平面図である。
【図11】流量調整機構を説明する油路形成部材の平面図である。
【図12】別の流量調整機構を説明する油路形成部材の平面図である。
【図13】さらに別の流量調整機構を説明する油路形成部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る直動案内装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る直動案内装置の一実施形態の構造を示す斜視図である。また、図2は、図1の直動案内装置を軸方向端部側から見た正面図(ただし、エンドキャップを省略して図示している)である。さらに、図3は、図2のA−A断面図であり、図1の直動案内装置の転動体循環路を示す部分断面図である。
【0014】
なお、これ以降の説明で参照する各図においては、同一又は相当する部分には、同一の符号を付してある。また、これ以降の説明において「断面」と記した場合は、特に断りがない限り、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面を意味する。さらに、これ以降の説明における「上」,「下」,「左」,「右」等の方向を示す用語は、特に断りがない限り、説明の便宜上、図2におけるそれぞれの方向を意味するものである。
【0015】
軸方向に延びる断面形状略四角形の案内レール1の上に、断面形状略コ字状のスライダ2が軸方向に移動可能に組み付けられている。この案内レール1の左右両側面1a,1aと上面1bとが交差する稜部には、軸方向に延びる断面ほぼ1/4円弧形状の凹溝からなる転動体転動溝10,10(本発明の構成要件である転動体軌道面に相当する)が形成され、また、案内レール1の左右両側面1a,1aの上下方向中央部には、軸方向に延びる断面ほぼ半円形の凹溝からなる転動体転動溝10,10が形成されている。
【0016】
また、スライダ2は、案内レール1の上面1bに沿う平板部7と、平板部7の左右両側部からそれぞれ下方に延び側面1aに沿う2つの腕部6,6と、からなり、平板部7と腕部6,6とのなす角度は略直角であるため、スライダ2の断面形状は略コ字状をなしている。そして、スライダ2は、両腕部6,6の間に案内レール1を挟むようにして、案内レール1に移動可能に取り付けられている。
【0017】
このようなスライダ2は、スライダ本体2Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ2B,2Bと、で構成されている。さらに、スライダ2の軸方向両端部(各エンドキャップ2Bの軸方向外端面)には、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口のうち軸方向端面側に面する部分を密封するサイドシール5,5が装着されており、スライダ2の下部には、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口のうちスライダ2の下面側に面する部分を密封するアンダーシール8,8が装着されている。これらサイドシール5,5及びアンダーシール8,8により、外部から前記隙間への異物の侵入や、前記隙間から外部への潤滑剤の漏出が防止されている。
【0018】
さらに、スライダ本体2Aの左右両腕部6,6の内側面の角部及び上下方向中央部には、案内レール1の転動体転動溝10,10,10,10に対向する断面ほぼ半円形の転動体転動溝11,11,11,11(本発明の構成要件である転動体軌道面に相当する)が形成されている。そして、案内レール1の転動体転動溝10,10,10,10とスライダ2の転動体転動溝11,11,11,11との間に、断面ほぼ円形の転動体転動路13,13,13,13がそれぞれ形成されていて、これらの転動体転動路13,13,13,13は軸方向に延びている。
【0019】
これらの転動体転動路13内には複数の転動体3(例えば鋼、セラミックからなるボール)が転動自在に装填されていて、これらの転動体3の転動を介してスライダ2が案内レール1に沿って軸方向に移動するようになっている。なお、転動体3の種類はボールに限定されるものではなく、ころであってもよい。また、案内レール1及びスライダ2が備える転動体転動溝10,11の数は片側二列に限らず、例えば片側一列又は三列以上であってもよい。さらに、転動体転動溝10,11の断面形状は、前述したように単一の円弧からなる円弧状でもよいが、曲率中心の異なる2つの円弧を組合せてなる略V字状(ゴシックアーク形状溝)でもよい。
【0020】
さらにまた、スライダ2は、スライダ本体2Aの左右両腕部6,6の肉厚部分の上部及び下部に、転動体転動路13,13,13,13と平行をなして軸方向に貫通する断面形状円形の直線孔からなる直線状路14,14,14,14を備えている。
一方、エンドキャップ2Bは、例えば樹脂材料の成形品からなり、断面形状が略コ字状に形成されている。また、エンドキャップ2Bの裏面(スライダ本体2Aとの当接面)の左右両側には、断面形状円形で半ドーナツ形状の湾曲路16が上下二段に形成されている。このエンドキャップ2Bをスライダ本体2Aに取り付けると、湾曲路16によって転動体転動路13と直線状路14とが連通される。
【0021】
これら直線状路14と両端の湾曲路16,16とで、転動体3を転動体転動路13の終点から始点へ送る転動体戻し路17が構成され(転動体戻し路17は転動体転動路13と同数設けられている)、転動体転動路13と転動体戻し路17とで、略環状の転動体循環路が構成される。そして、この略環状の転動体循環路は、案内レール1を挟んで左右両側に形成される。
【0022】
案内レール1に組みつけられたスライダ2が案内レール1に沿って軸方向に移動すると、転動体転動路13内に装填されている転動体3は、転動体転動路13内を転動しつつ案内レール1に対してスライダ2と同方向に移動する。そして、転動体3が転動体転動路13の終点に達すると、転動体転動路13からすくい上げられ湾曲路16へ送られる。湾曲路16に入った転動体3はUターンして直線状路14に導入され、直線状路14を通って反対側の湾曲路16に至る。ここで再びUターンして転動体転動路13の始点に戻り、このような転動体循環路内の循環を無限に繰り返す。
【0023】
このような本実施形態の直動案内装置には、潤滑油,グリース等の潤滑剤を転動体転動路13に供給して転動体転動路13内の転動体3及び転動体転動溝10,11を潤滑する潤滑剤供給機構が備えられている。この潤滑剤供給機構は、潤滑剤をスライダ2の内部に導入するための潤滑剤導入口21と、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤を転動体転動路13に供給する複数の潤滑剤吐出口23と、潤滑剤導入口21と複数の潤滑剤吐出口23とを連通する油路25と、で構成されている。
【0024】
潤滑剤導入口21は、スライダ2の外面に開口しており、この開口からスライダ2の内部に潤滑剤を導入できるようになっている。本実施形態の直動案内装置においては、図4,5に示すように、潤滑剤導入口21がスライダ2の右外側面に開口している。ただし、潤滑剤導入口21が開口している外面は、スライダ2の左外側面、スライダ2の上面、又はスライダ2の軸方向端面としてもよい。図6は、潤滑剤導入口21がスライダ2の軸方向端面に開口している例を説明する図である。また、スライダ2に設ける潤滑剤導入口21の数は、1個でもよいが複数でもよい。
