説明

相互侵入高分子網目構造体、研磨パッドおよび相互侵入高分子網目構造体の製造方法

【課題】溶質成分や浮遊物を付着・堆積させにくい表面を有する相互侵入高分子網目構造体を得る。また、半導体基板の研磨加工において、粒子付着やスクラッチなどの欠陥の発生が少なく、かつ研磨レートが高いことから、高品質で、生産性に優れた研磨パッドおよびその製造方法の提供。
【解決手段】水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体を含むことを特徴とする相互侵入高分子網目構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互侵入高分子網目構造体、研磨パッドおよび相互侵入高分子網目構造体の製造方法に関する。特に、シリコンなどの半導体基板上に形成された層間絶縁膜や金属配線形成用金属膜を研磨、平坦化する研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンとビニル化合物から重合される重合体からなる研磨パッドが特許文献1に開示されている。また、重合用モノマーを含む溶液に高分子成形体を浸漬した後、モノマーの重合反応を起こさせる工程を含む研磨パッドの製造方法が特許文献2に開示されている。しかしながら、これら研磨パッドでは、銅などの金属薄膜を研磨して微細な配線を形成する、配線−絶縁体の平坦化工程において、金属配線の中央部が縁部よりも厚さが薄くなる、いわゆる「ディッシング」が顕著に生じる。ディッシングが大きいほど、配線の断面積がより小さくなるため、金属配線の電気抵抗が増加して好ましくない。また、より上層の配線形成時に研磨残りが発生する原因となるため好ましくない。さらに、研磨レートの向上やパッドの長寿命化が望まれていた。
【0003】
一方、研磨速度が高く、面内均一性に優れた研磨パッドとして、シクロデキストリン(水酸基含有化合物)などの水溶性粒子と非水溶性マトリックスからなる研磨パッドが、特許文献3に開示されている。また、研磨時の欠陥を低減できる研磨パッドとして、ポリビニルアルコール、種々のセルロース、ポリヒドロキシエチルアクリレート(いずれも水酸基含有化合物)などの微小球を分散させた研磨パッドが特許文献4に開示されている。これら研磨パッドは、水酸基を含有する高分子材料から構成されるものの、水溶性粒子や微小球の部位に限られ、研磨パッドとしてはスラリー中の溶質成分や浮遊物を付着・堆積させにくい表面を有するものではなく、研磨後のウエハー上には多数のパーティクルの付着が見られ、スクラッチ傷も少なからず発生するため、研磨時の特性は不十分なものであった。
【特許文献1】国際公開第00/012262号パンフレット
【特許文献2】特開2000−218551号公報
【特許文献3】特開平11−322877号公報
【特許文献4】特開2003−011066号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、溶質成分や浮遊物を付着・堆積させにくい表面を有する相互侵入網目構造体およびその製造方法を提供することにある。また、研磨レートが高く、ディッシングが低減され、研磨時のパッド寿命が延長された研磨パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成からなる
(1)水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体を含むことを特徴とする相互侵入高分子網目構造体。
【0006】
(2)水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体とそれ以外の成分との重量比が、5/100〜300/100である(1)に記載の相互侵入高分子網目構造体。
【0007】
(3)23℃における吸水率が10%以上である(1)または(2)に記載の相互侵入高分子網目構造体。
【0008】
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の相互侵入高分子網目構造体からなる研磨パッド。
【0009】
(5)ポリウレタンを含む(4)に記載の研磨パッド。
【0010】
(6)ポリウレタンとそれ以外の成分との重量比が、100/5〜100/300である(5)に記載の研磨パッド。
【0011】
(7)研磨パッドが半導体基板の研磨に使用される(4)〜(6)のいずれかに記載の研磨パッド。
【0012】
(8)水酸基を有するエチレン性不飽和化合物、ラジカル重合開始剤からなるラジカル重合性組成物に高分子成形体を浸漬させる工程、ラジカル重合性組成物を含浸させた高分子成形体の膨潤状態下においてエチレン性不飽和化合物を重合させる工程、を包含することを特徴とする相互侵入高分子網目構造体の製造方法。
【0013】
(9)ラジカル重合性組成物が有機溶媒を実質的に含有しない(8)に記載の相互侵入高分子網目構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
