説明

相互反応性共重合体を用いた発泡シート用粘着樹脂及びこれを用いた発泡シート

本発明は、相互反応性共重合体を利用した発泡シート用粘着樹脂及びこれを用いた発泡シートに関するもので、発泡される前に被着体に対する接着性に優れると同時に、粘着樹脂がマイクロスフェアーに対する支持力に優れて発泡を抑制し、高温の加熱処理により、被着体に対する粘着力を失われ、剥離が容易な高温加熱剥離型粘着シートを提供する。本発明による相互反応性アクリル系共重合体を混合して製造した粘着樹脂は、常温で架橋反応が全く進行されないため、長期保管性がよく、加熱剥離型粘着シートの製造時、発泡層の支持力の維持に優れて、マイクロスフェアーの発泡温度を高め、高温で加熱処理後、接着力が低下あるいは喪失されるようにして、被着体から容易に剥離可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互反応性共重合体を用いて、常温で架橋が進行されることがなく、長期間安定した発泡シート用粘着樹脂、及び、これを用いて、接着強度に優れると同時に、高い温度で被着体から簡単に剥離できる発泡シート(expansion sheet)(加熱剥離型粘着シート)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡シート加工品に使用された粘着樹脂は、一般に、架橋官能基として水酸基を有する単量体とアクリル単量体との共重合体樹脂であって、イソシアネート架橋剤を使用している。しかしながら、最近電子製品に適用される発泡シートは、150℃以上の高温で発泡することが求められているが、高温で発泡される発泡シート用マイクロスフェアーは、150℃で発泡が始まるため、高温用に使用するに限界があった。このような限界を克服するためには、凝集力や支持力の大きい粘着樹脂がマイクロスフェアーの膨張を抑制する、または、粘着樹脂を構成するビニル単量体の化学的設計により調節する方法があるが、容易ではない。
【0003】
したがって、粘着性、凝集力、耐熱性、柔軟性、弾性などを考慮し、架橋方法を変化させることがよい方法である。
【0004】
特に、既存の発泡シート用粘着樹脂の場合、発泡シート用粘着樹脂の生産段階において、マイクロスフェアーの完全な混合及び分散のためにかなりの時間が要求されるが、このような過程で添加された架橋剤が徐々に架橋反応を進行し、粘度が高くなるか、ゲル化が進行され、コーティング工程に大きな欠陥を与えるようになる。特に、マイクロスフェアーの膨張を抑制するために架橋度を高めるほど、さらに深刻な問題が発生するようになる。
【0005】
また、従来の加熱剥離型発泡シートに利用される粘着樹脂は、架橋官能基の含まれたアクリル系樹脂であって、架橋剤を混合した後、マイクロスフェアーの混合、分散及びコーティング時に架橋が進行され、粘度が変わるため、コーティングを一定にすることが難しかった。特に、このような現象は、架橋度を高めるために架橋官能基の比率を大きくした場合、さらに大きい問題となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明による粘着樹脂を使用して製造した発泡シートは、高温条件や高温反復条件で行われるFPCBの工程の中、FPCBの着脱、半導体ウェハのグラインディング、半導体チップ、チップコンデンサー、チップバリスター、及びインダクターなどの製造工程において、部品の電極印刷、固定、切断、熱による着脱などの分野で利用できる。
【0007】
本出願人は、上記の問題を改善するために、マイクロスフェアーを含む粘着樹脂を、相互反応性共重合体を混合して使用すると、作用時期を十分延長することができ、混合した後も2〜3日間放置しても粘度変化がほとんどないことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、二つの官能基のカルボキシ基とオキサゾリン基との反応により、アミド−エステルの化学的架橋結合の生成と同時に、水素結合のような物理的架橋結合を付与することができることが分かり、また、架橋度を高め、架橋密度が緻密で凝集力が強いため、マイクロスフェアーが粘着層を発泡または膨張させるのにさらに高い温度が要求され、高温で発泡が起こるようにする効果を有することが分かった。
【0009】
したがって、このような加熱剥離型粘着シートは、一般的な条件下でマイクロスフェアーが膨張する発泡温度よりさらに高い温度で、粘着層に含有させたマイクロスフェアーを発泡させ接着力を低下させて、被着体から容易に剥離することができ、特に、150℃以上の高温や高温で数回繰り返される作業、即ち、一定な温度で加熱した状態で作業をした後、冷却し、再び加熱作業などを繰り返す時、発泡シートは、発泡温度が継続的に低くなるため、高温で発泡される発泡シートが要求されるが、このような目的に本発明の粘着剤を提供できることが分かった。
【0010】
本発明において、カルボキシ基とオキサゾリン基とを官能基として有する相互反応性共重合体を混合して得た粘着樹脂は、常温で高度に安定化されるが、100℃以上で反応して、エステル−アミド結合が生じ架橋がなされるため、マイクロスフェアーが膨張する時、粘着剤の凝集力及び弾性が増加して、マイクロスフェアーの発泡温度がさらに高くなり、よって、初期粘着強度に優れると同時に、基材との支持力維持に優れており、且つ高い温度の加熱処理によって接着力の低下あるいは喪失がなされるため、高温加熱剥離型粘着シートを提供することができる。