【0025】
一方、複数の潤滑剤吐出口23は、スライダ2の内側の転動体転動路13の近傍に設けられている。複数の潤滑剤吐出口23は、軸方向に間隔を空けつつ転動体転動路13に沿って配置されていて、転動体転動路13に対向している。そして、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤が油路25を通って各潤滑剤吐出口23に至り、各潤滑剤吐出口23から吐出された潤滑剤が、転動体転動路13内に供給されるようになっている。
【0026】
他方、油路25は、その一部(本発明の構成要件である第一油路に相当し、以降は「第一油路25A」と記す)がスライダ本体2Aの内部に形成され、他部(本発明の構成要件である第二油路に相当し、以降は「第二油路25B」と記す)が、表面に溝28を備える油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けることによって、スライダ本体2Aと油路形成部材27との間に形成されている。
【0027】
第一油路25Aは、スライダ2の外側面の潤滑剤導入口21からスライダ2の幅方向中央に向かって水平に延び、スライダ2の幅方向中央部で屈曲して下方に延びて、案内レール1の上面1bに対向する平板部7の内面(下面)に開口している。なお、本発明においては、幅方向とは、軸方向に直交する方向のうち、スライダ本体2Aの平板部7の内面が対向する案内レール1の上面1bに平行な方向を意味する。
【0028】
また、第二油路25Bは、表面に溝28を備える板状の油路形成部材27を、溝28を備える表面をスライダ本体2Aに向けてスライダ本体2Aの平板部7の内面に、ねじ留め、接着、溶接等の慣用の固着手段で取り付けることによって形成される。すなわち、スライダ本体2Aと油路形成部材27との間(スライダ本体2Aと油路形成部材27との界面部分)に、溝28によって第二油路25Bが形成される。
【0029】
なお、図7に示すように、油路形成部材27を、スライダ本体2Aの軸方向長さ以上の長さを有する長尺な形状とし、油路形成部材27の軸方向両端をエンドキャップ2B,2Bの間に挟むことにより、油路形成部材27をスライダ2に取り付けてもよい。そうすれば、ねじ、接着剤等を用いることなく油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けることができるとともに、ねじ留め、接着、溶接等により油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けるのに比べて、取り付け作業が容易である。
ここで、油路形成部材27に形成された溝28について、図8を参照しながら説明する。図8の(a)は、油路形成部材27の溝28が形成された板面を示す平面図である。また、図8の(b)は、図8の(a)のC−C断面図であり、図8の(c)は、図8の(a)のD−D断面図である。
【0030】
溝28は、油路形成部材27の中心位置(軸方向中央位置且つ幅方向中央位置)から軸方向両端部に向かって軸方向に沿って同一長さ延び、そこで幅方向両端部に向かう方向へそれぞれ二股に分岐して幅方向に沿って同一長さ延びている。さらに、4つに分岐した溝28がそれぞれ軸方向両端部に向かう方向へ二股に分岐して軸方向に沿って同一長さ延び、そこで幅方向端部に向かう方向へ直角に屈曲して、合計8つに分岐した溝28が油路形成部材27の幅方向端部に至る。このように、油路形成部材27に形成された溝28は枝分かれ状をなしている。
【0031】
なお、溝28の断面形状(溝28の連続方向に直交する平面で切断した場合の断面形状)は特に限定されるものではないが、円弧状、ゴシックアーク形状、多角形状(例えば三角形状、四角形状)等があげられる。また、図8(a)〜(c)に示すように、油路形成部材27には、スライダ本体2Aにねじ留めするためのねじ穴29が複数個設けられている。
【0032】
このような油路形成部材27を、溝28を備える表面をスライダ本体2Aに向けてスライダ本体2Aの平板部7の内面に取り付けると、スライダ本体2Aと油路形成部材27との間(スライダ本体2Aと油路形成部材27との界面部分)に、溝28によって第二油路25Bが形成される。すなわち、前述したような形状の溝28と同形状の枝分かれ状の第二油路25Bが形成される。
第一油路25Aは、前述したように平板部7の内面(下面)に開口しているが、前述の油路形成部材27の中心位置に対向する位置に開口しているので、この第一油路25の開口部分で第一油路25Aと第二油路25Bが連結される(この連結部分31が、本発明の構成要件である「分岐開始点」に相当する)。
【0033】
そして、油路25は、潤滑剤導入口21の下流側に位置する連結部分31で最初に二股に分岐し、各分岐路が連結部分31の下流側でそれぞれさらに分岐して、これら分岐路の末端が潤滑剤吐出口23に連通する。連結部分31の下流側の油路25、すなわち第二油路25Bは、各分岐路がそれぞれ連結部分31の下流側に向かって逐次二股に分岐していき、枝分かれ状となっている。そして、第二油路25Bは、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さと、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間に存在する分岐点の数とが、全ての潤滑剤吐出口23について同一となっている。
【0034】
このような形状の油路25を備えているため、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤は第一油路25Aを通って連結部分31に至り、ここで2方向に分かれて軸方向両端部に向かう方向へ流れていく。すると、潤滑剤は、2つの分岐路それぞれにおいてT字状の分岐点33に至り、ここでさらに2方向に分かれて幅方向両端部に向かう方向へ流れていき、さらに4つの分岐路それぞれにおいてT字状の分岐点33に至り、ここでさらに2方向に分かれて軸方向両端部に向かう方向へ流れていく。そして、潤滑剤は、8つの分岐路それぞれにおいて幅方向端部に向かう方向へ屈曲して幅方向端部の潤滑剤吐出口23に至り、潤滑剤吐出口23から転動体転動路13に向かって吐出され、転動体転動路13内の転動体3及び転動体転動溝10,11の潤滑に供される。
【0035】
このような本実施形態の直動案内装置は、転動体転動路13に沿って複数の潤滑剤吐出口23が軸方向に間隔を空けつつ設けられており、そこから転動体転動路13に潤滑剤が吐出されるので、転動体転動路13の軸方向全域に均一に潤滑剤を供給することができる。よって、転動体転動路13の軸方向一部分にしか潤滑剤が行き渡らないという状況になることはないので、スライダ2の軸方向長さが長い場合であっても、転動体3や転動体転動溝10,11に潤滑剤不足による焼付き等の破損が生じにくい。よって、本実施形態の直動案内装置は長寿命である。
【0036】
また、油路25が枝分かれ形状をなしているので、潤滑剤導入口21をスライダ2に1個しか設けられない場合であっても、転動体転動路13の任意且つ複数の軸方向位置に潤滑剤を供給することができる。
