説明

直流モータ駆動制御装置及びそれを備えた車両用空気調和装置

【課題】 モータ駆動回路の簡略化により回路スペースの縮小と製造コストの削減を維持しつつ、複数の直流モータをほぼ同時に円滑に駆動できる直流モータ駆動制御装置と、それを備えた車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】 制御No.4やNo.5で示すモータ駆動周期Tのように、3個のドアモータMA,MB,MCのうちのいずれかを同時駆動可能とするために、駆動制御信号は三等分に時分割され、制御No.1〜5の周期T毎に出力される。このとき、ドアモータMA,MB,MCは、駆動制御信号による駆動回転状態(周期のうちの1/3期間)と空転制御信号による非駆動空転状態(周期のうちの2/3期間)とを周期的に繰り返し反復している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばサーボ機構に用いられた直流モータの回転を制御するための駆動制御装置と、そのような駆動制御装置を備えた車両用空気調和装置(カーエアコン)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗用車、バス、トラック等の車両に装備される空気調和装置(カーエアコン)には、内外気切替ドア、エアミックスドア、吹出口切替ドア等の空調用ドアが複数設けられている。これらの空調用ドアは、各ドアに対応して配置される直流モータの回転方向を正逆切り換えることにより、室内環境が快適に保たれるように作動制御される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−112293号公報
【0004】
そして、特許文献1に記載されているような空調ユニットには、複数の直流モータ(サーボモータ)の回転方向を制御するために、例えば図14に示すようなモータ駆動回路を含むドアモータ制御装置が組み込まれている。このドアモータ制御装置210では、各種空調用ドアを開閉作動する3個のドアモータMA,MB,MCの回転方向をそれぞれ正逆切り換えするために、3組のモータ駆動回路220A,220B,220Cが、各々のドアモータMA,MB,MC毎に形成されるように、直流電源Bに対して並列接続されている。モータ駆動回路220A,220B,220Cは、各々4個のトランジスタTRA1〜TRA4,TRB1〜TRB4,TRC1〜TRC4にて構成されたH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCを含む。
【0005】
このようなドアモータ制御装置210において、モータ制御部であるエアコンECU(Electronic Control Unit)230から出力された制御信号(ON・OFF信号)が、3組のH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCを構成する計12個のトランジスタのベースにそれぞれ印加される。各トランジスタのスイッチング作用によりモータ駆動回路220A,220B,220Cが起動し、ドアモータMA,MB,MCが正逆回転駆動(回転停止を含む)する。
【0006】
図15はこのときのモータ制御タイミングを例示している。
(1)第1サイクルt1では、接続点CPA1,CPA2間、CPB1,CPB2間、CPC1,CPC2間は、いずれも接地電位GND(一覧表示では「0」)で短絡するので、すべてのドアモータMA,MB,MCはブレーキ作用によって回転停止している。
(2)第2サイクルt2では、接続点CPA1の電位VCPA1が電源電位+B(駆動電位;一覧表示では「+」)、接続点CPA2の電位VCPA2が接地電位GNDとなり、ドアモータMAへの供給電位VMA=+Bとなるので、ドアモータMAは正回転する。
(3)第3サイクルt3では、接続点CPB1の電位VCPB1が接地電位GND、接続点CPB2の電位VCPB2が電源電位+Bとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=−Bとなるので、ドアモータMBは逆回転する。
(4)第4サイクルt4では、ドアモータMBは逆回転を継続する一方、接続点CPC1の電位VCPC1が電源電位+B、接続点CPC2の電位VCPC2が接地電位GNDとなり、ドアモータMCへの供給電位VMC=+Bとなるので、ドアモータMCは正回転する。
(5)第5サイクルt5では、接続点CPA1,CPB1,CPC1の電位VCPA1,VCPB1,VCPC1が電源電位+B、接続点CPA2,CPB2,CPC2の電位VCPA2,VCPB2,VCPC2が接地電位GNDとなり、ドアモータMA,MB,MCへの供給電位VMA=VMB=VMC=+Bとなるので、すべてのドアモータMA,MB,MCが同時に正回転する。
【0007】
このように、図14のモータ駆動回路220A,220B,220Cは、それぞれ4個のトランジスタで構成されたH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCを有しているので、3個のドアモータMA,MB,MCのうちの複数を同時に駆動することができる。しかし、このようなモータ駆動回路にはドアモータ1個あたり4個のトランジスタを必要とし、モータ数が増えるにつれてトランジスタの必要個数が急増するので(N個のドアモータではトランジスタ4N個が必要)、モータ駆動回路が大型化し、回路スペースの増大と製造コストの上昇を招く。
【0008】
そこで、H型ブリッジ回路を構成するトランジスタの必要個数を削減するために、図16に示すようなドアモータ制御装置310が開発されている。このドアモータ制御装置310のモータ駆動回路320A,320B,320Cは、プッシュプル形式にて(すなわち、上段のPNP型トランジスタCTR1のエミッタと下段のNPN型トランジスタCTR2のコレクタとが)接続され、すべてのH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCに共通使用される共通トランジスタ対CTRを有する。同じく、プッシュプル形式にて(すなわち、上段のPNP型トランジスタTRA3,TRB3,TRC3のエミッタと下段のNPN型トランジスタTRA4,TRB4,TRC4のコレクタとが)接続され、各H型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCに固有の個別トランジスタ対TRA,TRB,TRCを有する。そして、ドアモータMA,MB,MCは、共通トランジスタ対CTRにおける両トランジスタの接続点を共通接続点CCPとし、個別トランジスタ対TRA,TRB,TRCにおける両トランジスタの接続点を個別接続点CPA,CPB,CPCとして、それら共通接続点CCPと個別接続点CPA,CPB,CPCとの間に介装されている。
【0009】
図17はエアコンECU330から出力された制御信号(ON・OFF信号)に基づくモータ制御タイミングを例示し、第1サイクルt1〜第3サイクルt3では図15とほぼ同様に作動する。ただし、第4サイクルでは、区間t41,t42に分割して、ドアモータMBの逆回転駆動とドアモータMCの正回転駆動とを個別に実行する。また、第5サイクルでは、区間t51,t52,t53に分割して、ドアモータMA,MB,MCの正回転駆動を個別に実行する。
【0010】
(4−1)第4サイクルの第1区間t41において、共通接続点CCPの電位VCCPを接地電位GND(一覧表示では「0」)、個別接続点CPBの電位VCPBを電源電位+B(駆動電位;一覧表示では「+」)とし、ドアモータMBへの供給電位VMB=−Bとして、ドアモータMBを逆回転する。この間、ドアモータMA,MCは回転停止している。
(4−2)第4サイクルの第2区間t42において、共通接続点CCPの電位VCCPを電源電位+Bとし、個別接続点CPCの電位VCPCを接地電位GNDとし、ドアモータMCへの供給電位VMC=+Bとして、ドアモータMCを正回転する。この間、ドアモータMA,MBは回転停止している。
【0011】
(5−1)第5サイクルの第1区間t51において、共通接続点CCPの電位VCCPを電源電位+Bとし、個別接続点CPAの電位VCPAを接地電位GNDとし、ドアモータMAへの供給電位VMA=+Bとして、ドアモータMAを正回転する。この間、ドアモータMB,MCは回転停止している。
(5−2)第5サイクルの第2区間t52において、共通接続点CCPの電位VCCPを電源電位+Bとし、個別接続点CPBの電位VCPBを接地電位GNDとし、ドアモータMBへの供給電位VMB=+Bとして、ドアモータMBを正回転する。この間、ドアモータMA,MCは回転停止している。
