説明

真珠光沢を有する水性化粧料

【課題】べたつきのない滑らかでしっとりした仕上がりが得られる使用感と共に、高級感のある真珠光沢のある外観を有し、更に安定化剤として、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンなどのレシチン誘導体を組み合わせる事により、さらにしっとした柔軟な仕上がりが得られ、良好な経時安定性を有する、真珠光沢を有する水性化粧料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるアミド結合を有する室温で固体状の化合物を真珠光沢剤として含有することを特徴とする真珠光沢を有する水性化粧料で、さらに真珠光沢の安定化剤として、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンの1種及び/又は2種以上を含有する真珠光沢を有する水性化粧料に関する。
(式1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠光沢を有する水性化粧料に関し、さらに詳しくは、下記一般式(1)で表されるアミド結合を有する室温で固体状の化合物を含有することにより、長期にわたり安定的に真珠様の高級感のある光沢を帯びた美麗な外観を有し、使用感に優れた化粧水、美容液などの水性化粧料に関するものである。
(式1)
【0002】

【背景技術】
【0003】
従来、化粧料分野においては、一般に、真珠光沢を呈する化合物としては、魚鱗箔や雲母などの天然品や無機結晶を利用したり、ステアリン酸等の高級脂肪酸やエチレングリコール脂肪酸エステルなどが用いられたりしており、また、アミン化合物も知られている(特許文献)が、皮膚への安全性の観点から配合量に制限があったり、沈降などパール剤の沈降や光沢感の低下など安定性に問題があったり、肌へ塗布したときの使用感が悪いなど、安定性や使用感に優れた、高級感のある真珠光沢を付与することが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−263615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする点は、長期にわたり安定的に真珠様の高級感のある光沢を帯びた美麗な外観を有し、使用感に優れた化粧水、美容液などの水性化粧料を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、安定性や使用感に優れた高級感のある真珠光沢剤を鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表されるアミド結合を有する室温で固体状の化合物、たとえば、従来美容剤として配合されているセラミド化合物及び又はセラミド類似化合物を使用すると、高級感のある真珠光沢が安定に析出し、さらに使用感にも優れていることを見出した。
(式1)
【0007】

またさらに、天然系であるレシチン誘導体、たとえば、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンの1種及び/又は2種以上を組み合わせることにより、さらに安定性が向上、肌へのしっとり感も付与でき、ポリオキシエチレン系、ポリグリセリン系の界面活性剤を使用することなく、安定で使用感に優れた高級感のある真珠光沢感が出現することを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0008】
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるアミド結合を有する室温で固体状の化合物を真珠光沢剤として含有する真珠光沢を有する水性化粧料、及び、真珠光沢の安定化剤として、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンの1種及び/又は2種以上を含有する真珠光沢を有する水性化粧料に関する。
(式1)
【0009】

【0010】
更に詳細には、上述した特定のアミド結合を有する室温で固体状の化合物を含有することにより、高級感のある真珠光沢が得られるだけでなく、べたつきのない、なめらかでしっとりした仕上がりが得られるなど、外観の効果や使用性に優れる水性化粧料に関するものである。さらに安定化剤として、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンなどのレシチン誘導体を組み合わせることにより、さらに経時安定性に優れしっとりした柔軟な仕上がりの高級感のある真珠光沢を有する水性化粧料に関するものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、詳述する。
本発明で用いられるアミド結合を有する室温で固体状の化合物は下記一般式(1)で示されるものである。
(式1)
【0012】

【0013】
この式(1)のアミド結合を有する化合物の配合量は、1.0質量%以下、より好ましくは、0.5質量%以下である。このアミド結合を有する室温で固体状の化合物としては、たとえば、一般に肌の保湿機能やバリア機能を有し、肌質改善のためによく使用されているセラミド化合物、セラミド類似化合物などが挙げられ、原料としては、セラミド1(コスモファーム)、セラミド2(高砂香料)、セラミド3(コスモファーム)、ソフケアセラミドSL−E(花王)などがある。
【0014】
この場合、このアミド結合を有する化合物は、単独でも良いが、さらに真珠光沢安定化剤として、一般に使用される界面活性剤、特に可溶化剤として使用されている化合物を使用することによって、より安定な真珠光沢が得られることがわかった。たとえば、レシチン、レシチン誘導体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸やその塩などが挙げられ、その中でも、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンなどのレシチン誘導体を使用すると、さらに安定性が向上し、ポリオキシエチレン系、ポリグリセリン系の界面活性剤を使用することなく、安定でしっとりした柔軟な仕上がりの高級感のある真珠光沢感を出現させることができる。
【0015】
本発明の真珠光沢を有する水性化粧料は、上記の成分に加え、目的に応じて発明の効果を損なわない範囲で、通常水性化粧料に配合されるその他の成分、油剤、アルコール、粉体、水溶性高分子、皮膜形成剤、界面活性剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘度鉱物、樹脂、紫外線吸収剤、保湿剤、PH調整剤、キレート剤、増粘剤、防菌防腐剤、抗菌剤、塩類、香料、酸化防止剤、清涼剤、抗炎症剤等の配合が可能である。
【0016】
またその他に、油剤、美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等の美容成分、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等の配合も可能である。
【0017】
本発明の水性化粧料は、半透明及至白濁であって真珠光沢を帯びた外観を呈し得るものであり、化粧水、乳液、美容液などであるが、パール光沢を有するものであれば剤型を問わず、形状は乳液状、クリーム状でも構わない。
【実施例】
【0018】
以下に、本発明の詳細を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
実施例1〜9及び比較例1〜2:水性組成物
表1に示す各組成の水性組成物を以下に示す製造方法により製造した。その外観について下記の方法より評価を行った。その結果も併せて表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
(製造方法)
A:成分1〜10を混合加熱する。
B:Aに成分11を混合し、水性組成物を得る。
【0022】
(評価方法)
得られた水性組成物のそれぞれにおいて、製造直後の真珠様光沢感、50℃、1ヵ月後の真珠様光沢感、及びその安定性について10名の専門パネルが評価し、以下の基準で評価した。
【0023】
表1に示す各組成の水性組成物を以下に示す製造方法により製造した。その外観について下記の方法より評価を行った。その結果も併せて表1に示す。
【0024】
(評価項目)
真珠光沢感