さらに、本実施形態の直動案内装置においては、潤滑のために供された潤滑剤が案内レール1の上面1bに落下することはなく、案内レール1を基台等の被取付部にボルトを用いて取り付けるための取付孔1cに潤滑剤が入り込むことはないので、転動体転動路13に供給されるまでに多量の潤滑剤を必要とするという不都合がない。
【0037】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、図4,8から分かるように、潤滑剤吐出口23同士の軸方向間隔は等間隔ではないが、図9に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いれば、複数の潤滑剤吐出口23を軸方向に等間隔を空けつつ転動体転動路13に沿って配置することができるので、転動体転動路13の軸方向全域に潤滑剤をより均一に供給することが可能となる。よって、直動案内装置はより長寿命となる。
【0038】
また、潤滑剤吐出口23の個数や第二油路25Bの分岐点の個数(すなわち、連結部分31から潤滑剤吐出口23までの間に分岐する回数)は特に限定されるものではない。例えば、図10に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いれば、潤滑剤吐出口23の個数及び第二油路25Bの分岐点の個数を、図8,9の例の場合の2倍とすることができる。
【0039】
さらに、前述したように、転動体転動路13の軸方向全域に均一に潤滑剤を供給するためには、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さと、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間に存在する分岐点の数とが、全ての潤滑剤吐出口23について同一となっていることが好ましい。
ただし、転動体転動路13の軸方向全域にある程度均一に潤滑剤を供給することができるならば、転動体転動路の軸方向両端部又は軸方向中央部のみに潤滑剤を供給する従来の直動案内装置に比べて潤滑性は良好となるので、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さと、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間に存在する分岐点の数とが、全ての潤滑剤吐出口23について同一とはなっていない構成とすることもできる。
【0040】
例えば、図8〜10に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いた例においては、第二油路25Bの分岐点のうち最も下流側の分岐点は二股に分岐しているが、三股以上に分岐していてもよい。三股以上に分岐していると、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さが、潤滑剤吐出口23によって異なる構成となる。
連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さが、潤滑剤吐出口23によって異なる構成であっても、各潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量を均一にして、転動体転動路13の軸方向全域に均一に潤滑剤を供給したい場合には、潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間に、第二油路25Bを流れる潤滑剤の流量を調整する流量調整機構を設けるとよい。
【0041】
この流量調整機構について説明する。例えば、図9に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いた例においては、第二油路25Bの分岐点のうち最も下流側の分岐点は二股に分岐しているが、三股に分岐している場合には、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さが潤滑剤吐出口23によって異なり、三股の分岐点の下流側に配される3つの潤滑剤吐出口23の中では、中央の潤滑剤吐出口23の油路長さが他の2つの潤滑剤吐出口23の油路長さよりも短い。よって、中央の潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量は、他の2つの潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量よりも多くなる。
【0042】
そこで、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間に、第二油路25Bを流れる潤滑剤の流量を調整する流量調整機構を設けるとよい。例えば、図11に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いて、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路に、油路幅が大きい拡幅部41を設ければ、この拡幅部41に潤滑剤が滞留して潤滑剤の流れが遅くなるので、中央の潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量が抑制される。拡幅部41の幅及び長さを適宜調整すれば、三股の分岐点の下流側に配される3つの潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量を均一とすることができる。
【0043】
図11の例では、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路の中間部分に拡幅部41を設けたが、図12に示すように、最も下流側の分岐点から連続して拡幅部41を設けても、同様の効果が奏される。なお、図11,12の例では拡幅部41は矩形であったが、拡幅部41の形状は矩形に限定されるものではなく、三角形、五角形等の多角形状でもよいし、円形、楕円形等でもよい。
【0044】
また、図13に示すように、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間に、油路が屈曲する屈曲部43(油路が湾曲する湾曲部でもよい)を設けて、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路長さを長くしてもよい。そうすれば、中央の潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量が抑制される。中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路長さを適宜調整すれば、三股の分岐点の下流側に配される3つの潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量を均一とすることができる。なお、屈曲部43における油路の屈曲回数は、図13の例の場合は4回であったが、これに限定されるものではない。また、油路の屈曲角度は、図13の例の場合は直角であったが、これに限定されるものではない。
【0045】
さらに、転動体転動路13の軸方向全域にある程度均一に潤滑剤を供給することができるならば、第二油路25Bは、軸方向に沿って延びる部分及び幅方向に沿って延びる部分のみで構成されている必要はなく、斜め方向に延びる部分を含んでいてもよい。例えば、連結部分31から4方向に延び、4つの潤滑剤吐出口23に至るX字状の油路であってもよい。
