説明

直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法

【課題】組立のミスアラインメントを避けることができる直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法を提供する。
【解決手段】直接メタノール燃料電池構造は第一表面202と相対する第二表面204を有し、一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜200と、プロトン交換膜の二つのターミナル222a、222bとターミナルに隣接する第一表面と第二表面の一部は電極206,208から露出しており、電極上に設置される一対のガス拡散層210,212と、露出された第一表面と第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれ、複数のホールを有する複数のボーダー材料層214a〜dと、ボーダー材料層上に固定されると同時に、ボーダー材料層のホールを通り抜けてプロトン交換膜の第一表面と前記第二表面と接触する複数の粘着材料218a〜dとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法に関し、特に、直接メタノール燃料電池構造の七層膜電極接合体(MEA7)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3C(コンピューター、通信用電気機器、家庭用電化製品)の電子製品は日に日に新しく発展することから、機能の要求に応じて電力に対する要求もますます大きくなる。電池の要求に対して軽く、薄くする必要がある以外に、更に高い安全性と便利性が必要である。電池の大きさ、重さが電子製品の使用時間の長さ及び体積、重量の大きさに直接影響する。よって、燃料電池は、3Cの電子製品にとって徐々に重要な役割を果たす。
【0003】
メタノールを使用して、燃料の直接メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell,以下、DMFCと称する)とする。その液状燃料エネルギーは5000Whr/Lに達し、メタノールを使って水素に取り替え燃料とし、陽極において、化学反応で生じたプロトンと電子は、プロトン交換膜と外部回路のそれぞれによって、陰極に達する。従来のDMFCにおけるプロトン交換膜は長期にわたってメタノール水溶液と接触しているため、メタノール燃料は陽極から陰極までに浸透するので、陰極触媒の有毒化と性能の低下を招く。よって、このような現象を減少するために、従来技術の大半は、厚さが比較的に厚い(例えば、5ミル(mil)と7ミル(mil))プロトン交換膜を使用する。
【0004】
公知のDMFCのスタック構造(Stack)は、少なくとも10枚〜20枚以上の膜電極(membrane-electrode-assembly、以下MEAと称する)と、対応するガス拡散層(GDL)と、流れ板(Flow board)などの部材から積み重ねられて構成され、DMFCのスタック構造が組立プロセスにおいて、ミスアラインメントによるスタック構造の漏出を減少するために、まず、MEAとガス拡散層(GDL)から構成される五層膜電極接合体(MEA5)の製造を希望することで、組立を容易にさせる。しかし、厚みの比較的に厚いプロトン交換膜は触媒の有毒化の問題を減少することができるが、材料自身が吸水膨張(サイズの変化が大きい)し易いことで、五層膜電極接合体(MEA5)と流れ板(Flow board)が完全に密封することができない。且つ、フッ素炭素材料のプロトン交換膜は化学安定の特性を有するので、よく見かけるエポキシ樹脂、シリコンゴム、アクリル膠などはいずれもそれと粘着することができない。故に、公知技術では、先にMEA、ガス拡散層(GDL)、及び流れ板(Flow board)、またはパッケージ材料をモジュールし、製造プロセスを簡略化させることができない。
【0005】
この技術領域において、上述の欠点を改善するために、直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−010385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これに鑑み、本発明の一つの実施例は直接メタノール燃料電池構造を提供し、前記直接メタノール燃料電池構造は第一表面と相対する第二表面とを有し、一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜と、
前記一対の電極上にそれぞれ設置される一対のガス拡散層と、
露出された前記第一表面と前記第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれ、複数のホールを有する複数の第一ボーダー材料層と、前記複数の第一ボーダー材料層上にそれぞれ固定されると同時に、前記複数のボーダー材料層の前記複数のホールを通り抜けて前記プロトン交換膜の前記第一表面と前記第二表面と接触する複数の粘着材料と、を含み、前記プロトン交換膜の二つのターミナルと前記複数のターミナルに隣接する第一表面と第二表面の一部は前記一対の電極から露出している。
【0009】