(5−3)第5サイクルの第3区間t53において、共通接続点CCPの電位VCCPを電源電位+Bとし、個別接続点CPCの電位VCPCを接地電位GNDとし、ドアモータMCへの供給電位VMC=+Bとして、ドアモータMCを正回転する。この間、ドアモータMA,MBは回転停止している。
【0012】
このように、図16のモータ駆動回路320A,320B,320Cでは、すべてのH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCに共通使用される共通トランジスタ対CTRを有することにより、回路スペースを縮小し、製造コストを削減することができる。しかし、複数の空調用ドアを同時に作動させる場合、各ドアモータMA,MB,MCは時分割されたうちの一区間だけ回転し、他の区間では回転停止(ブレーキ作動状態)している。したがって、複数の操作スイッチを継続して押し続けても、各々の空調用ドア(及びドアモータMA,MB,MC)は間欠的にぎこちない動作を繰り返すことになる。このような動きが発生すると、空調用ドアやドアモータMA,MB,MCの不調又は故障と勘違いされるおそれがある。また、このような違和感を解消するために時分割の周期や駆動期間を短く設定してPWM制御(デューティ比可変制御)を行う場合、ドアモータMA,MB,MCに充分な回転駆動力(トルク)が付与されなくなって、トルク不足による回転不良を引き起こすおそれもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、モータ駆動回路の簡略化により回路スペースの縮小と製造コストの削減を維持しつつ、複数の直流モータをほぼ同時に円滑に駆動できる直流モータ駆動制御装置と、それを備えた車両用空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の直流モータ駆動制御装置は、
駆動対象となる複数の直流モータの回転方向をそれぞれ正逆切り換えするために、4個のトランジスタにて構成されたH型ブリッジ回路を含むモータ駆動回路が、各々の直流モータ毎に形成されるように直流電源に対して並列接続された直流モータ駆動制御装置において、
各モータ駆動回路は、
プッシュプル形式にて(すなわち、上段トランジスタのエミッタと下段トランジスタのコレクタとが)接続され、すべてのH型ブリッジ回路に共通使用される共通トランジスタ対と、
同じくプッシュプル形式にて(すなわち、上段トランジスタのエミッタと下段トランジスタのコレクタとが)接続され、各H型ブリッジ回路に固有の個別トランジスタ対と、
前記共通トランジスタ対における両トランジスタの接続点を共通接続点とし、前記個別トランジスタ対における両トランジスタの接続点を個別接続点として、それら共通接続点と個別接続点との間に介装された前記直流モータと、を有するとともに、
前記モータ駆動回路によって駆動対象の直流モータを正逆回転駆動するときに、前記直流モータを駆動するための駆動電位を発生させる駆動制御信号と、前記直流モータが非駆動で空転するための非駆動空転電位を発生させる空転制御信号とを、対応するH型ブリッジ回路(を構成する各トランジスタ)に対し時間をずらして出力するモータ制御部を備えることを特徴とする。
【0015】
このような直流モータ駆動制御装置によれば、すべてのH型ブリッジ回路に共通使用される共通トランジスタ対及び共通接続点を有することにより、モータ駆動回路の簡略化を図り、回路スペースを縮小し、製造コストを削減することができる。しかも、上記した直流モータ駆動制御装置では、直流モータの正逆回転駆動にあたり、空転制御信号に基づき非駆動空転電位を発生する時間帯(非駆動空転期間)が設けられる。このように、回転停止(ブレーキ作動)状態とは異なる空転(惰性回転)状態が生成されることにより、モータ回転数の安定化を図ることができる。さらに、モータ制御部から駆動制御信号と空転制御信号とが時間をずらして(例えば時分割して)出力されるので、空転制御信号の出力時間帯に他の直流モータの駆動制御信号を出力できる。したがって、複数(例えば3個)の直流モータを同時駆動する場合であっても、直流モータの間欠的な回転動作やトルク不足による回転不良を抑制して、複数の直流モータをほぼ同時に円滑に駆動できる。
【0016】
なお、本発明の直流モータ駆動制御装置は車両用空気調和装置に最適であるが、同程度の負荷を受ける複数の直流モータが使用される他の装置(例えば複写機の紙送り装置等)にも適用できる。また、「トランジスタ」は、バイポーラトランジスタ、FET等の種別を問わない。
【0017】
上記直流モータ駆動制御装置では、直流モータの非駆動空転状態において、個別トランジスタ対における両トランジスタはともにモータ制御部からの空転制御信号によりOFFとなり、非駆動空転電位は(例えば、零電位である接地電位と駆動電位である電源電位との間において)不確定な状態で直流モータへ供給されることが望ましい。
【0018】
このように、空転制御信号の出力期間(モータ空転期間)において、非駆動空転電位NDは不確定な電位であり、直流モータの駆動(正回転又は逆回転)トルクを発生せず、回転停止(ブレーキ作動)もしない空転(惰性回転)状態が容易に生成される。
【0019】
複数の直流モータの同時駆動にあたり、モータ制御部は、複数(例えば3つ)の駆動制御信号をモータ駆動回路毎に時分割(例えば三等分に時分割)して、かつ所定の周期にて出力し、
複数(例えば3個)の直流モータは、駆動制御信号による駆動回転状態と空転制御信号による非駆動空転状態とを周期的にかつ交互に反復することが可能である。
【0020】
複数の駆動制御信号を時分割出力することによって、複数の直流モータをほぼ同時に駆動することが容易となり、モータ回転数を一層安定させることができる。
【0021】
なお、直流モータの間欠的な回転に伴う振動・騒音、トルク不足による回転不良等の発生を回避するために、駆動制御信号の出力周期T(=直流モータの駆動周期)を直流モータの定格回転時の回転周期TMより大としたり、駆動制御信号の出力期間TD(=直流モータの駆動期間)を定格回転周期TMより大としたりする場合がある。その際、回転ムラが発生しにくくなるように、TM<T又はTM<TDの条件の下でモータ駆動周期Tやモータ駆動期間TDをできるだけ短くすることも考慮される。
【0022】
モータ制御部には、複数の直流モータをそれぞれ正逆回転駆動させるために、人為的に操作入力される複数の入力手段からの操作信号がそれぞれ入力され、
複数の直流モータに対する駆動制御信号の出力順位を、複数の入力手段からの操作信号の入力有無に関わらず周期内において予め定めておく場合がある。
【0023】
モータ制御部は、入力手段(例えば操作スイッチ)からの操作信号に応じ、予め定められた駆動制御信号の出力順位に沿って素早く信号出力できるので、モータ駆動制御の応答性がよくなる。例えば、駆動制御信号の出力順位を含む形で、モータ制御組合せパターンテーブルをROM等に格納しておき、そのテーブルから抽出した組合せパターンのデータ通りに駆動制御信号を出力すればよい。
【0024】
また、モータ制御部には、複数の直流モータをそれぞれ正逆回転駆動させるために、人為的に操作入力される複数の入力手段からの操作信号がそれぞれ入力され、
複数の直流モータに対する駆動制御信号の出力順位を、複数の入力手段からの操作信号の入力に応じ周期内において変更する場合もある。
【0025】
これによって、入力信号の変更に応じて直流モータの回転駆動を迅速に調整することができる。例えば、複数の入力手段からの操作信号において、回転停止→正回転又は逆回転、正回転→逆回転等の変更があったとき、変更された入力信号に応じて駆動制御信号の出力順位を変更する(具体的には、対応する駆動制御信号を出力周期の先頭側に移動する)ことが可能となる。
【0026】
複数の直流モータには、回転数を直接又は間接的に検出する検出手段がそれぞれ設けられ、
モータ制御部は、いずれかの直流モータの回転数が減少したとき、対応する駆動制御信号の出力期間を延長する一方、いずれかの直流モータの回転数が増加したとき、対応する駆動制御信号の出力期間を短縮してもよい。
【0027】
あるいは、複数の直流モータには、負荷を直接又は間接的に検出する検出手段がそれぞれ設けられ、
モータ制御部は、いずれかの直流モータの負荷が増加したとき、対応する駆動制御信号の出力期間を延長する一方、いずれかの直流モータの負荷が減少したとき、対応する駆動制御信号の出力期間を短縮してもよい。
【0028】