スラリー中の溶質成分や浮遊物を付着・堆積させにくい表面を有する相互侵入高分子網目構造体が得られる。また、研磨レートが高く、パッド寿命が延長された研磨パッドが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において、相互侵入高分子網目構造体とは、高分子混合系において、相互に化学結合することなく独立な異種の高分子網目が互いに侵入しあった高分子を言う。具体的には、複数の種類の高分子が数nm〜数百nmで分散した構造を形成する。分散の程度は、5nm〜300nmが好ましく、5nm〜100nmが特に好ましい。また、異種高分子が互いに連続相となる構造が架橋点形成により安定化された構造であってもよい。
【0016】
相互侵入高分子網目構造体は、ラジカル重合性組成物に高分子成形体を浸漬させ、ラジカル重合性組成物中のエチレン性不飽和化合物を重合させる製造方法から、相互侵入高分子網目構造を形成することができる。そして、本発明の研磨パッドは相互侵入高分子網目構造体からなる。
【0017】
本発明の相互侵入高分子網目構造体は水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体を含む。水酸基を含有する高分子材料から構成される研磨パッドは従来より存在したが、水酸基を含有する高分子材料と他の高分子材料との親和性が低く、分散性に劣るため、サブミクロンレベルの相溶性が得られないことに着目し、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体を含むことにより、所望の効果が得られることを、発明者らは見出した。
【0018】
本発明において、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体含む相互侵入高分子網目構造体が溶質成分や浮遊物を付着・堆積させにくく、吸水率が高い理由は必ずしも明確ではないが、相互侵入高分子網目構造体の有する高分子高次構造が溶質成分や浮遊物の付着・堆積を抑制するとともに、剛性に優れ、熱変形しにくいものと推察される。その結果、この相互侵入高分子網目構造体を用いた研磨パッドは研磨時にパッド表面にスラリー中の溶質成分や浮遊物が付着したり、堆積したりすることを妨げる結果、パッド表面が常に安定した表面を形成し、研磨レートの低下や寿命の短縮が発生しにくいものと思われる。
【0019】
本発明におけるエチレン性不飽和化合物とは、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物を言う。具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、などのメタクリル酸エステル、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、などのアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ビニルピリジン、エチレンイミン、などの単官能性エチレン性不飽和化合物、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、など1分子中にエチレン性不飽和結合を2以上有する多官能性エチレン性不飽和化合物、などを挙げることができる。
【0020】
本発明における水酸基を有するエチレン性不飽和化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロビルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセロールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリレート、各種脂肪酸変性グリシジルメタクリレートとして、日本油脂(株)製“ブレンマーG−FAシリーズ”などを挙げることができる。 2−ヒドロキシエチルアクリレート 、2−ヒドロキシプロビルアクリレート、 2−ヒドロキシブチルアクリレート、 2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、α-ヒドロキシメチルアクリレート、メチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα−ヒドロキシメチルアクリレート、ヘキシルα−ヒドロキシメチルアクリレート等の、アルキルα-ヒドロキシメチルアクリレートが挙げられ、エチレンオキサイドやグルコースなどの糖が付加された誘導体であってもよい。また、 2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、 ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートなどの水酸基を有するアクリル酸エステル、ヒドロキシメチルスチレンのようなヒドロキシアルキルスチレン、ヒドロキシメチルα−メチルスチレンのようなヒドロキシアルキルα−メチルスチレンや、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートのような水酸基を有する単官能性エチレン性不飽和化合物でもよい。さらには、グリセロールジメタクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、両末端にエポキシ基を有するグリシジルエーテル化合物にアクリル酸またはメタクリル酸を付加したもの、例えば共栄社化学(株)製のエポライトアクリル酸付加物“エポキシステル”シリーズなど、1分子中にエチレン性不飽和結合を2以上有し水酸基を有する多官能性エチレン性不飽和化合物などを挙げることができる。