説明

相補的化学官能基を有するポリマーを含有する化粧品用組成物

【課題】繰り返しの洗浄に対する残留性が改善された、毛髪にコートを付与する化粧品用組成物を提供する。
【解決手段】非光活性化基A及びBから誘導される化学官能基をそれぞれ担持するポリマーPA及びポリマーPBを含有する化粧品用組成物において、基A及びBから誘導される化学官能基を相補的化学官能基とし、ポリマーPA及びPBがケラチン物質に適用する前には共有結合を形成せず、適用した後に共有結合を形成可能なようにし、さらに基Aの化学官能基をエポキシド、アジリジン等から選択し、基Bの化学官能基をX=O、N、S、COOで、n=1又は2である官能基XHから選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特に毛髪にコートを形成可能な、相補的化学官能基を有する少なくとも2種のポリマーを含有する化粧品用組成物に関する。また本発明は、ケラチン物質、特に毛髪へのかかるポリマーの使用を含む美容方法と、毛髪をコーティングするためのそれらの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪のトリートメントを意図した化粧品には、多くの場合ポリマーが使用される。それらにより、例えばヘアスタイルの保持効果、柔軟効果又は光沢効果を得ることができる。
しかし、毛髪に付着させられたポリマーは、一般に洗髪中に非常に素早く除去される。よって、少なくともシャンプーの度にその後に製品を再適用する必要があった。
そこで、従来の製品に比べて改善され、特に繰り返しの洗髪に対して残留性がある化粧品の製造が必要とされている。
【特許文献1】特表平10−503514号公報
【特許文献2】特表平08−506824号公報
【特許文献3】特開平10−007528号公報
【発明の開示】
【0003】
本出願人は、驚くべきことに、また予期しないことに、ケラチン物質、特に毛髪に適用するため、化粧品に導入するポリマーを、それらが担持する化学官能基の性質に基づき選択することにより、上に挙げた目的を達成することができることを見出した。
よって、本発明の第1の主題は、同一でも異なっていてもよい非光活性化基A及びBから誘導される化学官能基をそれぞれ担持する少なくとも1種のポリマーPAと少なくとも1種のポリマーPBを含有する化粧品用組成物において:
(i)基A及びBから誘導される化学官能基が相補的化学官能基であり、
(ii)ポリマーPA及びPBは:
(a)ケラチン物質、特に毛髪に化粧品用組成物を適用する前には、互いに反応して共有結合を形成することはなく、
(b)ケラチン物質、特に毛髪に化粧品用組成物を適用した後には、互いに反応して共有結合を形成可能である;
ことを特徴とする組成物にある。
本発明の第2の主題は、この組成物を適用することを含む美容方法に関する。
【0004】
本発明の第3の主題は、ケラチン物質、特に毛髪に、2つの組成物を経時的に逐次又は別々に適用することを含む美容方法に関し、該組成物の一方は一又は複数のPA型ポリマーを含有し、他方は一又は複数のPB型ポリマーをそれぞれ含有し、PA及びPBポリマーは相補的化学官能基を有している。
本発明のさらに他の主題は、毛髪にコートを生成するための、これらの方法の使用に関する。
【0005】
本発明では、基A及びBからそれぞれ誘導される化学官能基を担持しているポリマーPA及びPBが相補的化学官能基を有しているかどうか決定するために、以下に記載するテストを実施するが、操作(1)ないし(4)は室温で実施する:
(1) 水、エタノール、エステル及びケトンから選択される溶媒、好ましくは水中に、溶液の全重量に対するポリマーの含有重量が10%〜50%で入れた、ポリマーPA溶液0.25グラムをガラススライドに適用し;
(2) 乾燥付着物が得られるまでポリマーPAの溶媒を蒸発させ;
(3) 水、エタノール、エステル及びケトンから選択される溶媒、好ましくは水中に、溶液の全重量に対するポリマーPBの含有重量が10%〜50%で入れた、ポリマーPB溶液0.25グラムを、ポリマーPAで既に被覆されているスライドに適用し;
(4) 乾燥付着物が得られるまでポリマーPBの溶媒を蒸発させ;
(5) ポリマーPA及びPBで被覆されたガラススライドを、100℃の温度のチャンバー内に120分間配し;