このように、モータ回転数の減少(又は増加)に応じて、対応する駆動制御信号の出力期間(=直流モータの駆動期間)を延長(又は短縮)したり、モータ負荷の増加(又は減少)に応じて、上記出力期間を延長(又は短縮)したりすることによって、直流モータの回転数や負荷をより安定して制御できる。例えば、カーエアコンユニットの空調用ドアに塵埃等の噛み込みが発生して、モータ回転数が減少(モータ負荷が増加)した場合にも、上記出力期間を延長することによって、モータ回転数(モータ負荷)を正規の状態に早期に復帰させることができる。
【0029】
これらの駆動制御信号の出力期間(直流モータの駆動期間)調整において、特定モータの駆動期間が延長・短縮するにつれて周期も延長・短縮する場合と、特定モータの駆動期間が延長・短縮しても周期は同じ(他のモータの駆動期間が短縮・延長する)場合とがある。なお、ロータリエンコーダ、ポテンショメータ等は、回転数や回転変位を直接検出する「検出手段」の代表例であり、負荷を直接検出する「検出手段」には、ストレインゲージ、圧電素子等が知られている。その他、モータ回転数やモータ負荷を間接的に検出する「検出手段」として、タコジェネレータ等の発電機による起電力の検出、モータ駆動回路に接続された電流計による消費電流の検出等が挙げられる。
【0030】
そして、上記課題を解決するために、本発明の車両用空気調和装置は、
上記した直流モータ駆動制御装置と、
複数の直流モータが個々に正逆回転駆動することに応じて各々開閉作動する複数の空調用ドアと、
を備えたことを特徴とする。
【0031】
内外気切替ドア、エアミックスドア、吹出口切替ドア等の空調用ドアを備えた空気調和装置において、モータ駆動回路の簡略化により回路スペースの縮小ひいては空気調和装置の小型化と製造コストの削減を維持しながら、複数の直流モータひいては空調用ドアが同時に円滑に作動できる。したがって、複数の入力手段(操作スイッチ)を同時に継続して押し続けたとき、各々の空調用ドアの開閉作動が滞りなく(停止することなく連続的に)行われるので、空調用ドアの不調・故障とは明確に区別でき、トルク不足による作動不良も発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るカーエアコンユニットの一例を示す概略説明図。
【図2】本発明に係るドアモータ制御装置の電気的構成の一例を示す回路図。
【図3】図2におけるモータ駆動制御処理を示すフローチャート。
【図4】図3に基づくモータ制御タイミングを例示する説明図。
【図5】モータ制御の組合せ全パターンを示す一覧表。
【図6】図3の変形例を示すフローチャート。
【図7】図6に基づくモータ制御タイミングを例示する説明図。
【図8】本発明に係るドアモータ制御装置の電気的構成の他の例を示す回路図。
【図9】図8におけるモータ駆動制御処理を示すフローチャート。
【図10】図9に基づくモータ制御タイミングを例示する説明図。
【図11】図8の変形例を示す回路図。
【図12】図11におけるモータ駆動制御処理を示すフローチャート。
【図13】図12に基づくモータ制御タイミングを例示する説明図。
【図14】従来のドアモータ制御装置の第一の電気的構成を示す回路図。
【図15】図14に基づくモータ制御タイミングを例示する説明図。
【図16】従来のドアモータ制御装置の第二の電気的構成を示す回路図。
【図17】図16に基づくモータ制御タイミングを例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(実施例1)
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明に係るカーエアコンユニットの一例を示す概略説明図である。図1に示す車両用空気調和装置(以下、カーエアコンユニットともいう)1は、内部に空気流路を形成する筒状のダクト2を備えている。
【0034】
ダクト2の流路入口側には、車内空気を循環させるための内気吸い込み口2aと、車外の空気を取り込むための外気吸い込み口2bとが開口している。一方、ダクト2の流路出口側には、搭乗者の正面へ吹き出すためのフェイス用吹出口2cと、搭乗者の足元へ吹き出すためのフット用吹出口2dと、フロントガラス曇り止めのためのデフ用吹出口2eとが開口している。また、ダクト2の入口側内部にはブロワ4が配置され、このブロワ4によって両吸い込み口2a,2bからの空気がダクト2に取り込まれる。さらに、ダクト2の中間内部には、両吸い込み口2a,2bから取り込まれた空気を冷却するためのエバポレータ5と、取り込まれた空気を加熱するためのヒータ6とが配置されている。
【0035】
3Aは、ドアモータMA(直流モータ;サーボモータ)の正逆回転駆動によって切替作動する内外気切替ドア(空調用ドア)であり、内気吸い込み口2aから流入する内気と外気吸い込み口2bから流入する外気とを切り替える。3Bは、ドアモータMB(直流モータ;サーボモータ)の正逆回転駆動によって回転作動するエアミックスドア(空調用ドア)であり、回転角度位置によってエバポレータ5からの冷気とヒータ6からの暖気との混合比率を決定する。3C1、3C2及び3C3は、ドアモータMC(直流モータ;サーボモータ)の正逆回転駆動によって切替作動する、フェイス用、フット用及びデフ用の各吹出口切替ドア(空調用ドア)であり、ギア機構等の連動機構7を介して各吹出口2c,2d,2eの開口状態を切り替える。
【0036】
複数(例えば3個)の操作スイッチSA,SB,SC(入力手段)から操作入力された操作信号に基づいて、ドアモータ制御装置10(直流モータ駆動制御装置)の主要部を構成するエアコンECU(Electronic Control Unit)30から制御信号が出力される。エアコンECU30から出力された制御信号によって、複数(例えば3組)のモータ駆動回路20A,20B,20Cが起動し、複数(例えば3個)のドアモータMA,MB,MCの回転方向をそれぞれ正逆切り換えする。
【0037】
図2は本発明に係るドアモータ制御装置の電気的構成の一例を示す回路図である。図2に示すドアモータ制御装置10において、3組のモータ駆動回路20A,20B,20Cが、各々のドアモータMA,MB,MC毎に形成されるように、直流電源Bに対して並列接続されている。後述するように、モータ駆動回路20A,20B,20Cは、各々4個のトランジスタにて構成されたH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCを含む。
【0038】
モータ駆動回路20A,20B,20Cは、プッシュプル形式にて(すなわち、上段のPNP型トランジスタCTR1のエミッタと下段のNPN型トランジスタCTR2のコレクタとが)接続され、すべてのH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCに共通使用される共通トランジスタ対CTRを有する。また、モータ駆動回路20A,20B,20Cは、プッシュプル形式にて(すなわち、上段のPNP型トランジスタTRA3,TRB3,TRC3のエミッタと下段のNPN型トランジスタTRA4,TRB4,TRC4のコレクタとが)接続され、各H型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCに固有の個別トランジスタ対TRA,TRB,TRCを有する。そして、ドアモータMA,MB,MCは、共通トランジスタ対CTRにおける両トランジスタの接続点を共通接続点CCPとし、個別トランジスタ対TRA,TRB,TRCにおける両トランジスタの接続点を個別接続点CPA,CPB,CPCとして、それら共通接続点CCPと個別接続点CPA,CPB,CPCとの間にそれぞれ介装されている。
【0039】
エアコンECU30は、演算装置であるCPU31(モータ制御部)、後述するモータ駆動制御処理プログラム32aやモータ制御組合せパターンテーブル32bを格納する、読み取り専用記憶装置であるROM32、ワークエリアや各種カウンタ等が割り当てられる、読み書き可能な記憶装置であるRAM33、及び入出力インターフェース34を備えており、これらはバス35を介して相互に接続されている。
【0040】
上記したように、エアコンECU30には、操作スイッチSA,SB,SCから操作入力された操作信号がそれぞれ入力されている。また、エアコンECU30から、モータ駆動回路20A,20B,20Cを起動させ、ドアモータMA,MB,MCの回転方向をそれぞれ正逆切り換えするための制御信号が出力される。具体的には、エアコンECU30から出力された制御信号(ON・OFF信号)は、3組のH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCを構成する計8個のトランジスタのベースに対し、三等分に時分割してそれぞれ印加される。
【0041】