本発明のもう一つの実施例は直接メタノール燃料電池構造の製造方法を提供し、前記直接メタノール燃料電池構造の製造方法は一対の電極及び前記一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜を含む膜電極接合体を提供するステップと、一対のガス拡散層を前記一対の電極上に固定する第一固定工程を行うステップと、複数の第一ボーダー材料層を露出された前記第一表面と前記第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれ、前記複数の第一ボーダー材料層は複数のホールを有し、前記複数の第一ボーダー材料層はその上に固定される複数の粘着材料を更に含み、前記複数の粘着材料は前記複数のボーダー材料層の前記複数のホールを通り抜けて前記プロトン交換膜の前記第一表面と前記第二表面と接触する第二固定工程を行うステップとを含み、前記プロトン交換膜の二つのターミナルと前記複数のターミナルに隣接する第一表面と相対する第二表面は前記一対の電極から露出する。
【0010】
本発明のまたもう一つの実施例は直接メタノール燃料電池構造の製造方法を提供し、前記直接メタノール燃料電池構造の製造方法は一対の電極及び前記一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜を含む膜電極接合体を提供するステップと、複数の第一ボーダー材料層を露出された前記第一表面と前記第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれると同時に、一対のガス拡散層を前記一対の電極上に固定し、前記複数の第一ボーダー材料層は複数のホールを有し、前記複数の第一ボーダー材料層はその上に固定される複数の粘着材料を更に含み、前記複数の粘着材料は前記複数のボーダー材料層の前記複数のホールを通り抜けて前記プロトン交換膜の前記第一表面と前記第二表面と接触する第一固定工程を行うステップとを含み、前記プロトン交換膜の二つのターミナルと前記複数のターミナルに隣接する第一表面と相対する第二表面は前記一対の電極から露出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法によればメタノール燃料電池の製造プロセスを大いに簡略化することができると同時に、組立のミスアラインメントによる信頼度の低下を避けることができる。また、第一ボーダー材料層上に、剛性を有する第二ボーダー材料層を設置することによって、製造された七層膜電極接合体(MEA7)を取り易くさせ、及び応力による変形を減少させることができ、または流れ板と緊密に貼り付けることで燃料漏れを避けることができる。または、第二ボーダー材料層上に緩衝層を設置することで流れ板との密封度を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1a】本発明の異なる実施例の直接メタノール燃料電池構造の断面図である。
【図1b】本発明の異なる実施例の直接メタノール燃料電池構造の断面図である。
【図1c】本発明の異なる実施例の直接メタノール燃料電池構造の断面図である。
【図1d】本発明の異なる実施例の直接メタノール燃料電池構造の断面図である。
【図2】本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図3】本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図4】本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図5】本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図6】本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図7】本発明のまたもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図8】本発明のまたもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図9】本発明のまたもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造の製造プロセス断面図である。
【図10】本発明の一つの実施例の粘着材料と第一ボーダー材料層の前処理である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照にしながら、詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1a〜図1dは本発明の異なる実施例の直接メタノール燃料電池構造の断面図である。本発明の異なる実施例の直接メタノール燃料電池構造500a〜500dである。図1aに示すように、本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500aの主な部材は、第一表面202と相対する第二表面204を有するプロトン交換膜200を含み、プロトン交換膜200は一対の電極206と208との間に挟まれて設置され、プロトン交換膜200の二つのターミナル222aと222b、及びターミナル222aと222bに隣接する第一表面202と第二表面204の一部は、電極206と208から露出する。一対のガス拡散層210と212は、電極206と208上にそれぞれ設置する。複数の第一ボーダー材料層(Border Material)214a〜214dは、例えば、ホットプレスによって、プロトン交換膜200に露出された第一表面202と第二表面204上にそれぞれ物理的にはめ込まれ、その第一ボーダー材料層214a〜214dは複数のホール250を有する。なお、前記第一ボーダー材料層214a〜214dがプロトン交換膜200に物理的にはめ込むこととは、プロトン交換膜200の一部が第一ボーダー材料層214a〜214dのホール250に絞られて互いに固定することである。これにより、プロトン交換膜200の上に第一ボーダー材料層214a〜214dが固定される。直接メタノール燃料電池構造500aは複数の粘着材料218a〜218dを更に含み、第一ボーダー材料層層214a〜214d上にそれぞれ固定し、且つ第一ボーダー材料層214a〜214dのホール250を通り抜けてプロトン交換膜200の第一表面202と第二表面204と接触する。また、直接メタノール燃料電池構造500aの第一ボーダー材料層214a〜214dと粘着材料218a〜218dはガス拡散層210と212と接触していない。