(6) 操作(1)及び(3)で使用した溶媒が異なる場合は、操作(1)ないし(5)を二度目として繰り返し;
(7) 得られた固形物を、操作(1)で使用した10グラムの溶媒中に完全に浸し;
(8) 操作(1)及び(3)で使用した溶媒が異なる場合は、操作(6)で得られた固形物を、操作(3)で使用した10グラムの溶媒中に浸し;
(9) 少なくとも50重量%の該固形物が、室温で攪拌しないで、3日後でも操作(7)及び(8)の溶媒に溶解しないならば、ポリマーPA及びPBを「相補的化学官能基を有するポリマー」とする。
工程(1)及び(3)において、溶液が水性である場合、溶液は好ましくは本発明の組成物が使用されるpHに調節する。
【0006】
何らかの理論に拘束されることを望むものではないが、本出願人は、不溶性の固形付着物が、ポリマーPAとPBとの間に共有結合が形成された(置換反応、炭素-炭素又は炭素-ヘテロ原子の二重又は三重結合に対する付加反応、又は環開裂反応等)ことを反映していると考えており、さらにケースに応じて、これら共有結合の形成が生じたか否か、またその程度を評価するために、当業者に公知の特徴付け技術、例えば赤外線又はESCA(XPS)分光法が使用される。
【0007】
基Aの化学官能基は、次の官能基:
−エポキシド、
−アジリジン、
−ビニル及び活性化ビニル、特にアクリロニトリル、アクリル酸及びメタクリル酸エステル、クロトン酸及びそのエステル、ケイ皮酸及びそのエステル、スチレン及びその誘導体、ブタジエン、ビニルエーテル、ビニルケトン、マレイン酸エステル、ビニルスルホン及びマレイミド、
−無水物、酸塩化物及びカルボン酸エステル、
−アルデヒド、
−アセタール、ヘミアセタール、
−アミナール、ヘミアミナール、
−ケトン、α-ヒドロキシケトン、α-ハロケトン、
−ラクトン、チオラクトン、
−イソシアナート、
−チオシアナート、
−イミン、
−イミド、特にスクシンイミド及びグルチミド(glutimide)、
−N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、
−イミダート、
−チオスルファート、
−オキサジン及びオキサゾリン、
−オキサジニウム及びオキサゾリニウム、
−X=I、Br又はClである式RXのC6−C30アリール又はアラルキルハロゲン化物又はC1−C30アルキルハロゲン化物、
−クロロトリアジン、クロロピリミジン、クロロキノキサリン又はクロロベンゾトリアゾール等の、不飽和炭素ベース環又は複素環のハロゲン化物、
−スルホニルハロゲン化物:RSOCl又はFで、RがC1−C30アルキルであるもの、
から選択される。
【0008】
基Bの化学官能基は、X=O、N、S、COOであり、n=1又は2である官能基XH、特にアルコール、アミン、チオール及びカルボン酸から選択される。
【0009】
本発明は、光活性化化学官能基を有するポリマー、すなわち200〜800nmの波長を照射すると、一又は複数の段階で、新規な共有結合を形成する化学官能基を有するポリマーを含まない。
よって、本発明の製品は、2つのポリマーが組成物中においては互いに不活性なままであるが、毛髪に組成物を適用した後に反応して共有結合を形成するように、化粧品的に許容可能な媒体が選択される限りにおいて、相補的化学官能基を有する少なくとも2種のポリマーPA及びPBを組み合わせて含有する組成物の形態をとりうる。
また本発明の製品は、組成物を組み合わせた形態、特に少なくとも2つの区画を有するキットの形態をしており、第1の区画は少なくとも1種のポリマーPAを含有する組成物を収容しており、第2の区画は少なくとも1種のポリマーPBを収容しており、PA及びPBは、化粧品的に許容可能な媒体中に、同一又は異なっていてもよい相補的化学官能基を有する。
本発明の製品が組成物の組み合わせの形態、特にキットである場合、基本組成物は経時的に逐次又は別々に使用され、これらの組成物の適用が一又は複数回行われる。
【0010】
化学基Aは、自然に、又は温度、pH、共試薬(co-reagent)又は化学もしくは生化学用触媒、例えば酵素による活性化を介して、基Bと反応しうる。
好ましくは、基Aの化学官能基は無水物、エポキシド、クロロトリアジン、アルデヒド及びチオスルファート基から選択され、基Bの化学官能基はヒドロキシル、第1級及び第2級アミン、チオール及びカルボン酸官能基から選択される。
