説明

真空処理プロセスのためのソース

【課題】操作パラメータのより優れた調整、したがってより優れた層品質を可能にするアークソースを提供する。
【解決手段】このソース1は絶縁対電極および/または交換磁気システムを有する。これにより、必要に応じて任意の電位が対電極8に与えられ、かつ/または様々な磁気システム5を備えたソースが、特にアークソースないしスパッタソースとして操作され得る。磁気システムは、アークソースまたはスパッタソースとしての択一的な適用に対する前記磁気システムの適合が、プロセスのサイクルの最中に真空状態を中断することなく動作中に実現できるように、前記磁気システムが少なくとも一つの方向に自由に移動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、この発明は、真空処理プロセスのためのソースに関するものであり、特にアークソースないし、アークソースとスパッタソースとの組み合わせに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アークソースならびにアークおよびスパッタソースは真空被覆処理装置において様々な方法で使用されるが、それぞれのソースは、その基本となる物理的プロセスおよび各々に特別な技術の実施により異なる利点を有する。
【0003】
以下においてアークソースとは、文献ではアークまたは電気火花とも呼ばれる電弧がターゲットの表面上に点火されるソースのことである。アークソースは、金属蒸気の高イオン化が有利なプロセスに特に適している。例としてここでは、特に接着力の強い層を析出するためのいわゆるイオンめっき法、あるいは表面を前処理および浄化するための金属イオンエッチングが挙げられる。
【0004】
以下においてスパッタソースとは、プラズマを援用し、イオン衝撃によってターゲットから散粉されるソースのことである。適切に設計された磁気システムの援用によりさらに、基本的に閉じた円環の形でプラズマがターゲット周辺に集中すると、これはマグネトロンスパッタソースと呼ばれる。
【0005】
スパッタソースは例えば、特に材料が個々の成分が全く異なる蒸気圧を有する気相に変換さるべき場合、滑らかな層の析出に極めて適している。
【0006】
現行技術では、様々なアークソースないしスパッタソースの特殊化および特殊な調整が数多く知られているが、これらは様々な応用分野における幅広い要望に応えるために開発されたものである。
【0007】
したがって、例えばDE 19702928 C2は、真空室に対して密閉されており、かつそれに対し垂直に変位可能な陰極ハウジング内に、電弧を安定させる磁石が配置され、さらにその磁石自体もターゲット表面に対し垂直に移動可能な、アークソースを開示する。その場合の欠点は、アークソースの操作によりさらに温度の激しい変動を被り得る、相互に移動する部材に真空密表面が設けられることである。
【0008】
EP 0459137 B1に開示されるアークおよびスパッタソースでは、ターゲットの裏側の決められた位置に中央極永久磁石が装着される一方、周辺永久磁石がターゲットおよび中極磁石に対し軸方向に変位可能なように載置される。これにより、周辺永久磁石がターゲットに近い位置ではスパッタソースとしての操作が、周辺から遠い位置ではアークソースとしての操作が、特に金属イオンエッチングによる前処理および浄化のために、可能となる。
【0009】
通常は電子モータによって駆動されて軸方向に変位可能な磁石配置の構造がかなり複雑であるため、そのようなソースを産業用に実現すると通常大きく、嵩張った構造となり、製造コストがかかる。
【0010】
EP 0495447 B1には、実に様々な蒸気圧を有する材料の合金も過剰に飛沫を飛ばすことなく気相に変換可能なアークソースの原理が述べられている。いずれにせよそのような構造のソースでは、例えばターゲットの高利用率達成や、明確な多重層の析出が容易に可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許公報 DE 19702928 C2
【特許文献2】欧州特許公報 EP 0459137 B1
【特許文献3】欧州特許公報 EP 0495447 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明の課題は、現行技術の欠点を除去することである。特に、この発明による諸特徴の利用により、操作パラメータのより優れた調整、したがってより優れた層品質を可能にするアークソースを提供することが、その課題である。
さらに、従来のソースより構造が簡素であり、より高い経済性を備え、かつスパッタおよびアークの操作様態を自由に選択できる汎用ソースを提供することが、課題である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明によるとこの課題は、請求項に記載の諸特徴によって解決する。従属項はさらに、有利な実施形態を記す。