この実施例に示すドアモータ制御装置10の特徴として、エアコンECU30から出力される制御信号は、ドアモータMA,MB,MCを駆動するレベルを有する駆動電位(すなわち電源電位)+Bを発生させる駆動制御信号と、ドアモータMA,MB,MCが非駆動で空転(惰性回転)できるように駆動電位+Bよりも低電位(駆動するレベルを有しない)の非駆動空転電位NDを発生させる空転制御信号とを含む(図4参照)。
【0042】
例えば、図4に制御No.2で示す駆動制御信号の出力周期(すなわちモータ駆動周期)Tのうち、ドアモータMAに係る空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMAの空転期間)TIAにおいて、ドアモータMAへの供給電位VMAは、非駆動空転電位NDで与えられる。ドアモータMAは、駆動(正回転又は逆回転)トルクを発生せず、回転停止(ブレーキ作動)もしない空転状態となる。このような非駆動空転状態(惰性回転状態)において、ドアモータMAの個別トランジスタ対TRAにおける両トランジスタTRA3,TRA4は、ともにCPU31からの空転制御信号によりOFFとなる。
【0043】
例えば、図4に制御No.4やNo.5で示すモータ駆動周期Tのように、3個のドアモータMA,MB,MCのうちのいずれかを同時駆動可能とするために、CPU31からの駆動制御信号は、モータ駆動回路20A,20B,20C毎に時分割され、制御No.1〜5の周期T毎に出力される。このとき、ドアモータMA,MB,MCは、駆動制御信号による駆動回転状態(周期のうちの1/3期間)と空転制御信号による非駆動空転状態(周期のうちの2/3期間)とを周期的に繰り返し反復している。
【0044】
次に、エアコンECU30の制御内容と、モータ駆動回路20A,20B,20C及びドアモータMA,MB,MCの駆動態様について、図3に示すフローチャート及び図4に示すモータ制御タイミングチャートに従って説明する。
【0045】
図3のモータ駆動制御処理フローチャートはROM32に格納されたモータ駆動制御処理プログラム32aによって稼動する(図2参照)。まず、各操作スイッチSA,SB,SCの操作有無と操作方向(正回転か逆回転か)を確認する(S1)。次に、モータ制御組合せパターンテーブル32b(図2,図5参照)から、S1で確認した操作スイッチSA,SB,SCの操作パターンに合致する組合せパターンを抽出する(S2)。さらに、S2で抽出した組合せパターンに従って、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力し(S3)、モータ駆動回路20A,20B,20Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。
【0046】
さらに、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力する具体例について、図4に示すモータ制御タイミングチャートの制御No.1〜5毎に説明する。なお、図4において、制御No.1〜5はそれぞれ所定のモータ駆動周期T毎に繰り返し(操作スイッチSA,SB,SCの少なくともいずれか1つが操作されるまで)実行されている。また、非駆動空転電位NDは一定の値に定められないが、図4では、0<ND<+Bで破線にて仮表示してある。
【0047】
<制御No.1:ドアモータMA,MB,MCはすべて回転停止>
制御No.1は、操作スイッチSA,SB,SCがいずれも操作されていない状態を表す。制御No.1の周期Tを通じて、共通トランジスタ対CTR、個別トランジスタ対TRA,TRB,TRCを問わず、上段のトランジスタCTR1,TRA3,TRB3,TRC3のベースにOFF信号、下段のトランジスタCTR2,TRA4,TRB4,TRC4のベースにON信号がそれぞれ印加されている。このとき、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPA,CPB,CPCの電位VCPA,VCPB,VCPCとの間は、いずれも接地電位GND(一覧表示では「0」)となって短絡するので、すべてのドアモータMA,MB,MCはブレーキ作用によって回転停止している。
【0048】
<制御No.2:ドアモータMAが正回転、MB,MCは回転停止>
制御No.2は、操作スイッチSAのみが正回転方向に操作された状態を表す。制御No.2における周期Tの先頭に位置する、ドアモータMAに係る駆動制御信号の出力期間(すなわちドアモータMAの駆動期間)TDAにおいて、共通トランジスタ対CTRの上段トランジスタCTR1のベースがON信号、下段トランジスタCTR2のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B(駆動電位;一覧表示では「+」)、個別接続点CPAの電位VCPAが接地電位GNDとなり、ドアモータMAへの供給電位VMA=+Bとなるので、ドアモータMAは正方向に駆動回転する。
【0049】
なお、個別トランジスタ対TRB,TRCでは、上段のトランジスタTRB3,TRC3のベースがON信号、下段のトランジスタTRB4,TRC4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPB,CPCの電位VCPB,VCPCとの間は、いずれも電源電位+Bとなって短絡するので、ドアモータMB,MCはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0050】
次に、制御No.2における周期Tの中央及び末尾に位置する、ドアモータMAに係る空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMAの空転期間)TIAにおいて、共通トランジスタ対CTRの上段トランジスタCTR1のベースがOFF信号、下段トランジスタCTR2のベースがON信号に切り換わる一方、個別トランジスタ対TRAの両トランジスタTRA3,TRA4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPAの電位VCPAが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMAへの供給電位VMA=NDとなるので、ドアモータMAは正方向に空転する。
【0051】
なお、個別トランジスタ対TRB,TRCでは、上段のトランジスタTRB3,TRC3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRB4,TRC4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPB,CPCの電位VCPB,VCPCとの間は、いずれも接地電位GNDとなって短絡するので、ドアモータMB,MCはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0052】
<制御No.3:ドアモータMBが逆回転、MA,MCは回転停止>
制御No.3は、操作スイッチSBのみが逆回転方向に操作された状態を表す。制御No.3における周期Tの先頭に位置する、ドアモータMAに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMAの駆動期間)TDAは、ドアモータMBから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMBの空転期間)TIBである。ドアモータMAの駆動期間TDAにおいて、個別トランジスタ対TRBの両トランジスタTRB3,TRB4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=NDとなる。
【0053】
なお、個別トランジスタ対TRA,TRCでは、上段のトランジスタTRA3,TRC3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4,TRC4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPA,CPCの電位VCPB,VCPCとの間は、いずれも接地電位GNDとなって短絡するので、ドアモータMA,MCはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0054】
次に、制御No.3における周期Tの中央に位置する、ドアモータMBに係る駆動制御信号の出力期間(すなわちドアモータMBの駆動期間)TDBにおいて、個別トランジスタ対TRBの上段トランジスタTRB3のベースがON信号、下段トランジスタTRB4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが電源電位+Bとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=−Bとなるので、ドアモータMBは逆方向に駆動回転する。
