説明

省エネルギーモードにある第1の基地局を別の動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する方法

【課題】無線セルラ通信ネットワークで、省エネルギーモードにある第1の基地局を、第1の基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する方法を提供する。
【解決手段】移動端末が第2の基地局によってハンドリングされている現状において、第2の基地局及び移動端末の間の経路利得と第1の基地局及び移動端末の間の経路利得とを表す情報を得るステップと、経路利得を表す情報から、第1の基地局及び第2の基地局が移動端末をハンドリングでき且つ第1の基地局によって転送される信号の送信電力を確定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、無線セルラ通信ネットワークにおいて、省エネルギーモードにある第1の基地局を、第1の基地局が移動端末をハンドリング(handle)できる動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する方法及び装置に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、無線セルラ通信ネットワークの基地局の動作を管理する分野にある。
【背景技術】
【0003】
基地局の動作の管理によって、無線セルラ通信ネットワークが消費する電力を低減することが可能である。
【0004】
基地局の動作の管理の本質は、省エネルギーモードにある基地局を切り替えるか否かにある。この切り替えは、例えば、基地局の負荷及び/又は周囲の基地局の負荷である少なくとも1つの基準に従って実行される。
【0005】
例えば、基地局がいずれの移動端末もハンドリングしていない場合、その基地局を省エネルギーモードに設定することができ、この省エネルギーモードでは、基地局は、無線信号を低電力レベル、すなわち最高でも公称無線信号送信電力の60%で転送するか、又は無線信号の送信を中断する。
【0006】
例えば、夜間、無線セルラ通信ネットワークがカバーする領域によっては、移動端末が少数であるか、又は全く存在しないことがある。その基地局又はそれらの領域内の1つ若しくは複数のセルを管理する各基地局を省エネルギーモードに切り替えることによって、無線セルラ通信ネットワークにより提供されるサービス品質を低下させることなく、エネルギーが節減される。
【0007】
移動端末が、省エネルギーモードにある基地局の近傍領域に達した場合、又は省エネルギーモードにある基地局の周囲の基地局の負荷が高い場合、省エネルギーモードにある基地局を通常動作モードに切り替えるべきであり、この通常動作モードは、上記移動端末又は周囲の基地局がハンドリングしている他の移動端末を、省エネルギーモードにある基地局がハンドリングできるようにするものである。
【0008】
図1a及び図1bは、基地局の省エネルギーモードから通常動作モードへのそのような従来の切り替えの例を表す。
【0009】
明確にするために、3つの基地局BS1〜BS3が図1に示されるが、無線セルラ通信ネットワークは、より多数の基地局BSを含み得る。
【0010】
図1aでは、基地局BS2が省エネルギーモードにあり、基地局BS1及びBS3は通常動作モードにある。
【0011】
基地局BS1は、セルCE1a内で信号を転送し受信する。
【0012】
基地局BSのセルCEとは、基地局のそのセル内に配置された移動端末を基地局BSがハンドリングすることができる、すなわち、基地局のそのセル内に配置された移動端末が基地局BSを通して遠隔にある通信装置との通信を確立することができる領域である。
【0013】
移動端末MT1、MT2、MT3及びMT4が、基地局BS1のセルCE1a内に位置している。
【0014】
基地局BS3は、セルCE3a内の信号を転送し受信する。
【0015】
移動端末MT5が、基地局BS3のセルCE3a内に位置している。
【0016】
図1aの例によれば、移動端末MT2は、セルCE1aの縁に位置しており、ARと記される矢印で示されるように、セルCE1aから出て、基地局BS2が仮に通常動作モードであれば基地局BS2がカバーすることができていた領域に入る。
【0017】
その場合、基地局BS2を通常動作モードに切り替え、例えば、無線プランニング技術(radio planning techniques)に従って定義されているか又は基地局BS2の不揮発性メモリに記憶されている公称送信電力での無線信号の転送を開始することが決定される。
【0018】
図1bでは、基地局BS1、BS2及びBS3は通常動作モードにある。
【0019】
図1bに示されるように、通常動作モードの送信電力での基地局BS2による無線信号の送信は、基地局BS1及びBS3のセルCE1b及びCE3bによってカバーされる領域を狭める。
【0020】
基地局BS2が公称送信電力での信号の転送を開始すると、基地局BS2によって転送される信号は、基地局BS1及びBS3によって転送される信号と干渉する。
【0021】
図1bの例によれば、基地局BS2が通常動作モードに切り替えられると、移動端末MT1、MT2及びMT4は、基地局BS1のセルCE1bによってもはやカバーされない。
【0022】
信号受信状況のそのような急な変更は、仮に移動端末MT1、MT2及びMT4のうちの1つが、基地局BS1を通しての遠隔の通信装置との通信に関わっているとすれば、通信の急な中断を生じさせる恐れがある。
【0023】
図1bの例によれば、信号受信状況の急な変更によって、移動端末MT1がもはやいずれのセルにも含まれなくなる。
【0024】
基地局BS2の通常動作モードへの切り替えは、無線セルラ通信ネットワークのサービス品質を低下させる。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、省エネルギーモードにある基地局を、電気エネルギー消費電力を低減しながらも、基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替える必要がある場合に、無線セルラ通信ネットワークのサービス品質が維持される無線セルラ通信ネットワークの提供を目的とする。
【0026】
この目的のために、本発明は、無線セルラ通信ネットワークで、移動端末が現状で第2の基地局によってハンドリングされており、省エネルギーモードにある第1の基地局を第1の基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する方法に関する。この方法は、
第2の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報を得るステップと、
第1の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報を得るステップと、
第1の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報と第2の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報とから、第1の基地局及び第2の基地局が移動端末をハンドリングでき且つ第1の基地局によって転送される信号の送信電力を確定するステップと