【0014】
材料を気化ないしスパッタするためのそのようなソースは、真空室の凹部に固定されたハウジングからなり、それ、ないしその内部にソースの個々の部材が装着される。ハウジングの前面、すなわちソースの材料電流の方向には、周知のように、任意の形態のターゲットならびに少なくとも一つの対電極が装着される。ターゲットないし、ソースのその他の構成要素をコスト安で製造するため、通常は基本的に丸い、または矩形のターゲットが好ましい。ターゲット自体は陰極として、電流/電圧供給装置の陰極に接続され得る。ソースがアークソースないしスパッタソースとして使用されるかにより、既知の高電流ないし高電圧供給装置が、ないし双方の操作様態に切替可能な供電装置が使用され得る。ソースがアークソースとして操作されるべき場合、少なくとも電弧(アーク)を点火するための装置が設けられねばならない。
【0015】
したがってこの発明の好ましい実施形態では、対電極または対電極と少なくともハウジングの一部あるいはまたハウジング全体が、真空室とターゲットに対し、あるいは接地電位ないしターゲット電位にある部材に対し、電気的に絶縁される。したがって対電極と、場合によってはハウジングの一部とが電気的に自由に浮遊するか、あるいは自由に選択可能なその他の電位におかれることにより、アークないしスパッタプロセスを調整するためのさらなる制御パラメータが導入され得る。
【0016】
対電極の接地により真空室の全表面が実際に陽極として接続される従来のソースに対し、この発明では通常陽極のより強力な電子衝突が生じ、それにより陽極はより強く加熱される。このため対電極は簡単な構造上の措置により、冷却装置のさらなる設置、表面の拡大、あるいは適切な材料選択等に適合され得る。対電極がさらに冷却されるべき場合は通常、対電極の背面部分への冷却管の設置、ないし冷却コイル装着といった手段がとられ得る。その際には、陰極および対電極が共に、水抵抗により電気的に分離された同一の水循環によって冷却されるのが有利である。
【0017】
ターゲットの背面中央領域において、好ましくはハウジングと真空密で接続された冷却プレートを介して電流供給が行われる場合は、特にアークソースとして使用するのが有利であることがわかった。電流供給装置が側面に装着されたソースと比較すると、中央に現れるターゲット電流によって生じる磁場が、一つまたは複数のその他の磁気システムの磁場と重なることにより、対称形であるのみならず、より効率的なターゲットの利用が可能であった。
【0018】
さらに、様々な方法段階を組み合わせる場合の、そのようなソースの多様性がさらなる利点として証明された。例えば、前接続されたエッチング段階では対電極が低電圧アーク放電の陽極として接続され得る。そのためには、好ましくはフードにより真空室からは分離されたイオン化室に装着された、一つまたは複数の高温うずまき線と、一つまたは複数の陽極、この場合は対電極との間にある低電圧アークがそれ自体周知の方法で点火され、負の電位におかれた浄化されるべき工作物からイオンが抽出される。エッチング段階終了後は、アーク操作ないしスパッタ操作への切替により被覆プロセスが開始される。多重旋回工作物支持器具を用いた工業被覆装置では、電弧ないしソースがこれら支持器具に対し中央に配置された場合に最良の被覆結果が得られたが、その際対電極はまず低電圧アーク放電の陽極として接続され、次にターゲットから接着層の材料が気化された。次に、この一つまたは複数の機能層を構成するための、一つまたは複数の材料が周辺部、すなわち被覆装置の側壁に装着されたソースから、それぞれ必要な反応ガスを加えられながら、気化ないしスパッタされた。
【0019】
この発明の好ましいさらなる一実施形態では、それ自体は既知のソースにおいて、少なくとも一つの磁気システムが交換磁気システムとして実現される。したがってこの磁気システムは、少なくとも一つの方向に自由に動かせるように、ハウジングの形状寸法および/または電流供給装置の外周に合わせられ得る。さらに、磁気システムの搬出および搬入、あるいは調整のためのガイドが設けられ得る。操作を極めて容易にできるように、交換磁気システムの背面には取っ手、窪み、つまみ等の把持補助手段が設けられ得る。さらには、電流供給装置に第一の高速接続が、交換磁気システムに第二高速接続が設けられるのが有利であり、その際両高速接続は差込接続として実現されるのが好ましい。第二高速接続にはさらに、磁気システムの型の認識を可能にする手段が設けられ得るが、必要とあれば電磁気システムの、ないし少なくとも一つの磁気システムを動かすための単数または複数の駆動モータの、給電および制御用電流供給装置が設けられ得る。それによって例えば、周知のように、ターゲットないし冷却プレートの背面において磁気システムが移動可能となり、上記少なくとも一つのアークまたはスパッタ放電が所定の軌道を導かれる。