【0055】
なお、個別トランジスタ対TRA,TRCでは、上段のトランジスタTRA3,TRC3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4,TRC4のベースがON信号のままであるから、ドアモータMA,MCはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0056】
そして、制御No.3における周期Tの末尾に位置する、ドアモータMCに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMCの駆動期間)TDCは、ドアモータMBから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMBの空転期間)TIBである。ドアモータMCの駆動期間TDCにおいて、個別トランジスタ対TRBの両トランジスタTRB3,TRB4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=NDとなるので、ドアモータMBは逆方向に空転する。
【0057】
なお、個別トランジスタ対TRA,TRCでは、上段のトランジスタTRA3,TRC3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4,TRC4のベースがON信号のままであるから、ドアモータMA,MCはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0058】
<制御No.4:ドアモータMBが逆回転、MCが正回転、MAは回転停止>
制御No.4は、操作スイッチSBが継続して逆回転方向に操作され、同時に操作スイッチSCが正回転方向に操作された状態を表す。制御No.4における周期Tの先頭に位置する、ドアモータMAに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMAの駆動期間)TDAは、ドアモータMB,MCから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMB,MCの空転期間)TIB,TICである。ドアモータMAの駆動期間TDAにおいて、個別トランジスタ対TRB,TRCのトランジスタTRB3,TRB4,TRC3,TRC4のベースがすべてOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPB,CPCの電位VCPB,VCPCが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMB,MCへの供給電位VMB=VMC=NDとなる。
【0059】
このとき、個別トランジスタ対TRAでは、上段のトランジスタTRA3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4のベースがON信号のままであるから、ドアモータMAはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0060】
次に、制御No.4における周期Tの中央に位置する、ドアモータMBに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMBの駆動期間)TDBは、ドアモータMA,MCから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMA,MCの空転期間)TIA,TICである。ドアモータMBの駆動期間TDBにおいて、個別トランジスタ対TRBの上段トランジスタTRB3のベースがON信号、下段トランジスタTRB4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが電源電位+Bとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=−Bとなるので、ドアモータMBは逆方向に駆動回転する。このとき、個別トランジスタ対TRCの両トランジスタTRC3,TRC4のベースはともにOFF信号のままである。
【0061】
なお、個別トランジスタ対TRAでは、上段のトランジスタTRA3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4のベースがON信号のままであるから、ドアモータMAはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0062】
そして、制御No.4における周期Tの末尾に位置する、ドアモータMCに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMCの駆動期間)TDCは、ドアモータMA,MBから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMA,MBの空転期間)TIA,TIBである。ドアモータMCの駆動期間TDCにおいて、共通トランジスタ対CTRの上段トランジスタCTR1のベースがON信号、下段トランジスタCTR2のベースがOFF信号に切り換わる一方、個別トランジスタ対TRCの上段トランジスタTRC3のベースがOFF信号、下段トランジスタTRC4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPCの電位VCPCが接地電位GNDとなり、ドアモータMCへの供給電位VMC=+Bとなるので、ドアモータMCは正方向に駆動回転する。
【0063】
このとき、個別トランジスタ対TRBの両トランジスタTRB3,TRB4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPBの電位VCPBが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMBは逆方向に空転する。ただし、ここでは便宜上、ドアモータMBへの供給電位VMB=NDと表してある。
【0064】
なお、個別トランジスタ対TRAでは、上段のトランジスタTRA3のベースがON信号、下段のトランジスタTRA4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPAの電位VCPAとの間は、電源電位+Bとなって短絡するので、ドアモータMAはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0065】
<制御No.5:ドアモータMA,MB,MCはすべて正回転>
制御No.5は、すべての操作スイッチSA,SB,SCが同時に正回転方向に操作された状態を表す。制御No.5における周期Tの先頭に位置する、ドアモータMAに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMAの駆動期間)TDAは、ドアモータMB,MCから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMB,MCの空転期間)TIB,TICである。ドアモータMAの駆動期間TDAにおいて、個別トランジスタ対TRAの上段トランジスタTRA3のベースがOFF信号、下段トランジスタTRA4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPAの電位VCPAが接地電位GNDとなり、ドアモータMAへの供給電位VMA=+Bとなるので、ドアモータMAは正方向に駆動回転する。
【0066】
このとき、個別トランジスタ対TRB,TRCのトランジスタTRB3,TRB4,TRC3,TRC4のベースがすべてOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPB,CPCの電位VCPB,VCPCが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMB,MCへの供給電位VMB=VMC=NDとなる。
【0067】