を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明は、無線セルラ通信ネットワークで、移動端末が現状で第2の基地局によってハンドリングされており、省エネルギーモードにある第1の基地局を第1の基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する装置にも関する。この装置は、
第2の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報を得る手段と、
第1の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報を得る手段と、
第1の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報と第2の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報とから、第1の基地局及び第2の基地局が移動端末をハンドリングでき且つ第1の基地局によって転送される信号の送信電力を確定する手段と
を備えることを特徴とする。
【0028】
それ故、省エネルギーモードにある第1の基地局が、移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替えられる場合、無線セルラ通信ネットワークのサービス品質は維持される。
【0029】
特定の特徴によれば、第1の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報を得るステップと上記確定するステップとは、第2の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報の値に従って実行される。
【0030】
それ故、移動端末が第2の基地局によってハンドリングされることが可能な限り、省エネルギーモードの基地局は省エネルギーモードのままである。エネルギー節減が最大限になる。
【0031】
特定の特徴によれば、第2の基地局は、移動端末によって転送され且つ第1の基地局によって受信される信号の電力を監視するように第1の基地局に要求するメッセージを送信し、メッセージは、移動端末によって転送される信号の送信電力をさらに含み、第1の基地局及び移動端末の間の経路利得を表す情報は、第1の基地局によって確定される。
【0032】
それ故、第2の基地局は、通常動作モードに第1の基地局がある場合に信号の送信に第1の基地局が使用する公称送信電力を認知している必要がない。
【0033】
特定の特徴によれば、第2の基地局は、移動端末によって転送され且つ第1の基地局によって受信される信号の電力を応答して転送するように第1の基地局に要求するメッセージを転送し、第1の基地局及び第2の基地局が移動端末をハンドリングでき且つ第1の基地局によって転送される信号の送信電力は、第2の基地局によって確定される。
【0034】
それ故、第2の基地局によって第1の基地局に提供されるパラメータの数が最低限に抑え得られる。
【0035】
特定の特徴によれば、第2の基地局は、移動端末によって転送され且つ第1の基地局によって受信される信号の電力を監視するように第1の基地局に要求するメッセージを転送し、第1の基地局によって転送される信号の送信電力は、第1の基地局によって確定される。
【0036】
それ故、第1の基地局によって第2の基地局に提供されるパラメータの数が最低限に抑えられる。
【0037】
特定の特徴によれば、メッセージが移動端末に転送され、メッセージは、移動端末によって受信され且つ第1の基地局によって転送される信号の電力を表す情報を転送するように移動端末に要求し、第1の基地局及び第2の基地局が移動端末をハンドリングできる信号を第1の基地局が転送する場合、第1の基地局によって転送される信号の送信電力は、第1の基地局によって転送され且つ移動端末によって受信される信号の電力と第2の基地局によって転送され且つ移動端末によって受信される信号の電力とから、第2の基地局によって確定される。
【0038】
それ故、第1の基地局は、移動端末からの信号を監視する必要がない。
【0039】
特定の特徴によれば、メッセージを移動端末に送信する前に、第2の基地局は、第1の基地局が移動端末をハンドリングできない送信電力で信号を転送するように第1の基地局に要求するメッセージを転送する。
【0040】
それ故、第1の基地局は、信号を送信しない省エネルギー状態により長く留まる。
【0041】
特定の特徴によれば、送信電力は、第1の基地局の送信電力の増加因子又は減少因子として計算される。
【0042】
特定の特徴によれば、閾値は、移動端末に対して確定される信号対干渉雑音比の値から確定される。
【0043】
それ故、閾値を各移動端末にあわせて適合させることができる。
【0044】
特定の特徴によれば、信号対干渉雑音比の値は、移動端末に提供すべきサービス品質に従って確定される。
【0045】
それ故、移動端末の進行中の通信に対する影響が抑えられる。
【0046】
特定の特徴によれば、移動端末が第2の基地局から受信する信号の電力が閾値以下である場合、移動端末に提供するサービス品質が向上する、並びに/又は、移動端末が第2の基地局から受信する信号の電力が閾値以下である場合、移動端末にはよりロバストな(robust)変調及びコード体系(coding scheme)が割り当てられる。
【0047】
それ故、移動端末は、第2の基地局によってより長くサービスを受けることができる。
【0048】
特定の特徴によれば、第2の基地局に隣接した複数の基地局が省エネルギーモードにあり、第2の基地局に隣接した各基地局にメッセージが転送され、メッセージは、移動端末によって転送され且つ第1の基地局によって受信される信号の電力を監視するように要求し、この方法が、第2の基地局に隣接した基地局の中から、移動端末によって転送される信号を最大の電力で受信する基地局として、第1の基地局を選択するステップをさらに含む。
【0049】
それ故、省エネルギー状態から動作モードに切り替えられる基地局の数が制限され、省エネルギー利得が増大する。
【0050】
特定の特徴によれば、第2の基地局に隣接した複数の基地局が省エネルギーモードにあり、メッセージが、移動端末によって受信され且つ第2の基地局に隣接した各基地局によって転送される信号の電力を表す情報を転送するように移動端末に要求し、この方法は、第2の基地局に隣接した基地局の中から、移動端末によって受信される信号を最大の電力で転送する基地局として、第1の基地局を選択するステップをさらに含む。
【0051】
特定の特徴によれば、第2の基地局が、移動端末を識別する情報を第1の基地局に転送し、移動端末を識別する情報が、第2の基地局によって移動端末に割り当てられるセル無線ネットワーク一時識別子、又は第2の基地局によって移動端末に割り当てられる専用パイロットシーケンス及び時間/周波数パターン、又は移動端末から第2の基地局への初期送信のコンテンションベースチャネルである。
【0052】
それ故、第1の基地局は、第2の基地局によって送信された信号からデータを復号化する必要がない。
【0053】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラム可能なデバイスに直接ロード可能なコンピュータプログラムに関し、このコンピュータプログラムは、プログラム可能なデバイスで実行された場合、本発明による方法の各ステップを実施するための命令又はコードの部分を含む。
【0054】
コンピュータプログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上述した特徴及び利点と同じであるため、ここで繰り返さない。