上記化合物について含浸溶液として使用できるものであれば、単独、または混合して用いてもかまわない。 水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体とそれ以外の成分との重量比が、5/100〜300/100であることが好ましい。重量比が5/100よりも小さい場合には、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体の割合が少な過ぎて、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体を用いた効果が十分に得られない。一方、重量比が300/100よりも大きい場合には、異なる重合体間の相溶性がかえって低下するため好ましくない。さらに好ましくは、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体とそれ以外の成分との重量比が、50/100〜200/100である。 本発明におけるラジカル重合開始剤とは、加熱、光照射、放射線照射などにより分解してラジカルを生成する化合物を言う。このようなラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物や過酸化物などを挙げることができる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、などのアゾ系重合開始剤、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、などの過酸化物系重合開始剤を挙げることができる。ラジカル重合開始剤の添加量は、エチレン性不飽和化合物に対して0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量%がさらに好ましい。
【0021】
本発明の有機溶媒とは、エチレン性不飽和化合物の重合時に実質的に反応しない化合物であって、常温において液体の有機化合物を言う。具体的には、ヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、メタノールなどを挙げることができる。有機溶媒を実質的に含有しない、とは、エチレン性不飽和化合物に対して有機溶媒が1重量%未満であることを言う。四塩化炭素、トルエン、エチルベンゼン、などは通常有機溶媒として知られているが、ラジカル重合過程において成長ラジカルが水素や塩素を引き抜いて安定な高分子となり、新たに生成したラジカルがエチレン性不飽和化合物に付加して重合が進行する、という連鎖移動剤としての効果が知られているため、これら化合物はここでいうエチレン性不飽和化合物と実質的に反応しない有機溶媒には当たらない。
【0022】
本発明のラジカル重合性組成物は、上記エチレン性不飽和化合物、上記ラジカル重合開始剤、上記連鎖移動剤からなる組成物を言う。ラジカル重合禁止剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤をラジカル重合性組成物中に添加してもよい。これら化合物の添加量は、エチレン性不飽和化合物に対して合計で3重量%を越えない範囲で使用することが好ましい。
【0023】
ラジカル重合性組成物は、有機溶媒を実質的に含まない組成物であることが有機溶媒の除去工程が不要になるという経済上の観点から好ましい。
【0024】
ラジカル重合性組成物に添加できる、常温で固体のラジカル重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、トパノールA、カテコール、t−ブチルカテコール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、などを挙げることができる。これらの化合物から選択された1種あるいは2種以上の化合物を使用することができる。ラジカル重合禁止剤は、ラジカル重合性組成物に添加して使用してもよい。また、高分子成形体製造時に予め添加しておいてもよい。さらに、ラジカル重合性組成物および高分子成形体の両方に含有させてもよい。ラジカル重合性組成物および高分子成形体の両方にラジカル重合禁止剤を使用する場合、ラジカル重合禁止剤の種類は同一の化合物であっても、異なってもよい。加えて、重合禁止効果を高める目的で、酸素ガスまたは酸素含有ガス共存下に含浸および/または重合を行なうことが好ましい。
【0025】
酸素ガスあるいは酸素含有ガス共存下に含浸および/または重合を行うことが好ましいラジカル重合禁止剤として、フェノチアジン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、フェニル−β−ナフチルアミン、p−フェニレンジアミン、トパノールAなどを挙げることができる。上記酸素含有ガスとしては、空気、酸素、酸素を不活性ガスで希釈したガスが用いられ、不活性ガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴンなどが挙げられる。希釈した場合の酸素濃度には特に限定はないが、好ましくは1体積%以上である。使用する酸素含有ガスとしては、乾燥空気、乾燥空気を窒素で希釈したガスが安価で好ましい。