次に、制御No.5における周期Tの中央に位置する、ドアモータMBに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMBの駆動期間)TDBは、ドアモータMA,MCから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMA,MCの空転期間)TIA,TICである。ドアモータMBの駆動期間TDBにおいて、個別トランジスタ対TRBの上段トランジスタTRB3のベースがOFF信号、下段トランジスタTRB4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPBの電位VCPBが接地電位GNDとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=+Bとなるので、ドアモータMBは正方向に駆動回転する。
【0068】
このとき、個別トランジスタ対TRA,TRCのトランジスタTRA3,TRA4,TRC3,TRC4のベースがすべてOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPA,CPCの電位VCPA,VCPCが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMA,MCは正方向に空転する。ただし、ここでは便宜上、ドアモータMA,MCへの供給電位VMA=VMC=NDと表してある。
【0069】
そして、制御No.5における周期Tの末尾に位置する、ドアモータMCに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMCの駆動期間)TDCは、ドアモータMA,MBから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMA,MBの空転期間)TIA,TIBである。ドアモータMCの駆動期間TDCにおいて、個別トランジスタ対TRCの上段トランジスタTRC3のベースがOFF信号、下段トランジスタTRC4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPCの電位VCPCが接地電位GNDとなり、ドアモータMCへの供給電位VMC=+Bとなるので、ドアモータMCは正方向に駆動回転する。
【0070】
このとき、個別トランジスタ対TRA,TRBのトランジスタTRA3,TRA4,TRB3,TRB4のベースがすべてOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPA,CPBの電位VCPA,VCPBが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMA,MBは正方向に空転する。ただし、ここでは便宜上、ドアモータMA,MBへの供給電位VMA=VMB=NDと表してある。
【0071】
以上の説明から明らかなように、モータ個数N個の場合、駆動タイミングの組合せパターンは、3のN乗(モータ3個の場合、3×3×3=27)で表される。したがって、図4におけるドアモータMA,MB,MCの駆動タイミングは、操作スイッチSA,SB,SCの操作態様に応じて、図5に示す27通りの組合せパターンの形でROM32に格納されているモータ制御組合せパターンテーブル32b(図2参照)から抽出されたものである。
【0072】
このように、各ドアモータMA,MB,MCの正逆回転駆動にあたり、空転制御信号に基づき電源電位+Bよりも低電位の非駆動空転電位NDを発生する時間帯(非駆動空転期間)が設けられ、回転停止(ブレーキ作動)状態とは異なる空転(惰性回転)状態が生成されることにより、モータ回転数の安定化を図ることができる。しかも、CPU31から駆動制御信号と空転制御信号とが時分割出力されるので、複数同時駆動する場合であっても、ドアモータMA,MB,MCの間欠的な回転動作やトルク不足による回転不良を抑制して、複数のドアモータMA,MB,MCをほぼ同時に円滑に駆動できる。
【0073】
(変形例1)
図6は図3(実施例1)の変形例を示すフローチャート、図7は図6に基づくモータ制御タイミングチャートである。変形例1では、ドアモータMA,MB,MC(直流モータ;サーボモータ)に対する駆動制御信号の出力順位を、操作スイッチSA,SB,SC(入力手段)からの操作信号の入力に応じて、駆動制御信号の出力周期T(ドアモータMA,MB,MCの駆動周期)内において変更している。具体的には、操作スイッチSA,SB,SCからの入力信号が変更されたとき(例えば、回転停止→正回転、正回転→逆回転等の変更)、変更された入力信号を優先処理できるように、エアコンECU30のCPU31(モータ制御部)は、対応する駆動制御信号を出力周期Tの先頭側に移動し、駆動制御信号の出力順位を変更する。
【0074】
図6に示すモータ駆動制御処理では、S2でモータ制御組み合わせパターンテーブル32b(図5,図2参照)から抽出した組合せパターンにおいて、駆動制御信号の出力順位を変更する必要性の有無、言い換えれば、操作スイッチSA,SB,SCからの入力信号に変更があったか否かを判定する(S2’)。出力順位を変更する必要性なし(入力信号に変更なし)のときには(S2’:NO)、S2で抽出した組合せパターンに従って、駆動制御信号と空転制御信号とに三等分に時分割して出力し(S3)、モータ駆動回路20A,20B,20Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。
【0075】
一方、出力順位を変更する必要性あり(入力信号に変更あり)のときには(S2’:YES)、S2で図5から抽出した組合せパターンの出力順位を変更して、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力し(S3’)、モータ駆動回路20A,20B,20Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。
【0076】
さらに、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力する具体例として、図7に示すモータ制御タイミングチャートの制御No.3’及び4’における周期Tについて説明する。なお、制御No.1,2,5における周期Tのモータ制御タイミングは図4(実施例1)と同様である。
【0077】
<制御No.3’:ドアモータMBが逆回転、MA,MCは回転停止>
制御No.3’は、操作スイッチSBのみが回転停止→逆回転方向に操作された状態を表す。変更された操作スイッチSBからの入力信号を優先処理できるように、ドアモータMBに係る駆動制御信号を制御No.3’における周期Tの先頭に移動(駆動制御信号の出力順位を変更)している。具体的には、ドアモータMBに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMBの駆動期間)TDBが、ドアモータMAに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMAの駆動期間)TDAよりも前(すなわち制御No.3’における周期Tの先頭)に移動する。
【0078】
制御No.3’における周期Tの先頭に移動した、ドアモータMBの駆動期間TDBにおいて、個別トランジスタ対TRBの上段トランジスタTRB3のベースがON信号、下段トランジスタTRB4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが電源電位+Bとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=−Bとなるので、ドアモータMBは逆方向に駆動回転する。
【0079】
次に、制御No.3’における周期Tの中央に移動した、ドアモータMAの駆動期間TDAは、ドアモータMBから見れば空転制御信号の出力期間(すなわちドアモータMBの空転期間)TIBである。ドアモータMAの駆動期間TDAにおいて、個別トランジスタ対TRBの両トランジスタTRB3,TRB4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=NDとなるので、ドアモータMBは逆方向に空転(惰性回転)する。
【0080】
<制御No.4’:ドアモータMBが逆回転、MCが正回転、MAは回転停止>
制御No.4’は、操作スイッチSBが継続して逆回転方向に操作され、同時に操作スイッチSCが回転停止→正回転方向に操作された状態を表す。変更された操作スイッチSCからの入力信号を優先処理できるように、ドアモータMCに係る駆動制御信号を制御No.4’における周期Tの先頭に移動(駆動制御信号の出力順位を変更)している。具体的には、ドアモータMCに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMCの駆動期間)TDCが、ドアモータMA,MBに係る駆動制御信号の出力期間(ドアモータMA,MBの駆動期間)TDA,TDBよりも前(すなわち制御No.4’における周期Tの先頭)に移動する。
