説明

直進駆動装置および拡大観察装置

【課題】移動部材を予め定められた方向に精度よく移動させることが可能な直進駆動装置およびそれを備えた拡大観察装置を提供する。
【解決手段】x方向駆動機構510の可動部517は、連結板53を介してガイド部531上の摺動部材541,543に連結される。載置板51は、ガイド部531上の摺動部材542およびガイド部532上の摺動部材544,545に固定され、ガイド部531上の摺動部材541,543に固定されない。摺動部材541〜545は、ガイド部531,532に沿ってx方向に摺動可能に設けられる。連結板53の固定部53cに設けられた突起部53xが、載置板51の下面に固定された金属板の貫通孔内に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直進駆動装置およびそれを備えた拡大観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、観察対象物を観察するため、顕微鏡を備えた拡大観察装置が用いられる。顕微鏡においては、ステージ上に観察対象物が載置された状態で、ステージが移動されることにより、観察対象物の位置合わせが行われる。特許文献1に記載される顕微鏡は、観察対象物を撮像するためのカメラおよび観察対象物が載置されるステージを有する。カメラは、Z軸方向(鉛直方向)に沿うようにカメラ取付部に取り付けられる。カメラの下方において、回転可能にステージが設けられる。ステージは、X軸方向およびY軸方向に移動可能なX−Yステージからなる。ステージがX軸方向およびY軸方向に沿って移動されることにより、カメラの撮像領域に対する観察対象物の位置合わせが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−337470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような顕微鏡においては、観察対象物をカメラの撮像領域に正確に位置合わせするために、ステージをX軸方向およびY軸方向に精度よく移動させることが求められる。しかしながら、実際には、ステージの移動機構に寸法誤差または遊び等が存在する。そのため、従来のステージの移動機構の構成では、ステージをX軸方向またはY軸方向に精度よく移動させることが難しい。
【0005】
本発明の目的は、移動部材を予め定められた方向に精度よく移動させることが可能な直進駆動装置およびそれを備えた拡大観察装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)第1の発明に係る直進駆動装置は、移動部材と、移動部材を第1の方向に沿って移動させる駆動機構とを備え、駆動機構は、第1の方向に延びる案内部と、案内部に対して第1の方向に摺動可能に設けられる第1の摺動部材と、案内部に対して第1の方向に摺動可能に設けられるとともに移動部材に固定される第2の摺動部材と、第1の摺動部材を第1の方向に移動させる駆動装置とを含み、第1の摺動部材が第1の方向に移動することにより移動部材が第1の方向に移動するとともに第1の方向と交差する第2の方向において第1の摺動部材が移動部材に相対的に移動可能となるように第1の摺動部材が移動部材に係合されるものである。
【0007】
その直進駆動装置においては、案内部に対して第1の方向に摺動可能に第1および第2の摺動部材が設けられる。第1の摺動部材は移動部材に係合され、第2の摺動部材は移動部材に固定される。駆動装置により第1の摺動部材が第1の方向に移動されることにより、移動部材および第2の摺動部材が一体的に案内部に沿って第1の方向に移動する。
【0008】
駆動機構および第1の摺動部材の寸法誤差または遊び等により、第1の摺動部材に第1の方向と交差する第2の方向の力が加わることがある。それにより、第1の摺動部材は第2の方向に変移しつつ第1の方向に移動する。
【0009】
第1の摺動部材は、第1の方向と交差する第2の方向において移動部材に相対的に移動可能である。そのため、第2の方向における第1の摺動部材の変移が移動部材に伝達されず、第1の摺動部材の第1の方向の移動のみが移動部材に伝達される。したがって、移動部材を精度よく第1の方向に移動させることができる。
【0010】
(2)第1の摺動部材および移動部材の一方は、第2の方向に沿った被当接面を有し、第1の摺動部材および移動部材の他方は、被当接面に当接可能な当接部を有し、当接部が被当接面に当接することにより第1の摺動部材が移動部材に係合されてもよい。
【0011】
この場合、簡単な構成で、第2の方向における第1の摺動部材の変移を移動部材に伝達することなく、第1の摺動部材の第1の方向の移動のみを移動部材に伝達することができる。
【0012】
(3)第1の摺動部材および移動部材の一方は孔部を有し、被当接面は孔部の内面の一部であり、第1の摺動部材および移動部材の他方は孔部に挿入される突起を有し、当接部は突起であってもよい。
【0013】
この場合、コンパクトな構成で第1の摺動部材を移動部材に係合させることができる。それにより、直進駆動装置の大型化を抑制しつつ、第2の方向における第1の摺動部材の変移を移動部材に伝達することなく、第1の摺動部材の第1の方向の移動のみを移動部材に伝達することができる。
【0014】
(4)直進駆動装置は、当接部が被当接面に当接するように第1の摺動部材および移動部材の少なくとも一方を第1の方向に沿って付勢する付勢部材をさらに備えてもよい。
【0015】
この場合、当接部が被当接面に当接する状態を維持することができる。そのため、第1の方向に関して、第1の摺動部材の移動量と移動部材の移動量とを一致させることができる。したがって、第1の方向における第1の摺動部材の移動量を制御することによって第1の方向における移動部材の移動量を正確に制御することが可能になる。
【0016】
(5)駆動装置は、第1の方向に沿うように配置される送りねじと、送りねじを第1の方向に平行な軸の周りに回転させるモータと、送りねじの回転により第1の方向に移動するように送りねじに取り付けられるとともに、第1の摺動部材に連結される可動部とを含んでもよい。
【0017】
この場合、モータによって送りねじが回転されることにより、可動部および第1の摺動部材が一体的に第1の方向に移動する。これにより、簡単な構成で第1の摺動部材を第1の方向に移動させることができる。また、送りねじの軸が第1の方向に対してずれている場合でも、移動部材を精度よく第1の方向に移動させることができる。
【0018】
(6)駆動部は、案内部に対して第1の方向に摺動可能に設けられ、第1の摺動部材に連結される第3の摺動部材をさらに含み、第2の摺動部材は、第1の摺動部材と第3の摺動部材との間に配置されてもよい。
【0019】
この場合、第1の摺動部材を安定して第1の方向に移動させることができる。それにより、移動部材を安定して第1の方向に移動させることができる。
【0020】
(7)第2の発明に係る拡大観察装置は、対象物を撮像する拡大観察装置であって、対象物が載置される載置部と、載置部に載置された対象物を撮像する撮像部と、載置部および撮像部の一方を他方に対して相対的に移動させる第1の発明に係る直進駆動装置とを備え、直進駆動装置の移動部材は、載置部、または撮像部に連結される連結部材であるものである。