【0011】
上記の効果を有する本発明は、相互反応性カルボキシ基を有する第1の共重合体とオキサゾリン基を有する第2の共重合体との二つの液が混合される粘着剤であるが、常温で架橋反応が起こらないため、安定性に優れ、常温では長期保管が可能であり、100℃付近で架橋が進行されるため、効果的な高密度粘着層を有する発泡シートの製造に容易である。
【0012】
また、本発明は、相互反応性基であるカルボキシ基とオキサゾリンをそれぞれ有するアクリル共重合体を混合して得られた粘着剤と、これにマイクロスフェアーを分散して製造した発泡シート用コーティング樹脂を使用して、150℃以上の高い温度で発泡が可能な発泡シートを製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、相互反応性共重合体を利用した発泡シート用粘着樹脂及びこれを用いた発泡シートに関し、上記の粘着樹脂は、熱膨張性マイクロスフェアーを含む相互反応性共重合体を混合して製造されることを特徴とし、このように製造される粘着樹脂を基材の一面または両面に塗布して粘着層を形成し、この粘着層が加熱により発泡または膨張する発泡シート(加熱剥離型粘着シート)を製造することを特徴とする。
【0014】
以下、本発明による粘着樹脂及びこれを用いて製造した発泡シートについて説明する。
【0015】
本発明による粘着樹脂は、熱膨張性マイクロスフェアー及び相互反応性共重合体を含むことを特徴とする。
【0016】
上記の熱膨張性マイクロスフェアーは、イソブタン、プロパン、ペンタンのように、容易にガス化して熱膨張性を示す物質であって、その外殻は、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどの共重合体で、熱融解性物質や熱膨張できる物質からなっており、外殻の成分及び厚さにより、100〜170℃の様々な温度条件で膨張されるものが販売されている。しかしながら、この温度は、最大発泡点の温度であって、発泡開始温度は、これより20〜50℃低い温度である。
【0017】
上記のマイクロスフェアーは、平均粒径が10〜25μmであることが、粘着樹脂への分散に有利であり、加熱処理による粘着層の変形が大きく、粘着力の低下が確実である。また、乾燥された発泡粘着層は、熱膨張性マイクロスフェアーの最大粒径よりも厚い層にすることが、粘着層の表面を平滑化して、加熱処理前において安定した接着力を達成する。
【0018】
加熱処理による粘着層の接着力低下現象を好ましく利用するためには、熱膨張性マイクロスフェアーは、10倍以上の体積膨張率で発泡した後、破裂しないものがよい。熱膨張性マイクロスフェアーの配合量は、粘着層の膨張率や接着力の低下性などによって適宜決定することができるが、一般に、粘着層を形成する粘着樹脂100重量部当たり5〜20重量部が好ましい。
【0019】
一方、マイクロスフェアーを分散させる相互反応性共重合体は、ビニル単量体と共単量体とカルボキシ基を含む単量体とを共重合した第1の共重合体と、ビニル単量体と共単量体とオキサゾリン基を含む単量体とを共重合した第2の共重合体とを混合した樹脂である。
【0020】
前記第1の共重合体及び第2の共重合体を構成するビニル単量体及びビニル共単量体は、必要により適宜選択して使用可能であって、特に制限はないが、発泡シートの粘着性、凝集力、耐熱性、柔軟性などを付与する目的で使用されるもので、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキル基含有ビニル単量体;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有ビニル単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN−置換アミド系ビニル単量体;メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートビニル単量体;ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボキサミド、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレートビニル単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有アクリル単量体;ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレートなどのグリコール系アクリルエステル単量体;テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル単量体;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどの単量体;または、これらの2以上の混合物からなる群から選択される。
【0021】
