説明

看板用照明装置

【課題】光源露出式の利点を活かしつつ、昼間でも本来表現したいロゴが違和感を生じることなく常に適切に表示される看板用照明装置を提供する。
【解決手段】LED8とこのLED8の発光面側に配置された光学レンズ9とを有する光源2の多数個が取付パネル3にマトリックス状に配置されるとともに、各光源2はレンズ9の一部が取付パネル3に形成された開口3aを通じて外部に露出されて構成されたものであって、レンズ9は、LED8に臨む面の内、LED8からの光が入射される入射個所以外の部分が取付パネル3の表面色と略同色に塗料16で着色されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告用の文字や図形などのロゴを照明表示するために、発光ダイオード(LED)等の点状の発光素子の多数個が外部に露出された状態で取付パネルにマトリックス状に配置されて構成された看板用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
広告用の文字や図形などのロゴを照明表示する看板用照明装置としては、従来、例えば筐体の前面側にロゴが印刷された前面パネルを取り付け、また、筐体の内部に前面パネルを照明するバックライト用の光源を配置した、いわゆる内照式のものがある。
【0003】
この内照式の看板用照明装置のバックライト用の光源としては、ネオン管が広く使用されているが、ネオン管は寿命が比較的短く、短期間で交換を行う必要があるため、メンテナンスに手間がかかるとともに、ランニングコストが高くつくといった不具合がある。
【0004】
そのため、従来技術では、LEDをバックライト用の発光素子として使用して長寿命化を図り、従来の不具合を改善するようにした提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この場合、バックライト用の発光素子となるLEDは点光源であるので、単純に前面パネルの裏面側に複数個のLEDを配置した場合には、前面パネルに輝度ムラが生じ、前面パネルを均一に照明することが難しい。そこで、特許文献1では、LEDの発光面側に朝顔形状の反射面を有するレンズを配置し、このレンズの反射面でLEDから出射された光を拡散反射することにより、輝度ムラの発生を抑えて前面パネルをできるだけ均一に照明できるようにしている。
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1のものは、輝度ムラの発生を抑えることができても、LEDはあくまでバックライト用の光源として使用する内照式のものである。このため、LEDから出射された光は前面パネルに遮られて全体の輝度が低下することは避けられず、看板に必要な遠方からの視認性が不足し易い。また、地震等によって前面パネルが不意に落下する危険性を伴うため、大型化が難しいなどの問題がある。
【0007】
そこで、前面パネルを備えた内照式の代わりに、多数のLEDをマトリックス状に配置してこれらの各LEDを取付パネルに直接に取り付けることにより、ロゴを形成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
この場合、前述のように発光素子となるLEDは点光源であるので、輝度ムラが生じることなく所要のロゴを表示するために、ロゴの表示個所となる全領域にわたって多数のLEDをマトリックス状に稠密に敷き詰めると、多数のLEDが必要になってコストアップとなるだけでなく、消費電力も増加する。
【0009】
そのため、従来は、図9ないし図11に示すように、LED8の発光面側にすり鉢状の反射面を有する光拡散用のレンズ9を配置して光源2を構成し、この光源2の多数個を取付パネル3にマトリックス状に配置するとともに、各光源2のレンズ9の一部が取付パネル3に形成された開口3aを通じて外部に露出するように取り付けることにより看板ユニット4を構成し、この看板ユニット4を筐体に取り付けることにより看板用照明装置を構成するものが考えられている。以下、この種の構成のものを光源露出式と称する。
【0010】
この光源露出式の看板用照明装置は、LED8から出射された光がレンズ9で拡散反射されるとともに、レンズ9から出た光は取付パネル3でも拡散反射されるため、光源2の数が比較的少なくても輝度むらの発生を抑えて明るく均一に照明することができ、余分なコストアップを低減できる利点がある。なお、10はLED実装用の基板、11はモールド樹脂、13は電線である。
【特許文献1】特開2007−048883号公報
【特許文献2】特開2004−150982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図9ないし図11に示した構成の場合、夜間では日光がないので、点灯されたLED8からの光がレンズ9を通過して外部に出射され、その一部が取付パネル3でも拡散反射されるので、例えば、“L”という文字を模った場合には、図10に示すように“L”という文字が単純に浮かび上がって見えることになる。
【0012】
ところが、昼間は日光によって看板ユニット4が明るく照らされるので、図11に示すように、LED8を点灯した状態であってもレンズ9を通してLED8が実装された基板10がそのまま外部から透けて見えてしまう。このため、一見したところ、本来表現したいロゴとは別のロゴとして表現された状態となって違和感を生じたり、美観上、見苦しくなることがある。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、光源露出式の利点を活かしつつ、昼間でも本来表現したいロゴが違和感を生じることなく常に適切に表示される看板用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明に係る看板用照明装置は、点状の発光素子とこの発光素子の発光面側に配置された光学レンズとを有する光源の多数個が取付パネルにマトリックス状に配置されるとともに、前記各光源は前記レンズの一部が前記取付パネルに形成された開口を通じて外部に露出されて構成されたものであって、前記レンズは、前記発光素子に臨む面の内、前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分が前記取付パネルの表面色と略同色に着色されていることを特徴としている。