【0026】
ラジカル重合性組成物に添加できる、連鎖移動剤とは、成長ラジカルと反応してポリマー鎖長の増加を止め、再開始能のある低分子ラジカルを生成する化合物を言う。
【0027】
連鎖移動剤としては、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ブチルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタンなどのアルキル基または置換アルキル基を有する第1級、第2級または第3級メルカプタン、フェニルメルカプタン、チオクレゾール、4−t−ブチル−o−チオクレゾールなどの芳香族メルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸エチルなどのチオグリコール酸エステル、エチレンチオグリコールなどの炭素数3〜18のメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、トルエン、エチルベンゼン、トリエチルアミン、などを挙げることができる。これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。このうち、t−ブチルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンやα−メチルスチレンダイマーを用いることが好ましい。
【0028】
連鎖移動剤の使用量は、エチレン性不飽和化合物に対して0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜3重量%がさらに好ましい。使用量が0.01重量%よりも少ないと、連鎖移動剤の効果が発現しない。また、5重量%よりも多いと、強度や弾性率などの機械特性がかえって低下する。
【0029】
本発明の高分子成形体とは、常温において固体の高分子物質を言う。成形体は、中実であってもよいし、中空であっても発泡体であってもよい。その特性については特に限定されるものではないが、ラジカル重合性組成物に浸漬することにより、該組成物を成形体に取り込み、含浸できることが必要である。したがって、ラジカル重合性組成物と親和性のある材質からなり、またラジカル重合性組成物を取り込み、高分子成形体自体が膨潤できる程度の柔軟性を有することが必要である。
【0030】
高分子成形体としては、柔軟でラジカル重合性組成物により膨潤可能な化学構造として、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリテトラメチレングリコール鎖、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)鎖などを含有する高分子成形体が好ましい。具体的には、ポリエステルやポリウレタンを挙げることができる。ラジカル重合性組成物の密度や含浸量にもよるが、含浸後の高分子成形体の体積は、元の体積の約1.03〜5倍程度に膨潤し、多くは約1.03〜3倍程度に膨潤する。
【0031】
高分子成形体の形態としては、平均気泡径10〜200μmの独立気泡を含有する発泡体であることが好ましく、20〜150μmの独立気泡を含有する発泡体であることがより好ましく、30〜120μmの独立気泡を含有する発泡体であることが特に好ましい。平均気泡径は、研磨パッドの表面やスライス面を倍率200倍で走査型電子顕微鏡(SEM)像とし、その平均気泡径を画像処理して得ることができる。
【0032】
また、高分子成形体の見かけ密度としては、0.1〜1.2g/cmが好ましく、0.5〜1.0g/cmがより好ましい。見かけ密度は、日本工業規格JIS K 7112記載の方法により測定することができる。さらに、高分子成形体に取り込まれたラジカル重合性組成物は、高分子成形体中の気泡には入り込まず、高分子成形体の膨潤状態下においてエチレン性不飽和化合物が重合した後も高分子成形体の気泡はそのまま気泡として残存していることが好ましい。その結果として得られる研磨パッドの密度は、0.2〜1.4g/cmが好ましく、0.6〜1.2g/cmがより好ましい。
【0033】
本発明の高分子成形体は、ポリオールとポリイソシアネートから得られたポリウレタン成形体であることが好ましく、ポリオールとポリイソシアネートを2液混合して得られたポリウレタン成形体であることが特に好ましい。ここで、ポリオールとは、水酸基を2個以上有する化合物をいう。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどから選ばれた1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
【0034】
また、ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI、ナフタレンジイソシアネート、などの芳香族イソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、などの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加TDI、水素添加MDI、などの脂環式ジイソシアネート、などを挙げることができる。これらイソシアネートから選ばれた1種または2種以上の混合物として使用することができる。