【0020】
これによって初めて、交換磁気システムを簡単かつ迅速に交換して、全く異なるプロセスの諸要求にソースを最適適合させる可能性が得られる。例えばここでは、様々なターゲット材料への磁気システムの適合化がしばしば有利であり、あるいは同一のソースがアークソースまたはスパッタソースとして交互に、特に好ましくはマグネトロンスパッタソースと呼ばれて使用されるが、必要とあればその交替は真空を中断することなく、加熱サイクル/浄化サイクル/被覆サイクルの間に行われ得る。その際には、例えば磁気システムの認識によりプロセス制御を介して、アーク操作からスパッタ操作に自動的に切替可能である。例えばアーク気化には、ターゲット表面に接して、あるいは表面上に、単数または複数の電気コイルによって生成可能な比較的弱い磁束密度があれば十分であるが、多くの材料をスパッタするには、好ましくは永久磁石で構成される高い磁束密度が必要である。そこでターゲット収量を最適化するには、表面に向けて磁場が変位されるか、あるいは変更され得る。これは周知のように、磁気システムを構成する様々なコイルの電気制御により、あるいは磁気システムの機械的移動により行われ得る。
【0021】
好ましいさらなる一実施形態では、上記のような電気的に絶縁された対電極と、場合によっては交換磁気システムとが設けられたソースにさらに、ターゲットおよび対電極の操作様態を切り替えるためのスイッチが装着される。同時に、さらに一つまたは複数の電弧点火装置と、単数または複数の電弧の対電極の正面への作用領域を制限する手段とが設けられる。
【0022】
こうして、陰極電弧放電によって対電極の材料もまた気相に変換され得る。そのような実施形態のソースは、できるだけ飛沫を形成せずに気化する、例えばチタンやクロムのような、さらに優れた接着層材料から対電極が製造される場合に特に有利である。電弧点火手段としては、ターゲット上における点火と全く同様に、例えば既知の点火フィンガや、対電極ないしハウジングとターゲットとをつなぐ不導体の、好ましくはセラミックスを基本材料とし、対電極ないしハウジングとターゲットとを電導接続するナノmまたは微少μm薄さの被覆層がその上に析出された、少なくとも一つのブリッジが適している。この薄い導電被覆層はターゲットないし対電極にアーク給電することにより気化し、それによって電弧を点火する。処理プロセスの間に再被覆が行われるように接続ブリッジが装着されると、電弧は陰極または対電極に交互に矢継ぎ早に点火される。電弧を点火するもう一つの方法は、特に旋回および転向可能なように載置された点火フィンガの装着により可能となり、このフィンガはターゲットないし対電極への点火後、ソース/基板の層接続から転向されるのが有利である。
【0023】
電弧を制限ないし導く手段として適しているのは、例えばさらなる磁場の追加、対電極の外側を基本的に取り囲む境界リングの取り付け、暗黒部の間隔に注意しながらの対電極ないしハウジングの後方ないし側面領域における絶縁被覆、等の既知の措置、あるいは様々な措置の組み合わせである。
【0024】
例としていくつか挙げられたが、全ての実施形態が説明されたわけではないこの発明によるソースを使用すると、一連の真空処理方法が従来より低コストで、あるいは極めて有利な層特性を伴って実施可能である。
【0025】
したがってこの発明によるソースは、同時に単数または複数の、好ましくは切替可能な、それぞれのプロセスに適した電流/電圧供給装置が設けられると、交換磁気システムにより任意の順序で交互にアークソースとして、必要な場合には真空を中断することなく磁気システムを他の磁気システム、特にマグネトロン磁気システムと交換した後は、スパッタソースとして操作され得る。
【0026】
絶縁された対電極を備えたこの発明によるソースによって、例えばただ一つのソースで異なる二つの材料が任意の時間的順序で気化ないしスパッタされる方法が初めて実施可能となる。これには例えば、被覆処理で一般的な約10−300V、好ましくは40から200Vの基板電圧が与えられたのち、対電極から工作物へのアーク気化により接着層が布設される。続いて、対電極における電弧放電が消失した後、ソースないし給電極の切替および陰極における電弧の点火により、第二の材料が気化され得る。
【0027】
第二の材料が、そのアークプロセス中の飛沫形成傾向によりスパッタターゲットからのスパッタに適しており、かつソースにもまたスパッタソースとしての操作のための磁気システムが少なくとも一つ設けられている場合、極の交換に加えてさらに高電圧ソースに切り替えられ、ターゲットの材料がスパッタされる。その際には、それ専用に設計された唯一の電流/電圧供給装置の切替により、操作様態が変更されるのが好ましい。