【0046】
さらに、本実施形態においては、表面に溝28を備える油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けることによって第二油路25Bを形成したが、油路形成部材27を用いずに油路を形成してもよい。例えば、加工の手間は増加するが、潤滑剤導入口21から連続し転動体転動路13の近傍に開口する孔をスライダ本体2Aに複数形成することにより、スライダ本体2Aの内部に油路を形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 案内レール
2 スライダ
2A スライダ本体
2B エンドキャップ
3 転動体
10 転動体転動溝
11 転動体転動溝
13 転動体転動路
21 潤滑剤導入口
23 潤滑剤吐出口
25 油路
25A 第一油路
25B 第二油路
27 油路形成部材
28 溝
31 連結部分
33 分岐点
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、直動案内装置は、軸方向に延びる転動体軌道面を有する断面形状略四角形の案内レールと、該案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に案内レールに取り付けられた断面形状略コ字状のスライダと、を備えている。すなわち、スライダは、軸方向に延びる平板部と該平板部の左右両側部からそれぞれ同一方向に延びる腕部とからなって断面形状略コ字状をなしており、左右両腕部の間に案内レールを挟むように案内レールに取り付けられている。
【0003】
そして、案内レールの左右両側面の転動体軌道面とスライダの左右両腕部の内側面の転動体軌道面との間に形成される転動体転動路内に、複数の転動体が転動自在に配されており、左右の転動体転動路内の転動体の転動を介してスライダが案内レールに沿って軸方向に相対移動可能となっている。
転動体転動路内の転動体には、潤滑油,グリース等の潤滑剤が供給され潤滑が行われる。例えば、特許文献1には、スライダの軸方向両端のエンドキャップに潤滑剤を供給する油路を備えた直動案内装置が開示されている。そして、エンドキャップに供給された潤滑剤が、エンドキャップ内の転動体の転動を介して転動体転動路内を広がっていくようになっている。
【0004】
また、スライダの平板部の内面の軸方向中央位置且つ幅方向中央位置に、潤滑剤吐出口を備える直動案内装置が、従来から知られている。スライダの平板部の内面は案内レールの上面に対向しているので、潤滑剤吐出口から吐出された潤滑剤は、案内レールの上面の幅方向中央位置に落下し、案内レールの上面を伝わって左右の転動体転動路に供給されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−190363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の直動案内装置では、転動体転動路のうちエンドキャップの近傍部分にしか十分な量の潤滑剤が行き渡らないおそれがあるため、スライダの軸方向長さが長い場合には、転動体転動路の軸方向中央部が潤滑剤不足となり、直動案内装置が破損するおそれがあった。
また、前述の潤滑剤吐出口を備える従来の直動案内装置では、転動体転動路の軸方向中央部に潤滑剤が供給されるものの、転動体転動路のうち軸方向中央部の近傍部分にしか十分な量の潤滑剤が行き渡らないおそれがあるため、スライダの軸方向長さが長い場合には、転動体転動路の軸方向両端部が潤滑剤不足となり、直動案内装置が破損するおそれがあった。
【0007】
さらに、案内レールを基台等の被取付部にボルトを用いて取り付けるための取付孔が案内レールに形成されているが、取付孔は案内レールの上面に開口しているので、案内レールの上面に落下した潤滑剤が取付孔に入り込み、転動体転動路に供給されるまでに多量の潤滑剤を必要とするという問題点も有していた。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、転動体転動路の軸方向全域に潤滑剤が供給され、潤滑剤不足による破損が生じにくく長寿命な直動案内装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の態様は、次のような構成からなる。すなわち、本発明の一態様に係る直動案内装置は、軸方向に延びる転動体軌道面を有する案内レールと、前記案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記案内レールに取り付けられたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面及び前記スライダの転動体軌道面の間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体と、前記転動体転動路に潤滑剤を供給する複数の潤滑剤吐出口と、を備え、前記複数の潤滑剤吐出口を、軸方向に間隔を空けつつ前記転動体転動路に沿って配置したことを特徴とする。
【0009】
このような直動案内装置においては、前記スライダの外面に開口し潤滑剤が導入される潤滑剤導入口と、前記潤滑剤導入口と前記複数の潤滑剤吐出口とを連通する油路と、を備え、前記油路は、前記潤滑剤導入口の下流側に位置する分岐開始点で最初に分岐し、前記分岐開始点の下流側でそれぞれさらに分岐していて、前記潤滑剤導入口と前記分岐開始点との間を連通する第一油路と、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口とを連通する枝分かれ状の第二油路と、からなり、前記第二油路は、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間の油路長さと、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間に存在する分岐点の数とが、全ての前記潤滑剤吐出口について同一であることが好ましい。
【0010】
さらに、表面に溝を備える油路形成部材を、前記溝を備える表面を前記スライダに向けて前記スライダに取り付け、前記スライダと前記油路形成部材との間に前記溝によって前記第二油路を形成することが好ましい。
さらに、前記スライダと前記油路形成部材との界面部分の、前記スライダの軸方向中央位置且つ幅方向中央位置に前記分岐開始点を配するとともに、前記分岐開始点から前記潤滑剤吐出口までの間に、軸方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点と、幅方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点とを配して、第二油路の枝分かれ形状を、前記分岐開始点から下流側に向かって逐次二股に分岐していく形状とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る直動案内装置は、転動体転動路に潤滑剤を供給する複数の潤滑剤吐出口が、軸方向に間隔を空けつつ転動体転動路に沿って配置されているので、転動体転動路の軸方向全域に潤滑剤が供給され、潤滑剤不足による破損が生じにくく長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る直動案内装置の一実施形態の構造を示す斜視図である。