【0055】
本発明の特徴は、例示的な実施形態の以下の説明を読むことでより明確になり、この説明は、添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1a】基地局の省エネルギーモードから通常動作モードへの従来の切り替えの一例を表す図である。
【図1b】基地局の省エネルギーモードから通常動作モードへの従来の切り替えの一例を表す図である。
【図2】本発明による基地局の省エネルギーモードから動作モードへの切り替えの一例を表す図であり、動作モードは、現在は別の基地局によってハンドリングされている少なくとも1つの移動端末が、上記基地局によってハンドリングされることをできるようにするものである。
【図3】本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図4】基地局が省エネルギーモードの基地局に囲まれている場合の本発明の第1の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図5】本発明の第1の実現モードによる省エネルギーモードにある基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図6】基地局が省エネルギーモードの基地局に囲まれている場合の本発明の第2の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図7】本発明の第2の実現モードによる省エネルギーモードにある基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図8】基地局が省エネルギーモードの複数の基地局に囲まれている場合の本発明の第1の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図9】基地局が省エネルギーモードの複数の基地局に囲まれている場合の本発明の第2の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図2は、本発明による基地局の省エネルギーモードから動作モードへの切り替えの一例を表しており、この動作モードは、現在は別の基地局によってハンドリングされている少なくとも1つの移動端末が、上記基地局によってハンドリングされることをできるようにするものである。
【0058】
各基地局が1つのセルを有する例で本発明がこれから説明されるということに留意しなければならない。本発明は、1つ以上の基地局のそれぞれが複数のセルをハンドリングする場合にも適用が可能である。
【0059】
図2の例では、基地局BS1は、移動端末MT1、MT2、MT3及びMT4をハンドリングする。移動端末MT2は、省エネルギーモードにある基地局BS2の方向に移動中である。
【0060】
基地局BS1は、移動端末MT1〜MT4から、基地局BS1によって転送される信号についての測定結果報告(measurement report)を受信する。
【0061】
基地局BS1は、移動端末MT1〜MT4が基地局BS1から受信する信号の電力が、閾値Th以下であるか否かをチェックする。
【0062】
例えば、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、閾値Th以下である。
【0063】
閾値Thは、以下においてより詳細に開示される。
【0064】
基地局BS1は、基地局BS1と移動端末MT2との間の経路利得を表す情報を取得する。
【0065】
基地局BS1は、基地局BS2と移動端末MT2との間の経路利得を表す情報を取得する。
【0066】
基地局BS1は、基地局BS2及び移動端末MT2の間の経路利得を表す情報と基地局BS1及び移動端末MT2の間の経路利得を表す情報とから、移動端末MT2が基地局BS2及び基地局BS1によってハンドリングされるのを可能にする信号を基地局BS2が転送する場合の基地局BS2が転送する信号の送信電力を確定する。
【0067】
より詳細には、第2の基地局と移動端末との間の経路利得を表す情報は、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力の値に従って取得され、確定ステップは、移動端末が第2の基地局から受信する信号の電力が閾値以下である場合に、実行される。
【0068】
より詳細には、基地局BS2が動作モードにある場合に基地局BS2が転送する信号の送信電力は、基地局BS2及び基地局BS1が所与のサービス品質で移動端末MT2をハンドリングできるようにする送信電力である。
【0069】
本発明の特定の特徴によれば、基地局BS2の送信電力は、移動端末MT2側で基地局BS1から受信する信号のレベルに等しいレベルで、移動端末MT2側で受信されるように設定される。
【0070】
移動端末MT2は、閾値Thを選択するおかげで基地局BS1のセルCE1cの縁に位置するため、基地局BS2からの干渉が低減し、基地局BS1のセルCE1cがカバーする領域は、図1bの例と比較して低減が少ない。
【0071】
図2の例によれば、基地局BS2が通常動作モードに切り替えられた時点では、移動端末MT1、MT2及びMT4はまだ、基地局BS1のセルCE1c内に含まれている。
【0072】
移動端末MT2のハンドオーバが、基地局BS1と基地局BS2との間で実行可能である。
【0073】
基地局BS1〜BS3は、ノード、アクセスポイント、ホーム基地局、又はピコ基地局と呼ばれる場合もある。
【0074】
移動端末MT1〜MT5は、パーソナルコンピュータ、セットトップボックスのような周辺デバイス、又は電話とすることができる。
【0075】
図3は、本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0076】
基地局BSは、例えば、バス301によって互いに接続された構成要素と、図4〜図9に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づく、アーキテクチャを有する。
【0077】
ここで、基地局BSは、専用集積回路に基づくアーキテクチャを有することができることに留意しなければならない。
【0078】
バス301は、プロセッサ300を、読み出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、無線インタフェース305、及びネットワークインタフェース306にリンクする。
【0079】
ランダムアクセスメモリ303は、変数と、図4〜図9に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0080】
プロセッサ300は、ネットワークインタフェース306の動作及び無線インタフェース305の動作を制御する。
【0081】
読み出し専用メモリ302は、図4〜図9に開示されるようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、基地局BSに電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ303に転送される。
【0082】
基地局BSは、ネットワークインタフェース306を通じて電気通信ネットワークに接続することができる。例えば、ネットワークインタフェース306は、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(サービス統合デジタル網)インタフェース等である。
【0083】