【0081】
制御No.4’における周期Tの先頭に移動した、ドアモータMCの駆動期間TDCにおいて、共通トランジスタ対CTRの上段トランジスタCTR1のベースがON信号、下段トランジスタCTR2のベースがOFF信号に切り換わる一方、個別トランジスタ対TRCの上段トランジスタTRC3のベースがOFF信号、下段トランジスタTRB4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPCの電位VCPCが接地電位GNDとなり、ドアモータMCへの供給電位VMC=+Bとなるので、ドアモータMCは正方向に駆動回転する。
【0082】
このとき、個別トランジスタ対TRBの両トランジスタTRB3,TRB4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが電源電位+B、個別接続点CPBの電位VCPBが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMBは逆方向に空転する。ただし、ここでは便宜上、ドアモータMBへの供給電位VMB=NDと表してある。
【0083】
なお、個別トランジスタ対TRAでは、上段のトランジスタTRA3のベースがON信号、下段のトランジスタTRA4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPAの電位VCPAとの間は、電源電位+Bとなって短絡するので、ドアモータMAはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0084】
次に、制御No.4’における周期Tの中央に位置する、ドアモータMBの駆動期間TDBにおいて、共通トランジスタ対CTRの上段トランジスタCTR1のベースがOFF信号、下段トランジスタCTR2のベースがON信号に切り換わる一方、個別トランジスタ対TRBの上段トランジスタTRB3のベースがON信号、下段トランジスタTRB4のベースがOFF信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPBの電位VCPBが電源電位+Bとなり、ドアモータMBへの供給電位VMB=−Bとなるので、ドアモータMBは逆方向に駆動回転する。
【0085】
このとき、個別トランジスタ対TRCの両トランジスタTRC3,TRC4のベースがともにOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPCの電位VCPCが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMCへの供給電位VMC=NDとなるので、ドアモータMCは正方向に空転する。
【0086】
なお、個別トランジスタ対TRAでは、上段のトランジスタTRA3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4のベースがON信号に切り換わる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPと、個別接続点CPAの電位VCPAとの間は、接地電位GNDとなって短絡するので、ドアモータMAはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0087】
制御No.4’における周期Tの末尾に移動した、ドアモータMAの駆動期間TDAにおいて、個別トランジスタ対TRB,TRCのトランジスタTRB3,TRB4,TRC3,TRC4のベースがすべてOFF信号となる。これによって、共通接続点CCPの電位VCCPが接地電位GND、個別接続点CPB,CPCの電位VCPB,VCPCが非駆動空転電位NDとなり、ドアモータMB,MCへの供給電位VMB=VMC=NDとなる。その結果、ドアモータMBは逆方向に空転し、ドアモータMCは正方向に空転する。
【0088】
このとき、個別トランジスタ対TRAでは、上段のトランジスタTRA3のベースがOFF信号、下段のトランジスタTRA4のベースがON信号のままであるから、ドアモータMAはブレーキ作用によって回転停止状態を維持している。
【0089】
このように、操作スイッチSA,SB,SCからの入力信号が変更されたとき、対応する駆動制御信号を出力周期Tの先頭側に移動し、駆動制御信号の出力順位を変更するので、入力信号の変更に応じてドアモータMA,MB,MCの回転駆動を迅速に調整することができる。
【0090】
(実施例2)
次に、図8は本発明に係るドアモータ制御装置の電気的構成の他の例を示す回路図である。図8に示すドアモータ制御装置110(直流モータ駆動制御装置)において、3組のモータ駆動回路120A,120B,120Cが、各々のドアモータMA,MB,MC(直流モータ;サーボモータ)毎に形成されるように、直流電源Bに対して並列接続されている。図2(実施例1)と同様に、モータ駆動回路120A,120B,120CはH型ブリッジ回路HBA,HBB,HBCを含む。ドアモータMA,MB,MCには、モータ回転数を直接検出するためのロータリエンコーダRA,RB,RC(検出手段)が各々設けられている。
【0091】
図9は図8におけるモータ駆動制御処理を示すフローチャート、図10は図9に基づくモータ制御タイミングチャートである。図9に示すモータ駆動制御処理では、S2で組合せパターンを抽出したのち、いずれかのロータリエンコーダRA,RB,RCの発生パルスPRA,PRB,PRCが所定値よりも減少したか否かを判定する(S21)。発生パルスPRA,PRB,PRCが減少したとき、すなわちドアモータMA,MB,MCの回転数が減少したときには(S21:YES)、該当する駆動制御信号の出力期間(すなわちドアモータMA,MB,MCの駆動期間)TDA,TDB,TDCを延長する(S22)。そして、S2で抽出した組合せパターンに従って、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力し(S3)、モータ駆動回路120A,120B,120Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。
【0092】
具体的には、図10の左から2番目の制御No.5における周期Tにおいて、ロータリエンコーダRAの発生パルスPRAが減少しているので、左から3番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDA’を、左から2番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDA(例えば67ms)よりも延長(例えば100ms)する。その結果、左から4番目の制御No.5において発生パルスPRAが回復する。
【0093】
一方、図9において、発生パルスPRA,PRB,PRCが減少していないときには(S21:NO)、発生パルスPRA,PRB,PRCが所定値よりも増加したか否かを判定する(S23)。発生パルスPRA,PRB,PRCが増加したとき、すなわちドアモータMA,MB,MCの回転数が増加したときには(S23:YES)、該当する駆動制御信号の出力期間TDA,TDB,TDCを短縮する(S24)。そして、S2で抽出した組合せパターンに従って、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力し(S3)、モータ駆動回路120A,120B,120Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。なお、発生パルスPRA,PRB,PRCが所定範囲内にあるときには(S21:NO;S23:NO)、駆動制御信号の出力期間TDA,TDB,TDCを延長又は短縮することなく、上記S3,S4を実行して、モータ駆動制御処理を終了する。
【0094】
具体的には、図10の左から4番目の制御No.5において、ロータリエンコーダRBの発生パルスPRBが増加しているので、左から5番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDB”を、左から4番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDBよりも短縮する。
【0095】
この実施例によれば、カーエアコンユニット1の空調用ドア3A,3B,3C1,3C2,3C3(図1参照)に塵埃等の噛み込みが発生して、モータ回転数が減少した場合にも、対応する駆動制御信号の出力期間TDA,TDB,TDCを延長することによって、モータ回転数を正規の状態に早期に復帰させることができる。
