説明

真空断熱パネル

【課題】住宅等建物で真空を利用した断熱遮音工法を大きく前進させるため・外壁パネル・屋根パネル・床パネルなどに利用する真空断熱パネルの提供。
【解決手段】真空引き可能な気密空間部50を有する真空断熱パネル30は、隙間保持部材40を2枚の金属板材10の間に挟み前記2枚の金属板材10の周囲をレーザー溶接した気密構造パネルとなっており、そしてこの気密構造パネルの両端部には金属製の吸引ノズル21、25が溶接されていて常時真空引き可能な真空断熱パネル30である。
この真空断熱パネル30は断熱性能と遮音性能を高めるため2枚の金属板材10の間に広い空間容積の気密空間部50を保持するための隙間保持部材40を挟み周囲を溶接した気密構造パネルでその両端には金属製の吸引ノズル21、25を有し、一方の前記吸引ノズル21に真空ポンプを接続し他方の吸引ノズル25は他の真空断熱パネル30と連通できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は・外壁パネル・屋根パネル・床パネルなどに使用する住宅等建物用の気密構造パネルで、真空状態を常時保持することで高い断熱性と遮音性を確保する真空断熱パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、人類だけが生活の快適さを得るために暖房や冷房に膨大な石油や石炭また天然ガスなどの多くのエネルギー消費し続けている。
自然災害の少ない地球に優しい環境の維持継続を考えた場合、この再生不可能な貴重な地下資源である石油や石炭また天然ガスの消費をこれからも続ければ大気汚染が進み地球温暖化が加速する。このことが生物にとって致命的な風水害や砂漠化など異常気象に伴う自然災害に見舞われる可能性が格段に高くなると言われている。
石油や石炭また天然ガスなどの貴重な地下資源は大切に利用すべきで燃料に使用するよりも生物が共栄共存し人類が豊かになるための製品を生みだすことに振り向けられるべきもので、限りある地球資源の有効利用に関し人類は基本的な指標を世界的に合意しなければならない段階にあると言ってよい。
【0003】
ところで近年、社会的ニーズは広範囲におよび地球温暖化の抑制に関してもその意識が高まってきている。
その中で住宅など建築物においては便利さや快適さの要求も強く、例えば・安全・安心・健康・癒し・省エネルギーに関する多くの工夫を取り入れた住宅建築工法の開発が進められているのが現状である。
特に、地球温暖化の抑制に関しては、適切な24時間機械換気システムの基で高気密化と高断熱化への取り組みが盛んで地球温暖化抑制には他にさまざまな建築工法と対策が講じられている。しかし、現状の高気密高断熱化住宅の多くはグラスウール、ロックウールでの断熱化、また、石油系の発泡ウレタンや発泡スチロールなどを多量に用いる被覆断熱化工法が主流で、このような被覆断熱化工法では火災にも弱く、また、再生利用が難しい多くの建材を使用するなど決して地球環境に優しい住宅建築工法とは言えないのである。
【0004】
そこで、真空を利用した高い断熱性と遮音性に着目した。
真空断熱等の考えは昔からあるものの実用化されたものとしては工場で真空化した真空断熱材や真空窓ガラスの一部だけで、未だに住宅全体を真空断熱材で覆い徹底した省エネルギー住宅化までには至っていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の事情に鑑み、住宅等建物で真空を利用した断熱遮音工法を大きく前進させるため・外壁パネル・屋根パネル・床パネルなどに真空断熱パネルと真空制御装置とを組み合わせ高い断熱性能と遮音性能を半永久的に安定維持させる住宅等建物用の真空断熱パネルの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
第1に、2枚の金属板材の間に広い空間容積の気密空間部を保持するための隙間保持部材を挟み周囲を溶接した気密構造パネルに、1箇所または複数箇所に金属製の吸引ノズルが溶接されていて前記吸引ノズルに真空ポンプを接続することで前記気密空間部を真空引き可能な真空断熱パネル。
第2に、前記隙間保持部材の材質は、古紙や木または無機質の建材ボードや多孔質セラミックスまた繊維の断熱材であることを特徴としている。
第3に、前記隙間保持部材の形状は、高い圧縮強度性能を有していて前記金属板材との接触面積を最少にしたり、または、片面のみを凹型としたことを特徴としている。
第4に、前記隙間保持部材の構成と構造でふく射熱を遮断する場合は、2枚の断熱材と1枚のアルミニウムシートで構成されていて、前記アルミニウムシートは2枚の断熱材の間に挟んであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、住宅等建物の断熱工法で真空を利用した真空断熱化を大きく前進させることが可能で・外壁パネル・屋根パネル・床パネルなどの真空断熱パネルと真空制御装置との組み合わせにより高い断熱性能と遮音性能を半永久的に、しかも少ないエネルギーで安定維持させることができる。
例えば、太陽光発電を利用すれば太陽光で断熱のできる住宅等建物が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、2枚のハニカム構造板材と1枚のアルミニウムシートで構成した隙間保持部材を挟んだ真空断熱パネルの平面と断面の概略図である。
図2は、隙間保持部材の断面の概略図である。
図3は、隙間保持部材の断面の概略図である。
【0009】
第1の実施形態、図1は真空断熱パネル30を図示しており、この真空断熱パネル30は、隙間保持部材40を2枚の金属板材10の間に挟み前記2枚の金属板材10の周囲をレーザー溶接した気密構造パネルとなっている。そして、この気密構造パネルの両端部には金属製の吸引ノズル21、25が溶接されていて常時真空引き可能な真空断熱パネル30である。