【0021】
その拡大観察装置においては、載置部に載置された対象物が撮像部により撮像される。載置部および撮像部の一方が他方に対して上記の直進駆動装置により相対的に移動される。これにより、撮像装置に対して観察対象物の位置合わせが行われる。この場合、上記の直進駆動装置が用いられるので、載置部および撮像部の一方を他方に対して精度よく第1の方向に移動させることができる。それにより、撮像部と対象物との相対的な位置合わせを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、移動部材を予め定められた方向に精度よく移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の顕微鏡を示す斜視図である。
【図3】顕微鏡の撮像装置がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。
【図4】顕微鏡の撮像装置がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【図5】斜め上方から見たステージの分解斜視図である。
【図6】斜め下方から見たステージの分解斜視図である。
【図7】上方から見たステージの模式的平面図である。
【図8】摺動部材、連結板および載置板の関係を示す断面図である。
【図9】金属板の拡大平面図である。
【図10】下方から見たステージの模式的平面図である。
【図11】摺動部材、連結板および支持板の関係を示す断面図である。
【図12】第1の比較例の構成を示す模式的平面図である。
【図13】第1の比較例における可動部および載置板の傾きについて説明するための模式的平面図である。
【図14】第2の比較例の構成を示す模式的平面図である。
【図15】ステージの変形例について説明するための模式的平面図である。
【図16】顕微鏡の他の実施の形態を示す模式的側面図である。
【図17】本発明に係る直進移動装置を備える測定装置の模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係る直進駆動装置および拡大観察装置について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(1)拡大観察装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0027】
図1に示すように、拡大観察装置300は、顕微鏡100および画像処理装置200を備える。
【0028】
顕微鏡100は、撮像装置10、ステージ装置20および回転角度センサ30を含む。撮像装置10は、カラーCCD(電荷結合素子)11、ハーフミラー12、対物レンズ13、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)15、照明用光源16およびレンズ駆動部17を含む。ステージ装置20は、ステージ21およびステージ支持部23を含む。ステージ21上には、観察対象物Sが載置される。
【0029】
照明用光源16は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用光源16により発生された白色光は、ハーフミラー12により反射された後、対物レンズ13によりステージ21上の観察対象物Sに集光される。図1の例では、ステージ21の上方からの照明のみが用いられるが、これに加えて、ステージ21の下方からの照明が用いられてもよい。
【0030】
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ13およびハーフミラー12を透過してカラーCCD11に入射する。カラーCCD11は、赤色波長の光を受光する複数の赤色用画素、緑色波長の光を受光する複数の緑色用画素、および青色波長の光を受光する複数の青色用画素を有する。複数の赤色用画素、複数の緑色用画素および複数の青色用画素は二次元的に配列される。カラーCCD11の各画素からは、受光量に対応する電気信号が出力される。カラーCCD11の出力信号は、A/D変換器15によりデジタル信号に変換される。A/D変換器15から出力されるデジタル信号は、画像データとして画像処理装置200に順次与えられる。カラーCCD11に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。
【0031】
対物レンズ13は、Z方向に移動可能に設けられる。レンズ駆動部17は、画像処理装置200の制御により対物レンズ13をZ方向に移動させる。それにより、撮像装置10の焦点の位置がZ方向において移動する。
【0032】
ステージ21は、Z方向の軸の周りで回転可能にステージ支持部23上に設けられる。ステージ21は、画像処理装置200から与えられる移動指令信号(駆動パルス)に基づいて、観察対象物Sが載置される載置板51(後述の図5参照)をステージ支持部23に対して相対的に後述するx方向およびy方向に移動させる。回転角度センサ30は、ステージ21の回転角度を検出し、検出した角度を示す角度検出信号を画像処理装置200に与える。
【0033】
画像処理装置200は、インタフェース210、CPU(中央演算処理装置)220、ROM(リードオンリメモリ)230、記憶装置240、入力装置250、表示部260および作業用メモリ270を含む。
【0034】
ROM230には、システムプログラムが記憶される。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムが記憶されるとともに、顕微鏡100からインタフェース210を通して与えられる画像データ等の種々のデータを記憶する。画像処理プログラムの詳細は後述する。入力装置250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
【0035】
表示部260は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0036】
作業用メモリ270は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。
【0037】
CPU220は、記憶装置240に記憶された画像処理プログラムを実行することにより作業用メモリ230を用いて画像データに基づく画像処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部260に表示させる。また、CPU220は、インタフェース210を通して顕微鏡100のカラーCCD11、照明用光源16、レンズ駆動部17およびステージ21を制御する。
【0038】
図2は、図1の顕微鏡100を示す斜視図である。以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0039】
図2に示すように、顕微鏡100はベース1を有する。ベース1上には、第1の支持台2が取り付けられるとともに、この第1の支持台2の前面に嵌め込まれるように第2の支持台3が取り付けられる。
【0040】