【0028】
さらにまた、被覆処理に前接続された工作物浄化段階がいわゆる金属イオンエッチングによって実施され得るが、そのためにはターゲットまたは対電極上に電弧が点火され、工作物には好ましくは800Vより大きい負の高電位が与えられる。
【0029】
アークおよびスパッタソースとしての使用はまた、それぞれ同じ対電極ないし同じターゲット材料が使用される場合に、有意義であり得る。例えば金属イオンエッチングの直後にスパッタプロセスが連結され得るか、あるいはアーク層およびスパッタ層の異なる諸特性が二層または多層システムにおいて利用され得る。
【0030】
さらに、そのようなソースはまたその他多くの既知の連続プロセスで、例えばその他の、またはさらなるエッチング段階および加熱段階と組み合わされて析出されるか、あるいは多重層製造のために、特にまた硬質層および滑り層、ないしそれらを組み合わせた層を、特に接着層と組み合わせて製造するために、析出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】アークおよび/またはスパッタソースの図である。
【図2】操作様態が切替可能なソースの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで概略図を例として、この発明の説明がなされる。
図1は、ターゲットをアーク気化ないしスパッタするための、電気絶縁対電極と交換磁気システムとを備えた、この発明による好ましいソースを示す。
【0033】
ソース1のハウジング4は、好ましくは耐熱性合成樹脂等からなる電気絶縁体3を介して真空室2に固定される。さらに、図1に示された絶縁体3の位置決めにおいて、ここでは詳細には示されないパッキンエレメントが取り付けられ、ソースの真空密固定を保証する。あるいはハウジング4全体の代わりに、ハウジング4の一部のみが、あるいは対電極8のみが真空室2ないしハウジング4から電気的に絶縁されることも可能であり、それにより絶縁体のさらなる耐密機能を省くこともできる。
【0034】
対電極8ないしハウジング4はターゲット11から、好ましくはセラミックス製のさらなる絶縁体7によって冷却プレート10から分離される。この絶縁体8にもまた、詳細には図示されない真空密エレメントが設けられる。冷却プレート10の後ろにあって大気に接触する交換磁気システム5はしたがってアクセスが容易であり、差込接続13と、必要とあれば交換磁気システム5に装着されるが、ここでは図示されないさらなる高速接続とが引き抜かれた後、容易に後方に引き抜かれ、交換可能である。
【0035】
冷却プレート10の正面にはターゲット11が装着され、ターゲット11と対電極8との間には境界リング9が位置決めされるが、このリング自体はターゲット11からも対電極8からも電気的に絶縁されていながら、良電導性である。さらなる一実施形態では境界リング自体が、例えばBNやTiNのように、ターゲットと比べると二次電子放出率が小さく、かつ表面エネルギが小さい材料からなり得る。
【0036】
図2は、操作様態が切替可能であり、かつ(考えられ得るいくつかの)切替可能な電流/電圧供給装置の一つ16と、被覆15上に好ましくは電気的に絶縁されて固定されたさらなる境界リング14とを備えた、好ましいもう一つのソースを示す。被覆15は真空室2に、あるいは必要とあればそれ自体また電気的に絶縁されてソース1のハウジング4に、ソース1と共に真空室2から取り外しできるように装着され得る。そのようなソースのもう一つの有利な実施形態では、電流供給装置12を電気的に絶縁して直接対電極8にまでつなげ、通常真空室2とハウジング4との間に装着される絶縁体は、対電極8とハウジング4との間に取り付けられる。
【0037】
さらに、対電極8の後方領域には、ここには図示されないが、電弧を導くためのさらなる磁石ないし電磁石が設けられ得る。
【0038】
図2に示されたようなソースは特に、ターゲット11ならびに対電極8の材料を気相に変換するのに大変適している。
【0039】
この発明によるソースの操作例
アークソースとして円形ターゲットを操作するための好ましい操作パラメータと極限値が表1にまとめられた(ターゲットの直径 約160mm、d=6−12mm、ターゲット材料: Ti)
【0040】
【表1】

【0041】
スパッタソースとして円形ターゲットを操作するための好ましい操作パラメータと極限値が表2にまとめられた(ターゲット直径 約 160mm、d=6−12mm、ターゲット材料: Ti)
【0042】
【表2】