そこで断熱性能と遮音性能を高めるため2枚の金属板材10の間に広い空間容積の気密空間部50を保持するための隙間保持部材40を挟み周囲を溶接した気密構造パネルでその両端には金属製の吸引ノズル21、25を有し、一方の前記吸引ノズル21に真空ポンプを接続し他方の吸引ノズル25は他の真空断熱パネル30と連通できるようになっている。
そして、真空断熱パネル30の前記気密空間部50を真空引きすることで半永久的に断熱性能と遮音性能が確保できる真空断熱パネル30となっている。
【0010】
前記隙間保持部材40の材質はリサイクル古紙の断熱材で形状は、高い圧縮強度性能を有し片面のみが凹型のハニカム構造の板材となっている。
この片面のみが凹型のハニカム構造板材45のハニカム形状の大きさは、絶対真空度に十分耐える最大とし広い空間容積を確保することで一方の金属板材10aから他方の金属板材10bへの熱移動が最少となるようにしている。
【0011】
次に、前記隙間保持部材40の構成と構造は、ふく射熱を遮断するために片面のみが凹型の前記ハニカム構造板材45を2枚と1枚のアルミニウムシート80で構成されていて、2枚の凹型のハニカム構造板材45はハニカム構造面49どうしが前記アルミニウムシート80を挟んだ構造の隙間保持部材40でふく射熱の遮断効果を高める構成と構造になっている。
【0012】
この構成と構造の隙間保持部材40を挟んで造られた真空断熱パネル30は、2枚のステンレス薄板材を使用しいるが前記隙間保持部材40の両側面は平滑面なので真空にしても真空断熱パネル30のステンレス薄板材表面は平滑を確保できるので・外壁パネルとして焼き物タイルを貼った場合も問題が生じないようになっている。
【0013】
従って、真空断熱パネル30を住宅等建物用建材に・外壁パネル・屋根パネル・床パネルなどに使用することで魔法瓶のような断熱性の高い住宅等建物の建築が可能となり、しかも地球環境に優しいリサイクル容易な素材の真空断熱パネル30となっている。
【0014】
第2実施形態、図2は前記隙間保持部材40と一部に異なる材質また構成と構造の隙間保持部材41となっていて、この前記隙間保持部材41の材質は、前記第1実施形態のハニカム構造板材45と木製合板46との間にアルミニウムシート80を挟んだ隙間保持部材41となっている。
【0015】
第3実施形態、図3は前記隙間保持部材40や前記隙間保持部材41とは異なる材質また構成と構造の隙間保持部材42となっていて、この面記隙間保持部材42の材質は、無機質の建材ボード板47と片面のみが山波型の多孔質セラミックス板48とを合わせた隙間保持部材42となっている。
【0016】
尚、本発明の実施形態に限らず、以下のような変更が可能である。
本発明の真空断熱パネルでは2枚の金属板材を溶接するやり方としたが、接着をするなどの方法でもよい。
また、隙間保持部材の材質や形状で異なる組み合わせ、例えば、形状でも片面のみが凹型のものとは異なる貫通抜きした断熱材を使用することや異なる構成また構造の隙間保持部材でもよく上記の実施形態に制約や制限されるものではない。
【産業上の利用の可能性】
【0017】
本発明は、住宅等建物の断熱工法の開発促進に結び付く。
建物で高気密高断熱化や高い遮音性能を得ることのできる・安全・安心・健康・癒し・省エネルギー住宅の開発は、地球環境に優しい革新的な建物の建築工法の開発に結び付く。また、本発明は断熱を必要とする機器類に利用可能でその用途は広い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、2枚のハニカム構造板材と1枚のアルミニウムシートで構成した隙間保持部材を挟んだ真空断熱パネルの平面と断面の概略図。
【図2】図2は、隙間保持部材の断面の概略図。
【図3】図3は、隙間保持部材の断面の概略図。
【符号の説明】
【0019】
10、金属板材
15、レーザー溶接線
21、吸引ノズル
25、吸引ノズル
30、真空断熱パネル
40、隙間保持部材
41、隙間保持部材
42、隙間保持部材
45、ハニカム構造板材
46,木製合板
47、建材ボード板
48、多孔質セラミックス板
50、気密空間部
80、アルミニウムシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅等建物用の真空断熱パネルであって、
2枚の金属板材の間に広い空間容積の気密空間部を保持するための隙間保持部材を挟み周囲を溶接した気密構造パネルに、1箇所または複数箇所に金属製の吸引ノズルが溶接されていて前記吸引ノズルに真空ポンプを接続することで前記気密空間部を真空引き可能な真空断熱パネル。
【請求項2】
前記隙間保持部材の材質は、古紙や木または無機質の建材ボードや多孔質セラミックスまた繊維の断熱材であることを特徴とする請求項1に記載の真空断熱パネル。
【請求項3】
前記隙間保持部材の形状は、高い圧縮強度性能を有していて前記金属板材との接触面積を最少にしたり、または、片面のみを凹型としたことを特徴とする請求項1から2に記載の真空断熱パネル。
【請求項4】
前記隙間保持部材の構成と構造でふく射熱を遮断する場合は、2枚の断熱材と1枚のアルミニウムシートで構成されていて、前記アルミニウムシートは2枚の断熱材の間に挟んであることを特徴とする請求項1から3に記載の真空断熱パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−218055(P2007−218055A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68322(P2006−68322)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(501120889)
【出願人】(505122829)株式会社ウィズ・ワン (9)
【Fターム(参考)】