第1の支持台2の上端部には、連結部4がY方向に延びる回動軸R1の周りに回動可能に取り付けられる。連結部4には回動支柱5が取り付けられる。それにより、回動支柱5は連結部4の回動に伴って回動軸R1を支点としてZ方向に平行な垂直面内で傾斜可能である。使用者は、固定つまみ9により連結部4を第1の支持台2に対して固定することができる。
【0041】
連結部6の前面には環状の支持部7が取り付けられる。支持部7には、略円筒状の撮像装置10が取り付けられる。図3の状態では、撮像装置10の光軸R2はZ方向に平行である。支持部7は、撮像装置10を水平面内で移動させるための複数の調整ネジ41を有する。複数の調整ネジ41を用いて撮像装置10の光軸R2が回動軸R1に垂直に交差するように撮像装置10の位置を調整することができる。
【0042】
ベース1上の第2の支持台3の前面には、Z方向に摺動可能にスライダ8が取り付けられる。第2の支持台3の側面には、調整つまみ42が設けられる。スライダ8のZ方向(高さ方向)の位置は、調整つまみ42により調整可能である。
【0043】
スライダ8上にステージ支持部23が取り付けられる。ステージ支持部23に対してZ方向の回転軸R3の周りに回転可能にステージ21が設けられる。ステージ21は、直進移動装置の例である。ステージ21は、載置面21aを有する。載置面21aの中央には、円形状の取付板21bが着脱可能に取り付けられる。取付板21b上に、観察対象物Sが載置される。撮像条件に応じて、遮光性の取付板21bおよび透光性の取付板21bを選択的に用いることができる。例えば、ステージ21の上方からの照明(図1の照明用光源16からの光)のみを用いる場合には、遮光性の取付板21bが設けられる。また、ステージ21の下方からの照明が用いられる場合には、透光性の取付板21bが用いられる。
【0044】
撮像装置10によりステージ21上の観察対象物Sが種々の倍率で撮像される。ステージ21には、水平面内で互いに直交するx方向およびy方向が設定される。ステージ21の載置面21aは、x方向およびy方向に移動可能に設けられる。ステージ21が回転軸R3の周りに回転すると、ステージ21のx方向およびy方向も回転する。それにより、ステージ21のx方向およびy方向は、X方向およびY方向に対して水平面内で傾斜する。
【0045】
図3は、顕微鏡100の撮像装置10がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。また、図4は、顕微鏡100の撮像装置10がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【0046】
図3に示すように、回動支柱5がZ方向に平行な状態で固定つまみ9を締めることにより連結部4が第2の支持台3に固定される。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で回動軸R1に垂直に交差する。この場合、撮像装置10の光軸R2はステージ21の表面に垂直となる。
【0047】
固定つまみ9を緩めることにより連結部4が回動軸R1の周りに回動可能となり、回動支柱5が回動軸R1を支点として傾斜可能となる。それにより、図4に示すように、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して任意の角度θ傾斜させることができる。この場合、撮像装置10の光軸R2は回動軸R1に垂直に交差する。同様にして、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して図4と逆側に任意の角度傾斜させることができる。
【0048】
したがって、調整つまみ42(図2)を用いて、ステージ21上の観察対象物Sの表面の高さを回動軸R1の高さに一致させることにより、観察対象物Sの同じ部分を垂直な方向および斜め方向から観察することができる。
【0049】
(2)ステージの構成
ステージ21の詳細について説明する。図5は、斜め上方から見たステージ21の分解斜視図であり、図6は、斜め下方から見たステージ21の分解斜視図である。図5および図6には、x方向、y方向およびZ方向が矢印で示される。
【0050】
図5および図6に示すように、ステージ21は、主に、ベース部50、載置板51および支持板55を含む。ベース部50の上面に載置板51が取り付けられ、ベース部50の下面に支持板55が取り付けられる。載置板51の上面が載置面21aに相当する。
【0051】
ベース部50は、上下に配置された上板501(図5)および下板502(図6)を含む。上板501および下板502の各々は矩形状を有し、x方向に平行な2辺およびy方向に平行な2辺を有する。上板501の略中央部および下板502の略中央部には、y方向に延びる長円形状の開口501a(図5)および開口502a(図6)がそれぞれ形成される。上板501および下板502の開口501a,502a、ならびに後述の載置板51および支持板55の開口51a、55aを通して、ステージ21の下方から観察対象物Sに透過光が照射される。
【0052】
x方向に平行でかつ上下に重なる上板501の一辺および下板502の一辺に沿うように、x方向駆動機構510が設けられる。また、y方向に平行でかつ上下に重なる上板501の他辺および下板502の他辺に沿うように、y方向駆動機構520が設けられる。x方向駆動機構510およびy方向駆動機構520を覆うように、ベース部50にカバーが取り付けられてもよい。
【0053】
x方向駆動機構510は、モータ支持部512、ねじ受け部513,514、モータ515、送りねじ516、および可動部517を含む。上板501および下板502の上記一辺からy方向に沿って突出するようにモータ支持部512、ねじ受け部513,514が設けられる。モータ支持部512にモータ515が固定される。モータ515の回転軸に送りねじ516の一端が接続される。送りねじ415は、モータ支持部512、ねじ受け部513,514を貫通するようにx方向に平行に配置される。送りねじ415は、ねじ受け部513,514によって一定姿勢を維持しつつx方向に平行な軸の周りに回転可能に支持される。ねじ受け部513,514間に可動部517が配置される。可動部517にはねじ孔517aが形成される。可動部517のねじ孔517aに送りねじ516がねじ込まれる。可動部517は、送りねじ516の回転に伴い、ねじ受け部513,514間において送りねじ516に沿ってx方向に移動する。
【0054】
モータ515には、送り調整つまみ515aが設けられる。送り調整つまみ515aを回転させることにより、送りねじ516を回転させることができる。それにより、使用者は、手動で可動部517をx方向に移動させることができる。
【0055】
y方向駆動機構520は、モータ支持部522、ねじ受け部523,524、モータ525、送りねじ526、および可動部527を含む。上板501および下板502の上記他辺からx方向に突出するようにモータ支持部522、ねじ受け部523,524が設けられる。モータ支持部522にモータ525が固定される。モータ525の回転軸に送りねじ526の一端が接続される。送りねじ526は、モータ支持部522、ねじ受け部523,524を貫通するようにy方向に平行に配置される。送りねじ526は、ねじ受け部523,524によって一定姿勢を維持しつつy方向に平行な軸の周りに回転可能に支持される。ねじ受け部523,524間に可動部527が配置される。可動部527にはねじ孔527aが形成される。可動部527のねじ孔527aに送りねじ526がねじ込まれる。可動部527は、送りねじ526の回転に伴い、ねじ受け部523,524間において送りねじ526に沿ってy方向に移動する。