無線インタフェース305は、省エネルギーモードに切り替え得る。省エネルギーモードとは、基地局が無線信号を低電力レベル、すなわち公称無線信号送信電力の最高でも60%の電力で転送するか、又は無線信号の送信を中断するモードである。
【0084】
図4は、基地局が省エネルギーモードにある基地局に囲まれている場合の本発明の第1の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0085】
本アルゴリズムは、無線セルラ通信ネットワークの各基地局によって実行されるものであり、その基地局が移動端末をハンドリングすることが可能になる動作モードにある場合に、実行される。
【0086】
図4のアルゴリズムは、基地局BS1によって実行される場合について開示されている。
【0087】
より詳細には、本アルゴリズムは、基地局BS1によってハンドリングされる各移動端末に対して並行して、基地局BS1のプロセッサ300によって実行される。
【0088】
ステップS400において、プロセッサ300は、例えば、基地局BS1がハンドリングする移動端末MT2に提供すべき最小の信号対干渉雑音比(最小SINR;minimum signal interference plus noise ratio)ρを取得する。
【0089】
最小の信号対干渉雑音比ρは、例えば、基地局BS1によって移動端末MT2に提供されるサービス品質に従って取得される。
【0090】
次のステップS401において、プロセッサ300は、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力を、例えば、移動端末MT2によって周期的に転送される測定結果報告を使用して、監視する。
【0091】
次のステップS402において、プロセッサ300は、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下であるか否かをチェックする。
【0092】
本発明によれば、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号電力Ρ1が、所与の閾値Th以下の場合、基地局BS2は、低減した電力αP2n(0≦α≦1)で送信を開始し、この送信はUEによって電力αP2で受信される。なお、αP2は、次のようなものである。
【0093】
【数1】

【0094】
上記式中、P1は、基地局BS1によって転送されて移動端末MT2によって受信される信号の電力であり、P2nは、いかなる電力低減もしない状態で基地局BS2によって転送される信号の公称送信電力であり、N0は移動端末MT2によって受信されるノイズ成分であり、P2は、基地局BS2によって転送されて移動端末MT2によって受信される信号の電力である。
【0095】
1つめの式は、SINRが最小SINRのρを上まわる状態で移動端末MT2がまだ基地局BS1によってハンドリングされていることを表すが、2つめの式は、基地局BS2が信号を転送したときに移動端末MT2を基地局BS2にハンドオーバできることを意味し、この場合、移動端末MT2は、最小SINRのρ相当でハンドリングされることになる。
【0096】
上記の式から、次の式を導出することができる。
【0097】
【数2】

【0098】
移動端末MT2は基地局BS1のセルCE1c内にあるため、P1は、P1≧ρN0であると確認される。ρ<1の場合、すなわち、移動端末MT2がセルCE1cの中心条件(centre conditions)にない場合、閾値Thが存在する。それ故、Thは次のようになる。
【0099】
【数3】

【0100】
最小SINRのρは、基地局BS1及びBS2と移動端末MT2との間にロバストな通信を提供するために確定される。ロバストな通信は、移動端末MT2に提供すべきサービス品質に依存し、且つ/又は、基地局BS1が移動端末MT2に割り当てることができるリソース量に依存する。
【0101】
移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下である場合、プロセッサ300はステップS403に進む。閾値Th以下でない場合、プロセッサ300はステップS401に戻る。
【0102】
次のステップS403において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにある基地局BS2に対して、移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力を監視するように要求するメッセージを、基地局BS2に送信する。
【0103】
メッセージは、移動端末MT2を識別する情報を含む。
【0104】
移動端末MT2を識別する情報は、基地局BS1によって移動端末MT2に割り当てられるセル無線ネットワーク一時識別子(C−RNTI,cell radio network temporary identifier)としても呼ばれるローカルMAC(媒体アクセス制御)識別子とすることができる。
【0105】
少なくとも基地局BS1のセル識別子とセルのパラメータ特性とから、基地局BS2は、基地局BS1によって移動端末MT2に割り当てられたリソースを見つけるために、基地局BS1によって送信される信号をリッスンし、次に、移動端末MT2によって送信される無線信号電力を測定する。
【0106】
基地局BS1のセルのパラメータ特性は、例えば、上りリンク送信の場合に基地局BS1が使用する周波数帯である。この周波数帯は、基地局BS2によって構成から知られることが可能であり、又は基地局BS1がこの周波数帯を基地局BS2に与えることが可能であり、又は基地局BS2が、基地局BS1によってブロードキャストされたデータから、基地局BS1のセルのパラメータ特性を学習することが可能である。
【0107】
ここで、基地局BS2が基地局BS1と同期されていない場合、基地局BS1は、基地局BS2に対して、移動端末MT2を識別する情報に加えて、基地局BS1が移動端末MT2に割り当てたリソースを含むタイムスロットの数を提供し得ることに留意しなければならない。
【0108】
移動端末MT2を識別する情報は、基地局BS1が移動端末MT2に割り当てた専用パイロットシーケンス及び時間/周波数パターンとなり得る。その場合、基地局BS2は、移動端末MT2によって転送されるパイロットシーケンス信号の電力を監視する。
【0109】
パイロットシーケンスは、基地局BS1が基地局BS2及び移動端末MT2に与えるサウンディング基準信号(SRS;Sounding Reference Signal)のような基準信号の構成であることができる。
【0110】
移動端末MT2を識別する情報は、初期上りリンク送信用の、すなわち、移動端末MT2から基地局BS1への、コンテンションベースチャネル(contention-based channel)であるランダムアクセスチャネル(RACH)であることができる。
【0111】
基地局BS1は、移動端末MT2と競合せずに、いくらかのRACH時間/周波数/コードのリソースを確保し、基地局BS2に対して確保されたリソースを表す情報を提供し、移動端末MT2に、確保されたリソースでRACHを送信するように要求する。
【0112】
メッセージは、移動端末MT2によって転送される信号の電力PUEをさらに含むことができる。
【0113】
次のステップS404では、プロセッサ300は、仮に基地局BS2がその公称送信電力P2nで送信していれば、移動端末MT2が基地局BS2から受信することになる信号の電力P2の値を受信する。この値P2は、移動端末MT2と基地局BS2との間の経路利得の測定を表す情報を含む。