前記カルボキシル基を含有する第1の共重合体及びオキサゾリン基を含有する第2の共重合体を構成するビニル単量体及び共単量体は、全体粘着樹脂の80〜95重量%含まれることが好ましい。前記ビニル及び共単量体が80重量%未満に含まれる場合、架橋官能基の含量が多くなって、高度の架橋度を有するようになるため、粘着力が大きく失われ、脆性が生じるようになる。また、極性の大きい官能基を有する単量体と共重合時、極性及び反応性比の差により、重合速度や共重合体の構成比の調節が難しくなる。前記ビニル共単量体は、二種類以上を混合して使用することができ、一般的なビニル共単量体として、含量調節により得られる粘着樹脂の特性を多少増加させることができる。
【0022】
カルボキシ基を含む第1の共重合体は、溶液重合により製造して、架橋性を付与する目的で、例えば、アクリル酸やメタクリル酸、カルボキシエチルアクリレートやカルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸やマレイン酸、フマル酸、クロトン酸のようなカルボキシル基含有単量体;無水マレイン酸や無水イタコン酸のような酸無水物単量体;のような官能性単量体などを、2種または3種以上共重合したものである。
【0023】
前記共重合体を構成する架橋官能基としてカルボキシル基を含むビニル単量体は、前記共重合体の全体単量体に対し、5〜20重量%含まれることが好ましく、より好ましくは、5〜10重量%含まれることが好ましい。前記カルボキシ基を含むビニル単量体が5重量%未満に含まれる場合、架橋度が乏しく、膜の柔軟性が大きくなるか、凝集力が低下し、マイクロスフェアーの膨張を抑制することができない。
【0024】
オキサゾリン基を含む第2の共重合体は、溶液重合により製造して、架橋性を付与する目的で使用されるが、オキサゾリン基を含むビニル共重合体としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−(ビニルベンジルオキシ−1−メチルエチル)−2−オキサゾリン、2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)メタクリレート、またはこれらの2以上の混合物からなる群から選択されるものを使用することができる。
【0025】
前記共重合体を構成する、オキサゾリン基を含むビニル単量体は、前記共重合体の全体単量体に対し、5〜20重量%含まれることが好ましく、より好ましくは、5〜10重量%含まれることが好ましい。前記オキサゾリン基を含むビニル単量体が5重量%未満に含まれる場合、架橋度が乏しく、膜の柔軟性が大きくなるか、凝集力が低下し、マイクロスフェアーの膨張を抑制することができない。
【0026】
本発明の相互反応性共重合体混合物を利用した発泡シート用粘着樹脂は、第1の段階でカルボキシ基を含有する第1の共重合体を合成し、第2の段階でオキサゾリン基を含有する第2の共重合体を合成して、第3の段階で、前記第1の共重合体と第2の共重合体とを混合した粘着樹脂にマイクロスフェアーを分散して製造する。このような粘着樹脂からなる粘着樹脂は、常温で長期保管しても経時変化のない安定したコーティング液であると同時に、発泡温度を20〜30℃以上高めることができる。
【0027】
また、本発明の発泡シートは、上記のように製造される粘着樹脂を基材の一面または両面に塗布して粘着層を形成した後に、離型フィルムを塗布して製造し、基材と粘着層間の良好な付着力のために表面処理する段階をさらに含むことを特徴とする。本発明による発泡シートの一実施例の断面図を図1に示し、基材1、表面処理層2、相互反応性共重合体を混合した発泡粘着層3、離型フィルム4から構成される。
【0028】
本発明による、カルボキシ官能基を有する第1の共重合体とオキサゾリンを含む第2の共重合体とを混合した相互反応性共重合体混合物を使用した粘着溶液により、安定性に優れた発泡シート用粘着樹脂を製造することができる。
【0029】
なお、架橋剤の反応性が大きい他の樹脂液の場合、2液型であって、粘着樹脂として使用直前に混合して使用する不便があるが、これは、時間が経つにつれて、粘着樹脂の官能基と架橋剤の反応により粘度が大きくなるか、ゲル化が進行され、基材に塗布が不可能であるか、均一な塗布ができなくなる。したがって、コーティングがなされても、その厚さがばらばらで、生産される発泡シートの特性の偏差が激しくなる。しかしながら、カルボキシ基とオキサゾリン反応基をそれぞれ含む相互反応性共重合体の混合物は、常温では全く反応しないため、これを用いた粘着樹脂は、常温において粘着樹脂の特性偏差が小さく、安定した値を得ることができる長所がある。
【0030】
また、共重合体架橋剤を使用することにより、樹脂同士の架橋密度が大きくて、水素結合のような物理的結合も生じるため、凝集力及び維持力が強くて、マイクロスフェアーの膨張を抑制し、発泡温度を20〜30℃以上さらに高めることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、マイクロスフェアーを含有する粘着樹脂を形成することにより、粘着樹脂の発泡温度を20〜30℃さらに高めて、コーティング性、粘着力、維持力、凝集力などに優れ、多様な機能性を有する発泡シート用コーティング樹脂を得ることができ、電子電気材料分野などに適用される高温発泡シートの製造に有用である。
【0032】