【0035】
高分子成形体の調製にあたっては、ポリオール、ポリイソシアネートの他に、架橋剤、鎖延長剤、整泡剤、発泡剤、樹脂化触媒、泡化触媒、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤、着色剤、防黴剤、抗菌剤、難燃剤、紫外線吸収剤を含有し、成形を行ってもよい。高分子成形体の調製方法は特に限定されないが、射出成形、反応成形などの方法で調製できる。特に、ポリウレタン成形体の調製では、ミキシングヘッド内で原料同士を衝突させて瞬時に混合する高圧注入機、ミキシングヘッドに供給された各原料を攪拌翼などによって機械的に混合するいわゆる低圧注入機に使用して、モールド成形やスラブ成形などに適用することが好ましい。
【0036】
高分子成形体と含浸されたエチレン性不飽和化合物から重合された重合体の重量比は、100/5〜100/300が好ましく、100/50〜100/200がより好ましい。高分子成形体と含浸するエチレン性不飽和化合物から重合された重合体の含有重量比が100/5よりも小さい場合、高分子成形体のみの場合とその特性があまり変わらず、含浸・重合させるメリットが小さい場合がある。一方、高分子成形体と含浸するエチレン性不飽和化合物から重合された重合体の含有重量比が100/300よりも大きい場合、含浸に要する時間が長くなりすぎるため好ましくない場合がある。ラジカル重合性組成物に高分子成形体を浸漬させる工程は、15〜60℃の温度で3時間〜20日間が好ましく、3時間〜10日間がさらに好ましい。
【0037】
本発明の研磨パッドは、10〜200μmの独立気泡を有することが好ましく、20〜150μmの独立気泡を含有する発泡体であることがより好ましく、30〜120μmの独立気泡を含有する発泡体であることが特に好ましい。平均気泡径は、研磨パッドの表面やスライス面を倍率200倍で走査型電子顕微鏡(SEM)の像とし、その平均気泡径を画像処理して得る。研磨パッドの表面に適度な割合で平坦面と気泡に由来する開口部が存在することが好ましい。任意のスライス面における気泡数は、20〜1000個/mmが好ましく、200〜600個/mmがより好ましい。研磨パッドの密度は0.2〜1.4g/cmが好ましい。密度は、日本工業規格JIS K 7112記載の方法により測定することができる。
【0038】
本発明の研磨パッドは、シリコンウエハーなどの半導体基板、レンズなどの光学部材、磁気ヘッド、ハードディスクなどの電子材料などの研磨に使用できる。特に、化学機械的研磨(CMP;Chemical Mechanical Polishing)技術による半導体ウエハーの平坦化の目的で被研磨物である半導体ウエハーの研磨処理を行う研磨パッドとして使用できる。CMP工程において、研磨剤と薬液からなる研磨スラリーを用いて、半導体ウエハーと研磨パッドを相対運動させることにより、半導体ウエハー面を研磨して、半導体ウエハー面を平坦に、滑らかにする目的で研磨パッドが使用される。
【0039】
本発明の研磨パッドは、光学レンズ、光学プリズム、光学フィルタ、光導波路、などの光学部材の研磨に使用できる。研磨対象となる光学部材の素材としては、ガラス、石英、水晶、サファイア、透明樹脂、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどが挙げられる。
【0040】
また、その他の用途において、ガリウム砒素、ガリウムリン、インジウムリン、フェライト、アルミナ、炭化珪素、窒化珪素、セラミクス、合金、樹脂などを研磨対象として研磨する用途に使用できる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、評価方法は以下のようにして行った。
[平均気泡径]走査型電子顕微鏡“SEM2400”(日立製作所)にて研磨パッドの表面またはスライス面を倍率200倍で観察し、その画像を画像処理装置で解析することにより、画像中のすべての気泡径を計測し、その平均値をもって平均気泡径とした。
【0042】
[密度]JIS K 7112記載の方法にしたがって、ピクノメーター(ハーバード型)を使用して測定した。
【0043】
[吸水率]試料を室温で24時間真空乾燥した後、重量を測定し、dry重量とした。イオン交換水中に24時間浸漬し、表面に付着した水を拭き取った後、重量を測定し、wet重量とした。
【0044】
吸水率 = (wet重量−dry重量)×100/dry重量
にしたがって、吸水率を算出した。
【0045】
[研磨評価]クッション層として“Suba400”(ロデール・ニッタ(株)製)を使用し、両面接着テープで評価すべき研磨パッドと貼り合わせ、積層研磨パッドを作製した。積層研磨パッドを研磨装置の定盤上に貼り付け、ダイアモンドコンディショナーを押しつけ圧力0.05MPa、研磨定盤回転数32rpm、コンディショナー回転数30rpmで研磨定盤と同方向に回転させた。精製水を200mL/分の割合で研磨パッド上に供給しながら5分間、研磨パッドのコンディショニングを行った。