【図2】図1の直動案内装置を軸方向端部側から見た正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図1の直動案内装置のスライダを下面側から見た図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】潤滑剤導入口がスライダの軸方向端面に開口している直動案内装置の例を説明する、スライダを下面側から見た図である。
【図7】油路形成部材をエンドキャップに挟むことによりスライダに取り付けた直動案内装置の例を説明する、スライダを下面側から見た図である。
【図8】油路形成部材の平面図及び断面図である。
【図9】変形例の油路形成部材の平面図である。
【図10】別の変形例の油路形成部材の平面図である。
【図11】流量調整機構を説明する油路形成部材の平面図である。
【図12】別の流量調整機構を説明する油路形成部材の平面図である。
【図13】さらに別の流量調整機構を説明する油路形成部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る直動案内装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る直動案内装置の一実施形態の構造を示す斜視図である。また、図2は、図1の直動案内装置を軸方向端部側から見た正面図(ただし、エンドキャップを省略して図示している)である。さらに、図3は、図2のA−A断面図であり、図1の直動案内装置の転動体循環路を示す部分断面図である。
【0014】
なお、これ以降の説明で参照する各図においては、同一又は相当する部分には、同一の符号を付してある。また、これ以降の説明において「断面」と記した場合は、特に断りがない限り、軸方向に直交する平面で切断した場合の断面を意味する。さらに、これ以降の説明における「上」,「下」,「左」,「右」等の方向を示す用語は、特に断りがない限り、説明の便宜上、図2におけるそれぞれの方向を意味するものである。
【0015】
軸方向に延びる断面形状略四角形の案内レール1の上に、断面形状略コ字状のスライダ2が軸方向に移動可能に組み付けられている。この案内レール1の左右両側面1a,1aと上面1bとが交差する稜部には、軸方向に延びる断面ほぼ1/4円弧形状の凹溝からなる転動体転動溝10,10(本発明の構成要件である転動体軌道面に相当する)が形成され、また、案内レール1の左右両側面1a,1aの上下方向中央部には、軸方向に延びる断面ほぼ半円形の凹溝からなる転動体転動溝10,10が形成されている。
【0016】
また、スライダ2は、案内レール1の上面1bに沿う平板部7と、平板部7の左右両側部からそれぞれ下方に延び側面1aに沿う2つの腕部6,6と、からなり、平板部7と腕部6,6とのなす角度は略直角であるため、スライダ2の断面形状は略コ字状をなしている。そして、スライダ2は、両腕部6,6の間に案内レール1を挟むようにして、案内レール1に移動可能に取り付けられている。
【0017】
このようなスライダ2は、スライダ本体2Aと、その軸方向両端部に着脱可能に取り付けられたエンドキャップ2B,2Bと、で構成されている。さらに、スライダ2の軸方向両端部(各エンドキャップ2Bの軸方向外端面)には、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口のうち軸方向端面側に面する部分を密封するサイドシール5,5が装着されており、スライダ2の下部には、案内レール1とスライダ2との間の隙間の開口のうちスライダ2の下面側に面する部分を密封するアンダーシール8,8が装着されている。これらサイドシール5,5及びアンダーシール8,8により、外部から前記隙間への異物の侵入や、前記隙間から外部への潤滑剤の漏出が防止されている。
【0018】
さらに、スライダ本体2Aの左右両腕部6,6の内側面の角部及び上下方向中央部には、案内レール1の転動体転動溝10,10,10,10に対向する断面ほぼ半円形の転動体転動溝11,11,11,11(本発明の構成要件である転動体軌道面に相当する)が形成されている。そして、案内レール1の転動体転動溝10,10,10,10とスライダ2の転動体転動溝11,11,11,11との間に、断面ほぼ円形の転動体転動路13,13,13,13がそれぞれ形成されていて、これらの転動体転動路13,13,13,13は軸方向に延びている。
【0019】
これらの転動体転動路13内には複数の転動体3(例えば鋼、セラミックからなるボール)が転動自在に装填されていて、これらの転動体3の転動を介してスライダ2が案内レール1に沿って軸方向に移動するようになっている。なお、転動体3の種類はボールに限定されるものではなく、ころであってもよい。また、案内レール1及びスライダ2が備える転動体転動溝10,11の数は片側二列に限らず、例えば片側一列又は三列以上であってもよい。さらに、転動体転動溝10,11の断面形状は、前述したように単一の円弧からなる円弧状でもよいが、曲率中心の異なる2つの円弧を組合せてなる略V字状(ゴシックアーク形状溝)でもよい。
【0020】
さらにまた、スライダ2は、スライダ本体2Aの左右両腕部6,6の肉厚部分の上部及び下部に、転動体転動路13,13,13,13と平行をなして軸方向に貫通する断面形状円形の直線孔からなる直線状路14,14,14,14を備えている。
一方、エンドキャップ2Bは、例えば樹脂材料の成形品からなり、断面形状が略コ字状に形成されている。また、エンドキャップ2Bの裏面(スライダ本体2Aとの当接面)の左右両側には、断面形状円形で半ドーナツ形状の湾曲路16が上下二段に形成されている。このエンドキャップ2Bをスライダ本体2Aに取り付けると、湾曲路16によって転動体転動路13と直線状路14とが連通される。
【0021】
これら直線状路14と両端の湾曲路16,16とで、転動体3を転動体転動路13の終点から始点へ送る転動体戻し路17が構成され(転動体戻し路17は転動体転動路13と同数設けられている)、転動体転動路13と転動体戻し路17とで、略環状の転動体循環路が構成される。そして、この略環状の転動体循環路は、案内レール1を挟んで左右両側に形成される。
【0022】
案内レール1に組みつけられたスライダ2が案内レール1に沿って軸方向に移動すると、転動体転動路13内に装填されている転動体3は、転動体転動路13内を転動しつつ案内レール1に対してスライダ2と同方向に移動する。そして、転動体3が転動体転動路13の終点に達すると、転動体転動路13からすくい上げられ湾曲路16へ送られる。湾曲路16に入った転動体3はUターンして直線状路14に導入され、直線状路14を通って反対側の湾曲路16に至る。ここで再びUターンして転動体転動路13の始点に戻り、このような転動体循環路内の循環を無限に繰り返す。
【0023】