【0015】
請求項2記載の発明に係る看板用照明装置は、請求項1記載の発明の構成において、前記レンズの前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分に対する着色は、レンズの表面に塗料を塗布することで形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項3記載の発明に係る看板用照明装置は、請求項1記載の発明の構成において、前記レンズの前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分に対する着色は、当該面の形状に沿って着色部材を別途設けることにより形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項4記載の発明に係る看板用照明装置は、請求項1記載の発明の構成において、前記レンズは、前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分が着色される代わりに、前記開口を通じて外部に露出された外部露出側に臨む面の内、前記発光素子からの光が出射される出射個所以外の部分が前記取付パネルの表面色と略同色に着色されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明に係る看板用照明装置は、レンズの発光素子に臨む面の内、発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分が取付パネルの色と略同色に着色されているので、昼間の外光によりレンズを通してLEDが実装された基板が外部から透けてそのまま視認されてしまう不具合を防止することができ、昼間でも本来表現したいロゴが違和感を生じることなく常に適切に表示することが可能となる。
【0019】
請求項2記載の発明に係る看板用照明装置は、レンズの発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分に対する着色は、レンズの表面に塗料を塗布することで形成されているので、簡便かつ低コストで実施することができる。
【0020】
請求項3記載の発明に係る看板用照明装置は、レンズの発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分に対する着色は、当該面の形状に沿って着色部材を別途設けることにより形成されているので、光の出射効率を損なうことなく、着色範囲を規定する個所を精度良く設定することができる。
【0021】
請求項4記載の発明に係る看板用照明装置は、レンズの開口を通じて外部に露出された外部露出側に臨む面の内、発光素子からの光が出射される出射個所以外の部分が取付パネルの色と略同色に着色されているので、レンズの取付パネルの表面に近接した個所が着色されることになって、昼間でもレンズと取付パネルの色が同じになり、見た目が改善される。また、レンズ自体を予め着色しておけば、後工程での着色処理が不要となり、コスト削減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における看板用照明装置の一例を示す平面図、図2は同装置の要部を拡大して示す断面図、図3は同装置の看板ユニットの分解斜視図、図4は光源を取付パネルに取り付ける場合の組み立て説明図である。また、図5は光源を構成するレンズの斜視図、図6は光源から出射される光の照射状態の説明図である。なお、図9ないし図11に示した従来技術と対応もしくは相当する構成部分には同一の符号を付す。
【0024】
この実施の形態1の看板用照明装置1は、光源2の多数個が取付パネル3にマトリックス状に配置固定されており、これによって広告用の文字や図形などを模ったロゴを照明表示する看板ユニット4が構成されている。そして、この看板ユニット4がフレーム5に取り付けられている。なお、図1に示す看板ユニット4は、一例として、“L”という文字を模った場合を示しているが、これに限定されるものではなく、他の文字や図形を模ったものであってもよい。
【0025】
各光源2は、点状の発光素子としてのLED8、このLED8の発光面側に配置された光学レンズ9、およびLED8が実装される基板10がモールド樹脂11で一体化されてなる。
【0026】
そして、レンズ9は、その一部が取付パネル3に形成された開口3aを通じて外部に露出されるとともに、取付パネル3の開口3a近傍に形成された一対の取付穴3bに略U字状に形成された取付金具12の上端部12aを掛止することによって取付パネル3に一体に取り付けられている。また、基板10にはモールド樹脂11を貫通して電力供給用の電線13が接続されている。なお、ここでは取付金具12を使用して光源2を取付パネル3に固定しているが、取付金具12をせずに、接着やネジ止め出力端子の他の固定手段を用いることもできる。
【0027】
上記のレンズ9は、例えばガラスやアクリル樹脂などの材料でできており、モールド樹脂11内に埋設された四角形のキャップ状の基部9a、この基部9aから突出された略円柱状の本体部9bとからなる。そして、本体部9bが前述の開口3aを通じて外部に露出されており、その露出側に臨む面は断面略円弧状をしたすり鉢状に形成される一方、レンズ9の基部9aのLED8に臨む側の面は、LED8からの光が入射される入射個所以外の部分が取付パネル3の色と同色、あるいは互いに近い色調をもつ同系色に着色されている。例えば、取付パネル3の表面色が白色の場合には、レンズ9の基部9aの着色個所は白色になっている。
【0028】
この場合の着色は、本例では、基部9aのLED8からの光が入射される入射個所以外の部分の表面に塗料16を塗布することで形成されている。このように、塗料16を用いれば、簡便に着色を行うことができ、低コストで実施することができる。
【0029】
この実施の形態1の光源露出式の看板用照明装置1において、LED8を点灯した場合、図6に示すように、レンズ9の光軸近傍ではレンズ9の外部に直接出射され、また、光軸から外れた周辺部に達する光は、本体部9bのすり鉢状の内面で反射されて側面から出射された後、取付パネル3の表面に照射され、取付パネル3によってさらに拡散反射される。これにより、多数の光源2を稠密にマトリックス状に配置しなくても、比較的少ない個数の光源2を用いても輝度むらの発生を抑えて看板ユニット4全体を明るく均一に照明することができる。