【0114】
次のステップS405では、プロセッサ300は、基地局BS2がその公称送信電力P2nに対して適用すべき次の電力低減係数αを計算する。
【0115】
【数4】

【0116】
公称送信電力P2nは、例えば、電波プランニング技術に従って、又は基地局BS2の不揮発性メモリに記憶されている値から決定される。
【0117】
次のステップS406において、プロセッサ300は、基地局BS2への電力低減係数αの転送を命令する。
【0118】
次のステップS407において、プロセッサ300は、基地局BS2が移動端末をハンドリングできる動作モードにあるとして、基地局BS2を登録する(mark)。
【0119】
図5は、本発明の第1の実現モードによる省エネルギーモードにある基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0120】
本アルゴリズムは、無線セルラ通信ネットワークの各基地局によって、この基地局が省エネルギーモードにある場合に実行される。
【0121】
図5のアルゴリズムは、基地局BS2によって実行される場合について開示されている。
【0122】
ステップS500において、基地局BS2は、省エネルギーモードにある。すなわち、基地局BS2は、無線信号を転送しないか、又は基地局BS2が少なくとも移動端末MT2をハンドリングできない電力レベルで無線信号を転送する。
【0123】
次のステップS501において、プロセッサ300は、移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力を監視するように基地局BS2に要求するメッセージの受信を検出する。
【0124】
メッセージは、図4のアルゴリズムのステップS403で開示されるように、移動端末MT2を識別する情報を含む。
【0125】
メッセージは、移動端末MT2によって転送される信号の信号送信電力PUEをさらに含み得る。
【0126】
次のステップS502において、プロセッサ300は、仮に基地局BS2がその公称電力P2nで送信していれば、移動端末MT2が基地局BS2から受信することになる信号の電力P2の値を取得する。
【0127】
プロセッサ300は、移動端末MT2によって使用される信号送信電力PUEと移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力とから、移動端末MT2及び基地局BS2の間の経路利得G2を確定するように命令する。
【0128】
プロセッサ300は、P2(P2=G2・P2n)を基地局BS1に報告する。
【0129】
次のステップS503において、プロセッサ300は、電力低減係数αの受信を検出する。
【0130】
次のステップS504において、プロセッサは、無線インタフェース305に対して、信号を電力αP2nで転送することによって、基地局BS2が少なくとも移動端末MT2をハンドリングできる動作モードに切り替えるように命令する。
【0131】
第1の実現モードの第1の変形実現例によれば、ステップS403で転送されてステップS501で受信されるメッセージは、移動端末MT2によって転送される信号の信号送信電力PUEを含まない。
【0132】
基地局BS2は、移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力P2UEと、基地局BS2によっていかなる電力低減もなく転送される信号の公称送信電力P2nとを転送する。
【0133】
基地局BS1は、移動端末MT2によって使用される信号送信電力PUEと移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力P2UEとから、移動端末MT2及び基地局BS2の間の経路利得G2を確定する。基地局BS1はまた、P2及びαも確定する。
【0134】
第1の実現モードの第2の変形例によれば、基地局BS1は、移動端末MT2によって転送される信号の電力PUEを認知していない。その場合、基地局BS1によって転送されるメッセージは、移動端末MT2によって転送される信号の電力PUEを含まない。
【0135】
基地局BS1は、G2の計算に代えて、経路利得の比G2/G1を使用することができる。
【0136】
実際には、次の式のようになる。
【0137】
【数5】

【0138】
上記の式中、P1UEは、移動端末MT2によって転送されて基地局BS1によって受信される信号の電力であり、P2UEは、移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力である。
【0139】
したがって、パラメータαは、次のように計算することができる。
【0140】
【数6】

【0141】
第1の実現モードの第3の実現変形例によれば、ステップS403で転送されてステップS501で受信されるメッセージは、基地局BS1によって転送される信号における移動端末MT2での信号電力P1をさらに含む。
【0142】
基地局BS2は、移動端末MT2によって使用される信号送信電力PUEと移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力とから、移動端末MT2及び基地局BS2の間の経路利得G2を確定し、そしてP2及びαを確定する。
【0143】
第3の変形例によれば、基地局BS2は、ステップS502において、値P2を基地局BS1に送信せず、ステップS503、S405及びS406はスキップされる。
【0144】
第1の実現モードの第4の実現変形例によれば、基地局BS1は、移動端末MT2によって転送される信号の電力PUEを認知していない。その場合、基地局BS1によって転送されるメッセージは、移動端末MT2によって転送される信号の電力PUEを含まない。
【0145】
基地局BS1は、送信電力P1n及びUEから受信する信号電力P1UEを、基地局BS2に転送する。
【0146】
基地局BS2は、移動端末MT2によって転送されて基地局BS2によって受信される信号の電力P2UEを測定する。
【0147】
基地局BS2は、第1の実現モードの第2の変形例でのように、パラメータαを計算する。
【0148】
図6は、基地局が省エネルギーモードにある基地局に囲まれている場合の本発明の第2の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0149】
本アルゴリズムは、無線セルラ通信ネットワークの各基地局によって、この基地局が少なくとも1つの移動端末をハンドリングできる動作モードにある場合に実行される。
【0150】
図6のアルゴリズムは、基地局BS1によって実行される場合について開示されている。
【0151】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BS1によってハンドリングされる各移動端末に対して並行して、基地局BS1のプロセッサ300によって実行される。
【0152】
ステップS600において、プロセッサ300は、例えば、基地局BS1がハンドリングする移動端末MT2に提供すべき最小の信号対干渉雑音比ρを取得する。
【0153】
最小の信号対干渉雑音比ρは、図4のステップS400において開示されるように取得される。
【0154】
次のステップS601において、プロセッサ300は、例えば、移動端末MT2によって周期的に転送される測定結果報告を使用して、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力を監視する。