有利には、PA型又はPB型の各ポリマーは、A又はB型の少なくとも2つの同一の化学官能基を含む。
【0011】
本発明のポリマーは、基A及びBのもの以外の化学官能基を有していてもよい。
好ましくは、無水物化学官能基を担持するポリマーは、カルボン酸官能基を有さない。
「ポリマー」なる用語は、共有結合により結合する少なくとも5つの繰り返し単位を有する化合物を意味する。
ポリマーは、
− フリーラジカル反応(ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリビニル等)
− 縮合反応(ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリジメチルシロキサン、ポリペプチド等)、
− 環開裂反応(ポリエステル等)、
により合成することができる。
【0012】
天然、化学的に変性した又は未変性由来のもの、例えば多糖類(セルロース、デキストラン、キトサン又はグアー、及びそれらのヒドロキシアルキル、カルボキシメチル、アミノ又はチオール誘導体、又はアルデヒドもしくはエポキシ官能基を有するそれらの誘導体)であってよい。
ポリマーは、任意の種類のトポロジーのもの:直鎖状、分枝状、星爆発型又は多分枝状(hyperbranched)(例えば樹状)鎖、ブロック、ランダム又は交互(alternating)鎖であってよい。
【0013】
化学基は、当然にポリマー鎖上、鎖末端、主鎖又は第2鎖に沿ってグラフトして、又は星爆発又は多分枝状ポリマーの分枝上に存在しうる。
各ポリマーは、A又はB型の少なくとも1つの化学基を有する。
好ましくは、各ポリマーは、少なくとも2つの他のポリマーと結合するために、少なくとも2つの同一の化学基(A、A又はB、B)を有する。
【0014】
次の組み合わせのポリマーが好ましい:
− 無水物、特にマレイン酸単位を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと組み合わせての、一又は複数の世代のOH、NH、SH又はCOOH末端基を有するデンドリマー、
− 無水物、特にマレイン酸単位を有するポリマー、又はエポキシド基を有するポリマーと組み合わせての、ポリビニルアルコール等のヒドロキシル官能基を有する合成ポリマー、
− 無水物、特にマレイン酸単位を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと組み合わせてのポリエチレンイミン、
− 無水物、特にマレイン酸単位を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと組み合わせての、ロレアル社の仏国特許第2772770号に記載されているもののような、γ-ブチロラクトンとポリエチレンイミンとを反応させて得られるポリエチレンイミンチオール、
− 無水物、特にマレイン酸単位を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと組み合わせての、ポリリジン等の、遊離のOH、NH、SH又はCOOH基を有するポリアミノ酸、
− 無水物、特にマレイン酸単位を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと組み合わせての、OH、NH、SH又はCOOH官能基を有する天然又は変性多糖類、
− アミノデキストラン、キトサン及びカルボキシメチルキトサン等のキトサン誘導体、ポリリジン、ポリエチレンイミン等の、OH、NH、SH又はCOOH官能基を有する合成又は天然ポリマーと組み合わせての、アルデヒド官能基を有する天然又は変性多糖類、
− アミノデキストラン、キトサン及びカルボキシメチルキトサン等のキトサン誘導体、ポリリジン、ポリエチレンイミン等の、OH、NH、SH又はCOOH官能基を有する合成又は天然ポリマーと組み合わせての、エポキシ官能基を有する天然又は変性多糖類、
− エステラーゼ、リパーゼ又はプロテアーゼ等の酵素、塩基、酸、カルボジイミドの存在下で、OH、NH又はSH官能基を有する合成又は天然ポリマーと組み合わせての、カルボン酸官能基を有する天然又は合成ポリマー。
【0015】
例えば、限定するものではないが、次の反応性ポリマーを挙げることができる:
基Aの官能基を有するポリマー
− 例えば特にISP社からガントレズ(Gantrez)の名称で販売されている、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸のコポリマー、
− 特にポリサイエンス社(Polysciences)から販売されている、ポリグリシジルメタクリラート、
− 特にシンエツ社(Shinetsu)から販売されている(参照符号X-2Z-173FX又はDX)、グリシジル-ポリジメチルシロキサン、
− 例えば、ハーキュレス社(Hercules)からデルセット(Delsette)101又はキメン(Kymene)450の名称で販売されているエポキシ-ポリアミドアミン、
− エポキシデキストラン、
− NaIOで多糖類を酸化することにより得られたポリアルデヒド及び多糖類(既知の方法、バイオ共役(Bioconjugate)技術;Hermanson GT, Academic Press, 1996)
【0016】
基Bの官能基を有するポリマー
− 特に、デンドリテック社(Dendritech)、DSM社、シグマ-アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)から販売されているPAMAMデンドリマー(星爆発型、PAMAMデンドリマー、デンドリテック社のG(2,0))、
− 特に、パーストロプ社(Perstorp)、DSM社から販売されている、ヒドロキシル官能基を有するデンドリマー(例えば:HBP TMPコア2・ジェネレーション・パーストロプ)、
− 特にBASF社からルパソール(Lupasol)の名称で販売されているPEI(ポリエチレンイミン)、
− PEI-チオール、
− 特にチッソ社(Chisso)から販売されているポリリジン、
− HPセルロース、例えばアクアロン社(Aqualon)のクリューセル(Klucel)EF、
− 例えばカーボマー(Carbomer)によって販売されているアミノデキストラン、
− アミノセルロース、例えばBASF社の国際公開第01/25283号に記載されているもの、
− PVA(ポリビニルアセタール)、例えばエア・プロダクツ・ケミカル社(Air Products Chemical)のエアボル(Airvol)540、
− 例えばカーボマーによって販売されている、アミノPVA、
− キトサン、
− 例えばフルカ社(Fluka)から販売されているCM又はHPデキストラン、
− 例えばフルカ社から販売されているCM又はHPキトサン
基Aを有する少なくとも1つのポリマーと、基Bを有する少なくとも1つのポリマーの全ての組み合わせは、上述した例に限定されるものではない。
【0017】
基A及びBから誘導された化学官能基をそれぞれ担持するポリマーPA及びPBは、例えば次のプロトコルに従い、互いに反応して共有結合を形成する。
適用方法の変形例
a)種々のポリマー間の反応が室温で自発的に生じるが、希釈液中のそれらの混合物が安定している場合、化粧品的に許容可能な揮発性溶媒にポリマーを含有する溶液は、物質に直接適用され、溶媒の蒸発中に架橋反応が生じる。ポリマー付着物は不溶性で、物質上に残る。
b)種々のポリマー間の反応に活性化が必要となる場合、ポリマー混合物を物質に適用し、温度上昇、pH調節剤の添加、又は共試薬又は触媒の添加により、付着物を架橋させる。
c)有利には、ポリマーの一つが物質と特に親和性があり、この第1のポリマーが化粧品的に許容可能な揮発性溶媒を介して物質に最初に付着し、ついで、第1のポリマーと反応可能なポリマー(類)を化粧品的に許容可能な揮発性溶媒を介して付着させる。そして、化学反応は、乾燥の過程で自発的に生じるか、熱の供給、pH変化、又は共試薬又は触媒の添加により誘発されてもよい。この場合、本発明の製品は一般的にキットである。このようにして形成された架橋付着物には、期待される低溶解度を有しているといった利点がある。さらに、物質表面との親和性が良好で、全体的に付着物の良好な残留性が確保される。
層になったこの種の付着物は、付着物の上部を構成するポリマーの化粧品特性又は光学特性を保護するために有利である。
同様の方法に従い、互いに架橋したポリマー層の複数の重合層を生成させ、所望の種類(化学的性質、機械的強度、厚み、外観、感触等)の付着物にすることができる。