このような本実施形態の直動案内装置には、潤滑油,グリース等の潤滑剤を転動体転動路13に供給して転動体転動路13内の転動体3及び転動体転動溝10,11を潤滑する潤滑剤供給機構が備えられている。この潤滑剤供給機構は、潤滑剤をスライダ2の内部に導入するための潤滑剤導入口21と、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤を転動体転動路13に供給する複数の潤滑剤吐出口23と、潤滑剤導入口21と複数の潤滑剤吐出口23とを連通する油路25と、で構成されている。
【0024】
潤滑剤導入口21は、スライダ2の外面に開口しており、この開口からスライダ2の内部に潤滑剤を導入できるようになっている。本実施形態の直動案内装置においては、図4,5に示すように、潤滑剤導入口21がスライダ2の右外側面に開口している。ただし、潤滑剤導入口21が開口している外面は、スライダ2の左外側面、スライダ2の上面、又はスライダ2の軸方向端面としてもよい。図6は、潤滑剤導入口21がスライダ2の軸方向端面に開口している例を説明する図である。また、スライダ2に設ける潤滑剤導入口21の数は、1個でもよいが複数でもよい。
【0025】
一方、複数の潤滑剤吐出口23は、スライダ2の内側の転動体転動路13の近傍に設けられている。複数の潤滑剤吐出口23は、軸方向に間隔を空けつつ転動体転動路13に沿って配置されていて、転動体転動路13に対向している。そして、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤が油路25を通って各潤滑剤吐出口23に至り、各潤滑剤吐出口23から吐出された潤滑剤が、転動体転動路13内に供給されるようになっている。
【0026】
他方、油路25は、その一部(本発明の構成要件である第一油路に相当し、以降は「第一油路25A」と記す)がスライダ本体2Aの内部に形成され、他部(本発明の構成要件である第二油路に相当し、以降は「第二油路25B」と記す)が、表面に溝28を備える油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けることによって、スライダ本体2Aと油路形成部材27との間に形成されている。
【0027】
第一油路25Aは、スライダ2の外側面の潤滑剤導入口21からスライダ2の幅方向中央に向かって水平に延び、スライダ2の幅方向中央部で屈曲して下方に延びて、案内レール1の上面1bに対向する平板部7の内面(下面)に開口している。なお、本発明においては、幅方向とは、軸方向に直交する方向のうち、スライダ本体2Aの平板部7の内面が対向する案内レール1の上面1bに平行な方向を意味する。
【0028】
また、第二油路25Bは、表面に溝28を備える板状の油路形成部材27を、溝28を備える表面をスライダ本体2Aに向けてスライダ本体2Aの平板部7の内面に、ねじ留め、接着、溶接等の慣用の固着手段で取り付けることによって形成される。すなわち、スライダ本体2Aと油路形成部材27との間(スライダ本体2Aと油路形成部材27との界面部分)に、溝28によって第二油路25Bが形成される。
【0029】
なお、図7に示すように、油路形成部材27を、スライダ本体2Aの軸方向長さ以上の長さを有する長尺な形状とし、油路形成部材27の軸方向両端をエンドキャップ2B,2Bの間に挟むことにより、油路形成部材27をスライダ2に取り付けてもよい。そうすれば、ねじ、接着剤等を用いることなく油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けることができるとともに、ねじ留め、接着、溶接等により油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けるのに比べて、取り付け作業が容易である。
ここで、油路形成部材27に形成された溝28について、図8を参照しながら説明する。図8の(a)は、油路形成部材27の溝28が形成された板面を示す平面図である。また、図8の(b)は、図8の(a)のC−C断面図であり、図8の(c)は、図8の(a)のD−D断面図である。
【0030】
溝28は、油路形成部材27の中心位置(軸方向中央位置且つ幅方向中央位置)から軸方向両端部に向かって軸方向に沿って同一長さ延び、そこで幅方向両端部に向かう方向へそれぞれ二股に分岐して幅方向に沿って同一長さ延びている。さらに、4つに分岐した溝28がそれぞれ軸方向両端部に向かう方向へ二股に分岐して軸方向に沿って同一長さ延び、そこで幅方向端部に向かう方向へ直角に屈曲して、合計8つに分岐した溝28が油路形成部材27の幅方向端部に至る。このように、油路形成部材27に形成された溝28は枝分かれ状をなしている。
【0031】
なお、溝28の断面形状(溝28の連続方向に直交する平面で切断した場合の断面形状)は特に限定されるものではないが、円弧状、ゴシックアーク形状、多角形状(例えば三角形状、四角形状)等があげられる。また、図8(a)〜(c)に示すように、油路形成部材27には、スライダ本体2Aにねじ留めするためのねじ穴29が複数個設けられている。
【0032】
このような油路形成部材27を、溝28を備える表面をスライダ本体2Aに向けてスライダ本体2Aの平板部7の内面に取り付けると、スライダ本体2Aと油路形成部材27との間(スライダ本体2Aと油路形成部材27との界面部分)に、溝28によって第二油路25Bが形成される。すなわち、前述したような形状の溝28と同形状の枝分かれ状の第二油路25Bが形成される。
第一油路25Aは、前述したように平板部7の内面(下面)に開口しているが、前述の油路形成部材27の中心位置に対向する位置に開口しているので、この第一油路25の開口部分で第一油路25Aと第二油路25Bが連結される(この連結部分31が、本発明の構成要件である「分岐開始点」に相当する)。
【0033】
そして、油路25は、潤滑剤導入口21の下流側に位置する連結部分31で最初に二股に分岐し、各分岐路が連結部分31の下流側でそれぞれさらに分岐して、これら分岐路の末端が潤滑剤吐出口23に連通する。連結部分31の下流側の油路25、すなわち第二油路25Bは、各分岐路がそれぞれ連結部分31の下流側に向かって逐次二股に分岐していき、枝分かれ状となっている。そして、第二油路25Bは、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さと、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間に存在する分岐点の数とが、全ての潤滑剤吐出口23について同一となっている。
【0034】
このような形状の油路25を備えているため、潤滑剤導入口21から導入された潤滑剤は第一油路25Aを通って連結部分31に至り、ここで2方向に分かれて軸方向両端部に向かう方向へ流れていく。すると、潤滑剤は、2つの分岐路それぞれにおいてT字状の分岐点33に至り、ここでさらに2方向に分かれて幅方向両端部に向かう方向へ流れていき、さらに4つの分岐路それぞれにおいてT字状の分岐点33に至り、ここでさらに2方向に分かれて軸方向両端部に向かう方向へ流れていく。そして、潤滑剤は、8つの分岐路それぞれにおいて幅方向端部に向かう方向へ屈曲して幅方向端部の潤滑剤吐出口23に至り、潤滑剤吐出口23から転動体転動路13に向かって吐出され、転動体転動路13内の転動体3及び転動体転動溝10,11の潤滑に供される。
【0035】