【0155】
次のステップS602において、プロセッサ300は、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下であるか否かをチェックする。
【0156】
閾値Thは、図4のステップS402において開示されるように確定されている。
【0157】
移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下である場合、プロセッサ300は、本発明の第2の実現モードの変形例によるステップS603に進むか又はステップS604に進む。閾値Th以下でない場合、プロセッサ300はステップS601に戻る。
【0158】
本発明の第2の実現モードの変形例では、基地局BS2は、省エネルギーモードにある場合に、基地局BS2が少なくとも移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を送信する。この送信電力は、ネットワークトポロジに依存し、例えば、ネットワークプランニングによって決定され、そして例えば、基地局BS2に構成データと共に供給される。
【0159】
次のステップS603において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにあり且ついかなる無線信号も送信していない基地局BS2に基地局BS2が移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を転送することを要求するメッセージを、基地局BS2に送信する。
【0160】
次のステップS604において、プロセッサ300は、例えば、移動端末MT2によって周期的に転送される測定結果報告を使用して、移動端末MT2が基地局BS2から受信する信号の電力P2を監視する。
【0161】
次のステップS605において、プロセッサ300は、その最小送信電力P2minに対して基地局BS2が適用すべき次のような電力増加係数βを計算する。
【0162】
【数7】

【0163】
次のステップS606において、プロセッサ300は、基地局BS2への電力増加係数βの転送を命令する。
【0164】
次のステップS607において、プロセッサ300は、基地局BS2が移動端末をハンドリングできる動作モードにあるとして、基地局BS2を登録する。
【0165】
図7は、本発明の第2の実現モードによる省エネルギーモードにある基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0166】
本アルゴリズムは、無線セルラ通信ネットワークの各基地局によって、この基地局が省エネルギーモードにある場合に実行される。
【0167】
図7のアルゴリズムは、基地局BS2によって実行される場合について開示されている。
【0168】
ステップS700において、基地局BS2は省エネルギーモードにある。すなわち、基地局BS2はいかなる無線信号も転送しない。
【0169】
次のステップS701において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにあり且ついかなる無線信号も転送していない基地局BS2に対して、基地局BS2が移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を転送するように要求するメッセージの受信を検出する。
【0170】
その後、プロセッサ300はステップS702に進む。
【0171】
本発明の第2の実現モードの変形例では、基地局BS2は、省エネルギーモードにある場合、基地局BS2が少なくとも移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を転送する。その変形例によれば、ステップS701及びS702を実行する必要がなく、プロセッサ300はステップS700からステップS703に進む。
【0172】
ステップS702では、プロセッサ300は、基地局BS2が移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を転送するように無線インタフェース305に命令する。
【0173】
次のステップS703において、プロセッサ300は、電力増加係数βの受信を検出する。
【0174】
次のステップS704において、プロセッサは、信号を電力βP2minで転送することによって、基地局BS2が移動端末MT2をハンドリングできる動作モードに切り替えるように、無線インタフェース305に命令する。
【0175】
図8は、基地局が省エネルギーモードにある複数の基地局に囲まれている場合の本発明の第1の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0176】
本アルゴリズムは、無線セルラ通信ネットワークの各基地局によって、この基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードにある場合に実行される。
【0177】
図8のアルゴリズムは、基地局BS1によって実行される場合について開示されている。
【0178】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BS1によってハンドリングされる各移動端末に対して並行して、基地局BS1のプロセッサ300によって実行される。
【0179】
ステップS800において、プロセッサ300は、例えば、基地局BS1がハンドリングする移動端末MT2に提供すべき最小の信号対干渉雑音比ρを取得する。
【0180】
最小の信号対干渉雑音比ρは、図4のステップS400において開示されるように取得される。
【0181】
次のステップS801において、プロセッサ300は、例えば、移動端末MT2によって周期的に転送される測定結果報告を使用して、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力を監視する。
【0182】
次のステップS802において、プロセッサ300は、図4のステップS402で開示されるように、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下であるか否かをチェックする。
【0183】
移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下である場合、プロセッサ300は、ステップS803に進む。閾値Th以下でない場合、プロセッサ300はステップS801に戻る。
【0184】
次のステップS803において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにある隣接する基地局それぞれに対して移動端末MT2によって転送されて省エネルギーモードにある隣接する各基地局によって受信される信号の電力を監視することを要求するメッセージを、上記省エネルギーモードにある隣接する各基地局に送信する。
【0185】
このメッセージは、図4のアルゴリズムのステップS403で開示されるように、移動端末MT2を識別する情報を含む。
【0186】
メッセージは、移動端末によって転送される信号の電力PUEをさらに含む。
【0187】
次のステップS804において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにある隣接する各基地局から、仮に省エネルギーモードにある上記基地局がその公称電力P2nで送信していれば、移動端末MT2がその省エネルギーモードにある基地局から受信することになる信号の電力の値P2を受信する。