【0096】
(変形例2)
図11は図8(実施例2)の変形例を示す回路図である。図11に示すドアモータMA,MB,MC(直流モータ;サーボモータ)には、タコジェネレータ等の発電機GA,GB,GC(検出手段)が各々設けられている。発電機GA,GB,GCは、ドアモータMA,MB,MCの回転に伴う起電力を測定することによって、モータ回転数(又はモータ負荷)を間接的に検出している。
【0097】
図12は図11におけるモータ駆動制御処理を示すフローチャート、図13は図12に基づくモータ制御タイミングチャートである。図12に示すモータ駆動制御処理では、S2で組合せパターンを抽出したのち、いずれかの発電機GA,GB,GCの起電力VGA,VGB,VGCが下限設定値よりも減少したか否かを判定する(S21’)。起電力VGA,VGB,VGCが減少したとき、すなわちドアモータMA,MB,MCの回転数が減少したときには(S21’:YES)、該当する駆動制御信号の出力期間(すなわちドアモータMA,MB,MCの駆動期間)TDA,TDB,TDCを延長する(S22)。そして、S2で抽出した組合せパターンに従って、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力し(S3)、モータ駆動回路120A,120B,120Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。
【0098】
具体的には、図13の左から2番目の制御No.5における周期Tにおいて、発電機GAの起電力VGAが減少しているので、左から3番目の制御No.5における周期Tにおける駆動制御信号の出力期間TDA’を、左から2番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDAよりも延長する。その結果、左から4番目の制御No.5において起電力VGAが回復する。
【0099】
一方、図13において、起電力VGA,VGB,VGCが減少していないときには(S21’:NO)、起電力VGA,VGB,VGCが上限設定値よりも増加したか否かを判定する(S23’)。起電力VGA,VGB,VGCが増加したとき、すなわちドアモータMA,MB,MCの回転数が増加したときには(S23’:YES)、該当する駆動制御信号の出力期間TDA,TDB,TDCを短縮する(S24)。そして、S2で抽出した組合せパターンに従って、駆動制御信号と空転制御信号とに時分割して出力し(S3)、モータ駆動回路120A,120B,120Cを起動して、ドアモータMA,MB,MCを正逆回転駆動し(S4)、モータ駆動制御処理を終了する。なお、起電力VGA,VGB,VGCが下限設定値と上限設定値との間にあるときには(S21’:NO;S23’:NO)、駆動制御信号の出力期間TDA,TDB,TDCを延長又は短縮することなく、上記S3,S4を実行して、モータ駆動制御処理を終了する。
【0100】
具体的には、図13の左から4番目の制御No.5において、発電機GBの起電力VGBが増加しているので、左から5番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDB”を、左から4番目の制御No.5における駆動制御信号の出力期間TDBよりも短縮する。
【0101】
この変形例においても、上記実施例2と同様の効果が得られる。
【0102】
なお、変形例1(図6,図7)、実施例2(図8〜図10)及び変形例2(図11〜図13)において、実施例1(図1〜図5)と共通する機能を有する部分に同一符号を付すことにより、説明を省略したものがある。また、以上の実施例や変形例では、カーエアコンユニット1に適用されるドアモータ制御装置10,110についてのみ説明したが、同程度の負荷を受ける複数の直流モータが使用される他の装置(例えば複写機の紙送り装置等)にも適用できる。
【符号の説明】
【0103】
1 カーエアコンユニット(車両用空気調和装置)
2 ダクト
2a 内気吸い込み口
2b 外気吸い込み口
2c,2d,2e 吹出口
3A 内外気切替ドア(空調用ドア)
3B エアミックスドア(空調用ドア)
3C1,3C2,3C3 吹出口切替ドア(空調用ドア)
10,110 ドアモータ制御装置(直流モータ駆動制御装置)
20A,20B,20C,120A,120B,120C モータ駆動回路
MA,MB,MC ドアモータ(直流モータ;サーボモータ)
HBA,HBB,HBC H型ブリッジ回路
CTR 共通トランジスタ対
TRA,TRB,TRC 個別トランジスタ対
CCP 共通接続点
CPA,CPB,CPC 個別接続点
B 直流電源
30 エアコンECU
31 CPU(モータ制御部)
32 ROM
32a モータ駆動制御処理プログラム
32b モータ制御組合せパターンテーブル
33 RAM
34 入出力インターフェース
35 バス
SA,SB,SC 操作スイッチ(入力手段)
RA,RB,RC ロータリエンコーダ(検出手段)
PRA,PRB,PRC 発生パルス
GA,GB,GC 発電機(検出手段)
VGA,VGB,VGC 起電力
VMA,VMB,VMC モータ供給電位
+B,−B 電源電位(駆動電位)
ND 非駆動空転電位
GND 接地電位
T 駆動制御信号出力周期(モータ駆動周期)
TDA,TDB,TDC 駆動制御信号出力期間(モータ駆動期間)
TIA,TIB,TIC 空転制御信号出力期間(モータ空転期間)
TM 定格回転周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動対象となる複数の直流モータの回転方向をそれぞれ正逆切り換えするために、4個のトランジスタにて構成されたH型ブリッジ回路を含むモータ駆動回路が、各々の直流モータ毎に形成されるように直流電源に対して並列接続された直流モータ駆動制御装置において、
各モータ駆動回路は、
プッシュプル形式にて接続され、すべてのH型ブリッジ回路に共通使用される共通トランジスタ対と、
同じくプッシュプル形式にて接続され、各H型ブリッジ回路に固有の個別トランジスタ対と、
前記共通トランジスタ対における両トランジスタの接続点を共通接続点とし、前記個別トランジスタ対における両トランジスタの接続点を個別接続点として、それら共通接続点と個別接続点との間に介装された前記直流モータと、を有するとともに、
前記モータ駆動回路によって駆動対象の直流モータを正逆回転駆動するときに、前記直流モータを駆動するための駆動電位を発生させる駆動制御信号と、前記直流モータが非駆動で空転するための非駆動空転電位を発生させる空転制御信号とを、対応するH型ブリッジ回路に対し時間をずらして出力するモータ制御部を備えることを特徴とする直流モータ駆動制御装置。
【請求項2】
前記直流モータの非駆動空転状態において、前記個別トランジスタ対における両トランジスタはともに前記モータ制御部からの空転制御信号によりOFFとなり、前記非駆動空転電位は不確定な状態で前記直流モータへ供給される請求項1に記載の直流モータ駆動制御装置。
【請求項3】
前記モータ制御部は、複数の前記駆動制御信号を前記モータ駆動回路毎に時分割して、かつ所定の周期にて出力し、
前記複数の直流モータは、前記駆動制御信号による駆動回転状態と前記空転制御信号による非駆動空転状態とを周期的にかつ交互に反復可能である請求項1又は2に記載の直流モータ駆動制御装置。
【請求項4】
前記複数の直流モータには、回転数を直接又は間接的に検出する検出手段がそれぞれ設けられ、
前記モータ制御部は、いずれかの直流モータの回転数が減少したとき、対応する駆動制御信号の出力期間を延長する一方、いずれかの直流モータの回転数が増加したとき、対応する駆動制御信号の出力期間を短縮する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の直流モータ駆動制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載された直流モータ駆動制御装置と、
前記複数の直流モータが個々に正逆回転駆動することに応じて各々開閉作動する複数の空調用ドアと、
を備えたことを特徴とする車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−90509(P2012−90509A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237724(P2010−237724)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】