【0046】
評価用8インチシリコンウエハーを研磨装置の研磨ヘッドに装着し、40rpmで回転させ、積層研磨パッドを研磨機のプラテンに固定して40rpmで研磨ヘッドの回転方向と同方向に回転させて、シリカ系スラリーを110mL/分で供給しながら研磨圧力0.06MPaで1分間研磨を行い酸化膜の研磨レートを測定した。ウエハー表面を乾燥させないようにして直ちに精製水を供給しながらポリビニルアルコールスポンジでウエハー表面を洗浄し、乾燥圧縮空気を吹き付けて乾燥した。
【0047】
評価用ウエハーを20枚研磨処理し、20枚目の酸化膜研磨レートを測定した。
研磨レート:研磨前後のウエハー厚みを、光干渉式膜圧測定装置“ラムダエース”VM−8000J(大日本スクリーン製造(株)製)で測定することにより、単位時間当たりの研磨量(研磨レート)を算出した。8インチシリコンウエハー上に熱酸化膜を約1.2μm形成した評価用テストウエハーを使用した。
【0048】
[欠陥検査]KLA−テンコール社製ウエハー表面検査装置SP1を用いて、0.15μm以上のウエハー表面付着粒子数、およびスクラッチ傷発生数を測定した。
【0049】
(比較例1)
RIM成形機の第1原料タンク、第2原料タンクに以下のように原料組成物を仕込み、第1原料タンクに窒素ガスをローディング後、両タンクから原料組成物を金型に注入し、硬化させて、650mm×650mm、厚さ25mmのポリウレタン成形体を得た。ポリウレタンの見かけ密度は0.82g/cmであり、平均気泡径が33μmの独立気泡が形成された。
<第1原料タンク>
ポリプロピレングリコール 90重量部
1,4−ブタンジオール 10重量部
オクチル酸スズ 0.5重量部
シリコーン系整泡剤 3重量部
精製水 0.3重量部
<第2原料タンク>
ジフェニルメタンジイソシアネート 120重量部
次に、ポリウレタン成形体とラジカル重合組成物の重量比が100/200の割合で、以下のラジカル重合性組成物を調合し、上記ポリウレタン成形体を20℃で7日間浸漬したところラジカル重合性組成物は全量がポリウレタン成形体に含浸されていた。
メチルメタクリレート 300重量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.8重量部
含浸により膨潤したポリウレタン成形体を塩化ビニル製ガスケットを介して2枚のガラス板間に挟み、周囲を固定して密閉した後、70℃で5時間加熱し、続いて100℃オーブン中で3時間加熱することにより硬化させた。ポリウレタン成形体の含浸硬化物をガラス板から離型後、重量を測定した。50℃で12時間、続いて100℃で12時間乾燥した。さらに常温で12時間乾燥し、直後に重量を測定したところ、常温乾燥前後の重量減少はなかった。
【0050】
ポリウレタン成形体の含浸硬化物の厚さ方向の中央部分をスライスし、表面研削加工を行って厚さ1.5mmのシートを得た。ポリウレタン成形体のラジカル重合性組成物含浸硬化物の見かけ密度は0.85g/cm、独立気泡の平均気泡径は40μm、吸水率は3.0%であった。
【0051】
次に、両面接着テープを貼り合わせた後、直径600mmの円に打ち抜き、片面に幅1.0mm、深さ0.6mm、ピッチ15mmの碁盤目状の溝を形成した。
【0052】
研磨評価を行ったところ、研磨レートは1200オングストローム/分であった。また、付着粒子数は322個、スクラッチ発生数は25個であった。
【0053】
(参考例1)
比較例1の研磨パッドと同じ研磨パッドを使用し、研磨時のシリカ系スラリーの供給量を200mL/分としたこと以外は同じ条件で研磨加工を行い、ウエハー評価した。研磨レートは1680オングストローム/分であった。また、付着粒子数は15個、スクラッチ発生数は3個であった。
【0054】
(実施例1)
ラジカル重合性組成物として以下の組成物を使用したこと以外は比較例1と全く同様にして研磨パッドを作製した。
ヒドロキシエチルメタクリレート 300重量部
アゾビスイソブチロニトリル 1.0重量部
ポリウレタン成形体のラジカル重合性組成物含浸硬化物の見かけ密度は0.79g/cm、独立気泡の平均気泡径は41μm、吸水率は30%であった。
【0055】
研磨評価を行ったところ、研磨レートは2000オングストローム/分であった。また、付着粒子数は2個、スクラッチ発生数は0個であった。
【0056】
(実施例2)
ラジカル重合性組成物として以下の組成物を使用したこと以外は比較例1と全く同様にして研磨パッドを作製した。
メチルメタクリレート 180重量部
ヒドロキシエチルアクリレート 120重量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.9重量部
ポリウレタン成形体のラジカル重合性組成物含浸硬化物の見かけ密度は0.78g/cm、独立気泡の平均気泡径は47μm、吸水率は12.5%であった。
【0057】
研磨評価を行ったところ、研磨レートは1820オングストローム/分であった。また、付着粒子数は10個、スクラッチ発生数は0個であった。
【0058】
(実施例3)
ラジカル重合性組成物として以下の組成物を使用したこと以外は比較例1と全く同様にして研磨パッドを作製した。
メチルメタクリレート 240重量部