【0056】
モータ525には、送り調整つまみ525aが設けられる。送り調整つまみ525aを回転させることにより、送りねじ526を回転させることができる。それにより、使用者は、手動で可動部527をy方向に移動させることができる。
【0057】
図5に示すように、上板501の上面には、x方向に平行な上板501の一辺に沿ってx方向に延びるようにガイド部531が設けられ、x方向に平行な上板501の他辺に沿ってx方向に延びるようにガイド部532が設けられる。ガイド部531には、摺動部材541,542,543がこの順でx方向に並ぶように取り付けられる。ガイド部532には、摺動部材544,545がx方向に並ぶように取り付けられる。摺動部材541〜545は、ガイド部531,532に沿ってx方向に摺動可能に設けられる。x方向における摺動部材541,543の寸法は、x方向における摺動部材542,544,545の寸法よりも大きく設定される。ガイド部531の一端部近傍における上板501の部分には、スプリング接続孔S1が形成される。
【0058】
x方向駆動機構510の可動部517およびガイド部531上の摺動部材541,543に、略U字状の連結板53が取り付けられる。連結板53は、延伸部53aおよび固定部53b,53c,53dからなる。延伸部53aはx方向に延びる。延伸部53aの一端部に固定部53bが設けられ、延伸部53aの両端部からy方向にそれぞれ突出するように固定部53c、53dが設けられる。固定部53cには、上方に突起する突起部53xが設けられる。固定部53bが可動部517にねじにより固定され、固定部53c,53dが摺動部材541,543にねじによりそれぞれ固定される。これにより、可動部517が連結板53を介して摺動部材541,543に連結される。
【0059】
載置板51は、矩形状を有する。載置板51の略中心部に円形の開口51aが形成される。開口51aを閉塞するように、取付板21bが載置板51に取り付けられる。図6に示すように、載置板51の下面には、一対の矩形の凹部51b,51cが載置板51の一辺に沿うように形成される。凹部51bの底面には、さらに一定深さの矩形の凹部51dが形成される。凹部51d内には金属板547がねじにより固定される。金属板547には貫通孔547aが形成される。凹部51cの近傍における載置板51の部分には、スプリング接続孔S2が形成される。
【0060】
図5に示すように、ベース部50の上板501の上面に重なるように載置板51が配置される。この場合、凹部51b,51c(図6)内に連結板53の固定部53c,53dがそれぞれ配置され、凹部51b,51c(図6)間における載置板51の領域が摺動部材542に重なる。また、固定部53cに設けられた突起部53xが、載置板51の凹部51d内に取り付けられた金属板547の貫通孔547aに挿入される。
【0061】
ベース部50の上板501と載置板51との間において、ガイド部531と隣り合いかつx方向に沿うようにスプリングP1が配置される。スプリングP1の一端は、上板501のスプリング接続孔S1に接続され、他端は、載置板51のスプリング接続孔S2に接続される。
【0062】
その状態で、ガイド部531に取り付けられた摺動部材542およびガイド部532に取り付けられた摺動部材544,545に載置板51がねじにより固定される。これにより、ガイド部531,532に沿ってx方向に移動可能に載置板51がベース部50の上板501の上面上に取り付けられる。
【0063】
図6に示すように、ベース部50の下板502の下面には、y方向に平行な下板502の一辺に沿ってy方向に延びるようにガイド部561が設けられ、y方向に平行な下板502の他辺に沿ってy方向に延びるようにガイド部562が設けられる。ガイド部561には、摺動部材571,572,573がこの順でy方向に並ぶように取り付けられる。また、ガイド部562には、摺動部材574,575がy方向に並ぶように取り付けられる。摺動部材571〜575は、ガイド部561、562に沿ってy方向に摺動可能に設けられる。y方向における摺動部材571,573の寸法は、y方向における摺動部材572,574,575の寸法よりも大きく設定される。摺動部材571,572上には、一定高さのセパレータ581,582がねじによりそれぞれ固定される。ガイド部561の一端部近傍における下板502の部分には、スプリング接続孔S3が形成される。
【0064】
支持板55は、略矩形状を有する。支持板55には、円形状の開口55aが形成される。支持板55の一の角部およびその角部に隣り合う一辺の部分を抉るように切り欠き55b,55cがそれぞれが形成される。切り欠き55b,55c間における支持板55の領域には、下方に突起する突起部55xが形成される。また、切り欠き55cの近傍における支持板55の部分には、スプリング接続孔S4が形成される。
【0065】
ベース部50の下板502に重なるように支持板55が配置される。この場合、切り欠き55b,55c内にセパレータ581,582がそれぞれ配置され、切り欠き55b,55c間における支持板55の領域が摺動部材572に重なる。また、ベース部50の下板502と支持板55との間において、ガイド部561と隣り合いかつy方向に沿うようにスプリングP2が配置される。スプリングP2の一端は、下板502のスプリング接続孔S3に接続され、他端は、支持板55のスプリング接続孔S4に接続される。
【0066】
その状態で、ガイド部561に取り付けられた摺動部材572およびガイド部562に取り付けられた摺動部材574,575に支持板55がねじにより固定される。これにより、ガイド部561,562に沿ってy方向に移動可能に支持板55がベース部50の下板502の下面上に取り付けられる。
【0067】
さらに、y方向駆動機構520の可動部527および摺動部材571,573上のセパレータ581,582に、L字形状の連結板56が取り付けられる。この場合、切り欠き55b,55c間における支持板55の領域が連結板56と摺動部材572との間に配置される。連結板56の一端部が摺動部材573にねじにより固定され、他端部が可動部527にねじにより固定され、中間部が摺動部材571にねじにより固定される。連結板56には、貫通孔56aが形成される。貫通孔56aに、切り欠き55b,55c間における支持板55の領域に設けられた突起部55xが挿入される。セパレータ581、582の高さは、支持板55の厚みと同じかそれよりも大きい。
【0068】
(3)ステージの動作
(3−1)ベース部に対する載置板の相対的移動
ベース部50に対する載置板51の相対的な移動について説明する。図7は、上方から見たステージ21の模式的平面図である。図7においては、y方向駆動機構520の図示が省略される。図8は、摺動部材541〜543、連結板53および載置板51の関係を示す断面図である。図9は、金属板547の拡大平面図である。図7〜図9において、x方向に沿った一方向をx1方向とし、その反対方向をx2方向とする。
【0069】