【0188】
次のステップS805において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにある隣接した基地局の中から、最も大きい受信電力P2を提供する基地局を選択する。
【0189】
次のステップS806において、プロセッサ300は、選択された基地局がその公称送信電力P2nに対して適用すべき次の電力低減係数αを計算する。
【0190】
【数8】

【0191】
次のステップS807において、プロセッサ300は、選択された基地局への電力低減係数αの転送を命令する。
【0192】
次のステップS808において、プロセッサ300は、選択された基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードにあるとして、選択された基地局を登録する。
【0193】
図9は、基地局が省エネルギーモードにある複数の基地局に囲まれている場合の本発明の第2の実現モードによる少なくとも1つの移動端末をハンドリングする上記基地局によって実行されるアルゴリズムの例を開示している。
【0194】
本アルゴリズムは、無線セルラ通信ネットワークの各基地局によって、この基地局が移動端末をハンドリングできる動作モードにある場合に実行される。
【0195】
図9のアルゴリズムは、基地局BS1によって実行される場合について開示されている。
【0196】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BS1によってハンドリングされる各移動端末MTに対して並行して、基地局BS1のプロセッサ300によって実行される。
【0197】
ステップS900において、プロセッサ300は、例えば、基地局BS1がハンドリングする移動端末MT2に提供すべき最小の信号対干渉雑音比ρを取得する。
【0198】
最小の信号対干渉雑音比ρは、図4のステップS400で開示されるように取得される。
【0199】
次のステップS901において、プロセッサ300は、例えば、移動端末MT2によって周期的に転送される測定結果報告を使用して、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力を監視する。
【0200】
次のステップS902において、プロセッサ300は、移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して確定されている閾値Th以下であるか否かをチェックする。
【0201】
閾値Thは、図4のステップS402で開示されるように確定されている。
【0202】
移動端末MT2が基地局BS1から受信する信号の電力が、移動端末MT2に対して決定されている閾値Th以下である場合、プロセッサ300は、本発明の第2の実現モードの変形例によるステップS903に進むか又はステップS904に進む。閾値Th以下でない場合、プロセッサ300はステップS901に戻る。
【0203】
本発明の第2の実現モードの変形例では、(複数の)基地局BSは、省エネルギーモードにある場合、上記基地局が少なくとも移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を送信する。
【0204】
次のステップS903において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにあり且ついかなる無線信号も送信していない近傍の基地局それぞれに対してこの基地局が移動端末MT2をハンドリングできない送信電力P2minで信号を転送することを要求するメッセージを、各基地局に送信する。
【0205】
次のステップS904において、プロセッサ300は、例えば、移動端末MT2によって周期的に転送される測定結果報告を使用して、移動端末MT2が省エネルギーモードにある隣接した各基地局から受信する信号の電力P2を監視する。
【0206】
次のステップS905において、プロセッサ300は、省エネルギーモードにある隣接した基地局の中から、移動端末MT2で最も大きい受信電力P2を提供する基地局を選択する。
【0207】
次のステップS906において、プロセッサ300は、選択された基地局がその最小送信電力P2minに対して適用すべき次の電力増加係数βを計算する。
【0208】
【数9】

【0209】
次のステップS907において、プロセッサ300は、選択された基地局への電力増加係数βの転送を命令する。
【0210】
次のステップS908において、プロセッサ300は、基地局BS2が移動端末をハンドリングできる動作モードにあるとして、選択された基地局を登録する。
【0211】
ここで、本発明の第1及び第2の実現モードの変形例によれば、移動端末が基地局BS1から受信する信号の電力が閾値Th以下の場合、移動端末に提供されるべきサービス品質が向上し、且つ/又は、よりロバストな変調及びコード体系が移動端末に割りあてられるということに留意しなければならない。そのようなサービス品質での並びに/又は変調及びコード体系のロバスト性での向上は、ステップS400、S600、S800及びS900において確定される最小SINRのρを計算する際に考慮される。
【0212】
よって、閾値Thは増大し、基地局BS2が移動端末MT2をハンドリングできる動作モードに、省エネルギーモードにある隣接した基地局が切り替えられなければならない時間を遅らせることができる。このサービス品質での並びに/又は変調及びコード体系のロバスト性での向上は、省エネルギーモードでなくなる基地局に移動端末をハンドオーバするための時間のみ、基地局の負荷に影響を与える。
【0213】
ここで、ステップS406及び/又はS606、S807及び/又はS907において、プロセッサ300は、基地局BS2が移動端末MT2をハンドリングできる動作モードに基地局BS2が切り替えられなければならない場合、移動端末MT2及び基地局BS1の間の通信リンクを保証するために、変調及びコード体系のロバスト性の向上並びに/又は移動端末MT2に割り当てられるリソース量の増大を命令してもよいことに留意しなければならない。
【0214】
当然ながら、本発明の範囲から逸脱せずに、上述の本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線セルラ通信ネットワークで、移動端末が現状で第2の基地局によってハンドリングされており、省エネルギーモードにある第1の基地局を前記第1の基地局が前記移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する方法において、
前記第2の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す情報を得るステップと、
前記第1の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す情報を得るステップと、