なお、本発明により製造される発泡シートは、適切な物品などからなる被着体を永久的に接着しておく用途に利用することも可能であるが、望ましい用途は、被着体を所定期間接着して目的を達成した後、その接着状態を除去することが好ましい用途である。上記の用途としてはさまざまあるが、その例として、高い温度で二つ以上の物品、例えば、高分子からなる物品と、金属、繊維または紙などからなる各種の電気・電子装置の組立てや切断、研磨、またはFPCBなどの回路工程のキャリアテープ、仮固定剤、または金属板やプラスチック板、ガラス板などの汚染・損傷の防止を目的とした表面保護剤やマスキング剤などの用途などに使用できる発泡シートを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は、本発明の内容を理解するために提示されたもので、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
(製造例1)
製造段階:第1の共重合体の製造
攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、温度計、ジャケット(JACKET)を備えた2Lのガラス反応器に、単量体としてエチルアクリレート45g、共単量体のn−ブチルアクリレート45g、アクリル酸10gを混合して、これに開始剤α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.01gとエチルアセテート100gとトルエン20gを入れて、70℃でラジカル重合反応を行った。約30分後、エチルアクリレート135g、共単量体のn−ブチルアクリレート135g、アクリル酸30gを混合して、これに開始剤α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gとエチルアセテート100gとトルエン40gを、滴下漏斗を利用して約90分間滴下を進行した。滴下時、温度を一定に調節して、反応が終わった後、未反応単量体が残らないように、ラジカル開始剤1gをエチルアセテート50gとエタノール50gに溶解して60分間滴下し、さらに3時間反応した後、第1の共重合体を製造した。
【0035】
第2の段階:第2の共重合体の製造
攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、温度計、ジャケット(JACKET)を備えた2Lのガラス反応器に、単量体としてエチルアクリレート45g、共単量体のn−ブチルアクリレート45g、2−イソプロピル−2−オキサゾリン10gを混合した。これに開始剤α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.01gとエチルアセテート100gとトルエン20gを入れて、70℃で、カルボキシ基を含む共重合体の重合と同様な方法によりラジカル重合反応を進行した。約30分後、エチルアクリレート135g、共単量体のn−ブチルアクリレート135g、アクリル酸30gを混合して、これに開始剤α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.5gとエチルアセテート100gとトルエン40gを、滴下漏斗を利用して約90分間滴下を進行した。滴下時、温度を一定に調節して、反応が終わった後、未反応単量体が残らないように、ラジカル開始剤1gをエチルアセテート50gとエタノール50gに溶解して60分間滴下し、さらに3時間反応した後、第2の共重合体を製造した。
【0036】
第3の段階:粘着樹脂の製造
前記第1の段階及び第2の段階で製造された二つの共重合体樹脂を、重量比で1:1として混合した。この混合された樹脂100gに、マイクロスフェアーF−50D(商品名、松本社製造、100〜105℃で発泡開始)10gを投入して分散し、粘着樹脂を製造した。
【0037】
(製造例2)
実施例1の第1の段階で使用された単量体の重量比を、エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=4.5/4.5/1.5にしたことを除いては、製造例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0038】
(製造例3)
実施例1の第1の段階で使用された単量体の重量比を、エチルアクリレート/n−ブチルアクリレート/アクリル酸=4.5/4.5/0.6にしたことを除いては、製造例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0039】
(製造例4)
実施例1の第3の段階でマイクロスフェアーF−50Dの代わりにマイクロスフェアーF−80GSD(商品名、松本社製造、110〜115℃で発泡開始)を使用したことを除いては、製造例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0040】
(製造例5)
実施例1の第3の段階でマイクロスフェアーF−50Dの代わりにマイクロスフェアーF−80VSD(商品名、松本社製造、150〜160℃で発泡開始)を使用したことを除いては、製造例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0041】
(実施例1〜5)
製造例1〜5により製造される粘着樹脂を、それぞれPETフィルム(50μm)に塗布した後、37μmの発泡粘着層を形成して、36μmの離型紙を付着し発泡シートを製造した。このように製造された発泡シートは、7日間エージングをして最終テストに使用した。