【0018】
A型ポリマー及び/又はB型ポリマーを送達する化粧品的に許容可能な媒体は、相補的化学官能基を有するポリマーが、毛髪に化粧品用組成物を適用した後に、互いに反応して共有結合を形成可能なように選択される。好ましくは、化粧品的に許容可能な媒体は、pH調節剤、共試薬及び触媒から選択される適切な活性剤を含有する。
次のものが有利に選択される:
− pH調節剤として:無機又は有機の性質の酸又は塩基;
− 共試薬として:カルボジイミド、酸化剤又は還元剤;
− 触媒として:酵素。
【0019】
本発明の方法は、毛髪に上述した化粧品用組成物を適用することを含む。
有利には、pH変化を引き起こし、及び/又は温度を上昇させ、及び/又は一又は複数の添加剤を添加し、及び/又はすすぐことからなる付加的な操作が含まれる。
【0020】
本発明の一実施態様では、手入れ、染色、パーマネントウエーブによる成形、毛髪のメークアップ、ヘアスタイルの固定及び/又はヘアスタイルの保持のための組成物が、本発明の製品を適用する前に適用される。
相補的化学官能基を有するポリマー(類)は、本発明の組成物の全重量に対して、好ましくは0.05〜50重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.25〜10重量%の濃度で存在する。
本発明の相補的官能基を有するポリマー(類)を含有する組成物は、有利には、固定用ポリマー、増粘剤、アニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤、香料、防腐剤、サンスクリーン剤、タンパク質、ビタミン類、プロビタミン類、アニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性の非固定用ポリマー、鉱物性、植物性又は合成油、セラミド類、擬似セラミド類、揮発性又は非揮発性、直鎖状又は環状、変性又は未変性のシリコーン類、pH調節剤、酸化剤、還元剤、阻害剤、触媒及び化粧品用組成物に従来から使用されている任意の他の添加剤から選択される、従来からの化粧品用添加剤をさらに含有する。
【0021】
化粧品的に許容可能な媒体は、好ましくは、水及び/又は一又は複数の化粧品的に許容可能な溶媒、例えばアルコール、エステル、ケトン又は環状で揮発性のシリコーン類、又は水/溶媒の混合物からなり、これらの溶媒は好ましくはC-Cアルコールである。
本発明の組成物(類)がエアゾール装置に包装される場合、それは、揮発性炭化水素、例えばn-ブタン、プロパン、イソブタン、ペンタン及びハロゲン化炭化水素、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の噴霧剤を含有する。噴霧剤として、二酸化炭素、亜酸化窒素、ジメチルエーテル(DME)、窒素又は圧縮空気を使用してもよい。噴霧剤の混合物を使用することもできる。ジメチルエーテルが好ましく使用される。
有利には、噴霧剤は、エアゾール装置の組成物の全重量に対して5〜90重量%、特に10〜60重量%の濃度で存在している。
本発明の製品は、湿った又は乾燥した毛髪に適用してよい。
【実施例】
【0022】
次の非限定的実施例により、本発明をさらに詳しく例証する。
実施例:
組成物A:デンドリテック社から水溶液として販売されている星爆発型PAMAMデンドリマー、世代2
組成物B:ISP社から販売されているガントレズS-97BFの5%水溶液
組成物C:2つの試薬の混合物
−組成物A:50g
−組成物B:50g
組成物D:化粧品用活性剤(パンテノール)と2つの試薬の混合物
−組成物A:45g
−パンテノール:1g
−水:全体を50gにする量
化粧品用活性剤:パンテノール
【0023】
連続適用のプロトコル
重量が2.7gのナチュラルな毛髪について、この方法を実施した。
0.3gの組成物Aを、洗浄して乾燥させた毛髪に適用し、続いて0.25gの組成物Bを適用した。ヘアドライヤーを45分間使用し付着物を乾燥させ、ついで毛髪の束を、100℃で2時間放置した。
このようにして物質上に生成された付着物は10回のシャンプーでも残存していた。
適用及び熱処理の直後、コートの厚み及び被覆度合いを観察したところ、毛髪の鱗片は完全に覆われていた。10回のシャンプー後、コートは、特に末端において明らかに薄くなっているが、まだ毛髪ははっきりと被覆されていた。