このような本実施形態の直動案内装置は、転動体転動路13に沿って複数の潤滑剤吐出口23が軸方向に間隔を空けつつ設けられており、そこから転動体転動路13に潤滑剤が吐出されるので、転動体転動路13の軸方向全域に均一に潤滑剤を供給することができる。よって、転動体転動路13の軸方向一部分にしか潤滑剤が行き渡らないという状況になることはないので、スライダ2の軸方向長さが長い場合であっても、転動体3や転動体転動溝10,11に潤滑剤不足による焼付き等の破損が生じにくい。よって、本実施形態の直動案内装置は長寿命である。
【0036】
また、油路25が枝分かれ形状をなしているので、潤滑剤導入口21をスライダ2に1個しか設けられない場合であっても、転動体転動路13の任意且つ複数の軸方向位置に潤滑剤を供給することができる。
さらに、本実施形態の直動案内装置においては、潤滑のために供された潤滑剤が案内レール1の上面1bに落下することはなく、案内レール1を基台等の被取付部にボルトを用いて取り付けるための取付孔1cに潤滑剤が入り込むことはないので、転動体転動路13に供給されるまでに多量の潤滑剤を必要とするという不都合がない。
【0037】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、図4,8から分かるように、潤滑剤吐出口23同士の軸方向間隔は等間隔ではないが、図9に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いれば、複数の潤滑剤吐出口23を軸方向に等間隔を空けつつ転動体転動路13に沿って配置することができるので、転動体転動路13の軸方向全域に潤滑剤をより均一に供給することが可能となる。よって、直動案内装置はより長寿命となる。
【0038】
また、潤滑剤吐出口23の個数や第二油路25Bの分岐点の個数(すなわち、連結部分31から潤滑剤吐出口23までの間に分岐する回数)は特に限定されるものではない。例えば、図10に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いれば、潤滑剤吐出口23の個数及び第二油路25Bの分岐点の個数を、図8,9の例の場合の2倍とすることができる。
【0039】
さらに、前述したように、転動体転動路13の軸方向全域に均一に潤滑剤を供給するためには、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さと、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間に存在する分岐点の数とが、全ての潤滑剤吐出口23について同一となっていることが好ましい。
ただし、転動体転動路13の軸方向全域にある程度均一に潤滑剤を供給することができるならば、転動体転動路の軸方向両端部又は軸方向中央部のみに潤滑剤を供給する従来の直動案内装置に比べて潤滑性は良好となるので、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さと、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間に存在する分岐点の数とが、全ての潤滑剤吐出口23について同一とはなっていない構成とすることもできる。
【0040】
例えば、図8〜10に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いた例においては、第二油路25Bの分岐点のうち最も下流側の分岐点は二股に分岐しているが、三股以上に分岐していてもよい。三股以上に分岐していると、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さが、潤滑剤吐出口23によって異なる構成となる。
連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さが、潤滑剤吐出口23によって異なる構成であっても、各潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量を均一にして、転動体転動路13の軸方向全域に均一に潤滑剤を供給したい場合には、潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間に、第二油路25Bを流れる潤滑剤の流量を調整する流量調整機構を設けるとよい。
【0041】
この流量調整機構について説明する。例えば、図9に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いた例においては、第二油路25Bの分岐点のうち最も下流側の分岐点は二股に分岐しているが、三股に分岐している場合には、連結部分31と潤滑剤吐出口23との間の油路長さが潤滑剤吐出口23によって異なり、三股の分岐点の下流側に配される3つの潤滑剤吐出口23の中では、中央の潤滑剤吐出口23の油路長さが他の2つの潤滑剤吐出口23の油路長さよりも短い。よって、中央の潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量は、他の2つの潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量よりも多くなる。
【0042】
そこで、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間に、第二油路25Bを流れる潤滑剤の流量を調整する流量調整機構を設けるとよい。例えば、図11に示すような形状の溝28が形成された油路形成部材27を用いて、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路に、油路幅が大きい拡幅部41を設ければ、この拡幅部41に潤滑剤が滞留して潤滑剤の流れが遅くなるので、中央の潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量が抑制される。拡幅部41の幅及び長さを適宜調整すれば、三股の分岐点の下流側に配される3つの潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量を均一とすることができる。
【0043】
図11の例では、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路の中間部分に拡幅部41を設けたが、図12に示すように、最も下流側の分岐点から連続して拡幅部41を設けても、同様の効果が奏される。なお、図11,12の例では拡幅部41は矩形であったが、拡幅部41の形状は矩形に限定されるものではなく、三角形、五角形等の多角形状でもよいし、円形、楕円形等でもよい。
【0044】
また、図13に示すように、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間に、油路が屈曲する屈曲部43(油路が湾曲する湾曲部でもよい)を設けて、中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路長さを長くしてもよい。そうすれば、中央の潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量が抑制される。中央の潤滑剤吐出口23と最も下流側の分岐点との間の油路長さを適宜調整すれば、三股の分岐点の下流側に配される3つの潤滑剤吐出口23から吐出される潤滑剤の量を均一とすることができる。なお、屈曲部43における油路の屈曲回数は、図13の例の場合は4回であったが、これに限定されるものではない。また、油路の屈曲角度は、図13の例の場合は直角であったが、これに限定されるものではない。