前記第1の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す前記情報と前記第2の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す前記情報とから、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が前記移動端末をハンドリングでき且つ前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を確定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す情報を得るステップと前記確定するステップとが、前記第2の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す前記情報の値に従って実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の基地局によって、前記移動端末により転送され且つ前記第1の基地局により受信される信号の電力を監視するように前記第1の基地局に要求するメッセージを送信するステップであって、前記メッセージが前記移動端末によって転送される信号の送信電力をさらに有するステップをさらに含み、前記第1の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す前記情報が、前記第1の基地局によって確定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の基地局によって、前記移動端末により転送され且つ前記第1の基地局により受信される信号の電力を応答して転送するように前記第1の基地局に要求するメッセージを転送するステップをさらに含み、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が前記移動端末をハンドリングでき且つ前記第1の基地局によって転送される信号の前記送信電力が、前記第2の基地局によって確定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の基地局によって、前記移動端末により転送され且つ前記第1の基地局により受信される信号の電力を監視するように前記第1の基地局に要求するメッセージを転送するステップをさらに含み、前記第1の基地局によって転送される信号の前記送信電力が、前記第1の基地局によって確定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記移動端末に、前記移動端末により受信され且つ前記第1の基地局により転送される信号の電力を表す情報を転送するように前記移動端末に要求するメッセージを転送するステップをさらに含み、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が前記移動端末をハンドリングできる信号を前記第1の基地局が転送する場合、前記第1の基地局によって転送される信号の前記送信電力は、前記第1の基地局により転送され且つ前記移動端末により受信される前記信号の電力と前記第2の基地局により転送され且つ前記移動端末により受信される信号の電力とから、前記第2の基地局によって確定されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記メッセージを前記移動端末に転送する前に実行され、前記第2の基地局によって、前記第1の基地局が移動端末をハンドリングできない送信電力で信号を転送するように前記第1の基地局に要求するメッセージを、前記第1の基地局に転送するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記送信電力が、前記第1の基地局の送信電力の増加因子又は減少因子として計算されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
閾値が、前記移動端末に対して確定される信号対干渉雑音比の値から確定されることを特徴とする請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記信号対干渉雑音比の値が、前記移動端末に提供すべきサービス品質に従って確定されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記移動端末が前記第2の基地局から受信する信号の電力が前記閾値以下である場合、前記移動端末に提供するサービス品質を向上させる、並びに/又は、よりロバストな変調及びコード体系を前記移動端末に割り当てるステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の基地局に隣接した複数の基地局が前記省エネルギーモードにあり、前記第2の基地局に隣接した各基地局にメッセージが転送され、前記メッセージは、前記移動端末により転送され且つ前記第1の基地局により受信される信号の電力を監視するように要求することを特徴とし、前記方法が、前記第2の基地局に隣接した前記基地局の中から、前記移動端末によって転送される信号を最大の電力で受信する基地局として、前記第1の基地局を選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の基地局に隣接した複数の基地局が前記省エネルギーモードにあり、前記メッセージが、前記移動端末により受信され且つ前記第2の基地局に隣接した各基地局により転送される信号の電力を表す情報を転送するように前記移動端末に要求することを特徴とし、前記方法が、前記第2の基地局に隣接した前記基地局の中から、前記移動端末によって受信される信号を最大の電力で転送する基地局として、前記第1の基地局を選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の基地局が、前記移動端末を識別する情報を前記第1の基地局に転送し、前記移動端末を識別する情報が、前記第2の基地局によって前記移動端末に割り当てられるセル無線ネットワーク一時識別子、又は前記第2の基地局によって前記移動端末に割り当てられる専用パイロットシーケンス及び時間/周波数パターン、又は移動端末から前記第2の基地局への初期送信のコンテンションベースチャネルであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
無線セルラ通信ネットワークで、移動端末が現状で第2の基地局によってハンドリングされており、省エネルギーモードにある第1の基地局を前記第1の基地局が前記移動端末をハンドリングできる動作モードに切り替えるのに必要な条件を確定する装置において、
前記第2の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す情報を得る手段と、
前記第1の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す情報を得る手段と、
前記第1の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す前記情報と前記第2の基地局及び前記移動端末の間の経路利得を表す前記情報とから、前記第1の基地局及び前記第2の基地局が前記移動端末をハンドリングでき且つ前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を確定する手段と
を備えることを特徴とする装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−85288(P2012−85288A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−221986(P2011−221986)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】