【0024】
単一適用のプロトコル
重量が2.7gのナチュラルな毛髪について、この方法を実施した。
0.5gの組成物Cを、洗浄して乾燥させた毛髪に適用した。ヘアドライヤーで45分間、付着物を乾燥させ、ついで毛髪の束を、100℃で2時間放置した。
このようにして物質上に生成された付着物は10回のシャンプーでも残存していた。
【0025】
架橋した付着物への化粧品用活性剤の包含
重量が2.7gのナチュラルな毛髪について、この方法を実施した。
0.3gの組成物Dを、洗浄して乾燥させた毛髪に適用し、次いで、0.25gの組成物Bを適用した。ヘアドライヤーで45分間、付着物を乾燥させ、ついで毛髪の束を、100℃で2時間放置した。
このようにして物質上に生成された付着物は10回のシャンプーでも残存しており、パンテノールを含有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一でも異なっていてもよい非光活性化基A及びBから誘導される化学官能基をそれぞれ担持する少なくとも1種のポリマーPAと少なくとも1種のポリマーPBとを含有する化粧品用組成物において、
(i)基A及びBから誘導される化学官能基が相補的化学官能基であり、
(ii)ポリマーPA及びPBは、
(a)毛髪等のケラチン物質に化粧品用組成物を適用する前には、互いに反応して共有結合を形成することはなく、
(b)毛髪等のケラチン物質に化粧品用組成物を適用した後に、互いに反応して共有結合を形成可能であり;
基Aの化学官能基が、次の官能基:
−エポキシド、
−アジリジン、
−ビニル及び活性化ビニル、特にアクリロニトリル、アクリル酸及びメタクリル酸エステル、クロトン酸及びそのエステル、ケイ皮酸及びそのエステル、スチレン及びその誘導体、ブタジエン、ビニルエーテル、ビニルケトン、マレイン酸エステル、ビニルスルホン及びマレイミド、
−無水物、酸塩化物及びカルボン酸エステル、
−アルデヒド、
−アセタール、ヘミアセタール、
−アミナール、ヘミアミナール、
−ケトン、α-ヒドロキシケトン、α-ハロケトン、
−ラクトン、チオラクトン、
−イソシアナート、
−チオシアナート、
−イミン、
−イミド、特にスクシンイミド及びグルチミド、
−N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、
−イミダート、
−チオスルファート、
−オキサジン及びオキサゾリン、
−オキサジニウム及びオキサゾリニウム、
−X=I、Br又はClである式RXのC6−C30アリール又はアラルキルハロゲン化物又はC1−C30アルキルハロゲン化物、
−クロロトリアジン、クロロピリミジン、クロロキノキサリン又はクロロベンゾトリアゾール等の、不飽和炭素ベース環又は複素環のハロゲン化物、
−スルホニルハロゲン化物:RSOCl又はFで、RがC1−C30アルキルであるもの、
から選択され、
基Bの化学官能基が、アルコール、アミン、チオール及びカルボン酸等の、X=O、N、S、COOで、n=1又は2である官能基XHから選択されることを特徴とする組成物。
【請求項2】
基Aの化学官能基が、無水物、エポキシド、クロロトリアジン、アルデヒド及びチオスルファート官能基から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
基Bの化学官能基が、ヒドロキシル、第1級及び第2級アミン、チオール及びカルボン酸官能基から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
PA型及びPB型の各ポリマーが、A又はB型の少なくとも2つの同一の化学官能基を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーPA及びPBが、次の組み合わせ:
− マレイン酸単位等の無水物を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと、一又は複数の世代にOH、NH、SH又はCOOH末端基を有するデンドリマーとの組み合わせ、
− マレイン酸単位等の無水物を有するポリマー、又はエポキシド基を有するポリマーと、ポリビニルアルコール等のヒドロキシル官能基を有する合成ポリマーとの組み合わせ、