【0015】
図1bに示すように、本発明のもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500bであり、直接メタノール燃料電池構造500aと異なる所は、第一ボーダー材料層214a〜214dの一部と粘着材料218a〜218dの一部はガス拡散層210と212との間に挟まれて設置し、且つ、粘着材料218a〜218dは、第一ボーダー材料層214a〜214dとガス拡散層210と212と同時に接合する。
【0016】
図1cに示すように、本発明のもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500cであり、直接メタノール燃料電池構造500aと異なる所は、直接メタノール燃料電池構造500cは、粘着材料218a〜218d上にそれぞれ設置される複数の第二ボーダー材料層226a〜226dを更に含む。図1cに示すように、直接メタノール燃料電池構造500cの粘着材料218a〜218dは、第一ボーダー材料層214a〜214dと第二ボーダー材料層226a〜226dと同時に接合する。また、直接メタノール燃料電池構造500cの第一ボーダー材料層214a〜214dと、粘着材料218a〜218dと、第二ボーダー材料層226a〜226dはガス拡散層210と212と接触していない。
【0017】
図1dに示すように、本発明のもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500dであり、直接メタノール燃料電池構造500aと異なる所は、直接メタノール燃料電池構造500dは、第二ボーダー材料層226a〜226d上にそれぞれ設置される複数の緩衝層230a〜230dを更に含む。図1dに示すように、緩衝層230a〜230dは外側流れ板(Flow board)との密封の効果を増加するのに用いられる。また、直接メタノール燃料電池構造500dの粘着材料218a〜218dと、第二ボーダー材料層226a〜226dと、緩衝層230a〜230dはガス拡散層210と212と接触していない。
【0018】
本発明の実施例の直接メタノール燃料電池構造500a〜500dにおいて、電極206と208はそれぞれ電気化学的陽極触媒と電気化学的陰極触媒に形成された陽極電極と陰極電極である。プロトン交換膜200と電極206と208は三層膜電極接合体(MEA3)を形成し、その機能は電気化学反応とプロトン伝達である。ガス拡散層210と212は燃料と反応生成物の拡散、及び電子伝達でき、その材質は織布、不織布のカーボン布およびカーボン紙から選ばれる少なくとも1種である。第一ボーダー材料層214a〜214dは、ホールを有することで、表面粗度を増加し、プロトン交換膜200と嵌め合い、固定しやすくすることを特徴とし、その材質はガラス繊維布、化学繊維布、および粗面化金属板から選ばれる少なくとも1種である。粘着材料218a〜218d、または218a〜218dの材料は熱溶融性、熱硬化性の高分子薄膜および液状接着剤から選ばれる少なくとも1種である。例えば、エポキシ樹脂、または鎖状低密度ポリエチレン(LLPDE)などは、第一ボーダー材料層214a〜214dのホール250を充填する機能を有し、燃料漏れを避け、または第二ボーダー材料層226a〜226dの接着固定を促進することができる。本発明の幾つかの実施例において、第二ボーダー材料層226a〜226dは剛性を有し、プレスした製品を取り易くさせ、及び応力による変形を減少させることができる。第二ボーダー材料層226a〜226dの材料はテレフタル酸ポリエチレン(PET)、FR5ガラス繊維高分子材料、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)およびポリプロピレン(PP)から選ばれる少なくとも1種を含む。第一ボーダー材料層214a〜214dと第二ボーダー材料層226a〜226dは燃料耐腐食性の特性を有する。緩衝層230a〜230dの材料はシリコンゴム(silicon rubber)、またはフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの熱溶融性プラスチックを含む。
【0019】
図2〜図6は本発明の実施例の直接メタノール燃料電池構造500aの製造プロセスの断面図である。図2を参考すると、まず、組合わせが完成された三層膜電極接合体260(3-layers membrane -electrode -assembly,MEA3)を提供する。本発明の実施例において、三層膜電極接合体260は、一対の電極206と208及び電極206と208との間に挟まれて設置されたプロトン交換膜200を含み、そのプロトン交換膜200の二つのターミナル222aと222b、及びターミナル222aと222bに隣接する第一表面202と相対する第二表面204は、電極206と208から露出する。本発明の一つの実施例において、アラインメント及びホットプレスプロセスを利用して三層膜電極接合体260を形成する。
【0020】