グリセロールジメタクリレート 60重量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.7重量部
ポリウレタン成形体のラジカル重合性組成物含浸硬化物の見かけ密度は0.77g/cm、独立気泡の平均気泡径は43μm、吸水率は10.3%であった。
【0059】
研磨評価を行ったところ、研磨レートは1850オングストローム/分であった。また、付着粒子数は12個、スクラッチ発生数は0個であった。
【0060】
以上から、ポリウレタンなどの高分子成形体中で、水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を重合して得られる相互侵入高分子網目構造体から作製された研磨パッドは、吸水率が高く、親水性の高い表面を有するため、研磨後のウエハー表面の付着粒子数やスクラッチ発生数が少なかった。また、スラリー供給量が少ない条件下における研磨加工であっても、研磨レートが高く、生産性に優れていた。
(実施例4)
実施例1で使用したポリウレタン成形体のラジカル重合性組成物含浸硬化物について、固体NMR(核磁気共鳴)法による緩和時間測定を行った。ポリウレタンおよびポリヒドロキシエチルメタクリレートが数ナノメーター以下のオーダーで分散した構造を有していた。このことから、ポリウレタンおよびポリヒドロキシエチルメタクリレートの2つの高分子鎖が相互に侵入し、高分子鎖の絡み合いが生じていることが確認された。
【0061】
ポリウレタン成形体の含浸硬化物の厚み方向の中央部分をスライス・表面研削して厚み1mmのシートを得た。このシートの中央部から3mm角の試験片を打ち抜き、以下の手順で血小板付着試験による血液適合性試験を行ったところ、血小板の付着は観察されず、全面にわたって清浄であった(0個/画面)。
(血小板付着試験)
エッペンドルフチューブに試験片およびリン酸緩衝生理食塩水を加え、4℃で保管した。ヘパリン採血したラット血液を20℃において2500rpmで10分間遠心後、上層3.0mLを採取し、Ca含有リン酸緩衝生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水6mLに0.1M−CaClを90μL添加)を添加・混合後、直ちに試験片の入ったリン酸緩衝生理食塩水中に注入した。続いて、ローテーターを用いて、37℃で60分間攪拌した。1mLのリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した後、10%ホルマリン溶液1mLを添加し、室温で1時間攪拌した後、4℃で保存した。
【0062】
次に、Pt蒸着後、SEM(走査型電子顕微鏡)観察を行った。倍率1000倍(93×105μm)で任意の5画面の血小板数をカウントし、単位面積当たりの血小板数を算出した。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の研磨パッドは、シリコンウエハーなどの半導体基板、レンズなどの光学部材、磁気ヘッド、ハードディスクなどの電子材料などの研磨に使用できる。特に、化学機械的研磨(CMP)技術による半導体ウエハーの平坦化の目的で被研磨物である半導体ウエハーの研磨処理を行う研磨パッドとして使用できる。。また、本発明の相互侵入高分子網目構造体は、血液適合性に優れており、医療材料として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体を含むことを特徴とする相互侵入高分子網目構造体。
【請求項2】
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物重合体とそれ以外の成分との重量比が、5/100〜300/100である請求項1に記載の相互侵入高分子網目構造体。
【請求項3】
23℃における吸水率が10%以上である請求項1または2に記載の相互侵入高分子網目構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の相互侵入高分子網目構造体からなる研磨パッド。
【請求項5】
ポリウレタンを含む請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
ポリウレタンとそれ以外の成分との重量比が、100/5〜100/300である請求項5に記載の研磨パッド。
【請求項7】
研磨パッドが半導体基板の研磨に使用される請求項4〜6のいずれかに記載の研磨パッド。
【請求項8】
水酸基を有するエチレン性不飽和化合物、ラジカル重合開始剤からなるラジカル重合性組成物に高分子成形体を浸漬させる工程、ラジカル重合性組成物を含浸させた高分子成形体の膨潤状態下においてエチレン性不飽和化合物を重合させる工程、を包含することを特徴とする相互侵入高分子網目構造体の製造方法。
【請求項9】
ラジカル重合性組成物が有機溶媒を実質的に含有しない請求項8に記載の相互侵入高分子網目構造体の製造方法。



【公開番号】特開2009−235229(P2009−235229A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82756(P2008−82756)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】