− マレイン酸単位等の無水物を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと、ポリエチレンイミンとの組み合わせ、
− マレイン酸単位等の無水物を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと、γ-ブチロラクトンとポリエチレンイミンとが反応して得られるポリエチレンイミンチオールとの組み合わせ、
− マレイン酸単位等の無水物を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと、ポリリジン等の、遊離のOH、NH、SH又はCOOH基を有するアミノ酸との組み合わせ、
− マレイン酸単位等の無水物を有するポリマー、又はエポキシド及び/又はアルデヒド基を有するポリマーと、OH、NH、SH又はCOOH官能基を有する天然又は変性多糖類との組み合わせ、
− OH、NH、SH又はCOOH官能基を有する合成又は天然ポリマーと、アルデヒド官能基を有する天然又は変性多糖類との組み合わせ、
− OH、NH、SH又はCOOH官能基を有する合成又は天然ポリマーと、エポキシ官能基を有する天然又は変性多糖類との組み合わせ、
− エステラーゼ、リパーゼ又はプロテアーゼ等の酵素、塩基、酸、カルボジイミドの存在下で、OH、NH又はSH官能基を有する合成又は天然ポリマーと、カルボン酸官能基を有する天然又は合成ポリマーとの組み合わせ、
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
基Aの化学官能基を有するポリマーが、以下に列挙する:
− メチルビニルエーテル/無水マレイン酸のコポリマー、
− ポリグリシジルメタクリラート、
− グリシジル-ポリジメチルシロキサン、
− エポキシ-ポリアミドアミン、
− エポキシデキストラン、
− NaIOで多糖類を酸化することにより得られたポリアルデヒド及び多糖類、
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
基Bの化学官能基を有するポリマーが、以下に列挙する:
− PAMAMデンドリマー、
− ヒドロキシル官能基を有するデンドリマー、
− PEI(ポリエチレンイミン)、
− PEI-チオール、
− ポリリジン、
− HPセルロース、
− アミノデキストラン、
− アミノセルロース、
− PVA(ポリビニルアセタール)、
− アミノPVA、
− キトサン、
− CM又はHPデキストラン、
− CM又はHPキトサン、
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
相補的化学官能基を有するポリマーが、組成物の全重量に対して0.05〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.25〜10重量%の濃度で存在することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
固定用ポリマー、増粘剤、アニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤、香料、防腐剤、サンスクリーン剤、タンパク質、ビタミン類、プロビタミン類、アニオン性、非イオン性、カチオン性又は両性の非固定用ポリマー、鉱物性、植物性又は合成油、セラミド類、擬似セラミド類、揮発性又は非揮発性、直鎖状又は環状で変性又は未変性のシリコーン類、pH調節剤、酸化剤、還元剤、阻害剤、触媒及び化粧品用組成物に従来から使用されている任意の他の添加剤から選択される、従来からの化粧品用添加剤をさらに含有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
化粧品的に許容可能な媒体が、水及び/又はアルコール、エステル、ケトン又は環状で揮発性のシリコーン類又は水/溶媒の混合物等の一又は複数の化粧品的に許容可能な溶媒からなることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物を適用することを含むことを特徴とする美容的ヘアケア方法。
【請求項12】