次に、図3を参考すると、三層膜電極接合体260と一対のガス拡散層をプレス機に置かれ、三層膜電極接合体260は一対のガス拡散層210と212との間に位置し、プレス、またはフィルム付着プロセスを含む第一固定工程を行わせ、一対のガス拡散層210と212を電極206と208上にそれぞれ固定し、五層膜電極接合体264(5-layers membrane -electrode -assembly,MEA5)を形成させる。
【0021】
図10は本発明の一つの実施例の粘着材料と第一ボーダー材料層の前処理を表しており、粘着材料と第一ボーダー材料層の厚みが比較的に薄くて取りづらいため、プレス、貼付け、コーティング、スクリーン印刷、噴霧プロセスなどの固定方式によって、まず、複数の粘着材料218a〜218dをホール250を有する複数の第一ボーダー材料層214a〜214d上に固定することによって、アラインメントの困難度を減少させる。粘着材料218a〜218dは第一ボーダー材料層214a〜214dのホール250に充填する。次に、図4を参考すると、五層膜電極接合体264と粘着材料218a〜218dを固定した複数の第一ボーダー材料層214a〜214dがプレス機に置かれ、粘着材料218a〜218dを固定した複数の第一ボーダー材料層214a〜214dは露出された第一表面202と第二表面204上に位置する。
【0022】
次に、図5を参考すると、例えば、プレス、またはフィルム付着プロセスを含む第二固定工程を行い、複数の第一ボーダー材料層214a〜214dをプロトン交換膜200に露出された第一表面202と第二表面204上にそれぞれはめ込み、粘着材料218a〜218dは第一ボーダー材料層214a〜214dのホール250を通り抜けてプロトン交換膜200に露出された第一表面202と第二表面204と接触する。上記の製造プロセスを経過した後、本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500aを形成し、また、七層膜電極接合体(7-layers membrane -electrode -assembly,MEA7)と称する。
【0023】
次に、図6を参考すると、直接メタノール燃料電池構造500aを二層の流れ板(Flow board)270との間に固定し、直接メタノール燃料電池スタック構造を形成させる。
【0024】
本発明の一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500aは、ホール250を有する第一ボーダー材料層(Border Material)214a〜214dを増加し、表面粗さの物理原理を利用してプロトン交換膜200と嵌め合い固定することによって、二者との間の結合強度は大いに増加されると同時に、形成された七層膜電極接合体(MEA7)500aは、次の製造工程において、流れ板とのスタック、または、複数の膜電極接合体をスタックするなどのスタック製造工程の簡略化の助けとなる。もう一つ、プロトン交換膜200上は、第一ボーダー材料層214a〜214dをすでにはめ込んだことから、プロトン交換膜200が変形し難くすることができるので、公知技術において、プロトン交換膜の膨張収縮による電池漏れの問題を減少することができる。
【0025】
また、本発明のもう一つの実施例において、一つの固定工程を利用して、粘着材料218a〜218dを有する複数の第一ボーダー材料層214a〜214dをプロトン交換膜200に露出された第一表面202と第二表面204上にそれぞれはめ込むと同時に、一対のガス拡散層210と212を三層膜電極接合体260の電極206と208上に固定し、図1bに示すような本発明のもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500bを形成させ、また、七層膜電極接合体(MEA7)500bと称する。図1bに示すように、直接メタノール燃料電池構造500bの第一ボーダー材料層214a〜214dの一部と粘着材料218a〜218dはガス拡散層210と212との間に挟まれて設置し、粘着材料218a〜218dは、固定工程期間において、ガス拡散層210と212と接合する。直接メタノール燃料電池構造500bにおいて、三層膜電極接合体260のプロトン交換膜200は、粘着材料218a〜218dによって、ガス拡散層210と212と接合する。直接メタノール燃料電池構造500aと比べて、本発明のもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500bは、単に一つの固定工程だけを使用すれば、七層膜電極接合体(MEA7)を形成することができる。
【0026】
図7〜図9は本発明のまたもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500cの製造プロセスの断面図である。上記の図面において、各部材が図2〜図6に示すような類似または同一の部分があれば、前の関連する記述を参考し、ここで繰り返して述べない。
【0027】
図7を参考すると、5層膜電極接合体(MEA5)264を形成した後、5層膜電極接合体(MEA5)264を図5に示したような製造プロセスで形成された粘着材料218a〜218dを固定した複数の第一ボーダー材料層214a〜214dと複数の第二ボーダー材料層216a〜216dをプレス機に置き、粘着材料218a〜218dを固定した第一ボーダー材料層214a〜214dは露出された第一表面202と第二表面204上方に位置する。また、第二ボーダー材料層226a〜226dは第一ボーダー材料層214a〜214d上方にそれぞれ位置する。
【0028】