図7に示すように、x方向駆動機構510の可動部517は、連結板53を介してガイド部531上の摺動部材541,543に連結される。載置板51は、ガイド部531上の摺動部材542およびガイド部532上の摺動部材544,545に固定され、ガイド部531上の摺動部材541,543に固定されない。
【0070】
スプリングP1の一端部は上板501のスプリング接続孔S1に接続され、他端部は載置板51のスプリング接続孔S2に接続される。これにより、載置板51がベース部に対してx2方向に付勢される。
【0071】
図8に示すように、連結板53の固定部53cに設けられた突起部53xが、載置板51の下面に固定された金属板547の貫通孔547a内に挿入される。スプリングP1(図7)の付勢力により、突起部53xが金属板547の貫通孔547aの内周面にx1方向に押し当てられる。それにより、突起部53xが金属板547の貫通孔547aの内周面に当接する状態が維持される。また、載置板51の凹部51bの側面と連結板53の固定部53cの側面との間および載置板51の凹部51bの底面と連結板53の固定部53cの上面との間には隙間が形成される。同様に、載置板51の凹部51cの側面と連結板53の固定部53dの側面との間および載置板51の凹部51cの底面と連結板53の固定部53dの上面との間には隙間が形成される。さらに、載置板51の下面は、摺動部材541,543と接触しない。これにより、突起部53xを除いて、連結板53または摺動部材541,543から載置板51に力が加わること、および載置板51から連結板53または摺動部材541,543に力が加わることはない。
【0072】
図9に示すように、金属板547の貫通孔547aは長円形状を有し、y方向に延びるように設けられる。そのため、連結板53の突起部53xは、貫通孔547a内においてy方向に移動可能でかつZ方向の周りで回転可能となる。載置板51としては、例えば、樹脂材料等の比較的強度が低い材料が用いられる。載置板51の磨耗および変形等を防止するため、突起部53xと接触する載置板51の部分に金属板547が取り付けられる。載置板51が高い強度を有する場合には、金属板547が用いられることなく、載置板51に貫通孔547aが形成され、その貫通孔547a内に突起部53xが配置されてもよい。また、貫通孔547aの形状は、長円形状に限らない。貫通孔547a内において突起部53xの移動スペースが確保されるのであれば、貫通孔547aが矩形状、円形状または三角形状等の他の形状であってもよい。
【0073】
図7および図8において、モータ515によって送りねじ516が回転されると、その回転方向に応じて可動部517がx1方向またはx2方向に移動するとともに、可動部517に連結された摺動部材541,543がガイド部532に沿ってx1方向またはx2方向に摺動する。
【0074】
摺動部材541,543がx1方向に移動する場合、連結板53の突起部53xから金属板547を介して載置板51にx1方向への力が加えられる。それにより、載置板51および摺動部材542,544,545がスプリングP1の付勢力に抗してガイド部531,532に沿ってx1方向に移動する。一方、摺動部材541,543がx2方向に移動する場合、スプリングP1の付勢力により載置板51および摺動部材542,544,545がガイド部531,532に沿ってx2方向に移動する。
【0075】
(3−2)ベース部に対する支持板の相対的移動
ベース部50に対する支持板55の相対的な移動について説明する。図10は、下方から見たステージ21の模式的平面図である。図10においては、x方向駆動機構510の図示が省略される。図11は、摺動部材571〜573、連結板56および支持板55の関係を示す断面図である。図10および図11において、y方向に沿った一方向をy1方向とし、その反対方向をy2方向とする。
【0076】
図10に示すように、y方向駆動機構520の可動部527は、連結板56およびセパレータ581,582(図11)を介してガイド部561上の摺動部材571,573に連結される。載置板51は、ガイド部561上の摺動部材572およびガイド部562上の摺動部材574,575に固定され、ガイド部561上の摺動部材571,573に固定されない。
【0077】
スプリングP2の一端部は下板502のスプリング接続孔S3に接続され、他端部は支持板55のスプリング接続孔S4に接続される。これにより、載置板51がベース部50に対してy2方向に付勢される。
【0078】
図11に示すように、支持板55の突起部55xが、連結板56の貫通孔56a内に挿入される。スプリングP2の付勢力により、突起部55xが連結板56の貫通孔56aの内周面にy1方向に押し当てられる。それにより、突起部55xが連結板56の貫通孔56aの内周面に当接する状態が維持される。また、支持板55の切り欠き55bの側面とセパレータ581の側面との間には隙間が形成される。同様に、支持板55の切り欠き55cの側面とセパレータ582の側面との間には隙間が形成される。さらに、支持板55の上面は、摺動部材571,573と接触せず、支持板55の下面は、連結板56に接触しない。これにより、突起部55xを除いて、連結板56、セパレータ581,582または摺動部材571,573から支持板55に力が加わること、および支持板55から連結板56、セパレータ581,582または摺動部材571,573に力が加わることはない。
【0079】
連結板56の貫通孔56aは、金属板547の貫通孔547a(図9)と同様に長円形状を有し、x方向に延びるように設けられる。そのため、支持板55の突起部55xは、貫通孔56a内においてx方向に移動可能でかつZ方向の周りで回転可能となる。貫通孔56aの形状は、長円形状に限らない。貫通孔56a内において突起部55xの移動スペースが確保されるのであれば、貫通孔56aが矩形状、円形状または三角形状等の他の形状であってもよい。
【0080】
図10および図11において、モータ525によって送りねじ526が回転されると、その回転方向に応じて可動部527がy1方向またはy2方向に移動するとともに、可動部517に連結された摺動部材571,573がガイド部561に沿ってy1方向またはy2方向に摺動する。
【0081】
摺動部材571,573がy1方向に移動する場合、連結板56から支持板55の突起部55xにy1方向への力が加えられる。それにより、支持板55および摺動部材572,574,575がスプリングP2の付勢力に抗してガイド部561,562に沿ってy1方向に移動する。一方、摺動部材571,573がy2方向に移動する場合、スプリングP2の付勢力により支持板55および摺動部材572,574,575がガイド部561,562に沿ってy2方向に移動する。
【0082】
(3−3)撮像装置に対する載置板の相対的な移動
このように、載置板51はベース部50に対して相対的にx方向に移動し、支持板55はベース部50に対して相対的にy方向に移動する。本実施の形態では、ステージ21の支持板55が図2のステージ支持部23に固定される。それにより、撮像装置10に対して支持板55は相対的に移動せず、撮像装置10に対してベース部50は相対的にy方向に移動し、撮像装置10に対して載置板51は相対的にx方向およびy方向に移動する。したがって、撮像装置10に対して載置板51上の観察対象物Sを所望の位置に移動させることができる。