組成物の活性化のために、温度変化等の外的活性化を用いることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
手入れ、染色、パーマネントウエーブによる成形、毛髪のメークアップ、ヘアスタイルの固定及び/又は保持のための組成物を、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物を適用する前に適用することを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つの区画を有し、第1の区画には少なくとも1つのポリマーPAを含有する組成物を収容し、第2の区画には少なくとも1つのポリマーPBを収容しており、PA及びPBが、化粧品的に許容可能な媒体において、同一又は異なっていてもよい相補的化学官能基を有することを特徴とするキット。
【請求項15】
2つの組成物を毛髪等のケラチン物質に経時的に逐次又は別々に適用することを含み、一方がPA型の一又は複数のポリマーを含有し、他方がPB型の一又は複数のポリマーを含有し、PA及びPBがそれぞれ相補的化学官能基を有するポリマーであることを特徴とする美容方法。
【請求項16】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項14に記載のキット、又は請求項11ないし13又は15のいずれか1項に記載の方法の、毛髪にコートを形成させるための使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一でも異なっていてもよい非光活性化基A及びBから誘導される化学官能基をそれぞれ担持する少なくとも1種のポリマーPAと少なくとも1種のポリマーPBとを含有する化粧品用組成物において、
(i)基A及びBから誘導される化学官能基が相補的化学官能基であり、
(ii)ポリマーPA及びPBは、
(a)毛髪等のケラチン物質に化粧品用組成物を適用する前には、互いに反応して共有結合を形成することはなく、
(b)毛髪等のケラチン物質に化粧品用組成物を適用した後に、互いに反応して共有結合を形成可能であり;
基Aの化学官能基が、次の官能基:
−エポキシド、
−アジリジン、
−ビニル及び活性化ビニル、特にアクリロニトリル、アクリル酸及びメタクリル酸エステル、クロトン酸及びそのエステル、ケイ皮酸及びそのエステル、スチレン及びその誘導体、ブタジエン、ビニルエーテル、ビニルケトン、マレイン酸エステル、ビニルスルホン及びマレイミド、
−無水物、酸塩化物及びカルボン酸エステル、
−アルデヒド、
−アセタール、ヘミアセタール、
−アミナール、ヘミアミナール、
−ケトン、α-ヒドロキシケトン、α-ハロケトン、
−ラクトン、チオラクトン、
−イソシアナート、
−チオシアナート、
−イミン、
−イミド、特にスクシンイミド及びグルチミド、
−N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、
−イミダート、
−チオスルファート、
−オキサジン及びオキサゾリン、
−オキサジニウム及びオキサゾリニウム、
−X=I、Br又はClである式RXのC6−C30アリール又はアラルキルハロゲン化物又はC1−C30アルキルハロゲン化物、
−クロロトリアジン、クロロピリミジン、クロロキノキサリン又はクロロベンゾトリアゾール等の、不飽和炭素ベース環又は複素環のハロゲン化物、
−スルホニルハロゲン化物:RSOCl又はFで、RがC1−C30アルキルであるもの、
から選択され、
基Bの化学官能基が、アルコール、アミン、チオール及びカルボン酸等の、X=O、N、S、COOで、n=1又は2である官能基XHから選択されることを特徴とする組成物。

【公開番号】特開2006−36794(P2006−36794A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304919(P2005−304919)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【分割の表示】特願2002−367352(P2002−367352)の分割
【原出願日】平成14年12月18日(2002.12.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】