【0043】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
1 ソース、2 真空室、3 ハウジング絶縁体、4 ハウジング、5 磁気システム、6 電流供給対電極、7 ターゲット絶縁体、8 対電極、9 境界リング、10 冷却プレート、11 ターゲット、12 電流供給ターゲット、13 高速接続、14 境界リング、15 被覆部、16 電流/電圧供給装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流供給(6)を有する陰極として接続されたターゲット(11)と、少なくとも一つの磁気システム(5)と、ターゲット(11)の側面を取り囲む少なくとも一つの対電極(8)と、さらにソース(1)の個々の部材がそれに、ないしその中に装着されたハウジング(4)とを備えた、真空室内において材料を気化ないしスパッタするための、ソースであって、対電極(8)が、あるいは対電極(8)と、ハウジング(4)の少なくとも一部とが、真空室およびターゲット(11)に対し電気的に絶縁されており、前記磁気システム(5)が交換磁気システムとして形成され、かつ少なくとも一つの方向に自由に移動できるように、ハウジング(4)と電流供給(6)との形状寸法に合わされており、アークソースまたはスパッタソースとしての択一的な適用に対する前記磁気システムの適合が、プロセスのサイクルの最中に真空状態を中断することなく動作中に実現できるように、前記磁気システムが少なくとも一つの方向に自由に移動できるものとなっていることを特徴とする、ソース。
【請求項2】
電流供給(6)がターゲット(11)の背面中央領域に装着されていることを特徴とする、請求項1に記載のソース。
【請求項3】
電気的に絶縁された境界リング(9)がターゲット(11)と対電極(8)との間に装着され、かつターゲット(11)を取り囲むことを特徴とする、請求項1または2に記載のソース。
【請求項4】
ハウジング(4)と真空密で接続された冷却プレート(10)の背面に、ないしターゲット(11)に対し調整可能な距離で磁気システム(5)が装着され、かつ電流供給(6)が中央において冷却プレート(10)を介して行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のソース。
【請求項5】
様々な磁界強度の交換磁気システムが設けられることを特徴とし、少なくとも一つの交換磁気システムが一つまたは複数の電気コイルを含み、少なくとも一つの交換磁気システムが永久磁石を含む、請求項1から4のいずれかに記載のソース。
【請求項6】
前記少なくとも一つの対電極(8)、ないし対電極(8)と少なくともハウジング(4)の一部とが陽極として接続されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のソース。
【請求項7】
ターゲット(11)と対電極(8)の操作様態を切り替えるためのスイッチと、電弧を点火するための単数または複数の装置と、さらに単数または複数の電弧の作用領域を対電極(8)の正面に限定するための手段とが設けられることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のソース。
【請求項8】
対電極(8)が接着層材料から、CrまたはTiからなることを特徴とする、請求項7に記載のソース。
【請求項9】
電弧点火手段が、旋回および転向可能なように載置された点火フィンガか、あるいは非導電性の、対電極(8)ないしハウジング(4)とターゲット(11)とを導電接続する薄い被覆層がその上に析出された、対電極(8)ないしハウジング(4)とターゲット(11)とをつなぐ少なくとも一つのブリッジであることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のソース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−168662(P2010−168662A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64442(P2010−64442)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【分割の表示】特願2002−335466(P2002−335466)の分割
【原出願日】平成14年11月19日(2002.11.19)
【出願人】(598051691)エリコン・トレーディング・アクチェンゲゼルシャフト,トリュープバッハ (44)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Trading AG,Truebbach
【Fターム(参考)】