[評価基準]

5点:非常に強い真珠様光沢が認められる。
4点:かなり真珠様光沢が認められる。
3点:真珠様光沢が認められる。
2点:わずかな真珠様光沢が認められる。
1点:真珠様光沢は認められない。
経時安定性(真珠様光沢の沈降)

[評価基準]

5点:真珠様光沢の沈降が認められず、均一である。
4点:真珠様光沢の沈降がわずかに認められるが、全体としてはほと
んど均一で問題ない。
3点:真珠様光沢の沈降がわずかに認められ、少し不均一である。
2点:真珠様光沢の沈降が明らかに認められ、不均一である。
1点:真珠様光沢が完全に沈降し、全体としては真珠用光沢感がない
(真珠様光沢が全くない)。
【0025】
[判定基準]

◎:平均点4.0以上
○:平均点3.0以上4.0未満
△:平均点2.0以上3.0未満
【0026】
表1の結果より明らかなように、本発明品の実施例1〜9の水性組成物は、高級感のある真珠様光沢を有する水性組成物が得られ、50℃1ヵ月後もその真珠様光沢が維持されることがわかった。さらにその中でも、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンを配合した実施例7〜9の水性組成物は、真珠様光沢を有するだけでなく、50℃1ヵ月後もその真珠様光沢が沈降することなく、非常に安定性が上がることがわかった。一方、一般式(1)で表されるアミド結合を有する室温で固体状の化合物を配合しなかった比較例1〜2の水性組成物には、全く真珠様光沢が見られなかった。
【0027】
実施例10〜15及び比較例3〜4:化粧水
表2に示す各組成の化粧水を製造し、その外観、及び使用感について下記の方法より評価を行った。その結果も併せて表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
(製造方法)
A:成分1〜10を混合加熱する。
B:Aに成分11〜12を混合し、化粧水を得る。
【0030】
(評価方法)
得られた化粧水のそれぞれにおいて、女性20名の専門パネルが、外観の真珠様光沢の強度については実施例1〜9と同様の評価方法で評価、使用後のべたつきのなさ、肌のなめらかさ、しっとり感については下記評価基準で評価を行ないその平均点で判定した。
【0031】
(評価)
使用感(使用後のべたつきのなさ、肌のなめらかさ、しっとり感)

[評価基準]

5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
【0032】
[判定基準]

◎:平均点4.0以上
○:平均点3.0以上4.0未満
△:平均点2.0以上3.0未満
×:平均点2.0未満
【0033】
表2の結果より明らかなように、本発明品の実施例10〜15の化粧水は、高級感のある真珠様光沢を有し、使用後のべたつきもなく、なめらかな仕上がりを有することがわかり、さらにレシチン誘導体を組み合わせると、べたつきのないなめらかでしっとりした仕上がりが得られることがわかった。比較例3〜4の化粧水は、真珠様光沢は得られるが、使用後のべたつきが感じられ、ゴワつきのある硬い膜のある化粧水であった。
【0034】
実施例16:美容液
(成分) (%)
1.セラミド 0.2
2.水酸化レシチン 0.5
3.グリセリン 1.5
4.1,3−ブチレングリコール 7.0
5.エタノール 5.0
6.キサンタンガム(2%) 5.0
7.防腐剤 適量
8.美容成分 適量
9.香料 適量
10.精製水 残量
【0035】
(製造方法)
A:成分1〜3を均一に混合し、加熱する。
B:成分4〜7、及び成分10を均一に混合し、加熱する。
C:攪拌下、BにAを加え、冷却後、成分8〜9を加えて美容液を得る。
【0036】
以上のようにして得られた本発明品の美容液は、真珠光沢の外観のある高級感のある美容液で、べたつきのない、なめらかでしっとりした仕上がりで、柔軟性に優れ、経時安定性にも優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるアミド結合を有する室温で固体状の化合物を真珠光沢剤として含有する真珠光沢を有する水性化粧料。
(式1)

【請求項2】
真珠光沢の安定化剤として、水添レシチン、水酸化レシチン、リゾレシチンの1種及び/又は2種以上を含有する請求項1記載の真珠光沢を有する水性化粧料。

【公開番号】特開2012−167041(P2012−167041A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28022(P2011−28022)
【出願日】平成23年2月13日(2011.2.13)
【出願人】(310025258)スカイズ インク (1)
【氏名又は名称原語表記】SKYS, Inc.
【Fターム(参考)】