【0083】
(4)実施の形態の効果
本実施の形態に係る拡大観察装置300のステージ21においては、ガイド部531,532に対してx方向に摺動可能に摺動部材541〜545が設けられる。摺動部材542,544,545に載置板51が固定され、摺動部材541,543に載置板51が固定されない。x方向駆動機構510の可動部517が連結板53を介して摺動部541,543に連結され、連結板53に設けられた突起部53xが載置板51に取り付けられた金属板547の貫通孔547a内に配置される。
【0084】
この場合、一体化された可動部517および摺動部材541,543が、x方向以外の方向において載置板51に相対的に移動可能である。そのため、x方向以外の方向における可動部517および摺動部材541,543の変移が載置板51に伝達されず、可動部517および摺動部材541,543のx方向の移動のみが載置板51に伝達される。したがって、ベース部50に対して載置板51を精度よくx方向に移動させることができる。
【0085】
また、本実施の形態では、連結板53の突起部53xが金属板547の貫通孔547aの内周面に当接するように、載置板51がベース部50に対してスプリングP1により付勢される。これにより、連結板53の突起部53xが金属板547の貫通孔547aの内周面に当接する状態が維持される。そのため、可動部517および摺動部材541,543のx方向における移動量と載置板51のx方向における移動量とを一致させることができる。したがって、x方向における可動部517および摺動部材541,543の移動量を制御することにより、x方向における載置板51の移動量を正確に制御することができる。
【0086】
また、本実施の形態では、可動部517が2つの摺動部材541,543に連結されるので、可動部517が1つの摺動部材のみに連結される場合に比べて、可動部517および摺動部材541,543が安定してx方向に移動可能となる。それにより、載置板51を安定してx方向に移動させることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、ベース部50に対して載置板51を移動させるための機構とベース部50に対して支持板55を移動させるための機構とが同様の構成を有する。そのため、ベース部50に対する支持板55の移動に関して、ベース部50に対する載置板51の移動と同様の効果が得られる。したがって、ベース部50に対して支持板55をy方向に精度よく移動させることができる。それにより、撮像装置10に対して載置板51をx方向およびy方向に精度よく移動させることができる。その結果、撮像装置10に対して観察対象物Sを容易に位置合わせすることができる。
【0088】
(5)本実施の形態と比較例との比較
本発明の比較例および本願発明と比較例との違いについて説明する。以下の説明では、ベース部50に対する載置板51の相対的な移動についてのみ説明し、ベース部50に対する支持板55の相対的な移動についての説明は省略する。上記のように、本実施の形態では、ベース部50に対する支持板55の移動に関して、ベース部50に対する載置板51の移動と同様の効果が得られる。
【0089】
(5−1)
図12は、第1の比較例の構成を示す模式的平面図である。第1の比較例について、本実施の形態と異なる点を説明する。第1の比較例では、載置板51が摺動部材541,543に固定される。また、連結部材53pが可動部517および載置板51に固定される。それにより、可動部517、連結部材53p、載置板51および摺動部材541,543〜545が一体化される。また、スプリングP1および摺動部材542が設けられない。第1の比較例においては、次のような問題が生じる。
【0090】
(5−1−1)載置板の傾き
可動部517は、設計上の制約によりガイド部531,532の外側に設けられる。このような構成においては、載置板51を移動させる際に、Z方向の周りにおける回転方向の力が可動部517および載置板51に加わる。
【0091】
第1の比較例では、可動部517と載置板51とが一体化されているので、載置板51を移動させる際に、可動部517および載置板51が一体的に傾くことがある。図13は、第1の比較例における可動部517および載置板51の傾きについて説明するための模式的平面図である。図13(a)に示すように、可動部517がx1方向に移動する場合には、載置板51および可動部517がG1方向に一体的に傾く。また、図13(b)に示すように、可動部517がx2方向に移動する場合には、載置板51および可動部517がG2方向に一体的に傾く。
【0092】
載置板51が傾くと、x方向以外の方向における載置板51の変移が生じる。また、可動部517の移動が開始されるよりも遅れて載置板51が移動を開始することがある。特に、可動部51の移動方向が反転されるときには、x方向以外の方向における載置板51の変移および載置板51の移動の遅れがより大きくなる。x方向以外の方向における載置板51の変移および載置板51の移動の遅れが生じることにより、観察対象物Sを所望の位置に正確に移動させることが困難になる。
【0093】
それに対して、本実施の形態では、x方向以外の方向における可動部517の変移が載置板51に伝達されないので、載置板51を移動させる際に、載置板51と可動部517とが一体的に傾くことが防止される。
【0094】
また、本実施の形態では、連結板53の突起部53xおよび金属板547の貫通孔547aがガイド部531上に配置される。このように、載置板51への力点がガイド部531上に設けられることにより、突起部53xから載置板51に加えられる力によって載置板51が傾くことが防止される。
【0095】
(5−1−2)バックラッシュによる移動の遅れ
x方向駆動機構510においては、可動部517をx方向に円滑に移動させるために、送りねじ516のねじ山と可動部517のねじ山との間に隙間(バックラッシュ)が設けられることが好ましい。
【0096】
第1の比較例においては、上記のバックラッシュが設けられることにより、送りねじ516が可動部517に対して一時的に空回りすることがある。そのため、送りねじ516の回転が開始されるよりも遅れて可動部517の移動が開始されることがある。したがって、観察対象物Sを所望の位置に正確に移動させることが困難になる。
【0097】
それに対して、本実施の形態では、スプリングP1の付勢力によって可動部517のねじ山と送りねじ516のねじ山とが互いに当接する状態が維持される。したがって、バックラッシュによる可動部517の移動の遅れが抑制される。その結果、載置板51の移動の遅れが防止される。
【0098】
(5−1−3)送りねじの軸のずれ
送りねじ516の軸が、x方向に対して微視的にずれている場合がある。この場合、可動部517がx方向以外の方向に微視的に変移する。第1の比較例では、可動部517と載置板51とが一体化されているので、送りねじ516の軸のずれによってx方向以外の方向における可動部517の変移が生じると、載置板51にもx方向以外の方向における変移が生じる。それにより、観察対象物Sを所望の位置に正確に移動させることが困難になる。
【0099】