【0045】
さらに、転動体転動路13の軸方向全域にある程度均一に潤滑剤を供給することができるならば、第二油路25Bは、軸方向に沿って延びる部分及び幅方向に沿って延びる部分のみで構成されている必要はなく、斜め方向に延びる部分を含んでいてもよい。例えば、連結部分31から4方向に延び、4つの潤滑剤吐出口23に至るX字状の油路であってもよい。
【0046】
さらに、本実施形態においては、表面に溝28を備える油路形成部材27をスライダ本体2Aに取り付けることによって第二油路25Bを形成したが、油路形成部材27を用いずに油路を形成してもよい。例えば、加工の手間は増加するが、潤滑剤導入口21から連続し転動体転動路13の近傍に開口する孔をスライダ本体2Aに複数形成することにより、スライダ本体2Aの内部に油路を形成してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 案内レール
2 スライダ
2A スライダ本体
2B エンドキャップ
3 転動体
10 転動体転動溝
11 転動体転動溝
13 転動体転動路
21 潤滑剤導入口
23 潤滑剤吐出口
25 油路
25A 第一油路
25B 第二油路
27 油路形成部材
28 溝
31 連結部分
33 分岐点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる転動体軌道面を有する案内レールと、前記案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記案内レールに取り付けられたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面及び前記スライダの転動体軌道面の間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体と、前記転動体転動路に潤滑剤を供給する複数の潤滑剤吐出口と、を備え、前記複数の潤滑剤吐出口を、軸方向に間隔を空けつつ前記転動体転動路に沿って配置したことを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記スライダの外面に開口し潤滑剤が導入される潤滑剤導入口と、前記潤滑剤導入口と前記複数の潤滑剤吐出口とを連通する油路と、を備え、
前記油路は、前記潤滑剤導入口の下流側に位置する分岐開始点で最初に分岐し、前記分岐開始点の下流側でそれぞれさらに分岐していて、前記潤滑剤導入口と前記分岐開始点との間を連通する第一油路と、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口とを連通する枝分かれ状の第二油路と、からなり、
前記第二油路は、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間の油路長さと、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間に存在する分岐点の数とが、全ての前記潤滑剤吐出口について同一であることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項3】
表面に溝を備える油路形成部材を、前記溝を備える表面を前記スライダに向けて前記スライダに取り付け、前記スライダと前記油路形成部材との間に前記溝によって前記第二油路を形成したことを特徴とする請求項2に記載の直動案内装置。
【請求項4】
前記スライダと前記油路形成部材との界面部分の、前記スライダの軸方向中央位置且つ幅方向中央位置に前記分岐開始点を配するとともに、前記分岐開始点から前記潤滑剤吐出口までの間に、軸方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点と、幅方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点とを配して、第二油路の枝分かれ形状を、前記分岐開始点から下流側に向かって逐次二股に分岐していく形状としたことを特徴とする請求項3に記載の直動案内装置。
【請求項1】
軸方向に延びる転動体軌道面を有する案内レールと、前記案内レールの転動体軌道面に対向する転動体軌道面を有するとともに軸方向に相対移動可能に前記案内レールに取り付けられたスライダと、前記案内レールの転動体軌道面及び前記スライダの転動体軌道面の間に形成される転動体転動路内に転動自在に配された複数の転動体と、前記転動体転動路に潤滑剤を供給する複数の潤滑剤吐出口と、を備え、前記複数の潤滑剤吐出口を、軸方向に間隔を空けつつ前記転動体転動路に沿って配置したことを特徴とする直動案内装置。
【請求項2】
前記スライダの外面に開口し潤滑剤が導入される潤滑剤導入口と、前記潤滑剤導入口と前記複数の潤滑剤吐出口とを連通する油路と、を備え、
前記油路は、前記潤滑剤導入口の下流側に位置する分岐開始点で最初に分岐し、前記分岐開始点の下流側でそれぞれさらに分岐していて、前記潤滑剤導入口と前記分岐開始点との間を連通する第一油路と、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口とを連通する枝分かれ状の第二油路と、からなり、
前記第二油路は、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間の油路長さと、前記分岐開始点と前記潤滑剤吐出口との間に存在する分岐点の数とが、全ての前記潤滑剤吐出口について同一であることを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
【請求項3】
表面に溝を備える油路形成部材を、前記溝を備える表面を前記スライダに向けて前記スライダに取り付け、前記スライダと前記油路形成部材との間に前記溝によって前記第二油路を形成したことを特徴とする請求項2に記載の直動案内装置。
【請求項4】
前記スライダと前記油路形成部材との界面部分の、前記スライダの軸方向中央位置且つ幅方向中央位置に前記分岐開始点を配するとともに、前記分岐開始点から前記潤滑剤吐出口までの間に、軸方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点と、幅方向両端部に向かう方向へ二股に分岐する分岐点とを配して、第二油路の枝分かれ形状を、前記分岐開始点から下流側に向かって逐次二股に分岐していく形状としたことを特徴とする請求項3に記載の直動案内装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−79716(P2013−79716A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183312(P2012−183312)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】
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