次に、図8を参考すると、例えば、プレス、またはフィルム付着プロセスを含む第二固定工程を行い、複数の第一ボーダー材料層214a〜214dをプロトン交換膜200に露出された第一表面202と第二表面204上にそれぞれはめ込み、且つ、第二ボーダー材料層226a〜226dを粘着材料218a〜218d上にそれぞれ固定する。図7に示すように、粘着材料218a〜218dは第一ボーダー材料層214a〜214dのホール250を通り抜けてプロトン交換膜200に露出された第一表面202と第二表面204と接触する。上記の製造プロセスを経過した後、図1cに示すような本発明のまたもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500cを形成し、また、七層膜電極接合体(MEA7)500cと称する。第一ボーダー材料層214a〜214d上に、剛性、または可撓性を有する第二ボーダー材料層226a〜226dを更に設置することによって、製作された七層膜電極接合体(MEA7)を取り易くさせ、及び応力による変形を減少させることができ、または流れ板と緊密に貼り付けることで燃料漏れを避けることができる。
【0029】
次に、図9を参考すると、直接メタノール燃料電池構造500cを二層の流れ板(Flow board)270との間に固定し、もう一つの直接メタノール燃料電池スタック構造を形成させる。
【0030】
また、本発明のまたもう一つの実施例において、第二固定工程を行っている時に、更に、複数の緩衝層230a〜230dを第二ボーダー材料層226a〜226d上にそれぞれ設置することができる。上記の製造プロセスを経過した後、図1dに示すような本発明のまたもう一つの実施例の直接メタノール燃料電池構造500dを形成し、また、七層膜電極接合体(MEA7)500dと称する。直接メタノール燃料電池構造500dの緩衝層230a〜230dは外側流れ板との密封度を大いに増加することができる。
【0031】
本発明の実施例は直接メタノール燃料電池構造及びその製造方法を提供し、プロトン交換膜に隣接する第一ボーダー材料層はホールを有し、その表面粗度を利用することでプロトン交換膜と緊密にはめ合わせ、二者との接合強度を大いに増加させることによって、よく使われる固定製造プロセスで七層膜電極接合体(MEA7)を製造することができ、メタノール燃料電池の製造プロセスを大いに簡略化することができると同時に、組立のミスアラインメントによる信頼度の低下を避けることができる。幾つかの実施例において、第一ボーダー材料層上に、剛性を有する第二ボーダー材料層を設置することによって、製造された七層膜電極接合体(MEA7)を取り易くさせ、及び応力による変形を減少させることができ、または流れ板と緊密に貼り付けることで燃料漏れを避けることができる。または、第二ボーダー材料層上に緩衝層を設置することで流れ板との密封度を増加させることができる。
【0032】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、図または説明書の説明では、類似または同一の部分は、同一の符号を用いている。また、図では、実施例の形状または厚さは拡大することができ、標示を簡易化することができる。また、図中の各素子の部分はそれぞれ説明されるが注意するのは、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することが可能である。従って、本発明が請求する保護範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0033】
200 プロトン交換膜
202 第一表面
204 第二表面
206、208 電極
210、212 ガス拡散層
214、214a〜214d 第一ボーダー材料層
218、218a〜218d、218a〜218d 粘着材料
222a、222b ターミナル
226a〜226d 第二ボーダー材料層
230a〜230d 緩衝層
250 ホール
260 三層膜電極接合体
264 五層膜電極接合体
270 流れ板
500a〜500d 直接メタノール燃料電池構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面と相対する第二表面とを有し、一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜と、
前記一対の電極上にそれぞれ設置される一対のガス拡散層と、
露出された前記第一表面と前記第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれ、複数のホールを有する複数の第一ボーダー材料層と、
前記複数の第一ボーダー材料層上にそれぞれ固定されると同時に、前記複数のボーダー材料層の前記複数のホールを通り抜けて前記プロトン交換膜の前記第一表面と前記第二表面と接触する複数の粘着材料と、を含み、
前記プロトン交換膜の二つのターミナルと前記ターミナルに隣接する前記第一表面と前記第二表面の一部は前記一対の電極から露出している直接メタノール燃料電池構造。
【請求項2】
前記複数の第一ボーダー材料層は、ガラス繊維布、化学繊維布および粗面化金属板から選ばれる少なくともいずれか1種を含む請求項1に記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項3】
前記プロトン交換膜は前記複数の粘着材料によって、前記一対のガス拡散層と接合する請求項1または2に記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項4】
前記複数の粘着材料は、エポキシ樹脂、または鎖状低密度ポリエチレンを含む請求項1〜3のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項5】
前記複数の粘着材料上にそれぞれ設置される複数の第二ボーダー材料層を更に含む請求項1〜4のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項6】