それに対して、本実施の形態では、送りねじ516の軸のずれに起因してx方向以外の方向における可動部517の変移が生じても、その変移が載置板51に伝達されない。したがって、x方向以外の方向における載置板51の変移が防止される。
【0100】
(5−1−4)可動部の回転
送りねじ516の回転時には、送りねじ516と可動部517との間の摩擦力により、僅かながら可動部517が送りねじ516の回転方向に回転することがある。
【0101】
第1の比較例では、可動部517と載置板51とが一体化されているので、可動部517が送りねじ516の回転方向に回転すると、載置板51も可動部517とともに回転する。それにより、x方向以外の方向における載置板51の変移が生じる。したがって、観察対象物Sを所望の位置に正確に移動させることが困難になる。
【0102】
それに対して、本実施の形態では、送りねじ516と可動部517との間の摩擦力によって可動部517が送りねじ516の回転方向に回転しても、その回転が載置板51に伝達されない。したがって、x方向以外の方向における載置板51の変移が防止される。
【0103】
(5−2)第2の比較例
図14は、第2の比較例の構成を示す模式的平面図である。第2の比較例について、第1の比較例と異なる点を説明する。第2の比較例では、x方向に沿った載置板51の一辺に凹部51pが設けられる。連結部材53pは、載置板51に固定されず、凹部51p内に配置される。凹部51p内で連結部材53pがx方向およびy方向に一定距離移動可能なように、凹部51pのx方向およびy方向の寸法が設定される。
【0104】
第2の比較例においては、可動部517と載置板51とが一体化されていないので、図13に示したように可動部517および載置板51が一体的に傾くことが防止される。また、送りねじ516の軸がx方向からずれている場合でも、可動部517とともに載置板51がx方向以外の方向に移動することが防止される。
【0105】
しかしながら、第2の比較例では、可動部517の移動量と載置板51の移動量とが一致しないので、載置板51の移動量の制御が困難になる。また、載置板51から可動部517に加わる反力により、送りねじ516に対する可動部517の向きがずれる可能性がある。この場合、可動部517の移動量と載置板51の移動量とのずれがより大きくなり、載置板51の移動量の制御がより困難になる。
【0106】
それに対して、本実施の形態では、スプリングP1によって載置板51が付勢されることにより、可動部517および摺動部材541,543の移動量と載置板51の移動量とを一致させることができる。それにより、載置板51の移動量を正確に制御することが可能となる。
【0107】
また、本実施の形態では、可動部517がガイド部531上の摺動部材541,543に連結されるため、可動部517を安定にx方向に移動させることができる。また、可動部517の移動方向を規制するための他のガイド部を設ける必要がないので、コストの増大が抑制される。
【0108】
また、本実施の形態では、x方向における摺動部材541,543の寸法がx方向における摺動部材542,544,545の寸法よりも大きく設定される。それにより、摺動部材541,543の向きがずれることが防止される。したがって、可動部517および摺動部材541,543を精度よくx方向に移動させることができる。
【0109】
(6)他の実施の形態
(6−1)
図15は、ステージ21の変形例について説明するための模式的平面図である。図15には、ベース部50と載置板51との関係が示される。
【0110】
上記実施の形態では、ベース部50の上面において、可動部517が2つの摺動部材541,543に連結されるが、x方向以外の方向における摺動部材541の変移が防止される場合または許容される場合には、図15の例のように、可動部517が1つの摺動部材541にのみ連結され、摺動部材543が設けられなくてもよい。同様に、ベース部50の下面において、可動部527が1つの摺動部材571のみに連結され、摺動部材573が設けられなくてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、x方向における摺動部材541,543の寸法がx方向における摺動部材542,544,545の寸法よりも大きく設定されるが、x方向以外の方向における摺動部材541,543の変移が防止される場合または許容される場合には、x方向における摺動部材541,543の寸法がx方向における摺動部材542,544,545の寸法よりと同じかまたはそれよりも小さくてもよい。同様に、y方向における摺動部材571,573の寸法がy方向における摺動部材572,574,575の寸法よりと同じかまたはそれよりも小さくてもよい。
【0112】
(6−2)
上記実施の形態では、ベース部50に対して載置板51を移動させるための機構およびベース部50に対して支持板55を移動させるための機構の両方が本発明の駆動機構の構成を有するが、これらの一方のみが本発明の駆動機構の構成を有してもよい。
【0113】
(6−3)
上記実施の形態では、ベース部50に対して載置板51および支持板55を付勢するためにスプリングP1,P2が用いられるが、ベース部50に対する載置板51および支持板55の直進性が確保されるのであれば、スプリングP1,P2の少なくとも一方が用いられなくてもよい。
【0114】
(6−4)
上記実施の形態では、金属板547に貫通孔547aが設けられるとともに連結板53に突起部53xが設けられるが、これに限らず、金属板547に突起部が設けられるとともに連結板53に貫通孔が設けられてもよい。また、連結板53に突起部53xまたは貫通孔が設けられる代わりに、摺動部材541,543の少なくとも一方に突起部または貫通孔が設けられてもよい。
【0115】
また、上記実施の形態では、連結板56に貫通孔56aが設けられるとともに支持板55に突起部55xが設けられるが、これに限らず、支持板55に貫通孔が設けられるとともに連結板56に突起部が設けられてもよい。また、連結板56に貫通孔56aまたは突起部が設けられる代わりに、摺動部材571,573の少なくとも一方に貫通孔または突起部が設けられてもよい。
【0116】
(6−5)
上記実施の形態では、載置板51をベース部50に対してx方向に案内するため、および支持板55をベース部50に対してy方向に案内するためにレール状のガイド部531,532,561,562が用いられるが、これに限らない。レール状のガイド部531,532,561,562の代わりに、例えば、x方向またはy方向に沿うように形成された溝が用いられてもよい。
【0117】
(6−6)
上記実施の形態の顕微鏡100においては、観察対象物Sが載置されるステージ21として本発明に係る直進移動装置が用いられるが、これに限らない。図16は、顕微鏡100の他の実施の形態を示す模式的側面図である。図16の顕微鏡100について、図1の顕微鏡100と異なる点を説明する。
【0118】