【0042】
(比較製造例1)
攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、温度計、ジャケット(JACKET)を備えた2Lのガラス反応器に、n−ブチルアクリレート48.5g、エチルアクリレート48.5g、アクリル酸2g、ヒドロキシプロピルアクリレート1.0g、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル0.01gを、エチルアセテート160g、トルエン270gに溶解し、滴下漏斗(dropping funnel)に入れて、窒素で置換した後、流動が継続される状態で80℃で滴下し、8時間ラジカル重合を進行して、反応末期に過量のラジカル開始剤を投入して未反応単量体が残らないようにした後、マイクロスフェアーF−50D(商品名、松本社製造、100〜105℃で発泡開始)10gを投入して分散し、粘着樹脂を製造した。
【0043】
(比較製造例2)
比較製造例1で架橋官能基を有するヒドロキシプロピルアクリレート(2.0g)の量を増加させて使用したことを除いては、比較例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0044】
(比較製造例3)
比較製造例1でマイクロスフェアーF−80GSD(商品名、松本社製造、110〜115℃で発泡開始)を投入したことを除いては、比較例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0045】
(比較製造例4)
比較製造例1でマイクロスフェアーF−80VSD(商品名、松本社製造、150〜160℃で発泡開始)を投入したことを除いては、比較例1と同様な方法により粘着樹脂を製造した。
【0046】
(比較例1〜4)
比較製造例1〜4により製造される粘着樹脂を、それぞれイソシアネート架橋剤AK−75(商標名、AEKYUNG CHEMICAL)を粘着樹脂の水酸基官能基の2倍の量を添加して攪拌し、粘着樹脂を製造して、これをPETフィルム(50μm)に塗布した後、37μmの発泡粘着層を形成して、36μmの離型紙を付着し発泡シートを製造した。このように製造された発泡シートは、7日間エージングをして最終テストに使用した。
【0047】
製造例1〜5、比較製造例1〜4をまとめて表1に示し、前記製造例、比較製造例と、実施例及び比較例により製造れる粘着樹脂及び発泡シートの物理的な性質を、下記のようなテスト方法を使用して測定し、その結果を表2及び3に記録した。
【0048】
1.粘着樹脂の粘度変化測定
得られた粘着樹脂を、一定な温度で溶媒の蒸発を防止し容器に入れて、ブルークフィールド粘度計(Brookfield、DV-II+)を使用して、時間が経った後粘度を測定して評価した。
【0049】
2.発泡温度
発泡温度は、Perkin-Elmer DSC 7を利用し、10℃/分の速度で得た。発泡温度は、マイクロスフェアーが混合された粘着樹脂をPETフィルムに形成してエージング後、架橋が完全に終わったら、フィルムから試料を採取して測定した。 温度の調節されたホットプレートに10mm厚のステンレス板を載せて、温度が平衡になったら、その間に発泡シートを挟んで発泡温度を測定し、機器で測定した温度と比較した。
【0050】
3.粘着力試験
イソプロパノールで完全に洗浄した試験板に、実施例及び比較例で得られた幅20mm、長さ150mmの加熱剥離型粘着シート試料を、厚さ2mm、幅50mm、長さ200mmの試験片(SUS 304)に、粘着面を下方にして、2kgの自動式圧着ゴムローラー装置により30cm/min速度で往復1回圧着して接着し、常温で30分間放置して、“KSA 1107:2004”に基づき、180度皮接着力(剥離速度300mm/分、23℃)を測定した方法で測定した。3枚の試験片から測定した粘着力の平均値を求めた。
【0051】
【表1】



【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
上記のように、本発明による粘着樹脂は、粘度変化がほとんどなく、従来技術で同一なマイクロスフェアーを使用した場合より、20〜30℃高い温度で発泡がなされる発泡シートを製造することができる。

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による発泡シートの断面図である。
【図2】相互反応性重合体の架橋反応機構を化学式で示した図面である。
【符号の説明】
【0056】
1 基材
2 表面処理層
3 相互反応性共重合体が混合された発泡粘着層
4 離型フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互反応性を有する2種以上の共重合体と熱膨張性マイクロスフェアーを混合して製造することを特徴とする、発泡シート(expansion sheet)用粘着樹脂。

【請求項2】
前記相互反応性を有する共重合体は、カルボキシル基官能基を有するビニル共重合体とオキサゾリン官能基を有するビニル共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項3】