前記複数の第二ボーダー材料層はテレフタル酸ポリエチレン(PET)、FR5ガラス繊維高分子材料、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)およびポリプロピレン(PP)から選ばれる少なくとも1種を含む請求項5に記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項7】
前記複数の第二ボーダー材料層上にそれぞれ設置される複数の緩衝層を更に含む請求項5または6に記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項8】
前記複数の緩衝層はシリコンゴム、またはフッ素化エチレンプロピレンを含む請求項7に記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項9】
前記複数の粘着材料と、前記複数の第二ボーダー材料層と、前記複数の緩衝層は前記複数のガス拡散層と接触していない請求項7または8に記載の直接メタノール燃料電池構造。
【請求項10】
一対の電極及び前記一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜を含む膜電極接合体を提供するステップと、
一対のガス拡散層を前記一対の電極上に固定する第一固定工程を行うステップと、
複数の第一ボーダー材料層を露出された前記第一表面と前記第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれ、前記複数の第一ボーダー材料層は複数のホールを有し、前記複数の第一ボーダー材料層はその上に固定される複数の粘着材料を更に含み、前記複数の粘着材料は前記複数のボーダー材料層の前記複数のホールを通り抜けて前記プロトン交換膜の前記第一表面と前記第二表面と接触する第二固定工程を行うステップと、を含み、
前記プロトン交換膜の二つのターミナルと前記ターミナルに隣接する第一表面と相対する第二表面は前記一対の電極から露出する直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項11】
前記第一固定工程と前記第二固定工程はプレス、またはフィルム付着プロセスを含む請求項10に記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項12】
前記複数の粘着材料はプレス、貼付け、コーティング、スクリーン印刷、または噴霧プロセスによって前記複数の第一ボーダー材料層上に固定する請求項10または11に記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項13】
前記第二固定工程は前記複数の粘着材料上にそれぞれ固定される複数の第二ボーダー材料層を更に含む請求項10〜12のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項14】
前記第二固定工程は第二ボーダー材料層上にそれぞれ固定される複数の緩衝層を更に含む請求項13に記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項15】
前記複数の粘着材料と、前記複数の第二ボーダー材料層と、前記複数の緩衝層は前記複数のガス拡散層と接触していない請求項14に記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項16】
一対の電極及び前記一対の電極との間に挟まれて設置されるプロトン交換膜を含む膜電極接合体を提供するステップと、
複数の第一ボーダー材料層を露出された前記第一表面と前記第二表面上にそれぞれ物理的にはめ込まれると同時に、一対のガス拡散層を前記一対の電極上に固定し、前記複数の第一ボーダー材料層は複数のホールを有し、前記複数の第一ボーダー材料層はその上に固定される複数の粘着材料を更に含み、前記複数の粘着材料は前記複数のボーダー材料層の前記複数のホールを通り抜けて前記プロトン交換膜の前記第一表面と前記第二表面と接触する第一固定工程を行うステップと、を含み、
前記プロトン交換膜の二つのターミナルと前記ターミナルに隣接する第一表面と相対する第二表面は前記一対の電極から露出する直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項17】
前記第一固定工程はプレス、またはフィルム付着プロセスを含む請求項16に記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項18】
前記複数の第一ボーダー材料層の一部と前記複数の粘着材料の一部は前記一対のガス拡散層との間にある請求項16または17に記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。
【請求項19】
前記プロトン交換膜は前記複数の粘着材料によって、前記一対のガス拡散層と接合する請求項16〜18のいずれかに記載の直接メタノール燃料電池構造の製造方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−138757(P2011−138757A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255236(P2010−255236)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(506301210)南亞電路板股▲ふん▼有限公司 (24)
【Fターム(参考)】