図16の顕微鏡100においては、ベース1上にステージ21が回転可能に設けられる。また、第1の支持台によりステージ21の上方に直進移動装置400が支持される。直進移動装置400は、移動部材として載置板51の代わりに連結部材400aを有する点を除いて、上記のステージ21と同様の構成を有する。連結部材400aには撮像装置10が取り付けられる。この場合、直進移動装置400によって連結部材400aが移動されることにより、撮像装置10がステージ21に対して相対的に移動される。それにより、撮像装置10をステージ21に対して精度よくx方向およびy方向に移動させることができる。その結果、撮像装置10と観察対象物Sとの相対的な位置合わせを容易に行うことができる。また、本例では、観察対象物Sが移動されないので、液体中に配置された観察対象物Sの撮像等を良好に行うことができる。
【0119】
なお、直進移動装置400により撮像装置10の全体が移動される代わりに、カラーCCD11または対物レンズ13等の撮像装置10の一部の構成要素のみが直進移動装置400により移動されてもよい。
【0120】
(6−7)
上記実施の形態は、本発明に係る直進移動装置が拡大観察装置300に用いられた例であるが、これに限らず、本発明に係る直進移動装置が他の装置に用いられてもよい。図17は、本発明に係る直進移動装置を備える測定装置の模式的側面図である。図17の測定装置100aについて、図16の顕微鏡100と異なる点を説明する。
【0121】
図17の測定装置100aにおいては、直進移動装置400の連結部材400aに撮像装置10の代わりに観察対象物Sの変位を測定する接触式変位計450が取り付けられる。この場合、直進移動装置400によって連結部材400aが移動されることにより、接触式変位計450がステージ21に対して相対的に移動される。それにより、接触式変位計450をステージ21に対して精度よくx方向およびy方向に移動させることができる。その結果、観察対象物Sの変移を正確に測定することができる。
【0122】
なお、測定装置100aにおいては、直進移動装置400が連結部材400aを一方向のみに移動させるように構成されてもよい。また、測定装置100aにおいて、上記実施の形態と同様に、ステージ21として直進移動装置が用いられてもよい。
【0123】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0124】
上記実施の形態においては、ステージ21が直進移動装置の例であり、載置板51、支持板55または連結部材400aが移動部材の例であり、ベース部50が駆動機構の例であり、x方向またはy方向が第1の方向の例であり、ガイド部531,561または溝が案内部の例であり、摺動部材541,571が第1の摺動部材の例であり、摺動部材542,572が第2の摺動部材の例であり、x方向駆動機構510またはy方向駆動機構520が駆動装置の例である。また、貫通孔547a,56aの内周面が非当接面の例であり、貫通孔547a,56aが孔部の例であり、突起部53x,55xが当接部および突起の例であり、スプリングP1,P2が付勢部材の例であり、送りねじ516,526が送りねじの例であり、モータ515,525がモータの例であり、可動部517,527が可動部の例であり、摺動部材543,573が第3の摺動部材の例である。また、載置板51が載置部の例であり、撮像装置10が撮像部の例であり、連結部材400aが連結部材の例である。
【0125】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、種々の観察装置または種々の計測装置等に有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
10 撮像装置
50 ベース部
51 載置板
53,56 連結板
53x,55x 突起部
55 支持板
56a,547a 貫通孔
100 顕微鏡
300 拡大観察装置
400 直進移動装置
400a 連結部材
450 接触式変位計
501 上板
502 下板
510 x方向駆動機構
512,522 モータ支持部
513,514,523,524 ねじ受け部
515,525 モータ
516,526 送りねじ
517,527 可動部
520 y方向駆動機構
531,532,561,562 ガイド部
541〜545,571〜575 摺動部材
547 金属板
P1,P2 スプリング
S 観察対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動部材と、
前記移動部材を第1の方向に沿って移動させる駆動機構とを備え、
前記駆動機構は、
前記第1の方向に延びる案内部と、
前記案内部に対して前記第1の方向に摺動可能に設けられる第1の摺動部材と、
前記案内部に対して前記第1の方向に摺動可能に設けられるとともに前記移動部材に固定される第2の摺動部材と、
前記第1の摺動部材を第1の方向に移動させる駆動装置とを含み、
前記第1の摺動部材が前記第1の方向に移動することにより前記移動部材が前記第1の方向に移動するとともに前記第1の方向と交差する第2の方向において前記第1の摺動部材が前記移動部材に相対的に移動可能となるように前記第1の摺動部材が前記移動部材に係合される、直進駆動装置。
【請求項2】
前記第1の摺動部材および前記移動部材の一方は、前記第2の方向に沿った被当接面を有し、
前記第1の摺動部材および前記移動部材の他方は、前記被当接面に当接可能な当接部を有し、
前記当接部が前記被当接面に当接することにより前記第1の摺動部材が前記移動部材に係合される、請求項1記載の直進駆動装置。
【請求項3】
前記第1の摺動部材および前記移動部材の一方は孔部を有し、前記被当接面は前記孔部の内面の一部であり、
前記第1の摺動部材および前記移動部材の他方は前記孔部に挿入される突起を有し、前記当接部は前記突起である、請求項2記載の直進駆動装置。
【請求項4】
前記当接部が前記被当接面に当接するように前記第1の摺動部材および前記移動部材の少なくとも一方を前記第1の方向に沿って付勢する付勢部材をさらに備える、請求項2または3記載の直進駆動装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、
前記第1の方向に沿うように配置される送りねじと、
前記送りねじを前記第1の方向に平行な軸の周りに回転させるモータと、
前記送りねじの回転により第1の方向に移動するように前記送りねじに取り付けられるとともに、前記第1の摺動部材に連結される可動部とを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の直進駆動装置。
【請求項6】
前記駆動部は、
前記案内部に対して前記第1の方向に摺動可能に設けられ、前記第1の摺動部材に連結される第3の摺動部材をさらに含み、
前記第2の摺動部材は、前記第1の摺動部材と前記第3の摺動部材との間に配置される、請求項1〜5のいずれかに記載の直進駆動装置。
【請求項7】
対象物を撮像する拡大観察装置であって、
前記対象物が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記対象物を撮像する撮像部と、
前記載置部および前記撮像部の一方を他方に対して相対的に移動させる請求項1〜6のいずれかに記載の直進駆動装置とを備え、
前記直進駆動装置の前記移動部材は、前記載置部、または前記撮像部に連結される連結部材である、拡大観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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