【0030】
しかも、この実施の形態1では、レンズ9の基部9aのLED8に臨む側の面において、LED8からの光が入射される入射個所以外の部分が塗料16によって取付パネル3の色と略同色に着色されているので、昼間の外光によりレンズ9を通してLED実装用の基板10が外部から透けて視認されてしまうといった不具合を防止することができる。 したがって、図1に示すように例えば、看板ユニット4として“L”という文字を模った場合には、昼間であっても“L”という文字が浮かび上がって見えることになり、本来表現したいロゴが違和感を生じることなく常に適切に表示することが可能となる。また、昼間であっても基板10は直接に見えないので、美観上、見苦しくなることもない。
【0031】
なお、夜間では点灯されたLED8からの光がレンズ9を通過して外部に出射され、その一部が取付パネル3でも拡散反射されるので、図10に示したように“L”という文字が単純に浮かび上がって見えることになる。
【0032】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、レンズ9の基部9aにおいて、LED8からの光入射個所以外の部分の表面に塗料16を塗布することにより着色しているが、この実施の形態2では、図7に示すように、基部9aの表面の形状に沿って形成された着色部材17を一体に被覆することにより着色を行っている。
【0033】
このように着色部材17を被覆すれば、LED8からの光の出射効率を損なうことなく、着色範囲を規定する個所を精度良く設定することができるという利点がある。
【0034】
(実施の形態3)
上記の実施の形態1では、レンズ9の基部9aにおいて、LED8からの光入射個所以外の部分の表面に塗料16を塗布することにより着色しているが、この実施の形態3では、図8に示すように、本体部9bのすり鉢状の外面の内、LED8からの光が出射される光軸近傍の出射個所以外の部分が塗料16によって取付パネル3の色と略同色に着色されている。
【0035】
この構成の場合には、レンズ9の取付パネル3の表面に近接した本体部9bが着色されることになるので、昼間でもレンズ9と取付パネル3が同色になり易く、見た目が改善される。
【0036】
なお、上記の各実施の形態1〜3において、塗料16や着色部材17を使用する代わりに、レンズ9自体を部分的に予め着色しておけば、後工程での着色処理が不要となり、コスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態1における看板用照明装置の一例を示す平面図である。
【図2】同装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】同装置の看板ユニットの分解斜視図である。
【図4】光源を取付パネルに取り付ける場合の組み立て説明図である。
【図5】光源を構成するレンズの斜視図である。
【図6】光源から出射される光の照射状態の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2における看板用照明装置のレンズに対する着色手段を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3における看板用照明装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図9】従来の看板用照明装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図10】従来の看板用照明装置の夜間における照明状態の一例を示す平面図である。
【図11】従来の看板用照明装置の昼間における照明状態の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 看板用照明装置
2 光源
3 取付パネル
3a 開口
4 看板ユニット
8 LED(発光素子)
9 レンズ
9a 基部
9b 本体部
10 基板
16 塗料
17 着色部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点状の発光素子とこの発光素子の発光面側に配置された光学レンズとを有する光源の多数個が取付パネルにマトリックス状に配置されるとともに、前記各光源は前記レンズの一部が前記取付パネルに形成された開口を通じて外部に露出されて構成されたものであって、前記レンズは、前記発光素子に臨む面の内、前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分が前記取付パネルの表面色と略同色に着色されていることを特徴とする看板用照明装置。
【請求項2】
前記レンズの前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分に対する着色は、レンズの表面に塗料を塗布することで形成されていることを特徴とする請求項1記載の看板用照明装置。
【請求項3】
前記レンズの前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分に対する着色は、当該面の形状に沿って着色部材を別途設けることにより形成されていることを特徴とする請求項1記載の看板用照明装置。
【請求項4】
前記レンズは、前記発光素子からの光が入射される入射個所以外の部分が着色される代わりに、前記開口を通じて外部に露出された外部露出側に臨む面の内、前記発光素子からの光が出射される出射個所以外の部分が前記取付パネルの表面色と略同色に着色されていることを特徴とする請求項1記載の看板用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−36953(P2009−36953A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−200514(P2007−200514)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】