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸から選択されるカルボキシル基含有単量体から製造される一つ以上のカルボキシル基を有する単量体、酸無水物単量体並びにこれらの2以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項4】
前記単量体が、カルボキシル基を有するビニル共重合体を構成する全体単量体に対し、5〜20重量%含有されることを特徴とする、請求項3に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項5】
前記オキサゾリン基を含むビニル共重合体は、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−(ビニルベンジルオキシ−1−メチルエチル)−2−オキサゾリン、2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)アクリレートおよび2−(2−ヒドロキシ−1−メチルエチル)メタクリレートから選択される単量体から製造される単量体、並びにこれらの2以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項6】
前記単量体が、オキサゾリン基を有するビニル共重合体を構成する全体単量体に対し、5〜20重量%含有されることを特徴とする、請求項5に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項7】
前記ビニル共重合体は、アルキル基含有ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体、N−置換アミド系ビニル単量体、アルコキシアルキルアクリレート、シアノアクリレート、エポキシ基含有アクリル単量体、グリコール系アクリルエステル、アクリル酸エステル、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボキサミド、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルである単量体、またはこれらの2以上の混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項8】
前記アルキル基含有ビニル単量体は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、または2−エチルヘキシルアクリレートであり、
ヒドロキシル基含有ビニル単量体は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、またはヒドロキシヘキシルメタクリレートであり、
N−置換アミド系ビニル単量体は、N,N−ジメチルアクリルアミドまたはN,N−ジメチルメタクリルアミドであり、
アルコキシアルキルアクリレートビニル単量体は、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、またはエトキシエチルメタクリレートであり、
シアノアクリレートは、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであり、
エポキシ基含有アクリル単量体は、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートであり、
グリコール系アクリルエステル単量体は、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、またはメトキシポリプロピレングリコールメタクリレートであり、
アクリル酸エステルは、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、または2−メトキシエチルアクリレートであることを特徴とする、請求項7に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項9】
前記熱膨張性マイクロスフェアーは、平均粒径が10〜25μmであることを特徴とする、請求項1に記載の発泡シート用粘着樹脂。

【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つの項により製造される粘着樹脂を基材の一面または両面に塗布して粘着層を形成した後、離型フィルムを形成して製造されることを特徴とする発泡シート。

【請求項11】
前記基材に粘着樹脂を塗布する前に、基材の表面処理を施すことを特徴とする、請求項10に記載の発泡シート。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−519379(P2010−519379A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550805(P2009−550805)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【国際出願番号】PCT/KR2008/001054
【国際公開番号】WO2008/103008
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(505362609)
【Fターム(参考)】